法務局の自筆証書遺言書保管制度で取得する2種類の証明書について、目的、請求できる人、記載内容、手数料、相続登記・預貯金・相続税・紛争対応での使い分けを整理します。
存在確認に使う書類なのか、内容確認と相続手続に使う書類なのかが分かれ目です。
存在確認に使う書類なのか、内容確認と相続手続に使う書類なのかが分かれ目です。
遺言書保管事実証明書と遺言書情報証明書の違いは、ひと言でいえば、前者が「法務局に自筆証書遺言が保管されているかどうかを確認するための証明書」、後者が「保管されている遺言書の内容を確認し、相続手続に利用するための証明書」という点にあります。
相続開始直後は、そもそも遺言書があるのか、法務局に預けられているのか、内容を確認するには何を取得するのかが問題になります。存在確認の入口が遺言書保管事実証明書であり、預貯金、不動産、株式、保険、税務、遺言執行などに進む段階で中心になるのが遺言書情報証明書です。
次の重要ポイントは、2つの証明書の役割を一文で切り分けるためのものです。最初にこの違いを押さえると、相続手続のどの段階で何を準備すればよいかを読み取りやすくなります。
遺言書保管事実証明書は「法務局に保管があるか」を確認する書類です。遺言書情報証明書は「保管された遺言の内容」を確認し、相続登記や金融機関手続などへつなげる書類です。
次の比較表は、目的、記載内容、手数料、通知、実務での位置づけを並べたものです。証明書名が似ていても使える場面が異なるため、左列と右列の違いを見比べることが重要です。
| 比較項目 | 遺言書保管事実証明書 | 遺言書情報証明書 |
|---|---|---|
| 目的 | 遺言書が法務局に保管されているかを確認する | 保管されている遺言書の内容を確認し、相続手続に使う |
| 役割 | 存否確認の証明書 | 内容証明・手続利用の証明書 |
| 遺言書の本文・画像 | 原則として載らない | 目録を含む遺言書の画像情報が載る |
| 典型的な場面 | 遺言書があるか分からない段階 | 相続登記、預貯金解約、遺言執行、税務資料整理など |
| 請求の中心人物 | 相続人、受遺者、遺言執行者等。対象は関係遺言書 | 関係相続人等。相続人、受遺者、遺言執行者等が中心 |
| 手数料 | 1通800円 | 1通1,400円 |
| 検認との関係 | 存否確認だけでは相続手続の中心書類にはなりにくい | 法務局保管の自筆証書遺言について検認を経ずに利用される中心書類 |
| 通知との関係 | それ自体では通知発動場面の中心ではない | 交付や閲覧により、他の相続人等へ保管されている旨の通知がされる場面がある |
| 実務評価 | 探すための書類 | 使うための書類 |
2つの証明書は、法務局における自筆証書遺言書保管制度を前提にしています。
遺言書保管事実証明書と遺言書情報証明書は、いずれも法務局における自筆証書遺言書保管制度に関係する証明書です。公正証書遺言、秘密証書遺言、自宅保管の自筆証書遺言を直接証明する書類ではありません。
自筆証書遺言は、遺言者が本文、日付、氏名を自書し、押印して作成する方式です。費用や心理的負担が比較的小さい一方で、紛失、隠匿、破棄、改ざん、発見されないリスク、方式不備による無効リスクが問題になります。そこで、法務局が自筆証書遺言書を保管し、死亡後に証明書を交付する制度が設けられています。
法務局に保管されている自筆証書遺言については、民法1004条1項の家庭裁判所における検認の規定が適用されません。相続開始後は、家庭裁判所の検認を経ず、遺言書情報証明書を取得して相続手続に進むことが予定されています。
ただし、検認不要ということは、遺言が常に有効で争えないという意味ではありません。検認は遺言書の状態を確認し、偽造・変造を防ぐための手続であり、有効・無効を最終判断する制度ではないためです。遺言能力、強迫・詐欺、方式違反、内容の不明確性、遺留分侵害、遺産の範囲などが争点になる場合は、個別事情に応じた専門的検討が必要になります。
