死亡退職金は、民法上の遺産に含まれないことがある一方、相続税ではみなし相続財産として扱われることがあります。3年以内の支給確定、非課税枠、弔慰金との区分、相続放棄や遺産分割との関係を整理します。
死亡退職金は、民法上の遺産に含まれないことがある一方、相続税ではみなし相続財産として扱われることがあります。
民法上の帰属と相続税の課税関係を分けて見ることが出発点です。
死亡退職金は、被相続人が死亡時に持っていた預貯金そのものではありません。それでも、死亡によって被相続人に支給されるべきだった退職手当金、功労金、これらに準ずる給与を受け取る場合で、死亡後3年以内に支給額が確定したものは、相続または遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象になることがあります。
一方で、課税対象になることと、必ず相続税が発生することは同じではありません。死亡退職金を含めた課税価格の合計が基礎控除額以下であれば、申告や納税が不要となる場合があります。また、相続人が取得した死亡退職金には、原則として500万円に法定相続人の数を掛けた非課税限度額があります。
最初に押さえたいのは、判断項目の順番です。次の比較表は、死亡退職金を相続税でどう扱うかを検討する際に確認する資料と意味を並べたものです。名目、確定時期、受取人、弔慰金との区分、民事上の帰属を一つずつ確認すると、申告漏れや誤った非課税枠の適用を避けやすくなります。
| 判断事項 | 確認する資料 | 実務上の意味 |
|---|---|---|
| 何の名目で支給されたか | 支給通知書、会社規程、議事録 | 退職手当金、功労金、死亡退職慰労金などは候補になります。名称ではなく実質が重要です。 |
| 死亡に起因する支給か | 死亡日、退職日、支給事由 | 死亡退職だけでなく、生前退職後に死亡し、その後3年以内に支給額が確定した場合も対象になり得ます。 |
| 死亡後3年以内に確定したか | 支給決定日、金額確定日、議事録、計算書 | 支払日ではなく金額の確定日が中心です。入金が3年後でも、3年以内に確定していれば対象になり得ます。 |
| 受取人は誰か | 退職金規程、受給権者順位、相続関係 | 相続人が取得した場合は非課税枠の対象になり得ます。相続人以外は非課税枠を使えません。 |
| 弔慰金等との区分は適切か | 弔慰金規程、給与額、業務上死亡の有無 | 弔慰金名目でも実質退職金部分や一定限度を超える部分は課税対象になり得ます。 |
| 民事上の遺産か | 就業規則、退職給与規程、判例の射程 | 遺産分割の対象になるかと、相続税の課税対象になるかは別に整理します。 |
結論を短く整理すると、死亡退職金では支給の根拠、3年以内の確定、取得者の立場、非課税枠、弔慰金との境界を同時に見る必要があります。この重要ポイントでは、読み進める前に外せない基準をまとめています。
規程上の受給権者が固有の権利として取得する死亡退職金でも、相続税法上はみなし相続財産として課税価格に算入されることがあります。
名称、受給権者、相続人の違いを混同しないことが重要です。
死亡退職金とは、役員、従業員、公務員などが死亡したことに伴い、勤務先、共済、企業年金制度、退職給付制度などから遺族その他の受給者に支払われる退職手当金、退職慰労金、功労金、死亡退職一時金などをいいます。税法上は名称よりも、退職に基因する給与としての実質が重視されます。
死亡退職金、みなし相続財産、受給権者は似た場面で出てきますが、見る対象が異なります。次の一覧は、それぞれの意味と確認すべき点を整理したものです。誰がどの根拠で受け取り、税務上どこに算入するかを読み取ることが重要です。
死亡に伴って勤務先や制度から支払われる退職手当金、功労金、死亡退職慰労金、死亡退職一時金などです。現物支給でも実質が退職手当金等なら対象になり得ます。
死亡時に被相続人が所有していた財産そのものではなくても、相続税法により相続または遺贈で取得したものと扱われる財産です。死亡退職金や一定の死亡保険金が代表例です。
退職金規程や法令、契約により死亡退職金を受け取る権利を持つ人です。法定相続人と一致するとは限らず、民事上の請求可否と税務上の扱いを分けて確認します。
被相続人とは亡くなった人、相続人とは民法上その財産を承継する地位にある人、受給権者とは退職金規程などで死亡退職金を受け取る権利を持つ人です。たとえば規程が配偶者を第1順位の受給権者と定めていれば、配偶者が受給権者となります。子が法定相続人であっても、規程上の受給権者でなければ民事上請求できないことがあります。
