死亡後の株価下落・急騰が、相続税評価、遺産分割、遺留分、非上場株式、売却時の税務、納税資金にどう関係するかを横断的に整理します。
死亡後の株価下落・急騰が、相続税評価、遺産分割、遺留分、非上場株式、売却時の税務、納税資金にどう関係するかを横断的に整理します。
相続税、遺産分割、遺留分、売却税務を最初に切り分けます。
相続財産に株式が含まれる場合、死亡後に株価が大きく下がったり上がったりしても、相続税、遺産分割、遺留分、売却時の税務では見る時点が異なります。最初に全体像を分けておくと、評価額と実際の換金額のずれを整理しやすくなります。
次の強調表示は、このページ全体で最も重要な結論を示しています。相続税だけでなく、遺産分割や納税資金にも影響するため、死亡時点、分割時点、売却時点を混同しないことを読み取ってください。
死亡後の株価変動は、相続税評価を自動的に上下させるものではありません。一方で、誰が株式を取得し、誰が代償金を受け取るかを決める場面では、現在価値や売却価格を踏まえた調整が重要になることがあります。
次の一覧は、株価変動がどの論点に影響するかを並べたものです。左から順に読むと、税務上の評価、相続人間の公平、売却時の税金、納税資金という別々の問題を切り分けられます。
原則は死亡時点の時価です。上場株式では死亡日の終値と死亡月・前月・前々月の月平均額を比べ、低い価額を使う仕組みがあります。
相続税評価額を使うこともありますが、相続人全員が合意すれば分割時点、売却価格、第三者評価額などを採用できます。
相続開始時の財産価額を中心に検討します。ただし、非上場株式では民事上の評価と税務評価がずれることがあります。
売却時の手取り、譲渡所得税、取得費加算、延納や物納の可否は、相続税評価とは別に確認する必要があります。
次の比較表は、評価目的ごとの基準時と主な専門家をまとめています。株価が同じように動いても、目的が変わると結論が変わる点を確認してください。
| 評価目的 | 基準時の考え方 | 主な確認先 |
|---|---|---|
| 相続税申告 | 原則として被相続人の死亡時点 | 税理士 |
| 遺産分割 | 合意内容または分割時点に近い価額が問題になりやすい | 弁護士、税理士、公認会計士 |
| 遺留分 | 相続開始時の財産価額を中心に検討 | 弁護士、公認会計士、税理士 |
| 売却判断 | 売却時点の市場価格と税引後手取り | 税理士、証券会社、FP |
| 事業承継 | 支配権、経営権、納税猶予、資金繰りを総合確認 | 弁護士、税理士、公認会計士 |
課税時期、時価、上場株式、非上場株式を整理します。
「相続発生後の株価変動」といっても、まず相続開始、課税時期、時価、株式の種類を分ける必要があります。用語を分けておくと、相続税評価で見る価格と、遺産分割で話し合う価格を混同しにくくなります。
次の表は、評価の前提になる基本用語を整理したものです。相続税の基準日が死亡日であること、株式の種類によって評価資料が変わることを中心に確認してください。
| 用語 | 意味 | 株価変動との関係 |
|---|---|---|
| 相続発生・相続開始 | 被相続人の死亡により相続が始まることです。 | 死亡後の価格変動を考える起点になります。 |
| 課税時期 | 相続税評価で財産価額を判定する時点です。相続では原則として死亡日です。 | 申告日、協議日、売却日とは異なるため注意が必要です。 |
| 時価 | 通常の自由な取引で成立すると考えられる客観的な価額です。 | 財産ごとに評価方法が定められ、現実の売却価格と一致しないことがあります。 |
| 遺産分割評価 | 誰が何を取得し、代償金をどう支払うかを決めるための価額です。 | 相続税評価額と同じにするか、分割時点の価額を使うかが争点になります。 |
| 遺留分評価 | 一定の相続人に保障される最低限の相続利益を計算するための価額です。 | 相続税評価とは別の民事上の経済価値が問題になることがあります。 |
次の一覧は、株式の種類ごとに評価の入口をまとめたものです。市場価格があるかどうか、取引価格が把握できるかどうかで、必要資料と注意点が変わることを読み取ってください。
金融商品取引所に上場されている株式です。死亡日の終値と3か月分の月平均額を確認します。
登録銘柄、店頭管理銘柄、公開途上の株式などです。一定の取引価格や公開価格をもとに評価します。
一般に非上場株式と呼ばれます。会社規模、株主の支配力、資産、利益、配当などを組み合わせて評価します。
死亡後の事情を直接反映できるかを分けて見ます。