次の用語一覧は、証明書の請求や内容確認でよく出る言葉を整理したものです。誰が請求できるか、どの機関が扱うかを理解するために、各用語の対象範囲を読み取ることが大切です。
法務大臣が指定する法務局です。すべての法務局窓口で同じように保管事務を扱うわけではないため、実際の手続では法務省や管轄法務局の案内を確認します。
遺言書保管所に勤務する法務事務官のうち、法務局または地方法務局の長が指定した職員です。申請、保管、閲覧、証明書交付などの事務を扱います。
遺言者の相続人、遺言書に記載された受遺者、遺言執行者など、遺言書の内容確認に関係を持つ者をいいます。遺言書情報証明書を請求できる中心的な主体です。
遺言によって財産を受け取る者です。法定相続人でない友人、内縁の配偶者、法人、公益団体などが受遺者になることもあります。
遺言の内容を実現するために必要な手続を行う者です。不動産、預貯金、株式、寄付、認知、推定相続人の廃除などで重要になります。
家庭裁判所で遺言書の存在と状態を確認する手続です。公正証書遺言や法務局保管制度を利用した自筆証書遺言では通常不要ですが、遺言の有効性とは別問題です。
遺言書の内容を読むためではなく、関係する遺言書が保管されているかを確認する書類です。
遺言書保管事実証明書とは、法務局の自筆証書遺言書保管制度で、特定の遺言者について、自分に関係する遺言書が保管されているかどうかを確認するための証明書です。実務上の役割は、遺言書の内容を読むことではなく、まず「あるのか、ないのか」を確認することにあります。
保管されている場合には、関係遺言書が保管されている旨、遺言書の作成年月日、遺言書が保管されている遺言書保管所の名称、保管番号、遺言者を特定するための情報、請求人の資格・氏名・住所等を確認できるのが一般的です。
一方で、遺言書の本文、財産目録、誰に何を相続させるか、遺言執行者が誰か、特定の相続人を排除する趣旨があるかといった遺言の内容そのものは、遺言書保管事実証明書では原則として分かりません。
次の一覧は、遺言書保管事実証明書が役立つ典型場面をまとめたものです。相続の初動で何を調べたいのかを整理することで、この証明書で足りるのか、次に遺言書情報証明書が必要になるのかを読み取れます。
亡くなった親が「法務局に預けた」と話していたが、保管証や控えが見つからない場合の存否確認に使われます。
初動調査家族の誰かが遺言書の存在を話しているものの、根拠がはっきりしない場合に、客観的な確認手段になります。
確認資料通知を受けたものの、自分が遺言の関係者なのか分からない場合に、関係遺言書の有無を確認する場面があります。
通知対応遺産分割協議を始める前に、法務局保管の遺言書がないかを確認して、協議の前提を整えるために使われます。
協議前遺言書保管事実証明書については、条文上広い表現が使われています。しかし、第三者が他人の遺言書の存在を無制限に探索できる制度ではありません。制度上は、対象が関係遺言書と整理され、自分が相続人、受遺者、遺言執行者等として関係する遺言書の存否を確認する仕組みです。
保管された遺言書の内容を確認し、相続手続に利用するための中心書類です。
遺言書情報証明書とは、法務局に保管されている自筆証書遺言について、遺言書保管ファイルに記録されている事項を証明する書面です。実務上は、目録を含む遺言書の画像情報が表示される、遺言内容確認のための中心的な証明書です。
次の表は、遺言書情報証明書で一般に確認できる項目を整理したものです。相続手続の提出先が何を確認したいのかを意識しながら、遺言者情報、遺言書情報、受遺者・遺言執行者情報の位置づけを読み取ることが重要です。
| 区分 | 主な記載・画像情報 | 実務での意味 |
|---|---|---|
| 遺言者情報 | 氏名、出生年月日、住所、本籍または国籍等 | 遺言者を特定し、戸籍や住民票等との照合に使います。 |
