2σ Guide

税務署から税務調査の連絡が来たときの
最初の対応

相続税調査の電話を受けた直後に、何を確認し、何を話さず、どの資料を保全し、税理士や弁護士へどう引き継ぐかを整理します。

10か月相続税の申告期限
9,512件令和6事務年度の実地調査
82.3%実地調査の非違割合
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税務署から税務調査の連絡が来たときの 最初の対応

相続税調査の電話を受けた直後に、何を確認し、何を話さず、どの資料を保全し、税理士や弁護士へどう引き継ぐかを整理します。

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税務署から税務調査の連絡が来たときの 最初の対応
相続税調査の電話を受けた直後に、何を確認し、何を話さず、どの資料を保全し、税理士や弁護士へどう引き継ぐかを整理します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 税務署から税務調査の連絡が来たときの 最初の対応
  • 相続税調査の電話を受けた直後に、何を確認し、何を話さず、どの資料を保全し、税理士や弁護士へどう引き継ぐかを整理します。

POINT 1

  • 税務署から税務調査の連絡が来たときの最初の対応の全体像
  • 確認、記録、保全、専門家連携を先に整えることが相続税調査の出発点です。
  • 専門家連携
  • 税務署から相続税調査の連絡が来たとき、最初に行うことは反論や詳細説明ではありません。
  • 基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。

POINT 2

  • 相続税調査の連絡が来たときに知るべき調査の現実
  • 調査対象の選定、非違割合、確認されやすい財産を先に理解します。
  • 相続税調査は相続税申告をした全員に来るものではありません。
  • 申告漏れ相続財産の構成比を見ると、現金・預貯金等、有価証券、土地、家屋、その他が示されています。
  • 相続税調査では、形式上の名義だけではなく、誰が実質的に財産を支配していたかが確認されます。

POINT 3

  • 税務調査の連絡と行政指導を最初に区別する
  • 1. 担当者情報を確認:所属税務署、部署、氏名、折返し番号を記録します。
  • 2. 税務調査か行政指導かを確認:手続の位置づけを明示してもらいます。
  • 3. 通知事項を記録:対象税目、期間、目的、日時、場所、資料、臨場人数を聞きます。
  • 4. 見直し対象を確認:どの申告書のどの項目か、資料と回答期限を確認します。

POINT 4

  • 相続税調査の事前通知で確認する事項
  • 電話で通知される事項を正確に残し、日程変更や突然の臨場にも落ち着いて対応します。
  • 事前通知は通常、書面ではなく電話で行われるため、納税者側のメモが重要になります。
  • 事前通知を受けた日時が都合に合わない場合、変更の協議は可能です。
  • 納税者や税務代理人の都合、入院、親族の葬儀、業務上やむを得ない事情などがあれば、口頭で変更を申し出ることができます。

POINT 5

  • 税務調査の連絡後に税理士と弁護士へ確認すること
  • 預金の使い込み疑い
  • 相続人の一人が被相続人の預金を使用した可能性がある場合、税務上の説明と民事上の返還請求が交錯します。
  • 死亡前後の多額出金
  • 出金の目的や残金の扱いについて相続人間で説明が食い違うと、調査対応と相続紛争の両面で整理が必要です。

POINT 6

  • 税務調査の初回電話で使う実務台本とメモ様式
  • 担当者情報と通知事項を記録し、詳細説明と日程確定は専門家確認後にします。
  • 突然の電話では、丁寧に対応しながらも、不用意に事実関係を説明しないことが大切です。
  • 記憶だけで話すと後から訂正が必要になることがあるため重要で、読者は「資料確認後に回答する」という姿勢を読み取ってください。
  • 電話メモは、税理士や弁護士に送る前提で、主観を混ぜずに作成します。

POINT 7

  • 税務調査の連絡後に保全する資料と改変禁止の実務
  • 申告資料だけでなく、説明に必要な周辺資料と電磁的記録を保全します。
  • 相続税調査の連絡後、最初に集める資料は、申告書に載せた資料だけではありません。
  • 申告書に載せなかった理由を説明する資料、家族名義財産の実質、死亡前後の出金の使途、贈与の有無などを裏付ける資料も重要です。
  • 電磁的記録も保全対象です。

POINT 8

  • 相続税調査で典型的に問題となる論点を初動で洗い出す
  • 名義預金
  • 配偶者、子、孫名義でも、資金の出所や管理状況から被相続人の財産と評価される可能性があります。
  • 死亡前後の出金
  • 医療費、施設費、葬儀準備、生活費、相続人取得分のどれかを資料で説明する必要があります。

まとめ

  • 税務署から税務調査の連絡が来たときの 最初の対応
  • 税務署から税務調査の連絡が来たときの最初の対応の全体像:確認、記録、保全、専門家連携を先に整えることが相続税調査の出発点です。
  • 相続税調査の連絡が来たときに知るべき調査の現実:調査対象の選定、非違割合、確認されやすい財産を先に理解します。
  • 税務調査の連絡と行政指導を最初に区別する:初回電話では手続の種類を確認し、回答や資料準備の意味を取り違えないようにします。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

税務署から税務調査の連絡が来たときの最初の対応の全体像

確認、記録、保全、専門家連携を先に整えることが相続税調査の出発点です。

税務署から相続税調査の連絡が来たとき、最初に行うことは反論や詳細説明ではありません。連絡の性質、対象、日程、担当者、税務代理人への通知状況を正確に記録し、税理士や弁護士へ引き継げる状態を作ることが初動の中心です。

