2σ Guide

成年後見制度の申立てから
開始までにかかる期間の目安

相続手続で成年後見制度が必要になる場面について、家庭裁判所への申立て後の期間だけでなく、準備、審判確定、証明書取得、相続税・相続登記・相続放棄の期限まで含めて整理します。

1〜2か月 申立て後の標準帯
71.1% 2か月以内の終局割合
93.8% 4か月以内の終局割合
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成年後見制度の申立てから 開始までにかかる期間の目安

相続では、審判日だけでなく対外的に使える日まで逆算することが重要です。

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成年後見制度の申立てから 開始までにかかる期間の目安
相続では、審判日だけでなく対外的に使える日まで逆算することが重要です。
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  • 成年後見制度の申立てから 開始までにかかる期間の目安
  • 相続では、審判日だけでなく対外的に使える日まで逆算することが重要です。

POINT 1

  • 成年後見制度の申立てから開始までにかかる期間の目安は1か月から2か月が中心
  • 相続では、審判日だけでなく対外的に使える日まで逆算することが重要です。

POINT 2

  • 成年後見制度の申立てから開始までを読むための用語整理
  • 1. 本人の住所地の家庭裁判所へ申立書等を提出する:裁判所統計上の審理期間は、原則としてこの時点以降を中心に見ます。
  • 2. 照会、面談、調査、鑑定、親族照会等が行われる:長期化要因が集中する段階です。
  • 3. 登記事項証明書、審判書、確定証明書等を用意する:銀行、法務局、税務署、不動産取引で必要となることがあります。

POINT 3

  • 成年後見制度の申立て前に必要な書類と準備期間
  • 準備期間は統計の審理期間に含まれにくいため、相続では別枠で見積もります。
  • 家庭裁判所の案内では、申立人として本人、配偶者、四親等内の親族、一定の後見関係者、検察官などが示されています。
  • 申立先は本人の住所地の家庭裁判所です。
  • 費用としては、申立手数料800円分の収入印紙、連絡用郵便切手、登記手数料2600円分の収入印紙などが必要とされています。

POINT 4

  • 成年後見制度の申立て後の審理と鑑定で期間が変わる理由
  • 家庭裁判所は本人保護のために、書類、本人の状況、親族関係、候補者の適格性を確認します。
  • 申立後、家庭裁判所は提出資料を確認し、申立人、本人、成年後見人候補者等から事情を聴くことがあります。
  • 鑑定は、本人の精神の状況を確認するために必要となる場合があります。
  • 令和7年統計では、成年後見関係事件の終局事件のうち鑑定を実施したものは全体の約3.4%です。

POINT 5

  • 相続で成年後見制度の申立てが必要となる典型場面
  • 遺産分割、利益相反、登記、税務、相続放棄の期限が成年後見の期間と重なります。
  • 協議を理解できない相続人がいる
  • 候補者自身も相続人である
  • 登記義務化に対応する必要がある

POINT 6

  • 成年後見制度の申立てから開始までの期間が長くなる原因
  • 書類不足と補正
  • 戸籍、住民票、候補者資料、診断書、本人情報シート、財産資料、収支資料が不足すると補正を招きます。
  • 診断書が不十分
  • 本人が遺産分割協議を理解できない理由が分からない場合、追加資料や鑑定につながる可能性があります。

POINT 7

  • 成年後見制度の申立てから開始までの期間を短縮する方法
  • 1. 相続で後見人等が必要な理由を具体化:遺産分割、預貯金解約、相続登記、相続税申告、相続放棄、施設費支払などを整理します。
  • 2. 時系列と相続関係図を作成:死亡日、診断日、施設入所日、協議経緯、預金凍結日、各期限を1枚にまとめます。
  • 3. 診断書と本人情報シートを早めに手配:後見、保佐、補助のどれが相当か、遺産分割協議を理解できるかを資料で説明します。
  • 4. 争点と証拠を隠さず整理:親族対立、使い込み疑い、候補者への反対、遺言の有効性争いを早期に示します。
  • 5. 税務、登記、放棄を並行準備:後見開始を待つ間にも相続税、相続登記、相続放棄の期限管理を進めます。

