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成年後見の申立てを
弁護士に依頼した場合の追加費用

相続で判断能力が低下した親や配偶者が相続人になると、成年後見の申立てが遺産分割や預貯金解約の前提になることがあります。裁判所費用、鑑定、弁護士費用、相続関連費用を分けて整理します。

800円 基本の申立手数料
3.4% 鑑定実施割合の目安
10万円以下 鑑定費用の大半
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成年後見の申立てを 弁護士に依頼した場合の追加費用

相続で判断能力が低下した親や配偶者が相続人になると、成年後見の申立てが遺産分割や預貯金解約の前提になることがあります。

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成年後見の申立てを 弁護士に依頼した場合の追加費用
相続で判断能力が低下した親や配偶者が相続人になると、成年後見の申立てが遺産分割や預貯金解約の前提になることがあります。
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  • 成年後見の申立てを 弁護士に依頼した場合の追加費用
  • 相続で判断能力が低下した親や配偶者が相続人になると、成年後見の申立てが遺産分割や預貯金解約の前提になることがあります。

POINT 1

  • 成年後見の申立てを弁護士に依頼した場合の追加費用の全体像
  • 最初に、どの費用が申立て固有の費用で、どこから相続案件の別費用になるのかを切り分けます。
  • 裁判所・書類・医療関係費用
  • 弁護士への申立代理費用
  • 遺産分割・登記・税務などの費用

POINT 2

  • 成年後見の申立てとは何か ― 相続で必要になる場面
  • 後見、保佐、補助の違いと、遺産分割で本人の代理人が必要になる理由を確認します。
  • 民法上は、本人の判断能力の程度に応じて、主に後見、保佐、補助に分かれます。
  • 後見は事理を弁識する能力を欠く常況にある人、保佐は判断能力が著しく不十分な人、補助は判断能力が不十分な人を対象とします。
  • 遺産分割協議は、相続人全員の合意を要する法律行為です。

POINT 3

  • 成年後見の申立て費用の基本 ― 裁判所費用と書類取得費
  • 収入印紙、郵便料、登記手数料、診断書、戸籍など、依頼の有無にかかわらず確認すべき費用です。
  • 郵便料は家庭裁判所ごとに異なるため、申立先の家庭裁判所で確認する必要があります。
  • 弁護士が資料収集を代行する場合、実費とは別に、取得代行手数料や事務手数料が発生することがあります。
  • 見積書では、戸籍収集が含まれるか、通数ごとの手数料か、郵送費は別か、遠方役所への請求が加算対象かを確認します。

POINT 4

  • 成年後見の申立てで鑑定費用が生じる場合
  • 診断書だけでは不明確
  • 判断能力の程度や、後見、保佐、補助のどの類型が相当かを診断書だけで判断しにくい場合です。
  • 本人や親族の反対
  • 本人が申立てに反対している、または親族間で本人の判断能力について見解が分かれている場合です。

POINT 5

  • 成年後見の申立てを弁護士に依頼した場合の弁護士費用
  • 親族から強い反対意見が出る
  • 上申書作成、事情説明、追加資料の整理が必要になり、申立書作成だけでは収まらないことがあります。
  • 過去の預金引出しを説明する
  • 通帳、領収書、介護費、施設費、生活費を分析し、使途を整理する別作業が生じることがあります。

POINT 6

  • 相続案件で成年後見の申立てに追加費用が増える理由
  • 1. 本人が共同相続人になる:遺産分割協議に本人の有効な関与が必要になります。
  • 2. 候補者も同じ相続人か確認:本人と候補者の取り分が競合するかを見ます。
  • 3. 特別代理人等を検討:別の申立てや専門職報酬が追加されることがあります。
  • 4. 通常の権限範囲を確認:代理権や同意権の範囲を確認して進めます。