| 遺言書情報 | 目録を含む遺言書の画像情報、作成年月日、保管開始年月日 | 誰がどの財産を取得するか、遺言執行者がいるかなどを確認します。 |
| 保管情報 | 遺言書保管所の名称、保管番号 | 法務局保管制度上の管理情報として利用されます。 |
| 関係者情報 | 受遺者、遺言執行者等に関する情報 | 手続主体や通知対象を判断する材料になります。 |
相続登記、預貯金の払戻し・名義変更、株式・投資信託の移管、遺言執行、受遺者の財産確認、相続税申告の資料整理、遺留分侵害額請求の検討、遺言無効確認訴訟や遺産分割紛争に備えた内容精査などで利用されます。
次の注意点一覧は、遺言書情報証明書を取得しても残る実務上の限界をまとめたものです。証明書で分かる情報と、別途専門的に判断する必要がある事項を分けて読むことが大切です。
法務局の保管制度は、遺言能力、強迫・詐欺、内容の有効性、遺留分侵害などを最終判断する制度ではありません。
法務省の案内では、遺言書情報証明書は白黒で出力されるため、色分けや原本状態が重要な場合は閲覧も検討対象になります。
法務局保管の自筆証書遺言では、原本そのものを相続人が持ち出すのではなく、証明書を取得して手続先に提出する流れになります。
遺言書保管法9条と10条の証明対象の差が、実務上の使い分けに直結します。
遺言書情報証明書は、遺言書保管法9条に基づく証明書です。関係相続人等が、遺言者の死亡後に、遺言書保管ファイルに記録されている事項を証明した書面の交付を請求できる制度として整理されます。
遺言書保管事実証明書は、遺言書保管法10条に基づく証明書です。関係遺言書の保管の有無、保管されている場合の作成年月日、保管所名、保管番号等を証明する書面として位置づけられます。
次の比較表は、条文上の証明対象と実務上の意味を並べたものです。9条は内容確認、10条は存否確認という違いを読み取ると、取得すべき書類の判断がしやすくなります。
| 観点 | 遺言書情報証明書 | 遺言書保管事実証明書 |
|---|---|---|
| 根拠 | 遺言書保管法9条 | 遺言書保管法10条 |
| 請求時期 | 遺言者の死亡後 | 相続開始後の存否確認で利用される場面が中心 |
| 証明対象 | 遺言書保管ファイルに記録された事項 | 関係遺言書の保管の有無と限定情報 |
| 実務上の役割 | 遺言の内容を確認するための書類 | 遺言書情報証明書に進む前の調査段階で使う書類 |
次の表は、手数料と請求主体の違いをまとめたものです。費用だけで選ぶのではなく、誰がどの目的で請求するのかを合わせて確認する必要があります。
| 項目 | 遺言書保管事実証明書 | 遺言書情報証明書 |
|---|---|---|
| 手数料 | 1通800円 | 1通1,400円 |
| 納付方法 | 原則として収入印紙 | 原則として収入印紙 |
| 中心となる請求人 | 相続人、受遺者、遺言執行者、通知を受けた人、相続財産管理・清算に関係する者など | 遺言者の相続人、受遺者、受遺者の相続人、遺言執行者、遺言で認知される子や母、祭祀承継者、信託・保険・著作権・未成年後見等に関係する一定の者など |
| 代理人 | 法定代理人が関与する場面があります。任意代理は手続類型ごとの確認が必要です。 | 法定代理人が関与する場面があります。任意代理は手続類型ごとの確認が必要です。 |
相続放棄をした人や相続欠格・廃除により相続権を失った人も、一定の文脈で相続関係の把握に含まれることがあります。これは、遺言内容の確認や通知の場面で、形式的な相続関係を整理する必要があるためです。
どちらも遺言書保管所以外の遺言書保管所で請求できる仕組みがありますが、閲覧とは扱いが異なります。
遺言書情報証明書も遺言書保管事実証明書も、実際に遺言書を保管している遺言書保管所以外の遺言書保管所で請求できる仕組みがあります。遠方に住む相続人にとって重要な点です。ただし、遺言書の原本閲覧は原本を保管している遺言書保管所でなければならないなど、閲覧方法によって扱いが異なります。
