2σ Guide

決算短信・四半期開示の
スケジュール

上場会社の開示実務で迷いやすい45日目安、30日以内の早期開示、50日超の理由開示、半期報告書、レビュー、TDnet、社内決裁を一体で整理します。

45日通期・四半期の開示目安
30日通期の望ましい早期開示
50日超通期で理由開示を検討
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決算短信・四半期開示の スケジュール

45日、30日、50日超という目安を、社内決裁・監査・レビュー・投資家対応まで含む開示統制として整理します。

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決算短信・四半期開示の スケジュール
45日、30日、50日超という目安を、社内決裁・監査・レビュー・投資家対応まで含む開示統制として整理します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 決算短信・四半期開示の スケジュール
  • 45日、30日、50日超という目安を、社内決裁・監査・レビュー・投資家対応まで含む開示統制として整理します。

POINT 1

  • 決算短信・四半期開示のスケジュールの全体像
  • 45日、30日、50日超という目安を、社内決裁・監査・レビュー・投資家対応まで含む開示統制として整理します。
  • 決算短信・四半期開示のスケジュールは、上場会社が決算情報を市場へ迅速かつ正確に提供するための企業統治プロセスです。
  • まず、通期と各四半期で何をいつ開示・提出するのかを一覧で押さえることが重要です。
  • どの期間で速報性が重視され、どこで法定開示との整合が必要になるかを読み取ってください。

POINT 2

  • 決算短信・四半期開示のスケジュールで押さえる用語
  • 決算短信、四半期開示、半期報告書、決算内容が定まった時点を分けて理解します。
  • 決算短信
  • 四半期決算短信
  • 半期報告書

POINT 3

  • 決算短信・四半期開示の制度改正で変わったスケジュール管理
  • 1. 第1・第3四半期報告書制度の見直し:上場会社について、金融商品取引法上の第1・第3四半期報告書制度が廃止され、四半期決算短信中心の実務に移行しました。
  • 2. 期中財務諸表に関する会計基準:企業会計基準第37号が公表され、2026年4月以後開始事業年度からの適用に向けた準備が必要になりました。
  • 3. 作成要領・社内手続の更新:更新された作成要領、期中財務諸表、注記事項、キャッシュ・フロー情報、後発事象などを踏まえた工程設計が求められます。

POINT 4

  • 決算短信・四半期開示のスケジュールを支配する3つの時間軸
  • 期末日・四半期末日からの日数
  • 決算内容が定まった時点
  • 監査・レビューの進捗
  • 日数、決算内容確定、監査・レビュー進捗を分けると、開示判断の迷いを減らせます。

POINT 5

  • 通期決算短信のスケジュールと50日超リスク
  • 1. 事業年度終了:単体決算と子会社決算の締めに入ります。
  • 2. 子会社決算・連結パッケージ回収:海外子会社や買収子会社を含め、数値収集と証跡確認を進めます。
  • 3. 主要会計論点と監査人協議:税金計算、減損、引当金、繰延税金資産、後発事象などを確認します。
  • 4. 30日以内の早期開示を目指す時期:早期開示を選ぶ会社では、短信、業績予想、配当、説明資料を前倒しで確定します。
  • 5. 45日以内の開示目安:多くの会社で通期決算短信の開示期限として意識される時期です。
  • 6. 50日超の理由開示が問題となる時期:遅延理由、開示予定時期、投資者への影響、再発防止の方向性を整理します。

POINT 6

  • 第1・第3四半期決算短信のスケジュールとレビュー対応
  • 第1・第3四半期報告書廃止後も、短信開示、45日目安、レビュー要否の確認は残ります。
  • 四半期末後45日以内を目安にしつつ、決算の内容が定まった場合には直ちに開示する設計が必要です。
  • 順番どおりに進むかだけでなく、どこでレビュー要否を確認するかを読み取ってください。
  • 売上、原価、販売費および一般管理費、営業外損益、特別損益を締めます。

POINT 7

  • 第2四半期・中間期の決算短信と半期報告書のスケジュール
  • 主要財務数値
  • 注記・会計方針
  • 継続企業の前提、会計方針の変更、会計上の見積りの変更、修正再表示、重要な後発事象を確認します。

