2σ Guide

誹謗中傷の慰謝料はいくら
請求できるのか

ネット・SNS・口コミサイトで誹謗中傷を受けた場合の慰謝料相場、裁判例、請求額の考え方、証拠保全と発信者情報開示の流れを一般情報として整理します。

数万〜20万軽微な単発投稿の目安
30万〜100万名誉毀損等の目安
1割前後弁護士費用相当額の例
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誹謗中傷の慰謝料はいくら 請求できるのか

相場だけでなく、請求額、証拠、開示、削除、示談までを分けて確認します。

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誹謗中傷の慰謝料はいくら 請求できるのか
相場だけでなく、請求額、証拠、開示、削除、示談までを分けて確認します。
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  • 誹謗中傷の慰謝料はいくら 請求できるのか
  • 相場だけでなく、請求額、証拠、開示、削除、示談までを分けて確認します。

POINT 1

  • 誹謗中傷の慰謝料はいくら請求できるのか ― 全体像
  • 相場だけでなく、請求額、証拠、開示、削除、示談までを分けて確認します。
  • 数万円から100万円前後が中心
  • 一切の事情を総合評価
  • 慰謝料以外の損害も分ける

POINT 2

  • 誹謗中傷の慰謝料相場と認容額の違い
  • 典型的な金額帯と、請求額がそのまま認められない理由を整理します。
  • 実務上の目安
  • 請求額と認容額は分けて考える
  • インターネット上の 誹謗中傷について民事上の慰謝料を考える場合、事案類型ごとに検討されやすい幅があります。

POINT 3

  • 誹謗中傷の慰謝料請求で使う法的分類
  • 日常語の「誹謗中傷」を、名誉毀損・侮辱・名誉感情侵害などに分けます。
  • 名誉毀損
  • 侮辱と名誉感情侵害
  • プライバシー侵害と信用毀損

POINT 4

  • 誹謗中傷の慰謝料請求を支える法的根拠
  • 1. 問題投稿の証拠保全:本文、URL、日時、アカウント情報、前後関係を保存します。
  • 2. サイト・SNS事業者への手続:開示請求または開示命令申立てでIPアドレス等を取得します。
  • 3. アクセスプロバイダへの開示:ログ保存期間と権利侵害性が実務上の重要点です。
  • 4. 示談交渉または訴訟:慰謝料、削除、謝罪、再発防止を検討します。
  • 5. 削除・追加調査を検討:ログ消失や証拠不足がある場合は方針を再検討します。

POINT 5

  • 誹謗中傷の慰謝料額を裁判所が見る要素
  • 投稿内容の悪質性
  • 犯罪、不正、性的情報、病歴、反社会的勢力との関係など、社会的評価を大きく下げる表現は重く見られます。
  • 事実摘示と虚偽性
  • 具体的な事実を断定しているか、資料なく虚偽を広げたかが争点になります。

POINT 6

  • 誹謗中傷の慰謝料に関する裁判例の金額
  • 公開裁判例の金額を、個別事案の参考材料として確認します。
  • 公開されている裁判例は個別事案の判断であり、同じ金額が別事件にそのまま適用されるわけではありません。
  • それでも、請求額を検討するうえで、拡散性、反復性、職業的信用への影響がどのように評価されたかを知る手がかりになります。
  • 裁判例の金額を並べると、100万円前後の認定がどのような事情で出ているかを比較できます。

POINT 7

  • 誹謗中傷の慰謝料が増減しやすい事情
  • 虚偽の重大事実
  • 犯罪、不倫、横領、詐欺、反社会的勢力との関係、医療ミスの隠蔽などの断定は重く見られやすいです。
  • 実名・顔写真・勤務先
  • オンライン外の職場、学校、取引先、家族、近隣住民に影響が及ぶ可能性があります。

POINT 8

  • 誹謗中傷の慰謝料請求額を設計する方法
  • 慰謝料本体、弁護士費用相当額、開示費用、営業損害、遅延損害金を分けます。
  • 請求額の基本的な組み立て
  • 慰謝料本体の設計
  • 弁護士費用相当額と開示費用

まとめ

  • 誹謗中傷の慰謝料はいくら 請求できるのか
  • 誹謗中傷の慰謝料はいくら請求できるのか ― 全体像:相場だけでなく、請求額、証拠、開示、削除、示談までを分けて確認します。
  • 誹謗中傷の慰謝料相場と認容額の違い:典型的な金額帯と、請求額がそのまま認められない理由を整理します。
  • 誹謗中傷の慰謝料請求で使う法的分類:日常語の「誹謗中傷」を、名誉毀損・侮辱・名誉感情侵害などに分けます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

誹謗中傷の慰謝料はいくら請求できるのか ― 全体像

相場だけでなく、請求額、証拠、開示、削除、示談までを分けて確認します。

誹謗中傷慰謝料は一律の表で機械的に決まるものではありません。一般的には、投稿内容、拡散規模、反復性、虚偽性、被害者の社会的立場、職業上の信用への影響、削除状況、発信者の悪質性などを総合して検討されます。

このページで最初に押さえるべき点は、請求する金額と裁判で認められる金額を分けることです。高額な請求をすること自体はあり得ますが、裁判上は証拠と個別事情に基づき相当額が判断されます。

主な結論を一覧にすると、何を優先して確認すべきかが見えやすくなります。金額の幅だけでなく、慰謝料以外の損害や発信者特定の必要性も含まれるため、被害直後の行動を決めるうえで重要です。左から順に、金額、判断要素、追加損害、初動の順で読み取ってください。