このページは、相続税申告をした人、申告が必要だった可能性がある人、相続財産の把握に不安がある人に向けて、相続税調査の電話を受けた直後から調査日までの対応を整理しています。個別の結論は、申告書、財産資料、家族関係、被相続人の生活実態、資金移動、過去の贈与、遺産分割の状況で変わるため、具体的な対応は税理士や弁護士等の専門家に相談する必要があります。

相続税は、相続または遺贈で取得した財産などの価額が基礎控除額を超える場合に課税され、申告と納税の期限は通常、死亡を知った日の翌日から10か月以内です。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。調査では、財産額の過少申告、無申告、特例や控除の適用が適切だったかが中心になります。

次の一覧は、初回連絡で最初に押さえる4つの柱を示しています。どれも後の説明や資料提出の土台になるため重要で、読者は「話す前に確認し、動く前に保全する」という順番を読み取ることが大切です。

Confirm

確認

所属税務署、部署、担当者、連絡先、税務調査か行政指導か、対象税目、対象期間、調査目的を聞き取ります。

Record

記録

日時付きの電話メモを作り、主観ではなく担当者が述べた内容を整理します。専門家へ共有できる形にすることが目的です。

Preserve

保全

申告書控え、預貯金、不動産、保険、贈与、遺産分割に関する資料を集め、廃棄や後追い作成を避けます。

Connect

専門家連携

申告を担当した税理士、必要に応じて相続紛争に対応する弁護士へ早めに共有し、窓口と日程を整えます。

最初の電話で意識する順番は、担当者情報を確認し、税務調査か行政指導かを確認し、対象税目・課税期間・目的・予定日時・場所・必要資料を聞き、詳細説明と日程確定を保留し、税理士へ連絡し、資料を保全し、相続人間で共有範囲を決めることです。

Section 01

相続税調査の連絡が来たときに知るべき調査の現実

調査対象の選定、非違割合、確認されやすい財産を先に理解します。

相続税調査は相続税申告をした全員に来るものではありません。ただし、税務署が資料情報などから申告額の過少、無申告、特例適用の疑問を把握した事案が対象になりやすく、連絡が来た場合には確認密度が高くなりやすい点を理解しておく必要があります。

国税庁が公表した令和6事務年度の相続税の調査等の状況では、実地調査件数は9,512件、申告漏れ等の非違件数は7,826件、非違割合は82.3%、追徴税額合計は824億円でした。実地調査とは別に、文書、電話、来署依頼による面接などの簡易な接触も行われ、件数は21,969件、非違件数は5,796件、追徴税額合計は138億円でした。

次の比較表は、実地調査と簡易な接触の主な数字を並べたものです。連絡の種類によって準備すべき範囲や専門家への伝え方が変わるため重要で、読者は「電話連絡の段階で手続の種類を確認する必要がある」と読み取れます。

区分件数非違件数追徴税額
実地調査9,512件7,826件824億円
簡易な接触21,969件5,796件138億円

申告漏れ相続財産の構成比を見ると、現金・預貯金等、有価証券、土地、家屋、その他が示されています。財産の種類ごとに確認の入口が違うため重要で、読者は横棒グラフの割合から、預貯金や金融資産だけでなく幅広い財産が確認対象になることを読み取る必要があります。

その他
43.3%
現金・預貯金等
29.1%
有価証券
13.6%
土地
12.3%
家屋
1.7%
令和6事務年度の申告漏れ相続財産の金額構成をもとに、割合を横の長さで表しています。

相続税調査では、形式上の名義だけではなく、誰が実質的に財産を支配していたかが確認されます。家族名義の預金、死亡前後の多額出金、過去の贈与、生命保険契約、不動産評価、非上場株式、海外資産が典型です。海外資産についても、情報交換制度やCRS情報などにより把握される可能性があるため、「海外の口座だから把握されない」と考えるのは危険です。

Section 02

税務調査の連絡と行政指導を最初に区別する

初回電話では手続の種類を確認し、回答や資料準備の意味を取り違えないようにします。

税務署から電話が来たら、冒頭で「国税通則法上の税務調査としての連絡か、行政指導としての連絡か」を確認します。この違いは、後の加算税、説明義務、調査手続、資料提出の意味に影響し得るため、単なる言葉の違いではありません。

次の判断の流れは、初回電話で確認する順番を表しています。手続の種類を先に確定しないと、回答期限や資料提出の意味を誤解するおそれがあるため重要で、読者は分岐ごとに確認項目が変わることを読み取ってください。

初回電話での確認順序

担当者情報を確認

所属税務署、部署、氏名、折返し番号を記録します。

税務調査か行政指導かを確認

手続の位置づけを明示してもらいます。

税務調査
通知事項を記録

対象税目、期間、目的、日時、場所、資料、臨場人数を聞きます。

行政指導
見直し対象を確認

どの申告書のどの項目か、資料と回答期限を確認します。

税務調査であると明示された場合に確認する事項は、専門家への引継ぎと当日の対応体制を整えるためのものです。次の表では、項目ごとに確認理由を並べています。読者は、質問したい理由まで把握することで、聞き漏れを防げます。

