株式、投資信託、債券、NISA資産を相続するとき、誰が証券口座を用意するのかを、振替制度、証券会社実務、遺産分割、税務、紛争予防の順に整理します。
原則は受け取る人の証券口座が必要ですが、全相続人が開設するとは限りません。
原則は受け取る人の証券口座が必要ですが、全相続人が開設するとは限りません。
相続人に証券口座がない場合、上場株式、ETF、投資信託、債券、外国株式などを証券のまま受け取る人は、原則として本人名義の証券口座を用意する必要があります。現在の上場株式等は紙の株券を手渡す仕組みではなく、証券保管振替機構、証券会社、信託銀行などの口座を通じて電子的に権利が管理されているためです。
ただし、必要になるのは通常、証券そのものを取得する相続人、受遺者、または換価を担う代表相続人です。証券を取得しない相続人まで、必ず証券口座を作るという意味ではありません。預り金や少額MRFのみ、海外居住者、NISA、特別口座、未成年者、成年後見、相続人間の争いがある場合は、標準的な処理から外れることがあります。
次の比較一覧は、証券口座が必要になる理由と、例外が生じる場面を整理するものです。読者にとって重要なのは、口座の有無だけでなく、誰が証券を受け取り、いつ売却し、税務資料をどう残すかまで同時に判断する点です。
| 判断軸 | 実務上の考え方 | 確認すること |
|---|---|---|
| 証券のまま受け取る | 受け取る相続人名義の証券口座が必要になるのが通常です。 | 同じ証券会社に口座が必要か、他社移管が可能かを確認します。 |
| 全相続人が受け取る | 各相続人の受入口座が必要になる可能性が高いです。 | 単元未満株、投資信託の口数、外国株式の取扱いを確認します。 |
| 代表相続人が換価する | 代表相続人の口座だけで足りる場合があります。 | 売却時期、手数料、税金、分配割合を協議書に書きます。 |
| 証券を取得しない | 証券口座開設は不要になることが多いです。 | 署名押印、印鑑登録証明書、本人確認書類は別途必要になる場合があります。 |
| 現金や少額MRFのみ | 銀行口座への出金処理で済む場合があります。 | 証券会社の相続担当部署に、口座開設が必須か確認します。 |
法律上の抽象的な義務ではなく、電子化された証券制度と証券会社の相続手続から生じる実務上の必要性です。
民法上、相続人は相続開始により被相続人の財産に属した権利義務を承継し、相続人が複数いる場合は遺産が共有に属します。しかし、民法に「相続人は証券口座を新規開設しなければならない」と直接書かれているわけではありません。
口座開設が必要になる主な理由は、上場株式等が電子的に管理され、証券会社が被相続人口座から受取人名義の口座へ振り替える手続を採っていること、本人確認やマイナンバー、税務区分、特定口座管理などの口座管理が必要になること、そして死亡後の被相続人口座では本人意思に基づく売買や出金ができないことです。
次の判断の流れは、証券口座を作るべき人を絞るためのものです。上から順に確認すると、読者は「相続人全員」ではなく「証券を受け取る人」が中心になることを読み取れます。
株式、投資信託、債券、外国株式、NISA資産などを確認します。
遺言、遺産分割協議、受遺者、代表相続人の指定を確認します。
同じ証券会社の口座、特定口座、外国株式口座の有無を確認します。
現金や代償金だけを受け取る人は、協議書や本人確認書類の準備が中心です。
死亡後の被相続人口座をそのまま使って売買する処理は避ける必要があります。証券会社へ死亡連絡をすると、口座は相続手続の扱いになり、新たな売買や出金が停止されるのが通常です。その後、残高証明書や相続手続書類を取り寄せ、相続人名義口座へ移管してから売却、保有、他社移管を検討します。
次の時系列は、口座開設が投資を続ける意思表示とは限らないことを示します。読者は、相続移管のために開設し、売却・出金・解約まで選べることを読み取れます。
証券を受け取る相続人が、本人確認書類やマイナンバー確認書類を準備します。
証券会社所定の相続届、遺産分割協議書、戸籍、印鑑登録証明書などを提出します。
移管後に売却し、銀行口座へ出金し、不要なら証券口座の解約を検討できます。
同じ証券会社の受入口座、複数相続人、遺言、外国株式では開設要否を早めに確認します。