POINT 7

  • 成年後見の申立て費用の負担者と支援制度
  • 1. 本人財産と申立人の支払余力を整理:預貯金、年金、施設費、診断書料、戸籍費用、弁護士費用を誰が準備できるか確認します。
  • 2. 委任契約上の依頼者を確認:弁護士費用を誰が負担する契約なのか、本人財産からの支出を予定するのかを明確にします。
  • 3. 報酬付与や支援制度を確認:後見人等報酬は家庭裁判所の審判で決まり、自治体支援は実施内容が地域で異なります。

POINT 8

  • 成年後見の申立てを弁護士に依頼する前の見積もり確認
  • 1. 診断書、介護資料、財産資料を集める:本人の診断書または主治医情報、介護保険認定資料、施設契約書、通帳、証券、保険、不動産資料、負債資料を整理します。
  • 2. 親族関係図と相続の概要をまとめる:推定相続人、死亡日、遺言書の有無、遺産の概要、相続税申告や金融機関から求められている書類を確認します。
  • 3. 急ぐ理由と対立事情を伝える

まとめ

  • 成年後見の申立てを 弁護士に依頼した場合の追加費用
  • 成年後見の申立てを弁護士に依頼した場合の追加費用の全体像:最初に、どの費用が申立て固有の費用で、どこから相続案件の別費用になるのかを切り分けます。
  • 成年後見の申立てとは何か ― 相続で必要になる場面:後見、保佐、補助の違いと、遺産分割で本人の代理人が必要になる理由を確認します。
  • 成年後見の申立て費用の基本 ― 裁判所費用と書類取得費:収入印紙、郵便料、登記手数料、診断書、戸籍など、依頼の有無にかかわらず確認すべき費用です。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

成年後見の申立てを弁護士に依頼した場合の追加費用の全体像

最初に、どの費用が申立て固有の費用で、どこから相続案件の別費用になるのかを切り分けます。

相続の現場では、認知症などで判断能力が低下した親や配偶者が相続人になっているため、遺産分割協議、預貯金の解約、不動産の売却、相続税申告の前提資料の整理が進まないことがあります。この場合、家庭裁判所に法定後見、保佐、補助の申立てを行い、本人を法的に支援する成年後見人等を選任してもらうことが検討されます。

成年後見の申立てを弁護士に依頼した場合の追加費用は、単に弁護士費用だけではありません。裁判所に納める手数料、戸籍や診断書などの取得費、必要に応じた鑑定費用、相続案件としての遺産分割や登記、税務、不動産評価、選任後の後見人等報酬まで、費用群ごとに支払時期と負担者が変わります。

次の重要ポイントは、成年後見の申立てを弁護士に依頼した場合の追加費用を総額で捉えるための結論を示しています。読者にとって重要なのは、申立代理費用だけを見て判断せず、相続問題全体のどの部分まで委任するのかを読み取ることです。

単純な申立てなら弁護士費用は十数万円から三十万円程度が一つの目安

ただし、相続人間の対立、使い込み疑い、多数の不動産、相続税申告、遺産分割調停、本人と候補者の利益相反がある場合は、申立て以外の専門職報酬や手続費用が重なります。

費用の見落としを防ぐには、費用を三つに分けると整理しやすくなります。次の3つの区分は、どの費用が弁護士に依頼しなくても発生し、どの費用が依頼によって増え、どの費用が相続案件として別に発生するのかを表しています。

必須または通常

裁判所・書類・医療関係費用

申立手数料、登記手数料、郵便料、戸籍等の取得費、診断書作成費などです。弁護士に頼まない場合でも通常発生します。

依頼で追加

弁護士への申立代理費用

相談料、着手金、報酬金、日当、実費精算、書類収集代行費、追加作業費などです。委任契約の範囲で大きく変わります。

相続で別途

遺産分割・登記・税務などの費用

遺産分割協議、調停、使い込み調査、特別代理人選任、相続登記、相続税申告、不動産評価などは別契約になりやすい費用です。

確認見積書に成年後見申立て一式と書かれていても、戸籍収集、財産資料の収集、親族説明、家庭裁判所面接同行、鑑定対応、相続人間の交渉、遺産分割協議書案、相続登記、税務申告まで含まれるとは限りません。
Section 01