Amount

数万円から100万円前後が中心

軽微な単発投稿は低めに評価されやすく、名誉毀損、プライバシー侵害、大規模拡散、反復継続がある場合は100万円前後またはそれ以上も検討されます。

Factors

一切の事情を総合評価

文言だけでなく、媒体、読者層、前後関係、閲覧者数、フォロワー数、削除までの経緯、被害の具体性が判断材料になります。

Recovery

慰謝料以外の損害も分ける

弁護士費用相当額、開示費用、削除費用、治療費、休業損害、営業損害、逸失利益、遅延損害金を別項目として検討します。

検索語として表記が揺れることがありますが、法律上は通常、誹謗中傷、名誉毀損、侮辱、名誉感情侵害、プライバシー侵害、信用毀損などに分けて整理します。個別の結論は投稿内容と証拠関係で変わるため、具体的な対応は弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Section 01

誹謗中傷の慰謝料相場と認容額の違い

典型的な金額帯と、請求額がそのまま認められない理由を整理します。

実務上の目安

インターネット上の誹謗中傷について民事上の慰謝料を考える場合、事案類型ごとに検討されやすい幅があります。この比較表は、投稿の種類ごとの大まかな金額感と注意点を示すもので、読者が自分の被害をどの類型に近いか確認するために重要です。左から事案類型、典型例、金額の目安、争点になりやすい注意点の順で読み取ってください。

事案類型典型例慰謝料の目安注意点
軽微な侮辱・単発投稿「ばか」「気持ち悪い」など、具体的事実を伴わない短い悪口数万円〜20万円程度投稿先、閲覧者数、反復性により変動します。
名誉感情侵害が明確な投稿人格否定、容姿・属性・私生活への執拗な攻撃10万円〜50万円程度社会通念上許される限度を超える侮辱かが争点です。
名誉毀損に当たる投稿「犯罪をした」「不正をした」「詐欺業者だ」などの具体的事実30万円〜100万円程度真実性、真実相当性、公共性、公益目的が問題になります。
プライバシー侵害を伴う投稿住所、勤務先、病歴、家族情報、性的情報、私生活情報の暴露30万円〜100万円超名誉毀損と併合評価されることがあります。
職業的信用・営業信用への重大な影響医師、士業、経営者、店舗、企業への虚偽口コミ・悪質レビュー50万円〜100万円超、営業損害は別途売上減少などの客観資料が必要です。
大規模拡散・著名アカウント・反復継続多数フォロワー、まとめサイト化、長期間の連投、組織的投稿80万円〜100万円超削除、謝罪、再発防止も含めて検討します。

請求額と認容額は分けて考える

被害者は、被った損害を根拠に相手方へ損害賠償を請求できます。しかし、示談では相手方の支払能力や早期解決の希望が影響し、訴訟では証拠に基づいて裁判所が相当額を判断します。

慰謝料以外の損害項目を分けると、請求書や示談交渉で何を根拠にするかが整理しやすくなります。精神的苦痛だけでなく、開示費用や営業損害も問題になるため、総額を検討する読者にとって重要です。左の項目ほど基本的な損害、右へ進むほど資料による立証が重要になる費目として読み取ってください。

1

慰謝料

精神的苦痛に対する非財産的損害です。投稿内容、拡散状況、反復性、被害者の属性などで評価されます。

基本項目
2

弁護士費用相当額

裁判例では、認められた慰謝料額の1割前後が加算される例がありますが、実費全額が当然に転嫁されるわけではありません。

要確認
3

開示・削除・調査費用

匿名投稿者の特定や投稿削除に要する費用は、必要性、相当性、投稿との因果関係を検討します。

関連費用
4

治療費・休業損害・営業損害

診断書、通院記録、売上推移、取引停止資料など、客観的資料があるほど検討しやすくなります。

資料重視

数百万円、1,000万円以上を請求しても、裁判で認められるのは100万円前後またはそれ以下にとどまる例があります。一方で、発信者の悪質性、投稿の拡散性、職業的信用への影響が強い場合は、一般的な相場より高めに評価される可能性があります。

Section 02

誹謗中傷の慰謝料請求で使う法的分類

日常語の「誹謗中傷」を、名誉毀損・侮辱・名誉感情侵害などに分けます。

「誹謗中傷」は日常的な言葉ですが、民法や刑法に「誹謗中傷罪」という名称の犯罪があるわけではありません。問題となる投稿内容に応じて、法律上の構成を選ぶ必要があります。

法的分類を整理すると、請求の根拠、必要な証拠、反論されやすい点が変わることが分かります。この比較表は、どの利益が侵害されたと説明するのかを見分けるために重要です。左から法的構成、守られる利益、典型例の順に確認してください。

法的構成保護される利益典型例
名誉毀損社会的評価、外部的名誉「この人は横領した」「この店は詐欺だ」
侮辱社会的名誉に対する軽蔑表示「無能」「クズ」「消えろ」など、事実を伴わない攻撃
名誉感情侵害自尊感情、人格的利益人格否定、容姿・属性・私生活への執拗な攻撃
プライバシー侵害私生活上の情報をみだりに公開されない利益住所、病歴、家族情報、性的情報の暴露
信用毀損・業務妨害経済的信用、業務の平穏虚偽口コミ、虚偽レビュー、営業妨害投稿

名誉毀損

名誉毀損は、一般に、人の社会的評価を低下させる事実を摘示する行為をいいます。ここでいう事実は、真実か虚偽かを問いません。もっとも、公共性、公益目的、真実性または真実相当性が問題になることがあります。

侮辱と名誉感情侵害

侮辱は、具体的な事実を摘示しなくても、公然と人に対して軽蔑の表示を行う場合に問題となります。名誉感情侵害は、本人の人格的尊厳が社会通念上許される限度を超えて傷つけられたかを問題にします。