必要か不要かは、証券を誰がどの形で取得するかによって変わります。次の比較一覧は、新規開設が必要になりやすい場面と、不要または不要になり得る場面をまとめたものです。読者は自分の状況がどの類型に近いかを確認できます。
| 場面 | 口座開設の考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 被相続人の証券会社に相続人の口座がない | 多くの証券会社は、まず自社内の相続人名義口座への振替を求めます。 | 相続人が別会社に口座を持っていても、直接移管できるとは限りません。 |
| 投資未経験者が証券を受け取る | 投資経験の有無にかかわらず、受入口座として開設を求められることがあります。 | 本人確認、マイナンバー、職業、投資経験などの申告が必要です。 |
| 複数相続人で現物を分ける | 各相続人が株式や投資信託を受け取るため、各人の口座が必要になりやすいです。 | 単元未満株、端数、最低額面で分割しにくいことがあります。 |
| 遺言で特定の人が取得する | 指定された相続人または受遺者が証券を受け取るための口座を用意します。 | 自筆証書遺言では検認の要否、遺言執行者の権限を確認します。 |
| 同じ証券会社に既存口座がある | 新規ではなく既存口座を受入口座にできる場合があります。 | 特定口座、外国株式口座、住所変更、未成年口座の有無を確認します。 |
| 証券を取得しない相続人 | 代償金や預金だけを受け取るなら、証券口座は不要になりやすいです。 | 協議書への署名押印や印鑑登録証明書は必要になる場合があります。 |
| 少額MRF・預り金のみ | 代表相続人の銀行口座へ出金処理できる場合があります。 | MRFは投資信託の一種でもあり、会社ごとに扱いが違います。 |
| 海外居住相続人 | 国内証券会社で新規口座を開設できないことがあります。 | 代償分割、換価分割、代理人、署名証明、在留証明を検討します。 |
「自分はB証券に口座があるが、亡くなった家族はA証券に口座がある」という場合、実務ではA証券で相続人名義口座を作り、相続移管後にB証券へ移す流れになることがあります。直接他社へ移せるかは、証券会社、商品、銘柄、相続方法ごとの確認が必要です。
証券会社間の移管では、出庫手数料、移管先での取扱い、投資信託の販売会社間移管、外国株式の可否、特定口座間移管、一般口座への移管、移管完了までの売却不可期間、配当・分配金の受取方式を確認します。
現物分割、代償分割、換価分割で、証券口座が必要になる人が変わります。
遺産分割の方法を決めると、証券口座を作る人も自然に絞られます。次の比較一覧は、分割方法ごとの受入口座、長所、注意点を整理するものです。読者は、投資したくない相続人まで口座を作る必要があるかを判断しやすくなります。
| 分割方法 | 証券口座が必要になる人 | 主な長所 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 現物分割 | 証券を取得する各相続人 | 売却時期を各人が判断できます。 | 端数、単元未満株、投資信託の口数で分けにくいことがあります。 |
| 代償分割 | 証券を取得する相続人 | 他の相続人は現金を受け取るだけで済みます。 | 代償金の資金、評価時点、価格変動リスクを決めます。 |
| 換価分割 | 代表相続人または換価担当者 | 全員が証券口座を作る負担を減らせます。 | 売却時期、税金、手数料、分配割合を明記します。 |
| 共有状態で放置 | 未確定 | 一時的に判断を先送りできます。 | 売却停止、二次相続、認知症、書類再収集、価格変動の不公平が起こります。 |
たとえば現物分割では、長男がA社株100株、長女がB投信500口、次男がC社株200株を受け取るように、それぞれの受入口座が問題になります。代償分割では、長男が証券口座内の株式・投資信託を取得し、長女と次男へ各300万円を支払うように、証券を受け取らない人は現金を受け取る設計にできます。換価分割では、代表相続人の口座へ移管して売却し、費用や税金を控除した残額を3人で各3分の1ずつ分ける形が考えられます。
換価分割では、誰の口座へ移管するか、どの銘柄を売却するか、売却時期と方法を誰が判断するか、売却手数料・税金・移管手数料を誰が負担するか、売却後の分配割合、配当・分配金の帰属、譲渡所得税の申告、取得費加算の資料提供を遺産分割協議書に書きます。