成年後見の申立てとは何か ― 相続で必要になる場面

後見、保佐、補助の違いと、遺産分割で本人の代理人が必要になる理由を確認します。

成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害、高次脳機能障害などにより、財産管理や契約判断が難しくなった本人を法的に支援する制度です。民法上は、本人の判断能力の程度に応じて、主に後見、保佐、補助に分かれます。後見は事理を弁識する能力を欠く常況にある人、保佐は判断能力が著しく不十分な人、補助は判断能力が不十分な人を対象とします。

相続案件で問題になりやすいのは、本人が共同相続人であるにもかかわらず、遺産分割協議に必要な判断能力や意思表示能力を欠く場合です。遺産分割協議は、相続人全員の合意を要する法律行為です。本人が有効な合意をできない状態で、家族が代わりに署名押印すると、後から協議の有効性が争われる危険があります。

次の比較表は、後見、保佐、補助の入口を判断能力の程度で整理したものです。相続でどの手続が必要になるかは本人の状態に左右されるため、読者は名称だけでなく、代理権や同意権の付与が別途問題になる点を読み取る必要があります。

類型本人の状態の目安相続で問題になりやすい点
後見事理を弁識する能力を欠く常況成年後見人が法定代理人として関与しますが、利益相反がある遺産分割では別手続が必要になることがあります。
保佐判断能力が著しく不十分代理権付与や同意権追加の申立てが必要になる場合があり、印紙代や代理権の範囲を確認します。
補助判断能力が不十分本人の同意や代理権付与の範囲が重要で、相続手続に必要な権限が含まれるかを確認します。

申立人が希望した人が、必ず成年後見人等に選ばれるわけではありません。家庭裁判所は、本人の心身の状態、生活状況、財産状況、候補者との利害関係、本人の意向などを総合して選任します。相続で利益相反がある場合や親族間で対立がある場合は、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門職が選任されることがあります。

重要成年後見は相続手続のためだけの一時的な制度ではありません。本人の判断能力が回復する、本人が死亡する、または類型変更等が認められるまで続くのが基本です。
Section 02

成年後見の申立て費用の基本 ― 裁判所費用と書類取得費

収入印紙、郵便料、登記手数料、診断書、戸籍など、依頼の有無にかかわらず確認すべき費用です。

裁判所が公表している後見開始の案内では、申立てに必要な費用として、申立手数料の収入印紙800円分、連絡用の郵便切手または保管金、登記手数料の収入印紙2,600円分が示されています。郵便料は家庭裁判所ごとに異なるため、申立先の家庭裁判所で確認する必要があります。

次の表は、裁判所関係費用の代表的な項目を金額、発生時期、注意点で整理したものです。読者にとって重要なのは、手数料自体は大きくなくても、保佐や補助の追加申立て、郵便料、鑑定の有無で支出が変わる点を読み取ることです。

費用項目金額の目安発生時期注意点
申立手数料800円申立時後見開始、保佐開始、補助開始の基本手数料です。
登記手数料2,600円申立時後見等登記のための手数料です。
連絡用郵便料数千円程度申立時家庭裁判所により異なります。
保佐、補助の代理権付与等申立てごとに800円申立時代理権付与、同意権付与などで加算されます。
鑑定費用多くは10万円以下必要と判断された場合本人の精神の状況を確認するため、事案ごとに異なります。

申立てには、本人の戸籍謄本、住民票または戸籍附票、後見人等候補者の住民票または戸籍附票、本人の診断書、本人情報シートの写し、健康状態に関する資料、本人について成年後見等の登記がされていないことの証明書、財産目録、収支予定表などが必要になります。

次の一覧は、書類取得費と医療関係費用が増えやすい事情を整理しています。相続案件では、本人だけでなく亡くなった人や相続人全員の資料が必要になるため、読者はどの資料が追加作業につながるかを読み取ることが大切です。