プライバシー侵害と信用毀損

住所、勤務先、家族情報、病歴、性的情報などの暴露は、生活の安全や二次拡散のリスクを伴うため、単なる悪口より損害評価が重くなることがあります。店舗や企業では、虚偽口コミなどによる経済的信用への影響も検討されます。

Section 03

誹謗中傷の慰謝料請求を支える法的根拠

民法・刑法・情報流通プラットフォーム対処法の役割を分けて見ます。

民法709条・710条・723条

誹謗中傷による慰謝料請求の中心は、民法709条の不法行為責任です。故意または過失、権利・利益の侵害、違法性、損害、投稿と損害との因果関係を検討します。民法710条は精神的損害の賠償、民法723条は名誉回復措置に関係します。

法的根拠を分けて見ると、金銭請求、削除や訂正、刑事対応、投稿者特定のどれを目指すのかが整理できます。制度ごとに役割が違うため、誤って「刑事事件になれば慰謝料が自動的に支払われる」と考えないためにも重要です。各項目から、どの制度がどの目的に対応するかを読み取ってください。

Civil

民事責任

損害賠償、慰謝料、削除、名誉回復措置を求める枠組みです。違法性、損害、因果関係が争点になりやすいです。

Criminal

刑事責任

名誉毀損罪や侮辱罪として、国家が処罰するかを判断する制度です。慰謝料回収とは別の手続です。

Disclosure

発信者情報開示

匿名投稿者を特定するための制度です。権利侵害の明白性や開示を受ける正当な理由が問題になります。

刑法上の名誉毀損罪・侮辱罪との関係

民事上の慰謝料請求と刑法上の名誉毀損罪・侮辱罪は別の制度です。刑事事件になったからといって慰謝料が自動的に支払われるわけではありません。一方で、刑事告訴や捜査の進展は示談交渉に影響することがあります。

情報流通プラットフォーム対処法と発信者情報開示

匿名投稿者を相手に慰謝料請求をするには、まず投稿者を特定しなければならない場合があります。旧プロバイダ責任制限法は改正により情報流通プラットフォーム対処法として整理され、発信者情報開示、送信防止措置、名誉毀損・プライバシー関係の手続や書式が整備されています。

発信者を特定する流れを順番で見ると、最初の証拠化が遅れるほど後続手続に影響することが分かります。ログは一定期間で消える可能性があるため、慰謝料請求に進む読者にとって時間管理が重要です。上から下へ、証拠保全から投稿者判明後の請求までの順番を読み取ってください。

発信者特定から請求までの判断の流れ

問題投稿の証拠保全

本文、URL、日時、アカウント情報、前後関係を保存します。

サイト・SNS事業者への手続

開示請求または開示命令申立てでIPアドレス等を取得します。

アクセスプロバイダへの開示

ログ保存期間と権利侵害性が実務上の重要点です。

特定できた
示談交渉または訴訟

慰謝料、削除、謝罪、再発防止を検討します。

特定困難
削除・追加調査を検討

ログ消失や証拠不足がある場合は方針を再検討します。

Section 04

誹謗中傷の慰謝料額を裁判所が見る要素

投稿の一文だけでなく、文脈・拡散・被害の具体性を見ます。

名誉毀損・侮辱・名誉感情侵害の慰謝料額は、交通事故の後遺障害慰謝料のような明確な定型表で決まるものではありません。裁判所は、多くの場合、本件に現れた一切の事情を考慮して相当額を決めます。

裁判所が見る事情を整理すると、投稿文だけを保存すれば足りるわけではないことが分かります。拡散状況や削除経緯、被害者側の事情も金額判断に関わるため、証拠集めの優先順位を決めるうえで重要です。各項目から、どの事情が慰謝料の増減に関係しやすいかを読み取ってください。

投稿内容の悪質性

犯罪、不正、性的情報、病歴、反社会的勢力との関係など、社会的評価を大きく下げる表現は重く見られます。

事実摘示と虚偽性

具体的な事実を断定しているか、資料なく虚偽を広げたかが争点になります。

拡散規模

閲覧数、フォロワー数、引用投稿、転載、検索結果への表示などが社会的影響を示します。

反復性・期間

単発か、数週間・数か月・数年にわたり継続したかで悪質性の評価が変わります。

被害者の属性

職業的信用や社会的評価に依存する立場では、業務への影響が検討されます。

削除・謝罪の経緯

早期削除や謝罪があったか、削除拒否や再投稿があったかが解決金額に影響することがあります。

文脈と同定可能性

裁判所は、投稿の一文だけでなく、前後の文脈、添付画像、引用元、リプライの流れ、アカウントの性格、閲覧者がどのように読むかを見ます。「詐欺」や「無能」という言葉も、消費者の不満、政治的論評、私人への人格攻撃など、文脈によって評価が変わります。

実名が書かれていなくても、顔写真、勤務先、学校名、店舗名、役職、地域、年齢、性別、過去の投稿、URL、スクリーンショット、ニックネームなどから本人が特定できる場合があります。一定の読者層や関係者に誰のことか分かる場合、違法性が問題になり得ます。

Section 05

誹謗中傷の慰謝料に関する裁判例の金額

公開裁判例の金額を、個別事案の参考材料として確認します。

公開されている裁判例は個別事案の判断であり、同じ金額が別事件にそのまま適用されるわけではありません。それでも、請求額を検討するうえで、拡散性、反復性、職業的信用への影響がどのように評価されたかを知る手がかりになります。