POINT 8

  • 3月決算会社の年間スケジュールで見る決算短信・四半期開示
  • 1. 通期決算短信と年次開示への接続:決算短信、監査対応、有価証券報告書、株主総会 資料、配当関連手続が重なります。
  • 2. 第1四半期決算短信:法定四半期報告書はなくても、短信開示、業績予想修正、レビュー要否を確認します。
  • 3. 中間期の短信と半期報告書:TDnetとEDINETの双方を意識し、短信と半期報告書の整合を確認します。
  • 4. 第3四半期決算短信:年度末見込み、減損兆候、税効果、次期予算との接続を確認します。

まとめ

  • 決算短信・四半期開示の スケジュール
  • 決算短信・四半期開示のスケジュールの全体像:45日、30日、50日超という目安を、社内決裁・監査・レビュー・投資家対応まで含む開示統制として整理します。
  • 決算短信・四半期開示のスケジュールで押さえる用語:決算短信、四半期開示、半期報告書、決算内容が定まった時点を分けて理解します。
  • 決算短信・四半期開示の制度改正で変わったスケジュール管理:2024年4月以後の一本化と、2026年4月以後開始事業年度の作成要領更新を接続して確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

決算短信・四半期開示のスケジュールの全体像

45日、30日、50日超という目安を、社内決裁・監査・レビュー・投資家対応まで含む開示統制として整理します。

決算短信・四半期開示のスケジュールは、上場会社が決算情報を市場へ迅速かつ正確に提供するための企業統治プロセスです。通期、第1四半期、第2四半期または中間期、第3四半期で中心となる文書が異なり、金融商品取引法、取引所規則、会社法、会計基準、監査・レビュー、TDnet実務が重なります。

まず、通期と各四半期で何をいつ開示・提出するのかを一覧で押さえることが重要です。下の比較表は、開示実務で迷いやすい中心文書とタイミングを並べたものです。どの期間で速報性が重視され、どこで法定開示との整合が必要になるかを読み取ってください。

区分実務上の中心文書基本的なタイミング法務・会計上の重要ポイント
通期決算短信決算内容が定まり次第、直ちに開示。期末後45日以内が適当で、30日以内がより望ましい。50日を超える場合は理由等の開示が問題となります。速報性が重視されます。監査完了前でも開示対象となり得ますが、監査人との重要な見解相違がある場合は慎重な検討が必要です。
第1四半期四半期決算短信決算内容が定まり次第、直ちに開示。原則として四半期末後45日以内を目安に設計します。第1・第3四半期報告書は廃止されましたが、取引所規則に基づく開示は継続します。レビューが義務付けられる場合はレビュー完了後の開示が求められます。
第2四半期・中間期第2四半期(中間期)決算短信、半期報告書中間期の決算内容が定まり次第、遅滞なく開示。半期報告書の法定提出期限との整合が重要です。半期報告書が残るため、短信の速報性と法定開示の正確性を接続させます。
第3四半期四半期決算短信第1四半期と同様、決算内容が定まり次第、直ちに開示。四半期末後45日以内を目安に設計します。業績予想修正、減損、税効果、偶発債務、継続企業の前提などに注意します。
年次法定開示有価証券報告書通期決算短信後、法定開示として提出されます。決算短信は法定開示の代替ではありません。監査済財務諸表、ガバナンス、リスク情報との整合が必要です。

この比較表の実務上の意味は、単なる提出期限の暗記ではありません。情報の確定、社内決裁、監査・レビュー、適時開示、インサイダー情報管理、投資家説明、訂正対応までを同じ予定表の中で管理する必要があります。

要点「四半期開示がなくなった」と捉えるのではなく、第1・第3四半期は四半期決算短信、第2四半期・中間期は半期報告書と短信、通期は決算短信と有価証券報告書を接続させる構造として理解します。
Section 01

決算短信・四半期開示のスケジュールで押さえる用語

決算短信、四半期開示、半期報告書、決算内容が定まった時点を分けて理解します。

決算短信とは、上場会社が決算内容を市場へ迅速に知らせるため、金融商品取引所の規則に基づいて開示する資料です。会社法上の計算書類や金融商品取引法上の有価証券報告書・半期報告書と重なる情報を含みますが、制度趣旨、開示タイミング、監査・レビューとの関係、取引所規則上の位置づけは異なります。