1

戸籍・住所資料

本人の親族関係を説明するため、複数世代の戸籍、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の住所資料が必要になることがあります。

書類取得
2

医療・生活資料

成年後見制度用の診断書、本人情報シート、健康状態に関する資料は、本人の日常生活や社会生活の状況を裁判所に伝える資料になります。

医療関係
3

財産・相続資料

不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金、証券、保険、貸金庫、負債の資料などが増えると、取得実費と整理作業が増えます。

相続資料

弁護士が資料収集を代行する場合、実費とは別に、取得代行手数料や事務手数料が発生することがあります。見積書では、戸籍収集が含まれるか、通数ごとの手数料か、郵送費は別か、遠方役所への請求が加算対象かを確認します。

Section 03

成年後見の申立てで鑑定費用が生じる場合

鑑定はすべての事件で行われるわけではありませんが、実施されると数万円から十万円程度の追加負担になり得ます。

鑑定とは、家庭裁判所が本人の精神の状況を判断するため、医師に医学的評価を求める手続です。弁護士に依頼した場合でも、鑑定を不要にできるとは限りません。弁護士ができるのは、診断書、本人情報シート、生活状況資料、財産資料、親族事情説明を整理し、裁判所が判断しやすい形にすることです。

次の横棒グラフは、成年後見関係事件における鑑定実施割合と、鑑定費用の分布を示す公表統計の要点です。割合の母集団が異なるため単純比較ではなく、読者は鑑定の頻度は高くない一方、実施されると10万円以下の範囲で追加負担が生じやすい点を読み取ってください。

鑑定実施
3.4%
5万円以下
43.7%
10万円以下
85.8%
鑑定実施割合は終局事件に占める割合、費用割合は鑑定が行われた事件の費用分布を示す目安です。

次の注意要素の一覧は、鑑定が検討されやすい典型事情をまとめたものです。判断能力や親族関係に争いがあると資料整理の重要性が増すため、読者はどの事情が追加費用や期間に影響しやすいかを確認してください。

診断書だけでは不明確

判断能力の程度や、後見、保佐、補助のどの類型が相当かを診断書だけで判断しにくい場合です。

本人や親族の反対

本人が申立てに反対している、または親族間で本人の判断能力について見解が分かれている場合です。

財産や相続の影響が大きい

財産規模が大きい、遺産分割、贈与、財産処分、使い込み疑いが背景にある場合です。

Section 04

成年後見の申立てを弁護士に依頼した場合の弁護士費用

弁護士費用は自由化されており、事務所、地域、事案の複雑さ、業務範囲で異なります。

日弁連の市民向け弁護士報酬ガイドでは、認知症高齢者を抱える家族から委任を受けて法定後見申立てをした例につき、弁護士アンケート上の代表的な金額として、着手金20万円や10万円、報酬金10万円や20万円が掲載されています。これは公定料金ではありませんが、依頼前に相場感を持つための参考になります。

次の表は、成年後見の申立てを弁護士に依頼した場合に見積書へ出やすい費用名目を整理したものです。読者にとって重要なのは、同じ申立代理でも、親族説明、医師調整、面接同行、相続財産調査が含まれるかで総額が変わる点です。

費用名目内容確認すべき点
相談料初回相談無料、30分または1時間ごとの有料相談などがあります。家族関係図、財産目録、診断書、戸籍、遺言書、不動産資料まで見てもらえる時間かを確認します。
着手金申立書作成、必要書類の整理、事情説明書、財産目録、裁判所提出、照会対応などの開始時費用です。親族説明、遠方出張、医師調整、相続財産調査、金融機関対応が含まれるかを確認します。
報酬金申立てが認められた場合や、後見人等の選任結果が得られた場合に発生することがあります。希望候補者が選任されなかった場合にも発生するかを契約書で確認します。
実費収入印紙、郵便料、戸籍等取得費、診断書料、コピー代、郵送費、交通費などです。立替精算方式か、依頼時に概算実費を預ける方式かを確認します。
日当・出張費遠方施設、医師面談、家庭裁判所面接、遠方裁判所への同行で発生することがあります。半日、一日などの単位、交通費や宿泊費との関係を確認します。
追加作業費反対意見対応、証拠整理、候補者不適格への対応、財産資料不足の補充などです。追加作業の条件、単価、事前承諾の有無を確認します。

