2σ Guide

値動きの激しい銘柄を相続した場合
申告価格はいつの株価か

上場株式の相続税評価は、死亡日の終値だけでなく、死亡月、前月、前々月の終値月平均額を比較します。申告期限、遺産分割日、売却日との違いも整理します。

4価額死亡日と3つの月平均
10か月原則の申告・納税期限
3年取得費加算で確認する譲渡期間
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値動きの激しい銘柄を相続した場合 申告価格はいつの株価か

上場株式の相続税評価は、死亡日の終値だけでなく、死亡月、前月、前々月の終値月平均額を比較します。

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値動きの激しい銘柄を相続した場合 申告価格はいつの株価か
上場株式の相続税評価は、死亡日の終値だけでなく、死亡月、前月、前々月の終値月平均額を比較します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 値動きの激しい銘柄を相続した場合 申告価格はいつの株価か
  • 上場株式の相続税評価は、死亡日の終値だけでなく、死亡月、前月、前々月の終値月平均額を比較します。

POINT 1

  • 値動きの激しい銘柄の相続税評価は4価額比較で決まる
  • 死亡日、死亡月、前月、前々月の価格を比べ、最も低い価額を基準にします。
  • 相続税評価額 = 採用する1株当たり評価単価 × 相続開始時点の保有株数
  • 値動きの激しい銘柄を相続した場合でも、上場株式の相続税評価は、原則として被相続人の死亡の日を課税時期として行います。
  • 相続後に暴落していても、原則として死亡日を起点に評価します。

POINT 2

  • 上場株式の相続評価で申告期限の株価を使わない理由
  • 課税時期、申告期限、遺産分割日、売却日の目的を分けて整理します。
  • 死亡による相続開始
  • 取得時の時価
  • 10か月以内の申告

POINT 3

  • 値動きの激しい銘柄の4価額比較と計算例
  • 1,000株の例を使い、採用単価と評価額の違いを確認します。
  • 4価額比較は、死亡日の終値だけでは高すぎる、または低すぎる場合に、一定期間の価格水準も反映する仕組みです。
  • A社株式を1,000株保有していた場合、6,500円に1,000株を乗じ、評価額は6,500,000円です。
  • この制度は、相続後に下落したから下落後の価格を自由に使える制度ではありません。

POINT 4

  • 値動きの激しい銘柄の相続で誤りやすい評価時点
  • 死亡時刻の株価を使う誤り
  • 午前に亡くなったから始値、午後に亡くなったから翌営業日という考え方ではなく、原則として死亡日の終値を確認します。
  • 名義変更日を使う誤り
  • 証券口座の名義変更は数か月後になることがありますが、名義変更日は相続税評価の基準日ではありません。

POINT 5

  • 上場株式の相続評価で終値なし・権利落ちがある場合
  • 休日、売買停止、配当落ち、株式分割、複数市場上場では追加確認が必要です。
  • 死亡日が土曜日、日曜日、祝日、年末年始、取引停止日である場合、課税時期に最終価格が存在しないことがあります。
  • どの取引所を選んだか、死亡日の終値、死亡月、前月、前々月の月平均額がどのような数値かを資料として保存しておくことが重要です。

POINT 6

  • 外国株式・投資信託・非上場株式の相続評価は別確認
  • 証券口座内の資産でも、上場株式と同じ4価額比較だけで足りないことがあります。
  • 価格と為替を分けて確認
  • 上場商品でも内容を確認
  • 基準価額と手数料を確認

POINT 7

  • 相続税評価額と遺産分割・売却価格は分けて考える
  • 税務評価、相続人間の公平、譲渡所得税は目的が異なります。
  • 相続税申告に使う評価額と、相続人間で遺産を分けるための評価額は一致しなくても構いません。
  • 相続後すぐに株式を売却する場合、相続税評価とは別に譲渡所得税を確認します。
  • 税務上は相続開始時点の評価額と売却時の譲渡所得計算を分け、分割上は価格変動リスクを誰が負担するかを明確にすることが重要です。