相続税は、申告書を出す時点の財産価値に課税する制度ではなく、相続により財産を取得した時点の価値を基礎にします。株価が大きく下がった場合でも、まず死亡時点の評価ルールから出発します。
次の判断の流れは、相続税評価で死亡後の事情をどう見るかを整理したものです。順番に見ると、死亡後に発生した事情と、死亡時点に存在していた事情を分ける必要があることが分かります。
保有銘柄、株数、証券口座、非上場会社の株主名簿を確認します。
上場株式、気配相場等のある株式、取引相場のない株式を分けます。
後から判明しただけの簿外債務や不良債権は、死亡時点の資料になり得ます。
翌月以降の暴落や新たな経営混乱は別問題として扱います。
証拠資料を整理し、評価明細や鑑定資料に反映できるか確認します。
次の時系列は、相続開始から申告・納税までの期限感を示しています。株価が下落していても申告期限は原則として動かないため、資料収集と納税資金の確認を同時に進める必要があります。
相続税評価では、原則としてこの時点の財産価額を基準にします。
死亡日の終値、死亡月、前月、前々月の月平均額を比較します。
遺産分割がまとまっていなくても、未分割のまま申告が必要になることがあります。
死亡日の終値と3つの月平均額を比較します。
上場株式では、死亡日の終値だけでなく、死亡月、前月、前々月の月平均額を比較します。死亡月内の値動きは月平均額に含まれることがありますが、死亡翌月以降の価格は原則として相続税評価の4つの価額には入りません。
次の表は、上場株式で確認する4つの価額をまとめたものです。評価では最も低い価額が採用されるため、死亡日の価格だけを見て判断しないことが重要です。
| 確認する価額 | 内容 | 読み取り方 |
|---|---|---|
| 死亡日の終値 | 被相続人が亡くなった日の最終価格です。 | 課税時期の基本価額になります。 |
| 死亡月の月平均額 | 死亡日の属する月の毎日の最終価格の平均額です。 | 死亡後であっても同じ月内の価格が含まれることがあります。 |
| 前月の月平均額 | 死亡月の前月の毎日の最終価格の平均額です。 | 死亡日前の価格水準を確認します。 |
| 前々月の月平均額 | 死亡月の前々月の毎日の最終価格の平均額です。 | 一時的な高値を避ける調整として機能します。 |
次の比較表は、死亡後に急落した例と急騰した例を並べています。5月15日の市場価格は相続税評価の4価額には入らないため、死亡月までの価格と翌月以降の価格を分けて見てください。
| 項目 | 急落例 | 急騰例 |
|---|---|---|
| 死亡日4月5日の終値 | 10,000円 | 10,000円 |
| 4月の月平均額 | 8,200円 | 11,500円 |
| 3月の月平均額 | 9,500円 | 9,800円 |
| 2月の月平均額 | 10,300円 | 9,600円 |
| 5月15日の市場価格 | 6,000円 | 15,000円 |
| 相続税評価で使う価額 | 8,200円 | 9,600円 |
次の比較グラフは、急落例の4つの評価候補を高さで表しています。低いほど相続税評価で採用されやすいため、5月15日の6,000円ではなく4月平均8,200円が評価候補の最小値になる点を読み取ってください。
配当落ち、権利落ち、株式分割、公開買付け、上場廃止、粉飾決算の発覚、行政処分などがある場合は、その事情が死亡時点の前から存在していたのか、死亡後に新たに起きたのかを分けて確認します。死亡日に取引がない場合や最終価格がない場合には、国税庁の取扱いに基づく修正も必要です。
市場価格がない株式では、死亡時点の会社状態と評価方式を分けて確認します。
非上場株式は市場価格がないため、相続発生後に株価が大きく変動した場合の評価が最も複雑になりやすい財産です。相続税評価、M&A価格、会社法上の価格、遺産分割上の評価、遺留分上の評価が一致しないこともあります。
次の一覧は、非上場株式評価で登場する主な方法と見方を整理しています。取得者が支配株主か少数株主か、会社規模がどこに当たるかによって、使う方法が変わる点を確認してください。
類似業種の上場会社株価、利益、配当、簿価純資産などを用いる方法です。
大会社で重要会社の資産と負債を評価し、純資産をもとに株式価値を計算します。
小会社で重要38%改正に注意同族株主等以外の少数株主などで用いることがある特例的な評価方法です。
少数株主中会社では、類似業種比準方式と純資産価額方式を組み合わせて評価します。