次の注意要素の一覧は、弁護士費用で想定外の追加作業になりやすい事情を示します。費用トラブルを防ぐには、どの事情が発生したら別料金になるのかを、依頼前に読み取れる形で見積書へ反映してもらうことが重要です。

親族から強い反対意見が出る

上申書作成、事情説明、追加資料の整理が必要になり、申立書作成だけでは収まらないことがあります。

過去の預金引出しを説明する

通帳、領収書、介護費、施設費、生活費を分析し、使途を整理する別作業が生じることがあります。

相続財産の範囲に争いがある

金融機関、不動産、保険、債務の調査が広がると、遺産分割や返還請求の別契約に移ることがあります。

Section 05

相続案件で成年後見の申立てに追加費用が増える理由

申立て自体は定型的でも、相続と結びつくと遺産分割、利益相反、不動産、税務、使い込み調査が重なります。

成年後見申立ては、単独では比較的定型的な家庭裁判所手続です。しかし相続が絡むと、成年後見申立ての目的が単なる本人保護ではなく、遺産分割、預貯金解約、不動産処分、相続税申告、親族間紛争の解決と結びつきます。

次の横棒グラフは、成年後見関係事件の主な申立て動機の割合を示します。読者にとって重要なのは、預貯金管理や身上保護だけでなく、不動産処分や相続手続も成年後見申立ての大きな背景になっている点を読み取ることです。

預貯金等
93.4%
身上保護
74.2%
不動産処分
36.3%
相続手続
25.6%
主な申立て動機の公表割合です。複数動機があり得るため、合計は100%になりません。

遺産分割協議は別業務になりやすい

成年後見申立てを弁護士に依頼しても、遺産分割協議そのものが当然に含まれるわけではありません。遺産分割では、相続人の範囲、遺産の範囲、寄与分、特別受益、不動産評価、預金の使途、生命保険、債務、税務などが問題になります。対立があれば、交渉、調停、審判まで進むことがあります。

使い込み疑いがある場合は調査費用が増える

親の預金から多額の引出しがある、同居親族が通帳を管理していた、介護費と生活費の区別が不明、贈与なのか無断引出しなのか分からない場合は、預金履歴、領収書、介護記録、施設費、生活費、本人の意思能力を分析する必要があります。後見人選任後、本人の財産回復のために返還請求や訴訟が検討されることもあります。

次の判断の流れは、本人と後見人候補者が同じ相続の共同相続人になる場面を整理したものです。利益相反があると、候補者が本人を代理して遺産分割を進められない可能性があるため、読者はどこで特別代理人等の追加手続を検討するのかを読み取ってください。

利益相反がある場合の確認順序

本人が共同相続人になる

遺産分割協議に本人の有効な関与が必要になります。

候補者も同じ相続人か確認

本人と候補者の取り分が競合するかを見ます。

該当する
特別代理人等を検討

別の申立てや専門職報酬が追加されることがあります。

該当しない
通常の権限範囲を確認

代理権や同意権の範囲を確認して進めます。

不動産と相続税は別専門職の費用が発生しやすい

不動産が相続財産に含まれる場合、司法書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、宅地建物取引士、不動産仲介業者が関与する可能性があります。相続登記は令和6年4月1日から義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から原則3年以内に登記申請が必要になりました。