確認項目確認する理由
担当者の所属、氏名、連絡先なりすまし防止、折返し確認、専門家への引継ぎ
対象税目相続税だけか、贈与税や所得税などを含むのかを確認
対象期間どの相続、どの年分、どの申告を見ているかを把握
調査の目的申告内容確認、無申告確認、特例適用確認などを整理
調査日時と場所相続人、税理士、弁護士の予定調整に必要
必要資料準備範囲と資料保全の対象を把握
臨場人数当日の対応体制を整えるため
税務代理人への通知状況税理士が関与している場合の手続確認

行政指導である場合も軽く見ることはできません。財産の計上漏れ、贈与財産の加算漏れ、債務控除の誤り、生命保険金の非課税枠、小規模宅地等の特例の適用誤りなどが示唆されている可能性があります。ただし、税務調査とは手続の位置づけが異なるため、対象税目、対象年分、確認したい資料、回答期限を聞き、その場で修正申告に応じる発言は避けます。

Section 03

相続税調査の事前通知で確認する事項

電話で通知される事項を正確に残し、日程変更や突然の臨場にも落ち着いて対応します。

実地調査では、原則として調査開始前に相当の時間的余裕を置いて、電話等により調査の実施、開始日時、場所、対象税目、課税期間、調査目的などが通知されます。事前通知は通常、書面ではなく電話で行われるため、納税者側のメモが重要になります。

次の表は、相続税調査の事前通知で確認すべき事項をまとめたものです。電話で聞いた内容が後の準備範囲を決めるため重要で、読者は「対象税目」「対象期間」「対象書類」を曖昧にしないことを読み取ってください。

項目相続税調査での具体例
実地調査を行う旨相続税の実地調査を行うとの説明
調査開始日時令和の年月日、開始時刻、所要時間の目安
調査場所被相続人宅、相続人宅、税務署、税理士事務所
調査目的申告書の記載内容確認、無申告確認、特例確認など
対象税目相続税、贈与税、所得税など
対象期間被相続人の相続開始に係る申告、関連年分
対象書類申告書控え、預金通帳、証券資料、贈与資料など
調査担当者所属官署、氏名、臨場予定人数

事前通知を受けた日時が都合に合わない場合、変更の協議は可能です。納税者や税務代理人の都合、入院、親族の葬儀、業務上やむを得ない事情などがあれば、口頭で変更を申し出ることができます。相続税調査では資料準備と専門家同席が重要であり、無理に早い日程を受けるより、合理的な準備期間を確保するほうが調査を円滑にしやすくなります。

一方で、理由なく先延ばしを繰り返す対応は避けるべきです。調査対応の基本は拒絶ではなく、適法な手続の中で正確な資料と説明を整えることです。

事前通知なしで突然の臨場があった場合も、感情的に拒絶したり資料を隠したりしないことが重要です。身分証明書、所属、氏名、対象税目、対象期間、調査目的を確認し、税理士がいる場合は直ちに連絡します。事前通知がないことだけを現場で争っても調査が止まるとは限らないため、まず手続と記録を整えます。

Section 04

税務調査の連絡後に税理士と弁護士へ確認すること

税務代理権限証書、連絡窓口、相続人間の利害を早期に整理します。

相続税申告を税理士に依頼していた場合、最初にすることはその税理士への連絡です。ただし、過去に申告を依頼しただけで、現在の調査対応まで委任しているとは限りません。税務署に対する税務代理を行うには、税務代理権限証書の提出状況と事前通知に関する同意欄の確認が重要です。

次の比較表は、申告時の税理士がいる場合と、新たに税理士を探す場合で確認する内容を分けたものです。窓口が曖昧なまま税務署とやり取りすると説明が分散するため重要で、読者は「誰が税務代理人として動くか」を先に確定する必要があります。

状況最初に確認すること専門家へ伝える情報
申告担当税理士がいる税務代理権限証書の提出、通知同意欄、調査対応の受任、連絡窓口の一本化死亡日、申告書控え、税務署の通知内容、調査予定日、必要資料、相続人間対立の有無
新たに税理士を探す相続税調査対応の経験、名義預金や土地評価への対応力、日程対応の可否申告税額、主な財産、税務署担当者名、通知事項、生前贈与や家族名義預金の有無
弁護士の関与が必要相続人間の利益相反、使途不明金、遺産分割未了、遺留分や調停の見込み税務署への説明が民事上の主張や証拠に与える影響

弁護士が必要になりやすい事情は、税務上の説明が相続人間の権利関係に波及する場面です。次の一覧は、税理士だけでは整理しにくい代表的な事情を示しています。読者は、税務署への回答が後の遺産分割や使途不明金の争いに影響する可能性を読み取ることが大切です。

預金の使い込み疑い

相続人の一人が被相続人の預金を使用した可能性がある場合、税務上の説明と民事上の返還請求が交錯します。

死亡前後の多額出金

出金の目的や残金の扱いについて相続人間で説明が食い違うと、調査対応と相続紛争の両面で整理が必要です。

遺産分割が未了

誰がどの財産を取得するか決まっていない場合、修正申告や税額負担の整理にも影響します。

利益相反の懸念

一人の税理士が全相続人をまとめて対応することが難しい場合、弁護士を含めた個別対応の検討が必要です。

初回相談では、単に税額を減らしたいと伝えるより、論点を洗い出して資料と説明を整えたいと伝えるほうが実務的です。調査対応は反論だけではなく、事実認定と証拠整理の作業だからです。

