2σ Guide

就業規則を作る義務がある会社と
作成のポイント

常時10人以上という基準、会社全体ではなく事業場単位で見る考え方、作成・届出・周知の手続、弁護士等へ相談すべき場面まで整理します。

10人以上 事業場ごとの義務基準
3手続 意見聴取・届出・周知
30万円以下 違反時に罰金対象となり得る額
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就業規則を作る義務がある会社と 作成のポイント

常時10人以上という基準、会社全体ではなく事業場単位で見る考え方、作成・届出・周知の手続、弁護士 等へ相談すべき場面まで整理します。

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就業規則を作る義務がある会社と 作成のポイント
常時10人以上という基準、会社全体ではなく事業場単位で見る考え方、作成・届出・周知の手続、弁護士 等へ相談すべき場面まで整理します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 就業規則を作る義務がある会社と 作成のポイント
  • 常時10人以上という基準、会社全体ではなく事業場単位で見る考え方、作成・届出・周知の手続、弁護士 等へ相談すべき場面まで整理します。

POINT 1

  • 就業規則を作る義務の全体像
  • まずは、10人基準、事業場単位、届出・周知、10人未満の場合の位置づけを確認します。
  • 就業規則を作る義務がある会社を考えるとき、最初に見るべきなのは会社全体の人数だけではありません。
  • 労働基準法第89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、就業規則の作成と行政官庁への届出を求めています。
  • 実務では、本社、支店、店舗、工場、営業所などの事業場ごとに、常時10人以上の労働者を使用しているかを確認します。

POINT 2

  • 就業規則とは労働条件を規律する基礎文書
  • 単なる社内マニュアルではなく、労働契約の内容や紛争予防にも関わります。
  • 労働基準法上の義務文書
  • 労働契約の内容を補う文書
  • 説明責任を支える文書

POINT 3

  • 就業規則を作る義務がある会社・事業場の具体例
  • 正社員数だけでなく、パートや店舗単位の人数も確認します。
  • 雇用区分ごとの就業規則も検討する
  • 本社は少人数でも、支店、店舗、工場が10人以上であれば、その事業場では就業規則の作成・届出義務が生じ得ます。
  • 会社全体の合計だけでなく、事業場ごとの所属人数と独立性を読み取ることが、義務判定のずれを防ぐために重要です。

POINT 4

  • 就業規則に必ず書く事項と制度がある場合に書く事項
  • 採用・人事異動
  • 提出書類、試用期間、本採用拒否、配置転換、転勤、出向、職種変更を整理します。
  • 服務規律・情報管理
  • 誠実義務、職務専念義務、秘密保持、個人情報、営業秘密、私物端末利用、SNS利用を定めます。

POINT 5

  • 就業規則の作成・変更・届出・周知の手続
  • 1. 実態調査
  • 2. 就業規則案と新旧対照表の作成:会社の実態に合う条項を作り、変更時は改定前後の違い、施行日、影響範囲を明確にします。
  • 3. 労働者代表等への意見聴取:過半数労働組合がある場合はその組合、ない場合は適正に選出された過半数代表者の意見を聴き、意見書を添付します。
  • 4. 労働基準監督署への届出:就業規則、就業規則届、意見書を所轄労働基準監督署へ提出します。
  • 5. 労働者への周知

POINT 6

  • 就業規則でよくある失敗例
  • 会社全体だけで10人未満と判断する
  • 店舗や事業場単位で10人以上になっている可能性があります。
  • 正社員用規程しかない
  • パート・アルバイトの契約更新、シフト、時給、無期転換、休職、賞与、退職金が実態に合わないことがあります。

POINT 7

  • 就業規則の作成で弁護士等に相談すべき場面
  • 社労士の実務支援と、紛争予防・訴訟リスクを扱う弁護士の役割を分けて考えます。
  • 就業規則は社会保険労務士が作成支援を行うことも多く、日常的な労務手続や労働社会保険手続との連動では社労士の知見が重要です。
  • 単に誰に頼むかではなく、どの論点が訴訟・交渉・紛争予防に直結するかを読み取ってください。