四半期開示とは、事業年度を3か月単位に区分し、業績・財政状態・キャッシュ・フロー・注記事項などを市場に示す仕組みです。2024年4月以後、第1・第3四半期の金融商品取引法上の四半期報告書制度は廃止され、取引所規則に基づく四半期決算短信を中心に整理されました。一方、第2四半期に相当する中間期では半期報告書が残ります。

制度改正後の関係を短く比較すると、どの文書が法定開示で、どの文書が取引所規則に基づく速報的な開示なのかが分かります。この違いは、レビュー要否や訂正対応、開示遅延時の説明方法に影響するため、最初に確認しておくべき分類です。

SUMMARY

決算短信

取引所規則に基づく速報的な決算情報です。決算内容が定まった場合、投資者に速やかに知らせる役割を持ちます。

QUARTER

四半期決算短信

第1・第3四半期では中心的な開示資料です。法定四半期報告書が廃止された後も、取引所規則に基づく開示は継続します。

HALF YEAR

半期報告書

金融商品取引法に基づく法定開示書類です。第2四半期・中間期では、短信との整合が重要になります。

決算短信の予定管理で特に重要なのは、「決算の内容が定まった」時点です。期末後45日以内という目安があっても、決算内容が社内で実質的に確定し、投資者に提供すべき情報として開示可能な状態になれば、速やかな開示が求められます。

  • 経理部門による連結パッケージの締切り
  • 子会社・海外子会社の数値確定
  • 税金計算、減損判定、引当金、偶発債務、繰延税金資産の検討
  • 監査人またはレビュー担当監査人との主要論点の協議
  • 開示委員会、経営会議、代表取締役、取締役会等による確認
  • TDnet登録資料の最終確定と公表
Section 02

決算短信・四半期開示の制度改正で変わったスケジュール管理

2024年4月以後の一本化と、2026年4月以後開始事業年度の作成要領更新を接続して確認します。

従前は、上場会社が取引所規則に基づく四半期決算短信と、金融商品取引法に基づく四半期報告書の双方を作成していました。両者には重複する部分が多く、会社の作成負担や投資者にとっての分かりにくさが課題でした。

2024年4月以後は、第1・第3四半期について、金融商品取引法上の四半期報告書から取引所規則上の四半期決算短信を中心とする仕組みに整理されました。下の比較表では、各期間でどの制度と文書が中心になるかを示しています。法定開示が残る中間期と、短信中心の第1・第3四半期を取り違えないことが重要です。

期間改正後の中心的な制度実務上の文書
第1四半期取引所規則四半期決算短信
第2四半期・中間期金融商品取引法および取引所規則半期報告書、第2四半期(中間期)決算短信
第3四半期取引所規則四半期決算短信
通期金融商品取引法、会社法、取引所規則決算短信、有価証券報告書、計算書類等

2026年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度からは、期中財務諸表に関する会計基準の適用が予定されています。東京証券取引所の2026年4月公表版の決算短信・四半期決算短信作成要領も、2026年4月1日以後開始する事業年度の第1四半期より適用される旨が示されています。

制度改正の時系列を押さえると、実務で更新すべき社内規程やチェックリストの優先順位が見えてきます。次の時系列は、制度の切替時点と実務対応の関係を示すもので、2024年改正後の運用を2026年適用の作成要領へつなげて読むことがポイントです。

2024年4月

第1・第3四半期報告書制度の見直し

上場会社について、金融商品取引法上の第1・第3四半期報告書制度が廃止され、四半期決算短信中心の実務に移行しました。

2025年

期中財務諸表に関する会計基準

企業会計基準第37号が公表され、2026年4月以後開始事業年度からの適用に向けた準備が必要になりました。

2026年4月以後開始事業年度

作成要領・社内手続の更新

更新された作成要領、期中財務諸表、注記事項、キャッシュ・フロー情報、後発事象などを踏まえた工程設計が求められます。

企業法務担当者は、決算短信を単なる経理資料ではなく、適時開示義務、金融商品取引法上の虚偽記載リスク、インサイダー取引規制、取締役の善管注意義務、内部統制、投資者対応を含む企業統治上の問題として把握する必要があります。