他方で、相続税の計算では、死亡退職金を受け取った人の課税価格に算入される可能性があります。民法上の遺産と相続税法上の課税財産が一致しないことを前提に、規程、支給通知書、相続関係を確認します。
在職死亡、生前退職後の確定、名称違い、企業年金、弔慰金を分けて確認します。
課税対象になりやすい場面は、死亡をきっかけに退職手当金等の支給額が死亡後3年以内に確定するケースです。次の一覧は、典型場面ごとに確認すべき資料と読み取り方をまとめたものです。名称だけで判断せず、支給事由と金額確定日を確認することが重要です。
会社員、役員、公務員、団体職員などが在職中に死亡し、勤務先の規程等に基づき死亡後3年以内に支給額が確定する場合です。
3年以内確定日重視功労金、特別慰労金、死亡退職慰労金、役員功績金などでも、実質が退職に基因する給与であれば退職手当金等に含まれ得ます。
実質判断会社が運営を委託していた制度から遺族などに退職金として支払われる年金も、死亡した人の退職手当金等として相続税の対象になり得ます。
制度規約年金区分とくに重要なのは、3年以内に入金されたかではなく、3年以内に支給額が確定したかです。実際の入金が3年後でも、死亡後3年以内に金額が確定していれば相続税の対象になり得ます。役員死亡退職金では、株主総会決議、取締役会議事録、役員退職慰労金規程、功績倍率、最終報酬月額、在任年数、類似法人との比較、弔慰金との区分も確認します。
弔慰金や葬祭料は通常は相続税の対象になりませんが、実質退職手当金等に該当する部分や一定の目安を超える部分は課税対象になり得ます。次の比較表は、業務上死亡とそれ以外で弔慰金等として扱われる目安を示します。超過部分が退職手当金等として見られやすい点を読み取ってください。
| 死亡の区分 | 弔慰金等として扱われる目安 | 超過部分の扱い |
|---|---|---|
| 業務上の死亡 | 死亡当時の普通給与の3年分 | 退職手当金等として相続税対象になり得ます。 |
| 業務上の死亡でない場合 | 死亡当時の普通給与の半年分 | 退職手当金等として相続税対象になり得ます。 |
普通給与には、俸給、給料、賃金、扶養手当、勤務地手当、特殊勤務地手当などが含まれます。弔慰金等が実質退職手当金に該当するかは、退職給与規程その他これに準ずる定め、被相続人の地位や功労、類似事業における同様の地位の者が受ける額などを踏まえて判断されます。
3年超の確定、未収退職金、賞与、給与、公的遺族年金は扱いが変わります。
死亡後に勤務先や制度から支払われたお金でも、すべてが死亡退職金としてみなし相続財産になるわけではありません。次の比較表は、支給項目ごとの主な税務区分を整理したものです。相続税、所得税、一時所得、本来の相続財産のどこに入るかを読み分けることが重要です。
| 支給項目 | 主な税務区分 | 確認のポイント |
|---|---|---|
| 死亡後3年以内に支給額が確定した死亡退職金・功労金 | みなし相続財産である退職手当金等 | 金額確定日と受取人を確認します。 |
| 死亡前に支給額が確定していた未収退職金 | 本来の相続財産 | 死亡時点で存在する債権として扱う方向で検討します。 |
| 死亡後に確定した賞与 | 本来の相続財産 | 退職手当金等ではなく、被相続人が受けるべきだった賞与として区分します。 |
| 支給期未到来の給与 | 本来の相続財産 | 給与所得の源泉徴収票ではなく相続税側の確認が必要になることがあります。 |
| 公的遺族年金 | 原則として所得税・相続税とも非課税 | 企業年金や個人年金保険とは制度ごとに区分します。 |
| 死亡時未支給の公的年金を遺族が請求して受けるもの | 遺族の一時所得、相続税対象外 | 未支給年金の請求者と所得区分を確認します。 |
死亡後3年を経過してから支給額が確定した退職金は、相続税の課税価格計算の基礎に算入されず、遺族の一時所得として所得税の課税対象になるとされています。この場合、死亡退職金の非課税枠である500万円に法定相続人の数を掛ける枠は使えません。
死亡前に退職金額がすでに確定していた場合は、死亡時点で未払いの請求権が残っていたにすぎません。このときは、みなし相続財産ではなく本来の相続財産である未収退職金として相続税の対象になる方向で整理します。非課税枠、申告書の記載、所得税との関係が変わり得るため、死亡前後の確定時期を資料で確認します。