POINT 8

  • 成年後見制度の申立てと相続手続での専門職の役割分担
  • 期間短縮と本人保護には、後見、相続税、相続登記、財産調査の連携が欠かせません。
  • 相続に関する成年後見申立ては、単独の専門職だけで完結しないことが多いです。
  • 出発点は、「この相続で後見人等が必要な理由」と「どの期限が迫っているか」を共有することです。

まとめ

  • 成年後見制度の申立てから 開始までにかかる期間の目安
  • 成年後見制度の申立てから開始までにかかる期間の目安は1か月から2か月が中心:相続では、審判日だけでなく対外的に使える日まで逆算することが重要です。
  • 成年後見制度の申立てから開始までを読むための用語整理:法定後見の類型と、相続で実際に使えるまでの段階を分けて確認します。
  • 成年後見制度の申立て前に必要な書類と準備期間:準備期間は統計の審理期間に含まれにくいため、相続では別枠で見積もります。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

成年後見制度の申立てから開始までにかかる期間の目安は1か月から2か月が中心

相続では、審判日だけでなく対外的に使える日まで逆算することが重要です。

相続手続で成年後見制度を使う場合、家庭裁判所に申立てをしてから後見等開始の審判で終局するまでの目安は、標準的には1か月から2か月程度です。実務上は、書類の準備、審判確定、成年後見登記事項証明書などの取得まで含め、2か月から4か月程度を安全側の見積りとして考えるのが現実的です。

最高裁判所事務総局家庭局の令和7年統計では、成年後見関係事件42,674件のうち、2か月以内に終局した事件は約71.1%、4か月以内に終局した事件は約93.8%です。次の比較表では、どの時点を「開始」と見るかで期間の読み方が変わること、相続実務では権限を外部に示せる状態まで確認する必要があることを読み取れます。

見方期間の目安注意点
申立てから審判まで1か月から2か月が標準帯書類が整い、親族対立や鑑定がない場合です。
申立てから審判確定、対外利用まで2か月から4か月金融機関や法務局では証明書類が必要になることがあります。
準備開始から実務利用まで3か月から5か月診断書、本人情報シート、戸籍、財産資料の収集を含めます。
複雑な相続案件5か月から6か月以上鑑定、親族間対立、使い込み疑い、利益相反、不動産評価がある場合です。

統計の内訳は、1か月以内37.9%、1か月超2か月以内33.2%、2か月超3か月以内16.2%、3か月超4か月以内6.5%、4か月超5か月以内2.8%、5か月超6か月以内1.5%、6か月超1.9%です。次の割合の比較では、2か月以内が多数派である一方、相続で期限が迫る案件では4か月以上も想定しておく必要があることを確認できます。

1か月以内
37.9%
2か月以内
71.1%
3か月以内
87.3%
4か月以内
93.8%
令和7年の成年後見関係事件の審理期間別割合を、累計の目安として整理しています。
要点相続の現場では、単に審判が出る日ではなく、審判が確定し、成年後見登記事項証明書等を取得し、金融機関、法務局、税務署、他の相続人へ権限を示せる日までを見込む必要があります。
Section 01

成年後見制度の申立てから開始までを読むための用語整理

法定後見の類型と、相続で実際に使えるまでの段階を分けて確認します。

このページで扱う中心は、本人の判断能力が低下した後に家庭裁判所へ申し立てる法定後見です。法定後見には後見、保佐、補助の3類型があり、本人の判断能力の程度と必要な権限によって使い分けられます。任意後見は、本人が判断能力のある段階で公正証書による契約を結び、判断能力が不十分になった後に任意後見監督人の選任を経て効力を生じさせる制度です。