Section 03

決算短信・四半期開示のスケジュールを支配する3つの時間軸

日数、決算内容確定、監査・レビュー進捗を分けると、開示判断の迷いを減らせます。

決算短信・四半期開示のスケジュールは、単一の期限だけで動きません。期末日からの日数、決算内容が定まった時点、監査・レビューの進捗という3つの時間軸を分けて管理する必要があります。

次の一覧は、3つの時間軸がそれぞれ何を意味し、どこで実務リスクにつながるかを整理したものです。予定表を作るときは、日付だけでなく、情報の確定とレビュー状況を同じ行で確認することが重要です。

期末日・四半期末日からの日数

通期は期末後45日以内が適当で、30日以内がより望ましいとされます。第1・第3四半期も45日以内を目安に設計します。

決算内容が定まった時点

45日以内という目安があっても、決算内容が開示可能な状態になった場合は、社内都合だけで開示を待つことにリスクがあります。

監査・レビューの進捗

通期・中間期の短信は速報性を持ちますが、第1・第3四半期でレビューが義務付けられる場合は、レビュー完了後の開示が求められます。

3つの時間軸の関係は、開示前の決算情報が重要事実またはそれに準じる情報となり得る点で特に重要です。決算内容が定まったにもかかわらず開示しない状態が長引けば、情報管理、役員・従業員の売買管理、投資家との対話、フェア・ディスクロージャー対応のリスクが増えます。

開示判断は、まず決算内容の確定度を確認し、次に監査・レビュー上の未了論点が投資判断に重要かを見ます。下の判断の流れは、日付、確定度、レビュー要否、未了論点を順番に確認するためのものです。分岐の先で、開示時期や注記・説明の要否を読み取ってください。

開示時期を確認する判断の流れ

期末・四半期末からの日数を確認

45日以内、30日以内、50日超の目安をカレンダーに置きます。

決算内容が開示可能な程度に定まったか

数値・注記・主要論点の確定状況を確認します。

定まった
速やかな開示を検討

承認手続とTDnet登録を進めます。

未了論点あり
重要性を判定

投資判断上重要なら、文言、遅延開示、取引所相談を検討します。

Section 04

通期決算短信のスケジュールと50日超リスク

期末後45日以内、30日以内の早期開示、50日超の理由開示を工程に落とし込みます。

通期決算短信は、事業年度終了後、決算の内容が定まった時点で直ちに開示する資料です。東京証券取引所の実務では、期末後45日以内の開示が適当で、期末後30日以内の開示がより望ましいとされています。期末後50日を超える場合には、開示が遅れる理由や今後の開示時期等の説明が必要になります。

通期決算短信の工程は、単体決算、連結、税金計算、監査人協議、注記、社内承認、TDnet登録まで連続します。次の時系列は、3月31日を期末とする会社を例に、どの時期に何を完了させるべきかを示しています。各段階の遅れが45日・50日の判断にどう影響するかを読み取ってください。

3月31日

事業年度終了

単体決算と子会社決算の締めに入ります。

4月上旬

子会社決算・連結パッケージ回収

海外子会社や買収子会社を含め、数値収集と証跡確認を進めます。

4月中旬

主要会計論点と監査人協議

税金計算、減損、引当金、繰延税金資産、後発事象などを確認します。

4月下旬

30日以内の早期開示を目指す時期

早期開示を選ぶ会社では、短信、業績予想、配当、説明資料を前倒しで確定します。

5月中旬

45日以内の開示目安

多くの会社で通期決算短信の開示期限として意識される時期です。

5月下旬以降

50日超の理由開示が問題となる時期

遅延理由、開示予定時期、投資者への影響、再発防止の方向性を整理します。

監査報告書の発行を待たなければ通期決算短信を開示できないわけではありません。ただし、監査人との間で重要な会計処理、継続企業の前提、減損、収益認識、棚卸資産評価、繰延税金資産、関連当事者取引、偶発債務などに見解相違がある場合、後日大幅修正となるリスクがあります。