裁判例の金額を並べると、100万円前後の認定がどのような事情で出ているかを比較できます。金額だけを見ると誤解しやすいため、問題となった行為と認定された損害を同時に読むことが重要です。左から裁判例、行為、損害、金額を押し上げたポイントの順で確認してください。

裁判例問題となった行為認定された主な損害認容額のポイント
東京地判令和5年10月16日多数フォロワーのSNSアカウントによる名誉毀損投稿慰謝料各100万円、弁護士費用各10万円フォロワー約15万9,300人、社会的影響力、政治家としての評価への影響
東京高判「いいね」事件第三者投稿への複数のリアクション慰謝料50万円、弁護士費用5万円押下行為の文脈、影響力、名誉感情侵害
大阪地判掲示板事件医師への掲示板投稿、名誉毀損・プライバシー侵害慰謝料100万円、弁護士費用10万円業務損害は立証不足、精神的損害は認容
東京地判反復投稿事件約10か月間の複数ツイート慰謝料80万円、弁護士費用8万円反復継続性、社会的評価低下、名誉感情侵害を全体評価

代表的な裁判例の慰謝料額を視覚的に比べると、50万円、80万円、100万円という差が、投稿方法や反復性、拡散力と結び付いていることが分かります。縦の長さは慰謝料額の相対的な大きさを示し、下のラベルは事案の特徴です。金額差だけでなく、どの事情が重く評価されたかを読み取ってください。

100万
多数フォロワー
50万
リアクション
100万
掲示板投稿
80万
約10か月

多数フォロワーのアカウントでは拡散可能性と社会的影響力が、掲示板投稿では名誉毀損とプライバシー侵害が、反復投稿では長期間の継続性が重視されています。営業損害などは、具体的な証拠が足りないと認められにくい点にも注意が必要です。

Section 06

誹謗中傷の慰謝料が増減しやすい事情

増額されやすい事情と、低くなりやすい事情を対比します。

慰謝料が増額されやすい事情

増額方向に働きやすい事情をまとめると、投稿の悪質性だけでなく、誰にどの範囲で影響したかが重要だと分かります。読者にとっては、自分の被害を説明する証拠を集める観点になるため重要です。各項目から、どの事情を資料で示せるかを読み取ってください。

虚偽の重大事実

犯罪、不倫、横領、詐欺、反社会的勢力との関係、医療ミスの隠蔽などの断定は重く見られやすいです。

実名・顔写真・勤務先

オンライン外の職場、学校、取引先、家族、近隣住民に影響が及ぶ可能性があります。

大きな拡散規模

閲覧数、リポスト数、引用投稿数、フォロワー数、まとめサイト化、検索結果表示が損害評価に関係します。

反復継続

数週間、数か月、数年にわたる攻撃は、生活・仕事・睡眠・対人関係への影響を生じさせることがあります。

削除要請後の継続

削除拒否、別アカウントでの再投稿、スクリーンショットの再拡散は悪質性を高めます。

信用に依存する職業

士業、医師、教師、経営者、店舗経営者などでは、評判・信用が業務に直結しやすいです。

低くなりやすい事情・認められにくい事情

低額方向に働きやすい事情を確認すると、感情的には強い被害感があっても、裁判上は証拠や同定可能性が欠けると難しくなることが分かります。請求前に弱点を把握するために重要です。どの項目が自分の事案で争点になりそうかを読み取ってください。

Identity

本人が特定できない

不快な投稿でも、誰のことを指しているか分からなければ名誉毀損やプライバシー侵害の成立は難しくなります。

Opinion

意見・論評にとどまる

サービスへの不満や政治的意見など、許容される範囲の論評は違法と評価されにくいことがあります。

Truth

真実性・真実相当性

公共性や公益目的があり、内容が真実または真実と信じた相当理由がある場合、違法性が否定される可能性があります。

Proof

被害の証拠不足

高額請求では、診断書、休業記録、売上減少、契約解除、通院費などの具体資料が重要になります。

Short

短期間で削除された

閲覧者が少なく二次拡散も確認できない場合、損害額は低めに評価されることがあります。

ただし、短期間でも内容が重大だったり、特定の関係者に強い影響を与えたり、スクリーンショットで拡散されたりした場合は別です。個別事情によって結論は変わります。

Section 07

誹謗中傷の慰謝料請求額を設計する方法

慰謝料本体、弁護士費用相当額、開示費用、営業損害、遅延損害金を分けます。

請求額の基本的な組み立て

損害賠償請求額を構成要素に分けると、慰謝料だけを大きく見せるのではなく、何にいくら必要なのかを説明しやすくなります。これは示談交渉でも訴訟でも重要です。上から順に、基本となる慰謝料に、関連費用や損害項目を足していく考え方を読み取ってください。

請求額 = 慰謝料 + 弁護士費用相当額 + 開示・調査関連費用 + 削除対応費用 + 治療費・診断書費用 + 休業損害・営業損害・逸失利益 + 遅延損害金

すべての項目が常に認められるわけではありません。損害項目ごとに、証拠、必要性、相当性、投稿との因果関係を検討します。

慰謝料本体の設計

慰謝料本体の評価要素を低額寄りと高額寄りに分けると、請求額の根拠を説明しやすくなります。感情的な怒りだけで金額を決めないために重要です。各行の左が低額方向、右が高額方向の事情として読み取ってください。

評価要素低額寄り高額寄り
投稿内容抽象的な悪口犯罪・不正・性的情報・医療情報等の重大な摘示
投稿回数単発多数回、長期間、別アカウントで継続
拡散性閲覧者少数多数フォロワー、転載、まとめ化、検索上位表示
被害者属性私的範囲に限定職業的信用・社会的評価に依存する立場
削除状況早期削除・謝罪削除拒否、再投稿、証拠隠滅、攻撃継続
被害の証拠精神的苦痛のみ主張診断書、休業、売上減少、取引停止などあり