POINT 8

  • 値動きの激しい銘柄の申告で保存すべき資料
  • 残高証明書、月間相場表、為替資料、売却報告書を根拠として残します。
  • 証券会社の資料を補う場合、日本取引所グループの月間相場表が重要です。
  • 価格データを調べるときは、次の項目を記録しておくと説明しやすくなります。
  • 税務調査や相続人間紛争では、どの価格を採用したかだけでなく、なぜその価格を採用したかを説明できることが重要です。

まとめ

  • 値動きの激しい銘柄を相続した場合 申告価格はいつの株価か
  • 値動きの激しい銘柄の相続税評価は4価額比較で決まる:死亡日、死亡月、前月、前々月の価格を比べ、最も低い価額を基準にします。
  • 上場株式の相続評価で申告期限の株価を使わない理由:課税時期、申告期限、遺産分割日、売却日の目的を分けて整理します。
  • 値動きの激しい銘柄の4価額比較と計算例:1,000株の例を使い、採用単価と評価額の違いを確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

値動きの激しい銘柄の相続税評価は4価額比較で決まる

死亡日、死亡月、前月、前々月の価格を比べ、最も低い価額を基準にします。

値動きの激しい銘柄を相続した場合でも、上場株式の相続税評価は、原則として被相続人の死亡の日を課税時期として行います。死亡日の終値だけで決めるのではなく、死亡日の終値、死亡月、前月、前々月の終値月平均額を比較し、最も低い価額を1株当たり評価単価として使うのが基本です。

次の比較表は、申告で確認する4つの価額を整理したものです。どの時点の価格を採用するかは納税額や申告要否に直結するため、列の左側で比較対象を確認し、右側でその意味を読み取ることが重要です。

比較する価額意味
課税時期の最終価格被相続人の死亡の日に金融商品取引所が公表した終値
死亡月の終値月平均額死亡月における毎日の終値の平均額
死亡月の前月の終値月平均額死亡月の1か月前における毎日の終値の平均額
死亡月の前々月の終値月平均額死亡月の2か月前における毎日の終値の平均額

申告期限の日、遺産分割協議が成立した日、証券口座の名義変更日、相続人が実際に売却した日の株価を、そのまま相続税申告の評価額にするわけではありません。相続後に暴落していても、原則として死亡日を起点に評価します。反対に、相続後に急騰していても、急騰後の売却価格へ置き換えるわけではありません。

ただし、死亡日に終値がない場合、権利落ちや配当落ち、株式分割、株式併合、スピンオフ、上場廃止、外国株式、投資信託、非上場株式、遺産分割上の公平性が問題になる場合は追加確認が必要です。

結論だけを先に整理すると、評価単価と保有株数の関係を次の式で押さえることが重要です。この式は、価格変動に振り回されず、どの資料を集めるべきかを判断する出発点になります。

相続税評価額 = 採用する1株当たり評価単価 × 相続開始時点の保有株数

採用する1株当たり評価単価は、死亡日の終値、死亡月、前月、前々月の終値月平均額のうち最も低い価額です。

Section 01

上場株式の相続評価で申告期限の株価を使わない理由

課税時期、申告期限、遺産分割日、売却日の目的を分けて整理します。

「いつまでに申告するか」と「どの時点の株価で評価するか」は別の概念です。相続税の申告期限は、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内ですが、株式評価の基準日は原則として相続開始日です。

次の比較表は、相続開始日、課税時期、申告期限、遺産分割日、売却日の違いを示しています。各時点の目的が違うため、右列を見て、相続税評価に直接使う日と、別の税務や分割調整に関わる日を区別してください。

概念意味株式評価との関係
相続開始日被相続人が死亡した日相続税評価の基準日となる
課税時期財産を取得した時点を評価するための基準時上場株式では死亡日が中心となる
申告期限相続税申告書を提出し、納税する期限原則として死亡を知った日の翌日から10か月以内
遺産分割日相続人間で誰が何を取得するかを決める日相続税評価とは目的が異なる
売却日相続人が株式を売った日譲渡所得税、納税資金、相続人間の精算に関係する