中会社次の重要表示は、2026年4月1日以後の相続・遺贈・贈与で純資産価額方式が関係する場合の改正点です。古い評価明細や過去事例をそのまま使わないことを読み取ってください。
防衛特別法人税の創設に伴い、2026年4月1日以後に取得する取引相場のない株式等では、評価差額に対する法人税額等相当額の割合が38%とされています。
次の注意要素の一覧は、死亡後の業績悪化を評価へ反映できるかを判断するときの確認点です。各項目が死亡時点に存在していた事情か、死亡後に新たに起きた事情かを分けることが重要です。
死亡後に初めて解除された契約か、死亡時点で解除が確実視されていたかを確認します。
後から判明しただけで死亡時点に存在していた場合は、死亡時価の資料になり得ます。
直近決算、借入金明細、担保資料、資金繰り表をもとに死亡時点の状態を確認します。
同じ株式でも、支配株式か少数株式か、譲渡制限があるかで民事上の評価が変わります。
国税庁は、取引相場のない株式の評価に関する有識者会議の開催も公表しています。現時点の申告では現行法令・通達に従う必要がありますが、将来の制度改正リスクと現在の評価実務は分けて考える必要があります。
相続税評価額をそのまま使うか、分割時点の価額を使うかを検討します。
遺産分割では、相続税評価額が絶対的な基準になるわけではありません。株価が大きく動いたときは、死亡時評価、協議時評価、売却価格、第三者評価額のどれを使うかが、相続人間の公平に直結します。
次の表は、株式を分ける方法と株価変動の影響を整理しています。どの方法でも、評価基準日と価格変動リスクの負担者を明確にすることが重要です。
| 分け方 | 内容 | 株価変動時の注意点 |
|---|---|---|
| 共有のまま保有 | 相続人全員で持分割合に応じて保有します。 | 議決権行使、配当、売却判断が複雑になります。 |
| 代償分割 | 特定の相続人が株式を取得し、他の相続人へ代償金を支払います。 | 死亡時高値を前提にすると取得者の負担が重くなることがあります。 |
| 換価分割 | 株式を売却し、現金を分けます。 | 売却時期によって手取りが大きく変わります。 |
| 事業承継 | 後継者が会社株式を取得し、他財産や代償金で調整します。 | 会社支配、資金繰り、金融機関対応を含めた検討が必要です。 |
次の判断の流れは、遺産分割でどの価額を採用するかを話し合う順番です。合意で柔軟に決められる一方、無断売却や管理不備がある場合は単純な現在価格だけでは整理できないことを読み取ってください。
全員共有、特定相続人の取得、売却による現金化を分けます。
死亡日、協議成立日、調停成立日、実際の売却日、複数日の平均を比較します。
代償金を固定するか、将来売却時の追加精算を設けるかを検討します。
評価方法、採用価格、支払期限、利息、担保、配当の帰属、税負担を文章化します。
家庭裁判所の調停・審判では、証券会社の残高証明書、死亡日前後の取引履歴、評価明細書、公認会計士や税理士の評価報告書、M&A交渉資料などが重要になります。一部の相続人が株式を無断で売却した疑いがある場合は、売却注文日、約定日、受渡日、入金口座、同意書の有無も確認します。
遺留分、譲渡所得税、取得費加算を相続税評価と分けて確認します。
遺留分、売却時の譲渡所得税、取得費加算は、相続税評価とも遺産分割評価とも別の論点です。株価が大きく動くほど、同じ株式について複数の評価と税務が並行して問題になります。
次の表は、遺留分と売却時の税務を横断的に整理したものです。どの場面でも、相続後の値動きが直ちに相続税評価へ反映されるわけではない点を読み取ってください。
| 論点 | 中心になる考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 遺留分 | 相続開始時の財産価額を出発点に、贈与や債務を調整します。 | 非上場株式では相続税評価額と民事上の評価が一致しないことがあります。 |
| 金銭請求 | 2019年改正後、遺留分侵害額請求は原則として金銭請求です。 | 株式そのものの返還ではなく、価額に応じた支払が問題になります。 |
| 譲渡所得税 | 相続後に株式を売却すると、相続税とは別に所得税・住民税が問題になります。 | 取得価額、売却価額、手数料、損益通算の可否を確認します。 |
| 取得費加算 | 一定期間内に譲渡した場合、相続税額の一定金額を取得費に加算できることがあります。 | 相続開始日の翌日から相続税申告期限の翌日以後3年を経過する日までの譲渡などの要件を確認します。 |