次の時系列は、2つの証明書に共通する準備から、事実確認と内容確認に分かれる流れを示しています。順番を押さえることで、戸籍、住民票、法定相続情報一覧図、収入印紙などをいつ準備するかを読み取れます。
遺言者の死亡を確認し、請求人が相続人、受遺者、遺言執行者等に当たる可能性を整理します。
請求書、戸籍、住民票、法定相続情報一覧図、本人確認書類などを、請求人の地位に応じて準備します。
手数料分の収入印紙を準備し、窓口請求または郵送請求を検討します。郵送では返信用封筒や切手も問題になります。
事実証明書では保管の有無を確認し、保管がある場合は必要に応じて情報証明書へ進みます。情報証明書では遺言内容を確認します。
内容確認後、相続登記、金融機関手続、税務申告、遺言執行、紛争対応などの次工程を整理します。
次の表は、請求人の立場によって変わりやすい必要書類の考え方を整理したものです。実際の提出前には、法務省の最新様式、管轄法務局の案内、予約ページを確認することが重要です。
| 請求人の立場 | 確認されやすい資料 | 注意点 |
|---|---|---|
| 相続人 | 遺言者の死亡が分かる戸籍、請求人が相続人であることが分かる戸籍、住所を示す住民票、本人確認書類など | 出生から死亡までの戸籍や相続人全員の戸籍・住民票が必要になる場面があります。 |
| 受遺者 | 受遺者としての地位を示す資料、住所・本人確認資料など | 法人や団体が受遺者の場合、代表者資格証明書などが問題になります。 |
| 遺言執行者 | 遺言執行者であることを示す資料、本人確認資料など | 遺言で指定された場合と家庭裁判所で選任された場合で確認資料が変わります。 |
| 代理人 | 法定代理関係を示す資料、委任関係の確認資料など | 任意代理の可否や範囲は手続類型によって制限されるため、個別確認が必要です。 |
遺言書情報証明書は、内容確認後の実務で特に重要になります。
遺言書情報証明書の交付や遺言書の閲覧が行われると、遺言書保管官から、遺言者の相続人や遺言書に記載された一定の関係者へ、遺言書が保管されている旨の通知がされる場面があります。通知制度には、関係者に遺言書の存在を知らせ、遺言内容の確認機会を確保する意味があります。
一方で、通知が届くこと自体が家族関係の緊張を高めることもあります。紛争が予想される相続では、証明書取得の前後で、説明方法や資料共有の順序を慎重に検討する必要があります。
次の一覧は、遺言書情報証明書が使われやすい実務場面を整理したものです。手続先ごとに確認される資料や残る論点が違うため、どの分野でどの専門職が関わりやすいかを読み取ることが重要です。
法務局保管の自筆証書遺言に基づいて不動産の名義変更を行う場合、遺言書情報証明書が遺言内容を示す資料になります。2024年4月1日から相続登記は義務化され、正当な理由なく申請義務を怠ると10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
司法書士預貯金の払戻し、名義変更、解約、投資信託の移管、貸金庫の開扉などで、遺言の内容を示す重要資料になります。金融機関所定の書式や印鑑証明書などが別途求められることがあります。
金融機関誰がどの財産を取得するかを判断する資料になります。相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内が基本的な目安です。
税理士遺言執行者は、遺言書情報証明書を確認し、財産目録の作成、相続人・受遺者への通知、預貯金解約、不動産登記、遺贈履行などを進めます。
執行実務税理士の観点からは、遺言書情報証明書は税額計算の出発点の一つですが、それだけで相続税申告が完成するわけではありません。不動産評価、預貯金残高、上場株式・投資信託、非上場株式、貸付金、債務、葬式費用、贈与財産、国外財産などの調査が必要です。