法律上は、民法が相続は死亡によって開始すると定め、相続税法は、特別の定めがある場合を除き、取得の時における時価によるという評価原則を置いています。もっとも、すべての財産を個別鑑定で決めると公平性や事務処理の安定性が損なわれるため、上場株式では財産評価基本通達168から172を中心に評価方法が整理されています。

このような根拠関係は、申告書や相続人間の説明で必要になることがあります。次の一覧は、評価の出発点と実務で確認する資料をつなげて見るためのものです。

起点

死亡による相続開始

相続税評価の基準は、原則として被相続人の死亡の日です。死亡時刻の約定価格や翌営業日の価格へ直ちに置き換えるわけではありません。

評価

取得時の時価

相続税法上の評価原則を踏まえつつ、上場株式では財産評価基本通達に沿った4価額比較を行います。

期限

10か月以内の申告

申告期限は提出と納税の期限です。申告期限時点の株価を評価額にするルールではありません。

Section 02

値動きの激しい銘柄の4価額比較と計算例

1,000株の例を使い、採用単価と評価額の違いを確認します。

4価額比較は、死亡日の終値だけでは高すぎる、または低すぎる場合に、一定期間の価格水準も反映する仕組みです。特定の日の価格が決算発表、信用需給、材料報道、上場廃止懸念、ストップ高、ストップ安などで大きく振れることがあるため、死亡月、前月、前々月の月平均額も比較します。

次の比較表は、死亡日の終値が高いものの、前々月の月平均額が最も低い例です。左列で価格区分を確認し、右列で最も低い6,500円を採用する流れを読み取ることが大切です。

価格区分1株当たり価額
死亡日の終値10,000円
2026年5月の終値月平均額8,200円
2026年4月の終値月平均額12,000円
2026年3月の終値月平均額6,500円

A社株式を1,000株保有していた場合、6,500円に1,000株を乗じ、評価額は6,500,000円です。死亡日の終値10,000円だけで評価すると10,000,000円となるため、4価額比較の確認漏れは課税価格や納税資金に大きく影響します。

次の比較表は、死亡日の終値が最も低い例です。相続後に7,000円まで急騰していても、相続税評価では死亡日の4,000円を基準に保有株数を乗じるのが基本であることを読み取ってください。

価格区分1株当たり価額
死亡日の終値4,000円
死亡月の終値月平均額5,200円
前月の終値月平均額5,800円
前々月の終値月平均額6,100円

この制度は、相続後に下落したから下落後の価格を自由に使える制度ではありません。比較できるのは、財産評価基本通達が認める死亡日、死亡月、前月、前々月という枠内の価額です。相続開始日から3か月後、6か月後、申告直前の株価は、原則として4価額比較の対象ではありません。

Section 03

値動きの激しい銘柄の相続で誤りやすい評価時点

死亡時刻、名義変更日、売却日、分割上の合意額を混同しないことが重要です。

値動きの激しい銘柄では、日々の価格変動に目を奪われ、評価時点を取り違えやすくなります。次の一覧は代表的な誤解を並べたもので、各項目の見出しが誤りの種類、本文が確認すべき正しい整理を示しています。

死亡時刻の株価を使う誤り

午前に亡くなったから始値、午後に亡くなったから翌営業日という考え方ではなく、原則として死亡日の終値を確認します。

名義変更日を使う誤り

証券口座の名義変更は数か月後になることがありますが、名義変更日は相続税評価の基準日ではありません。

売却価格をそのまま使う誤り

相続後の売却価格は譲渡所得税や納税資金に関係しますが、相続税評価額そのものではありません。

遺産分割の合意額と混同する誤り

相続人間で分割時点の時価を参考にすることはありますが、その合意額が当然に申告上の評価額になるわけではありません。

全商品に同じ方法を当てはめる誤り

上場株式、ETF、REIT、投資信託、外貨建て株式、非上場株式、新株予約権は評価方法が異なることがあります。

これらの誤りは、相続税評価、遺産分割、譲渡所得税という別々の問題を一つにまとめてしまうことから生じます。証券会社の残高証明書、評価明細に必要な価格資料、売却報告書を分けて保管することが、後日の説明にも役立ちます。

