役員が会社の利益を忠実に追求し、利益相反を管理し、重要情報を守り、危機時に説明できる行動をとるための一般的な設計・運用ポイントを整理します。
役員が会社の利益を忠実に追求し、利益相反を管理し、重要情報を守り、危機時に説明できる行動をとるための一般的な設計・運用ポイントを整理します。
従業員向け規程の延長ではなく、経営判断、監督、報告、説明責任を支える統治文書として整理します。
役員向け行動規範のポイントは、役員にも従業員向けコンプライアンス規程を読ませることではありません。取締役、監査役、執行役、執行役員、社外取締役、子会社役員など、会社の意思決定に大きな影響を及ぼす人が、どの原則で判断し、どの情報を報告し、どの場面で意思決定から外れ、危機時にどのように動くかを明確にすることです。
このページでは、2026年6月11日時点の公表情報を前提に、会社法、金融商品取引法、個人情報保護法、公益通報者保護法、労働法、独占禁止法、不正競争防止法、コーポレートガバナンス・コード、内部統制実務を横断して、一般的な設計・運用の考え方を整理します。個別案件の結論は、事実関係や会社の機関設計によって変わるため、具体的な対応は弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
次の重要ポイントは、役員向け行動規範がなぜ通常のコンプライアンス文書より重い意味を持つかを示しています。読者は、抽象理念ではなく、判断過程・利益相反・情報管理・監督責任・説明責任をどこまで具体化するかを読み取ることが重要です。
役員向け行動規範は、経営判断の自由を狭めるだけの文書ではなく、合理的な情報収集、承認、議論、記録、報告を通じて、企業価値向上とリスク統制を両立させる仕組みです。
役員が直接関与する領域は、2020年代以降に大きく広がっています。次の一覧では、規範設計で優先的に扱うべき背景を、会社の統治・法改正・危機対応の3つに分けて示します。
不適切な目標設定、黙認、情報隠蔽、取締役会の監督不全は、末端の逸脱ではなく経営層の問題として表面化します。
2026年4月10日のコーポレートガバナンス・コード改訂案、2026年10月1日のハラスメント関連の義務化予定、2026年12月1日の公益通報者保護制度の改正指針施行予定などを踏まえます。
不祥事、情報漏えい、サイバー事故、行政調査、SNS炎上では、初動報告、証拠保全、利益相反排除、専門家起用、再発防止を早く動かします。
形式上の役職名だけではなく、実質的に経営へ影響する人と、規範が担う役割を分けて確認します。
会社法上の「役員」は文脈によって範囲が異なりますが、実務上の役員向け行動規範では、会社法上の役員だけに限定すると不十分です。実際に重要情報へアクセスし、経営判断や現場文化へ影響する人を対象に含める必要があります。
次の比較表は、対象者を形式的な肩書と実質的な影響力の両面から整理したものです。読者は、自社の規程で誰が抜け落ちやすいか、子会社や顧問まで対象に含める必要があるかを確認してください。
| 区分 | 含める主な対象 | 規範上の確認点 |
|---|---|---|
| 会社法上の役員 | 取締役、代表取締役、業務執行取締役、監査役、会計参与などです。 | 善管注意義務、忠実義務、利益相反、職務執行の監督を具体化します。 |
| 機関設計上の役員 | 監査等委員、監査委員、指名委員会等設置会社の執行役などです。 | 監督・監査・執行の役割を分け、情報提供と記録の方法を定めます。 |
| 実質的経営関与者 | 執行役員、CxO、事業部門長、重要決裁権限を持つ人、相談役、顧問などです。 | 法定役員でなくても、重要情報、決裁、対外説明へ関与する範囲を明示します。 |
| グループ関係者 | 親会社、子会社、海外子会社、合弁会社の役員などです。 | 親会社報告義務、現地法対応、少数株主利益、言語対応を組み込みます。 |
行動規範は倫理スローガンにとどまりません。次の一覧は、役員向け行動規範が社内規程の中で担う機能を示しており、どの機能を本文条項・申告書・研修・監査へ落とすかを読み取ることが重要です。
役員が会社利益、法令遵守、企業価値、ステークホルダー信頼をどう両立するかを示します。
基本原則競業、関連当事者取引、会社機会、役員報酬などの申告・承認・除外を定めます。
承認営業秘密、個人情報、インサイダー情報、AI・クラウド・SNS利用を分けて管理します。