Section 05

税務調査の初回電話で使う実務台本とメモ様式

担当者情報と通知事項を記録し、詳細説明と日程確定は専門家確認後にします。

突然の電話では、丁寧に対応しながらも、不用意に事実関係を説明しないことが大切です。基本は、メモを取ることを伝え、担当者情報、連絡の性質、対象税目、課税期間、調査の目的、予定日時、場所、必要資料を順に聞き、税理士に確認してから折り返すという流れです。

台本ご連絡ありがとうございます。正確に確認したいので、メモを取らせてください。税務署名、部署名、ご担当者のお名前、折返し先のお電話番号を教えてください。今回のご連絡は、税務調査としてのご連絡でしょうか、それとも行政指導でしょうか。対象となる税目、課税期間、調査の目的、調査予定日時、場所、必要な資料を順に教えてください。相続税申告については税理士に確認してから、日程を調整して折り返します。本日この電話で事実関係の説明や日程確定はせず、確認後にご連絡します。

次の表は、初回電話で聞かれやすい質問と、即答を避けながら正確な回答につなげる表現を整理したものです。記憶だけで話すと後から訂正が必要になることがあるため重要で、読者は「資料確認後に回答する」という姿勢を読み取ってください。

税務署からの質問初回電話での答え方
相続税申告の内容について確認したい税理士と申告書控えを確認してから回答します
被相続人の預金について聞きたい資料を確認し、正確な内容を後日回答します
調査日を特定日にしたい相続人と税理士の予定を確認し、候補日を折り返します
通帳を用意してほしい対象期間と必要な金融機関名を確認させてください
相続人全員が立ち会う必要があるか誰の立会いが必要か、税理士と確認して調整します
申告漏れがあるのではないか事実確認をしてから回答します

電話メモは、税理士や弁護士に送る前提で、主観を混ぜずに作成します。次の様式は、聞き漏れを防ぐための項目一覧です。専門家が通知内容を再構成できるようにするため重要で、読者は空欄を埋める形で事実だけを残すことを読み取れます。

項目記入内容
電話を受けた日時、受けた人日時、氏名、折返し期限
税務署名、部署名、担当者氏名所属と担当者を正確に記録
折返し電話番号代表番号か直通かを確認
連絡の性質税務調査、行政指導、来署依頼、その他
対象税目、対象となる相続、対象期間相続税、贈与税、所得税、被相続人名、死亡日など
調査目的、予定日時、予定場所、臨場予定人数通知された内容をそのまま記録
必要資料、税理士への通知状況資料の範囲、税務代理人への連絡有無
日程変更の希望、次回連絡期限、備考調整事項と担当者発言を客観的に記録

「たぶん」「記憶では」「兄が全部やっていました」といった断片的回答は、後の資料と食い違う可能性があります。即答しないことは逃げることではなく、正確な回答のための合理的対応です。

Section 06

税務調査の連絡後に保全する資料と改変禁止の実務

申告資料だけでなく、説明に必要な周辺資料と電磁的記録を保全します。

相続税調査の連絡後、最初に集める資料は、申告書に載せた資料だけではありません。申告書に載せなかった理由を説明する資料、家族名義財産の実質、死亡前後の出金の使途、贈与の有無などを裏付ける資料も重要です。

次の表は、初動で保全する資料を分野ごとに整理したものです。資料の所在を早く把握できるほど専門家の検討精度が上がるため重要で、読者は「申告関係、預貯金、不動産、贈与、海外関係」を漏らさないことを読み取ってください。

分野資料
申告関係相続税申告書控え、添付資料、税理士作成資料、財産評価明細
戸籍関係戸籍謄本、法定相続情報一覧図、相続関係説明図
遺産分割遺産分割協議書、調停調書、審判書、遺言書、遺言執行資料
預貯金残高証明書、通帳、入出金明細、定期預金資料、解約資料
現金手元現金の把握資料、金庫記録、死亡前後の出金メモ
証券証券会社の残高証明、取引報告書、配当資料
保険生命保険証券、支払通知、契約者、被保険者、受取人の資料
不動産登記事項証明書、固定資産税評価証明書、路線価評価資料、賃貸借契約書
債務借入金資料、未払医療費、未払税金、葬式費用領収書
贈与贈与契約書、贈与税申告書、振込記録、相続時精算課税関係資料
家族名義財産配偶者、子、孫名義の口座で被相続人資金が関係する可能性のある資料
会社関係非上場株式評価資料、決算書、株主名簿、役員借入金資料
海外関係海外口座明細、外国証券、海外不動産、送金記録
重要税務署から連絡が来た後に、過去の贈与契約書を日付を遡って作成する、通帳の不都合なページを隠す、出金メモを書き換える、メールやメッセージを消すといった対応は避ける必要があります。資料の後追い作成、削除、改変、廃棄は調査上の信用を大きく損ないます。

電磁的記録も保全対象です。ネット銀行、証券会社のオンライン明細、電子メール、クラウド会計、スマートフォン内のメッセージ、家計アプリなどが関係することがあります。被相続人のスマートフォンやパソコンには、金融口座、暗号資産、ネット証券、保険、貸金庫、海外送金の手がかりが残る可能性があるため、相続人間で勝手に初期化することは避けます。

資料を税務署へ預ける場合は、何を預けたかを一覧化し、コピーを取っておきます。原本が必要な書類や相続手続に必要な書類は、返還時期を確認します。税理士が関与している場合は、税理士経由で資料提出の方法を調整します。