Section 04

上場株式の相続評価で終値なし・権利落ちがある場合

休日、売買停止、配当落ち、株式分割、複数市場上場では追加確認が必要です。

死亡日が土曜日、日曜日、祝日、年末年始、取引停止日である場合、課税時期に最終価格が存在しないことがあります。次の比較表は、死亡日に終値がないときの典型場面を整理したもので、右列から、常に前営業日だけを見るわけではない点を確認してください。

死亡日状況基本的な考え方
土曜日取引所が休場金曜日または翌営業日の終値を確認し、近い日を用いる
日曜日取引所が休場金曜日と月曜日が同じ距離になる場合、平均額となることがある
祝日取引所が休場前後の最も近い営業日の終値を確認する
個別銘柄の売買停止終値がない通達上の最終価格の特例や個別事情を確認する

死亡日前後に配当落ち、株式分割、株式併合、無償割当、スピンオフ、株式移転、上場廃止、TOBがある場合は、単なる市場変動ではなく、株式の権利内容や経済的価値の構成が変わることがあります。次の一覧では、左列にイベント、右列に実務上の確認事項を示しています。

イベント実務上の確認事項
配当落ち未収配当金、配当期待権、株価修正の要否
株式分割死亡時点の保有株数、権利確定日、効力発生日、分割比率
株式併合併合前後の株数と単価の対応
新株予約権無償割当株式本体と権利の評価区分
スピンオフ分離後の価値配分、相場表の表示、受け取る株式または権利
TOB公開買付価格と市場価格の関係、応募済みか未応募か
上場廃止廃止前後の最終価格、取引可能性、評価区分の変更

複数の金融商品取引所、具体的には国内の2以上の金融商品取引所に上場されている株式では、納税義務者が選択した金融商品取引所の公表価格を用いる扱いがあります。どの取引所を選んだか、死亡日の終値、死亡月、前月、前々月の月平均額がどのような数値かを資料として保存しておくことが重要です。

Section 05

外国株式・投資信託・非上場株式の相続評価は別確認

証券口座内の資産でも、上場株式と同じ4価額比較だけで足りないことがあります。

外国株式では、市場価格だけでなく円換算も問題になります。次の比較表は、外国株式の評価で確認する項目を整理したもので、価格、日付、通貨、証拠資料を別々に確認する必要があることを読み取ってください。

確認事項内容
上場市場NYSE、NASDAQ、香港証券取引所など、どの市場の価格か
現地の取引日日本の日付と現地の日付がずれることがある
最終価格現地市場が公表する終値または最終価格
月平均額死亡月、前月、前々月に相当する月平均額
通貨米ドル、ユーロ、香港ドルなど
円換算課税時期のTTBまたはこれに準ずる相場
証拠資料証券会社の残高証明書、取引報告書、為替レート表

証券口座に表示される資産を一括して株と呼びがちですが、税務上は上場株式、上場ETF、REIT、非上場の証券投資信託、日々決算型投資信託などで評価方法が異なることがあります。次の一覧は、商品ごとの確認方向を示すものです。

外国株式

価格と為替を分けて確認

現地市場の最終価格や月平均額に加え、課税時期のTTBまたはこれに準ずる相場で円換算します。時差、現地休場日、ADR、未収配当にも注意します。

ETF・REIT

上場商品でも内容を確認

市場で取引される商品は上場株式に準じて把握することが多い一方、商品性や証券会社資料の記載を確認する必要があります。

投資信託

基準価額と手数料を確認

一般的な非上場投資信託では、基準価額、未収分配金、源泉徴収税額、信託財産留保額、解約手数料などを確認します。

非上場株式

4価額比較とは別の評価

会社規模、同族株主、類似業種比準方式、純資産価額方式、配当還元方式、特定の評価会社などの検討が必要です。

非上場株式では、相続税評価と会社法上の株価算定、M&A価格、遺産分割での合意価額、少数株主としての実現可能価値が大きく異なることがあります。国税庁は2026年4月に、取引相場のない株式の相続税評価に関する有識者会議の開催を公表しており、事業承継株式では今後の動向にも注意が必要です。