証明書は入口資料になりますが、そこから先の法的評価は別問題です。
相続紛争では、遺言書保管事実証明書と遺言書情報証明書が入口資料として重要になることがあります。前者は遺言の有無をめぐる対立、後者は遺言内容の評価や執行をめぐる対立で意味を持ちます。
次の一覧は、証明書取得後に争点化しやすい場面を整理したものです。証明書で確認できる事実と、裁判所・専門職による評価が必要になる論点を分けて読むことが重要です。
一部相続人が遺言はないと主張している場合、保管事実証明書で法務局保管の有無を確認することが前提整理になります。
情報証明書で内容を確認できても、作成時の判断能力、認知症の進行、筆跡、日付、訂正方法などは別途問題になります。
特定の相続人に偏った内容の場合、遺留分侵害額請求の検討が必要になる可能性があります。
遺言執行者の指定、権限、行動が不透明な場合、解任申立てや責任追及が問題になることがあります。
遺言作成後に財産が売却・移転・消滅している場合、遺言文言と現実の財産状況を照合する必要があります。
死亡前後の預貯金引出し、名義預金、生前贈与などが争点になる場合、証明書とは別の資料調査が必要になります。
次の表は、よくある誤解と正しい整理を並べたものです。誤解を早い段階で解くことで、不要な手続や過度な期待を避けやすくなります。
| 誤解 | 整理 |
|---|---|
| 遺言書保管事実証明書を取れば遺言の内容が分かる | 分かりません。内容確認には通常、遺言書情報証明書が必要です。 |
| 遺言書情報証明書があれば遺言は絶対に有効である | 違います。法務局の保管制度は遺言の有効性を保証する制度ではありません。 |
| 法務局が相続分や税金を教えてくれる | 法務局は制度手続を扱いますが、遺産分割、遺留分、相続税、登記実体判断、紛争解決の相談機関ではありません。 |
| 公正証書遺言にも遺言書情報証明書がある | ありません。遺言書情報証明書は法務局保管の自筆証書遺言に関する証明書です。 |
| 保管証がないと請求できない | 保管証があると円滑ですが、必要な情報と書類を整えて請求できる場面があります。 |
| 取得しても誰にも知られない | 交付や閲覧により、他の相続人等へ通知される場面があります。 |
| 保管なしなら遺言書は絶対にない | 法務局保管制度上の関係遺言書がないという意味です。公正証書遺言や自宅保管遺言が別に存在する可能性は残ります。 |
相続開始時の状況によって、先に確認する書類と次に進む手続が変わります。
次の事例一覧は、相続で起こりやすい6つの場面を、どの証明書を検討するかという観点で整理したものです。似た状況でも、遺言の有無を探す段階か、遺言内容に基づいて手続を進める段階かを読み取ることが大切です。
まず相続人が遺言書保管事実証明書を検討し、保管が確認できたら関係相続人等として遺言書情報証明書へ進む流れが考えられます。
遺言の存在を客観的に確認するため、保管事実証明書が検討されます。情報証明書の取得や閲覧により、他の相続人へ通知される場面があります。
通知の種類を確認し、必要に応じて保管事実証明書または情報証明書を検討します。受遺者や法人の場合は追加資料が問題になります。
遺言書情報証明書を取得し、遺言文言、不動産の表示、取得者、遺言執行者の有無を確認します。相続登記義務化も意識します。
長女または遺言執行者が情報証明書を確認し、金融機関手続を進める場面があります。他の相続人に遺留分がある場合は別の論点が残ります。
税務申告期限から逆算し、情報証明書の取得、財産評価、相続人調査、債務確認、特例適用の可否を並行して整理する必要があります。
証明書取得後は、紛争、登記、税務、書類整理、不動産、金融手続で見るポイントが変わります。
次の表は、遺言書情報証明書を確認した後に、各専門職・関係機関がどのような観点を持つかを整理したものです。証明書の取得で終わらず、どの課題を誰に確認するかを読み取るために重要です。
| 関係者 | 主な確認視点 |