証券会社の特定、死亡連絡、残高証明、相続人確定、遺産分割、移管、売却までを順番に進めます。
証券相続では、いきなり口座開設から始めるよりも、証券会社と残高を確定し、相続人と分割方針を決めてから受入口座を用意する方が安全です。次の時系列は実務の順番を表します。読者は、どの段階で証券口座が必要になるか、どの書類を前倒しで準備するかを読み取れます。
取引残高報告書、年間取引報告書、配当金計算書、郵便物、メール、アプリ、銀行口座の入出金履歴、確定申告書、財産目録を確認します。
証券会社へ死亡を伝え、相続手続書類を取り寄せます。以後、被相続人名義でログインや売買をしないことを共有します。
死亡日現在の残高、取引明細、NISA保有明細、未収配当、外国証券、信用取引や立替金等の有無を確認します。
出生から死亡までの戸籍、相続人の現在戸籍、法定相続情報一覧図、遺言書、遺言執行者の有無を整理します。
証券会社名、支店、口座番号、銘柄、数量、取得者、代表相続人、換価方法、税金、配当の帰属を具体的に決めます。
必要な相続人が証券口座を開設し、証券会社所定の相続届や移管依頼書を提出します。
証券会社が不明な場合、証券保管振替機構の登録済加入者情報の開示請求により、上場株式等の口座を開設している証券会社や信託銀行を確認できることがあります。
被相続人のNISA口座は相続人へそのまま移せず、税務期限は口座移管の完了を待ちません。
被相続人がNISA口座で保有していた上場株式や投資信託は、相続人がNISA口座を持っていても、そのNISA口座へそのまま移すことはできません。相続により取得する上場株式等は、相続人の特定口座または一般口座へ受け入れる扱いになります。
NISA、特定口座、一般口座は、売却後の税務資料の残り方に違いがあります。次の比較一覧は、相続後にどの口座区分へ入るかによって何を確認すべきかを示します。読者は、非課税口座だった事実がそのまま承継されないことを読み取れます。
| 口座区分・期限 | 相続時の扱い | 確認すべき点 |
|---|---|---|
| NISA口座 | 相続人のNISA口座へは受け入れられません。 | 相続発生日、時価、移管先口座、売却時の取得価額を確認します。 |
| 特定口座 | 証券会社が取得価額や譲渡損益を管理する口座です。 | 被相続人の口座区分や取得価額情報を引き継げるか確認します。 |
| 一般口座 | 相続人が取得価額や手数料を管理し、申告で計算する必要があります。 | 古い取引報告書、買付明細、年間取引報告書を保存します。 |
| 相続税申告 | 死亡を知った日の翌日から10か月以内が原則です。 | 移管未了でも死亡日現在の残高と評価を整理します。 |
| 準確定申告 | 相続開始を知った日の翌日から4か月以内が原則です。 | 死亡年の配当、分配金、譲渡益などを確認します。 |
| 取得費加算の特例 | 相続税申告期限の翌日以後3年以内の譲渡などが問題になります。 | 相続税負担額、売却日、取得費資料を確認します。 |
上場株式の相続税評価は、死亡日終値、死亡月平均、前月平均、前々月平均のうち低い価額を使う方法が中心です。一方、相続後に売却した場合の譲渡所得計算では、被相続人の取得時期・取得価額を引き継ぐ扱いなどを確認します。相続税評価額がそのまま売却時の取得費になるとは限りません。
戸籍、法定相続情報、遺言、遺産分割協議書、証券会社所定書類、未成年者・成年後見・外国証券を確認します。
証券会社は、相続人、取得者、権限者、税務区分、本人確認を確認したうえで移管を行います。次の一覧は、書類の種類と特殊事情を整理するものです。読者は、証券口座開設書類だけでなく、相続関係を証明する書類も同時に必要になることを読み取れます。
| 項目 | 主な内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 戸籍・法定相続情報 | 被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の現在戸籍、法定相続情報一覧図などです。 | 代襲相続、数次相続、海外相続人がいると追加書類が必要です。 |