弁護士費用相当額と開示費用

不法行為訴訟では、裁判所が認めた損害額の一定割合を、相当因果関係のある弁護士費用として認めることがあります。公開裁判例でも、慰謝料100万円に対して弁護士費用10万円、慰謝料50万円に対して弁護士費用5万円、慰謝料80万円に対して弁護士費用8万円という認定が見られます。

匿名投稿では、慰謝料請求に先立ち、発信者情報開示の手続が必要になることがあります。開示手続には、弁護士費用、裁判所費用、郵券、資料作成、調査費などがかかります。これらを投稿者に請求できるかは、費用の必要性、相当性、投稿との因果関係が問題になります。

営業損害と遅延損害金

店舗、企業、医療機関、士業、個人事業主の場合、虚偽口コミにより予約キャンセル、取引停止、問い合わせ減少、採用辞退などが発生することがあります。ただし、営業損害は慰謝料よりも立証が難しいことが多く、売上推移、予約数、キャンセル記録、取引先メール、検索順位、広告費、顧客アンケートなどの客観的資料が重要です。

不法行為に基づく損害賠償では、遅延損害金も問題になります。2020年4月1日以降、民法の法定利率は変動制であり、2026年4月1日以降の第3期についても法定利率は3%のまま変動しないとされています。起算点や利率は、投稿時期、損害発生時期、請求内容、判決時期によって確認が必要です。

Section 08

誹謗中傷の慰謝料請求で証拠保全が重要な理由

投稿が消える前に、内容・日時・URL・文脈・被害資料を保存します。

誹謗中傷の慰謝料請求で最も避けるべき失敗は、投稿者に連絡して削除させた結果、証拠が消えてしまうことです。削除自体は重要ですが、削除前に証拠を確保する必要があります。

保存すべき情報を一覧化すると、単なるスクリーンショットだけでは不足しやすい理由が分かります。後で投稿内容、投稿者、日時、拡散状況、本人特定の文脈を説明するために重要です。各項目から、保存漏れがないかを確認してください。

A

投稿そのもの

投稿本文、投稿日・時刻、URL、添付画像、動画、コメント欄、リプライ、引用投稿を保存します。

内容
B

投稿者情報

アカウント名、ID、プロフィール、過去投稿、表示名の変更履歴が分かる資料を残します。

特定
C

拡散状況

いいね数、リポスト数、閲覧数、検索結果、まとめサイトへの転載などを保存します。

金額評価
D

被害資料

診断書、通院記録、休業記録、取引先からの問い合わせ、売上・予約数の推移などを整理します。

立証

スクリーンショットだけで足りるとは限らない

スクリーンショットは有用ですが、URL、日時、アカウント情報が写っていないと証拠価値が弱くなることがあります。スマートフォンの画面だけでなく、PCブラウザでURL表示欄を含めて撮影する、ページ全体を保存する、動画でスクロール記録を残すなど、複数の方法を組み合わせるのが望ましいです。

改ざんを疑われない保存方法

証拠は、加工しない、トリミングしない、原本に近い形で保存することが基本です。説明用に一部を強調した画像を作る場合でも、元データを別に保管します。第三者機関のウェブ魚拓、公証役場の事実実験公正証書、弁護士による証拠保全記録などが検討される場合もあります。

被害資料を時系列で整理すると、投稿と精神的被害・業務被害の関係を説明しやすくなります。慰謝料額や営業損害を検討するうえで、出来事の順番が重要になるためです。上から下へ、投稿発見から資料整理までの時間的な流れを読み取ってください。

発見直後

投稿を保存

本文、URL、日時、投稿者情報、前後の文脈を保存します。

同日中

拡散状況を記録

閲覧数、反応数、引用、検索結果、転載先を確認します。

被害発生後

被害資料を集める

通院、休業、売上減少、問い合わせ、キャンセル理由などを整理します。

相談前

削除・開示・請求の優先順位を検討

ログ保存期間と被害拡大の危険を踏まえて方針を決めます。

Section 09

誹謗中傷の削除請求と慰謝料請求の関係

削除と慰謝料請求は別の請求ですが、証拠保全の順序が重要です。

誹謗中傷対応では、削除請求と慰謝料請求を分けて考えます。削除請求は現在も公開されている違法・権利侵害情報を消すためのものです。慰謝料請求は、過去の投稿により生じた精神的損害を賠償させるためのものです。

削除を急ぐべき場面と証拠保全を優先すべき場面を分けると、初動で迷いやすい順序が整理できます。被害拡大を防ぐ必要と、後で慰謝料請求を立証する必要の両方があるため重要です。上から下へ、証拠化、緊急性の判断、削除、開示の順番を読み取ってください。

削除と慰謝料請求の優先順位

投稿を発見

まず本文、URL、日時、アカウント、前後関係を保存します。

緊急性を確認

住所、勤務先、未成年者情報、性的画像、脅迫、検索拡散の有無を見ます。

緊急性が高い
削除を急ぐ

証拠を確保したうえで、削除申請や仮処分を検討します。

特定が必要
開示も並行

ログ保存期間を意識し、発信者情報開示の準備を進めます。

削除を優先すべき場合

住所、電話番号、勤務先、家族情報、未成年者情報、性的画像、病歴、脅迫、殺害予告、ストーカー的投稿、検索結果に表示される情報、店舗・企業の信用に直結する虚偽情報がある場合は、慰謝料請求の準備と並行して削除を急ぐ必要があります。