判断に迷いやすいのは、名称が似ている支給が複数あるときです。次の判断の流れは、死亡後に入金されたお金をどの区分で見るかを順番に整理しています。上から順に確定時期、支給の実質、制度の種類を確認すると、誤分類を減らせます。
退職手当金、功労金、慰労金、賞与、給与、年金、弔慰金などを資料で整理します。
支払日ではなく、決議日や計算書などによる金額確定日を見ます。
取得者、非課税枠、弔慰金との区分も確認します。
未収退職金、賞与、公的遺族年金などに分けます。
相続人が取得した死亡退職金には、法定相続人の数を基礎にした非課税枠があります。
相続人が受け取った死亡退職金は、全額が相続税対象になるわけではありません。非課税限度額は500万円に法定相続人の数を掛けて計算します。次の強調表示は基本式を示したもので、まず全体の上限を確認し、その後に取得者ごとの配分を計算する点を読み取ってください。
法定相続人が配偶者と子2人の合計3人なら、非課税限度額は1,500万円です。相続人が取得した死亡退職金総額が1,500万円以下であれば、その死亡退職金部分は課税対象に算入されません。
法定相続人の数は、相続税の基礎控除額、生命保険金の非課税限度額、死亡退職金の非課税限度額、相続税総額の計算で使われます。ただし、養子の数には制限があり、被相続人に実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までです。相続税負担を不当に減少させる目的と認められる養子は数に含められないことがあります。
相続放棄がある場合も注意が必要です。法定相続人の数は、相続放棄がなかったものとした場合の人数で計算します。しかし、相続放棄をした人自身が死亡退職金を取得しても、その人には死亡退職金の非課税枠が配分されません。相続人以外が取得した退職手当金等にも非課税の適用はなく、被相続人の一親等の血族および配偶者以外では2割加算も問題になり得ます。
非課税限度額を超える場合は、相続人ごとの受取額に応じて非課税額を按分します。次の比較表は、配偶者と長男が死亡退職金を受け取った例を使い、非課税枠がどのように配分されるかを示しています。家族全体から一括控除するのではなく、各人の受取額に応じて差し引く点を確認してください。
| 項目 | 配偶者 | 長男 | 長女 |
|---|---|---|---|
| 死亡退職金の受取額 | 2,000万円 | 1,000万円 | 0円 |
| 非課税限度額の前提 | 500万円 × 3人 = 1,500万円 | ||
| 非課税額 | 1,500万円 × 2,000万円 ÷ 3,000万円 = 1,000万円 | 1,500万円 × 1,000万円 ÷ 3,000万円 = 500万円 | 0円 |
| 課税対象額 | 2,000万円 - 1,000万円 = 1,000万円 | 1,000万円 - 500万円 = 500万円 | 0円 |
死亡退職金と生命保険金は、どちらも500万円に法定相続人の数を掛ける形式の非課税枠がありますが、同じ枠ではありません。死亡退職金には死亡退職金の枠、生命保険金には生命保険金の枠が別にあり、それぞれ受取人が相続人であるか、相続放棄や養子の制限がどう影響するかを確認します。
課税価格、申告期限、所得税との区分を順番に確認します。
相続税では、各人ごとに、相続または遺贈により取得した財産、みなし相続等により取得した財産、非課税財産、債務、葬式費用などを踏まえて課税価格を計算します。死亡退職金は、非課税限度額を控除した後の課税対象額を、取得者の課税価格に算入します。
申告実務では、死亡退職金だけで申告要否を決めません。預貯金、不動産、有価証券、生命保険金、死亡退職金、未収給与、貸付金、事業用財産、生前贈与加算対象財産などを合算し、基礎控除額を超えるかを判断します。
期限と税目の整理は、申告漏れや二重計上を避けるために重要です。次の時系列は、死亡後に確認する主な場面を並べたものです。死亡退職金の金額確定がどの時点にあるか、10か月の申告期限にどう反映するかを読み取ってください。
退職金規程、支給通知書、企業年金規約、受給権者順位、弔慰金規程、金額確定予定を確認します。
支払日ではなく、支給決定日、議事録日、計算書の日付などで支給額確定日を確認します。
被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に、非課税枠控除後の課税対象額を申告に反映します。1月6日に死亡した場合の期限例は11月6日です。
