2σ Guide

相続時精算課税制度を選んだ場合の
生前贈与加算はどうなるか

暦年課税の3年・7年加算とは別に、相続時精算課税を選んだ後の贈与がどのように相続税へ取り込まれるかを、令和6年以後の110万円基礎控除、2,500万円特別控除、死亡年贈与、孫への2割加算、遺産分割上の注意点まで整理します。

110万円 令和6年以後の年基礎控除
2,500万円 贈与時の特別控除上限
7年 暦年課税の最終的な加算期間
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相続時精算課税制度を選んだ場合の 生前贈与加算はどうなるか

まず、暦年課税の生前贈与加算と、相続時精算課税適用財産の相続税への算入を分けて理解します。

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相続時精算課税制度を選んだ場合の 生前贈与加算はどうなるか
まず、暦年課税の生前贈与加算と、相続時精算課税適用財産の相続税への算入を分けて理解します。
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  • 相続時精算課税制度を選んだ場合の 生前贈与加算はどうなるか
  • まず、暦年課税の生前贈与加算と、相続時精算課税適用財産の相続税への算入を分けて理解します。

POINT 1

  • 相続時精算課税制度を選んだ場合の生前贈与加算の全体像
  • まず、暦年課税の生前贈与加算と、相続時精算課税適用財産の相続税への算入を分けて理解します。
  • ただし、令和6年1月1日以後の贈与では扱いが大きく変わりました。
  • 制度名が似ていても期間制限と110万円の扱いが異なるため、どの贈与がどの列に当たるかを読み分けることが重要です。
  • 具体的な対応は、資料を整理したうえで税理士、弁護士、司法書士、不動産鑑定士等へ確認する必要があります。

POINT 2

  • 相続時精算課税制度を選んだ場合の生前贈与加算と用語の違い
  • 「生前贈与加算」という言葉を、暦年課税と相続時精算課税で混同しないことが出発点です。
  • 死亡前の一定期間を戻す制度
  • 選択後の贈与を相続時に精算
  • 選択前の贈与は別に確認

POINT 3

  • 相続時精算課税制度を選んだ場合の贈与時計算と110万円基礎控除
  • 令和6年以後は、贈与税の計算と相続税への加算額の両方で年110万円基礎控除が重要です。
  • さらに、特別控除額を控除した後の金額に一律20%を乗じて贈与税を計算します。
  • 2,500万円特別控除については、相続税の課税対象から2,500万円を除外する制度だと誤解されがちです。
  • 次の按分例は、同じ年に父母の両方を特定贈与者として相続時精算課税贈与を受けた場合を表しています。

POINT 4

  • 相続時精算課税制度を選んだ場合の相続時加算額の決まり方
  • 1. 特定贈与者ごとの贈与履歴を集める:贈与年月日、財産内容、贈与時価額、届出書、申告書、納付税額を確認します。
  • 2. 贈与年を令和5年以前と令和6年以後に分ける:令和5年以前は原則として贈与時価額、令和6年以後は年分ごとの110万円控除後残額を確認します。
  • 3. 相続税の課税価格へ加算する:相続・遺贈で取得した財産と合算し、相続税額を計算します。
  • 4. 相続時精算課税分の贈与税相当額を控除する:贈与時に納めた税額がある場合、相続税額から控除できる場合があります。

POINT 5

  • 相続時精算課税制度を選んだ場合と暦年課税の生前贈与加算の違い
  • 1. 相続開始前3年以内:暦年課税贈与の加算対象期間は、従来どおり相続開始前3年以内です。
  • 2. 令和6年1月1日から死亡日まで:経過措置により、令和6年1月1日以後の暦年課税贈与から段階的に加算対象が広がります。
  • 3. 相続開始前7年以内:最終的に、暦年課税贈与は相続開始前7年以内が加算対象になります。

POINT 6

  • 相続時精算課税制度を選んだ場合の生前贈与加算を具体例で確認
  • 値上がり資産
  • 値上がりが見込まれる資産では有利に働くことがあります。
  • 値下がり資産
  • 贈与時に1,000万円だった株式が死亡時に100万円へ下落していても、原則として贈与時価額を基礎にします。

POINT 7

  • 相続時精算課税制度で死亡年贈与・孫への2割加算・特別受益を確認する
  • 税務上の精算と、家族間の公平を調整する民法上の論点は別々に整理します。
  • 相続時精算課税を選択していない者については、死亡した年の贈与財産の扱いが異なります。
  • 死亡年の贈与は申告の境界が複雑になりやすいため、税理士へ確認する必要性が高い領域です。
  • 税額の話と遺産分割の話を同じ結論で処理すると誤りや紛争につながるため、目的と判断主体の違いを読み取ってください。

POINT 8

  • 相続時精算課税制度を選んだ場合の不動産贈与とリスク
  • 暦年課税へ戻れない
  • 同じ贈与者について一度選ぶと、特定贈与者からの贈与は相続時精算課税で処理されます。
  • 2,500万円特別控除の誤解
  • 贈与時に税額が出なくても、相続時には相続税へ取り込まれます。