相続税が発生する可能性がある場合、相続税申告、財産評価、税務代理、税務調査対応は税理士の専門領域です。成年後見申立てが遅れると、遺産分割協議が進まず、相続税申告期限に影響することがあります。未分割申告、配偶者税額軽減、小規模宅地等の特例などが絡む場合は、早期に税理士と連携する必要があります。

Section 06

成年後見の申立て費用の負担者と支援制度

申立人が当初準備する費用、本人財産から支払われることがある費用、依頼者負担の費用を区別します。

成年後見申立てに関する費用は、まず申立人が準備するのが通常です。申立手数料、郵便料、診断書料、戸籍等取得費、弁護士費用は、申立てを行う側が当初負担することが多いです。ただし、費用の性質によって最終的な負担関係は異なります。

次の表は、成年後見の申立てを弁護士に依頼した場合の費用負担を、当初負担者と最終負担の考え方に分けたものです。読者にとって重要なのは、家族が依頼した弁護士費用を本人の財産から当然に支払えるわけではない点を読み取ることです。

費用当初負担者最終負担の考え方
申立手数料、登記手数料、郵便料申立人申立手続費用として処理されます。本人負担の可否は個別確認が必要です。
診断書料、戸籍等取得費多くは申立人本人保護に必要な費用か、申立人の便宜かで整理が必要です。
鑑定費用申立人が予納することがあります裁判所の扱い、審判内容、後見人の判断により確認します。
弁護士への申立代理費用依頼者原則として委任契約上の依頼者負担です。本人財産から当然に支払えるとは限りません。
選任後の後見人等報酬本人財産家庭裁判所の報酬付与審判により決定されます。
遺産分割交渉、調停、訴訟費用依頼者成年後見申立てとは別契約になることが多い費用です。

費用負担に不安がある場合、法テラスの民事法律扶助や、市町村の成年後見制度利用支援事業を検討します。民事法律扶助は、経済的に余裕がない人に無料法律相談や弁護士、司法書士費用の立替えを行う制度です。収入や資産、見込み、制度趣旨などの条件があります。

次の時系列は、費用負担を確認する順番を示しています。支払時期を先に整理しないと、申立後に本人財産から払えると思っていた費用が依頼者負担になることがあるため、読者は相談前、契約前、選任後の確認点を順番に読み取ってください。

相談前

本人財産と申立人の支払余力を整理

預貯金、年金、施設費、診断書料、戸籍費用、弁護士費用を誰が準備できるか確認します。

契約前

委任契約上の依頼者を確認

弁護士費用を誰が負担する契約なのか、本人財産からの支出を予定するのかを明確にします。

選任後

報酬付与や支援制度を確認

後見人等報酬は家庭裁判所の審判で決まり、自治体支援は実施内容が地域で異なります。

Section 07

成年後見の申立てを弁護士に依頼する前の見積もり確認

単純事案、相続手続目的、親族対立ありの事案で、どの費用が増えるかを比較します。

成年後見の申立てを弁護士に依頼した場合の費用感は、地域、事務所、財産額、親族関係、管轄裁判所、業務範囲により変わります。単純な後見開始申立てでは、裁判所費用等の実費に加えて、弁護士費用として十数万円から三十万円程度を見込むことが多い一方、相続紛争が絡むと別契約の費用が中心になることがあります。

次の比較表は、典型的な3つの事案ごとに、追加されやすい費用を整理したものです。読者は、自分の案件が単純な申立てなのか、相続手続の入口なのか、親族対立を含む紛争型なのかを見分け、見積もり範囲を確認してください。

類型主な前提追加されやすい費用見積もりの見方
単純な後見開始申立て診断書上も後見相当が明確、親族間に争いがなく、財産は預貯金と年金中心裁判所費用、診断書、戸籍等取得費、弁護士費用十数万円から三十万円程度、鑑定不要のことが多い申立代理の着手金や報酬金が中心です。
相続手続を進めるための申立て父が死亡し、母が認知症で相続人となり、不動産、預貯金、証券がある出生から死亡までの戸籍、財産資料、相続人間調整、司法書士費用、税理士費用、特別代理人費用成年後見申立ては相続手続の入口にすぎません。
親族間で対立がある事案預金の使い込み疑い、候補者への反対、判断能力について親族間の見解差がある反対意見対応、上申書、証拠整理、鑑定費用、交渉、調停、審判、訴訟、専門職後見人報酬申立代理費用より、相続紛争対応の費用が主になることがあります。

