2σ Guide

追突事故で保険会社が提示した
示談金の計算書の見方

保険会社から届く損害額計算書や賠償額提示書は、最終支払額だけでなく、損害項目、算定基準、証拠資料、控除項目、清算範囲を分けて読むことが重要です。

120万円 自賠責傷害部分の限度額
4,300円 自賠責慰謝料の日額
6,100円 自賠責休業損害の原則日額
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追突事故で保険会社が提示した 示談金の計算書の見方

最初に見るべきなのは「いくら払われるか」だけでなく、その金額がどの根拠から作られたかです。

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追突事故で保険会社が提示した 示談金の計算書の見方
最初に見るべきなのは「いくら払われるか」だけでなく、その金額がどの根拠から作られたかです。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 追突事故で保険会社が提示した 示談金の計算書の見方
  • 最初に見るべきなのは「いくら払われるか」だけでなく、その金額がどの根拠から作られたかです。

POINT 1

  • 追突事故の示談金計算書は総額ではなく構造で読む
  • 最初に見るべきなのは「いくら払われるか」だけでなく、その金額がどの根拠から作られたかです。
  • 示談金計算書は「損害項目」「算定基準」「証拠資料」「控除項目」「清算範囲」を分解して読む
  • 損害項目の認定
  • 算定基準の選択

POINT 2

  • 追突事故の示談金計算書で使われる基本用語
  • 名称が違っても、最終支払額を示す文書なら実質的に示談金計算書として読む必要があります。
  • 保険会社から届く文書名は一定ではありません。
  • 名称に引っ張られず、清算範囲や追加請求への影響を読み取ることが重要です。

POINT 3

  • 追突事故の示談金計算書を受け取った直後の確認
  • 1. 清算範囲を見る:人身、物損、後遺障害、将来治療費まで含む文言かを確認します。
  • 2. 総額と受取額を分ける:既払治療費や内払金を差し引いた後、本人へ追加支払される金額を見ます。
  • 3. 未確定の項目があるか:治療中、症状固定前、後遺障害申請前、休業資料未提出なら慎重に確認します。
  • 4. 全面清算を保留:未確定部分を含めた示談か、傷害部分だけの提案かを明確にします。
  • 5. 明細で検算:基準、日数、単価、控除、資料との対応を一つずつ照合します。

POINT 4

  • 追突事故の示談金計算書に出る3つの算定基準
  • 傷害部分120万円
  • 休業損害1日6,100円
  • 慰謝料1日4,300円
  • 自賠責基準、任意保険基準、裁判実務で用いられる水準の違いを押さえます。

POINT 5

  • 追突事故の示談金計算書で人身損害を検算する
  • 治療費、交通費、休業損害、慰謝料、後遺障害を資料と照合します。
  • 休業損害は職業別に見る
  • 後遺障害は示談前に扱いを確認する
  • 休業損害は、同じ休業日数でも職業や生活実態で資料が異なります。

POINT 6

  • 追突事故の示談金計算書で物的損害を確認する
  • 車両損害は修理費だけでなく、時価額、代車料、評価損、休車損害まで分解します。
  • 物的損害は、人身損害と証拠や計算方法が異なります。
  • 修理費だけを見ず、時価額や代車期間、評価損まで読み取ることが重要です。
  • 車両損害は、修理見積と保険会社査定の差が説明されているかを確認します。

POINT 7

  • 追突事故の示談金計算書の控除と調整を読む
  • 急停止や停止理由
  • 前車の停止理由が通常の交通状況に照らして合理的かを見ます。
  • 進路変更直後の追突
  • 割込み、車線変更、進路変更の直後かどうかで評価が変わることがあります。

POINT 8

  • 追突事故の示談金計算書で争点になりやすい項目
  • むち打ちの治療期間
  • 治療終了日、支払打切り日、症状固定日が混同されていないか、医師の診断上の必要性が説明できるかを見ます。
  • 低速衝突と受傷否認
  • 車両損傷が軽微でも、座位姿勢、予期の有無、首の向き、年齢、既往症、ヘッドレスト位置などが関係します。

まとめ

  • 追突事故で保険会社が提示した 示談金の計算書の見方
  • 追突事故の示談金計算書は総額ではなく構造で読む:最初に見るべきなのは「いくら払われるか」だけでなく、その金額がどの根拠から作られたかです。
  • 追突事故の示談金計算書で使われる基本用語:名称が違っても、最終支払額を示す文書なら実質的に示談金計算書として読む必要があります。
  • 追突事故の示談金計算書を受け取った直後の確認:署名や押印の前に、清算範囲、実際の受取額、明細の有無を分けて確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

追突事故の示談金計算書は総額ではなく構造で読む

最初に見るべきなのは「いくら払われるか」だけでなく、その金額がどの根拠から作られたかです。

追突事故で保険会社が提示する示談金の計算書は、一見すると金額一覧に見えます。しかし実務上は、何を損害として認めたか、どの基準で計算したか、どの資料と対応しているか、何を差し引いたかが重なった文書です。

次の強調表示は、このページ全体で検算する対象を一文にまとめたものです。読者にとって重要なのは、提示額を鵜呑みにせず、各項目の根拠と控除後の受取額を分けて理解することです。

示談金計算書は「損害項目」「算定基準」「証拠資料」「控除項目」「清算範囲」を分解して読む

最後に書かれた支払額だけでは、慰謝料、休業損害、後遺障害、物損、既払金の処理が適切か判断しにくいため、構造ごとに検算します。

次の一覧は、示談金計算書を読むときの4つの層を整理したものです。それぞれが金額に直接影響するため、どの層で争点が生じているのかを読み取ることが大切です。

Layer 01

損害項目の認定

治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料、逸失利益、修理費など、どの項目を損害として認めたかを確認します。

Layer 02

算定基準の選択

自賠責基準、任意保険会社の社内基準、裁判実務で用いられる水準のどれに近いかを見ます。

Layer 03

証拠資料との対応

診断書、診療報酬明細書、休業損害証明書、源泉徴収票、修理見積書、事故証明書などと整合するかを確認します。

Layer 04

控除と調整

既払治療費、内払金、自賠責回収額、労災給付、人身傷害保険、過失相殺、素因減額などがどう処理されたかを読みます。

追突事故では、被害者側に大きな過失がない事案が多い一方、むち打ち、頚椎捻挫、腰椎捻挫、神経症状、低速衝突、治療期間、症状固定、後遺障害等級、休業日数で争点が生じやすくなります。計算書は、そうした争点を金額に置き換えた資料として確認します。

Section 01

追突事故の示談金計算書で使われる基本用語

名称が違っても、最終支払額を示す文書なら実質的に示談金計算書として読む必要があります。

保険会社から届く文書名は一定ではありません。次の比較表は、よく使われる文書名と確認すべき意味を整理したものです。名称に引っ張られず、清算範囲や追加請求への影響を読み取ることが重要です。

用語意味確認すべき点
示談金交通事故の損害賠償問題を合意で終局させるために支払われる金銭の総称です。治療費、慰謝料、休業損害、逸失利益、物損などの合計から控除後の金額かを見ます。
示談金の計算書損害額計算書、賠償額提示書、お支払額のご案内、示談案、免責証書案などを含みます。最終支払額の提示なら、示談交渉の終盤に近い文書として扱います。
自賠責保険被害者保護を目的とする基礎的な対人賠償制度です。傷害部分の限度額は被害者1人につき120万円です。休業損害は原則1日6,100円、慰謝料は1日4,300円という説明と照合します。
任意保険自賠責で不足する部分を補う保険です。実務上は治療費支払や示談交渉をまとめて行うことがあります。自賠責部分と任意保険上乗せ部分の内訳が分かるかを確認します。
人身損害けがに関する損害です。治療費、交通費、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益などです。治療期間、通院日数、症状固定日、後遺障害の有無と対応させます。
物的損害車両や物に関する損害です。修理費、時価額、代車料、レッカー費用、評価損、休車損害などです。人身とは証拠や示談書の文言が異なることがあるため、別清算か同時清算かを見ます。
症状固定治療を続けても医学的に大きな改善が見込めない状態を指す実務上重要な概念です。後遺障害の検討や請求期限の起算点に関係するため、治療費打切り日と混同しないことが大切です。
注意物損示談を先に終えても、人身損害まで清算したことになるとは限りません。ただし、示談書に人身損害や後遺障害まで含む文言が入っていないかを必ず確認します。
Section 02

追突事故の示談金計算書を受け取った直後の確認

署名や押印の前に、清算範囲、実際の受取額、明細の有無を分けて確認します。

受け取った直後は、文書タイトルよりも「何を終わらせる合意なのか」を確認します。次の判断の流れは、署名前の初動を順番に整理したものです。早い段階で分けて読むことで、後遺障害や未提出資料が残ったまま清算するリスクを見つけやすくなります。

署名前の確認順序

清算範囲を見る

人身、物損、後遺障害、将来治療費まで含む文言かを確認します。

総額と受取額を分ける

既払治療費や内払金を差し引いた後、本人へ追加支払される金額を見ます。

未確定の項目があるか

治療中、症状固定前、後遺障害申請前、休業資料未提出なら慎重に確認します。

ある
全面清算を保留

未確定部分を含めた示談か、傷害部分だけの提案かを明確にします。

ない
明細で検算

基準、日数、単価、控除、資料との対応を一つずつ照合します。

次の一覧は、最終示談の可能性を示す文言をまとめたものです。これらは追加請求の可否に影響するため、後遺障害診断書の作成前や治療継続中に見落とさないことが重要です。

一切の損害を清算

本件事故に関する損害をすべて終わらせる趣旨で使われることがあります。

追加請求しない

後から漏れに気づいても、追加請求が難しくなる可能性があります。

後遺障害を含める

等級認定前に入ると、後遺障害慰謝料や逸失利益を失うリスクがあります。

人身および物損を含む

人身だけの示談か、車両損害まで含む全面示談かを確認します。

保険会社に質問するときは、「なぜこの金額か」だけでは検算しにくいことがあります。どの基準、治療期間、実通院日数、慰謝料対象日数、休業損害の日額と日数、既払金の内訳、過失割合の根拠、後遺障害等級の有無、物損の時価額や修理費を、書面またはメールで確認します。

Section 03

追突事故の示談金計算書に出る3つの算定基準

自賠責基準、任意保険基準、裁判実務で用いられる水準の違いを押さえます。

算定基準は、同じ治療期間や通院日数でも金額差を生む重要な前提です。次の比較表は、3つの基準の性質と計算書で見る場所を整理しています。提示額がどの水準に近いかを読み取ることで、再検討の余地を見つけやすくなります。

基準性質計算書での見方
自賠責基準被害者救済のための基礎的な支払基準です。傷害部分の限度額は被害者1人につき120万円です。治療費、通院交通費、文書料、休業損害、慰謝料が自賠責の説明に近い単価で計算されているかを見ます。
任意保険基準各保険会社が示談交渉で用いる内部的、実務的な基準です。統一公表された一つの基準ではありません。「弊社基準」「当社基準」と書かれている場合、治療期間や通院頻度をどう評価したか確認します。
裁判実務で用いられる水準交通事故損害賠償事件で裁判所や弁護士実務が参照する水準です。赤い本、青本が代表的資料です。症状、通院頻度、医学的所見、過失割合、後遺障害等級などにより調整されるため、機械的な表計算だけでは判断できません。

次の重要数値は、自賠責基準で検算するときの出発点です。これらは計算書の単価や限度額と照合するために重要で、特に傷害部分が120万円を超える場合は、任意保険の上乗せがあるかを読み取ります。

Limit

傷害部分120万円

治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料などの傷害部分について、被害者1人あたりの支払限度額として説明されています。

Income

休業損害1日6,100円

自賠責では原則額として説明され、これを超える収入減の立証がある場合は上限を踏まえて実額が問題になります。

Pain

慰謝料1日4,300円

傷害の状態、実治療日数などを踏まえ、治療期間内で対象日数を見て計算します。

検算式自賠責基準の入通院慰謝料の概算では、治療期間と実通院日数の2倍を比較し、対象日数の目安に4,300円を掛けて確認します。ただし、限度額や他の損害項目との関係で実際の支払額は変わります。
Section 04

追突事故の示談金計算書で人身損害を検算する

治療費、交通費、休業損害、慰謝料、後遺障害を資料と照合します。

人身損害は項目が多く、どれか一つが漏れるだけで提示額が大きく変わります。次の一覧は、各項目が何を表し、読者がどの資料と照合すればよいかを整理したものです。

項目内容主なチェックポイント
治療費診察、検査、画像検査、投薬、処置、手術、入院、リハビリなどです。初診日の遅れ、事故との因果関係、整形外科と整骨院の扱い、健康保険や労災の利用、打切り後の自己負担分を確認します。
通院交通費医療機関へ通うための電車、バス、自家用車、駐車場、高速代、タクシー代などです。実通院日数との一致、自家用車の距離、タクシー利用の必要性、付添者交通費、明細提出の有無を見ます。
入院雑費入院中の日用品、通信費、雑費などを一定額で評価する項目です。自賠責では原則1日1,100円とされています。入院日数、治療費との混同、付添看護費との混同を確認します。
付添看護費入院、通院、自宅療養で付添が必要な場合に問題となる項目です。医師の必要性判断、年齢、症状、ADLの制限、近親者付添か職業付添か、付添者の休業損害との二重計上を見ます。
文書料診断書、診療報酬明細書、後遺障害診断書、交通事故証明書などの発行費用です。領収書、交通事故証明書の取得、後遺障害診断書代の計上漏れを確認します。
休業損害事故による受傷で働けず、収入が減少した損害です。家事従事者も対象として説明されています。欠勤、有給休暇、遅刻早退、時短勤務、賞与減額、家事制限、自営業の利益減少を資料で確認します。
入通院慰謝料けが、治療、通院、入院、日常生活上の苦痛に対する精神的損害です。治療期間、実通院日数、接骨院通院の扱い、治療期間の短縮、裁判実務で用いられる水準との差を見ます。
後遺障害慰謝料症状固定後も残った障害そのものに対する慰謝料です。後遺障害診断書、等級認定結果、非該当時の資料不足、入通院慰謝料との混同を確認します。
後遺障害逸失利益後遺障害により将来の労働能力が低下し、将来収入が減ることへの賠償です。基礎収入、労働能力喪失率、喪失期間、中間利息控除係数、仕事への具体的影響を見ます。

休業損害は職業別に見る

休業損害は、同じ休業日数でも職業や生活実態で資料が異なります。次の一覧は、給与所得者、個人事業主、家事従事者、学生や高齢者などの確認対象を分けたものです。自分の立場に合う資料が計算書に反映されているかを読み取ります。

1

給与所得者

休業損害証明書、源泉徴収票、給与明細、賃金台帳、欠勤控除、有給休暇、賞与減額、皆勤手当、残業代減少を確認します。

勤務先資料
2

個人事業主・会社経営者

確定申告書、青色申告決算書、帳簿、売上推移、固定費、代替労働費用を確認し、事故との因果関係を整理します。

事業資料
3

家事従事者

同居家族、家事分担、事故後に家事が制限された期間、代替家事労働、家族の負担増、外注費用を確認します。

生活実態
4

学生・高齢者・無職者

アルバイト収入、就職や学業への影響、就労実態、家事従事、介護役割、求職活動の具体性を事案に応じて確認します。

個別事情
計算式休業損害は、概念的には「事故前収入を基礎にした日額 × 休業日数」で考えます。後遺障害逸失利益は「基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数」で検討します。

後遺障害は示談前に扱いを確認する

追突事故のむち打ちでは、頚椎捻挫後の痛み、しびれ、神経症状について14級9号や12級13号が問題になることがあります。等級認定は、医学的所見、神経学的検査、画像所見、症状の一貫性、治療経過などを総合して判断されます。

Section 05

追突事故の示談金計算書で物的損害を確認する

車両損害は修理費だけでなく、時価額、代車料、評価損、休車損害まで分解します。

物的損害は、人身損害と証拠や計算方法が異なります。次の比較表は、追突事故で問題になりやすい車両・物損項目を整理したものです。修理費だけを見ず、時価額や代車期間、評価損まで読み取ることが重要です。

項目確認する資料見落としやすい点
修理費修理見積書、損傷写真、アジャスター査定資料部品代、工賃、塗装費、消費税、内部損傷、安全装置やセンサー校正費用を確認します。
経済的全損と時価額中古車市場価格、年式、走行距離、グレード、装備、車検残、地域相場修理費が時価額を超える場合、買替諸費用、対物超過修理費用特約、残存物価額を見ます。
代車料レンタカー契約、修理期間、買替期間、利用実態代車使用の必要性、相当期間、車種やグレード、免責補償料の扱いを確認します。
評価損修理前後の査定資料、日本自動車査定協会等の評価資料高年式車、高級車、骨格部位損傷、走行距離の少ない車両では一律に否定されていないかを見ます。
休車損害売上、経費、利益率、運行管理記録、配送記録、稼働実績事業用車両、営業車、タクシー、トラック、配送車で代替車両の有無と修理期間の相当性を確認します。

追突事故では、外観上は軽微に見えても、バンパー、バックドア、トランクフロア、リアフェンダー、マフラー、センサー、カメラ、フレーム、足回りなどに影響が出ることがあります。車両損害は、修理見積と保険会社査定の差が説明されているかを確認します。

注意人身と物損を別々に示談することがあります。物損だけを先に解決する場合でも、文言上、人身損害や後遺障害まで清算していないかを確認します。
Section 06

追突事故の示談金計算書の控除と調整を読む

最終支払額は、損害総額から過失相殺、既払金、各種給付を差し引いた後の金額です。

控除や調整は、計算書の末尾に小さく記載されることがあります。次の比較表は、差し引かれる項目が何を意味し、どこで過大控除や二重控除が起きやすいかを示します。最終受取額が低い理由を読み取るために重要です。

項目意味確認ポイント
過失相殺被害者側にも事故発生や損害拡大への落ち度がある場合、割合に応じて減額する考え方です。単純追突か、進路変更後追突か、玉突きか、急停止や駐停車位置の問題があるかを確認します。
素因減額・既往症既往症や体質が損害の発生・拡大に寄与した場合に調整する考え方です。事故前の症状、通院歴、事故後の悪化、画像所見、医師の意見、減額率の根拠を見ます。
既払金控除すでに支払われた治療費、休業損害、内払金、仮渡金、自賠責受領額などを差し引く処理です。病院へ直接支払われた治療費と本人受領分が混同されていないか、二重控除がないかを確認します。
損益相殺事故と同じ原因から一定の利益を受けた場合、その利益を損害額から控除する考え方です。労災給付、健康保険、障害年金、人身傷害保険、搭乗者傷害保険の種類別に扱いを確認します。

過失割合は、事故証明書だけで直接決まるものではありません。次の要素一覧は、追突事故でも過失が争われる場面を整理したものです。どの資料が根拠になっているかを読み取ることで、保険会社の割合提示を検証しやすくなります。

急停止や停止理由

前車の停止理由が通常の交通状況に照らして合理的かを見ます。

進路変更直後の追突

割込み、車線変更、進路変更の直後かどうかで評価が変わることがあります。

玉突き事故

複数台事故では、どの衝突がどの損害を生んだかが問題になります。

証拠資料

ドライブレコーダー、実況見分調書、現場写真、防犯カメラ、修理写真を確認します。

重要労災や人身傷害保険が関係すると、制度間調整が複雑になります。大きな控除がある場合は、控除範囲や代位の扱いを専門家に確認する必要があります。
Section 07

追突事故の示談金計算書で争点になりやすい項目

むち打ち、低速衝突、後遺障害、家事従事者、治療費打切りは金額に直結します。

追突事故では、事故類型が単純に見えても、治療期間や後遺障害、休業損害で争点が生じます。次の一覧は、計算書上の金額を左右しやすい争点を整理したものです。どの争点が自分の計算書に反映されているかを読み取ります。

むち打ちの治療期間

治療終了日、支払打切り日、症状固定日が混同されていないか、医師の診断上の必要性が説明できるかを見ます。

低速衝突と受傷否認

車両損傷が軽微でも、座位姿勢、予期の有無、首の向き、年齢、既往症、ヘッドレスト位置などが関係します。

後遺障害14級9号・12級13号

神経症状では、症状の一貫性、治療経過、神経学的所見、画像所見との整合性を確認します。

家事従事者の休業損害

現金収入がないことを理由にゼロとされていないか、家事制限の実態が反映されているかを見ます。

治療費打切りと示談提示

一括対応終了後すぐの提示でも、医学的な症状固定とは限らないため、後遺障害診断書や自費通院の扱いを確認します。

専門職ごとの視点を知ると、計算書のどこを深く見るべきかが分かります。次の表は、警察、医療、法律、保険、工学、修理、社会保障の観点を整理したものです。争点ごとに必要な資料が違う点を読み取ります。

視点計算書への影響確認資料
警察・交通事故捜査過失割合や事故態様に影響します。実況見分調書、事故現場図、供述調書、事故証明書
救急・医療治療期間、休業損害、後遺障害の基礎になります。救急搬送記録、初診時診断、画像検査、診療録、リハビリ記録
弁護士損害論、因果関係、過失割合、証拠、交渉余地を確認します。計算書、医療資料、収入資料、事故態様資料、保険契約
保険会社・損害調査契約内容、事故態様、医療資料、支払基準、自賠責回収可能性を見ます。請求書類、医療照会、事故現場照会、損害調査結果
交通事故鑑定・工学速度、車間距離、衝突角度、制動距離、回避可能性を検討します。ドライブレコーダー、EDR、道路線形、車両損傷
自動車整備・車体修理修理費、事故の衝撃程度、評価損、代車期間に影響します。修理見積書、部品、工賃、塗装、骨格損傷、センサー校正
社会保険・福祉労災、傷病手当金、障害年金、復職支援、生活再建に関係します。労災資料、勤務資料、社会保険給付、福祉サービス資料
Section 08

追突事故の示談金計算書を検算するための資料

計算書だけで判断できない場合は、人身、物損、過失割合の資料を分けて求めます。

示談金計算書だけでは、日数、単価、控除、時価額、過失割合の根拠が分からないことがあります。次の表は、追加で求めるべき資料を分野別に整理したものです。どの資料が不足しているかを読み取ることで、質問内容を具体化できます。

分野求める資料検算できること
人身損害詳細版の損害額計算書、自賠責支払額の内訳、診断書、診療報酬明細書、施術証明書、通院交通費明細、休業損害証明書、源泉徴収票、給与明細、確定申告書、後遺障害診断書、後遺障害等級認定票治療期間、通院日数、休業日数、慰謝料対象日数、後遺障害の扱いを確認します。
物的損害修理見積書、損傷写真、アジャスター査定資料、時価額算定資料、中古車市場価格資料、代車費用明細、レッカー費用、保管料、評価損査定資料修理費、時価額、代車期間、評価損、休車損害の根拠を確認します。
過失割合交通事故証明書、事故状況説明図、ドライブレコーダー映像、現場写真、修理写真、実況見分調書等の刑事記録、保険会社が参照した過失割合資料単純追突、急停止、進路変更、玉突きなどの事故態様を確認します。

資料を求める際は、抽象的な説明ではなく、計算式や明細として残すことが重要です。次の重要ポイントは、書面で確認したい代表的な項目です。後で争点化したとき、どの点を確認したかを残せます。

照会項目治療期間、実通院日数、慰謝料対象日数、適用基準、休業損害の日額と日数、自賠責部分と任意保険上乗せ部分、既払金の内訳、過失相殺率の根拠、後遺障害等級の有無、物損の時価額と修理費を明示してもらいます。
Section 09

追突事故の示談金計算書をモデルケースで読む

具体的な数字を使い、慰謝料、休業損害、既払金、限度額の関係を確認します。

検算は、項目を順番に分けると進めやすくなります。次の判断の流れは、人身と物損の分離から不明点の書面質問までを整理したものです。順番に確認することで、金額の漏れや控除の誤りを見つけやすくなります。

示談金計算書の検算順序

人身と物損を分ける

人身だけの示談か、物損も含む全面示談かを確認します。

治療期間と通院日数を確定

事故日、初診日、最終通院日、症状固定日、入院日数、実通院日数を整理します。

慰謝料と休業損害を再計算

慰謝料単価、対象日数、基礎収入、休業日数、有給、遅刻早退、賞与減額を確認します。

後遺障害と控除を確認

症状が残る場合の等級認定前示談、既払金、労災、人身傷害、自賠責回収、過失相殺を見ます。

不明点を書面で質問

電話だけで終えず、回答をメールや書面で残します。

次のモデルケースは、信号待ち中の追突事故で、治療期間180日、実通院60日、休業、物損がある事案を想定したものです。金額の列と控除の列を分けることで、損害総額と今回支払額の違いを読み取れます。

項目金額・内容読み方
事故類型信号待ち中の普通乗用車に後続車が追突単純追突か、過失割合に争いがあるかを確認します。
傷病名頚椎捻挫、腰椎捻挫むち打ちや神経症状の経過、後遺障害申請前かを見ます。
治療期間・通院治療期間180日、実通院日数60日、入院なし慰謝料対象日数の基礎になります。
休業欠勤10日、有給5日、遅刻早退あり欠勤だけでなく有給と遅刻早退が反映されているかを見ます。
物損修理費35万円、代車10日人身と同時清算か別示談かを確認します。

次の提示例は、保険会社の計算書に並ぶ項目を再現したものです。人身損害合計が自賠責傷害限度額を超える場面では、任意保険の上乗せがあるか、慰謝料や休業損害が十分かを読み取る必要があります。

提示項目金額確認すること
治療費720,000円病院への既払分か、本人支払分かを分けます。
通院交通費18,000円実通院日数と明細が一致するかを見ます。
文書料8,000円診断書、明細書、証明書代が含まれているかを見ます。
休業損害61,000円欠勤10日だけなら、有給5日や遅刻早退の扱いを確認します。
入通院慰謝料516,000円60日×2=120日、4,300円×120日=516,000円に近い計算です。
人身損害合計1,323,000円自賠責傷害限度額120万円を超えています。
既払治療費▲720,000円本人が受け取っていない病院支払分が控除されています。
既払休業損害▲61,000円先払いされた休業損害が差し引かれています。
今回支払額419,000円最終的に追加で受け取る金額です。
重要後遺障害申請前で、症状固定後も痛みやしびれが残る場合、後遺障害分を含めて清算する示談には慎重な確認が必要です。
Section 10

追突事故の示談金計算書に署名前のチェック

事故、医療、損害項目、控除、示談書文言を最後に確認します。

署名前の確認は、分野ごとに漏れをつぶすと見落としにくくなります。次の一覧は、事故関係、医療関係、損害項目、控除、示談書文言を分けたものです。どの分野に未確認が残っているかを読み取ります。

分野確認項目
事故・責任関係交通事故証明書、人身事故届出、事故態様の争い、過失割合の根拠、ドライブレコーダーや写真の保存
医療関係初診日、治療期間、通院日数、診断名と症状、症状固定日、後遺障害診断書の必要性、整骨院等の施術費
損害項目治療費、通院交通費、文書料、休業損害、家事従事者の休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益
控除・調整既払金の内訳、労災や人身傷害保険の控除、過失相殺率、素因減額の根拠、二重控除の有無
示談書文言清算範囲、人身と物損の区別、後遺障害を含む文言、将来治療費や将来介護費、追加請求禁止条項、控えの保存

最重要ポイントは、金額の大小だけでなく、どの項目が入っているかです。次の一覧は、示談前に特に見落としやすい7点を整理しています。どれか一つでも未確認なら、説明や明細を求める余地があります。

01

自賠責基準だけでないか

傷害部分120万円、休業損害1日6,100円、慰謝料1日4,300円を出発点に確認します。

02

慰謝料対象日数は正しいか

治療期間、実通院日数、症状、治療経過の扱いを確認します。

03

休業損害が漏れていないか

給与所得者、家事従事者、自営業者、有給休暇、賞与減額を確認します。

04

後遺障害分を含めていないか

症状固定後も痛みやしびれが残る場合、等級認定前の全面清算は慎重に見ます。

05

物損が適正か

修理費、時価額、代車料、評価損、レッカー費用を確認します。

06

控除が正しいか

既払金、労災、人身傷害、過失相殺、素因減額の二重控除や過大控除を確認します。

07

清算条項を理解する

署名後は追加請求が難しくなる可能性があるため、範囲を明確にします。

Section 11

追突事故の示談金計算書に不服がある場合

説明請求、異議申立、紛争処理機関、ADR、弁護士相談の使い分けを整理します。

提示額や後遺障害等級、減額理由に納得できない場合は、制度ごとに入口が異なります。次の比較表は、どの窓口がどの問題に向くかを整理したものです。問題の種類に合う相談先を読み取ります。

制度・相談先主な対象確認すること
保険会社への説明請求支払額、減額、後遺障害等級、支払基準の説明まず計算根拠や明細を求め、回答を残します。
自賠責の異議申立後遺障害等級、因果関係、減額など自賠責判断への不服新たな医学資料や検査結果、症状経過の補強が必要になることがあります。
自賠責保険・共済紛争処理機構自賠責の支払に関する紛争公正中立な審査の制度として案内されています。
交通事故紛争処理センター任意保険会社との示談交渉がまとまらない場合自動車事故の損害賠償紛争を中立、公正に支援する機関として案内されています。
そんぽADRセンター損害保険会社との苦情や紛争損害保険や交通事故に関する相談、苦情、紛争解決手続の入口です。
弁護士相談後遺障害、低い提示額、休業損害、過失割合、治療費打切り、素因減額、死亡事故、重度後遺障害など弁護士費用特約があれば、相談や依頼の費用負担を抑えられる場合があります。

保険会社への照会文は、項目を分けて書くと回答を得やすくなります。次の文例は、計算根拠、後遺障害申請前の保留、休業損害の再検討という3場面を整理したものです。自分の状況に合わせて、必要な項目だけを使います。

Sample 01

計算根拠の照会

入通院慰謝料について、治療期間、実通院日数、慰謝料対象日数、適用基準を書面またはメールで明示するよう求めます。休業損害、既払金、過失相殺、素因減額、後遺障害の扱いも項目別に確認します。

Sample 02

後遺障害申請前の保留

症状が残存し、主治医と症状固定や後遺障害診断書の作成を相談中であるため、後遺障害の有無が確定するまで人身損害全体を清算する示談には応じられない旨を伝えます。

Sample 03

休業損害の再検討

欠勤日だけでなく、有給休暇使用日、遅刻早退による減収、賞与減額がある場合、休業損害証明書と追加資料を提出し、基礎収入、対象日数、減収額の再計算を求めます。

Section 12

追突事故から示談金計算書までの時系列

事故直後、治療中、症状固定前後、示談交渉の順に資料を残します。

示談金計算書の金額は、事故直後から示談交渉までの記録に左右されます。次の時系列は、各段階で何を残すかを整理したものです。順番に資料をそろえることで、治療期間、通院日数、休業、過失割合の説明がしやすくなります。

事故直後

安全確保と記録

110番通報、必要に応じた119番通報、相手方情報、車両番号、保険会社、連絡先、現場写真、車両損傷写真、ドライブレコーダー映像を保存します。痛みが軽くても早期に医療機関を受診します。

治療中

症状と費用を残す

症状を医師に具体的に伝え、通院日、交通費、休業日を記録します。領収書、診断書、明細を保存し、治療費打切り連絡に安易に同意しないよう確認します。

症状固定前後

後遺障害の扱いを確認

症状固定の医学的妥当性を主治医に確認し、後遺症があれば後遺障害診断書や等級認定の申請を検討します。

示談交渉

計算書を検算

各項目を検算し、不明点を明細で求め、裁判実務で用いられる水準との比較、清算条項、署名押印前の相談を確認します。

Section 13

追突事故の示談金計算書でよくある誤解

追突事故だから単純に決まると思い込みやすい点を、一般情報として整理します。

追突事故なら必ず10対0ですか

一般的には、停車中の単純な追突では後続車側の責任が大きいとされています。ただし、前車の急停止、進路変更、駐停車方法、玉突き事故などによって判断が変わる可能性があります。具体的な過失割合は、事故態様や証拠関係を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

保険会社の計算書は中立的な最終結論ですか

一般的には、保険会社は損害調査を行い、契約や資料に基づいて提示額を作成します。ただし、任意保険会社は加害者側の保険契約に基づいて対応する立場でもあり、提示額が常に裁判実務上の最大水準とは限りません。具体的な妥当性は、資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

治療費打切り日が症状固定日ですか

一般的には、治療費の一括対応終了は保険会社の支払対応上の判断であり、医学的な症状固定と同じとは限りません。症状固定は医師の診療経過に基づいて判断される事項です。具体的な対応は、主治医の説明や医療資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

通院日数が多ければ慰謝料は増えますか

一般的には、通院日数は慰謝料計算で重要な要素とされています。ただし、治療の必要性、相当性、症状経過、医師の診察、過剰通院の有無によって評価が変わる可能性があります。具体的な見通しは、医療記録と通院状況を整理して確認する必要があります。

後遺障害が非該当なら何も検討できませんか

一般的には、非該当となった場合でも、医療資料、画像、神経学的検査、症状経過に不足があれば、異議申立を検討する余地があるとされています。ただし、新たな医学的、実務的根拠が重要です。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

示談後に追加請求できますか

一般的には、示談書に清算条項がある場合、追加請求は難しくなる可能性があります。将来の後遺障害や予測できなかった重大症状などで例外的な問題が生じることはありますが、結論は個別事情で変わります。署名前に清算範囲を確認し、必要に応じて専門家へ相談する必要があります。

Reference

この記事の参考情報源

制度や基準は変更される可能性があるため、実務で用いる際は最新情報を確認してください。

公的機関・準公的機関

  • 国土交通省「自賠責保険・共済 限度額と補償内容」
  • 国土交通省「自賠責保険・共済 支払までの流れと請求方法」
  • 国土交通省「自賠責保険・共済 支払に疑問、不服がある場合には」
  • 厚生労働省「労災保険における傷病が治ったときの説明資料」
  • 自動車安全運転センター「交通事故証明書の申請方法」

交通事故実務・紛争解決機関

  • 公益財団法人 日弁連交通事故相談センター「当センターの刊行物について」
  • 損害保険料率算出機構「自賠責保険の損害調査」
  • 損害保険料率算出機構「自賠責保険の損害調査に関するよくあるご質問」
  • 一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構「紛争処理制度について」
  • 公益財団法人 交通事故紛争処理センター
  • 一般社団法人 日本損害保険協会「そんぽADRセンター」