POINT 8

  • 就業規則作成時の実務チェックリスト
  • 義務判定
  • 内容
  • 手続
  • 義務判定、内容、手続の3つに分けて、抜け漏れを確認します。

まとめ

  • 就業規則を作る義務がある会社と 作成のポイント
  • 就業規則を作る義務の全体像:まずは、10人基準、事業場単位、届出・周知、10人未満の場合の位置づけを確認します。
  • 就業規則とは労働条件を規律する基礎文書:単なる社内マニュアルではなく、労働契約の内容や紛争予防にも関わります。
  • 就業規則を作る義務がある会社・事業場の具体例:正社員数だけでなく、パートや店舗単位の人数も確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

就業規則を作る義務の全体像

まずは、10人基準、事業場単位、届出・周知、10人未満の場合の位置づけを確認します。

就業規則を作る義務がある会社を考えるとき、最初に見るべきなのは会社全体の人数だけではありません。労働基準法第89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、就業規則の作成と行政官庁への届出を求めています。実務では、本社、支店、店舗、工場、営業所などの事業場ごとに、常時10人以上の労働者を使用しているかを確認します。

この比較表は、就業規則を作る義務を判断するときの中心論点を整理したものです。人数、判断単位、対象者、変更時の対応、罰則を一度に確認できるため、自社のどこに義務やリスクがあるかを読み取る入り口になります。

論点実務上の結論
作成義務の基準常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の作成・届出義務が生じます。
判断単位原則として会社全体ではなく、本社、支店、店舗、工場などの事業場単位で判断します。
人数に含める労働者正社員だけでなく、パート、アルバイト、有期契約労働者など労働基準法上の労働者を含めます。
変更時の対応作成時と同様に、過半数労働組合または過半数代表者の意見聴取、届出、周知が必要です。
10人未満の事業場通常は法定の作成・届出義務まではありませんが、トラブル予防の観点から作成が有効な場合があります。
届出先所轄労働基準監督署長です。複数事業場で同一内容を適用する場合、本社一括届出が可能となる場合があります。
罰則第89条、第90条第1項、第106条などの違反は、労働基準法第120条により30万円以下の罰金の対象になり得ます。
注意人数の数え方や事業場の独立性は、雇用契約の有無、所属、常態として使用しているか、労務管理の実態によって変わります。迷う場合は、所轄労働基準監督署、弁護士、社会保険労務士などに確認する必要があります。
Section 01

就業規則とは労働条件を規律する基礎文書

単なる社内マニュアルではなく、労働契約の内容や紛争予防にも関わります。

就業規則とは、労働時間、休憩、休日、休暇、賃金、退職、服務規律、懲戒、安全衛生など、労働者が会社で働くうえでの基本ルールを定める文書です。合理的な内容の就業規則が労働者に周知されている場合、労働契約法上、その労働条件が労働契約の内容になることがあります。

次の一覧は、就業規則が持つ3つの役割を並べたものです。就業規則を単なる提出書類として見ず、義務対応、契約内容、紛争予防という複数の意味を読み分けることが重要です。

Role 01

労働基準法上の義務文書

常時10人以上の労働者を使用する事業場では、必要事項を定めた就業規則を作成し、届け出る義務があります。

Role 02

労働契約の内容を補う文書

合理性と周知がある場合、就業規則で定めた労働条件が個々の労働契約の内容となることがあります。

Role 03

説明責任を支える文書

懲戒、解雇、異動、賃金、休職、副業、ハラスメント対応などで、一貫した運用の根拠になります。

就業規則の判断で出てくる基本用語

この比較表は、労働者、使用者、事業場、常時10人以上という用語を整理しています。義務の有無を判断する際に意味を取り違えると結論が変わるため、各行から誰を数え、どの場所を単位にするかを読み取ってください。