Section 06

相続税評価額と遺産分割・売却価格は分けて考える

税務評価、相続人間の公平、譲渡所得税は目的が異なります。

相続税申告に使う評価額と、相続人間で遺産を分けるための評価額は一致しなくても構いません。次の比較表は、価格変動が大きい株式をめぐる調整方法を示しており、左列で方法、右列で何を調整するのかを確認できます。

調整方法内容
株式を売却して現金で分ける価格変動リスクを売却時点で確定させる
株式を取得する相続人が代償金を支払う株式取得者と他の相続人の公平を調整する
遺産分割時点の時価を参考にする死亡後の価格変動を分割協議に反映する
税務評価額と売却額の差を協議する納税負担と実際の換金額の差を調整する
一部売却、一部現物分割値上がり期待や議決権維持を考慮する

相続後すぐに株式を売却する場合、相続税評価とは別に譲渡所得税を確認します。相続または遺贈により取得した株式などを一定期間内に譲渡した場合、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算できる特例がありますが、これは相続税評価額を売却価格へ置き換える制度ではありません。

注意取得費加算の特例は、相続や遺贈により財産を取得したこと、その人に相続税が課税されていること、その財産を相続開始日の翌日から相続税申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していることなどが関係します。適用可否は資料を整理して確認する必要があります。

相続人の一人が遺産分割前に売却した場合は、共有財産の管理、売却権限、売却代金の管理、他の相続人への説明が問題になることがあります。税務上は相続開始時点の評価額と売却時の譲渡所得計算を分け、分割上は価格変動リスクを誰が負担するかを明確にすることが重要です。

Section 07

値動きの激しい銘柄の申告で保存すべき資料

残高証明書、月間相場表、為替資料、売却報告書を根拠として残します。

値動きの激しい銘柄では、証券会社から相続開始日現在の残高証明書を取得し、銘柄、株数、死亡日の終値、月平均額、預り金、MRF、投資信託、外貨、未収分配金を確認します。次の比較表は取得すべき資料と目的を対応させたものです。

資料目的
相続開始日現在の残高証明書保有銘柄、株数、投資信託、預り金を確認する
上場株式の評価明細に必要な価格資料4価額比較の根拠にする
取引残高報告書死亡日前後の売買、入出金、配当を確認する
特定口座年間取引報告書相続後売却時の所得税計算に使う
配当金支払通知書未収配当や配当所得を確認する
外貨建て資産の残高資料外国株式や外貨預り金を確認する
為替レート資料TTB等による円換算の根拠にする
遺産分割協議書誰が株式を取得したかを税務署や金融機関に示す

証券会社の資料を補う場合、日本取引所グループの月間相場表が重要です。毎月第7営業日に前月データが掲載され、個別銘柄ごとの月間ベースの四本値情報、売買高、売買代金、相続で必要となる終値平均も確認できます。価格データを調べるときは、次の項目を記録しておくと説明しやすくなります。

記録項目理由
銘柄コード銘柄名変更や合併があっても識別できる
銘柄名申告書や評価明細書に記載する
市場区分複数市場や上場変更を確認する
死亡日課税時期を明確にする
死亡日の終値4価額比較の1つ
死亡月の終値平均4価額比較の1つ
前月の終値平均4価額比較の1つ
前々月の終値平均4価額比較の1つ
採用した価額最も低い価額を説明する
資料の名称と取得日税務調査や相続人間説明に備える

税務調査や相続人間紛争では、どの価格を採用したかだけでなく、なぜその価格を採用したかを説明できることが重要です。次の一覧は保存すべき証拠を示しており、紙資料だけでなくPDF、画面保存、取得日を記録したメモも残す必要があることを確認してください。