次の確認一覧は、弁護士に依頼する前に見積書または委任契約書で見るべき15項目です。項目ごとの含む、含まないを確認することで、申立て後にそこまで含まれていないと言われるリスクを下げられます。

番号確認項目
1業務範囲は成年後見申立てのみか、保佐、補助、代理権付与、同意権付与まで含むか
2戸籍、住民票、登記事項証明書、登記されていないことの証明書の取得代行が含まれるか
3診断書取得や本人情報シート作成支援が含まれるか
4医師、施設、ケアマネジャー、親族との連絡調整が含まれるか
5財産目録、収支予定表、相続財産目録の作成支援が含まれるか
6家庭裁判所への提出、照会対応、面接同行が含まれるか
7鑑定が必要になった場合の追加対応費用があるか
8親族の反対意見への対応が含まれるか
9候補者が選任されなかった場合の報酬発生条件は何か
10弁護士が後見人等に選任された場合、申立代理費用とは別に後見人報酬が発生するか
11遺産分割協議、調停、審判、訴訟は別契約か
12使い込み調査や返還請求は別契約か
13特別代理人選任、居住用不動産処分許可、報酬付与申立てなど後続手続は別料金か
14税理士、司法書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士等の費用は別か
15消費税相当額、日当、交通費、郵送費、コピー代、翻訳費等の扱いはどうなるか

次の時系列は、相談前に用意する情報と、相談時に伝える事情の順番を表しています。事前整理が進むほど専門職の作業時間を短縮しやすく、読者は資料準備、目的確認、対立事情の共有という順番で確認すると実務上の抜けを減らせます。

資料準備

診断書、介護資料、財産資料を集める

本人の診断書または主治医情報、介護保険認定資料、施設契約書、通帳、証券、保険、不動産資料、負債資料を整理します。

相続整理

親族関係図と相続の概要をまとめる

推定相続人、死亡日、遺言書の有無、遺産の概要、相続税申告や金融機関から求められている書類を確認します。

争点共有

急ぐ理由と対立事情を伝える

預貯金解約、不動産売却、施設入所契約、相続税申告のどれが急務か、使い込み疑い、反対者、本人と候補者の利害関係を伝えます。

Section 08

成年後見と相続の専門職連携・FAQ

弁護士だけで完結しない費用と、よくある誤解を一般情報として整理します。

成年後見と相続が交差する案件では、弁護士だけで全ての手続が完結するとは限りません。次の表は、専門職ごとの主な役割と費用が別になりやすい場面を整理したものです。読者は、誰に何を依頼するかを切り分けることで、二重依頼や見積もり漏れを防ぐ視点を読み取ってください。

専門職主な役割費用が別になりやすい場面
弁護士申立代理、相続紛争、交渉、調停、審判、訴訟、使い込み対応申立て後の遺産分割調停、返還請求、特別代理人対応
司法書士相続登記、登記書類、裁判所提出書類作成不動産の名義変更、相続登記義務化対応
税理士相続税申告、財産評価、税務調査対応相続税申告期限が迫る場合、未分割申告が必要な場合
行政書士遺産分割協議書等の書類作成紛争がなく、税務、登記、代理交渉を伴わない場合
不動産鑑定士不動産価格評価遺産分割で不動産評価が争点になる場合
土地家屋調査士境界、分筆、表示登記土地を分ける、境界を明確にする場合
宅地建物取引士、不動産仲介業者不動産売却換価分割、施設費捻出のための売却
社会福祉士、ケアマネジャー本人情報シート、生活状況把握、福祉支援本人の生活実態を診断書や申立資料に反映する場合
ファイナンシャル・プランナー資金計画、保険、老後資金の整理全体設計や専門職連携を整理する場合