用語意味と確認点
労働者職業名を問わず、事業または事務所に使用され、賃金を支払われる者を指します。パート、アルバイト、契約社員、嘱託なども実態により含まれます。
使用者事業主、経営担当者、労働者に関する事項について事業主のために行為をする者を含みます。会社だけでなく責任主体の範囲にも関わります。
事業場本社、支店、営業所、店舗、工場など、場所的・組織的に一定の独立性を持つ単位です。住所の違いだけでなく労務管理の実態を見ます。
常時10人以上毎日同じ10人が出勤している意味ではなく、常態として10人以上を使用しているかを見ます。一時的な繁忙期だけの増員とは区別されます。

人数算定で迷いやすいのは、役員兼従業員、出向者、派遣労働者、業務委託者、副業人材、短時間勤務者、休職者、育児休業者などです。雇用契約があるか、事業場に所属しているか、常態として使用しているか、実質的な労働者性があるかを慎重に確認します。

Section 02

就業規則を作る義務がある会社・事業場の具体例

正社員数だけでなく、パートや店舗単位の人数も確認します。

小売店、飲食店、クリニック、介護施設、保育施設、宿泊施設、学習塾、コールセンター、物流拠点などでは、正社員だけを見ると10人未満でも、シフト勤務者を含めると常時10人以上になることがあります。本社は少人数でも、支店、店舗、工場が10人以上であれば、その事業場では就業規則の作成・届出義務が生じ得ます。

次の比較表は、よくある人数構成ごとの考え方を示します。会社全体の合計だけでなく、事業場ごとの所属人数と独立性を読み取ることが、義務判定のずれを防ぐために重要です。

ケース基本的な考え方
正社員7人、パート3人パートも労働者に含まれるため、常態として使用していれば10人基準に達します。
正社員9人、繁忙期のみ短期アルバイト3人一時的な雇用か、通常の雇用体制として10人以上かを実態で判断します。
本社8人、店舗12人店舗は10人以上の事業場として、作成・届出義務が生じ得ます。
会社全体20人、各拠点は5人以下原則として各事業場単位で判断します。ただし独立性が乏しい拠点は一体判断の余地があります。
パート・アルバイトだけで12人労働者であれば人数に含まれ、就業規則作成義務が生じ得ます。

雇用区分ごとの就業規則も検討する

正社員用の就業規則だけでは、パートタイム・有期雇用労働者、嘱託社員、定年後再雇用者などの実態に合わないことがあります。次の一覧は、雇用区分ごとに分けて確認すべき代表的な項目を整理したものです。どの制度を共通にし、どの制度を別に定めるべきかを読み取ることが重要です。

01

正社員

月給制、転勤、賞与、退職金、休職制度、評価制度など、長期雇用を前提にした制度との整合を見ます。

基本規程
02

パート・有期雇用労働者

時給、シフト、契約更新、無期転換、賞与・退職金の有無、休職の扱いを明確にします。

別規程検討
03

嘱託・再雇用者

定年後の労働条件、契約期間、更新基準、職務範囲、賃金設計を通常の正社員規程と切り分けます。

更新基準

常時10人未満の事業場では、通常、労働基準法第89条に基づく作成・届出義務はありません。それでも、近い将来10人以上になる見込みがある、雇用形態が混在している、ハラスメントや情報漏えいのリスクがある、懲戒や解雇の可能性がある、リモートワークや副業を導入している場合は、早めに整備する価値があります。

Section 03

就業規則に必ず書く事項と制度がある場合に書く事項

絶対的必要記載事項、相対的必要記載事項、任意記載事項を分けて整理します。

労働基準法第89条は、就業規則に必ず記載しなければならない事項を定めています。始業・終業時刻、休憩、休日、休暇、交替制勤務、賃金の決定・計算・支払方法、締切日・支払日、昇給、退職、解雇事由などが中心です。

この比較表は、絶対的必要記載事項を実務で確認する単位に分けたものです。何を書けば法定項目を満たすかだけでなく、会社の運用と矛盾しやすい部分を読み取ることが重要です。

