2σ Guide

会社員の休業損害は
源泉徴収票でどう計算するか

交通事故で会社員が仕事を休んだ場合に、源泉徴収票の支払金額、休業損害証明書、給与明細、医療資料をどう組み合わせて休業損害を検算するかを整理します。

365日 支払金額を割る基本日数
6,100円 自賠責の原則日額
19,000円 立証時の自賠責上限日額
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会社員の休業損害は 源泉徴収票でどう計算するか

まず、見るべき欄と基本式を押さえます。

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会社員の休業損害は 源泉徴収票でどう計算するか
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 会社員の休業損害は 源泉徴収票でどう計算するか
  • まず、見るべき欄と基本式を押さえます。

POINT 1

  • 会社員の休業損害を源泉徴収票で計算する全体像
  • まず、見るべき欄と基本式を押さえます。
  • 休業損害 = 基礎収入日額 × 休業日数
  • 基礎収入
  • 休業日数

POINT 2

  • 会社員の休業損害で源泉徴収票の支払金額を見る理由
  • 年収365日方式
  • 事故前3か月方式
  • 所定労働日数方式
  • 源泉徴収票の各欄と、3つの日額計算方法を比較します。

POINT 3

  • 会社員の休業損害で自賠責基準と実収入計算を混同しない
  • 自賠責、任意保険、裁判実務では、見ている基準が異なります。
  • 任意保険会社の提示で確認する点
  • また、傷害部分には治療費、休業損害、慰謝料などを含めて被害者1人につき120万円の限度額があります。
  • 次の横棒グラフは、原則日額、源泉徴収票から出る実収入日額の例、自賠責で実額立証がある場合の上限日額を並べたものです。

POINT 4

  • 会社員の休業損害で有給休暇・欠勤・遅刻早退をどう数えるか
  • 給与が減った日だけでなく、有給休暇の消化や時間単位の不就労も確認します。
  • 有給休暇を使った場合
  • 遅刻・早退・時間単位有給
  • 通院時間の扱い

POINT 5

  • 会社員の休業損害で賞与・残業代・手当を見落とさない
  • 年収365日方式だけで拾い切れない減収を確認します。
  • 残業代と各種手当
  • 源泉徴収票の支払金額には、通常、年間に支払われた給与、賞与、各種手当が含まれます。
  • そのため、事故前年の支払金額を365日で割る方式を使えば、前年の賞与や残業代は一定程度反映されます。

POINT 6

  • 会社員の休業損害で源泉徴収票だけでは足りないケース
  • 転職直後
  • 新卒・就職直後
  • 前年が学生で収入が低い場合、給与規程、初任給表、同期社員の給与水準などが問題になります。

POINT 7

  • 会社員の休業損害は医療資料と業務内容の関係が重要
  • 金額計算より先に、休業の必要性が争点になることがあります。
  • 整形外科領域
  • 脳神経外科・精神科領域
  • 産業医・人事労務との連携

POINT 8

  • 会社員の休業損害証明書を勤務先に依頼する手順
  • 1. 源泉徴収票と給与明細を集める:支払金額、事故前3か月の給与、賞与や手当の有無を確認します。
  • 2. 勤怠記録を確認する:欠勤、有給、遅刻、早退、時間単位有給を分けます。
  • 3. 事故との関係を整理する:通院日、症状、医師の指示、業務内容と結び付けます。
  • 4. 勤務先に作成を依頼する:事実証明のための書類であり、勤務先が責任を負うための書類ではないことを説明します。

まとめ

  • 会社員の休業損害は 源泉徴収票でどう計算するか
  • 会社員の休業損害を源泉徴収票で計算する全体像:まず、見るべき欄と基本式を押さえます。
  • 会社員の休業損害で自賠責基準と実収入計算を混同しない:自賠責、任意保険、裁判実務では、見ている基準が異なります。
  • 会社員の休業損害で有給休暇・欠勤・遅刻早退をどう数えるか:給与が減った日だけでなく、有給休暇の消化や時間単位の不就労も確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

会社員の休業損害を源泉徴収票で計算する全体像

まず、見るべき欄と基本式を押さえます。

会社員の休業損害は、交通事故によるけがのために働けなかったり、通常どおり働けなかったりした結果、得られたはずの給与収入を失った損害です。治療費、通院交通費、入通院慰謝料、後遺障害逸失利益などと並ぶ重要な損害項目です。