次の比較表は、後見、保佐、補助の対象と権限の違いを示しています。相続で遺産分割協議、相続放棄、不動産処分、預貯金解約が必要になる場合、どの類型でどの権限が必要かを読むことが、申立て内容と期間の見積りに直結します。

類型対象となる判断能力相続手続での見方
後見判断能力が欠けているのが通常の状態成年後見人に財産に関する広い代理権が与えられます。
保佐判断能力が著しく不十分家庭裁判所が定める特定の法律行為について同意権、取消権、代理権を構成します。
補助判断能力が不十分本人の状態に応じ、必要な行為を具体的に絞って設計します。
任意後見契約時は判断能力があることが前提相続発生後に初めて対応する場面では、法定後見が問題となることが多いです。

「開始まで」という言葉には、準備開始、家庭裁判所への申立て、審理、審判確定、対外利用という複数の段階が含まれます。次の時系列は、どの段階で何が起きるかを整理したもので、相続税申告や相続登記などの期限と重ねて読むことが重要です。

準備開始

診断書、本人情報シート、戸籍、財産資料、相続資料を集める

ここで遅れると、申立て後の期間が短くても全体の完了が遅れます。

申立て

本人の住所地の家庭裁判所へ申立書等を提出する

裁判所統計上の審理期間は、原則としてこの時点以降を中心に見ます。

審理

照会、面談、調査、鑑定、親族照会等が行われる

長期化要因が集中する段階です。書類の整い方と親族関係が影響します。

審判、確定

後見等開始と後見人等選任の審判が出て一定期間後に確定する

後見人等が権限を行使する前提となる段階です。

対外利用

登記事項証明書、審判書、確定証明書等を用意する

銀行、法務局、税務署、不動産取引で必要となることがあります。

Section 02

成年後見制度の申立て前に必要な書類と準備期間

準備期間は統計の審理期間に含まれにくいため、相続では別枠で見積もります。

家庭裁判所の案内では、申立人として本人、配偶者、四親等内の親族、一定の後見関係者、検察官などが示されています。申立先は本人の住所地の家庭裁判所です。費用としては、申立手数料800円分の収入印紙、連絡用郵便切手、登記手数料2600円分の収入印紙などが必要とされています。

次の比較表は、成年後見制度の申立てに必要となる標準的な資料と、相続案件で追加確認が必要になりやすい資料を分けて示しています。どの資料が不足すると補正や追加照会につながるかを読み取り、準備段階で集める順番を決める材料にしてください。

区分主な資料期間への影響
本人関係本人の戸籍謄本、住民票または戸籍附票、健康状態に関する資料本人確認と生活状況の把握に必要です。
候補者関係成年後見人候補者の住民票または戸籍附票候補者の適格性確認の前提になります。
判断能力関係診断書、本人情報シート写し、登記されていないことの証明書類型判断や鑑定の要否に影響します。
財産・収支関係本人の財産資料、収支資料、通帳、年金、施設費、医療費本人保護と後見人選任の判断に関係します。
相続関係被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍、遺産目録、不動産資料、預貯金、証券、保険、借入金遺産分割、相続税申告、相続登記の準備と重なります。

準備期間は、資料が手元にそろっていれば2週間程度で進むこともあります。一方で、診断書の予約、本人情報シートの作成、古い戸籍の収集、金融機関資料の取得、不動産資料の確認が必要な場合は、1か月から2か月かかることがあります。

実務目線相続人が多数いる、古い相続が放置されている、遠隔地の戸籍が必要である、認知症の診断を受けた医療機関との調整が必要である案件では、申立て後の審理期間よりも準備期間のほうが長くなることがあります。
Section 03

成年後見制度の申立て後の審理と鑑定で期間が変わる理由

家庭裁判所は本人保護のために、書類、本人の状況、親族関係、候補者の適格性を確認します。

申立後、家庭裁判所は提出資料を確認し、申立人、本人、成年後見人候補者等から事情を聴くことがあります。参与員や家庭裁判所調査官が、申立ての実情、本人の意見、候補者の事情を確認することがあり、ウェブ会議が利用される場合もあります。