弁護士に頼めば裁判所費用は不要になりますか

一般的には、弁護士に依頼しても収入印紙、郵便料、診断書料、戸籍等取得費、鑑定費用などの実費は別途必要とされています。ただし、事務所が実費を一時的に立て替えるか、依頼時に概算実費を預かるかは契約内容で変わります。具体的な支払方法は見積書と委任契約書で確認する必要があります。

後見人候補者に家族を書けば必ず選ばれますか

一般的には、家庭裁判所が本人の利益を中心に、候補者の適格性、財産状況、親族関係、利害対立の有無を考慮して選任するとされています。ただし、相続で争いがある場合や本人と候補者の利益が対立する場合は、専門職が選任される可能性があります。個別の見通しは資料を整理したうえで弁護士等へ相談する必要があります。

相続が終われば成年後見も終わりますか

一般的には、法定後見は相続手続のためだけの一時的制度ではなく、本人の判断能力が回復する、本人が死亡する、または類型変更等が認められるまで続くとされています。ただし、本人の状態や家庭裁判所の判断によって具体的な対応は変わります。申立て前に制度利用後の継続費用も確認する必要があります。

相続税申告や相続登記も弁護士費用に含まれますか

一般的には、相続税申告は税理士、相続登記は司法書士が主に担当し、成年後見申立ての弁護士費用に当然含まれるものではないとされています。ただし、弁護士が窓口として連携する場合や、各専門職の紹介を受ける場合があります。具体的な費用範囲は委任契約ごとに確認する必要があります。

最終的に何を基準に総費用を見ればよいですか

一般的には、総費用は裁判所費用、書類取得費、医療関係費用、鑑定費用が必要な場合の鑑定料、弁護士の申立代理費用、相続案件として別途必要な専門職費用、後見開始後に発生する後見人等報酬に分けて把握すると整理しやすいとされています。ただし、本人の判断能力、財産状況、親族関係、管轄家庭裁判所の運用、税務、登記、不動産事情により結論は変わります。

結論依頼前に確認すべき核心は、成年後見申立ての見積もりだけではなく、相続問題全体の中で成年後見申立てがどの位置にあり、どこまでを今回の委任契約に含めるのかです。

相続人間で争いがある場合、本人の財産が高額である場合、不動産や会社株式がある場合、相続税申告期限が迫っている場合、本人と候補者の利益が相反する場合には、弁護士を中心に、司法書士、税理士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、社会福祉関係者と連携して、最初から総費用を設計することが重要です。

この記事は、成年後見申立てと相続に関する一般的な法制度、実務上の費用構造、専門職連携の考え方を整理した情報提供です。個別案件では、本人の判断能力、財産状況、親族関係、管轄家庭裁判所の運用、弁護士との委任契約、税務、登記、不動産事情により結論が異なります。実際の申立てや費用負担を判断する際は、申立先の家庭裁判所、弁護士、司法書士、税理士、自治体窓口等に確認してください。

Reference

この記事の参考資料

公的機関、制度案内、統計資料、法令、職能団体資料をもとに整理しています。

裁判所・法令

  • 裁判所「後見開始」
  • 裁判所「成年後見制度」
  • 東京家庭裁判所「成年後見制度(後見・保佐・補助)」
  • e-Gov法令検索「民法」

制度案内・統計

  • 厚生労働省「成年後見はやわかり 法定後見制度とは」
  • 厚生労働省「成年後見制度利用促進」
  • 最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況 令和7年1月から12月」

費用・関連制度

  • 日本弁護士連合会「市民のための弁護士報酬ガイド」
  • 法テラス「民事法律扶助業務」
  • 法テラス「弁護士・司法書士費用等の立替制度のご利用の流れ」
  • 法務省「相続登記の義務化」