申告期限後に支給額が確定した場合、死亡後3年以内の確定かどうかにより相続税側の対応を検討します。
所得税との関係も重要です。死亡退職により支払う退職手当等で相続税の課税対象となるものは、所得税の課税対象とならず、所得税および復興特別所得税の源泉徴収は不要とされています。支給者側は、相続税法上の退職手当金等受給者別支払調書を提出することになり、退職所得の源泉徴収票等とは区分されます。
つまり、相続税の課税対象となる死亡退職金は、被相続人の準確定申告で退職所得として処理するものではありません。相続税、退職所得、一時所得、給与所得の区分を誤ると、申告漏れや二重計上の原因になります。
税法上課税されることと、遺産分割対象になることは別問題です。
死亡退職金では、配偶者だけが受け取った場合に子どもと分ける必要があるのか、相続放棄をしても受け取れるのか、遺留分の対象になるのかが問題になりやすいです。判例上、規程により受給権者である遺族が直接自己固有の権利として取得すると解される場合、死亡退職金が相続財産に属しないとされた例があります。
民事上の帰属を考えるときは、退職金規程や就業規則の内容、受給権者の順位、制度目的、支給決議の内容を見ます。次の一覧は、遺産分割対象になるかを検討する際の主な要素を整理したものです。相続税の課税とは別に、誰の固有財産として扱われるかを読み取るために使います。
退職金規程、就業規則、法令、条例に、配偶者、子、父母などの範囲と順位があるかを確認します。
受給権者の範囲や順位が民法の相続順位と異なる場合、固有権として整理される余地があります。
遺族の生活保障を目的とする制度か、被相続人の未払債権を承継する性格が強いかを確認します。
定款、株主総会決議、取締役会議事録が誰を支給対象としているかを確認します。
受給権者指定がある場合、死亡退職金はその受給権者の固有財産とされることが多く、遺産分割協議で当然に分けるものではないと整理されることがあります。ただし、税務上は、受け取った人が死亡退職金を取得したものとして課税価格に算入される可能性があります。
受給権者指定がない場合、死亡退職金が遺産に属するか、相続人全員の共有的な請求権となるか、会社の裁量的支給かは、規程、決議、支給実態によって異なります。退職給与規程等で支給を受ける者が具体的に定められている場合はその者、定めがない場合は現実に取得した者、相続人全員の協議で定めた者、または相続人全員などを基準に扱う考え方があります。
遺留分や特別受益との関係では、死亡退職金が受給権者固有の財産であれば原則として遺産そのものではありません。ただし、生命保険金と同様、取得額が遺産総額や生活保障目的との関係で著しく不公平と評価される特殊事情があれば、争点化する余地があります。結論は規程内容、扶養関係、受給者の生活状況、支給額、他の遺産、被相続人の意思、会社の支給趣旨により変わります。
遺族側、会社側、税務調査で見られやすい点を分けて確認します。
死亡退職金がみなし相続財産として課税される場面では、資料の不足が判断ミスにつながります。次の比較表は、遺族側が早期に集めたい資料と、それぞれの意味を整理したものです。支給根拠、受給権者、金額確定日、他の相続財産との関係を資料で確認してください。
| 遺族側の確認資料 | 確認する意味 |
|---|---|
| 死亡診断書または死体検案書の写し、会社への死亡届・退職手続書類 | 死亡日、退職事由、勤務先手続の起点を確認します。 |
| 死亡退職金支給通知書、支給額計算書 | 名目、支給額、支給決定日、金額確定日を確認します。 |
| 退職金規程、就業規則、役員退職慰労金規程 | 支給根拠、受給権者順位、算定方法を確認します。 |
| 弔慰金規程、慶弔見舞金規程、給与明細 | 弔慰金と退職金の区分、普通給与基準を確認します。 |
| 株主総会議事録、取締役会議事録、定款 | 役員死亡退職金の会社法上の決議や支給対象を確認します。 |
| 企業年金・確定給付・確定拠出・共済制度の規約と支給通知 | 企業年金、未支給給付、公的遺族年金などの区分を確認します。 |
| 退職手当金等受給者別支払調書 | 相続税法上の支払調書処理を確認します。 |
| 相続人関係図、戸籍一式、相続放棄申述受理通知書 | 法定相続人の数、相続放棄、非課税枠の配分を確認します。 |
| 他の相続財産、債務、葬式費用の資料 | 基礎控除や課税価格全体を確認します。 |
会社や支給者側では、支給の根拠と税務処理の整合性が重要です。次の一覧は、支給者側で確認したい実務項目です。死亡退職金と弔慰金の区分、受給権者、金額確定日、支払調書、所得税の源泉徴収票との区別を読み取ってください。