まとめ

  • 相続時精算課税制度を選んだ場合の 生前贈与加算はどうなるか
  • 相続時精算課税制度を選んだ場合の生前贈与加算の全体像:まず、暦年課税の生前贈与加算と、相続時精算課税適用財産の相続税への算入を分けて理解します。
  • 相続時精算課税制度を選んだ場合の生前贈与加算と用語の違い:「生前贈与加算」という言葉を、暦年課税と相続時精算課税で混同しないことが出発点です。
  • 相続時精算課税制度を選んだ場合の贈与時計算と110万円基礎控除:令和6年以後は、贈与税の計算と相続税への加算額の両方で年110万円基礎控除が重要です。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

相続時精算課税制度を選んだ場合の生前贈与加算の全体像

まず、暦年課税の生前贈与加算と、相続時精算課税適用財産の相続税への算入を分けて理解します。

結論からいうと、相続時精算課税制度を選んだ場合、生前贈与は相続開始前3年以内または7年以内に限って加算されるわけではありません。その贈与者を特定贈与者として相続時精算課税を選択した後の贈与は、原則として贈与者が亡くなったときに相続税の課税価格へ取り込まれます。

ただし、令和6年1月1日以後の贈与では扱いが大きく変わりました。相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が設けられたため、相続税に加算されるのは、原則としてその年分ごとの相続時精算課税適用財産の贈与時価額の合計額から、相続時精算課税に係る基礎控除額を控除した残額です。

次の比較表は、暦年課税の生前贈与加算と相続時精算課税の相続税への取り込み方を並べたものです。制度名が似ていても期間制限と110万円の扱いが異なるため、どの贈与がどの列に当たるかを読み分けることが重要です。

贈与の種類相続税での扱い期間制限110万円の扱い
暦年課税の贈与相続開始前の一定期間内の贈与を相続税の課税価格へ加算します。令和6年以後の贈与は最終的に7年へ延長されます。経過措置があります。贈与税がかからない110万円以下の贈与でも、加算対象期間内なら原則加算されます。
相続時精算課税の贈与(令和5年12月31日以前)相続税の課税価格に贈与時価額を加算します。選択後の贈与は原則として期間制限がありません。相続時精算課税の年110万円基礎控除はありません。原則として贈与時価額を加算します。
相続時精算課税の贈与(令和6年1月1日以後)年分ごとに贈与時価額の合計額から相続時精算課税の基礎控除額を控除した残額を加算します。選択後の贈与は原則として期間制限がありません。相続時精算課税の年110万円基礎控除部分は、原則として相続税にも加算されません。
要点暦年課税は死亡前の一定期間を戻す仕組みです。相続時精算課税は選択後の贈与を相続時に精算する仕組みで、令和6年以後は年110万円部分が原則として精算対象から外れます。

このページの内容は一般的な制度説明です。実際の申告、争訟、登記、遺産分割、税務調査対応では、財産内容、家族関係、過去の贈与履歴、申告期限によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで税理士、弁護士、司法書士、不動産鑑定士等へ確認する必要があります。

Section 01

相続時精算課税制度を選んだ場合の生前贈与加算と用語の違い

「生前贈与加算」という言葉を、暦年課税と相続時精算課税で混同しないことが出発点です。

相続実務で生前贈与加算と呼ばれることが多いのは、被相続人から生前に受けた暦年課税の贈与を、相続税計算上、相続財産に加算する制度です。令和6年1月1日以後の暦年課税贈与については、加算対象期間が相続開始前7年以内へ延長されています。

一方、相続時精算課税制度を選んだ場合には、通常の暦年課税の生前贈与加算とは異なる仕組みで、贈与財産が相続税に取り込まれます。贈与時に相続時精算課税による贈与税を計算し、贈与者が亡くなったときに、相続時精算課税適用財産と相続・遺贈で取得した財産を合算して相続税を計算します。

次の整理は、似た言葉の違いを3つに分けたものです。どの制度の話をしているかを誤ると、加算期間、110万円控除、申告義務の判断を取り違えるため、各項目の役割を読み取ってください。

暦年課税

死亡前の一定期間を戻す制度

相続開始前3年または7年など、一定期間内の暦年課税贈与を相続税に戻す考え方です。110万円以下で贈与税が出ていない贈与も対象になり得ます。

精算課税

選択後の贈与を相続時に精算

特定贈与者からの相続時精算課税適用財産を、特定贈与者の死亡時に相続税へ取り込む仕組みです。期間制限で切る制度ではありません。

二層確認

選択前の贈与は別に確認

同じ父からの贈与でも、相続時精算課税を選ぶ前の贈与は原則として暦年課税です。死亡時には、選択後の精算課税分と選択前の暦年課税分を分けて確認します。

相続時精算課税制度は、原則として、贈与者が贈与をした年の1月1日に60歳以上の父母・祖父母などであり、受贈者が贈与を受けた年の1月1日に18歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属である推定相続人または孫である場合に選択できます。

次の表は、相続時精算課税を選ぶ前に確認する基本要件と制度の性質をまとめたものです。入口の要件を満たしても、選択後に暦年課税へ戻れない点や、財産の種類による実務上の負担を読み落とさないことが重要です。

確認項目基本的な考え方実務上の注意点
贈与者贈与年1月1日に60歳以上の父母・祖父母などが典型です。父、母、祖父、祖母など、贈与者ごとに選択します。
受贈者贈与年1月1日に18歳以上で、贈与者の直系卑属である推定相続人または孫が中心です。孫は選択できる場合がありますが、相続税額の2割加算に注意します。
選択単位贈与者ごとの選択です。父からの贈与で選んでも、母からの贈与まで自動的に相続時精算課税になるわけではありません。
取消し一度選ぶと、その特定贈与者からの贈与は暦年課税へ戻せません。将来の大型贈与、資産価格の下落、家族関係の変化も含めて判断します。
対象財産制度上、財産の種類、金額、贈与回数に制限はないとされています。不動産、株式、事業用資産では評価、登記、会社法、納税資金、紛争予防が問題になります。
Section 02

相続時精算課税制度を選んだ場合の贈与時計算と110万円基礎控除

令和6年以後は、贈与税の計算と相続税への加算額の両方で年110万円基礎控除が重要です。

令和6年1月1日以後の相続時精算課税では、特定贈与者ごとに、1年間に贈与を受けた相続時精算課税適用財産の価額の合計額から、相続時精算課税に係る基礎控除額110万円を控除します。さらに、特別控除額を控除した後の金額に一律20%を乗じて贈与税を計算します。

計算式相続時精算課税の贈与税額は、概ね「その年の相続時精算課税適用財産の価額 − 年110万円基礎控除 − 特別控除額(最高2,500万円の残額)」に20%を乗じて求めます。

次の比較表は、年110万円基礎控除と2,500万円特別控除の役割を分けて示しています。どちらも控除という言葉を使いますが、相続税から永久に外す効果があるかどうかが異なるため、控除される場面と残る管理事項を読み取ってください。

項目使う場面相続時の扱い注意点
年110万円基礎控除令和6年1月1日以後の相続時精算課税贈与で、年分ごとに控除します。控除後の残額が相続税へ加算されるため、基礎控除部分は原則として相続税にも加算されません。複数の特定贈与者がいる年は按分が必要です。
2,500万円特別控除贈与時の贈与税計算で、累計2,500万円までの残額を控除します。相続税の課税価格へ加算する金額を2,500万円減らす控除ではありません。贈与時に税額が出なくても、相続時には精算対象になります。
一律20%税率年110万円基礎控除と特別控除を控除した後の残額に適用します。納めた相続時精算課税分の贈与税相当額は、相続税額から控除できる場合があります。控除しきれない金額があるときは、相続税申告により還付を受けられる場合があります。
令和5年以前の贈与現在の年110万円基礎控除はありません。原則として贈与時価額がそのまま相続税へ加算されます。令和5年以前分と令和6年以後分を分けて管理します。

2,500万円特別控除については、相続税の課税対象から2,500万円を除外する制度だと誤解されがちです。実際には、贈与時に贈与税がすぐ発生しにくくなる制度であり、相続時には相続時精算課税適用財産が相続税の課税価格へ取り込まれます。

次の按分例は、同じ年に父母の両方を特定贈与者として相続時精算課税贈与を受けた場合を表しています。110万円を父母それぞれに使えるわけではないため、贈与額の割合で基礎控除を配分し、各贈与者の死亡時に取り込む基礎額を読み取る必要があります。

特定贈与者贈与額基礎控除の按分相続税へ取り込む基礎額
600万円110万円 × 600万円 / 1,000万円 = 66万円600万円 − 66万円 = 534万円
400万円110万円 × 400万円 / 1,000万円 = 44万円400万円 − 44万円 = 356万円

初めて相続時精算課税を選択する年には、贈与税申告書を提出する必要がない場合でも、相続時精算課税選択届出書の提出が必要になることがあります。特に令和6年以後の年110万円以下の贈与では、税額が出ないことと届出が不要であることを混同しないようにします。

Section 03

相続時精算課税制度を選んだ場合の相続時加算額の決まり方

相続開始時には、贈与時価額、贈与年、既納贈与税、相続や遺贈で取得した財産の有無を分けて確認します。

相続時精算課税を選択した場合、特定贈与者が死亡したときは、相続時精算課税適用財産を相続税の課税価格に加算して相続税を計算します。相続財産と合算する相続時精算課税適用財産の価額は、原則として贈与時の価額です。

次の判断の流れは、相続開始時に確認する順番を示しています。贈与年によって110万円控除の有無が変わり、既納の贈与税や相続財産を取得しない受贈者の扱いも関係するため、上から順に確認して加算漏れを防ぐことが重要です。

相続時精算課税適用財産を相続税へ取り込む順番

特定贈与者ごとの贈与履歴を集める

贈与年月日、財産内容、贈与時価額、届出書、申告書、納付税額を確認します。

贈与年を令和5年以前と令和6年以後に分ける

令和5年以前は原則として贈与時価額、令和6年以後は年分ごとの110万円控除後残額を確認します。

相続税の課税価格へ加算する

相続・遺贈で取得した財産と合算し、相続税額を計算します。

相続時精算課税分の贈与税相当額を控除する

贈与時に納めた税額がある場合、相続税額から控除できる場合があります。

相続時精算課税では、選択後の特定贈与者からの贈与に原則として期間制限はありません。相続開始の20年前に贈与を受けていても、相続時の精算対象になり得ます。そのため、死亡前7年を過ぎれば相続時精算課税の贈与は加算されないという理解は誤りです。

贈与時に相続時精算課税分の贈与税を納付していた場合、その贈与税相当額は特定贈与者の死亡時に計算した相続税額から控除されます。控除しきれない金額がある場合には、相続税の申告をすることで還付を受けられる場合があります。

また、相続時精算課税の適用を受けた人が、特定贈与者から相続や遺贈で財産を取得しなかった場合でも、相続時精算課税適用財産については相続等により取得したものとみなされる扱いがあります。祖父から孫へ相続時精算課税で贈与したものの、遺言や遺産分割では孫が何も取得しない場合でも、孫の相続税上の課税関係が生じ得ます。

Section 04

相続時精算課税制度を選んだ場合と暦年課税の生前贈与加算の違い

暦年課税では加算対象期間が問題になり、相続時精算課税では選択後の精算関係が問題になります。

暦年課税の生前贈与加算は、相続や遺贈などにより財産を取得した人が、被相続人から加算対象期間内に暦年課税に係る贈与を受けていた場合に、その贈与時価額を相続税の課税価格に加算する制度です。令和6年1月1日以後の暦年課税贈与については、加算対象期間が相続開始前7年以内へ延長されました。

次の時系列は、暦年課税の加算対象期間が相続開始日に応じてどう変わるかを示しています。相続時精算課税の期間制限ではなく暦年課税側の経過措置なので、相続開始日と贈与日を照合して読むことが重要です。

令和8年12月31日まで

相続開始前3年以内

暦年課税贈与の加算対象期間は、従来どおり相続開始前3年以内です。

令和9年1月1日から令和12年12月31日まで

令和6年1月1日から死亡日まで

経過措置により、令和6年1月1日以後の暦年課税贈与から段階的に加算対象が広がります。

令和13年1月1日以後

相続開始前7年以内

最終的に、暦年課税贈与は相続開始前7年以内が加算対象になります。

相続開始の日が令和9年1月2日以後の場合には、加算対象期間内に取得した財産のうち、相続開始前3年以内に取得した財産以外の財産について、贈与時価額の合計額から総額100万円までは相続税の課税価格に加算されません。

次の比較表は、暦年課税と相続時精算課税で110万円以下の贈与がどう扱われるかを示しています。どちらも年110万円という数字が出てきますが、相続税へ戻るかどうかが異なるため、贈与時の税額だけで判断しないことが重要です。

制度贈与時の110万円相続税での扱い注意点
暦年課税1年間の贈与税計算で基礎控除として使います。加算対象期間内なら、110万円以下で贈与税がかからなかった贈与も原則加算されます。令和6年以後の贈与は最終的に7年加算を確認します。
相続時精算課税(令和6年以後)相続時精算課税に係る年110万円基礎控除として使います。基礎控除後の残額が加算されるため、控除部分は原則として相続税にも加算されません。複数特定贈与者がいる場合の按分と届出手続に注意します。

同じ父からの贈与でも、相続時精算課税を選択する前に受けた贈与は、原則として暦年課税の贈与です。その後に父について相続時精算課税を選択しても、選択前の暦年課税贈与が消えるわけではありません。死亡時には、選択後の相続時精算課税適用財産と、選択前の暦年課税贈与の加算対象期間を二層で確認します。

Section 05

相続時精算課税制度を選んだ場合の生前贈与加算を具体例で確認

年110万円以下の贈与、大型贈与、令和5年以前分との混在、複数贈与者、値動き資産を分けて見ます。

令和6年以後に父から毎年100万円を相続時精算課税で受け、父以外の特定贈与者から同年中に相続時精算課税贈与がない場合、各年の相続時精算課税贈与は110万円以下です。各年の贈与税額は0であり、父の死亡時に相続税へ加算されるその年分の金額も、原則として0です。ただし、初めて相続時精算課税を選ぶための届出書の提出は別に確認します。

次の一覧は、本文で扱う代表例を金額と結論で整理したものです。どの例も相続時精算課税の加算額を判断する入り口が異なるため、贈与年、贈与者数、資産の値動きという違いを読み取ってください。

1

毎年100万円の贈与

令和6年以後で、他の特定贈与者との按分がなければ、年110万円基礎控除の範囲内として相続税への加算額は原則0になります。

小口贈与
2

1,000万円を3年連続で贈与

各年110万円控除後の890万円ずつ、合計2,670万円が相続税へ加算される考え方になります。

大型贈与
3

令和5年分と令和6年分が混在

令和5年分は基礎控除なし、令和6年分は110万円控除後の残額として分けて計算します。

年度区分
4

父母の両方から贈与

同じ年に複数の特定贈与者から贈与を受けた場合、110万円基礎控除を贈与額の割合で按分します。

按分

次の表は、父から1,000万円ずつ3年間贈与を受けた例を年ごとに分けたものです。2,500万円特別控除を使っても、相続税へ加算される金額は別に残るため、贈与税が出る年と相続税に取り込む金額の違いを読み取ってください。

贈与額相続時精算課税の基礎控除相続税に加算される基礎控除後の価額贈与時の課税関係
1年目1,000万円110万円890万円特別控除890万円を使い、贈与税0円
2年目1,000万円110万円890万円特別控除890万円を使い、贈与税0円
3年目1,000万円110万円890万円残りの特別控除720万円を使い、170万円 × 20% = 34万円
合計3,000万円330万円2,670万円贈与税34万円は相続税から控除可能

令和5年に1,000万円、令和6年に1,000万円を父から相続時精算課税で受けた場合、令和5年分には年110万円基礎控除がありません。令和6年分だけ基礎控除を使うため、相続税に加算される金額は「令和5年分1,000万円 + 令和6年分890万円 = 1,890万円」と整理します。

次の比較一覧は、値上がり資産と値下がり資産で相続時精算課税の効果が逆方向に出ることを示しています。相続時に安くなったか高くなったかではなく、原則として贈与時価額を基礎にする点が重要なので、資産の将来変動リスクを読み取ってください。

値上がり資産

贈与時に1,000万円だった株式が死亡時に3,000万円になっていても、相続税に取り込む価額は原則として贈与時の1,000万円を基礎にします。値上がりが見込まれる資産では有利に働くことがあります。

値下がり資産

贈与時に1,000万円だった株式が死亡時に100万円へ下落していても、原則として贈与時価額を基礎にします。値下がりリスクが高い資産では不利になることがあります。

災害を受けた土地・建物

令和6年1月1日以後に災害で相当の被害を受けるなど一定の要件を満たす場合、相続時に加算される価額から被災価額を控除できる特例を検討します。

暦年課税で毎年110万円ずつ7年間贈与した場合は、贈与税が通常発生しなくても、相続開始前7年以内の暦年課税贈与が生前贈与加算の対象になり得ます。一方、父について相続時精算課税を選択し、令和6年以後に毎年110万円以下の贈与を受けていた場合、その年分ごとに相続時精算課税の基礎控除額の範囲内であれば、相続税へ加算される金額は原則として0になります。ただし、一度選ぶと戻れない点、将来の大型贈与、資産価値の下落、孫への2割加算、遺産分割紛争、納税資金を含めて判断します。

Section 06

相続時精算課税制度で死亡年贈与・孫への2割加算・特別受益を確認する

税務上の精算と、家族間の公平を調整する民法上の論点は別々に整理します。

贈与者が贈与をした年に死亡した場合、相続時精算課税の適用を受けている者、または受けようとする者については、死亡した年の相続時精算課税適用分の贈与財産は相続税の課税対象となるため、贈与税の申告は不要とされています。

ただし、その死亡した贈与者からの贈与について初めて相続時精算課税の適用を受けようとする場合には、通常の手続とは異なる期限・提出先で相続時精算課税選択届出書を提出する必要があります。贈与税の申告期限または相続税の申告期限のいずれか早い日までに、贈与者の死亡に係る相続税の納税地の所轄税務署長へ提出する扱いが示されています。

相続時精算課税を選択していない者については、死亡した年の贈与財産の扱いが異なります。相続財産を取得する場合は贈与税ではなく相続税の課税対象となり、相続財産を取得しない場合には贈与税の課税対象になると説明されています。死亡年の贈与は申告の境界が複雑になりやすいため、税理士へ確認する必要性が高い領域です。

次の比較表は、孫への贈与、税務上の加算、民法上の特別受益がどの場面で問題になるかを分けたものです。税額の話と遺産分割の話を同じ結論で処理すると誤りや紛争につながるため、目的と判断主体の違いを読み取ってください。

場面税務上の扱い民法・相続紛争上の扱い
孫への相続時精算課税贈与祖父母の死亡時に相続税へ取り込まれ、通常の孫は2割加算の対象になり得ます。代襲相続人となった孫は扱いが変わる場合があります。子を飛ばして孫へ資産移転することが、他の相続人の遺留分や特別受益の紛争を誘発する可能性があります。
令和6年以後の年100万円贈与相続時精算課税の基礎控除内なら、相続税への加算額が0になり得ます。事情によっては特別受益と主張される可能性があります。
令和5年以前の精算課税贈与原則として贈与時価額を相続税へ加算します。特別受益かどうかは贈与目的、金額、家族状況によって変わります。
暦年課税で毎年110万円贈与加算対象期間内なら相続税へ加算され得ます。通常の扶養や生活支援に近い場合など、特別受益かどうかは個別事情に左右されます。
遺言で持戻し免除の意思表示相続税の加算を消すものではありません。遺産分割では、特別受益の持戻し免除として意味を持つことがあります。

相続税申告書の数字と遺産分割協議書の数字が一致しないことは珍しくありません。争いがある場合は、税理士と弁護士が連携して、税務申告上の処理と民事上の主張を区別する必要があります。

Section 07

相続時精算課税制度を選んだ場合の不動産贈与とリスク

不動産や値動き資産では、税務だけでなく登記、評価、管理、災害、相続人間の紛争まで確認します。

相続時精算課税で不動産を贈与する場合、税務上は贈与時価額を評価し、贈与税申告または届出を検討します。しかし、所有権移転登記、登録免許税、不動産取得税、固定資産税、賃貸不動産の賃料帰属、抵当権、共有関係、管理責任も同時に問題になります。

次の整理は、相続時精算課税を選ぶメリットとリスクを並べたものです。贈与時に税額が出にくいという一点だけでは判断できないため、資産価値、家族関係、記録管理、納税資金の各方向から読み取ってください。

メリット

令和6年以後は小口贈与に使いやすい

年110万円の基礎控除部分が、原則として贈与税だけでなく相続税の加算対象からも外れるため、長期的・計画的な小口贈与では有利になる場面があります。

メリット

大型贈与を早期に実行しやすい

2,500万円特別控除により、贈与時の贈与税負担を抑えながら住宅取得、事業承継、資金移転を進められることがあります。

メリット

値上がり資産では贈与時価額を基礎にできる

将来値上がりが見込まれる資産では、相続時に高くなった価額ではなく、贈与時価額を基礎に相続税へ取り込む点が有利に働くことがあります。

次の注意点一覧は、相続時精算課税を選んだ後に問題化しやすい要素です。一度選ぶと戻れない制度であるため、将来の制度変更や家族関係の変化まで見込んで、どのリスクが自分の財産構成に近いかを確認してください。

暦年課税へ戻れない

同じ贈与者について一度選ぶと、特定贈与者からの贈与は相続時精算課税で処理されます。後から資産価格や家族関係が変わっても戻せません。

2,500万円特別控除の誤解

贈与時に税額が出なくても、相続時には相続税へ取り込まれます。非課税枠という理解は危険です。

値下がり資産の不利

原則として贈与時価額で相続税に取り込まれるため、死亡時に値下がりしていても贈与時価額を基礎にするリスクがあります。

孫への2割加算

通常の孫は、相続税額の2割加算の対象になり得ます。世代飛ばし効果だけでなく税額加算を含めて試算します。

民法上の紛争

相続時精算課税で贈与しても、遺留分、特別受益、使い込み疑い、親の意思能力、贈与契約の有効性などの紛争は別に生じます。

記録管理

10年、20年後の相続税申告で、贈与年月日、評価額、届出書、申告書、納付税額、通帳履歴、契約書、登記簿を確認できるように保管します。

不動産は価格変動、災害、老朽化、空室、境界問題、土壌汚染、都市計画変更などの影響を受けます。令和6年1月1日以後に災害によって相当の被害を受けるなど一定の要件を満たす土地・建物については、税務署長の承認を受けることで、相続税の課税価格に算入される価額から被災価額を控除できる特例があります。

また、令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化されています。贈与されずに被相続人名義のまま残った不動産を相続で取得した場合、相続により不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象になります。

Section 08

相続時精算課税制度を選ぶ前の判断手順と実務チェックリスト

相続税がかかる家か、贈与財産が値上がり型か、過去の贈与履歴があるかを順に確認します。

相続時精算課税を選ぶ前には、まず相続税が発生しそうかを試算します。相続税は、課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を計算します。基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」です。相続税がまったく発生しない見込みなら、税務上のリスクは相対的に小さい場合がありますが、申告義務、登記、家族紛争のリスクは残ります。

次の判断の流れは、制度選択前に確認する順番を示しています。税額だけでなく、財産の値動き、贈与者ごとの設計、過去の贈与履歴、民法上の紛争予防がつながっているため、途中を飛ばさずに読み進めることが重要です。

相続時精算課税を選ぶ前の確認順序

相続税がかかる家か試算する

基礎控除、財産総額、税率帯、納税資金を確認します。

贈与する財産の性質を見る

現金、不動産、株式、事業用資産など、値上がり型か値下がり型かを確認します。

贈与者ごとに制度を分けて設計する

父は相続時精算課税、母は暦年課税など、家族全体で組み合わせを検討します。

過去の贈与履歴を洗い出す

選択前の暦年課税贈与が加算対象期間内に入るかを確認します。

遺言・遺留分・特別受益の対策を検討する

税務上有利でも、相続人間の公平や説明記録を整える必要があります。

次の実務チェックリストは、制度選択前、贈与時、相続開始時に確認する項目をまとめたものです。どの段階で何を保存・確認すべきかが後日の申告漏れや紛争予防に直結するため、各列を時期ごとの作業として読み取ってください。

制度選択前贈与時相続開始時
贈与者が贈与年1月1日に60歳以上か確認します。贈与契約書を作成します。特定贈与者ごとの相続時精算課税適用財産一覧を作成します。
受贈者が贈与年1月1日に18歳以上か確認します。通帳振込など客観的な移転証拠を残します。令和5年以前分と令和6年以後分を分けます。
受贈者が贈与者の直系卑属である推定相続人または孫か確認します。不動産・株式などの評価資料を保存します。令和6年以後分について、年分ごとの110万円控除後残額を計算します。
その贈与者について過去に相続時精算課税を選択していないか確認します。贈与税申告書または相続時精算課税選択届出書の提出要否を確認します。複数特定贈与者の按分額を確認します。
過去の暦年課税贈与が何年分あるか確認します。令和6年以後の年110万円基礎控除の按分が必要か確認します。選択前の暦年課税贈与が加算対象期間内にないか確認します。
将来の相続税が発生しそうか試算します。2,500万円特別控除の残額を管理します。既納の相続時精算課税分贈与税相当額を確認します。
2割加算の対象者ではないか確認します。登記、名義変更、会社関係手続の必要性を確認します。孫や兄弟姉妹など2割加算対象者がいないか確認します。
遺留分や特別受益の紛争リスクを確認します。家族への説明記録や遺言との整合性を確認します。不動産の相続登記・贈与登記の状況、遺産分割・特別受益・遺留分の論点を税務申告と分けて整理します。

相談先も論点によって異なります。税理士は税額シミュレーション、贈与税申告、相続税申告、税務調査対応を担います。弁護士は遺留分、特別受益、使い込み疑い、遺言の有効性、親の意思能力、遺産分割調停・審判、訴訟を扱います。司法書士は不動産贈与の所有権移転登記、相続登記、戸籍収集、法定相続情報一覧図などを扱います。

不動産鑑定士・土地家屋調査士は、高額不動産、共有不動産、境界不明地、分筆予定地、賃貸物件、借地権、底地、非典型不動産の評価や物理的範囲が争点になる場面で関与します。公認会計士・中小企業診断士は、非上場株式や事業承継で、株価評価、経営権、後継者、納税猶予、金融機関対応、経営計画を確認します。行政書士・公証人・遺言執行者は、争いがない相続で遺産分割協議書、遺言作成、公正証書遺言、遺言執行の場面に関与することがありますが、税務相談、登記申請代理、紛争代理にはそれぞれ独占業務の制限があります。

Section 09

制度趣旨から見る相続時精算課税制度と生前贈与加算

贈与税と相続税は、死亡時移転と生前移転のバランスを取るために一体で考えます。

相続税と贈与税はいずれも無償移転に対する課税ですが、課税時点と計算方法が異なります。相続税は死亡時の財産移転に課税し、贈与税は生前の財産移転に課税します。贈与税がなければ、死亡直前に財産を贈与することで相続税を回避しやすくなります。

暦年課税の生前贈与加算は、相続開始前の一定期間内の贈与を相続税へ戻すことで、死亡直前贈与による相続税回避を抑制する性格を持ちます。令和6年以後の改正で加算対象期間が7年へ延長されたのも、資産移転時期の選択による税負担の差を縮小する方向の改正と理解できます。

相続時精算課税は、贈与税と相続税を一体的に精算する制度です。贈与時には一定の控除と20%税率で仮払い的に処理し、死亡時に相続税で最終精算します。制度名どおり、相続時に精算する課税です。

次の重要ポイントは、令和6年改正後も変わらない制度の中核をまとめたものです。年110万円基礎控除で使いやすくなった一方、2,500万円特別控除を使った大型贈与は死亡時に精算されるため、節税効果の読み方を誤らないことが重要です。

令和6年改正後も、制度の中核は「精算」です

年110万円部分が贈与税だけでなく相続税の加算対象からも外れることで、長期的な資産移転設計での利用可能性は高まりました。しかし、2,500万円特別控除を使って大きな財産を移転しても、死亡時には相続税に取り込まれます。

次の一覧は、相続時精算課税で多い誤解を正しい理解へ置き換えたものです。誤解の多くは、贈与時の税額と相続時の精算を混同することから生じるため、どの時点の話かを読み分けてください。

誤解正しい理解
2,500万円まで完全非課税2,500万円特別控除は贈与時の贈与税計算上の控除です。相続時には相続時精算課税適用財産が相続税の課税価格へ取り込まれます。
死亡前7年を過ぎれば加算されない7年加算は主に暦年課税の話です。相続時精算課税の選択後贈与は、原則として期間制限なく特定贈与者の死亡時に精算されます。
令和6年以後は何でも110万円ずつ手続不要年110万円基礎控除部分は原則として贈与税も相続税加算も生じませんが、初めて選択するには届出書の提出が必要になることがあります。
父から選ぶと母からの贈与も同じ扱い相続時精算課税は贈与者ごとの選択です。父について選んでも、母について選んだことにはなりません。
税務上加算されるなら遺産分割でも必ず控除される相続税の加算と民法上の特別受益は別制度です。税務上の加算額が、遺産分割での相続分調整額と必ず一致するわけではありません。
相続財産をもらわなければ相続税申告は関係ない相続時精算課税適用財産を取得している人は、相続や遺贈で財産を取得しない場合でも、相続税上、相続等により取得したものとみなされる場面があります。
FAQ

相続時精算課税制度を選んだ場合の生前贈与加算に関するFAQ

個別の結論を断定せず、制度の一般的な考え方として整理します。

Q1. 相続時精算課税制度を選んだ場合の生前贈与加算は、3年ですか、7年ですか。

一般的には、3年または7年という期間は主に暦年課税の生前贈与加算の話とされています。相続時精算課税を選んだ特定贈与者からの贈与は、選択後の贈与について、原則として期間制限なく特定贈与者の死亡時に相続税へ取り込まれます。ただし、令和6年1月1日以後の贈与は、年分ごとに相続時精算課税の基礎控除額を控除した残額が加算されます。具体的な申告上の扱いは、贈与日、届出状況、相続開始日によって変わるため、税理士等へ確認する必要があります。

Q2. 令和6年以後に相続時精算課税で毎年110万円以内を贈与すれば、相続税にも加算されませんか。

一般的には、その年分の相続時精算課税適用財産の価額が基礎控除額以下で、他の特定贈与者との按分などもなければ、その年分について相続税に加算される残額は0になる可能性があります。ただし、初めて相続時精算課税を選ぶための届出、過去の暦年課税贈与、民法上の特別受益、名義預金、贈与成立の証拠などは別途確認が必要です。具体的な対応は、資料を整理したうえで税理士等へ相談する必要があります。

Q3. 相続時精算課税の2,500万円特別控除を使った財産は、相続税でも除外されますか。

一般的には、除外されないとされています。2,500万円特別控除は贈与時の贈与税計算上の控除であり、相続時には令和5年以前の贈与なら原則として贈与時価額、令和6年以後の贈与なら年分ごとの相続時精算課税基礎控除後の残額が相続税の課税価格に加算されます。具体的な税額は、他の相続財産や税額控除によって変わります。

Q4. 相続時精算課税を選択する前の暦年贈与はどうなりますか。

一般的には、選択前の暦年課税贈与は暦年課税の生前贈与加算のルールで別途確認します。相続開始日、贈与日、相続や遺贈等による財産取得の有無、加算対象期間、延長4年間部分の100万円控除などを検討します。具体的な申告要否は、過去の贈与履歴と相続開始時期によって変わります。

Q5. 孫が相続時精算課税で贈与を受けた場合、相続税の2割加算はありますか。

一般的には、孫が代襲相続人である場合などを除き、通常の孫は相続税額の2割加算の対象になり得るとされています。ただし、家族関係、相続人の範囲、取得した財産、代襲相続の有無によって判断が変わります。具体的な税額試算は税理士等へ確認する必要があります。

Q6. 贈与を受けた財産が相続時に値下がりしていたら、相続時の安い価額で計算できますか。

一般的には、相続時精算課税では相続税に取り込む価額は贈与時の価額とされています。そのため、値下がり資産では不利になる可能性があります。ただし、令和6年1月1日以後に災害で相当の被害を受けた土地・建物など、一定の特例がある場合は別途検討します。具体的な評価と適用可否は専門家へ確認する必要があります。

Q7. 相続時精算課税を選べば遺留分対策になりますか。

一般的には、相続時精算課税は税務上の制度であり、遺留分を消す制度ではありません。多額の生前贈与は、他の相続人から遺留分侵害額請求や特別受益の主張を受ける可能性があります。具体的な紛争予防策は、家族関係や財産内容によって変わるため、弁護士等へ相談する必要があります。

Q8. 相続時精算課税を選んだ後、同じ贈与者からの贈与を暦年課税に戻せますか。

一般的には、戻せないとされています。相続時精算課税は贈与者ごとの選択ですが、一度選択すると、その特定贈与者からの贈与については暦年課税へ変更できません。具体的な制度選択は将来の贈与計画、財産評価、家族関係、相続税見込みを含めて慎重に検討する必要があります。

Reference

参考資料・公的情報源

制度の一次情報と、公的機関が公表する説明資料を中心に確認しています。

税務に関する公的資料

  • 国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」
  • 国税庁「No.4301 相続時精算課税の選択と相続税の申告義務」
  • 国税庁「No.4409 贈与税の計算(相続時精算課税の選択をした場合)」
  • 国税庁「No.4410 複数の人から贈与を受けたとき」
  • 国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)」
  • 国税庁「No.4307 贈与者が贈与をした年に死亡した場合の贈与税及び相続税の取扱い」
  • 国税庁「No.4302 贈与者が贈与した年の中途に死亡した場合の相続時精算課税の選択」
  • 国税庁「No.4152 相続税の計算」
  • 国税庁「No.4157 相続税額の2割加算」
  • 国税庁「令和5年度 相続税及び贈与税の税制改正のあらまし」
  • 国税庁「No.8007 災害により被害を受けたときの贈与税の取扱い」
  • 国税庁「災害により被害を受けた場合の相続時精算課税に係る土地又は建物の価額の特例について」

法令・登記に関する公的資料

  • e-Gov法令検索「相続税法」
  • e-Gov法令検索「民法」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」