後部座席の同乗者が負傷したとき、請求先は運転者だけとは限りません。バイクの保有者、相手車、勤務先、道路管理者、車両関係者、各保険制度まで、確認すべき相手と証拠を整理します。
後部座席の同乗者が負傷したとき、請求先は運転者だけとは限りません。
運転していない同乗者でも、事故態様に応じて複数の相手や制度を検討します。
バイクの二人乗り、いわゆるタンデム走行中に事故が起きると、後部座席の同乗者は大きなけがを負いやすく、治療費、休業損害、後遺障害、将来介護費、死亡事故での遺族の生活再建まで問題が広がります。
同乗者は自分でハンドルを握っていないため、請求先を一つに絞り込めないことが多くあります。運転者、バイクの保有者、相手車、会社、道路管理者、メーカー、整備業者、国の制度、労災、人身傷害保険などを横断して確認する視点が重要です。
| 請求先または制度 | 主な根拠 | 典型例 | 実務上の入口 |
|---|---|---|---|
| バイクを運転していた人 | 民法709条 | 速度超過、前方不注視、カーブで転倒、車間距離不足 | 運転者本人、運転者の任意保険、バイクの自賠責 |
| バイクの保有者、所有者、管理者 | 自賠法3条 | 親のバイク、会社のバイク、友人から借りたバイク | バイク付保の自賠責、任意保険、所有者側への請求 |
| 相手車両の運転者と保有者 | 民法709条、自賠法3条 | 右直事故、追突、出会い頭、車線変更、巻き込み | 相手車の任意保険、自賠責、本人への請求 |
| 運転者や相手方の使用者 | 民法715条 | 配達中、営業中、会社車両、業務用バイク | 会社、事業主、事業用任意保険 |
| 道路管理者 | 国家賠償法2条など | 陥没、油、危険な段差、標識や防護柵の管理不備 | 国、自治体、道路会社等への請求 |
| 車両メーカー、部品メーカー | 製造物責任法3条など | ブレーキ欠陥、タイヤ欠陥、構造上の欠陥 | メーカー、輸入業者、販売業者への請求 |
| 整備業者、修理業者 | 民法709条など | 整備ミス、ブレーキ整備不良、タイヤ交換不備 | 整備業者、修理工場の賠償保険 |
| 政府保障事業、労災、人身傷害保険 | 自賠法、労災保険法、保険契約 | ひき逃げ、無保険車、業務中、通勤中、家族保険 | 損害保険会社、労基署、加入保険会社 |
同乗者、運転者、保有者、自賠責、二人乗り規制を先に整理します。
同乗者とは、バイクの後部座席に乗っていた人を指します。友人、配偶者、恋人、家族、同僚、子どもなどが含まれます。法的評価では、単に乗せてもらっていたのか、バイクの所有者だったのか、運転者に運転を任せた立場だったのかが重要です。
運転者は、事故時にバイクを運転していた人です。保有者または運行供用者は、車両の運行を支配し、その利益を受ける人や法人をいいます。所有名義だけで常に決まるわけではなく、家族に使わせていた親、従業員に使わせていた会社、レンタルバイク会社、リース会社、配送会社なども問題になり得ます。
自賠責保険は、交通事故被害者の基本的な救済を図る強制保険です。傷害、後遺障害、死亡について一定の限度額があり、傷害は被害者1名につき120万円、死亡は3000万円、後遺障害は等級等に応じて75万円から4000万円などとされています。
任意保険は、自賠責を超える損害、物損、搭乗者傷害、人身傷害、弁護士費用特約などをカバーする民間保険です。バイク側、相手車側、同乗者本人や家族の保険が同時に関係することがあります。
普通自動二輪または大型自動二輪の免許期間が1年未満の場合、人を乗せて運転してはならないとされています。
高速道路等では、20歳未満または二輪免許期間3年未満の運転者は、二人乗りが禁止される場面があります。
首都高速道路の一部区間など、標識により二人乗りが禁止されることがあります。車両が二人乗りに適した構造かも確認対象です。
二人乗りが道路交通法に違反していた場合でも、それだけで同乗者の損害賠償請求権が当然に消えるわけではありません。違反は、行政処分や刑事責任、事故原因の評価、過失割合、過失相殺、保険約款上の争点に影響しますが、運転者や相手方の過失、保有者の責任、保険制度の適用可能性は別に検討されます。
二輪車の運転者には、自らヘルメットを着用する義務だけでなく、同乗者にも着用させる義務があります。ヘルメット未着用は事故そのものの発生原因でなくても、頭部外傷や高次脳機能障害などの損害拡大と関係すると、過失相殺または損害額調整の対象になる可能性があります。
もっとも、未着用なら必ず大幅に減額されるという単純なものではありません。頭部損傷の有無、傷害部位、衝突態様、同乗者の年齢や判断能力、運転者が着用を促したかなどを総合して判断されます。
単独事故、相手車あり、業務中、道路や車両に問題がある事故で見る相手が変わります。
請求先を整理するときは、事故原因を一つに決めつけず、運転操作、車両の保有関係、相手方の過失、業務性、道路環境、車両不具合を順に確認します。以下の判断の流れは、どの相手を候補に入れるかを漏れなく確認するためのものです。
単独転倒、相手車との衝突、業務中、道路や車両不具合の疑い
速度、前方注視、安全確認、飲酒、居眠り、スマートフォン使用など
民法709条、自賠責、任意保険、人身傷害を確認
相手方、道路管理者、メーカー、整備業者を確認
親名義、会社所有、レンタル、業務中、営業中、通勤中
政府保障事業、自分や家族の人身傷害、労災を並行確認
運転者が前方不注視、速度超過、無理な追い越し、急ブレーキ、車間距離不保持、右左折時の安全確認不足、飲酒、居眠り、スマートフォン使用などによって事故を発生させた場合、同乗者は運転者に対して損害賠償請求できる可能性があります。友人、恋人、配偶者、親族であっても、実務上は運転者側の保険会社を通じて解決することが多いです。
単独転倒事故でも、運転者の安全運転義務違反があれば請求の対象になります。相手がいないから誰にも請求できないとは限らず、同乗者から見るとバイク運転者が加害者になることがあります。
自賠法3条では、自己のために自動車を運行の用に供する者が、他人の生命または身体を害したときに賠償責任を負うと定められています。親名義のバイクを子が運転していた、友人のバイクを借りていた、会社所有のバイクで配達中だった、レンタルバイクを利用していたなど、運転者と保有者が違う場合は重要です。
難しいのは、同乗者自身がバイクの所有者または実質的な保有者で、他人に運転させて後部座席に乗っていた場合です。この場合は「他人性」や任意保険の免責が争点になりやすく、所有、運行支配、運行利益、運転の委託関係を細かく確認する必要があります。
乗用車、トラック、タクシー、バス、自転車、別のバイクなどと衝突した場合、同乗者は相手方にも請求できる可能性があります。右直事故、出会い頭事故、車線変更時の見落とし、追突、左折巻き込み、駐車車両のドア開放、タクシーやバスの急な進路変更などが典型です。
バイク運転者と相手車の双方に過失がある場合、同乗者から見ると双方が共同不法行為者になる可能性があります。治療費の支払いをどちらの保険会社が先行するか、過失割合が確定しないまま示談案が出るかなどの調整が起こります。
配達員、営業車、業務用バイク、タクシー、バス、トラックなど、業務中の事故では使用者責任や事業用保険を確認します。
陥没、段差、油、砂利、落下物、防護柵や標識の管理不備などが事故原因なら、国、自治体、道路会社等への請求を検討します。
ブレーキ、タイヤ、サスペンション、シート、タンデムステップ、ヘルメット、整備作業に問題がある場合は車両保全が重要です。
相手が不明または無保険の場合、政府保障事業、自分や家族の人身傷害保険、労災保険などを確認します。
相手が自動車ではなく自転車や歩行者の場合も、相手に過失があれば民法709条に基づく請求が問題になります。ただし、自転車や歩行者側には自賠責保険がないため、個人賠償責任保険、自転車保険、勤務先の保険、学校加入の保険、未成年の場合の親権者の監督責任などを確認します。
同乗者自身が業務中または通勤中に事故に遭った場合、損害賠償請求とは別に労災保険の対象になることがあります。療養補償給付、休業補償給付、障害補償給付、遺族補償給付、傷病補償年金、会社の上乗せ補償、相手方保険との求償や控除関係を整理します。
路面に大きな穴や段差があった、排水不良により水たまりが常態化していた、路面に油・砂利・落下物が放置されていた、ガードレール・防護柵・標識・区画線の管理に問題があった、見通しを妨げる樹木や構造物が放置されていた、工事規制や仮設標識が不十分だった、二輪車が滑りやすい路面補修・鉄板・マンホール配置が問題になった場合は、道路の設置または管理の瑕疵を検討します。
ブレーキ系統の欠陥、タイヤの製造不良や異常摩耗、サスペンションやステアリングの欠陥、燃料漏れ、火災、シート・タンデムステップ・グラブバーの構造上の問題、リコール対象部品、ヘルメットやプロテクターの欠陥、整備後の作業不良などが疑われる場合は、事故車両や部品を処分せず保全する必要があります。
相手が逃げて特定できない、相手車が自賠責保険に加入していない、盗難車で自賠責が使いにくい場合は、政府保障事業が問題になります。事故直後の警察届出、交通事故証明書、目撃者の連絡先、防犯カメラ、現場の破片や塗膜、タイヤ痕、搬送記録、救急隊の活動記録、初診時の診断書、事故直後の症状記録が重要です。
保険会社間の調整に巻き込まれすぎず、資金確保と後遺障害申請の入口を確認します。
自賠責には、被害者が保険会社に直接請求できる被害者請求があります。加害者側の任意保険会社が治療費対応をしない、過失割合で争いがあり支払いが止まっている、運転者が友人で本人同士では請求しにくい、任意保険が未加入または不明、後遺障害申請を被害者側で主導したい、示談前に最低限の資金を確保したい場合に重要です。
自賠責の支払限度額は損害賠償全体の上限ではありません。損害が限度額を超える場合は、任意保険や加害者本人への超過分請求を検討します。
| 制度 | 主な内容 | 確認する場面 |
|---|---|---|
| 自賠責の傷害部分 | 治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料など。被害者1名につき120万円まで。 | 治療費対応が止まる、任意保険が不明、示談前の資金確保が必要。 |
| 後遺障害部分 | 等級に応じて75万円から4000万円。事故との相当因果関係、医学的所見、等級該当性が問題。 | 症状固定後も障害が残る、被害者請求で資料を主導したい。 |
| 死亡部分 | 死亡は3000万円まで。死亡慰謝料、逸失利益、葬儀費用などと関係。 | 死亡事故で相続、近親者固有の慰謝料、刑事手続も同時に進む。 |
| 仮渡金 | 一定の場合、当面の出費に充てるための仮渡金を請求できる制度。 | 重傷で治療費や生活費が急に必要になった。 |
| 政府保障事業 | ひき逃げや無保険車事故で、自賠責に直接請求しにくい場合の救済制度。 | 相手不明、無保険、盗難車など。 |
| 労災保険 | 業務中または通勤中の事故で療養、休業、障害、遺族給付などを検討。 | 勤務中、通勤中、会社の指示で移動中。 |
| 人身傷害保険など | 同乗者本人や家族の保険で治療費や損害を先にカバーできる場合がある。 | 相手保険が動かない、過失割合争いが長引く。 |
自賠責保険の被害者請求は、傷害は事故日の翌日から3年、後遺障害は症状固定日の翌日から3年、死亡は死亡日の翌日から3年と説明されています。民法上の人身損害に関する不法行為の請求権は、被害者または法定代理人が損害および加害者を知った時から5年、または不法行為時から20年で時効にかかるとされています。
時効は完成猶予、更新、示談交渉、訴訟提起などで扱いが複雑です。期限が近い場合は、交渉を続けるだけで安心せず、具体的な期限管理が必要です。
通常、単に後部座席に乗っていた友人、恋人、家族、配偶者、同僚は、事故車両の運行供用者や運転者ではないため、自賠法上の「他人」に当たり得ます。家族であることだけで否定されるわけではありません。
一方で、同乗者がバイク所有者だった、運転経路や運転方法を実質的に支配していた、運転者に運転を命じていた、会社代表者が会社所有バイクの運行を支配していた、運転補助者と評価される行為があった、共同で無謀走行を計画したなどの事情があると慎重な判断が必要です。
好意同乗、違法二人乗り、ヘルメット未着用、危険関与は機械的に判断されません。
同乗者は運転していないため、事故発生について過失がないことも多いです。しかし、同乗者が危険を作り出した、危険を著しく増大させた、危険を認識しながらあえて乗った、損害拡大に関与したといえる事情があると、過失相殺や損害額調整が問題になります。
| 争点 | 問題になりやすい事情 | 確認すべきこと |
|---|---|---|
| ヘルメット未着用 | 頭部外傷、脳挫傷、頭蓋骨骨折、高次脳機能障害との関係。 | 傷害部位、衝突態様、着用義務の履行、同乗者の年齢や判断能力。 |
| 違法二人乗り | 免許期間1年未満、高速道路の年齢・経験要件違反、二人乗り禁止標識。 | 同乗者が違反を知っていたか、知り得たか、未成年か。 |
| 危険関与 | 飲酒、無免許、極度の疲労を知って乗車、速度をあおる、蛇行や競争走行を促す。 | 同乗者の発言、行動、事故前後のメッセージ、目撃証言。 |
| 運転妨害や姿勢 | 走行中に身体やハンドル操作を妨げる、積載物や姿勢で車両バランスを崩す。 | 乗車姿勢、ステップ使用、積載物、車両の損傷位置。 |
| 治療経過 | 事故後の治療を不合理に中断した、通院間隔が空いた。 | 医師の指示、仕事や家庭事情、症状経過、再受診の理由。 |
無償で乗せてもらったこと自体を理由に、機械的に減額する考え方は慎重に扱われます。通常の移動手段として後部座席に乗っただけの場合と、飲酒や無謀走行を知りながら同乗し、さらに危険な速度を促した場合では評価が大きく異なります。
保険会社から同乗者側の過失を主張された場合は、単なる好意同乗を理由にしていないか、ヘルメット未着用と傷害部位の関係があるか、違法二人乗りを同乗者が知っていた証拠があるか、運転者の過失を当然に同乗者へ移していないかを確認します。
傷害、後遺障害、死亡事故で、請求項目と必要資料が変わります。
同乗者が負傷した場合、治療費や慰謝料だけでなく、交通費、休業損害、付添看護費、装備品の損害、将来費用なども検討します。損害賠償は、損害項目、金額、証拠を積み上げる作業です。
| 損害項目 | 内容 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 治療費 | 診察、投薬、手術、入院、リハビリ。 | 医師の診断、治療必要性、通院頻度が重要。 |
| 入院雑費 | 入院中の日用品等。 | 定額で評価されることが多い。 |
| 通院交通費 | 電車、バス、タクシー、自家用車費用。 | タクシーは必要性の説明が必要。 |
| 付添看護費 | 近親者や職業付添人の付添。 | 年齢、症状、医師の指示が重要。 |
| 休業損害 | 仕事を休んだ収入減。 | 給与明細、休業損害証明書、確定申告書を確認。 |
| 傷害慰謝料 | 入通院による精神的苦痛。 | 入通院期間、実通院日数、症状によって変わる。 |
| 物損 | 衣服、ヘルメット、スマートフォンなど。 | 自賠責ではなく相手方や任意保険で検討。 |
| 将来治療費 | 将来の治療、装具交換など。 | 医学的必要性の立証が必要。 |
症状固定後に障害が残る場合、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益、将来介護費、将来治療費、装具費、住宅改造費、車両改造費、家族の付添費や介護負担、職業変更や減収などを検討します。
二輪事故では、高次脳機能障害、脊髄損傷、頭部外傷後のてんかんや認知機能障害、上肢・下肢の関節機能障害、骨折後の変形や短縮障害、神経障害や疼痛、外貌醜状、歯牙障害、顎関節障害、視力・聴力・平衡機能障害、PTSD、不安障害、うつ症状などが問題になりやすいです。
同乗者が死亡した場合、死亡慰謝料、逸失利益、葬儀関係費、死亡までの治療費、入院雑費、付添費、近親者固有の慰謝料、相続人が承継する損害賠償請求権が問題になります。刑事手続、被害者参加、実況見分調書、供述調書、相続、遺族年金、生命保険、労災遺族給付も同時に進むことがあります。
頭痛、吐き気、意識消失、記憶障害、首の痛み、手足のしびれ、胸痛、腹痛、骨盤部痛、めまい、不眠などを軽視しないことが重要です。
医療記録X線、CT、MRI、神経伝導検査などの必要性、骨折線、靱帯損傷、椎間板障害、脳損傷の有無を確認します。
画像検査初診時から症状が一貫しているか、通院間隔が不自然に空いていないか、医師の指示に沿っているかが損害立証に影響します。
注意仕事、家事、学業、睡眠、移動、介護負担への影響を日々の記録として残すと、休業損害や後遺障害の説明に役立ちます。
損害資料バイク事故では、転倒、投げ出し、車両との接触、路面への衝突により、外から見えにくい重傷が生じることがあります。頭痛、吐き気、意識消失、記憶障害、首の痛み、手足のしびれ、背部痛、腰痛、排尿障害、胸痛、息苦しさ、腹痛、内出血の疑い、骨盤部の痛み、手足の変形や腫れ、関節可動域制限、めまい、耳鳴り、視力低下、強い不安、不眠、フラッシュバックなどがあれば、救急科、整形外科、脳神経外科、必要に応じて眼科、耳鼻咽喉科、口腔外科、精神科、リハビリテーション科などで評価を受けます。
接骨院、整骨院、鍼灸、マッサージが症状緩和に役立つ場合もありますが、法律や保険、後遺障害認定の中心資料は通常、医師の診断書、画像、診療録です。医師の診察を受けずに施術だけを続けると、事故との因果関係や後遺障害の立証で不利になることがあります。
事故直後から証拠を残すことで、請求先と損害額の説明がしやすくなります。
二輪事故では、車両が軽いため衝突後の位置が動きやすく、路面痕跡が早く消えることがあります。道路や車両原因が疑われる場合、事故後に補修や廃棄が進むと当時の状態を再現しにくくなります。
交通事故証明書、人身事故扱いへの切替資料、診断書、実況見分調書、供述調書の取得可能性、事故場所や当事者情報を確認します。
現場写真、動画、車両位置、信号、標識、ブレーキ痕、落下物、防犯カメラ、ドライブレコーダー、目撃者情報を残します。
バイク、相手車、ヘルメット、プロテクター、衣服、スマートフォン、修理見積書、整備記録、車検証、自賠責証明書を保全します。
領収書、診療明細、薬局領収書、通院交通費メモ、休業損害証明書、給与明細、源泉徴収票、確定申告書、生活支障メモを集めます。
運転者の操作ミスだけでなく、路面不良、車両不具合、整備ミス、人身傷害、労災を検討します。
バイク側、相手車側、勤務先、道路管理者、メーカー等を候補に入れ、治療と損害立証を進めます。
民法上の請求、自賠責の他人性、任意保険の被保険者範囲、親族免責、運転者限定、他車運転危険補償などを確認します。
違法性があるからといって、保険会社が一方的に支払わないと言い切れるとは限りません。根拠条項と損害との関係を確認します。
学業、進学、就職、成長期の障害、高次脳機能障害、親の付添費、後遺障害の将来評価を確認します。
治療中、後遺障害申請前、過失争いがある段階では、示談を急がないことが大切です。
示談が成立すると、原則としてその事故について追加請求が難しくなります。治療中、症状固定前、後遺障害の有無が未確定の段階で示談すると、後から症状が悪化しても十分な補償を受けられないおそれがあります。
保険会社の提示額は、保険会社の基準や自賠責基準をもとに算定されることがあります。裁判実務で用いられる水準とは差が出ることがあり、死亡事故、後遺障害、長期入通院、休業損害、自営業者、家事従事者、若年者、高齢者の介護費では特に差が問題になり得ます。
| 時期 | 確認すること |
|---|---|
| 事故直後 | 警察通報、救急要請または受診、相手方情報、バイク運転者の免許・保険・車両名義、現場写真、目撃者、防犯カメラ、事故状況メモ。 |
| 治療中 | 診断書、症状の正確な申告、必要な画像検査、通院間隔、領収書、交通費、休業資料、保険会社発言の記録、治療費打ち切りへの対応。 |
| 後遺障害が疑われる場合 | 症状固定時期、後遺障害診断書、画像・検査・神経学的所見、日常生活や仕事・学業への支障、被害者請求か事前認定か、異議申立て。 |
| 示談前 | 請求先の網羅、自賠責・任意保険・人身傷害・労災、過失相殺の理由、後遺障害等級、休業損害・逸失利益・慰謝料の計算根拠、物損や将来費用、弁護士費用特約。 |
骨折、頭部外傷、脊髄損傷、長期入院、後遺障害の可能性、死亡事故、過失割合争い、単独事故での責任否定、二人乗り違反、ヘルメット未着用、飲酒、無免許、同乗者がバイク所有者、無保険やひき逃げ、道路や車両欠陥、治療費打ち切り、休業損害や逸失利益の争い、示談額への疑問がある場合は、資料を整理したうえで専門家に相談する必要性が高まります。
| 相談が重要になりやすい場面 | 確認したい理由 |
|---|---|
| 骨折、頭部外傷、脊髄損傷、長期入院がある | 損害項目が多く、後遺障害や将来費用が問題になりやすい。 |
| 後遺障害が残る可能性がある | 画像、検査、後遺障害診断書、被害者請求の準備が重要になる。 |
| 同乗者が死亡した | 遺族の請求、相続、刑事手続、労災や保険が同時に進む。 |
| バイク運転者と相手車の過失割合が争われている | 保険会社間の調整により治療費や示談が遅れることがある。 |
| 単独事故で運転者や保険会社が責任を否定している | 自賠責の他人性、運転者の過失、道路や車両原因を確認する必要がある。 |
| 二人乗り違反、ヘルメット未着用、飲酒、無免許がある | 過失相殺や保険免責の主張を分解して見る必要がある。 |
| 同乗者がバイク所有者で他人性が問題になりそう | 所有、運行支配、運行利益、任意保険の被保険者範囲を確認する。 |
| 相手が無保険、ひき逃げ、事業者、未成年などである | 政府保障事業、人身傷害、使用者責任、親権者や保険加入状況を検討する。 |
| 道路や車両欠陥が疑われる | 現場や車両が変化する前に証拠保全が必要になる。 |
| 治療費打ち切り、休業損害、逸失利益、示談額で争いがある | 医学資料、収入資料、計算根拠、弁護士費用特約を整理する必要がある。 |
個別事情で結論が変わるため、一般的な制度説明として整理します。
一般的には、運転者に過失があり、その過失で同乗者が負傷した場合、友人であっても民法709条に基づく請求が問題になるとされています。ただし、事故態様、過失、保険契約、当事者の関係によって進め方は変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、同乗者が事故車両の運行供用者や運転者ではなく、自賠法上の「他人」に当たる場合、単独事故でもバイクの自賠責が問題になる可能性があります。ただし、同乗者自身がバイク所有者で運行を支配していた場合などは結論が変わる可能性があります。
一般的には、違法な二人乗りだったことだけで請求権が当然に消えるわけではないと考えられます。ただし、同乗者が違反や危険を知っていたか、事故発生や損害拡大にどの程度関係したかによって、過失相殺や保険上の争点になる可能性があります。
一般的には、頭部外傷など損害拡大との関係がある場合、過失相殺が主張される可能性があります。ただし、傷害部位、事故態様、同乗者の年齢、運転者の着用指示、証拠関係によって評価は変わります。
一般的には、双方に過失がある場合、どちらか一方だけに限定して考える必要はありません。バイク運転者、バイク保有者、相手車運転者、相手車保有者、各保険会社を整理し、損害の回収可能性を検討します。
一般的には、運転者に対する民法上の請求が問題になる可能性があります。一方で、自分のバイクの自賠責に請求できるかは「他人性」が争点になり得ます。所有者、運行支配、運行利益、運転の委託関係を詳しく検討する必要があります。
一般的には、政府保障事業、自分や家族の人身傷害保険、バイク側保険、労災保険などを確認します。ひき逃げでは、警察届出、事故証明、目撃者、防犯カメラ、初診記録が特に重要です。
一般的には、健康保険、労災、自賠責の被害者請求、仮渡金、人身傷害保険を並行して検討します。保険会社間の争いで治療が止まらないよう、資金確保の手段を制度ごとに確認する必要があります。
一般的には、事前認定として保険会社に任せる方法もありますが、同乗者側で資料を主導できる被害者請求が適する場合もあります。画像、診断書、後遺障害診断書、症状経過、仕事や生活への支障を整理する必要があります。
一般的には、自分や同居家族の自動車保険、バイク保険、火災保険、クレジットカード付帯保険などに弁護士費用特約が付いていることがあります。利用可否は保険契約によって変わるため、保険証券や約款を確認する必要があります。
このページの制度説明で参照した公的資料等を整理しています。