死亡退職金と弔慰金を明確に区分し、規程、決議、契約、慣行のいずれに基づくか、受給権者の順位が明確かを確認します。
金額確定日が明確か、役員死亡退職金で株主総会決議等が整っているか、支給額が過大でないかを確認します。
支払調書の提出要否、所得税の源泉徴収票ではなく相続税法上の支払調書処理になっているかを確認します。
弔慰金が普通給与基準を超えていないか、業務上死亡と業務外死亡の判定資料があるかを確認します。
税務調査では、死亡退職金の申告漏れ、弔慰金名目での過少申告、3年以内の支給額確定、支払日と確定日の混同、相続放棄者や相続人以外への非課税枠誤適用、法定相続人の数や養子の算入制限、死亡退職金と生命保険金・未収給与・賞与・企業年金・未支給年金の混同、2割加算、過大役員給与、申告期限後確定時の修正申告が確認されやすい論点です。
配偶者、子、内縁配偶者、相続放棄者、役員退職金、期限後確定で注意点が変わります。
同じ死亡退職金でも、誰が受け取るか、会社の規程がどう定めるか、支給額がいつ確定するかで検討事項が変わります。次の一覧は、代表的なケースごとに民事上の帰属と税務上の注意点を整理したものです。受取人の立場に応じて非課税枠、2割加算、紛争リスクを読み取ってください。
規程が第1順位を配偶者と定める場合、民事上は配偶者固有の受給権と整理されることがあります。税務上は配偶者の課税価格に算入し、死亡退職金の非課税枠や配偶者の税額軽減、二次相続の影響も検討します。
同居子、扶養されていた子、指定された子などが受け取る場合、他の子との間で紛争になりやすいです。税務上は、その子が相続人であれば非課税枠の按分対象になります。
規程が内縁配偶者を受給権者に含める場合、民事上は固有の受給権と整理される余地があります。税務上は原則として法定相続人ではないため非課税枠を使えず、2割加算も問題になり得ます。
規程上の受給権者として固有権を取得する場合、相続放棄をしても受け取れることがあります。ただし、税務上は相続放棄者が取得した死亡退職金に非課税枠の配分はありません。
会社法上の決議、退職慰労金規程、功績倍率、在任年数、最終報酬月額、弔慰金の普通給与基準、法人税上の過大役員給与、事業承継をあわせて確認します。
相続税申告期限までに金額が確定しない場合、死亡後3年以内の確定なら修正申告を検討し、3年を超える確定なら受給者の一時所得となる可能性を検討します。
税務、民事、登記、社会保険、会社実務を連携して確認します。
死亡退職金は、相続税だけで完結しないことが多い分野です。次の一覧は、専門家や実務担当者ごとの主な役割を整理したものです。税務計算、受給権、登記、社会保険、会社資料のどこを誰が確認するかを読み取ると、相談先を分けやすくなります。
課税対象性、非課税限度額、第10表、2割加算、弔慰金との区分、申告期限後確定時の修正申告、税務調査対応を担います。
相続税申告死亡退職金の帰属、受給権者の地位、遺産分割対象性、遺留分、特別受益、相続放棄、会社との支給交渉、役員退職慰労金の決議紛争を扱います。
紛争対応司法書士は相続登記、戸籍収集、法定相続情報一覧図、裁判所提出書類作成などに関与します。行政書士は、紛争性がなく権限範囲内の手続書類作成を支援します。
相続手続遺族年金、労災、健康保険、生活設計、退職金規程、支給通知、支払調書、受給権者確認に関与します。
制度確認予防策としては、会社側の規程整備と、遺族側の早期照会が有効です。次の判断の流れは、トラブルを避けるための事前・事後対応を順番にまとめたものです。会社資料の整備、遺族の確認、期限後の対応を段階的に見ることが重要です。
死亡退職金規程、役員退職慰労金規程、弔慰金規程で受給権者の範囲と順位、退職金との区分を明確にします。
支給決定日、金額確定日、支払日を議事録や通知書に明記します。
勤務先、企業年金、共済、保険会社へ照会し、死亡退職金や関連給付の有無を確認します。
規程解釈、受給権、遺留分、相続放棄との関係を確認します。
法定相続人の数、相続放棄、2割加算、修正申告の要否を確認します。
不動産がある相続では、相続税申告と相続登記の期限を別々に管理します。相続登記の申請義務を怠った場合、正当な理由がなければ10万円以下の過料の適用対象になると説明されています。死亡退職金の税務だけでなく、相続全体の手続スケジュールを同時に確認します。
個別事情で結論が変わるため、一般的な制度説明として整理します。