削除すると発信者特定が難しくなる場合

投稿が削除されても、プラットフォームやプロバイダにログが残っていれば発信者情報開示が可能な場合があります。しかし、ログ保存期間には限界があります。投稿が古くなるほど、特定の難易度は上がります。

被害が大きい案件では、証拠保全、開示請求、削除請求を同時並行で進めることもあります。個別の順序は、被害拡大の危険、証拠状況、ログ保存期間、投稿先の運用によって変わります。

Section 10

誹謗中傷の発信者情報開示と慰謝料請求の流れ

匿名投稿者の特定後、示談交渉または訴訟に進みます。

匿名掲示板、SNS、口コミサイトでは、相手の氏名・住所が分からなければ、通常の損害賠償請求をすることが困難です。そのため、発信者情報開示手続により投稿者の情報を取得する必要があります。

開示手続の大まかな順番を整理すると、どの段階で何を準備するかが見えます。匿名投稿ではログ消失の危険があるため、慰謝料請求を見据える読者にとって時間の流れを理解することが重要です。上から下へ、証拠化から投稿者への請求までの順番を読み取ってください。

Step 1

問題投稿の証拠化

投稿内容、URL、日時、投稿者情報、本人特定の文脈を保存します。

Step 2

権利侵害性の検討

名誉毀損、侮辱、名誉感情侵害、プライバシー侵害などの構成を整理します。

Step 3

サイト・SNS事業者への手続

開示請求または裁判手続によりIPアドレス、タイムスタンプ等の取得を目指します。

Step 4

プロバイダへの開示請求

アクセスプロバイダを特定し、投稿者への意見照会を経て、氏名・住所等の開示を求めます。

Step 5

示談交渉または訴訟

投稿者判明後、内容証明郵便等で慰謝料、削除、謝罪、再発防止を求めます。

開示が認められるためのポイント

発信者情報開示が認められるには、一般に、権利侵害が明白であること、開示を受ける正当な理由があることなどが問題になります。「嫌なことを書かれた」だけでは足りず、投稿が意見・論評にとどまるのか、事実摘示なのか、本人が特定できるのかを検討します。

開示後の交渉

発信者が判明した後は、通常、内容証明郵便等で請求を行います。請求内容には、問題投稿の特定、権利侵害の法的構成、損害額の内訳、謝罪・削除・再発防止の要求、支払期限、応じない場合の訴訟・刑事告訴等の可能性を含めることがあります。

示談では、金銭支払だけでなく、削除、謝罪文、今後の投稿禁止、違約金条項、秘密保持条項を定めることがあります。ただし、個別の請求内容や表現は、弁護士等の専門家へ相談して検討する必要があります。

Section 11

誹謗中傷の示談金と裁判上の慰謝料の違い

示談金は合意で決まるため、裁判上の相場と一致するとは限りません。

示談金は、裁判所が一方的に決めるものではなく、当事者間の合意で決まります。そのため、裁判上の慰謝料相場と完全に一致するわけではありません。

示談書で確認すべき項目を並べると、金銭だけで解決したつもりになっても再投稿や二次拡散を防ぎにくいことが分かります。慰謝料請求を実効的な被害回復につなげるために重要です。各項目から、金銭条項と非金銭条項の両方を読み取ってください。

Money

解決金額と支払条件

解決金額、支払期限、分割払いの場合の期限の利益喪失条項を明確にします。

Removal

削除・再投稿禁止

投稿削除義務、再投稿禁止義務、第三者への拡散禁止を定めることがあります。

Apology

謝罪・訂正

謝罪文または訂正文の有無、掲載方法、公開範囲を検討します。

Breach

違約金と清算条項

違反時の違約金、清算条項、秘密保持条項の要否を整理します。

高額請求のリスク

高額請求は相手方に強いプレッシャーを与える一方で、交渉を硬直化させることがあります。また、訴訟に移行した場合、請求額が高いほど印紙代等の負担も増えます。

請求額は、感情的な怒りだけで決めるのではなく、裁判例、証拠、相手方の悪質性、立証可能な損害、解決までの時間・費用を考慮して設計する必要があります。投稿者側が早期解決を望む場合、裁判で認められそうな額より高めの示談金が成立することもありますが、支払能力や争う姿勢によって低額での和解になることもあります。

Section 12

誹謗中傷の慰謝料請求で弁護士相談を考える場面

匿名特定、ログ消失、重大な個人情報、企業口コミなどは早期相談が重要です。

誹謗中傷案件では、一般民事訴訟の経験だけでなく、発信者情報開示、SNS・掲示板・口コミサイトの実務、削除請求、名誉毀損訴訟、仮処分・非訟手続、刑事告訴への理解が重要です。

早期相談が必要な場面を整理すると、時間制限や被害拡大の危険がある事案を見落としにくくなります。匿名投稿ではログが消える可能性があり、個人情報や脅迫が絡む場合は安全面も重要です。各項目から、自分の事案が急ぐべき類型に当たるかを読み取ってください。

1

匿名投稿者を特定したい

投稿から時間が経っており、ログ消失が心配な場合は早期の検討が必要です。

期限感
2

個人情報が掲載された

実名、住所、勤務先、学校、顔写真、性的情報、病歴、未成年者情報がある場合は被害拡大を防ぐ必要があります。

緊急性
3

攻撃が継続している

多数の投稿、複数アカウント、職場・取引先・家族への波及がある場合は方針整理が重要です。

継続被害
4

口コミ被害や刑事対応もある

店舗・企業の売上影響、脅迫、殺害予告、刑事告訴を検討したい場合は複数の手続を整理します。

複合対応

相談前に整理する情報

相談時には、問題投稿のURL、スクリーンショット、投稿日・時刻、投稿者アカウント情報、被害者が特定される理由、投稿の前後関係、拡散状況、削除済みかどうか、受けた被害、相手方が分かっている場合の氏名・住所・関係性、希望する解決内容を整理しておくと見通しを確認しやすくなります。