| 遺言関係書類 | 公正証書遺言、自筆証書遺言、検認済証明書、遺言書情報証明書、遺言執行者の資格書類などです。 | 検認は遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。 |
| 遺産分割協議書 | 証券会社名、支店名、口座番号、銘柄、数量、取得者、端数処理を具体的に記載します。 | 「有価証券一式」だけでは移管対象の特定が不十分になることがあります。 |
| 証券会社所定書類 | 相続届、相続上場株式等移管依頼書、代表相続人届、残高証明書発行依頼書などです。 | 会社ごとに名称と様式が異なります。 |
| 未成年者・成年後見 | 特別代理人、後見人の代理権・同意権、利益相反の有無を確認します。 | 家庭裁判所、後見人、証券会社の確認が必要になることがあります。 |
| 特別口座・端数 | 特別口座の株式はそのまま市場売買できず、単元未満株は通常の売買と異なる処理があります。 | 特別口座管理機関、買取請求、代償金、端数処理を確認します。 |
| 外国証券 | 外国証券取引口座、外貨決済、外国源泉税、W-8BENなどが問題になります。 | 国、市場、銘柄、居住地によって必要書類が変わります。 |
戸籍収集の負担を減らす制度として、法定相続情報証明制度があります。また、2024年3月1日から戸籍証明書等の広域交付制度が始まり、本籍地以外の市区町村窓口でも一定の戸籍証明書や除籍証明書を請求できるようになっています。
口座開設は移管の事務であり、取得者、評価時点、使い込み疑い、遺留分は別に整理します。
相続人に証券口座がない場合の口座開設は、あくまで証券を移すための手段です。誰が株式を取得するか、どの時点の価格で評価するか、売却代金をどう分けるか、被相続人の生前取引に問題がないかは、別の法的・税務的な論点です。
次の注意点一覧は、証券相続で争いになりやすい論点を整理するものです。読者は、単に受入口座を作るだけでは解決しない問題を早めに把握できます。
現物取得、換価分割、代償分割、評価時点で意見が分かれると、移管手続が止まりやすくなります。
代表相続人が売却時期を決めると、相場下落時に責任を問われることがあります。
晩年の売却、出金、代理取引について、取引報告書、銀行履歴、委任状、医療記録を確認します。
遺言で特定の人が証券を取得しても、他の相続人の遺留分が問題になることがあります。
協議がまとまらない場合、家庭裁判所の遺産分割調停または審判を利用することがあります。
共有状態で放置すると、相続人の死亡や認知症により、書類と合意形成がさらに難しくなります。
遺留分は原則として金銭請求であり、株式そのものを当然に取り戻す制度ではありません。ただし、株式評価額が高額で現金払いが難しい場合、売却時期、税金、価格変動リスク、遅延損害金の検討が必要になります。
最小限の口座開設、代償分割、換価分割、遺言執行者、生前整理で負担を減らします。
証券口座を作ることに抵抗がある場合でも、遺産分割の設計で負担を減らせることがあります。次の選択肢一覧は、証券を受け取る人を限定する方法と、生前にできる整理をまとめたものです。読者は、口座開設を避けたい人がどの方向で協議すべきかを読み取れます。
相続移管のために口座を作り、移管後すぐ売却・出金し、不要なら解約します。
標準手続投資に詳しい相続人が証券を取得し、他の相続人は代償金を受け取ります。
代償分割資金確認代表相続人が移管後に売却し、費用と税金を控除して分配します。
現金分配売却時期遺言で換価と分配の権限を明確にしておくと、相続人全員の負担を減らせる場合があります。
遺言証券会社の集約、休眠口座の解約、特別口座の振替、銘柄数の整理、財産目録作成を行います。
予防生前整理では、証券会社名、支店名、口座番号、ログイン情報の保管場所、保有銘柄、相続人に知らせるべき情報、遺言で誰が取得するか、売却して分けるか、遺言執行者を誰にするかを整理しておくと、死亡後の口座開設問題を軽減できます。
一般的な制度と実務の説明として整理します。個別の対応は証券会社や専門家へ確認してください。
一般的には、上場株式、投資信託、外国株式などを証券のまま受け取る場合、相続人名義の証券口座が移管先になるとされています。ただし、預り金や少額MRFのみ、換価分割、代償分割、海外居住者などでは取扱いが変わる可能性があります。具体的な対応は、残高明細と証券会社の案内を確認したうえで専門家へ相談する必要があります。