|---|---|
| 弁護士 | 遺言の有効性、遺留分、相続人間の交渉、使い込み疑い、調停・審判・訴訟、遺言執行者の責任追及などを確認します。 |
| 司法書士 | 相続登記、不動産の名義変更、法定相続情報一覧図、戸籍収集、登記原因証明情報、住所変更履歴、登録免許税などを確認します。 |
| 税理士 | 相続税申告、財産評価、課税価格、基礎控除、配偶者税額軽減、小規模宅地等の特例、生命保険金非課税などを確認します。 |
| 行政書士 | 紛争性がなく、税務・登記申請・訴訟代理に当たらない範囲で、相続手続書類や相続人関係説明図などの整理を支援する場面があります。 |
| 公証人 | 公正証書遺言の作成に関与します。法務局保管の自筆証書遺言とは異なる制度として比較対象になります。 |
| 遺言執行者 | 財産目録、関係者通知、預貯金解約、不動産登記、遺贈履行、債務整理など、遺言内容を実現する手続を進めます。 |
| 不動産関係者 | 価額、境界、分筆、売却、共有解消、代償金、換価分割など、証明書だけでは終わらない不動産実務を確認します。 |
| 家庭裁判所 | 遺産分割調停・審判、遺言執行者選任、特別代理人選任、相続放棄、限定承認などで関与する場面があります。 |
| 金融機関・信託銀行 | 預貯金、投資信託、貸金庫、保険関連書類、遺言信託・遺言執行業務などの手続資料を確認します。 |
「探す段階」か「使う段階」かを分け、必要書類と次の専門領域を整理します。
次の判断の流れは、相続開始後に遺言書の有無が分からない場面から、内容確認と実務対応へ進む順番を表しています。分岐ごとに何を確認すべきかを読み取ると、保管事実証明書と情報証明書の使い分けが明確になります。
遺言書の有無、法務局保管制度の利用可能性、相続人・受遺者等の関係を整理します。
保管証、家族の発言、法務局からの通知などを確認します。
関係遺言書が保管されているかどうかを確認します。
公正証書遺言検索、自宅、貸金庫、専門職預かりなどを確認します。
関係相続人等に当たるかを整理し、内容確認へ進みます。
不動産、相続税、紛争、書類整理、遺言執行のどれが問題になるかを分けます。
遺言書保管事実証明書では、目的が保管の有無の確認で足りるか、内容までは分からないことを理解しているか、保管が確認された場合に情報証明書へ進む予定があるか、公正証書遺言や自宅保管遺言の探索も必要ではないかを確認します。
遺言書情報証明書では、関係相続人等に当たることを示せるか、取得により他の相続人等へ通知される可能性を理解しているか、内容確認後に相続登記、金融機関手続、税務申告、紛争対応のどれへ進むか、色分けや原本状態が重要な場合に閲覧も検討するかを確認します。
法務局保管制度の証明書が使える範囲と、よくある疑問を一般情報として整理します。
遺言書情報証明書と遺言書保管事実証明書は、法務局保管の自筆証書遺言に関する証明書です。したがって、公正証書遺言や自宅保管の自筆証書遺言とは、確認方法が異なります。
次の比較表は、法務局保管、公正証書、自宅保管の違いを整理したものです。どの制度に属する遺言なのかによって、証明書、検索、検認の扱いが変わる点を読み取ることが重要です。
| 遺言の種類 | 保管・確認方法 | 検認との関係 |
|---|---|---|
| 法務局保管の自筆証書遺言 | 法務局の自筆証書遺言書保管制度で管理され、保管事実証明書や情報証明書が関係します。 | 通常、家庭裁判所の検認は不要です。 |
| 公正証書遺言 | 公証役場で作成され、原本が公証役場で保管されます。相続開始後は公証役場の検索制度が関係します。 | 通常、検認は不要です。法務局の情報証明書は発行されません。 |
| 自宅保管の自筆証書遺言 | 自宅、貸金庫、専門職預かりなどで発見されることがあります。 | 原則として家庭裁判所の検認が必要です。法務局の情報証明書は取得できません。 |