Section 07

相続税調査で典型的に問題となる論点を初動で洗い出す

名義預金、出金、贈与、不動産、特例、保険を資料単位で整理します。

相続税調査では、名義だけでなく実質的な支配、資金の出所、管理者、使用実態、贈与の有無が確認されます。代表的な論点を先に整理しておくと、初回電話の後に何を確認すべきかが明確になります。

次の一覧は、相続税調査で問題になりやすい主要論点をまとめたものです。調査官からの質問がどの資料に結びつくかを理解するため重要で、読者は自分の相続で該当しそうな論点を先に洗い出してください。

名義預金

配偶者、子、孫名義でも、資金の出所や管理状況から被相続人の財産と評価される可能性があります。

死亡前後の出金

医療費、施設費、葬儀準備、生活費、相続人取得分のどれかを資料で説明する必要があります。

生前贈与

贈与契約、振込記録、贈与税申告、生活費負担、名義預金との区別を整理します。

不動産評価

路線価、倍率、地積、接道、貸家建付地、私道、農地、山林、特例適用の根拠が確認されます。

小規模宅地等の特例

居住実態、事業実態、賃貸実態、同居の有無、持ち家の有無、遺産分割の状況が重要です。

生命保険金と死亡退職金

遺産分割対象と異なる場合でも、相続税上のみなし相続財産として確認されることがあります。

名義預金

初動では、口座開設時期、口座開設手続をした人、入金原資、通帳・取引用媒体・届出印を保管していた人、利息や配当を誰が認識していたか、名義人が自由に使っていたか、贈与契約書や贈与税申告の有無、被相続人の生活費口座との関係、相続開始直前の資金移動を整理します。「母名義だから関係ありません」と即答しないことが重要です。

死亡前後の出金

死亡直前に医療費、施設費、葬儀準備、生活費として出金されたものもあれば、相続人が取得した財産と評価され得るものもあります。出金日、出金額、出金した人、被相続人の意思能力、目的、支払先、領収書、残金の保管場所、遺産分割での扱い、他の相続人への説明状況を整理します。

生前贈与

生前贈与は、一定期間内の暦年課税による贈与財産の加算、相続時精算課税の適用財産、民法上の特別受益や遺留分の問題が交錯します。次の表は、調査前に分類しておきたい贈与類型です。分類によって税務上の説明と相続人間の主張が変わるため重要で、読者は記録の有無と資金移動の意味を分けて確認してください。

分類確認する内容
契約書、振込記録、贈与税申告がある贈与贈与の成立と申告関係を資料で確認
振込はあるが契約書や申告がない贈与贈与意思、受贈者の管理、課税関係を検討
教育費、生活費、扶養義務の履行通常必要な範囲か、贈与と評価される部分がないかを確認
資金管理のための移動被相続人の財産のままだった可能性を検討
名義預金と評価される可能性があるもの名義、原資、管理者、使用実態を確認
相続時精算課税の選択があるもの届出、過去の申告、相続税申告への反映を確認

不動産評価と特例

不動産評価では、申告時の評価明細、登記事項証明書、公図、地積測量図、固定資産税評価証明書、路線価図、倍率表、賃貸借契約書、現況写真、建築計画概要書、境界確認資料、共有持分、借地、底地、小規模宅地等の特例の適用要件資料を確認します。評価争点が大きい場合は、不動産鑑定士、土地家屋調査士、司法書士の資料確認が有効です。

生命保険金と死亡退職金

生命保険金や死亡退職金は、遺産分割協議書に載っていなくても、相続税上はみなし相続財産として課税対象になる場合があります。保険証券、契約者、被保険者、受取人、保険料負担者、支払通知書、死亡退職金規程、支払額、非課税枠の計算を確認します。

Section 08

相続人間の対立がある税務調査の初動対応

共同対応か個別対応かを決め、税務説明が民事紛争に与える影響を確認します。

相続税調査では、税務署からの質問に答えるために、相続人間で隠れていた問題が表面化することがあります。通帳管理、生前贈与、配偶者名義預金、死亡直前の出金、遺産分割協議書に載っていない財産、申告内容の理解不足などが典型です。

次の表は、相続人間の対立がある場合に初動で確認する観点を整理したものです。税務署への説明が他の相続人との法的関係に影響するため重要で、読者は共同対応でよいか、個別対応が必要かを見極めてください。

確認事項なぜ確認するか
税理士は誰を代理しているか全相続人を一括して代理できるか、利益相反がないかを判断
相続人全員が同じ税理士に依頼するか説明方針と資料共有の範囲をそろえるため
調査当日に誰が立ち会うか事実を知る人を選び、口論や説明混乱を避けるため
税務署への説明内容を事前共有するか相続人間の認識違いを把握するため
使途不明金や贈与の認定があるか弁護士への相談が必要か判断するため
電話を受けた人が単独で決めていないか他の相続人の税額や権利関係に影響するため

相続人の一人だけに税務署から電話が来た場合でも、その人が独断で調査対応を決めるのは危険です。代表相続人、申告書上の連絡先、納税管理人、税理士との窓口だったために電話が来ただけかもしれません。電話を受けた人はメモを作成し、税理士に共有したうえで、相続人への共有範囲を決めます。紛争がある場合は、弁護士経由で共有することも検討します。

注意税務上「被相続人の財産」と説明することが、遺産分割上もその財産を遺産に含める主張と整合するのか、逆に「特定相続人への贈与」と説明することが特別受益や遺留分にどう影響するのかを検討する必要があります。
Section 09