一般的には、死亡後は被相続人本人としての取引権限がなくなるため、そのまま売買や出金を行う処理は避ける必要があるとされています。相続人間の合意状況、証券会社規定、税務処理によって問題が変わる可能性があります。具体的には、死亡連絡後に相続手続へ移行し、証券会社の案内を確認する必要があります。
一般的には、換価分割や一括受領の設計であれば代表相続人の口座だけで足りる場合があります。ただし、各相続人が株式を現物で取得する場合は、それぞれの移管先口座が必要になる可能性があります。分配割合、費用、税金、価格変動リスクを協議書に明記し、必要に応じて専門家へ相談する必要があります。
一般的には、相続手続の第一段階で被相続人と同じ証券会社の相続人名義口座への移管を求める会社が多いとされています。ただし、商品、外国証券、投資信託、他社移管の可否で結論は変わる可能性があります。具体的には、被相続人の証券会社へ直接確認する必要があります。
一般的には、相続手続前に被相続人口座内で売却できるとは限らず、まず相続人名義口座へ移管してから売却する流れが標準的とされています。ただし、預り金のみ、特定商品、遺言執行者による換価などで取扱いが変わる可能性があります。具体的な売却方法は証券会社へ確認する必要があります。
一般的には、海外居住者は国内証券会社で新規口座開設が制限される場合があります。居住国、証券会社、商品、代理人の有無、署名証明や在留証明の準備状況によって対応が変わる可能性があります。具体的には、早期に証券会社と専門家へ相談する必要があります。
一般的には、不動産の相続登記義務化のような一律の公法上の申請期限が証券口座の相続移管に設けられているわけではありません。不動産については2024年4月1日から相続登記が義務化され、一定の場合に3年以内の申請義務や10万円以下の過料が問題になりますが、証券口座の相続移管とは制度が異なります。ただし、相続税申告期限、準確定申告期限、取得費加算の特例、配当金、価格変動リスクによって不利益が生じる可能性があります。具体的な期限管理は、税務資料を整理して専門家へ相談する必要があります。
一般的には、相続移管のための口座開設と、積極的な投資取引を続けることは別とされています。移管後に売却、出金、解約を選べる場合があります。ただし、売却益、取得費、手数料、確定申告、相続人間の分配条件によって注意点が変わるため、具体的には証券会社や税理士等へ確認する必要があります。
一般的には、その相続人が証券を現物で取得する予定であれば、移管先がないため手続が進みにくくなる可能性があります。一方、代償分割や換価分割により証券を取得する人を限定できる場合があります。協議がまとまらない場合は、弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、郵便物、メール、スマートフォンアプリ、通帳の入出金、確定申告書、配当金計算書、株主総会関係書類などを確認します。上場株式等については、証券保管振替機構の登録済加入者情報開示請求を利用できる場合があります。具体的な調査範囲は、残された資料と相続人の事情によって変わります。
争い、登記、税務、書類、遺言執行、非上場株式がある場合は役割分担を明確にします。
証券口座の相続は、証券会社だけで完結しないことがあります。次の一覧は専門職ごとの主な役割を整理するものです。読者は、口座開設の相談先と、紛争・税務・登記・評価の相談先を分けて考えられます。
相続人間の争い、遺産分割、遺留分、使い込み、遺言無効、調停・審判・訴訟がある場合に中心となります。
不動産の相続登記、法定相続情報一覧図、戸籍収集、協議書の形式整理、家庭裁判所提出書類作成などで関与します。
相続税申告、準確定申告、上場株式評価、外国証券評価、取得費加算、相続後売却時の申告を担当します。
紛争性がなく、税務・登記申請・訴訟代理に当たらない範囲で、相続関係説明図や協議書作成支援を行います。
公正証書遺言、遺言執行、遺産整理業務、証券の換価分配で関与することがあります。
非上場株式、同族会社、事業用資産、不動産がある場合、評価や承継設計で関与します。
協議書や遺言では、現物分割、換価分割、代償分割、価格変動リスクを明確にします。次の比較一覧は、どの文例で何を決めるかを示します。読者は、証券会社へ提出する協議書で曖昧にしない項目を読み取れます。