次の比較表は、申立後の期間を左右しやすい要素を整理したものです。左側の要素が整っているほど照会や補正が少なくなりやすく、親族対立や使い込み疑いのような事情があるほど、候補者選任や本人保護の確認に時間がかかりやすいと読めます。

要素期間への影響
申立書と添付書類が整っている照会、補正が少なくなりやすいです。
診断書が明確で本人情報シートが充実している鑑定や追加確認の可能性が下がります。
本人の生活状況と財産状況が整理されている調査官や書記官への説明がしやすくなります。
親族が協力的親族照会や候補者調整が短くなりやすいです。
相続人間に紛争がある候補者選任、利益相反、専門職選任で長引きやすいです。
使い込み疑いがある取引履歴、財産保全、候補者適格性の調査が必要になりやすいです。
本人の判断能力が境界的鑑定や追加資料につながりやすいです。
財産が複雑後見人に求められる専門性の検討が必要になります。

鑑定は、本人の精神の状況を確認するために必要となる場合があります。令和7年統計では、成年後見関係事件の終局事件のうち鑑定を実施したものは全体の約3.4%です。次の割合の比較では、鑑定が入る事件自体は多くないものの、入った場合は1か月から2か月程度の追加期間と費用を見込む必要があることを読み取れます。

鑑定実施
3.4%
鑑定1か月以内
52.6%
鑑定2か月以内
89.4%
費用10万円以下
85.8%
鑑定期間は1か月以内52.6%、1か月超2か月以内36.8%、鑑定費用は5万円以下43.7%、5万円超10万円以下42.1%です。

相続放棄、相続税申告、相続登記、不動産売却などの期限が迫っている案件では、鑑定が入る可能性をあらかじめ工程に入れておく必要があります。鑑定が入ると、通常の審理期間に1か月から2か月程度が上乗せされることがあります。

Section 04

相続で成年後見制度の申立てが必要となる典型場面

遺産分割、利益相反、登記、税務、相続放棄の期限が成年後見の期間と重なります。

共同相続人の一人が認知症、知的障害、精神障害、高次脳機能障害などにより遺産分割協議を理解できない場合、その人を除外して遺産分割協議を成立させることはできません。家族が本人の氏名を代筆し、実印を押す対応は、後日の無効主張、登記手続、金融機関手続、税務調査で問題となる可能性があります。

次の一覧は、相続で成年後見制度の申立てが問題になりやすい5つの場面を整理しています。各項目では、どの相続手続が止まりやすいか、どの期限を同時に見なければならないかを読み取ることが大切です。

遺産分割

協議を理解できない相続人がいる

本人の判断能力の程度に応じて、後見、保佐、補助の申立てを検討します。保佐や補助では、遺産分割協議、相続放棄、不動産処分、預貯金解約などの権限設計が必要です。

利益相反

候補者自身も相続人である

候補者が本人と同じ相続で利害を持つ場合、特別代理人、臨時保佐人、臨時補助人の選任が必要となることがあります。

相続登記

登記義務化に対応する必要がある

令和6年4月1日から相続登記が義務化されています。不動産取得を知った日から3年以内の申請義務、正当な理由なく怠った場合の10万円以下の過料を意識します。

相続税

10か月の申告期限が迫っている

成年後見の申立てが必要でも、相続税申告期限が当然に延長されるわけではありません。未分割申告や特例の扱いを早めに確認します。

相続放棄

3か月の熟慮期間が迫っている

判断能力を欠く相続人について後見人がまだ選任されていない場合、成年後見申立てだけでは熟慮期間に間に合わないことがあります。

相続登記は、施行日前の相続についても未了であれば義務化の対象となり、原則として令和9年3月31日までに登記が必要となります。相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。相続放棄や限定承認は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月の熟慮期間内に判断します。