項目記載する内容実務上の注意点
労働時間関係始業時刻、終業時刻、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務の就業時転換シフト、変形労働時間制、フレックスタイム制、在宅勤務、休日振替、年次有給休暇手続と整合させます。
賃金関係賃金の決定、計算、支払方法、締切日、支払日、昇給固定残業代、割増賃金、欠勤控除、休職中の賃金、賞与の支給日在籍要件を曖昧にしないことが重要です。
退職関係退職に関する事項、解雇の事由退職、普通解雇、懲戒解雇、定年、休職期間満了退職、雇止めを区別して整理します。

会社が一定の制度を設ける場合には、就業規則に記載しなければならない事項もあります。次の比較表は、相対的必要記載事項の主な項目と、制度を設ける会社が何を明確にすべきかを示しています。

項目実務上の注意点
退職手当対象者、支給要件、計算方法、支払時期、不支給・減額事由を明確にします。
臨時の賃金・賞与・最低賃金額賞与の有無、算定対象期間、支給日在籍要件、評価反映の方法を整えます。
食費・作業用品等の負担労働者負担の内容、金額、控除方法、同意や労使協定の要否を確認します。
安全衛生健康診断、ストレスチェック、長時間労働面接指導、感染症対応、私傷病報告などを定めます。
職業訓練研修受講、資格取得支援、費用補助、受講命令、誓約の限界を検討します。
災害補償・業務外傷病扶助労災、休職、復職、見舞金、補償制度との整合性を取ります。
表彰・制裁表彰基準、懲戒の種類、懲戒事由、手続、弁明機会、減給制裁の上限を整えます。
全労働者に適用される事項服務規律、ハラスメント、情報管理、副業、テレワーク、持ち物検査、SNS利用などを整理します。

任意記載事項は、法律上の列挙がなくても会社のリスク管理に直結します。次の一覧は、現代の労務管理で規程化を検討したい領域を整理したものです。法定項目だけでは拾いにくいトラブル予防の視点を読み取ってください。

採用・人事異動

提出書類、試用期間、本採用拒否、配置転換、転勤、出向、職種変更を整理します。

服務規律・情報管理

誠実義務、職務専念義務、秘密保持、個人情報、営業秘密、私物端末利用、SNS利用を定めます。

ハラスメント・通報

禁止行為、相談窓口、調査協力義務、不利益取扱い禁止、再発防止を制度化します。

副業・テレワーク

副業の届出・許可、競業、健康管理、在宅勤務、通信費、情報セキュリティを調整します。

休職・復職

休職事由、期間、賃金、診断書、産業医面談、復職判定、再休職時の通算を定めます。

退職後の義務

貸与品返還、引継ぎ、競業避止、秘密保持、退職後の連絡先管理を確認します。

Section 04

就業規則の作成・変更・届出・周知の手続

内容作成だけでなく、意見聴取、届出、労働者への周知までが重要です。

就業規則は、雛形に会社名を入れるだけでは完成しません。会社の実態を確認し、就業規則案を作成し、労働者代表等の意見を聴き、所轄労働基準監督署へ届け出て、労働者が内容を確認できる状態にする必要があります。

次の時系列は、就業規則を作成・変更するときの順番を示しています。手続を飛ばすと、届出義務違反や周知不足だけでなく、後の不利益変更や懲戒・解雇の有効性にも影響するため、各段階で残すべき資料を読み取ってください。

Step 01

実態調査

雇用契約書、労働条件通知書、賃金台帳、勤怠記録、36協定、育児・介護休業規程、ハラスメント規程、過去の処分事例、現場慣行を確認します。

Step 02

就業規則案と新旧対照表の作成

会社の実態に合う条項を作り、変更時は改定前後の違い、施行日、影響範囲を明確にします。

Step 03

労働者代表等への意見聴取

過半数労働組合がある場合はその組合、ない場合は適正に選出された過半数代表者の意見を聴き、意見書を添付します。

Step 04

労働基準監督署への届出

就業規則、就業規則届、意見書を所轄労働基準監督署へ提出します。作成または変更後は遅滞なく届出を行う扱いで、紙提出では通常2部を提出し受付印付き控えを受け取る案内があり、電子申請も利用できます。