次の一覧は、売却時の価格変動で起きる税務上の組み合わせを示しています。相続税評価の高低だけでなく、売却代金、譲渡益、譲渡損、納税資金を分けて読む必要があります。
高い相続税評価のまま売却代金が少なくなり、納税資金不足や譲渡損の処理が問題になります。
相続税評価は死亡時基準でも、売却時には譲渡益課税が生じる可能性があります。
相続税と譲渡益の双方を確認し、取得費加算の適用可能性を検討します。
相続税負担が重く感じられやすく、損益通算や納税資金対策を確認します。
未分割申告、特例制限、延納・物納を早めに検討します。
株価が大きく変動していても、遺産分割が終わらないことを理由に相続税の申告期限が当然に延びるわけではありません。未分割申告、特例の制限、分割後の修正申告や更正の請求を分けて確認します。
次の時系列は、未分割申告と納税資金を同時に整理するためのものです。期限が先に来るため、評価争いを続けながらも申告・納税の準備が必要になる点を読み取ってください。
死亡日残高証明書、銘柄、株数、売却予定、非上場会社資料を集めます。
未分割のままでは配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例をその時点で使えない場合があります。
当初申告と異なる課税価格や税額になった場合、修正申告または更正の請求を検討します。
次の注意要素は、株価下落時に納税資金不足が起きる典型的な原因を示しています。評価額と売却可能額のずれ、特例の制限、期限内申請の必要性を中心に確認してください。
死亡時評価が高く、申告前に半値になった場合、売却代金だけでは相続税をまかなえないことがあります。
株式以外に不動産がある相続では、未分割により税負担が重くなることがあります。
延納や物納は、納期限までの申請や許可が必要で、株式なら何でも納められる制度ではありません。
相続放棄や限定承認を検討する場面では、3か月の期間制限にも注意が必要です。
死亡時評価と分割時評価の主張を整理し、協議書で明確にします。
株価変動が大きい相続では、「死亡時評価で分けるべき」という考え方と、「分割時評価で分けるべき」という考え方が対立しやすくなります。どちらか一方を機械的に採るのではなく、評価目的と合意内容を分けて整理します。
次の比較一覧は、評価基準日をめぐる典型的な主張を整理したものです。各立場の根拠と限界を見比べると、協議書で明確に決めるべき項目が見えてきます。
相続は死亡により発生するため、死亡時の価額との整合性を重視します。特別受益、遺留分、相続税評価と説明しやすい面があります。
実際に財産を取得する時点の価値を重視します。価格変動の大きい株式では公平に合う場合があります。
換価分割では客観的な現金価値が確定します。ただし、売却時期や売却判断の合理性が争点になることがあります。
次の表は、遺産分割協議書に入れておきたい確認事項です。後日の紛争を避けるため、採用価格だけでなく、配当や税金、将来精算の有無まで明確にします。
| 項目 | 協議書で明確にする内容 |
|---|---|
| 評価基準日 | 死亡日、協議成立日、調停成立日、売却日、複数日の平均など |
| 評価方法 | 相続税評価額、終値、月平均額、第三者評価額、売却価格など |
| 代償金 | 金額、支払期限、分割払い、利息、担保 |
| 株価変動リスク | 以後の下落・上昇を取得者が負担・享受するか、追加精算するか |
| 付随利益と税金 | 配当金、議決権、譲渡所得税、取得費加算、税務調査リスクの分担 |
上場株式、非上場株式、相談前の質問を分けて整理します。
株価変動が大きい相続では、死亡時点、申告時点、分割時点の資料を分けて集めると整理しやすくなります。上場株式と非上場株式では、必要資料が大きく違います。
次の一覧は、上場株式で最低限集めたい資料です。死亡日の評価だけでなく、売却や配当、口座種別まで確認することで、申告と遺産分割の両方に備えられます。
証券会社一覧、死亡日残高証明書、死亡日前後の取引履歴、相続後の売却報告書を集めます。
上場株式死亡日の終値、死亡月・前月・前々月の月平均額、評価明細資料を確認します。
4価額配当金支払通知書、特定口座年間取引報告書、NISA口座、外国株式、信用取引の有無を確認します。
税務次の一覧は、非上場株式で確認する資料をまとめたものです。会社の実態と死亡時点に存在したリスクを示す資料が、評価額の説明に直結します。
株主名簿、定款、登記事項証明書、直近3期以上の決算書・税務申告書を確認します。
会社情報固定資産台帳、不動産評価資料、借入金明細、担保資料、生命保険契約、関連会社株式を確認します。