相続税調査の日程・場所・立会人を設計する

調査場所と役割分担を先に決め、当日の説明が混乱しないようにします。

調査場所は、相続人宅、被相続人宅、税理士事務所、税務署などが考えられます。被相続人宅に資料が保管されている場合は現地確認が合理的なこともありますが、相続人の生活空間に調査官が入る心理的負担もあります。税理士事務所で必要資料を準備できるなら、整理された説明が可能になることがあります。

次の表は、調査当日の役割分担を整理したものです。誰が税務上の説明を行い、誰が事実関係を補足するかを決めておくことが重要で、読者は同席者を増やすより、必要な人を選ぶ発想を読み取ってください。

役割担当
税務上の説明税理士
事実関係の補足事情を知る相続人
法的紛争リスクの判断弁護士
資料提示事前に決めた担当者
メモ作成税理士補助者または相続人
追加資料管理税理士

税務代理人である税理士は、調査に立ち会い、税務署に対して納税者の主張や陳述を行うことができます。税務代理人以外の第三者が納税者の代わりに調査について主張や陳述を行うことは、原則として税務代理人の領域です。相続人本人の説明が必要な場面もあるため、誰が事実を知っているかを税理士と相談して決めます。

Section 10

税務調査の連絡直後にやってはいけない初動対応

即答、即決、資料改変、単独交渉、連絡放置、修正申告の先走りを避けます。

初動で避けるべき行動は、後から訂正しにくい説明や、資料の信用を損なう行動です。税務調査は、資料と事実をもとに説明を整える手続であり、その場の安心感を得るために即答することはリスクになります。

次の一覧は、税務署から連絡が来た直後に避けたい対応をまとめたものです。どれも調査の信用性や相続人間の関係に影響するため重要で、読者は「急いで説明しない、作らない、捨てない、単独で決めない」と読み取ってください。

その場で説明しすぎる

預金、認知症、贈与などを資料確認前に断定すると、後の資料と食い違う可能性があります。

日程を即決する

税理士の同席なしで決めると、後から調整が難しくなることがあります。

資料を捨てる、作る、整えすぎる

破棄、日付を遡った契約書、通帳コピーの一部抜き取りは信用を損ないます。

単独で交渉する

相続人の一人だけが代表としてやり取りすると、他の相続人との信頼関係を損なうことがあります。

連絡を無視する

折返しをしないと、日程調整、資料準備、専門家関与の機会を失います。

任意調査を誤解する

刑事手続とは異なっても、正当な理由なく提示や提出を拒むと問題になり得ます。

修正申告を急ぐ

調査前に漏れに気づいた場合でも、時期、範囲、説明資料を税理士と検討する必要があります。

調査結果の説明を受けた後、税務署から修正申告を勧奨されることがあります。修正申告に応じるかどうかは納税者の判断ですが、修正申告をした場合は不服申立てができない点にも注意が必要です。初回電話の段階で「漏れがあればすぐ修正します」と安易に表明せず、事実確認、法的評価、相続人間調整を経て判断します。

Section 11

税務調査の連絡後に関わる専門職の役割分担

税務、紛争、登記、不動産、会社関係の担当領域を切り分けます。

相続税調査の中心は税理士ですが、相続税だけでは完結しない論点では、弁護士、司法書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、公認会計士などが関与します。役割の境界を誤ると、税務代理や法的紛争への対応が不十分になることがあります。

次の一覧は、専門職ごとの役割を整理したものです。誰に何を相談するかを早く決めるほど資料整理が進むため重要で、読者は税務、法的紛争、登記、不動産評価、会社関係を分けて読み取ってください。

税理士

申告書と添付資料の再検証、主要論点の洗い出し、調査日程の調整、当日の立会い、反論や修正申告判断を担います。

税務代理

弁護士

遺産分割、遺留分、使途不明金、預金引出し、特別受益、調停や訴訟への影響を検討します。

紛争対応

司法書士

相続登記、不動産の名義変更、戸籍収集、登記情報、共有持分、地目や地積の資料整理で関与します。

登記

不動産鑑定士・土地家屋調査士・宅地建物取引士

土地評価、境界、分筆、表示登記、地積、売却実務、取引価格の資料で税理士の評価検討を支えます。

不動産

公認会計士・中小企業診断士

会社オーナーの相続で、非上場株式、役員貸付金、事業承継、財務分析を確認します。

会社

行政書士・FP・金融機関

書類作成、家計や保険の整理、預金払戻し、取引履歴、保険請求、信託関連資料の取得窓口になります。ただし税務上の主張や陳述は原則として税務代理人の領域です。

補助領域
Section 12

税務調査の連絡後に自分で見直すチェックリスト

専門家に相談する前に、財産別の論点と資料の有無を整理します。

税務署から連絡が来た後、税理士に相談する前の自己点検として、申告書、預貯金、贈与、不動産、保険、債務、海外資産を確認します。ただし、自分だけで結論を出して修正申告を急ぐ必要はありません。

次の表は、調査通知後に確認する項目を財産種類ごとにまとめたものです。専門家が短時間で論点を把握できるようにするため重要で、読者は「あるかないか」だけでなく、資料で説明できるかを読み取ってください。