期限注意成年後見の開始を待っている間にも、相続税申告期限、相続放棄熟慮期間、相続登記期限は進みます。後見人選任後に初めて税務、登記、負債調査を始めると、期限に間に合わない可能性があります。
Section 05

成年後見制度の申立てから開始までの期間が長くなる原因

長期化は制度そのものの遅さだけでなく、本人保護のために確認すべき事情が増えることから生じます。

成年後見制度の申立てから開始までの期間が長くなる原因は、裁判所が本人保護のために確認すべき事情が増えることに由来します。本人財産と相続財産が混在する、候補者が相続人でもある、親族間に争いがある、といった事情は確認の密度を高めます。

次の一覧は、長期化しやすい要素を5つに分けたものです。それぞれの要素が、補正、鑑定、候補者調整、専門職選任につながるかどうかを読み取ることで、申立て前に潰すべき課題が見えてきます。

書類不足と補正

戸籍、住民票、候補者資料、診断書、本人情報シート、財産資料、収支資料が不足すると補正を招きます。

診断書が不十分

本人が遺産分割協議を理解できない理由が分からない場合、追加資料や鑑定につながる可能性があります。

親族間対立

遺産分割、遺留分、生前贈与、名義預金、使い込み疑い、不動産評価をめぐる争いがあると慎重な検討が必要になります。

候補者に疑義

候補者が本人の預金を管理していた、本人財産から不自然な出金がある、親族間で対立している場合は調整に時間がかかります。

財産が複雑

複数不動産、共有不動産、未登記建物、非上場株式、事業用資産、海外資産、借入金や保証債務があると専門性の検討が必要です。

本人情報シートは、本人の生活状況、金銭管理能力、契約理解、支援体制を医師と家庭裁判所に伝える資料です。ソーシャルワーカー、介護支援専門員、相談支援専門員、病院・施設の相談員、地域包括支援センター、社会福祉協議会等の職員による作成が想定されています。

Section 06

成年後見制度の申立てから開始までの期間を短縮する方法

核心は、家庭裁判所が判断するために必要な情報を最初から過不足なく提出することです。

期間短縮では、申立ての目的を相続手続に即して具体化することが重要です。単に本人が認知症だから後見人を付けたいと書くのではなく、被相続人、本人、共同相続人、止まっている手続、迫っている期限、必要な権限を整理します。

次の判断の流れは、申立て準備で確認する順番を示しています。上から下へ進めることで、家庭裁判所、弁護士、司法書士、税理士、医師、福祉職の認識をそろえやすくなり、どこで資料不足や期限リスクが起きるかを読み取れます。

申立て準備で確認する順番

相続で後見人等が必要な理由を具体化

遺産分割、預貯金解約、相続登記、相続税申告、相続放棄、施設費支払などを整理します。

時系列と相続関係図を作成

死亡日、診断日、施設入所日、協議経緯、預金凍結日、各期限を1枚にまとめます。

診断書と本人情報シートを早めに手配

後見、保佐、補助のどれが相当か、遺産分割協議を理解できるかを資料で説明します。

争いあり
争点と証拠を隠さず整理

親族対立、使い込み疑い、候補者への反対、遺言の有効性争いを早期に示します。

争いなし
税務、登記、放棄を並行準備

後見開始を待つ間にも相続税、相続登記、相続放棄の期限管理を進めます。

申立書には、被相続人Aの相続で本人Bが共同相続人であること、遺産分割協議、預貯金解約、相続登記が止まっていること、相続税申告期限や相続放棄の熟慮期間が迫っていること、本人の施設費や医療費の支払に支障があること、不動産売却や居住用不動産処分許可の検討が必要であることなどを、事案に応じて整理します。

次の時系列は、並行処理で考える代表的な期限を示しています。成年後見の審理だけを待つのではなく、税務、登記、負債調査、財産資料収集を同時に進めることで、後見人等が選任された後の動き出しを早くできます。