Step 05

労働者への周知

紙で備え付ける、書面交付する、社内ポータルや電子媒体で常時確認できる状態にするなど、労働者が内容を知り得る状態を作ります。

過半数代表者の選出で避けるべき例

この注意一覧は、意見聴取で問題になりやすい代表者選出の例を整理したものです。代表者の選び方が不適切だと、手続の信頼性が損なわれるため、誰がどの目的で選ばれたかを読み取れる記録が重要です。

会社が一方的に指名する

代表者は会社の都合で選ぶものではなく、選出目的を明らかにして投票・挙手等で選ぶ必要があります。

管理監督者を代表者にする

過半数代表者は、管理監督者でないことが必要です。役職名だけでなく実態も確認します。

正社員だけで選ぶ

パートやアルバイトを含む事業場では、労働者全体の過半数代表として適正かを見ます。

別事業場の代表者を使い回す

事業場単位の手続であるため、本社代表者だけで全拠点分を処理できるかは慎重に確認します。

周知では、単に労働基準監督署へ届け出ただけでは足りません。労働基準法第106条は、就業規則を掲示・備付け、書面交付、電子媒体などの方法で労働者に周知させることを求めています。最新版の掲載場所を入社時・改定時に示し、変更点説明資料を配布し、施行日、改定日、版番号、旧版と新版を保存しておくと、後の紛争で当時適用されていた規程を確認しやすくなります。

Section 05

就業規則の作成ポイント12項目

雛形利用、適用範囲、賃金、解雇、懲戒、休職、ハラスメント、副業、テレワーク、不利益変更まで確認します。

就業規則は、会社の理想を書く文書ではなく、実際に運用できるルールを書く文書です。雛形をそのまま使うと、勤務形態、賃金制度、雇用区分、労使慣行、既存契約と合わず、会社自身が規則を守っていないと評価されるリスクがあります。

この一覧は、就業規則を専門的に確認するときの12項目をまとめたものです。各項目は後の労務トラブルで争点になりやすいため、自社の条文と実際の運用がそろっているかを読み取ってください。

01

雛形をそのまま使わない

モデル就業規則は参考になりますが、業種、勤務形態、賃金制度、雇用形態、現場運用に合わせて修正します。

実態確認
02

適用範囲を明確にする

正社員、契約社員、パート、アルバイト、嘱託、再雇用者、試用期間中の者のどこまで適用するかを定めます。

雇用区分
03

労働条件通知書と整合させる

2024年4月1日から追加された就業場所・業務の変更範囲、更新上限、無期転換関連の明示事項にも注意します。

契約整合
04

労働時間制度を正確に書く

法定労働時間、所定労働時間、36協定、変形労働時間制、在宅勤務時の労働時間管理を整理します。

残業代
05

賃金・手当・固定残業代を精密に設計する

割増賃金の基礎、固定残業代の明確区分、控除、賞与、昇給、降給、退職時精算を曖昧にしないことが重要です。

未払賃金
06

退職・解雇・雇止めを区別する

普通解雇、懲戒解雇、整理解雇、定年、休職期間満了、雇止め、無期転換との関係を整理し、労働契約法第16条の客観的合理性・社会通念上の相当性も意識します。

出口管理
07

懲戒は種類・事由・手続をそろえる

戒告、譴責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇の根拠と調査・弁明機会を定め、減給制裁では労働基準法第91条の上限も確認します。