証拠保存理由
証券会社の残高証明書保有銘柄と株数の基礎資料
4価額の一覧採用価額が最も低いことを示す
JPX月間相場表または証券会社資料月平均額の根拠
外国株式の現地価格資料外国市場価格の根拠
TTB資料円換算の根拠
配当通知、権利関係資料未収配当や権利落ちの処理根拠
遺産分割協議書誰が取得したかの根拠
売却報告書相続後売却と譲渡所得の根拠
税理士の評価メモ判断過程の説明資料
Section 08

株式の相続評価が申告要否と専門職選びに与える影響

基礎控除、納税資金、分割紛争、非上場株式の有無で確認先が変わります。

株式の評価額は、相続税の申告要否にも影響します。正味の遺産額が基礎控除額を超える場合に相続税がかかり、基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算します。値動きの激しい銘柄を多数保有していると、4価額比較の適用誤りだけで基礎控除を超えるかどうかが変わることがあります。

次の比較表は、申告要否や納税資金で注意が必要な状況を整理したものです。左列で該当状況を探し、右列で追加確認すべきリスクを把握してください。

状況注意点
相続財産の大半が株式価格変動と納税資金不足が同時に起きやすい
信用取引や借入がある債務、保証金、未決済取引を確認する必要がある
外国株式が多い株価と為替の二重変動がある
複数の証券会社を利用口座漏れや重複計上に注意する
生前贈与や相続時精算課税がある遺産総額だけで判断できない
死亡後に一部売却済み相続開始時点の保有状況と売却後の現金を区別する

専門職の関与も、評価、分割、売却、登記、家計設計で分かれます。次の比較表は、どの専門職がどの場面で関わるかを示しており、評価だけでなく相続人間の合意や売却後の税務も別々に確認する必要があることを読み取れます。

専門職主な関与場面
税理士相続税申告、上場株式評価、投資信託評価、外国株式の円換算、税務調査対応
弁護士遺産分割紛争、遺留分、使い込み疑い、株式売却の同意、調停、審判、訴訟
司法書士不動産がある相続での相続登記、遺産分割協議書作成支援、家庭裁判所提出書類作成の周辺支援
行政書士紛争や税務代理を除く範囲の遺産分割協議書作成、相続人関係説明図など
公認会計士非上場株式、事業承継、会社価値、財務分析
ファイナンシャル・プランナー納税資金、売却タイミング、家計全体の整理、専門家への橋渡し
信託銀行、証券会社残高証明書、相続手続、名義変更、売却手続、遺言執行支援
家庭裁判所関係者調停、審判、鑑定、専門委員、特別代理人が必要な場合
Section 09

値動きの激しい銘柄でよくあるケース別の整理

半値、急騰、休場日、配当落ち、外国株式、早期売却を場面別に確認します。

実務では、株価が半値になる、2倍になる、死亡日が休場日になる、配当落ちが近い、外国株式が急落する、相続人の一人がすぐに売却するなど、評価以外の問題も同時に起きます。次の一覧は場面別の整理で、各項目から相続税評価、分割、譲渡所得税を分けて考える必要性を読み取れます。