休業損害 = 基礎収入日額 × 休業日数

源泉徴収票は、このうち基礎収入日額を出すための中心資料です。休業日数や休業の必要性は、別の資料で確認します。

源泉徴収票で最も重要なのは、通常「支払金額」欄です。給与所得控除後の金額、源泉徴収税額、社会保険料等の金額、手取り額をそのまま使うと、交通事故で失った給与収入の把握としてずれることがあります。

基本事故前年の源泉徴収票の支払金額を365日で割り、事故による休業日数を掛けるのが最も分かりやすい出発点です。
Income

基礎収入

事故がなければ得られたはずの収入水準です。源泉徴収票、給与明細、賃金台帳、雇用契約書などで確認します。

Days

休業日数

事故によって働けなかった日数です。欠勤だけでなく、有給休暇、遅刻、早退、時間単位有給も検討対象になります。

Proof

相当性

その休業が事故と医学的、社会的に結び付くかを、診断書、診療録、通院実績、業務内容資料で説明します。

具体例

事故前年の支払金額が4,380,000円で、事故により22日休業した場合は、4,380,000円 ÷ 365日 = 12,000円、12,000円 × 22日 = 264,000円という計算になります。

注意源泉徴収票は年収を示す資料であり、事故によって何日休む必要があったか、実際に何日休んだかを単独で証明する資料ではありません。
Section 01

会社員の休業損害で源泉徴収票の支払金額を見る理由

源泉徴収票の各欄と、3つの日額計算方法を比較します。

源泉徴収票は、会社などの給与支払者が、従業員に支払った給与等や源泉徴収税額などを記載する書類です。給与等の収入金額は、源泉徴収票の支払金額欄に対応するものとして説明されています。

源泉徴収票の欄休業損害での意味注意点
支払金額年間の給与収入を示す中心資料原則として基礎収入の出発点にします
給与所得控除後の金額税法上の給与所得を示す金額休業損害の日額計算にそのまま使うものではありません
所得控除の額の合計額税額計算上の控除収入減少そのものではありません
源泉徴収税額源泉徴収された所得税額日額計算には通常使いません
社会保険料等の金額社会保険料等の金額手取り減少の参考にはなりますが、基礎収入そのものではありません

年収365日方式

会社員の場合、最も分かりやすい出発点は、事故前年の源泉徴収票の支払金額を365日で割る方法です。賞与、残業代、各種手当が前年の収入に含まれていれば、その影響も一定程度反映されます。

基礎収入日額 = 事故前年の源泉徴収票の支払金額 ÷ 365日

事故前3か月方式

事故直前の勤務実態を重視する場合には、事故前3か月の給与総額を90日、または事故前3か月の暦日数で割る方法が検討されます。直近の実収入を反映しやすい反面、繁忙期や閑散期だけを切り取ると過大または過小になることがあります。

所定労働日数方式

月給制で欠勤控除や時間単位有給を細かく見る場面では、月給をその月の所定労働日数で割り、1労働日当たりの賃金を把握することがあります。休業損害では、年間収入を基礎に考える場面と、実際の欠勤控除額を基礎に考える場面を分けて確認します。

方式計算の出発点向いている場面注意点
年収365日方式事故前年の支払金額前年収入が現在の実態に近い会社員転職、昇給、復職直後では過小または過大になり得ます
事故前3か月方式直前3か月の給与総額直近の勤務実態を重視したい場合季節変動、残業の恒常性、賞与の扱いを確認します
所定労働日数方式月給と所定労働日数欠勤控除、遅刻、早退、時間単位有給の確認交通事故賠償の日額として常に唯一の正解という意味ではありません

複数の勤務先から給与を得ていた場合、同一年分の源泉徴収票が複数存在することがあります。複数の給与収入が事故前の現実の収入基盤であったなら、支払金額の合算も検討対象になります。

Section 02

会社員の休業損害で自賠責基準と実収入計算を混同しない

自賠責、任意保険、裁判実務では、見ている基準が異なります。

自賠責保険の支払基準では、休業損害は原則として1日6,100円とされ、実収入額が立証できる場合には1日19,000円を限度として実額が認められる扱いがあります。また、傷害部分には治療費、休業損害、慰謝料などを含めて被害者1人につき120万円の限度額があります。