純資産株式評価明細書、公認会計士・税理士の評価報告書、M&A交渉資料、意向表明書を整理します。
評価根拠次の確認事項は、相談前に整理しておくと専門家の初期判断が速くなる質問です。番号順に答えられる範囲を埋めるだけでも、評価目的と緊急度を把握しやすくなります。
| 分類 | 確認する質問 |
|---|---|
| 日付 | 死亡日、相続税申告期限、売却日、協議成立予定日 |
| 株式 | 上場株式か非上場株式か、証券会社はどこか、複数口座があるか |
| 売却 | 死亡後に売却した株式があるか、誰が判断し、代金はどこに入ったか |
| 相続関係 | 遺言書の有無、遺留分を主張しそうな相続人、遺産分割の進行状況 |
| 資金 | 納税資金、代償金を支払う資力、取得費加算の可能性、税務調査で説明できる資料 |
法律、税務、会計、金融手続きの役割を分けます。
株価変動が関係する相続では、税務だけ、法律だけ、会計だけでは整理しきれないことがあります。誰に何を相談するかを分けると、重複や漏れを減らせます。
次の一覧は、専門家ごとの主な役割を整理したものです。争いの有無、非上場会社の有無、売却予定、納税資金の不足に応じて、どの専門家を先に入れるべきかを読み取ってください。
遺産分割協議、調停・審判、遺留分、無断売却、支配権争い、代償金条項や精算条項を扱います。
紛争上場株式評価、非上場株式の相続税評価、未分割申告、取得費加算、譲渡所得申告、延納・物納を扱います。
申告非上場会社の財務分析、DCF法、類似会社比較、支配権、少数株式、流動性の評価を補います。
評価争いがない範囲で、遺産分割協議書、相続人関係説明図、各種書類の作成支援を行います。
書類残高証明書、名義変更、売却、移管、配当金処理、納税資金、生活設計の整理に関与します。
資金暴落、急騰、非上場会社、無断売却、申告後下落を整理します。
典型ケースを先に整理しておくと、どの論点を優先すべきか判断しやすくなります。相続税評価、遺産分割、売却税務、法的対応を同じケース内で分けて見ます。
次の一覧は、株価変動でよく起きる場面ごとの考え方です。各項目で、相続税評価だけでは解決しない問題が残ることを読み取ってください。
死亡月内の下落は月平均額に反映される可能性がありますが、翌月以降の暴落は原則として相続税評価を直接下げません。納税資金を早く確認します。
相続税評価では死亡後の高値が原則として直接反映されません。遺産分割では現在価値を基準に代償金を求める争いが起きることがあります。
死亡後の経営混乱は原則としてそのまま死亡時評価を下げません。ただし死亡時点に既に存在した簿外債務や債務超過は資料になります。
売却代金が遺産の代替財産になるか、精算義務があるか、売却時期や価格が妥当かを確認します。
申告後の下落だけを理由に評価額を下げる更正の請求は原則として難しく、税法上の理由があるかを確認します。
売却価格、相続税評価額、遺産分割評価額を混同しないよう整理します。
株価変動が大きいと、売却価格、現在価値、相続税評価額を同じものとして扱ってしまう誤解が起きやすくなります。よくある誤解を先につぶしておくと、協議や申告の方向性を間違えにくくなります。
次の表は、実務で見られる誤解と正しい整理を並べています。特に「自動的に評価が下がる」「必ず相続税評価で分ける」という発想から離れることが重要です。
| 誤解 | 整理 |
|---|---|
| 売却価格がそのまま相続税評価額になる | 相続税評価は原則として死亡時点です。ただし死亡直後の適正な第三者売却価格が、死亡時価の資料になることはあります。 |
| 相続税評価額で遺産分割しなければならない | 相続人全員が合意すれば、分割時点の価額や売却価格など別の評価方法を採用できます。 |
| 株価が下がれば相続税も自動的に下がる | 死亡後の下落は原則として相続税評価を自動的には下げません。上場株式では死亡月平均額に反映される範囲があります。 |
| 非上場株式は額面でよい | 会社規模、資産、利益、配当、株主区分、特定会社該当性などを踏まえて評価します。 |
| 遺産分割が終わるまで申告を待てる | 遺産分割が終わっていなくても、申告期限は原則として延びません。未分割申告が必要になることがあります。 |
株式の種類、評価目的、基準日、リスク負担の順に確認します。
最後に、相続発生後の株価変動を実務で整理する手順をまとめます。株式の種類、評価目的、基準日、リスク負担を順に分けると、税務・法務・会計・資金繰りを同時に進めやすくなります。