半値

死亡後に株価が半値になった場合

相続開始時点の4価額比較で評価します。死亡後の半値は、原則として相続税評価額を直接下げる理由ではありません。分割や納税資金では別途調整を検討します。

急騰

死亡後に株価が2倍になった場合

相続税評価は死亡日を基準にした4価額比較が基本です。遺産分割前の売却や値上がり益の帰属は、合意内容や法的状態によって問題になります。

休場

死亡日が日曜日だった場合

死亡日そのものに終値がないため、前後の最も近い日の終値を確認します。金曜日と月曜日が同じ距離なら平均額となることがあります。

権利

死亡日前後に配当落ちがあった場合

通常の終値をそのまま使うと、権利の経済的価値を適切に反映しないことがあります。通達上の特例、未収配当金、配当期待権を確認します。

為替

米ドル建て外国株式が急落した場合

市場価格だけでなく死亡日のTTBによる円換算を確認します。株価下落と円安、株価上昇と円高が同時に起きることがあります。

売却

相続人の一人が死亡後すぐに売却した場合

売却権限、遺産分割前の共有状態、売却代金の管理、他の相続人への説明が問題になります。税務では評価額と譲渡所得を分けて整理します。

相続人間でもめやすいのは、税務上安く評価したのだから遺産分割でも安く見るべきという主張、売却して損をしたのだから相続税を下げられるという主張、株式取得者が値上がり益を独占するという主張、死亡直前に売買していた株式の扱いです。いずれも資料と時点を分けて検討する必要があります。

Section 10

値動きの激しい銘柄の相続税申告チェックリスト

資料収集、価格比較、権利関係、専門家確認までを順番に整理します。

申告書作成では、価格資料、株数、権利関係、外国為替、投資信託区分、売却資料を順番に確認すると漏れを減らせます。次のチェックリストは確認項目と未了管理を並べたもので、右列にチェックを入れながら進捗を把握できます。

チェック項目確認済み
被相続人の全証券口座を確認した
相続開始日現在の残高証明書を取得した
銘柄ごとの保有株数を確認した
死亡日の終値を確認した
死亡月の終値月平均額を確認した
前月の終値月平均額を確認した
前々月の終値月平均額を確認した
4価額のうち最も低い価額を採用した
死亡日が休日、祝日、取引停止日でないか確認した
権利落ち、配当落ち、株式分割、スピンオフを確認した
複数市場上場の有無を確認した
外国株式の現地価格とTTBを確認した
投資信託、ETF、REITを株式と混同していない
未収配当金、預り金、MRF、外貨残高を確認した
相続後売却分の譲渡所得税資料を保存した
遺産分割上の評価額と税務評価額を区別した
相続人間で価格変動リスクの説明を行った
税理士、弁護士等への相談要否を判断した

次の判断の流れは、銘柄を相続したあとに、評価ルールの入口を確認する順番を示しています。上から順に見ることで、上場株式の4価額比較で足りる場合と、別の評価ルールを確認すべき場合を切り分けられます。

相続した銘柄の評価確認の順番

銘柄を相続した

証券口座と保有株数を確認します。

金融商品取引所に上場している株式か

上場株式か、投資信託や非上場株式かを分けます。

はい
4価額比較へ進む

死亡日の終値と3つの月平均額を取得します。

いいえ
別ルールを確認

投資信託、非上場株式、外貨建て資産などの評価方法を確認します。

終値なし、権利落ち、外国株式、未収配当を確認

通常の終値だけで足りない要素を整理します。

申告書、評価明細書、証拠資料へ反映

採用価額と根拠資料を保存します。

一般的な相続手続よりも専門性が高い場面では、関係する専門家を早めに確認します。次の比較表は相談が必要になりやすい場面と主な専門家を整理したもので、税務、法務、金融、登記のどこに論点があるかを見分ける助けになります。

相談すべきケース推奨される専門家
相続税が発生しそうである税理士
株式評価額が大きく、基礎控除超過に影響する税理士
相続人間で株式売却や評価額について争いがある弁護士
遺留分や使い込み疑いがある弁護士
非上場株式、親族会社株式がある税理士、公認会計士、弁護士
外国株式、外貨建て資産が多い税理士、証券会社、金融機関
不動産も相続財産に含まれる税理士、司法書士、不動産鑑定士
未成年者、後見利用者が共同相続人である弁護士、司法書士、家庭裁判所関係手続の専門家
相続後に株式を売却した税理士、証券会社
遺言執行者や信託銀行が関与している遺言執行者、信託銀行、税理士、弁護士
FAQ

値動きの激しい銘柄の相続評価でよくある質問

個別の結論を断定せず、一般的な評価ルールと確認事項を整理します。

死亡後に株価が大きく下がったら、申告価格も下げられますか

一般的には、上場株式の相続税評価は相続開始時点を起点に4価額比較で行うものとされています。ただし、終値がない日、権利落ち、配当落ち、評価資料の誤りなどによって確認事項が変わる可能性があります。具体的な評価は、資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。

相続後に売却した価格をそのまま使えますか

一般的には、売却価格は相続税評価額そのものではなく、譲渡所得税や相続人間の精算に関わる価格とされています。ただし、売却時期、取得費、取得費加算の特例、分割協議の内容によって整理が変わる可能性があります。具体的な対応は、取引報告書や申告資料を整理して税理士等へ確認する必要があります。

日曜日に亡くなった場合は金曜日の終値だけを見ればよいですか

一般的には、課税時期に最終価格がない場合、課税時期の前日以前または翌日以後の最終価格のうち、最も近い日の最終価格を確認するとされています。前後が同じ距離なら平均額となることがあります。休場日、取引停止、権利落ちなどで結論が変わる可能性があるため、具体的には価格資料を確認する必要があります。

外国株式は日本株と同じ資料だけで足りますか

一般的には、外国株式では現地市場の最終価格や月平均額に加え、外貨を日本円へ換算する資料が必要になるとされています。ただし、時差、現地休場日、サマータイム、ADR、未収配当、証券会社の表示通貨によって確認事項が変わる可能性があります。具体的には証券会社や税理士等へ確認する必要があります。

相続税評価額と遺産分割で使う金額は同じでなければなりませんか

一般的には、相続税評価額は課税上の評価であり、遺産分割上の評価額とは目的が異なるとされています。ただし、相続人間の合意、売却予定、代償金、価格変動リスクの負担によって分割上の整理は変わる可能性があります。具体的な分割方法は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

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値動きの激しい銘柄を相続した場合の申告実務の結論

価格の上下よりも、評価ルールと証拠資料を正確に整理することが重要です。

値動きの激しい銘柄を相続した場合、上場株式を前提にすれば、相続税申告では原則として被相続人の死亡の日を課税時期とし、死亡日の終値、死亡月の終値月平均額、前月の終値月平均額、前々月の終値月平均額を比較します。その4つのうち最も低い価額を1株当たり評価単価として採用し、相続開始時点の保有株数を乗じて評価額を計算します。

申告期限時、遺産分割時、名義変更時、売却時の価格をそのまま相続税評価額にするわけではありません。死亡日に終値がない場合、権利落ち等がある場合、外国株式、ETF、投資信託、非上場株式は追加確認が必要です。また、相続税評価額、遺産分割上の評価額、売却時の譲渡所得税は別の問題として整理します。

相続税の申告では、価格が大きく動いたこと自体よりも、どの評価ルールを正確に適用したかが問われます。相続人は相場の上下だけで判断せず、死亡日、保有株数、4価額、権利関係、外国為替、投資信託区分、売却資料を証拠とともに整理し、必要な専門家に早期に確認することが重要です。

免責このページは、相続税、民法、証券実務に関する一般的な情報提供を目的としています。特定の相続案件について、税務申告、法的助言、投資判断、売却推奨を行うものではありません。実際の申告では、相続開始日、銘柄、株数、取引所、権利落ち、外国為替、証券会社資料、遺産分割内容、相続人の居住地、納税義務の範囲によって結論が変わる可能性があります。
Reference

この記事の参考情報源

税務評価と申告

  • 国税庁「No.4632 上場株式の評価」
  • 国税庁「財産評価基本通達 第1節 株式及び出資」
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
  • 国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」
  • 国税庁「No.4665 外貨の邦貨換算」
  • 国税庁「外国の証券取引所に上場されている株式の評価」
  • 国税庁「No.4644 貸付信託・証券投資信託の評価」
  • 国税庁「No.4638 取引相場のない株式の評価」
  • 国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」

法令と市場資料

  • e-Gov法令検索「民法」
  • e-Gov法令検索「相続税法」
  • 日本取引所グループ「月間相場表」
  • 日本取引所グループ「よくあるご質問」
  • 日本取引所グループ「個人・一般の方」
  • 国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議の開催について」