分野自己点検の項目
申告書全体申告書控え、添付資料、財産目録と申告書の一致、遺産分割協議書との一致、新たに見つかった財産、迷ったが載せなかった財産
預貯金全金融機関、死亡前3年から7年程度の大きな入出金、死亡直前の引出し、家族名義口座、タンス預金、貸金庫、口座解約金の行き先
贈与贈与契約書、振込記録、贈与税申告書、相続時精算課税、住宅取得資金や教育資金などの特例資料、生活費負担との区別
不動産申告漏れの有無、共有持分、私道、山林、農地、未登記建物、貸宅地、貸家建付地、借地権、小規模宅地等の特例資料、現況との一致
保険、退職金生命保険金の受取人と金額、保険料負担者、死亡退職金、非課税枠、申告した保険と載せていない保険の区別
債務、葬式費用借入金残高証明、未払医療費、施設費、税金、葬式費用領収書、控除できない費用の混入、負担者の整理
海外資産、暗号資産、デジタル財産海外銀行口座、海外証券、海外不動産、外貨建保険、暗号資産口座、ウォレット、秘密鍵、取引履歴、国外送金

預貯金では死亡前3年から7年程度の大きな入出金を、贈与では契約書と振込記録を、不動産では現況と評価資料の一致を特に確認します。海外資産や暗号資産は、資料の所在やアクセス権が問題になるため、消去や初期化を避けて保全することが重要です。

Section 13

税務調査の連絡から調査終了までの流れ

初回電話から結果説明、修正申告や更正処分、納税までの順番を把握します。

税務署から連絡が来た後は、電話対応だけで終わりません。通知内容の整理、専門家連携、資料準備、調査当日、追加資料提出、調査結果の説明、修正申告や更正処分、納税や相続人間精算まで一連の流れがあります。

次の時系列は、初動から調査終了後までの大まかな順番を示しています。全体像を把握しておくと、最初の電話で何を急ぎ、何を後で判断するかが見えるため重要で、読者は順番を飛ばさず資料と説明を積み上げることを読み取ってください。

Step 01

税務署から電話連絡

担当者情報、連絡の性質、通知事項を確認し、電話メモを作ります。

Step 02

専門家へ相談

税理士、必要に応じて弁護士へ共有し、税務代理権限証書と連絡窓口を整理します。

Step 03

日程と場所の調整

相続人、税理士、弁護士の予定と資料保管場所を踏まえて調査日程を決めます。

Step 04

資料と論点の再点検

申告書、財産資料、預金資料、不動産資料を確認し、主要論点を仮整理します。

Step 05

調査当日と追加資料

役割分担に沿って説明し、必要に応じて追加資料を提出します。

Step 06

結果説明と判断

指摘事項への反論、補足説明、修正申告の要否、更正処分などを検討します。

Step 07

納税と精算

加算税や延滞税、相続人間の精算、再発防止、資料保管を行います。

調査終了時には、更正決定等をすべきと認める非違がある場合、税務署から額や理由などの説明があります。調査結果の内容説明を税務代理人だけに行ってほしい場合には納税者の同意が必要であり、税務代理権限証書の同意欄も確認します。

Section 14

税務署から税務調査の連絡が来たときの最初の対応を時間別に整理

30分、当日中、3日以内、調査日までの順番で進めます。

税務署から税務調査の連絡が来た直後は、時間ごとにやることを分けると混乱を避けられます。最初の30分、当日中、3日以内、調査日までの順番で、確認、共有、資料整理を進めます。

次の時系列は、初動対応を一枚で見渡すための整理です。時間帯ごとに優先順位が変わるため重要で、読者は「最初は電話メモ、次に専門家共有、その後に資料と日程調整」と読み取ってください。

最初の30分

電話を切る前に確認する

担当者情報、税務調査か行政指導か、対象税目、対象期間、調査日時、場所、必要資料を確認し、その場で詳細説明や日程確定をしないようにします。

当日中

専門家と資料保全へ進む

申告書控えを探し、申告担当税理士または相続税調査に強い税理士へ連絡します。相続人間で争いがある場合は弁護士にも共有し、資料の廃棄や改変を止めます。

3日以内

日程候補と主要資料を整理する

調査日程候補、税務代理権限証書の提出状況、主要資料リスト、預貯金、不動産、保険、贈与、債務の主要論点を洗い出します。

調査日まで

説明体制を整える

資料を時系列で整理し、被相続人の生活状況、資金管理者、通帳保管者、死亡前後の出金、家族名義口座、生前贈与、不動産評価、相続人間の説明方針、当日の役割分担を決めます。

Section 15

税務調査の連絡後によくある質問

FAQは一般的な制度説明として整理し、個別事情で結論が変わる点を明示します。

税務署からの電話に折り返す前に税理士へ相談してもよいですか

一般的には、折返し期限を確認したうえで税理士に相談し、確認事項を整理してから折り返す対応が考えられます。ただし、連絡を放置すると日程調整や資料準備に支障が出る可能性があります。具体的な対応は、電話メモと申告資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。

申告を担当した税理士に頼むべきですか

一般的には、申告内容を理解している申告担当税理士が第一候補とされています。ただし、相続税調査対応の経験、相続人間の利益相反、申告内容への不安、連絡の可否によって結論が変わる可能性があります。具体的な依頼先は、資料と利害関係を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

税務署から電話が来た時点で申告漏れが確定していますか

一般的には、調査連絡だけで申告漏れが確定するものではないとされています。もっとも、相続税実地調査は資料情報等に基づいて選定されることが多く、確認したい論点がある可能性があります。具体的な見通しは、申告書と財産資料を確認したうえで税理士等へ相談する必要があります。