処分手続
08

休職・復職規定を設ける

私傷病、メンタルヘルス不調、診断書、産業医意見、復職判定、試し出勤、期間満了時の扱いを整えます。

健康管理
09

ハラスメント・通報体制を制度化する

禁止行為、相談窓口、調査協力義務、秘密保持、不利益取扱い禁止、再発防止を明記します。

調査体制
10

副業・兼業の制限理由を整理する

長時間労働、秘密漏えい、競業、利益相反、業務支障、信用毀損などのリスクに応じて設計します。

副業管理
11

テレワーク規程を整える

対象者、申請方法、勤務場所、通信費、情報セキュリティ、事故発生時対応、備品管理を定めます。

在宅勤務
12

不利益変更は合理性と証拠を重視する

賃金、退職金、休日、勤務場所、評価制度などを不利益に変える場合は、必要性、相当性、説明、協議記録が重要です。

慎重対応

不利益変更では、変更の必要性を示す資料、労働者への影響分析、代償措置・経過措置、説明会資料、質疑応答記録、労働組合等との協議記録、反対意見への回答、新旧対照表を残すことが重要です。単なる届出手続ではなく、後に合理性が争われ得る問題として扱います。

Section 06

就業規則でよくある失敗例

人数判定、雇用区分、代表者選出、周知、改定履歴、運用とのズレを確認します。

就業規則の失敗は、作成義務の見落としだけではありません。規程があっても、雇用区分に合わない、代表者選出が不適切、届出後に周知していない、改定履歴が残っていない、実際の運用と違うといった問題が起きます。

次の一覧は、紛争や行政対応で問題になりやすい失敗例をまとめたものです。どの失敗が自社に近いかを読み取り、作成前だけでなく改定時にも点検することが重要です。

会社全体だけで10人未満と判断する

店舗や事業場単位で10人以上になっている可能性があります。パート・アルバイトの数え忘れにも注意します。

正社員用規程しかない

パート・アルバイトの契約更新、シフト、時給、無期転換、休職、賞与、退職金が実態に合わないことがあります。

過半数代表者を会社が指名する

選出目的を明らかにし、投票・挙手等の方法で選ばなければ、手続の信頼性に疑問が残ります。

届出後に労働者が見られない

労働基準監督署への届出だけでは周知になりません。常時確認できる状態にする必要があります。

改定履歴を残していない

いつ、どの版が、誰に、どのように周知されたかが後の争点になります。旧版と新版を保存します。

規程と運用が違う

休憩、残業申請、賞与支給、休職、服務規律などで実態と条文が乖離すると、会社側の説明が難しくなります。

懲戒・解雇条項が不十分

横領、ハラスメント、無断欠勤、情報漏えい、SNS投稿などに対応する根拠と手続が不足することがあります。

Section 07

就業規則の作成で弁護士等に相談すべき場面

社労士の実務支援と、紛争予防・訴訟リスクを扱う弁護士の役割を分けて考えます。

就業規則は社会保険労務士が作成支援を行うことも多く、日常的な労務手続や労働社会保険手続との連動では社労士の知見が重要です。一方で、解雇、懲戒、不利益変更、未払残業代、ハラスメント調査、退職勧奨、団体交渉など、法的紛争に発展し得る領域では弁護士の関与が特に有効です。

この比較表は、弁護士等への相談が特に重要になりやすい場面を整理しています。単に誰に頼むかではなく、どの論点が訴訟・交渉・紛争予防に直結するかを読み取ってください。

相談場面相談が重要になる理由
賃金制度・退職金制度を引き下げる不利益変更の合理性、説明手続、代償措置、訴訟リスクを検討するためです。
固定残業代を導入・見直しする未払残業代請求のリスクが高く、条文と運用の精密性が必要なためです。
懲戒・解雇規定を整備する処分の有効性、証拠、手続、過去事例との均衡が争点になりやすいためです。
問題社員対応を想定している指導記録、改善機会、退職勧奨、解雇の適法性まで検討するためです。
ハラスメント調査体制を作る事実認定、調査手続、懲戒、被害者保護、二次被害防止が必要なためです。
労働組合・ユニオン対応が想定される団体交渉、誠実交渉義務、不当労働行為リスクを見据えるためです。
M&A・事業譲渡・組織再編に伴い規程を統合する労働条件承継、制度統合、不利益変更、説明手続が複雑なためです。
外国人雇用・海外勤務・英文規程がある在留資格、準拠法、個人情報、言語理解、契約文書の整合性が問題になるためです。
過去に未払賃金・解雇・ハラスメント紛争がある紛争再発防止と証拠化の観点から、規程全体を見直す必要があるためです。
重要すでに従業員とのトラブル、退職者からの請求、労働基準監督署対応、内容証明、団体交渉申入れがある場合は、単なる雛形作成ではなく、紛争対応を見据えた規程整備が必要です。
Section 08