情報管理再任不提案、報酬への影響、解任提案、損害賠償、当局対応などを透明化します。
違反対応善管注意義務、忠実義務、内部統制、任務懈怠責任を、抽象論ではなく行動に変換します。
役員向け行動規範は、会社法上の責任を羅列するだけでは機能しません。合理的な情報収集、専門家助言、反対意見の検討、利益相反の承認、記録の保存など、後から説明できる行動へ変換することが重要です。
次の一覧は、法的基礎と規範上の具体化を対応させています。読者は、法律名を掲げるだけで終わっていないか、各義務が実際の会議・承認・記録へ接続しているかを確認してください。
重要判断の前に情報を集め、法務・会計・税務・労務・技術・安全・情報セキュリティなどの助言を取得します。反対意見と代替案も記録します。
自己、親族、主要株主、取引先、出身会社などの利益を会社利益に優先させない仕組みを置きます。会社機会や報酬の自己決定も管理します。
法令遵守体制を抽象的に掲げるだけではなく、誰が報告し、どの会議体で審議し、誰が是正責任を負うかを定めます。
合理的な規範、教育、誓約、報告、監査、是正の仕組みを残すことで、相応の注意を払ったことを示す証跡になります。
役員の意思決定では、結論だけでなく、そこへ至る過程が重要です。次の判断の流れは、重要案件で最低限確認したい順番を示しており、上から下へ確認することで、情報不足、利益相反、記録不足を減らします。
事業、法務、会計、税務、労務、技術、安全、情報セキュリティの観点を確認します。
採用しない案の理由も記録し、後から説明できる状態にします。
関係役員の申告、議決除外、情報アクセス制限、承認条件を検討します。
承認者、条件、モニタリング方法、再検討時期を証跡化します。
目的、適用範囲、利益相反、情報管理、通報、危機対応、研修評価までをひとつの体系にします。
中核12項目は、役員の権限が大きい場面ほど具体的に書く必要があります。次の一覧では、各項目が何を表し、なぜ重要で、どの実務論点を読み取ればよいかを整理します。
企業価値、ステークホルダー信頼、法令遵守、健全なリスクテイク、不祥事の未然防止を結びつけます。
取締役・監査役だけでなく、執行役員、子会社役員、海外拠点責任者、実質的経営関与者も検討します。
法令・定款・社内規程の優先順位、迷ったときの相談先、例外処理の記録を定めます。
早期申告、承認、議決除外、交渉除外、情報アクセス制限、年次確認を置きます。
秘密情報、個人情報、インサイダー情報、AI・クラウド・SNS利用を分けて管理します。
公務員、外国公務員、民間取引先、代理店、寄附、政治献金、接待・贈答を分けて規律します。
競合接触、価格情報、業界団体、アルゴリズム、優越的地位、共同事業を管理します。
財務報告、適時開示、有価証券報告書、人的資本・サステナビリティ情報の根拠を残します。
通報者探索と報復を禁止し、役員が通報対象のときは独立性あるルートで扱います。
役員によるハラスメント、退職強要、口止め、報復人事、サプライチェーン人権リスクを扱います。
早期報告、証拠保全、利益相反排除、専門家起用、対外説明、再発防止を定めます。
新任研修、年1回以上の研修、誓約、監査、年次見直し、報酬・再任判断への反映を行います。
情報管理は、ひとまとめに「秘密保持」と書くと実効性が下がります。次の比較表は、役員が扱う情報を4類型に分け、規範上どの行為を制御するかを示します。
| 情報類型 | 代表例 | 役員向け規範での対応 |
|---|---|---|
| 秘密情報・営業秘密 | 技術情報、価格情報、顧客リスト、製造ノウハウ、事業戦略、未公表の提携情報です。 | 会食、講演、SNS、退任後活動、他社兼任先での漏えいを防ぎます。 |
| 個人情報 | 顧客データ、従業員情報、問い合わせ履歴、事故・苦情情報などです。 | 私用メール、私用クラウド、退任後保持、無断持出しを制限します。 |
| インサイダー情報 | M&A、業績予想、資本政策、新製品、不祥事、重要契約などの未公表情報です。 | 売買制限、情報伝達・取引推奨の禁止、ブラックアウト期間、事前届出を定めます。 |
| AI・クラウド・SNS関連情報 | 生成AIへの入力情報、オンライン会議録画、取締役会資料、社外クラウド上の資料です。 | 入力制限、端末管理、録音・録画管理、資料返却、アカウント停止を明確にします。 |
いきなり条文を書くのではなく、自社の事業、規模、上場状況、海外展開、過去事案を棚卸しします。