相続人全員が調査に立ち会う必要がありますか

一般的には、相続人全員の同席が常に必要とは限らず、事実を知る相続人、税務代理人である税理士、必要に応じて弁護士が関与する形が考えられます。ただし、相続人間の対立や説明対象によって適切な出席者は変わります。具体的には専門家と調整する必要があります。

税務署に求められた資料はすべて出す必要がありますか

一般的には、必要性と対象範囲を確認したうえで適切に対応するとされています。正当な理由なく提示や提出を拒むことは問題になり得ますが、対象税目や対象期間と無関係な資料まで無限定に出すとは限りません。具体的な範囲は税理士等へ相談する必要があります。

調査前に修正申告すればよいですか

一般的には、自己判断で修正申告を急ぐのではなく、申告漏れの有無、加算税、説明資料、相続人間の調整を確認する必要があるとされています。調査通知後の修正申告は加算税関係に影響する可能性があります。具体的な時期と範囲は税理士等へ相談する必要があります。

税務署の担当者に録音してよいですか

一般的には、録音の可否や方法は、場面、相手方への告知、個人情報、今後の関係によって慎重に判断されます。初回電話では、正確なメモを作ることが優先される対応とされています。具体的な記録方法は税理士や弁護士等へ相談する必要があります。

家族名義の預金を聞かれたらどう答えるべきですか

一般的には、名義だけで即答せず、資金原資、管理者、通帳保管者、届出印、使用状況、贈与契約、贈与税申告の有無を確認してから説明するとされています。相続人間の紛争に発展する可能性もあります。具体的な回答方針は税理士や弁護士等へ相談する必要があります。

税務署から来署依頼が来た場合も同じですか

一般的には、来署依頼でも、税務調査か行政指導か、対象税目、課税期間、調査目的、確認したい資料を確認する点は共通します。ただし、実地調査と来署依頼では手続の位置づけが異なる可能性があります。具体的な対応は通知内容を整理して専門家へ相談する必要があります。

調査が終われば同じ相続について二度と調査されませんか

一般的には、ある税目・課税期間について実地調査を行った場合、同じ税目・課税期間について再調査は行われないと説明されています。ただし、新たに得られた情報に照らして非違があると認められる場合は再調査が行われる可能性があります。具体的な影響は専門家へ相談する必要があります。

Section 16

税務調査の初回相談で専門家に渡す資料

電話メモ、申告書、財産資料、対立点をまとめて相談精度を上げます。

税理士または弁護士に相談するときは、初回から資料をそろえるほど論点整理が進みます。都合の悪い情報を隠すと、調査当日に事実が出て対応が後手に回ることがあります。

次の一覧は、専門家に渡す初回相談パックです。短時間で事案の全体像を把握してもらうため重要で、読者は「税務署の通知内容、申告書、財産資料、対立点」をひとまとめにすることを読み取ってください。

資料内容
税務署からの電話メモ担当者情報、連絡の性質、対象税目、対象期間、必要資料、折返し期限
相続税申告書控えと財産一覧申告書、添付資料、財産評価明細、申告時の財産一覧
遺産分割資料遺産分割協議書、遺言書、相続人一覧、死亡日と住所
主な財産資料預貯金の残高証明、通帳、入出金明細、不動産評価資料、生命保険金資料
贈与と出金資料贈与契約書、贈与税申告書、死亡前後の出金一覧
債務と葬式費用借入金、未払費用、葬式費用資料
相続人間の対立点使途不明金、名義預金、説明の食い違い、税務署が求めている資料一覧

相談時に重要なのは、結論を急ぐことではなく、どの資料でどの事実を説明できるかを整理することです。税務調査対応では、資料の不足、相続人間の認識違い、過去の贈与や出金の意味を、専門家と一緒に確認していきます。

Section 17

税務調査の連絡への最初の対応は確認と保全から始める

初動で守るべき原則を整理し、専門家とともに説明体制を整えます。

税務署から税務調査の連絡が来たときの最初の対応は、単純な電話応対ではなく、相続税調査全体の初動管理です。最初にすることは、反論でも説明でも修正申告でもありません。連絡の性質を確認し、通知事項を記録し、資料を保全し、税務代理人と連携し、相続人間の利害を整理することです。

次の強調表示は、このページ全体の結論を一文にまとめたものです。最初の電話で慌てて説明すると後の資料整理と食い違うおそれがあるため重要で、読者は「急いで語らず、確認してから専門家と説明する」ことを読み取ってください。

事実を急いで語らず、手続を正確に確認し、資料を保全し、専門家とともに説明する

相続税調査では、預貯金、不動産、贈与、保険、海外資産、家族名義財産、死亡前後の出金が複雑に絡みます。税務署への説明は、相続人間の民事紛争にも影響し得るため、税理士を中心に、必要に応じて弁護士や不動産・登記・会社関係の専門職を組み合わせることが重要です。

Reference

この記事の参考情報源

公的資料・法令

  • 国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」
  • 国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」
  • 国税庁「税務調査手続に関するFAQ(税理士向け)」
  • e-Gov法令検索「国税通則法」
  • e-Gov法令検索「税理士法」
  • 国税庁「H2-1 税務代理の権限の明示」
  • 国税庁「税理士の業務」
  • 国税庁「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」