区分内容確認点
自賠責保険原則1日6,100円。立証がある場合は1日19,000円を限度に実額傷害部分の120万円枠との関係を確認します
任意保険実務休業損害証明書、源泉徴収票、給与明細、診断書などを見て提示自賠責基準に近い提示で止まっていないかを確認します
裁判実務現実の収入上の不利益を証拠に基づいて判断自賠責の日額や上限が民事上の損害全体を当然に制限するわけではありません

次の横棒グラフは、原則日額、源泉徴収票から出る実収入日額の例、自賠責で実額立証がある場合の上限日額を並べたものです。長い横線ほど日額が高く、6,100円固定の提示と実収入ベースの差を読み取れます。

原則額
6,100円
実収入例
12,000円
上限額
19,000円
数値は日額です。19,000円は自賠責保険の支払基準上の上限として扱われる金額です。

任意保険会社の提示で確認する点

  1. 日額が6,100円で固定されていないか。
  2. 源泉徴収票の支払金額が正しく使われているか。
  3. 手取り額や給与所得控除後の金額で日額が低くされていないか。
  4. 有給休暇使用日、遅刻、早退、通院時間、賞与減額が漏れていないか。
  5. 自賠責120万円の枠内処理にとどまっていないか。
重要自賠責保険の19,000円上限を、任意保険との示談や裁判での損害全体の上限と誤解しないことが大切です。
Section 03

会社員の休業損害で有給休暇・欠勤・遅刻早退をどう数えるか

給与が減った日だけでなく、有給休暇の消化や時間単位の不就労も確認します。

源泉徴収票だけでは休業日数は分かりません。休業日数は、勤務先が作成する休業損害証明書、出勤簿、タイムカード、有給休暇管理簿、給与明細などで確認します。

種類休業損害の対象になり得るか注意点
欠勤対象になりやすい給与控除の有無と事故との因果関係を確認します
有給休暇対象になり得る給与が減っていなくても、有給休暇を失った損害として評価されることがあります
遅刻対象になり得る時間単位で賃金減少または有給消化を確認します
早退対象になり得る通院時間、症状悪化、医師の指示を確認します
時間単位有給対象になり得る所定労働時間を使って日数換算します
在宅勤務への変更場合による収入減少、労働能力低下、業務制限の有無を確認します
休職対象になり得る休職規程、傷病手当金、労災給付との関係を確認します

有給休暇を使った場合

有給休暇は労働者の財産的価値を持つ権利であり、事故がなければ別の目的で使えたはずです。交通事故のために有給休暇を使わざるを得なかった場合、給与が満額支払われていても、休業損害として評価されることがあります。

支払金額5,475,000円 ÷ 365日 = 15,000円。事故で消化した有給休暇8日なら、15,000円 × 8日 = 120,000円です。

遅刻・早退・時間単位有給

遅刻や早退で賃金が控除された場合は、月給を月所定労働時間で割って時間単価を出し、事故による不就労時間を掛ける方法が考えられます。年収365日方式の日額から半日や数時間分を換算する場合もあります。

換算1日の所定労働時間が8時間で、事故通院のために時間単位有給を16時間使った場合、16時間 ÷ 8時間 = 2日と換算する考え方があります。

通院時間の扱い

通院のために勤務を休んだ場合、その通院が事故治療として相当であれば、休業損害の対象になり得ます。ただし、勤務時間外に通院できたのではないか、通院頻度が過剰ではないか、通院内容が症状に見合うか、といった点が問題になることがあります。

Section 04

会社員の休業損害で賞与・残業代・手当を見落とさない

年収365日方式だけで拾い切れない減収を確認します。

源泉徴収票の支払金額には、通常、年間に支払われた給与、賞与、各種手当が含まれます。そのため、事故前年の支払金額を365日で割る方式を使えば、前年の賞与や残業代は一定程度反映されます。

しかし、事故後の休業によって賞与が直接減額された場合、年収365日方式だけでは、その減額分を十分に反映できないことがあります。

資料意味
賞与明細実際の支給額を示します
前年同期の賞与明細通常支給額との比較資料になります
賞与減額証明書事故による欠勤等が減額理由であることを示します
賃金規程、賞与規程欠勤控除や査定方法を示します
人事評価資料評価低下と事故休業の関係を示します