一般的には、死亡退職金はみなし相続財産として課税対象になり得るとされています。ただし、非課税限度額を控除し、他の相続財産、債務、葬式費用、生前贈与加算などを含めた結果、基礎控除額以下であれば申告不要となる可能性があります。具体的な申告要否は資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、受給権者固有の財産と整理される死亡退職金は、遺産分割対象財産として記載しないことが多いとされています。ただし、退職金規程、受給権者指定、支給実態、相続人間の合意状況によって整理は変わる可能性があります。遺産分割協議書と相続税申告書は目的が異なるため、具体的には弁護士や税理士等へ確認する必要があります。
一般的には、退職金規程上の受給権者として固有権を取得する場合、相続放棄をしていても死亡退職金を受け取れる可能性があります。ただし、民事上の受給可否と税務上の非課税枠は別であり、相続放棄者が取得した死亡退職金には非課税枠が配分されない点に注意が必要です。具体的な扱いは規程と資料を確認して専門家へ相談する必要があります。
一般的には、死亡退職金の非課税枠と生命保険金の非課税枠は別枠とされています。どちらも500万円に法定相続人の数を掛ける形式ですが、受取人が相続人であるか、相続放棄や養子の制限がどう影響するかはそれぞれ確認します。具体的な計算は税理士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、弔慰金や葬祭料は通常相続税の対象にならないとされています。ただし、実質退職手当金等に該当する部分や、業務上死亡なら普通給与の3年分、業務外死亡なら半年分を超える部分は、退職手当金等として相続税対象になり得ます。名称だけでは判断できないため、規程、支給趣旨、給与額、業務上死亡の有無を確認する必要があります。
一般的には、支払日ではなく支給額が確定した日が重要とされています。死亡後3年以内に支給額が確定していれば、実際の支払いが3年後であっても相続税対象になり得ます。具体的には、議事録、計算書、支給通知書などで金額確定日を確認する必要があります。
一般的には、相続税の課税対象となる死亡退職金は所得税の課税対象ではなく、所得税・復興特別所得税の源泉徴収も不要とされています。そのため、準確定申告に退職所得として入れるものではないと整理されます。ただし、未収給与、賞与、一時所得となる支給などは区分が異なるため、具体的には資料を整理して税理士等へ相談する必要があります。
5つの核心を押さえると、課税・非課税・民事上の帰属を整理しやすくなります。
死亡退職金がみなし相続財産として課税されるケースの核心は5つあります。第一に、死亡後3年以内に支給額が確定した退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与は、相続または遺贈により取得したものとみなされ、相続税の課税対象になり得ます。
第二に、支払日ではなく支給額の確定日が重要です。死亡後3年以内に金額が確定すれば、実際の入金がその後でも相続税対象になり得ます。第三に、死亡退職金には500万円に法定相続人の数を掛ける非課税限度額がありますが、相続人が取得した場合に限られます。相続人以外や相続放棄者が取得した分には、非課税枠の適用がありません。
第四に、弔慰金名目でも、実質退職金部分や一定限度額を超える部分は退職手当金等として相続税対象になり得ます。第五に、死亡退職金は民法上の遺産に含まれないことがありますが、それでも相続税法上はみなし相続財産として課税されることがあります。遺産分割の問題と相続税申告の問題を分けて整理することが、実務上最も重要です。
最後に確認すべき事項を、課税要件、非課税枠、民事上の帰属、実務対応の4つに整理します。次の一覧は、読み終えたあとに確認漏れを防ぐための要点です。どの資料が足りないか、どの専門家に確認すべきかを読み取ってください。
死亡後3年以内に退職手当金等の額が確定したかを、議事録、支給通知書、計算書で確認します。
500万円に法定相続人の数を掛ける非課税限度額は、相続人が取得した死亡退職金に限って検討します。
遺産分割対象かどうかは、退職金規程、受給権者順位、制度目的、支給決議を確認して判断します。
税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士、会社担当者が資料を分担して確認し、10か月期限と3年基準を管理します。
公的資料と中立的な判例情報を中心に整理しています。