就業規則作成時の実務チェックリスト

義務判定、内容、手続の3つに分けて、抜け漏れを確認します。

就業規則を作成・変更するときは、人数、雇用区分、法定記載事項、社内規程との整合、代表者選出、届出、周知を一連のプロセスとして確認します。チェックだけで終わらせず、確認した資料や判断理由を残すことが大切です。

次の一覧は、義務判定、内容、手続の3分類で確認事項をまとめたものです。左から順に、作成義務の有無、条文の中身、完成後の手続を読み取ることで、実務上の抜け漏れを抑えられます。

Check 01

義務判定

  • 事業場ごとの労働者数を確認した
  • 正社員だけでなく、パート、アルバイト、有期契約労働者を含めて数えた
  • 休職者、育休者、出向者、派遣労働者、業務委託者の扱いを確認した
  • 常時10人以上か、一時的な10人超えかを確認した
  • 複数事業場の独立性と本社一括届出の可否を確認した
Check 02

内容

  • 絶対的必要記載事項をすべて記載した
  • 相対的必要記載事項の有無を確認した
  • 適用範囲を雇用区分ごとに明確にした
  • 労働条件通知書・雇用契約書と整合している
  • 賃金、退職金、育児・介護休業など別規程との関係を整理した
  • 懲戒、解雇、休職、復職、ハラスメント、情報管理、副業、テレワークを検討した
Check 03

手続

  • 過半数労働組合の有無を確認した
  • 過半数代表者を適正に選出した
  • 就業規則案と新旧対照表を代表者に提示した
  • 意見聴取、意見書作成、就業規則届を行った
  • 施行日を明確にし、労働者に周知した
  • 周知方法、周知日、説明資料を保存した

就業規則は、人数が10人に達した瞬間だけを問題にするものではありません。会社の労務リスクを診断し、法令、契約、現場運用、将来の紛争可能性を見据えて設計することで、会社と労働者双方の予測可能性を高めます。

Section 09

就業規則のFAQ

10人基準、届出、代表者、周知、モデル規程、相談先について一般情報として整理します。

Q1. 会社全体で10人以上なら、すべての拠点で就業規則が必要ですか。

一般的には、作成義務は事業場単位で判断するとされています。会社全体で10人以上でも、各事業場が常時10人未満で独立した事業場として扱われる場合には、当然にすべての拠点で作成義務が生じるとは限りません。ただし、拠点の独立性や労務管理の実態で結論が変わる可能性があります。具体的な判断は、資料を整理したうえで所轄労働基準監督署や専門家へ確認する必要があります。

Q2. パート・アルバイトだけで10人以上の場合も就業規則が必要ですか。

一般的には、正社員だけでなく、短時間労働者、有期契約労働者、アルバイト、パートタイム労働者も、労働者であれば人数に含まれるとされています。ただし、常態として使用しているか、事業場に所属しているか、労働者性があるかによって判断が変わる可能性があります。具体的な対応は、雇用形態と勤務実態を整理して専門家へ相談する必要があります。

Q3. 就業規則を作っただけで届出しなければ問題になりますか。

一般的には、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、作成だけでなく届出も必要とされています。第89条違反は30万円以下の罰金の対象になり得ます。ただし、届出義務の有無や違反評価は事業場の人数、時期、手続状況で変わる可能性があります。具体的な対応は、作成日、変更日、人数資料、届出状況を整理して確認する必要があります。