| 条項 | 文例の骨子 | 明記する理由 |
|---|---|---|
| 現物分割 | 相続人甲が、被相続人名義の証券会社口座に保管されている別紙有価証券目録記載の有価証券を取得し、必要な自己名義の証券口座を開設する。 | 取得者と移管先を特定します。 |
| 換価分割 | 代表相続人甲が、相続移管後、合理的な時期と方法で売却し、費用と税金を控除した残額を相続人間で分配する。 | 売却権限、費用負担、分配割合を明確にします。 |
| 代償分割 | 相続人甲が有価証券を取得し、その代償として乙・丙へ一定額を指定銀行口座へ振り込む。 | 証券を取得しない相続人の受取内容を明確にします。 |
| 価格変動リスク | 協議成立後、相続移管または売却まで市場価格が変動しても、代償金額は増減しない。ただし、責めに帰すべき遅延がある場合は別途協議する。 | 相場変動による後日の不満を減らします。 |
最後に、証券相続で後日の紛争や税務負担を増やしやすい行動を整理します。次の注意点一覧から、今どの資料と合意を残すべきかを確認できます。
相続移管後も、相続税申告、準確定申告、所得税申告、不動産登記、保険金請求、年金手続が残ることがあります。
ログイン情報を知っている家族が死亡後に売却すると、証券会社規定、相続人間の公平、税務処理で問題になります。
税務上の評価と、相続人間の公平な分割価額は一致しないことがあります。評価時点を明記します。
買付明細や年間取引報告書を失うと、売却時に取得費不明となり税負担が増えることがあります。
移管可否、税務、為替、外国源泉税、書類、口座区分が複雑です。
株主総会関係書類が届くのに証券会社残高に出ない場合、特別口座の存在を確認します。
2026年4月22日時点で確認できる公的機関、業界団体、証券会社の公開情報をもとにした一般的な整理です。証券会社の実務や税制は変わることがあるため、最新の取扱いは各窓口で確認します。
実務チェックリストは、証券口座を作る前後で漏れやすい確認事項を段階別に並べたものです。読者は、証券会社へ連絡する前、遺産分割協議前、移管完了後に何を確認するかを読み取れます。
| 段階 | 確認事項 |
|---|---|
| 初動 | 証券会社、取引店、口座番号、死亡日現在の残高証明書、特定口座年間取引報告書、NISA、特別口座、外国証券、配当・分配金の受領口座を確認します。 |
| 分割方針 | 現物分割、換価分割、代償分割のどれにするか、誰が証券を取得するか、同じ証券会社の口座が必要か、売却時期、価格変動リスク、費用と税金の負担を確認します。 |
| 書類 | 出生から死亡までの戸籍、相続人全員の戸籍、法定相続情報一覧図、遺言書、検認要否、遺産分割協議書、印鑑登録証明書、口座開設書類、マイナンバー書類、海外居住者の署名証明を確認します。 |
| 完了後 | 相続移管完了通知、移管後残高、特定口座・一般口座の区分、取得価額情報、譲渡損益、相続税申告書や確定申告書に渡す資料、不要な証券口座の解約可否を確認します。 |
証券を受け取る人だけに必要最小限の受入口座を準備し、税務と分配条件を同時に管理します。
最後の要点は、単純な口座開設の有無ではなく、相続人の誰が、どの商品を、どの口座区分で、いつ売却または保有するかです。次の重要ポイントはこのページ全体の結論をまとめたものです。読者は、まず証券会社へ確認し、その後に分割方法と税務を整理する順序を読み取れます。
上場株式、投資信託、外国株式などを証券のまま取得する場合、原則として相続人名義の証券口座が必要です。ただし、全相続人ではなく、証券を受け取る人、換価を担う人、または受遺者が中心になります。
例外として、預り金や少額MRFのみの場合、代表相続人の銀行口座へ出金できることがあります。海外居住者、未成年者、成年後見、NISA、特別口座、外国証券、紛争案件では標準手続から外れます。
最も避けたいのは、死亡後も被相続人の証券口座を操作すること、税務評価と分割評価を混同すること、取得費資料を失うこと、証券会社ごとの取扱差を確認しないことです。まず死亡日現在の残高と商品内容を確認し、次に分割方法を決め、そのうえで必要最小限の相続人名義口座を準備する流れが実務上は安定します。
制度、税務、証券会社実務を確認するための資料名を整理しています。