弁護士選びの観点

発信者情報開示の経験、SNS・掲示板・口コミサイト対応の経験、削除請求と慰謝料請求の両方に対応できるか、費用体系が明確か、訴訟になった場合の見通しを説明してくれるか、証拠保全の方法を具体的に示してくれるか、刑事対応も必要に応じて相談できるかを確認します。

Section 13

企業・店舗への誹謗中傷と慰謝料以外の損害

法人・店舗では、信用毀損、営業損害、対応費用として構成することがあります。

個人は精神的苦痛に対する慰謝料を請求できます。一方、法人や店舗そのものには人間のような精神的苦痛はありません。そのため、法人・団体の場合は、慰謝料というより、信用毀損による無形損害、営業損害、調査費、対応費用などとして構成することが多くなります。

企業・店舗の被害で見るべき要素を整理すると、個人の慰謝料とは証拠の種類が違うことが分かります。売上や予約、取引、採用への影響を示す資料が必要になりやすいため重要です。各項目から、法務対応と広報対応の両面で何を確認するかを読み取ってください。

法人と個人の違い

法人・団体では精神的苦痛ではなく、信用毀損による無形損害や営業損害として検討することが多くなります。

代表者・従業員の特定

法人代表者、医師、士業、店長、従業員など個人が特定される場合は、その個人の名誉毀損・慰謝料も問題になり得ます。

口コミ被害の特殊性

Googleマップ、飲食・医療・美容・転職口コミ、ECレビューでは、表現の自由や消費者の評価との調整が必要です。

虚偽の重大事実

「詐欺」「違法」「衛生管理が虚偽」「医師免許がない」「反社と関係がある」などの断定は、信用毀損・業務妨害の問題になり得ます。

企業案件では初動が重要

企業・店舗が被害を受けた場合、事実確認、証拠保全、社内共有範囲の限定、顧客対応方針、投稿者への直接連絡の可否、プラットフォームへの削除申請、発信者情報開示、公式声明の要否、取引先・従業員への説明、再発防止策を分けて設計します。

感情的な反論投稿は、炎上拡大や二次被害を招くことがあります。特に企業広報では、法的主張と社会的受け止め方の両方を意識する必要があります。

Section 14

よくある質問

誹謗中傷の慰謝料請求で迷いやすい点を一般情報として整理します。

Q1. 誹謗中傷の慰謝料はいくら請求できるのか、最初から100万円請求してよいですか。

一般的には、事案によって100万円を請求額として掲げること自体はあり得るとされています。ただし、単発の軽微な侮辱では、裁判上100万円が認められる可能性は高くない場合があります。投稿内容、虚偽性、拡散性、反復性、職業的信用への影響、具体的被害の証拠によって結論が変わるため、具体的な対応は弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 相手が匿名でも慰謝料請求できますか。

一般的には、発信者情報開示手続により投稿者の氏名・住所等が特定できれば、慰謝料請求を検討できる可能性があります。ただし、匿名のままでは通常、相手に直接請求することは困難です。ログ保存期間や投稿先の仕組みによって対応が変わるため、資料を整理して弁護士等へ相談する必要があります。

Q3. 投稿が削除されても慰謝料請求できますか。

一般的には、投稿時点で権利侵害と損害が発生していれば、削除後も慰謝料請求が問題になる可能性があります。ただし、削除前の証拠がないと、投稿内容や拡散状況を立証できないおそれがあります。個別の見通しは証拠関係によって変わるため、削除前後の資料を保存して専門家へ相談する必要があります。

Q4. 事実を書かれただけでも慰謝料請求できますか。

一般的には、名誉毀損では摘示された事実が真実かどうかだけでなく、公共性、公益目的、真実性・真実相当性が問題になるとされています。また、たとえ真実でも、私生活上の秘密を公開した場合はプライバシー侵害が問題になる可能性があります。具体的な結論は投稿の内容と文脈で変わります。

Q5. 「ばか」「きもい」だけでも慰謝料請求できますか。

一般的には、短い悪口でも名誉感情侵害が問題になる可能性があります。ただし、金額は低めに評価されることが多く、公開範囲、反復継続性、本人特定の有無、他の投稿との組み合わせで判断が変わります。具体的な見通しは、投稿全体を整理して弁護士等へ相談する必要があります。

Q6. リポストや「いいね」も責任を問えますか。

一般的には、リアクションや拡散行為が常に違法になるわけではありません。ただし、文脈、回数、当事者関係、影響力によっては責任が問題になる可能性があります。公開裁判例でもリアクション行為が争われた例がありますが、個別事情で結論は変わります。

Q7. 慰謝料以外に何を請求できますか。

一般的には、弁護士費用相当額、開示手続費用、削除費用、治療費、休業損害、営業損害、逸失利益、遅延損害金などが検討対象になることがあります。ただし、それぞれ証拠と因果関係が必要です。請求項目の整理は専門家へ相談して進める必要があります。

Q8. 弁護士費用は全額相手に請求できますか。

一般的には、現実に支払った弁護士費用の全額が当然に認められるわけではありません。裁判では、認容された損害額の一部が相当因果関係のある弁護士費用として認められることがあります。費用の扱いは事案と手続で変わるため、契約内容と請求方針を確認する必要があります。