すぐ

診断書、本人情報シート、戸籍、財産資料を手配

医療機関や福祉職への依頼には時間がかかるため、申立て準備の初期に動きます。

3か月

相続放棄や限定承認の熟慮期間を確認

負債が多い可能性がある相続では、熟慮期間伸長と財産調査の要否を検討します。

10か月

相続税申告の準備を後見開始前から進める

未分割申告、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例、名義預金、不動産評価を確認します。

3年

相続登記義務化の期限を意識する

戸籍、不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、法定相続情報一覧図を並行して整理します。

Section 07

成年後見制度の申立てと相続手続での専門職の役割分担

期間短縮と本人保護には、後見、相続税、相続登記、財産調査の連携が欠かせません。

相続に関する成年後見申立ては、単独の専門職だけで完結しないことが多いです。出発点は、「この相続で後見人等が必要な理由」と「どの期限が迫っているか」を共有することです。

次の比較表は、専門職・関係者ごとの主な役割と、成年後見申立て期間への関係をまとめたものです。相続税申告期限まで残り数か月なら税理士、相続登記期限が問題なら司法書士、相続人間で争いがあれば弁護士、診断書や本人情報シートが遅れそうなら医師と福祉職というように、先に動かすべき窓口を読み取れます。

専門職・関係者主な役割期間への関係
弁護士相続人間紛争、遺留分、使い込み疑い、交渉、調停、審判、訴訟、緊急対応争点整理、候補者調整、利益相反対応により長期化を防ぎます。
司法書士相続登記、戸籍収集、登記書類、裁判所提出書類作成支援書類不備を減らし、相続登記義務化に対応します。
税理士相続税申告、財産評価、税務代理、税務調査対応10か月期限から逆算して資料収集を進めます。
行政書士争いのない書類整理、遺産分割協議書、相続人関係説明図紛争がない範囲の書類整理を効率化します。
医師診断書、判断能力評価鑑定回避または類型判断の明確化に寄与します。
福祉職、施設相談員、地域包括支援センター本人情報シート、生活状況の説明本人の生活実態を裁判所と医師に伝えます。
不動産鑑定士、土地家屋調査士、宅地建物取引士不動産評価、境界確認、分筆、表示登記、売却支援不動産が相続財産の中心となる案件で有用です。
公認会計士、中小企業診断士、弁理士、社会保険労務士会社財務、事業承継、知的財産、遺族年金等非上場株式、会社、知的財産、年金が関係する場合に補完します。
金融機関、信託銀行、保険会社預金解約、保険金請求、遺言信託、必要書類確認審判確定後の実務を円滑にします。
家庭裁判所、書記官、調査官審理、調査、記録管理、審判、監督手続全体の判断主体です。
Section 08

成年後見制度の申立て期間を事例別にシミュレーション

争いの有無、負債、税務期限によって必要な見積りは大きく変わります。

成年後見制度の申立てから開始までの期間は、同じ相続でも事情によって大きく変わります。次の一覧では、典型的な4場面について、どの期間を見込み、どの専門職や手続を早く動かすべきかを読み取れるように整理しています。

1

争いのない遺産分割と相続登記

父が死亡し、母と子2人が相続人で、母は認知症により遺産分割協議を理解できない場面です。資料が整えば申立てから審判まで1か月から2か月程度で進む可能性がありますが、長男が母の後見人候補者かつ共同相続人であれば利益相反が問題になります。

3か月から5か月特別代理人に注意
2

使い込み疑いがある相続

親族対立、候補者適格性、本人財産と相続財産の区分、取引履歴の確認が問題となる場面です。専門職後見人や後見監督人が選任される可能性があります。

3か月から5か月6か月以上も想定
3

相続放棄期限が迫っている

本人が判断能力を欠き、本人の兄が死亡し、借金がある可能性がある場面です。本人が相続人であることを知ってから2か月半が経過している場合、成年後見申立てだけでは3か月の熟慮期間に間に合わない可能性があります。