役員向け行動規範を作る際は、まず自社のリスクを見える化します。次の比較表は、どのリスク領域がどの部門に関係し、規範上どの対応へ落ちるかを示しています。
| リスク領域 | 具体例 | 関係部門 | 規範での対応 |
|---|---|---|---|
| 利益相反 | 役員関連会社との取引、会社機会、役員貸付です。 | 法務、経理、取締役会事務局 | 事前申告、承認、議決除外、年次確認を定めます。 |
| 情報管理 | M&A情報、業績情報、個人情報、AI入力です。 | 法務、IR、IT、総務 | アクセス制限、売買制限、持出制限、返却を定めます。 |
| 贈収賄 | 海外代理店、公務員接待、寄附、政治献金です。 | 海外事業、法務、経理 | 事前承認、デューデリジェンス、支払記録を求めます。 |
| 競争法 | 業界団体、価格改定、共同事業、情報交換です。 | 営業、調達、法務 | 競合接触ルール、問題発言時の退席・記録を定めます。 |
| 労務・人権 | ハラスメント、長時間労働、サプライチェーン人権です。 | 人事、社労士、法務 | 役員研修、独立調査、被害者保護を定めます。 |
| 会計・開示 | 売上前倒し、根拠資料不足、人的資本開示です。 | 経理、IR、監査法人 | 不当圧力禁止、根拠資料保存、開示判断を定めます。 |
| 危機対応 | 品質不正、情報漏えい、行政調査、SNS炎上です。 | 品質、IT、広報、法務 | 初動報告、証拠保全、対外説明を定めます。 |
規程本文は、理念、行動基準、運用手続を分けると読みやすくなります。次の判断の流れは、条文へ落とす順番を示しており、上から下へ進めることで抽象理念だけの規程になることを避けます。
誠実性、忠実義務、企業価値、法令遵守、人権尊重などを示します。
禁止される行為、求められる行為、報告すべき行為を具体化します。
申告、承認、記録、相談、調査、違反時措置を証跡に残せる形にします。
制定後は、承認して終わりではなく、社内機能と監査機能を巻き込んで継続的に見直します。次の時系列は、制定・展開・更新をどの順番で進めるかを示しています。
リスクマップ、既存規程、過去事案、業界規制、海外展開を踏まえます。
人事、経理、IR、内部監査、情報システム、海外部門、監査役、社外取締役がレビューします。
役員自身を規律し、内部統制と危機対応に関わるため、取締役会承認文書として扱います。
法改正、不祥事、監査結果、外部動向を踏まえ、少なくとも年1回は見直します。
条文のたたき台は、自社の機関設計、業種、上場状況、海外展開、既存規程に合わせて調整します。
条項例をそのまま貼り付けるだけでは、社内で使える規範になりません。次の比較表は、盛り込むべき条項の趣旨、書き方の要点、運用上の確認点を対応させています。
| 条項 | 書き方の要点 | 運用上の確認点 |
|---|---|---|
| 目的条項 | 法令、定款、社内規程、企業理念を踏まえ、中長期的な企業価値と信頼確保を目的にします。 | 守りの文書ではなく、健全なリスクテイクと監督にもつなげます。 |
| 忠実義務・誠実行動 | 自己または第三者の利益を会社利益に優先させない趣旨を明記します。 | 関連当事者、親族、兼職先、主要株主との関係を確認します。 |
| 利益相反申告 | 利益相反またはそのおそれを認識した段階で申告し、承認まで関与を控える設計にします。 | 審議、交渉、決裁、情報閲覧からの除外を個別案件ごとに判断します。 |
| 情報管理 | 未公表情報、営業秘密、個人情報、役員会議資料を正当な業務目的に限定して扱います。 | 私用端末、私用メール、外部クラウド、生成AIへの入力制限を確認します。 |
| インサイダー取引防止 | 未公表の重要事実を知った場合の売買制限、情報伝達、取引推奨の禁止を定めます。 | 家族、知人、取引先への情報伝達も含め、事前届出や許可制を運用します。 |
| 贈収賄防止 | 国内外の公務員、みなし公務員、取引先、顧客への不正な利益供与を防ぎます。 | 代理店やコンサルタントを通じた間接的な支払いも確認します。 |
| 内部通報・報復禁止 | 通報、相談、調査協力を理由とする不利益取扱いと通報者探索を禁止します。 | 役員が通報対象の場合は、独立性あるルートで調査します。 |