遅延原因は会社ごとに異なりますが、原因別に見ると、必要な法務・会計対応が変わります。下の表は、典型的な遅延原因と検討事項を対応させたものです。原因を曖昧にせず、どの専門部署を巻き込むべきかを読み取ってください。

原因法務・会計上の検討事項
海外子会社の決算遅延連結決算体制、海外内部統制、現地会計基準との差異
会計不正・不祥事調査第三者委員会、社内調査、証拠保全、訂正報告書、適時開示
監査人との見解相違会計方針、監査意見、限定付意見、不表明リスク
システム障害財務報告内部統制、BCP、サイバーセキュリティ、データ復旧
M&A・組織再編のれん、PPA、減損、連結範囲、取得原価配分
減損・税効果会計将来事業計画、評価性引当額、取締役会資料との整合
訴訟・紛争引当金、偶発債務、専門家確認状、開示範囲
Section 05

第1・第3四半期決算短信のスケジュールとレビュー対応

第1・第3四半期報告書廃止後も、短信開示、45日目安、レビュー要否の確認は残ります。

第1・第3四半期については、金融商品取引法上の四半期報告書制度が廃止された後も、取引所規則に基づく四半期決算短信の開示が求められます。四半期末後45日以内を目安にしつつ、決算の内容が定まった場合には直ちに開示する設計が必要です。

四半期決算短信では、通期ほどの作業量はなくても、業績予想修正、減損兆候、継続企業の前提、訴訟引当、税効果、セグメント変更、重要な子会社異動など、投資判断に直結する論点が発生します。次の一覧は、第1・第3四半期で短期間に処理すべき工程を順番に示しています。順番どおりに進むかだけでなく、どこでレビュー要否を確認するかを読み取ってください。

1

四半期末日と締め

売上、原価、販売費および一般管理費、営業外損益、特別損益を締めます。

数値確定
2

連結と見積り

連結パッケージ回収、税金費用の概算、繰延税金資産、減損兆候、引当金を確認します。

会計論点
3

開示論点

業績予想修正、重要な子会社異動、セグメント変更、継続企業の前提を確認します。

適時開示
4

レビュー要否

義務レビュー、任意レビュー、レビュー前開示とレビュー後再開示の運用を検討します。

レビュー
5

承認とTDnet開示

開示委員会または取締役会等による承認後、遅滞なくTDnetで公表します。

公表

四半期末後45日を超えて開示する見込みとなった場合、開示見込み時期と開示が遅れる理由を速やかに説明する必要があります。会計不正調査、子会社決算の遅れ、監査人との協議、システム障害、災害、サイバー攻撃、M&A後の統合作業、海外法令対応などが典型的な原因です。

レビューの要否は、短信の速報性と財務情報の信頼性を調整する重要な分岐です。次の比較表では、義務レビューと任意レビューで開示の考え方がどう異なるかを整理しています。レビュー完了前に開示できるか、再開示のリスクがどこにあるかを読み取ってください。

レビューの区分開示時期の考え方主なリスク
義務レビューレビュー完了後に四半期決算短信を開示する必要があります。速報性より財務情報の信頼性確保が優先されます。レビュー日程の遅れが開示日程に直結します。
任意レビューレビュー前に開示し、レビュー完了後にレビュー報告書を添付して再度開示する運用も想定されます。レビュー後に数値が変わる場合の訂正・再開示、投資者の誤解、IR資料との不整合に注意します。
レビューなし取引所規則に基づき、決算内容が定まり次第、短信を開示します。監査人との未了論点や重要な見積りがある場合、開示文言と後日修正リスクを検討します。
Section 06

第2四半期・中間期の決算短信と半期報告書のスケジュール

中間期は、短信の速報性と半期報告書の法定開示を同時に管理する特殊な期間です。

第2四半期または中間期は、第1・第3四半期と異なり、金融商品取引法上の半期報告書が関係します。したがって、第2四半期(中間期)決算短信と半期報告書の双方を見ながらスケジュールを組む必要があります。

中間期では、短信を先に開示するのか、半期報告書と同日に近いタイミングで開示するのかによって、速報性と整合性のバランスが変わります。次の比較表は、実務で選ばれ得る3つのパターンを整理したものです。決算内容が定まっていたのに開示を遅らせていないか、半期報告書との不整合がないかを読み取ってください。