残業代と各種手当

事故前に恒常的に残業していた会社員が、事故後に残業できなくなった場合、残業代の減少が休業損害として問題になることがあります。源泉徴収票だけでは残業代がどの程度含まれていたか分からないため、事故前後の給与明細、勤怠記録、業務量、残業命令の有無を確認します。

手当検討の方向性
通勤手当実費弁償性が強い場合、休業中に支給されないことが損害か慎重に検討します
住宅手当、家族手当休業で減額されない場合は損害になりにくいことがあります
夜勤手当夜勤に入れなくなった場合、事故前実績との比較が重要です
職務手当、資格手当休業で減額されたかを確認します
歩合給、インセンティブ事故前後の実績、営業機会喪失、支給規程が重要です
注意給与本体の欠勤控除だけで示談すると、後から賞与減額分を追加で問題にしにくくなることがあります。
Section 05

会社員の休業損害で源泉徴収票だけでは足りないケース

前年収入が事故時点の収入実態を反映しない場面を整理します。

源泉徴収票は重要ですが、万能ではありません。事故前年の収入が現在の実態を反映していない場合には、追加資料で基礎収入を補う必要があります。

転職直後

前年の源泉徴収票が前職の収入を示している場合、雇用契約書、労働条件通知書、事故前の給与明細などで現職の収入実態を示します。

新卒・就職直後

前年が学生で収入が低い場合、給与規程、初任給表、同期社員の給与水準などが問題になります。

昇給・昇格・部署異動

辞令、賃金改定通知、給与明細、人事規程で事故時点の収入水準を示します。

産休・育休・介護休業・病気休職からの復帰

前年支払金額が低くなっている場合、復帰後の給与明細、復職証明、勤務予定表、休業前の収入資料が重要です。

副業・兼業

複数の給与収入が継続的な収入基盤であったなら、複数の源泉徴収票や確定申告資料の確認が必要です。

年俸制・歩合給・成果報酬

雇用契約書、報酬規程、評価制度、インセンティブ計算書、営業実績資料で減収部分を説明します。

転職直後の計算例

事故前年の源泉徴収票の支払金額が1,200,000円、現職の月給が300,000円、事故による休業が15日の場合、前年源泉徴収票だけでは1,200,000円 ÷ 365日 = 3,287円、3,287円 × 15日 = 49,305円となります。

一方、現職の月給300,000円を年収換算すると3,600,000円です。3,600,000円 ÷ 365日 = 9,863円、9,863円 × 15日 = 147,945円となり、前年源泉徴収票だけに依拠すると過小評価になり得ることが分かります。

Section 06

会社員の休業損害は医療資料と業務内容の関係が重要

金額計算より先に、休業の必要性が争点になることがあります。

休業損害の最大の争点は、金額計算ではなく、休業の必要性であることが少なくありません。源泉徴収票で高い日額が出ても、事故による休業として相当と認められなければ、休業損害は限定されます。

資料役割
診断書傷病名、治療期間、安静指示、就労制限を示します
診療録実際の症状、治療経過、医師の判断を示します
画像所見骨折、椎間板、靱帯損傷、脳損傷などの客観資料になります
リハビリ記録機能制限、痛み、可動域、筋力低下を示します
通院実績治療継続性を示します
業務内容資料仕事内容と症状の関係を示します

整形外科領域

むち打ち、頚椎捻挫、腰椎捻挫、骨折、靱帯損傷、神経症状では、症状の一貫性、X線・CT・MRI、神経学的検査、就労制限意見書、リハビリ記録、業務内容説明書などが重要です。デスクワーク中心か、重量物を扱う現場職かによって、休業の必要性の評価が異なることがあります。

脳神経外科・精神科領域

頭部外傷、脳震盪、高次脳機能障害、めまい、記憶障害、集中力低下、睡眠障害、PTSD、不安、抑うつなどがある場合、外見上は働けそうに見えても復職が難しいことがあります。神経心理学的検査、画像所見、精神科または心療内科の診療録、職場でのミスや産業医面談記録が重要です。

産業医・人事労務との連携

主治医だけでなく、産業医や人事労務担当者が復職判断に関わることがあります。復職制限、短時間勤務、残業禁止、配置転換、在宅勤務、リハビリ出勤などの記録は、休業損害の裏付けになり得ます。ただし、会社の配慮として休ませたというだけでは、直ちに事故による休業損害が全て認められるわけではありません。

Section 07

会社員の休業損害証明書を勤務先に依頼する手順

勤怠と給与処理を、事故との関係が分かる形で記録します。

会社員の休業損害で中心となる資料は、源泉徴収票と休業損害証明書です。給与所得者では、勤務先が就業実績に基づいて休業損害証明書を作成することが多くあります。

記載事項意味
休業期間いつからいつまで休んだかを示します
欠勤日数給与控除が生じた休業日数を示します
有給休暇日数事故により消化した有給休暇を示します
遅刻、早退通院や症状による不就労時間を示します
支給額、控除額実際の給与減少の有無を示します
事故前収入基礎収入日額の参考になります
会社証明欄勤務先が証明した資料であることを示します

次の判断の流れは、勤務先に依頼する前に整理したい順番です。上から下へ進むほど、提出資料が具体化します。最後に、事故と無関係な休暇が混ざっていないかを確認します。

休業損害証明書の準備手順

源泉徴収票と給与明細を集める

支払金額、事故前3か月の給与、賞与や手当の有無を確認します。

勤怠記録を確認する

欠勤、有給、遅刻、早退、時間単位有給を分けます。

事故との関係を整理する

通院日、症状、医師の指示、業務内容と結び付けます。

勤務先に作成を依頼する

事実証明のための書類であり、勤務先が責任を負うための書類ではないことを説明します。

人事労務担当者が注意する点

  1. 私傷病、私用、有給、欠勤、通院を混同しない。
  2. 事故と無関係な休暇を含めない。
  3. 有給休暇を使った日を欠勤ゼロとして処理しても、事故による有給消化日は別に分かるようにする。
  4. 遅刻、早退、時間単位有給の時間数を記録する。
  5. 賞与減額がある場合は、給与本体とは別に説明する。
  6. 源泉徴収票の支払金額と月額給与が大きく違う場合は理由を説明できるようにする。
依頼文例交通事故の損害賠償手続で、事故によって休業した日数や有給休暇の使用状況を証明する資料が必要です。勤怠記録に基づいて、事故と関係のない休暇を含めず、通院、症状、医師の指示により休んだ日が分かるように休業損害証明書の作成をお願いします。
Section 08

会社員の休業損害と税務・傷病手当金・労災の関係

賠償金、健康保険、労災給付は調整が問題になることがあります。

休業損害賠償金の税務

交通事故などにより受け取る治療費、慰謝料、損害賠償金などは、通常、非課税と説明されています。負傷して働けないことによる収益の補償として受け取る損害賠償金も、通常は非課税とされています。ただし、金員の性質によって扱いが異なる場合があるため、個別には税理士や税務署に確認する必要があります。

傷病手当金との関係

会社員が健康保険から傷病手当金を受ける場合があります。交通事故の相手方から休業損害が支払われる場合、傷病手当金との調整、求償、保険者への届出が問題になることがあります。第三者行為による傷病届の提出が必要になる場合があるため、健康保険組合や協会けんぽの案内を確認します。

労災との関係

業務中または通勤中の交通事故では、労災保険が関係することがあります。労災保険の休業補償では、休業1日につき給付基礎日額の80パーセント相当が支給され、その内訳は休業補償給付または休業給付60パーセント、休業特別支給金20パーセントとされています。

制度確認すること注意点
損害賠償金休業損害として受け取る金員の性質通常非課税とされますが、個別確認が必要です
傷病手当金健康保険からの所得補償第三者行為届、求償、相手方賠償との調整を確認します
労災保険業務災害または通勤災害か加害者側賠償、労災給付、特別支給金、過失相殺の関係を確認します
労災業務中・通勤中の事故、会社が労災申請に消極的な場合、過失割合が大きい場合、後遺障害が見込まれる場合は、制度調整が複雑になりやすい場面です。
Section 09

会社員の休業損害を具体例とチェックリストで検算する

保険会社提示額との差がどこから出るかを分解します。

計算読み取り方
自賠責で日額12,000円4,380,000円 ÷ 365日 = 12,000円。12,000円 × 20日 = 240,000円6,100円を超えますが19,000円以下のため、実収入立証が重要です
日額25,000円9,125,000円 ÷ 365日 = 25,000円。20日で500,000円自賠責では19,000円 × 20日 = 380,000円の上限が問題になります
傷害部分120万円の枠治療費780,000円、交通費20,000円、慰謝料330,000円、休業損害240,000円。合計1,370,000円自賠責保険だけでは全額が支払われない可能性があります
月給制会社員20日休業4,745,000円 ÷ 365日 = 13,000円。欠勤12日と有給8日で260,000円欠勤12日だけなら156,000円で、有給を含めると差額104,000円です
6,100円提示との比較6,100円 × 20日 = 122,000円。実収入ベースは260,000円差額は138,000円です
賞与減額16,000円 × 15日 = 240,000円。賞与減額180,000円を加えると420,000円賞与減額証明書がないと認められにくいことがあります
時間単位有給24時間 ÷ 8時間 = 3日。12,000円 × 3日 = 36,000円勤怠システム、申請履歴、通院日との対応表を保存します

提示額の検算表

検算項目確認内容
1日単価6,100円固定か、実収入日額か
収入資料源泉徴収票の支払金額が反映されているか
年収の期間事故前年か、事故前3か月か、現職収入か
休業日数欠勤、有給、遅刻、早退、時間単位有給が入っているか
賞与賞与減額が別途考慮されているか
傷害限度額自賠責120万円の枠内処理にとどまっていないか
医療相当性医師の診断書、通院実績、業務内容が結び付いているか
既払い給与、傷病手当金、労災、保険金との調整がされているか
過失相殺被害者側の過失割合が反映されているか

示談前チェックリスト

  • 源泉徴収票の支払金額を使っているか。
  • 給与所得控除後の金額や手取り額で計算されていないか。
  • 事故前年の収入が現在の収入実態を反映しているか。
  • 転職、昇給、復職、育休明けなどの事情があるか。
  • 欠勤日数、有給休暇使用日、遅刻、早退、時間単位有給が入っているか。
  • 賞与減額、残業代減少、手当減少が入っているか。
  • 診断書や通院実績で休業の必要性を説明できるか。
  • 業務内容と症状の関係を説明できるか。
  • 労災、傷病手当金、健康保険の第三者行為届を確認したか。
  • 示談書に署名する前に、全損害項目を確認したか。

簡易ワークシート

項目記入欄
事故前年の源泉徴収票の支払金額________ 円
基礎収入日額________ 円 ÷ 365日 = ________ 円
欠勤日数________ 日
有給休暇使用日数________ 日
遅刻、早退、時間単位有給の日数換算________ 日
給与部分の休業損害基礎収入日額 ________ 円 × 合計休業日数 ________ 日 = ________ 円
賞与減額、残業代、手当等の減少________ 円
休業損害合計、提示額、差額合計 ________ 円、提示 ________ 円、差額 ________ 円
Section 10

会社員の休業損害で専門家に相談を検討するサイン

休業損害は、医療・労務・保険・法律が重なる損害項目です。

1

提示額が低い

保険会社が1日6,100円でしか計算していない、源泉徴収票を出したのに実収入日額で計算されていない、有給休暇分が入っていない場合です。

日額有給
2

減収項目が抜けている

賞与減額、残業代減少、手当減少が考慮されていない場合、給与本体とは別に証明資料をそろえる必要があります。

賞与残業
3

休業の必要性を争われている

医師の休業指示がない、むち打ちで長期休業の相当性を争われている、事故後しばらくしてから休業した場合です。

医療資料因果関係
4

前年収入が実態に合わない

転職直後、新卒、育休復帰後、昇給直後など、源泉徴収票だけでは実態より低く見える場合です。

現職収入
5

制度調整がある

業務中または通勤中の事故で労災が関係する、傷病手当金を受けている、後遺障害申請も予定している場合です。

労災後遺障害

相談時にあると検討が進みやすい資料

資料優先度
事故前年の源泉徴収票、事故年の給与明細、事故前3か月の給与明細
休業損害証明書、有給休暇管理簿、勤怠記録
賞与明細、賞与減額証明書
診断書、診療明細、通院日一覧
画像検査結果、紹介状、意見書、雇用契約書、労働条件通知書中から高
就業規則、賃金規程、賞与規程
保険会社からの提示書、計算書