| 危機対応 | 重大リスクを認識した場合の報告、証拠保存、安全確保、被害拡大防止を定めます。 | 当局、取引先、株主、従業員への説明方針を記録します。 |
| 違反時措置 | 注意、改善指示、役職変更、報酬への影響、再任不提案、解任提案などを明確にします。 | 法令、定款、契約、社内規程との整合を確認します。 |
条項を設計するときは、証跡を残す対象も同時に決めます。次の一覧は、後から運用状況を説明するために残すべき記録を示しています。
取締役会承認議事録、承認条件、議決除外、反対意見、専門家助言を残します。
役員研修資料、受講記録、誓約書、理解度確認、臨時研修の実施記録を残します。
利益相反申告書、兼職・関連当事者確認書、接待・贈答承認記録、自社株売買申請を残します。
重大リスク報告書、内部通報対応記録、調査報告書、再発防止策の進捗を残します。
上場会社、非上場会社・中小企業、グループ会社・海外子会社では、同じ規範でも運用の焦点が異なります。
会社類型ごとに、投資家対応、オーナー取引、子会社管理などの重点が変わります。次の比較表は、どの会社で何を強めるべきかを整理したものです。
| 会社類型 | 特に重要な論点 | 規範と運用の重点 |
|---|---|---|
| 上場会社 | 適時開示、内部統制報告書、有価証券報告書、投資家対話、取締役会実効性評価です。 | インサイダー取引防止、関連当事者取引、支配株主取引、社外取締役への情報提供、開示統制を強めます。 |
| 非上場会社・中小企業 | オーナー・親族・関連会社取引、役員貸付、会社資産の私的利用、議事録整備です。 | A4数枚の行動原則、利益相反申告書、接待・贈答ルール、通報窓口、年1回の役員確認から始める方法も有効です。 |
| グループ会社・海外子会社 | 現地法、言語、商慣習、少数株主、労務、贈賄、制裁、輸出管理、個人情報越境移転です。 | グループ共通の最低基準、ローカル補足規程、多言語通報窓口、子会社取締役会の議事録把握を組み込みます。 |
特にグループ会社では、親会社の規程をそのまま配布するだけでは足りません。次の重要ポイントは、子会社の自主性と親会社の監督責任の両方を保つために確認する事項です。
親会社報告義務、現地法レビュー、少数株主利益への配慮、現地責任者の誓約、監査結果の共有を定めることで、グループ全体の不祥事リスクを下げます。
法務部だけで作るのではなく、取締役会、監査機能、人事、経理、内部監査、専門職を接続します。
役員向け行動規範は、担当部門が作って配布するだけでは機能しません。次の一覧では、各機能が何を担い、どこを読み取れば運用上の抜けを防げるかを示します。
承認、重要改訂、重大違反対応、内部統制の監督、利益相反案件の審議を担います。
監督規範を経営メッセージとして発信し、不都合な情報を歓迎する文化を作ります。
文化利益相反、M&A、不祥事、報酬、後継者計画に客観的視点を提供します。
独立性運用状況、利益相反申告、内部通報、危機対応、議事録、内部統制を確認します。
監査規程設計、法改正対応、利益相反審査、契約、紛争、調査、当局対応を担います。
設計研修、誓約、通報窓口、違反対応、再発防止、モニタリングを担います。
運用申告、接待承認、子会社誓約、通報処理が実際に動いているかを検証します。
検証会計不正、税務リスク、組織再編、役員報酬、財務報告の信頼性を支えます。
財務ハラスメント、労働時間、安全配慮、内部通報後の人事措置を支えます。
労務制定時、就任時、取締役会審議時、不祥事発覚時に分けて確認します。
運用チェックは、場面ごとに分けると実務で使いやすくなります。次の比較表は、どの場面で何を確認し、どの証跡を残すかを示しています。
| 場面 | 主な確認事項 | 残す証跡 |
|---|---|---|
| 制定時 | 目的、対象者、善管注意義務、忠実義務、利益相反、情報管理、通報、危機対応、違反時措置を確認します。 | 取締役会承認議事録、関係部門レビュー、外部専門家確認、制定版の配布記録です。 |
| 役員就任時 | 重要規程、兼職・親族・関連会社・持株・主要取引関係、自社株売買、秘密情報、通報者保護を説明します。 | 就任時説明資料、利益相反申告書、誓約書、受講記録です。 |
| 取締役会審議時 | 利益相反、議決除外、専門的助言、代替案、不採用理由、開示要否、承認条件を確認します。 | 議事録、資料、反対意見、承認条件、再報告期限、専門家意見です。 |