即時対応熟慮期間伸長
4

相続税申告期限が迫っている

父が死亡し、相続税申告が必要で、母が認知症の共同相続人である場面です。申告期限まで残り5か月なら、後見人選任後に税務準備を始めるのでは間に合わない可能性があります。

残り5か月未分割申告を検討
Section 09

成年後見制度の申立て期間についてよくある誤解とFAQ

一般的な制度説明として、相続現場で誤解されやすい点を整理します。

Q 家族が遺産分割協議書を代筆すれば足りますか

一般的には、判断能力を欠く相続人について家族が遺産分割協議書を代筆しても、有効な意思表示とはいえない可能性があります。ただし、本人の判断能力、協議内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q 申立書に候補者を書けばその人が選ばれますか

一般的には、家庭裁判所は申立書に記載された候補者に拘束されず、本人の利益、財産状況、親族関係、紛争の有無、候補者の適格性を踏まえて後見人等を選任するとされています。ただし、候補者の状況や相続人間の利害関係によって判断は変わる可能性があります。

Q 審判が出れば同じ日に銀行で手続できますか

一般的には、審判後に確定、登記、証明書取得が必要になることがあります。金融機関や法務局で求められる資料は手続先によって異なります。具体的な必要書類や着手時期は、審判書、確定証明書、登記事項証明書などを確認し、関係機関や専門家へ相談する必要があります。

Q 後見人が選任されれば相続争いは終わりますか

一般的には、成年後見人は本人の利益を守る法定代理人であり、相続人全員の紛争を仲裁する立場ではありません。遺産分割で争いがある場合、交渉、調停、審判など別の手続が必要となる可能性があります。具体的な見通しは、争点や証拠を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q 本人が死亡した後も後見人が相続手続を全部進めますか

一般的には、成年後見制度は本人の生存中の保護制度であり、本人死亡後は後見の中心的職務は終了するとされています。死亡後の火葬、埋葬契約その他相続財産の保存に必要な行為について許可手続が問題となる場合はありますが、本人死亡後の相続手続全体は本人の相続人、遺言執行者、相続財産清算人等の問題に移ります。

Section 10

成年後見制度の申立てから開始までの期間は相続期限から逆算する

単純案件、通常案件、複雑案件で見積りを分けると実務上の遅れを避けやすくなります。

成年後見制度の申立てから開始までにかかる期間の目安は、統計上は2か月以内が多数であり、4か月以内に終局する事件が大半です。しかし、相続の現場では、申立前準備、審判確定、登記、証明書取得、金融機関や法務局での確認まで含めて考える必要があります。

次の重要ポイントは、単純案件、通常の相続案件、複雑案件の見積りをまとめたものです。自分の案件がどこに近いかを読み取り、相続税、相続放棄、相続登記の期限から逆算することが大切です。

単純案件は準備開始から2か月から4か月、通常の相続案件は3か月から5か月、複雑案件は6か月以上を見込む

期間を短縮するには、診断書、本人情報シート、戸籍、財産資料、収支資料を早期にそろえ、申立ての目的を相続手続に即して具体化し、親族対立や利益相反を隠さず整理する必要があります。

相続税申告、相続放棄、相続登記義務化の期限は、後見開始を待ってくれません。弁護士、司法書士、税理士を中心に、医師、福祉職、不動産、会社、金融の専門職を早期に連携させることが、本人の利益を守りながら相続手続を進めるための重要な準備になります。

Reference

この記事の参考資料

公的機関の資料を中心に、制度と期限の根拠を確認しています。

公的資料

  • 最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況(令和7年1月から12月)」
  • 法務省「成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A 法定後見制度について」
  • 裁判所「後見開始」
  • 厚生労働省「成年後見はやわかり ご本人・家族・地域のみなさまへ」
  • 裁判所「成年後見制度に関する審判」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
  • 裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」