Q4. 過半数代表者の同意がなければ届け出られませんか。

一般的には、労働基準法第90条が求めるのは同意ではなく意見を聴くこととされています。ただし、反対意見がある場合に説明や検討を尽くしていないと、不利益変更の合理性や労使関係上の問題につながる可能性があります。具体的には、代表者選出方法、意見書、説明資料、質疑応答記録を整理して専門家に確認する必要があります。

Q5. 労働基準監督署に受理されれば、内容はすべて有効ですか。

一般的には、受理されたことだけで就業規則の内容がすべて有効になるわけではないとされています。就業規則は法令や労働協約に反してはならず、労働契約法上の合理性や周知も問題になり得ます。具体的な有効性は条文内容、労働条件、周知状況、労使協議の経過によって変わるため、個別には専門家へ相談する必要があります。

Q6. 就業規則を社内フォルダに置くだけで周知になりますか。

一般的には、電子媒体で常時確認できる状態にする方法は周知方法の一つとされています。ただし、単に社内フォルダへ置くだけで足りるかは、労働者が存在と掲載場所を知り、いつでも内容を確認できる状態かによって変わる可能性があります。具体的には、入社時説明、改定時通知、掲載場所の明示、アクセス権限を確認する必要があります。

Q7. 10人未満の会社が作った就業規則にも効力はありますか。

一般的には、10人未満の事業場では労働基準法第89条による作成・届出義務は通常ありませんが、合理的な内容の就業規則が労働者に周知されている場合には、労働契約法上、労働条件として効力を持つことがあります。ただし、内容、周知、個別合意との関係で結論が変わる可能性があります。具体的には、労働契約書と就業規則の関係を確認する必要があります。

Q8. モデル就業規則をそのまま使ってよいですか。

一般的には、モデル就業規則は参考資料として有用ですが、そのまま使うことにはリスクがあるとされています。会社の勤務実態、賃金制度、雇用区分、シフト、テレワーク、副業、休職、懲戒、解雇、個人情報の取扱いに合うかで必要な修正は変わります。具体的な条文設計は、自社の資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

Q9. 就業規則を変更した場合も届出が必要ですか。

一般的には、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則を変更した場合も作成時と同様に届出が必要とされています。ただし、変更内容、事業場の人数、施行日、周知状況によって確認すべき事項は変わります。具体的には、新旧対照表、意見書、届出書、周知資料をそろえて確認する必要があります。

Q10. 弁護士と社会保険労務士のどちらに相談すべきですか。

一般的には、日常的な労務手続、社会保険、給与計算、届出実務では社会保険労務士が有力な相談先とされています。一方で、解雇、懲戒、不利益変更、未払残業代、ハラスメント、労働組合対応、訴訟・交渉リスクがある場合は弁護士への相談が重要になる可能性があります。具体的には、相談したい事項の性質に応じて役割分担を確認する必要があります。

Reference

参考資料・法令

公的機関・中立的資料を中心に、制度理解に必要な資料名を整理しています。

法令

  • 厚生労働省法令等データベース「労働基準法」第9条・第10条・第89条・第90条・第92条・第93条・第106条・第120条・第121条
  • 厚生労働省法令等データベース「労働契約法」第7条・第9条・第10条・第12条・第13条・第16条

公的機関・実務資料

  • 厚生労働省「労働契約に関する法令・ルール」
  • 厚生労働省「スタートアップ労働条件 就業規則について」
  • 厚生労働省「スタートアップ労働条件 就業規則・書類の保存 Q&A」
  • 北海道労働局「就業規則を作成・届出、周知しましょう」
  • 愛知県雇用労働相談センター「就業規則の作成義務」
  • e-Gov電子申請「就業規則(変更)届」
  • 厚生労働省「モデル就業規則について」
  • 山口労働局「2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました」