2σ Guide

相続税がかかるかどうかを
3ステップで判定する方法

法定相続人の数、正味の遺産額、基礎控除額の比較から、申告要否と注意すべき特例を一般情報として整理します。

3判定ステップ
3,000万+600万基礎控除の基本式
10か月申告期限の目安
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相続税がかかるかどうかを 3ステップで判定する方法

法定相続人の数、正味の遺産額、基礎控除額の比較から、申告要否と注意すべき特例を一般情報として整理します。

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相続税がかかるかどうかを 3ステップで判定する方法
法定相続人の数、正味の遺産額、基礎控除額の比較から、申告要否と注意すべき特例を一般情報として整理します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 相続税がかかるかどうかを 3ステップで判定する方法
  • 法定相続人の数、正味の遺産額、基礎控除額の比較から、申告要否と注意すべき特例を一般情報として整理します。

POINT 1

  • 相続税がかかるかどうかの全体像
  • 1. Step 1 法定相続人を確定:配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹、代襲相続、相続放棄、養子を整理します。
  • 2. 基礎控除額を計算:3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数で求めます。
  • 3. Step 2 正味の遺産額を計算:相続財産、みなし相続財産、贈与加算、非課税財産、債務、葬式費用を反映します。
  • 4. Step 3 基礎控除額と比較:正味の遺産額が基礎控除額を超えるかを確認します。
  • 5. 申告・納税・特例を検討:10か月期限から逆算し、税額軽減や納税資金も確認します。
  • 6. 原則は課税なし:ただし判定根拠となる資料は保存します。

POINT 2

  • 相続税がかかるかどうかは法定相続人の数から判定する
  • 基礎控除額は、実際の取得割合ではなく法定相続人の数で決まります。
  • 基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
  • 基礎控除
  • 法定相続分

POINT 3

  • 相続税がかかるかどうかは正味の遺産額で判定する
  • 財産を足すだけでなく、非課税財産・債務・葬式費用・贈与加算を反映します。
  • 正味の遺産額とは、相続税判定のために相続財産等を税務上の評価額で集計し、控除と加算を反映した金額です。
  • 預金だけを見て判断すると、不動産、保険金、名義預金、生前贈与を見落とす可能性があります。
  • 見落としやすい財産ほど後日の照会や修正につながるため、分類ごとに資料を集めることが重要です。

POINT 4

  • 相続税がかかるかどうかを左右する控除・特例
  • 税額を下げる制度でも、申告不要になるとは限りません。
  • 正味の遺産額の判定では、生前贈与加算、相続時精算課税、小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減が大きく影響します。
  • 金額が下がる制度ほど、要件と申告書添付資料を確認することが重要です。
  • 次の比較グラフは、小規模宅地等の特例で代表的に示される減額割合を表します。

POINT 5

  • 相続税がかかるかどうかを比較して申告要否を分類する
  • 1. 死亡後の基本連絡:死亡届、年金・保険・金融機関連絡、遺言書の有無確認を進めます。
  • 2. 相続人と財産の初期確認:戸籍収集、相続人確定、財産目録作成、相続放棄の検討を行います。
  • 3. 評価資料の取得:不動産評価、預貯金・証券・保険・債務の資料取得を進めます。
  • 4. 分割方針と税額概算:遺産分割方針、税額概算、小規模宅地等の特例、配偶者軽減を検討します。
  • 5. 申告準備:遺産分割協議書、申告書作成、納税資金準備を進めます。
  • 6. 申告・納税と名義変更:申告・納税、相続登記、金融機関解約手続を確認します。

POINT 6

  • 相続税がかかるかどうかの誤判定が起きやすい10の論点
  • 死亡保険金を除外する
  • 保険金非課税枠を二重に使う
  • 土地を固定資産税評価額だけで見る
  • 小規模宅地等の特例を自動適用と考える
  • 配偶者の税額軽減を申告不要と誤解する
  • 生前贈与を忘れる
  • 相続時精算課税を忘れる
  • 債務控除できないものまで引く
  • 葬式費用に含まれない支出を引く
  • 争いを税務だけで解決しようとする
  • 財産の見落としと制度の誤解が、申告漏れや特例失念につながります。

POINT 7

  • 相続税がかかるかどうかを確認する必要資料
  • 基礎控除以下の判断でも、説明できる資料を残すことが重要です。
  • 相続税判定の最初の数字である法定相続人の数を支える資料なので、戸籍や住所資料の目的を読み取ってください。
  • 財産の種類ごとに資料が違うため、預金だけでなく不動産、保険、株式、暗号資産まで確認範囲を広げることが大切です。
  • これらは税額を左右するだけでなく、申告書に添付する根拠資料にもなるため、どの制度にどの書類が必要かを読み取ってください。

POINT 8

  • 相続税がかかるかどうかで迷うときの専門家の使い分け
  • 税務、紛争、登記、不動産評価、事業承継で相談先が変わります。
  • 司法書士
  • 行政書士
  • 不動産鑑定士・土地家屋調査士・宅地建物取引士

まとめ

  • 相続税がかかるかどうかを 3ステップで判定する方法
  • 相続税がかかるかどうかの全体像:最初に、課税対象・申告義務・納付税額を分けて整理します。
  • 相続税がかかるかどうかは法定相続人の数から判定する:基礎控除額は、実際の取得割合ではなく法定相続人の数で決まります。
  • 相続税がかかるかどうかは正味の遺産額で判定する:財産を足すだけでなく、非課税財産・債務・葬式費用・贈与加算を反映します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

相続税がかかるかどうかの全体像

最初に、課税対象・申告義務・納付税額を分けて整理します。

相続税がかかるかどうかは、預金残高や自宅の有無だけでは判定できません。法定相続人の数を確定し、財産・保険金・生前贈与・債務・葬式費用などを整理して正味の遺産額を出し、その金額を基礎控除額と比べる必要があります。

「相続税がかかる」という言葉は、課税対象財産があること、申告が必要になること、実際に納付税額が生じることの3つに分かれます。この違いを先に押さえると、特例で税額がゼロになりそうな場面でも申告が必要になる理由を読み取れます。

Layer 1

課税対象財産があるか

預貯金や不動産だけでなく、被相続人が保険料を負担した死亡保険金などのみなし相続財産も確認します。

Layer 2

申告が必要か

正味の遺産額が基礎控除額を超える場合や、小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減を使う場合は申告の検討が必要です。

Layer 3

納付税額が出るか

申告が必要でも、配偶者の税額軽減などで納付税額がゼロになる可能性があります。申告義務と納付額は別に考えます。

結論一次判定は、法定相続人の数、正味の遺産額、基礎控除額の比較で行います。ただし、特例適用、未分割、名義預金、不動産評価、生前贈与、非上場株式、国外財産がある場合は個別確認が必要です。

相続税がかかるかどうかの判定は、次の順番で進めると漏れを減らせます。上から順に確認することが重要で、途中で判断不能になった場合は資料を集めたうえで税理士等の専門家へ確認する必要があります。

相続税がかかるかどうかの一次判定

Step 1 法定相続人を確定

配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹、代襲相続、相続放棄、養子を整理します。

基礎控除額を計算

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数で求めます。

Step 2 正味の遺産額を計算

相続財産、みなし相続財産、贈与加算、非課税財産、債務、葬式費用を反映します。

Step 3 基礎控除額と比較

正味の遺産額が基礎控除額を超えるかを確認します。

超える
申告・納税・特例を検討

10か月期限から逆算し、税額軽減や納税資金も確認します。

超えない
原則は課税なし

ただし判定根拠となる資料は保存します。

Section 01

相続税がかかるかどうかは法定相続人の数から判定する

基礎控除額は、実際の取得割合ではなく法定相続人の数で決まります。

基礎控除額は、相続税がかかるかどうかを判定する非課税ラインです。人数が1人増えるごとに600万円ずつ増えるため、誰を法定相続人として数えるかが判定の出発点になります。

基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

正味の遺産額がこの金額以下であれば、原則として相続税はかかりません。超える場合は申告・納税・特例適用の検討が必要です。

次の比較表は、法定相続人の人数ごとの基礎控除額を表します。人数が増えるほど非課税ラインが上がるため、最初に戸籍で相続人を確定する重要性を読み取れます。

法定相続人の数基礎控除額読み取り方
1人3,600万円相続人が1人でも3,000万円ではなく3,600万円までが基礎控除です。
2人4,200万円子2人のみ、配偶者と子1人などで使う目安です。
3人4,800万円配偶者と子2人の標準的な例でよく使います。
4人5,400万円相続人が増えると600万円ずつ上がります。
5人6,000万円人数が多い家族では基礎控除が大きくなります。
6人6,600万円代襲相続や兄弟姉妹相続では人数確認が特に重要です。

次の一覧は、民法上の相続順位と相続税判定での見方を整理したものです。配偶者は常に相続人となり、配偶者以外は子、直系尊属、兄弟姉妹の順に確認する点を読み取ってください。

順位相続人になる人相続税判定での注意点
常に相続人配偶者法律上の婚姻関係にある配偶者を数えます。内縁関係の人は法定相続人には含まれません。
第1順位子が先に死亡している場合は孫などの代襲相続を確認します。
第2順位直系尊属子がいない場合に父母や祖父母を確認します。
第3順位兄弟姉妹子も直系尊属もいない場合に確認します。兄弟姉妹の子への代襲もあり得ます。

基礎控除と法定相続分は混同しやすい項目です。次の比較一覧は、どちらが人数の計算に関係し、どちらが遺産の分け方に関係するかを示すためのものです。

Deduction

基礎控除

相続税がかかるかどうかの判定に使います。財産を実際に誰がいくら取得するかではなく、法定相続人の数で計算します。

Share

法定相続分

相続人間で合意できない場合の取得割合の目安です。必ずこの割合で分けなければならないという意味ではありません。

Caution

放棄と養子

相続税計算上の法定相続人の数では、相続放棄がなかったものとして数える場面があります。養子は実子がいる場合1人まで、実子がいない場合2人までという制限に注意します。

注意相続放棄、養子、代襲相続、欠格、廃除、非嫡出子、再婚家庭、前婚の子が絡む場合は、Step 1だけで結論が変わる可能性があります。個別の相続関係は資料を確認したうえで専門家へ相談する必要があります。
Section 02

相続税がかかるかどうかは正味の遺産額で判定する

財産を足すだけでなく、非課税財産・債務・葬式費用・贈与加算を反映します。

正味の遺産額とは、相続税判定のために相続財産等を税務上の評価額で集計し、控除と加算を反映した金額です。預金だけを見て判断すると、不動産、保険金、名義預金、生前贈与を見落とす可能性があります。

概算式正味の遺産額 = 本来の相続財産 + みなし相続財産 + 相続時精算課税適用財産 + 加算対象の暦年課税贈与財産 - 非課税財産 - 債務 - 葬式費用

次の一覧は、本来の相続財産を棚卸しするときに確認する主な分類と資料を表します。見落としやすい財産ほど後日の照会や修正につながるため、分類ごとに資料を集めることが重要です。

分類具体例確認資料
現金・預貯金普通預金、定期預金、現金、外貨預金残高証明書、通帳、取引明細、貸金庫記録
不動産土地、建物、マンション、借地権、底地固定資産税課税明細書、登記事項証明書、名寄帳、路線価図、評価倍率表
有価証券上場株式、投資信託、国債、社債証券会社の残高証明、取引報告書
事業財産売掛金、棚卸資産、事業用設備決算書、帳簿、請求書、在庫表
会社関連財産非上場株式、出資持分、貸付金株主名簿、決算書、会社謄本、総勘定元帳
その他自動車、貴金属、骨董品、著作権、特許権、暗号資産評価資料、鑑定書、ウォレット情報、契約書

不動産は「売れる価格」ではなく相続税評価額で確認します。次の比較表は、土地や建物の評価で最初に見る資料と注意点を示すもので、売却価格、固定資産税評価額、相続税評価額を混同しないことが読み取りの中心です。

財産まず見る資料注意点
宅地路線価図、評価倍率表、固定資産税評価額角地、奥行、不整形地、私道、貸宅地、借地権などで補正が必要になることがあります。
家屋固定資産税評価証明書、課税明細書家屋は固定資産税評価額に1.0を乗じる評価が基本です。賃貸中なら調整があり得ます。
マンション固定資産税評価額、敷地権割合、路線価、補正率令和6年1月1日以後取得の居住用区分所有財産は評価方法に注意します。
農地・山林評価倍率表、農地種別、都市計画農地転用可能性や納税猶予の検討が必要になることがあります。
貸家・賃貸アパート賃貸借契約、入居状況、固定資産税評価額借家権割合、賃貸割合、貸家建付地評価が絡みます。

死亡保険金や死亡退職金は、民法上の遺産分割対象と税務上の課税対象がずれる代表例です。次の比較一覧では、相続税に含める財産、差し引けるもの、注意が必要なものを整理します。

項目相続税判定での扱い主な数値・注意点
死亡保険金被相続人が保険料を負担していたものはみなし相続財産になり得ます。相続人が受け取る場合、500万円 × 法定相続人の数まで非課税枠があります。
死亡退職金一定の範囲で相続税の対象になります。死亡保険金と同様に、500万円 × 法定相続人の数まで非課税枠があります。
非課税財産墓地、墓石、仏壇、一定の公益目的財産などは非課税となることがあります。骨董的価値や商品性があるものは課税対象になり得ます。
債務死亡時に現に存在し、確実と認められる債務は控除できる可能性があります。借入金、未払医療費、未納税金などが代表例です。
葬式費用一定の相続人等が負担した葬式費用は控除できます。香典返し、墓石・墓地の購入費、初七日など法事費用は含まれません。
名義預金家族名義の預金でも、資金原資、通帳・印鑑の管理、贈与契約、贈与税申告、生活実態から実質的に被相続人の財産と見られる場合があります。残高だけでなく管理実態を確認する必要があります。
Section 03

相続税がかかるかどうかを左右する控除・特例

税額を下げる制度でも、申告不要になるとは限りません。

正味の遺産額の判定では、生前贈与加算、相続時精算課税、小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減が大きく影響します。金額が下がる制度ほど、要件と申告書添付資料を確認することが重要です。

次の比較グラフは、小規模宅地等の特例で代表的に示される減額割合を表します。割合が高い区分ほど相続税判定への影響が大きく、限度面積や取得者要件を読んでから使えるかを確認する必要があります。

80%
特定居住用宅地等
80%
特定事業用宅地等
80%
同族会社事業用
50%
貸付事業用宅地等

次の表は、小規模宅地等の特例の主な区分、限度面積、減額割合を整理したものです。割合だけでなく、面積の上限が区分ごとに違う点を読み取ってください。

区分限度面積減額割合注意点
特定居住用宅地等330㎡80%居住継続や保有継続などの要件が問題になります。
特定事業用宅地等400㎡80%事業継続や取得者要件を確認します。
特定同族会社事業用宅地等400㎡80%会社との関係や事業実態の確認が必要です。
貸付事業用宅地等200㎡50%貸付実態と継続要件を確認します。

次の比較一覧は、生前贈与や配偶者の税額軽減など、正味の遺産額や納付税額に影響する制度をまとめたものです。金額が大きいほど効果はありますが、申告や資料添付が必要になりやすいことを読み取ってください。

制度・論点主な内容判定上の注意点
生前贈与加算暦年課税贈与の一定期間内の財産を相続税の課税価格に加算します。令和9年以後の相続開始では段階的に7年へ拡大し、延長部分には総額100万円まで加算対象外の取扱いがあります。
相続時精算課税選択済みの受贈者は、特定贈与者死亡時に贈与財産と相続財産を合算します。令和6年1月1日以後の贈与では年110万円の基礎控除が創設されています。特別控除額2,500万円、税率20%も確認します。
小規模宅地等の特例一定の宅地等を一定面積まで大幅に減額します。適用を受けるには申告書への記載と一定書類の添付が必要です。分割状況も問題になります。
配偶者の税額軽減配偶者が取得した正味の遺産額が1億6,000万円または法定相続分相当額の多い金額までなら、配偶者に相続税がかからない可能性があります。制度を使うには申告書や戸籍、遺言書、遺産分割協議書などの提出が必要です。二次相続も検討します。
申告注意小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を使うと納付税額がゼロになる可能性がありますが、制度適用のために申告が必要になることがあります。税額ゼロと申告不要は同じではありません。
Section 04

相続税がかかるかどうかを比較して申告要否を分類する

基礎控除以下でも資料保存、超過なら10か月期限から逆算します。

Step 1で基礎控除額を計算し、Step 2で正味の遺産額を計算したら、最後に両者を比較します。次の比較表は、金額だけでなく、特例適用や判断不能の場面で取るべき確認を整理したものです。

判定結果一般的な扱い確認すべきこと
正味の遺産額が基礎控除額以下原則として相続税はかかりません。戸籍、残高証明、評価資料、葬儀費用領収書など、判定根拠を保存します。
正味の遺産額が基礎控除額を超える相続税申告・納税の検討が必要です。申告期限、特例、納税資金、遺産分割を確認します。
特例で税額ゼロになりそう申告が必要になることがあります。小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減、未分割申告、還付の有無を確認します。
判断不能専門家精査が必要です。名義預金、不動産評価、非上場株式、国外財産、生前贈与、争いの有無を確認します。

相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。次の時系列は、期限から逆算して何を進めるかを表しており、後半に不動産評価や遺産分割を残すと時間が足りなくなる点を読み取れます。

0〜1か月

死亡後の基本連絡

死亡届、年金・保険・金融機関連絡、遺言書の有無確認を進めます。

1〜3か月

相続人と財産の初期確認

戸籍収集、相続人確定、財産目録作成、相続放棄の検討を行います。

3〜5か月

評価資料の取得

不動産評価、預貯金・証券・保険・債務の資料取得を進めます。

5〜7か月

分割方針と税額概算

遺産分割方針、税額概算、小規模宅地等の特例、配偶者軽減を検討します。

7〜9か月

申告準備

遺産分割協議書、申告書作成、納税資金準備を進めます。

9〜10か月

申告・納税と名義変更

申告・納税、相続登記、金融機関解約手続を確認します。

納付税額がゼロでも申告が必要になりやすい場面は、制度ごとに理由が違います。次の表では、特例や未分割など、申告書を出す意味がある典型例を読み取れます。

典型例申告が必要になりやすい理由
小規模宅地等の特例を使う適用を受ける旨を申告書に記載し、明細書等を添付する必要があります。
配偶者の税額軽減を使う税額軽減の明細、戸籍、遺産分割協議書等の提出が必要です。
相続時精算課税の贈与税相当額の還付を受ける相続税申告により還付を受ける場面があります。
未分割申告を行う法定相続分等で仮計算し、後日更正の請求等を検討します。
納税猶予・特例制度を使う制度ごとに申告、届出、継続要件があります。
Section 05

相続税がかかるかどうかの具体例で3ステップを確認する

同じ基礎控除でも、保険金、不動産評価、特例で結論が変わります。

次の4つの具体例は、正味の遺産額と基礎控除額の比較がどのように結論へつながるかを示します。金額の足し引きだけでなく、非課税枠や特例の有無で申告要否が変わる点を読み取ってください。

A

自宅と預金がある標準的ケース

母、子2人で法定相続人3人。基礎控除額は4,800万円です。預貯金3,000万円、自宅2,500万円、死亡保険金1,000万円、債務・葬式費用400万円の場合、保険金は1,500万円の非課税枠内で課税対象0円となり、正味の遺産額は5,100万円です。

基礎控除超過特例確認
B

配偶者が大半を取得するケース

妻、子2人で法定相続人3人。正味の遺産額1億2,000万円は基礎控除額4,800万円を超えます。妻が全額取得する場合、配偶者の税額軽減で納付税額がゼロになり得ますが、制度適用には申告が必要です。

申告必要二次相続
C

子2人のみで基礎控除以下のケース

法定相続人2人の基礎控除額は4,200万円です。預貯金2,500万円、有価証券800万円、葬式費用200万円、不動産なしなら、正味の遺産額は3,100万円で、原則として相続税はかからないと考えられます。

基礎控除以下資料保存
D

不動産評価で結論が変わるケース

子1人の基礎控除額は3,600万円です。不動産会社査定額5,000万円で計算すると6,100万円、相続税評価額3,200万円で概算すると4,300万円となり、超過額が大きく変わります。小規模宅地等の特例が使えるかも重要です。

評価方法不動産

次の計算表は、具体例AとCの足し引きを並べたものです。死亡保険金の非課税枠や葬式費用控除を反映したあとで、基礎控除額と比較する順番を読み取れます。

ケース基礎控除額正味の遺産額一次判定
A 自宅と預金4,800万円5,100万円300万円超過。申告と小規模宅地等の特例を確認します。
B 配偶者取得4,800万円1億2,000万円基礎控除超過。配偶者の税額軽減を使うにも申告を確認します。
C 子2人のみ4,200万円3,100万円原則として基礎控除以下。見落とし財産の確認と資料保存を行います。
D 不動産評価3,600万円4,300万円相続税評価額でも超過。特例適用で結論が変わる可能性があります。
Section 06

相続税がかかるかどうかの誤判定が起きやすい10の論点

財産の見落としと制度の誤解が、申告漏れや特例失念につながります。

次の注意点一覧は、相続税判定で誤りが起きやすい10項目をまとめたものです。どの項目も正味の遺産額や申告要否に影響するため、該当しそうなものを早めに洗い出すことが重要です。

死亡保険金を除外する

受取人固有の財産でも、被相続人が保険料を負担していた場合は相続税の対象になり得ます。

保険金非課税枠を二重に使う

500万円 × 法定相続人の数は、相続人全員が受け取った保険金合計に対する枠です。

土地を固定資産税評価額だけで見る

家屋は固定資産税評価額が基本ですが、土地は路線価方式または倍率方式で確認します。

小規模宅地等の特例を自動適用と考える

取得者、継続要件、分割状況、申告書添付資料などの確認が必要です。

配偶者の税額軽減を申告不要と誤解する

納付税額がゼロになり得ても、制度を使うために申告が必要になることがあります。

生前贈与を忘れる

一定期間内の暦年課税贈与は相続税の課税価格に加算されることがあります。

相続時精算課税を忘れる

過去に選択届出をしている場合、相続時に加算される財産があります。

債務控除できないものまで引く

確実と認められる債務が対象であり、非課税財産に関する債務などは控除できない場合があります。

葬式費用に含まれない支出を引く

香典返し、墓石・墓地の購入費、初七日などの法事費用は通常含まれません。

争いを税務だけで解決しようとする

相続税申告は遺産分割の争いを解決する制度ではありません。紛争がある場合は法的整理も必要です。

Section 07

相続税がかかるかどうかを確認する必要資料

基礎控除以下の判断でも、説明できる資料を残すことが重要です。

次の表は、法定相続人を確定するための資料を整理したものです。相続税判定の最初の数字である法定相続人の数を支える資料なので、戸籍や住所資料の目的を読み取ってください。

資料目的
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本類法定相続人の確定
相続人全員の戸籍謄本相続資格の確認
被相続人の住民票除票または戸籍附票最後の住所地確認
相続人の住民票登記・金融機関手続
法定相続情報一覧図相続登記、預金払戻し、相続税申告、年金等手続での活用

次の表は、正味の遺産額を計算するための財産確認資料をまとめたものです。財産の種類ごとに資料が違うため、預金だけでなく不動産、保険、株式、暗号資産まで確認範囲を広げることが大切です。

財産主な資料
預貯金残高証明書、通帳、取引履歴
株式・投資信託残高証明書、取引報告書
不動産登記事項証明書、固定資産税課税明細書、名寄帳、路線価図、評価倍率表
生命保険保険証券、支払通知書、契約内容照会
退職金勤務先の支払通知、退職金規程
事業財産決算書、帳簿、売掛金一覧、棚卸表
非上場株式決算書、株主名簿、法人税申告書
貴金属・美術品鑑定書、購入記録、写真
暗号資産取引所残高、ウォレット情報、秘密鍵管理状況
貸付金金銭消費貸借契約書、返済履歴

次の表は、控除や特例を確認する資料を示します。これらは税額を左右するだけでなく、申告書に添付する根拠資料にもなるため、どの制度にどの書類が必要かを読み取ってください。

項目主な資料
債務控除借入金残高証明書、請求書、未払医療費、納税通知書
葬式費用葬儀社領収書、火葬費用領収書、読経料等の記録
死亡保険金非課税枠保険金支払通知、受取人情報
小規模宅地等の特例住民票、戸籍、遺産分割協議書、賃貸借契約、事業資料
配偶者の税額軽減戸籍、遺言書、遺産分割協議書、印鑑証明書
生前贈与加算贈与契約書、送金記録、贈与税申告書
相続時精算課税選択届出書、贈与税申告書、贈与契約書
保存申告不要と判断する場合でも、資料不要という意味ではありません。税務署から照会があったときに、法定相続人の数、財産評価、控除、贈与の有無を説明できる状態にしておくことが重要です。
Section 08

相続税がかかるかどうかで迷うときの専門家の使い分け

税務、紛争、登記、不動産評価、事業承継で相談先が変わります。

次の一覧は、相続税判定の途中で相談先を選ぶための整理です。専門家ごとに扱える業務が違うため、税額、争い、登記、評価、事業承継のどれが問題なのかを読み取ることが重要です。

Tax

税理士

相続税申告、財産評価、税務相談、税務代理、税務調査対応を担います。基礎控除超過、不動産、特例、生前贈与、非上場株式がある場合は早期確認が重要です。

Dispute

弁護士

遺産分割、遺留分、使い込み疑い、遺言の有効性、資料開示拒否など、相続人間の争いがある場合に中心となります。

Register

司法書士

不動産登記、相続登記、会社法人登記、裁判所提出書類作成などを担います。不動産を相続した場合は登記期限も確認します。

Documents

行政書士

争いがない相続で、遺産分割協議書や相続人関係説明図などの作成支援を受ける場面があります。紛争、税務、登記代理とは業務範囲が異なります。

Real Estate

不動産鑑定士・土地家屋調査士・宅地建物取引士

不動産の評価、境界、分筆、表示登記、売却などで関与します。相続税評価額、遺産分割上の時価、売却可能額は一致しないことがあります。

Business

公認会計士・中小企業診断士・弁理士

会社経営者の相続では、非上場株式評価、会社財務、事業承継、特許・商標などの承継が論点になります。

Life Plan

FP・社会保険労務士・金融機関

家計、保険、納税資金、二次相続対策、遺族年金、預金払戻し、保険金請求などで実務上の支援を受ける場面があります。

範囲個別の税務判断や申告代理は税理士、紛争代理は弁護士、登記申請代理は司法書士の領域です。相談先の業務範囲を分けて考えると、手続が滞りにくくなります。
Section 09

相続税がかかるかどうかの最終確認

3ステップの結論を出す前に、見落としやすい項目を確認します。

次の確認項目は、一次判定の最後に見直すべきポイントを分類したものです。どれか一つでも不明な項目がある場合、正味の遺産額や申告要否が変わる可能性があります。

相続人

法定相続人は誰か、人数は何人か、相続放棄・養子・代襲相続・前婚の子がないかを確認します。

基礎控除

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数で基礎控除額を計算したかを確認します。

財産棚卸し

預貯金、家族名義預金、不動産、株式、保険金、退職金、貸金庫、暗号資産を確認します。

評価方法

土地は路線価方式または倍率方式、建物は固定資産税評価額を基本に確認します。

控除と費用

死亡保険金の非課税枠、債務、葬式費用、法事費用との区別を確認します。

贈与

生前贈与加算、相続時精算課税選択届出書、贈与税申告書の有無を確認します。

特例

小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減、納税猶予の要件と申告要否を確認します。

期限と資金

10か月以内に申告・納税できるか、納税資金が足りるか、延納・物納の検討が必要かを確認します。

争いと登記

遺産分割協議の成立、不動産の相続登記、争いがある場合の専門家相談を確認します。

まとめ相続税がかかるかどうかは、法定相続人の数を確定し、正味の遺産額を計算し、基礎控除額と比較する3ステップで一次判定できます。超える場合は申告・納税・特例を検討し、超えない場合でも資料を保存します。
FAQ

相続税がかかるかどうかのよくある質問

一般的な制度説明として、個別事情で結論が変わる点も含めて整理します。

預金が3,000万円だけなら相続税はかかりませんか。

一般的には、法定相続人が1人でも基礎控除額は3,600万円なので、預金3,000万円だけで他に財産や加算項目がなければ基礎控除以下と考えられます。ただし、不動産、死亡保険金、名義預金、生前贈与加算、貸金庫内財産などの有無によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。

自宅しか財産がない場合、相続税はかかりますか。

一般的には、自宅の土地・建物の相続税評価額、法定相続人の数、小規模宅地等の特例の適用可能性によって判断します。ただし、土地の評価方法、建物の固定資産税評価額、取得者の要件、分割状況で結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、評価資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。

配偶者が全部相続すれば相続税申告は不要ですか。

一般的には、配偶者の税額軽減により、配偶者が取得した正味の遺産額が1億6,000万円または法定相続分相当額の多い金額までであれば、配偶者に相続税がかからない可能性があります。ただし、基礎控除額を超える相続でこの制度を使うには申告が必要になることがあります。具体的な対応は、遺産分割資料と申告要否を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。

申告期限までに遺産分割がまとまらない場合はどうなりますか。

一般的には、相続税の申告期限は死亡を知った日の翌日から10か月以内であり、遺産分割がまとまらない場合でも期限内申告が必要になることがあります。ただし、未分割申告、更正の請求、特例適用の可否、相続人間の争いの状況で結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、弁護士や税理士等の専門家へ相談する必要があります。

相続登記をしなければ相続税も関係ありませんか。

一般的には、相続登記と相続税申告は別の手続です。不動産を取得した場合、相続税の有無とは別に相続登記が必要になることがあります。ただし、取得時期、遺産分割状況、不動産の内容によって必要な手続は変わる可能性があります。具体的な対応は、司法書士や税理士等の専門家へ相談する必要があります。

国税庁の申告要否判定コーナーだけで判断してよいですか。

一般的には、申告要否判定コーナーは概算確認に役立つものとされています。ただし、複雑な不動産評価、名義預金、生前贈与、非上場株式、特例適用の可否、国外財産などがある場合は、入力だけでは判断が難しい可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Reference

参考資料・一次情報

制度の確認に用いた公的資料・中立的資料の名称を整理します。

国税庁の資料

  • 国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
  • 国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」
  • 国税庁「No.4152 相続税の計算」
  • 国税庁「No.4108 相続税がかからない財産」
  • 国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」
  • 国税庁「No.4126 相続財産から控除できる債務」
  • 国税庁「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」
  • 国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除」
  • 国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」
  • 国税庁「No.4124 小規模宅地等の特例」
  • 国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」
  • 国税庁「No.4602 土地家屋の評価」
  • 国税庁「相続税の申告要否判定コーナー」
  • 国税庁「税理士制度のQ&A 2 税理士の業務」

法務・裁判所関連の資料

  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 法務省「不動産を相続したらかならず相続登記」
  • 法務局「法定相続情報証明制度について」
  • 裁判所「遺産分割調停」
  • 日本司法書士会連合会「司法書士の業務」