| 不祥事発覚時 | 初動責任者、関与役員の除外、証拠保全、専門家起用、監査機関報告、当局・取引先報告要否を確認します。 | 初動メモ、証拠保全指示、調査計画、報告記録、再発防止策の進捗です。 |
制定後の継続運用は、年度単位の時系列で設計すると管理しやすくなります。次の時系列は、就任時から年次見直しまでの動きを示しています。
取締役会規則、決裁規程、内部通報規程、インサイダー取引防止規程、利益相反管理規程をまとめて説明します。
年1回の申告だけでなく、案件発生時の随時申告を義務化します。
内部監査・監査役監査、取締役会実効性評価、役員報酬・再任判断にコンプライアンス評価を組み込みます。
内部通報、個人情報、サステナビリティ開示、ハラスメント、AI、競争法、海外贈賄、人権の変化に合わせます。
形式的な規程で終わらせず、実際に使える仕組みにするための一般的な確認事項です。
役員向け行動規範が機能しない会社では、似た失敗が繰り返されます。次の比較表は、典型的な失敗、リスク、改善策を並べています。
| よくある失敗 | 生じるリスク | 改善策 |
|---|---|---|
| 従業員向け規程を流用している | 役員の善管注意義務、忠実義務、取締役会監督、利益相反、開示に対応しきれません。 | 役員専用の章または別規程を作ります。 |
| 法令遵守だけで手続がない | 判断に迷う場面で、相談先、承認者、記録、例外処理が分かりません。 | 相談・承認・報告・記録を条項化します。 |
| 利益相反申告が年1回だけです | 案件ごとに発生する利益相反を見落とします。 | 随時申告と審議・議決・情報アクセスからの除外を運用します。 |
| 社外取締役への情報提供が不足します | 独立性があっても、情報アクセスがなければ監督できません。 | 資料提供、事前説明、質問権、外部専門家へのアクセスを整備します。 |
| 内部通報が経営陣に止められます | 役員が通報対象のとき、通常ラインでは利益相反が生じます。 | 監査機関、社外取締役、外部窓口へ直結するルートを確保します。 |
| 海外子会社に届いていません | 日本語規程を本社に置くだけでは現地で機能しません。 | 翻訳、現地法レビュー、現地責任者の誓約、監査を行います。 |
| 役員への措置が曖昧です | 従業員には懲戒がある一方、役員への対応が不透明になります。 | 再任不提案、報酬減額、辞任勧告、解任議案、損害賠償を明記します。 |
| 新リスクに更新されていません | AI、競争法、海外贈賄、人権、開示、ハラスメントの変化に遅れます。 | 少なくとも年1回、法改正と事例を踏まえて見直します。 |
一般的には、非上場会社でも会社法上の役員責任、労務、個人情報、独禁法、贈賄、税務、知財、契約、内部通報、金融機関対応が問題になります。ただし、規程の長さや運用水準は会社規模、株主構成、取引先、海外展開によって変わります。具体的な設計は、会社の状況を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、一部を共通化することはありますが、役員の善管注意義務、忠実義務、取締役会監督、利益相反、関連当事者取引、開示、内部統制は従業員向け規程だけでは不足しやすいとされています。兼用できる範囲と専用条項の要否は、既存規程と機関設計によって変わります。
一般的には、年1回の確認だけでは案件ごとの利益相反を把握しきれない可能性があります。兼職や持株の年次確認に加え、取引・投資・M&A・報酬決定などの案件発生時に随時申告する仕組みを置くことが有効です。具体的な承認手続は、会社法上の手続や社内規程と整合させる必要があります。
一般的には、社外取締役が監督機能を果たすには、取締役会資料、重要規程、内部通報制度、過去の不祥事、係争案件、グループ構造、規制当局との関係などの情報提供が必要とされています。ただし、守秘義務、利益相反、機密性の程度に応じて提供方法を調整する必要があります。
一般的には、通報対象の役員を調査指揮、証拠アクセス、人事措置、対外説明から外し、監査役、監査等委員会、社外取締役、外部窓口など独立性のあるルートで扱うことが重要とされています。事案の重大性や証拠関係で対応は変わるため、個別の進め方は弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
公的機関・制度資料を中心に、本文の一般的な整理で参照した資料名を示します。