専門職ごとの視点

弁護士は、基礎収入、休業日数、因果関係、証拠、過失相殺、既払い金、後遺障害との関係を総合的に検討します。医師やリハビリ職は、症状、機能制限、治療経過、就労制限を医学的に記録します。保険会社や損害調査担当は、支払基準、提出資料、治療経過、休業日数、事故との因果関係、過失割合、既払い金を確認します。

社会保険労務士や人事労務担当者は、休業損害証明書、勤怠、給与控除、有給休暇、傷病手当金、労災、復職支援に関わります。交通事故鑑定人、警察、事故調査では、事故態様や衝撃の程度が、けがの程度や休業の相当性に間接的に影響することがあります。

用語の整理

用語意味
休業損害事故による傷害で働けず、収入が減ったことによる損害
基礎収入事故がなければ得られたはずの収入水準
基礎収入日額基礎収入を1日当たりに換算した金額
支払金額源泉徴収票上の給与収入額。休業損害の日額計算で中心になります
休業損害証明書勤務先が休業日数、有給使用、給与控除などを証明する書類
有給休暇損害事故のため有給休暇を使ったことによる損害
賞与減額事故による欠勤、休業、評価低下で賞与が減った損害
過失相殺被害者側にも過失がある場合に損害額を減額する考え方
結論源泉徴収票の支払金額で事故前収入を把握し、休業損害証明書で休業日数を確認し、医療資料で事故との因果関係を裏付けて、基礎収入日額 × 休業日数により計算します。
FAQ

会社員の休業損害と源泉徴収票に関するFAQ

個別の結論は、事故態様・医療資料・勤務実態で変わります。

源泉徴収票のどの欄を見ますか

一般的には、支払金額欄が基礎収入日額の出発点になるとされています。ただし、転職、昇給、育休復帰、副業などの事情によって結論が変わる可能性があります。具体的な計算は、給与明細や雇用契約書も整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

有給休暇を使って給与が減っていない場合も休業損害になりますか

一般的には、交通事故のために有給休暇を使わざるを得なかった場合、有給休暇を失った損害として評価され得るとされています。ただし、通院日、症状、医師の判断、勤務先の記録によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

自賠責の19,000円を超える日額は一切認められませんか

一般的には、19,000円は自賠責保険の支払基準上の上限として問題になる金額です。任意保険との示談交渉や裁判では、実際の損害を証拠で検討する余地があります。ただし、事故態様、収入資料、休業の必要性、過失割合によって結論が変わる可能性があります。

医師の診断書に休業指示がないと休業損害は難しいですか

一般的には、休業を要する旨や就労制限の記載は重要な資料とされています。ただし、診断書に明確な休業指示がない場合でも、診療録、症状経過、業務内容、通院実績などによって判断が変わる可能性があります。具体的な見通しは、医療資料を整理して弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

賞与が減った場合はどう整理しますか

一般的には、事故による欠勤や通院が賞与査定に影響したことを示す資料が重要とされています。賞与明細、前年同期の賞与明細、賞与減額証明書、賞与規程などを確認します。ただし、評価制度や減額理由によって結論が変わる可能性があります。

労災や傷病手当金を受けている場合はどうなりますか

一般的には、相手方賠償、健康保険、労災給付との調整や届出が問題になるとされています。業務災害か通勤災害か、第三者行為届の有無、過失割合、休業特別支給金の扱いなどによって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、保険者や弁護士等の専門家に確認する必要があります。

Reference

参考資料

制度や基準の確認に用いた公的・中立的資料です。

法令・公的資料

  • e-Gov法令検索「民法」
  • e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法」
  • 国税庁「No.1410 給与所得控除」
  • 国税庁「No.1700 加害者から治療費、慰謝料及び損害賠償金などを受け取ったとき」
  • 国土交通省「自賠責保険ポータルサイト 支払基準」
  • 金融庁・国土交通省「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」
  • 厚生労働省「労災保険に関するQ&A」

実務資料

  • 一般社団法人日本損害保険協会「休業補償とは何? 休業補償の計算方法や休業損害との違いについて解説」