一般的には、遺言書保管事実証明書は法務局に自分に関係する遺言書が保管されているかどうかを確認する証明書、遺言書情報証明書は保管されている遺言書の内容を確認し、相続登記や預貯金手続などに利用する証明書とされています。ただし、請求人の立場や必要書類によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、遺言書の内容を確認する目的では遺言書情報証明書が検討されます。遺言書保管事実証明書では、遺言の本文や財産の分け方までは分からないとされています。ただし、関係相続人等に当たるか、添付書類を準備できるかで扱いが変わる可能性があります。
一般的には、法務局に保管されているか分からない段階では遺言書保管事実証明書が検討され、保管されていることが分かって内容確認や相続手続に進む段階では遺言書情報証明書が検討されます。ただし、通知の有無、保管証の有無、請求人の地位によって進め方が変わる可能性があります。
一般的には、法務省の案内で、遺言書情報証明書は1通1,400円、遺言書保管事実証明書は1通800円とされています。原則として収入印紙で納付します。ただし、郵送請求の返信用封筒・切手、戸籍収集、専門家報酬などは別に問題になります。
一般的には、法務局に保管されている自筆証書遺言については、家庭裁判所の検認は不要とされています。ただし、検認不要ということは遺言の有効性が最終的に保証されるという意味ではありません。遺言能力、方式、遺留分、財産の特定などは別途問題になる可能性があります。
一般的には、法務局保管制度上の関係遺言書がないという意味です。公正証書遺言、自宅保管の自筆証書遺言、貸金庫内の遺言書、専門職が預かっている遺言書などが別に存在する可能性は残ります。
一般的には、遺言書情報証明書の交付や遺言書の閲覧により、他の相続人等に遺言書が保管されている旨が通知される場面があります。ただし、通知対象や時期は制度上の要件と事実関係によって変わる可能性があります。紛争が予想される場合は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、法務省のFAQで、遺言書情報証明書は白黒で出力されるため、色分けを確認できないと説明されています。色や原本状態が問題になる可能性がある場合は、閲覧の要否を含めて確認する必要があります。
一般的には、相続登記で遺言内容を示すために使われるのは遺言書情報証明書とされています。遺言書保管事実証明書は、保管の有無を確認するための書類であり、登記手続の中心書類にはなりにくいです。ただし、登記の可否は遺言文言、不動産表示、取得者、遺言執行者の有無などで変わる可能性があります。
一般的には、不動産がある場合は司法書士、相続税が発生しそうな場合は税理士、相続人間で対立がある場合や遺留分・使い込み・遺言無効が問題になる場合は弁護士、争いのない書類整理中心の場合は行政書士等が候補になるとされています。ただし、具体的な相談先は事案の内容と紛争性によって変わります。
証明書の名前ではなく、今の相続手続がどの段階にあるかで考えることが大切です。
次の重要ポイントは、遺言書保管事実証明書と遺言書情報証明書の違いを相続実務の観点で整理したものです。証明書取得後に残る登記、税務、遺留分、紛争、遺言執行の論点を読み取ることが重要です。
遺言書を探している段階なら遺言書保管事実証明書、遺言の内容に基づいて手続を進める段階なら遺言書情報証明書が基本的な整理です。
相続人にとって大切なのは、今が「遺言書を探している段階」なのか、「遺言内容に基づいて手続を進める段階」なのかを見極めることです。ただし、証明書を取れば相続が終わるわけではありません。遺言の解釈、不動産登記、相続税、遺留分、家族間紛争、使い込み疑い、遺言執行などが重なる場合は、資料を整理して専門職に確認する必要があります。
制度・手数料・様式・運用は改正される可能性があるため、実際の請求時には最新の公的案内を確認する必要があります。