次の判断の流れは、相談前の整理手順を示しています。上から順に確認すると、必要資料と相談先を自然に絞り込めます。
上場株式、気配相場等のある株式、取引相場のない株式、外国株式、投資信託などを分けます。
相続税申告、遺産分割、遺留分、売却判断、事業承継のどれかを明確にします。
死亡時点、申告時点、分割協議・調停時点の価格と資料を分けます。
評価基準日、評価方法、代償金、配当、税金、追加精算の有無を協議書に残します。
次の表は、このページの結論を4つに圧縮したものです。相続税、遺産分割、遺留分、売却税務を混同せず、必要資料を時点別に集めることが最終的な防御線になります。
| 重要ポイント | 実務上の意味 |
|---|---|
| 評価目的を混同しない | 相続税評価、遺産分割評価、遺留分評価、売却税務は別々に整理します。 |
| 時点別に資料を集める | 死亡時点、分割時点、売却時点を分け、価格資料と証拠資料を保管します。 |
| 変動リスクを協議書で決める | 代償金、配当、税金、将来売却時の追加精算を曖昧にしないことが重要です。 |
| 早期に専門家を組み合わせる | 上場株式は税理士、非上場株式は税理士・公認会計士・弁護士の連携が有効です。 |
個別事情で結論が変わるため、一般的な制度説明として整理します。
一般的には、死亡後の下落だけで相続税評価額が半分になるわけではありません。上場株式では、死亡日の終値と死亡月・前月・前々月の月平均額を比較して低い価額を用いる仕組みがあります。ただし、死亡月内の下落が月平均額に反映される可能性など、銘柄、死亡日、価格資料によって確認事項は変わります。具体的な申告判断は、資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、相続税評価は死亡時点を基準にするため、死亡後の上昇が当然に相続税評価額を引き上げるものではありません。ただし、死亡月の月平均額や、遺産分割で現在価値をどう扱うか、売却時に譲渡益が出るかは別に確認する必要があります。具体的な対応は、税理士や弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、課税時期に最終価格がない場合には国税庁の取扱いに従って一定の修正を行うとされています。ただし、銘柄、取引所、権利落ち、株式分割などによって資料の集め方が変わる可能性があります。具体的な評価は、証券会社資料や評価明細を確認し、税理士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、相続人全員が納得して合意するなら、相続税評価額を遺産分割の基準にすることは可能とされています。ただし、株価が大きく変動している場合には、分割時点の価額、売却価格、第三者評価額の方が公平に合う可能性があります。具体的な合意内容は、弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、相続後に無価値に近くなっただけで、死亡時点の相続税評価を当然にゼロにできるわけではありません。ただし、死亡時点で既に債務超過、簿外債務、不良債権、回収不能資産などが存在していた場合には、死亡時点の評価に影響する可能性があります。具体的な評価は、税理士や公認会計士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、遺産分割前の遺産は共同相続人の共有的な状態にあるため、価格変動リスクを相続人全体で負う形になりやすいとされています。ただし、無断売却、不適切な管理、合理的理由のない売却妨害などがある場合には、別の責任が問題になる可能性があります。具体的な見通しは、取引履歴や協議状況を整理して弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、売却益が出れば相続税とは別に譲渡所得税が問題になる可能性があります。一定期間内の譲渡では、相続税の取得費加算を検討できることがあります。ただし、取得価額、売却価額、特定口座、損益通算、申告方式によって結論が変わるため、具体的には税理士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、制度改正の議論があるとしても、申告期限を過ぎることはできず、現時点の申告は現行法令・通達に従って行う必要があります。将来改正があった場合も、適用時期や経過措置によって扱いが変わる可能性があります。具体的な期限管理と申告方針は、税理士等の専門家へ相談する必要があります。