Q9. 警察に相談すれば慰謝料を取れますか。

一般的には、警察は刑事事件として捜査する機関であり、慰謝料を回収する機関ではありません。刑事事件化や処罰を求めることと、民事上の慰謝料請求は別です。ただし、刑事手続と民事交渉が並行して進むことはあるため、方針は個別事情に応じて検討する必要があります。

Q10. 会社・店舗への悪質口コミでも慰謝料請求できますか。

一般的には、法人・店舗そのものについては個人の精神的苦痛としての慰謝料ではなく、信用毀損による無形損害、営業損害、削除費用、調査費用などとして構成することが多いです。代表者や従業員個人が特定される場合は、その個人の名誉毀損・慰謝料も問題になり得ます。具体的には資料を整理して専門家へ相談する必要があります。

Section 15

誹謗中傷の慰謝料請求に向けた実務チェックリスト

初動と請求額検討の確認項目を、行動前に点検します。

被害者側の初動チェック

初動の確認項目を一覧にすると、投稿削除や相手への連絡に進む前に何を保存すべきかが分かります。証拠が消えると慰謝料請求や開示手続が難しくなるため重要です。上から順に、保存、文脈、被害資料、専門家確認の流れとして読み取ってください。

確認項目見るポイント
投稿のURLを保存した削除後も特定できるようにします。
日時・URL・アカウント情報が写っているスクリーンショットの証拠価値に関わります。
前後の文脈も保存した一文だけでなく、引用やリプライの流れを残します。
反応数・閲覧数を保存した拡散規模や社会的影響を説明する資料になります。
プロフィールを保存した投稿者の同一性や影響力を確認します。
特定される理由を整理した実名がない場合でも、関係者に分かる事情をまとめます。
被害内容を時系列でメモした通院、休業、売上減少などとの関係を説明しやすくします。
削除依頼前に証拠を確保した投稿が消えても請求や開示に備えられるようにします。
開示の期限感を確認したログ保存期間を意識して早めに方針を決めます。

請求額検討チェック

請求額を検討する確認項目を並べると、慰謝料の相場だけでなく、増減要素や反論可能性を同時に見る必要があると分かります。過大請求や立証不足を避けるために重要です。各項目から、請求額の根拠に使える事情と弱点になり得る事情を読み取ってください。

確認項目見るポイント
投稿は名誉毀損・侮辱・名誉感情侵害・プライバシー侵害のどれか法的構成で必要な証拠が変わります。
事実摘示があるか具体的事実の有無は名誉毀損の重要な争点です。
虚偽性を示す証拠があるか真実性や真実相当性への反論を見込みます。
公共性・公益目的の反論が想定されるか批判的言論との境界を確認します。
職業的信用に影響するか士業、医師、店舗、企業などでは損害が広がることがあります。
拡散規模を示す証拠があるか閲覧数、引用、転載、検索表示を整理します。
反復継続性があるか期間や投稿回数を時系列で示します。
相手方の悪質性を示す証拠があるか削除拒否、再投稿、別アカウント利用などを確認します。
慰謝料以外の損害項目があるか開示費用、治療費、休業損害、営業損害、遅延損害金を分けます。
示談で求める非金銭条項を整理したか削除、謝罪、再投稿禁止、違約金、秘密保持を検討します。
Section 16

誹謗中傷の慰謝料はいくら請求できるのかのまとめ

相場、証拠、開示、削除、示談を一体で考えることが重要です。

誹謗中傷の慰謝料はいくら請求できるのかという問題は、単に相場を調べるだけでは正確に判断できません。まず、名誉毀損なのか、侮辱なのか、名誉感情侵害なのか、プライバシー侵害なのか、信用毀損・業務妨害なのかを見極めます。

このページ全体の結論を一つに整理すると、相場、証拠、発信者特定、削除、示談条項を同時に考える必要があると分かります。慰謝料だけでなく総合的な被害回復を設計するために重要です。次の強調部分から、金額の目安と初動の優先順位を読み取ってください。

軽微な単発投稿は数万円〜20万円程度にとどまることがある一方、名誉毀損・プライバシー侵害・大規模拡散・反復継続・職業的信用への影響がある場合は、50万円〜100万円前後またはそれ以上の請求が検討されることがあります。

ただし、最終的な金額は投稿内容、虚偽性、拡散性、反復性、被害者の社会的立場、職業的信用への影響、被害の証拠、削除状況、相手方の対応によって変わります。

慰謝料だけが解決ではありません。投稿削除、発信者情報開示、謝罪、訂正、再発防止、違約金条項、営業損害、弁護士費用相当額、遅延損害金まで含めて、総合的な被害回復を設計することが重要です。

誹謗中傷被害では、時間の経過によりログが消え、証拠が失われ、投稿が拡散することがあります。被害を発見したら、まず証拠を保存し、発信者特定・削除・慰謝料請求のどのルートを選ぶべきか、早期に専門家へ相談することが望まれます。

Reference

この記事の参考情報源

法令、公的資料、裁判所資料を中心に整理しています。

法令・公的資料

  • e-Gov法令検索「民法」
  • e-Gov法令検索「刑法」
  • 法務省「侮辱罪の法定刑の引上げ Q&A」
  • 情報流通プラットフォーム対処法関連情報サイト
  • 法務省「令和8年4月1日以降の法定利率について」

裁判所資料

  • 裁判所ウェブサイト掲載判例 ― SNSアカウントによる名誉毀損投稿
  • 裁判所ウェブサイト掲載判例 ― 複数のリアクションによる名誉感情侵害
  • 裁判所ウェブサイト掲載判例 ― 掲示板投稿による名誉毀損・プライバシー侵害
  • 裁判所ウェブサイト掲載判例 ― 長期間の複数投稿に関する名誉毀損・名誉感情侵害