パターン内容実務上の注意点
短信を先に開示中間決算内容が定まり次第、短信を開示し、後日半期報告書を提出します。速報性は高い一方、半期報告書との不整合や訂正リスクに注意します。
同日開示・提出半期報告書提出と同日または近接して短信を開示します。整合性は高い一方、決算内容が定まっていたのに開示を遅らせていないか確認が必要です。
半期報告書直前開示法定提出期限に近い時期に短信を開示します。決算内容確定時点、投資者への情報提供、遅延理由の説明可能性を確認します。

半期報告書は法定開示書類であり、虚偽記載があれば行政・刑事・民事上の責任が問題となり得ます。第2四半期(中間期)決算短信は速報性を持ちますが、半期報告書との整合性が必要です。

整合性チェックでは、主要数値だけでなく、注記、リスク情報、MD&A、後発事象まで確認します。次の一覧は、短信と半期報告書で突合すべき代表項目です。どの項目が投資判断や虚偽記載リスクに直結するかを読み取ってください。

主要財務数値

売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する中間純利益、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書を確認します。

注記・会計方針

継続企業の前提、会計方針の変更、会計上の見積りの変更、修正再表示、重要な後発事象を確認します。

将来情報・リスク情報

配当予想、業績予想、セグメント情報、MD&A、事業等のリスクとの整合を確認します。

半期報告書に含まれる中間財務諸表等にはレビューが関係します。一方、第2四半期(中間期)決算短信は速報としての性格を持つため、レビュー完了後でなければ絶対に開示できないという理解は適切ではありません。ただし、レビューで重要な修正が見込まれる場合には、開示時期、記載内容、注記、投資者への説明方法を慎重に検討すべきです。

Section 07

3月決算会社の年間スケジュールで見る決算短信・四半期開示

3月31日決算を例に、通期から第3四半期までの目安と注意点を並べます。

3月31日決算の一般的な内国上場会社では、通期決算短信は5月中旬まで、第1四半期決算短信は8月中旬まで、第2四半期(中間期)決算短信および半期報告書は11月中旬まで、第3四半期決算短信は2月中旬までを基準に設計するのが一つの目安です。ただし、休日、業種、特定事業会社該当性、監査・レビュー、会社の決裁手続により変動します。

年間スケジュールでは、四半期ごとの目安を単独で見るのではなく、取締役会、監査人、TDnet、EDINET、投資家説明の予定を連続した予定として置くことが重要です。次の比較表は、3月決算会社の概念的な年間配置を示します。期末日、開示・提出文書、実務上の注意点のつながりを読み取ってください。

期間期末日主な開示・提出スケジュールの目安実務上の注意点
通期3月31日決算短信5月中旬までを基準に設計。4月末までなら早期開示として望ましい。監査未了でも速報開示があり得ます。50日超の場合は理由等の開示に注意します。
第1四半期6月30日四半期決算短信8月中旬までを基準に設計。法定四半期報告書はありませんが、短信開示は継続します。レビュー要否を確認します。
第2四半期・中間期9月30日第2四半期(中間期)決算短信、半期報告書11月中旬までを基準に設計。半期報告書との整合、中間レビュー、短信先行開示の可否を検討します。
第3四半期12月31日四半期決算短信2月中旬までを基準に設計。年度末見込み、業績予想修正、減損兆候、税効果に注意します。

45日目が休日となる場合や、会社ごとの決算承認手続が異なる場合があるため、「中旬まで」という表現は概念的な目安です。実務では毎年度、取引所資料、金融商品取引法上の提出期限、会社の取締役会日程、監査人の作業日程を個別に確認します。

年間の見え方を時系列にすると、開示の山がいつ来るか、どこで事前準備が不足しやすいかが分かります。下の時系列は、3月決算会社で法務・経理・IRが同じ予定表を見るための整理です。各山の前に、レビュー要否、業績予想修正、ブラックアウト期間を置くことを読み取ってください。

4月から5月

通期決算短信と年次開示への接続

決算短信、監査対応、有価証券報告書、株主総会資料、配当関連手続が重なります。

7月から8月

第1四半期決算短信

法定四半期報告書はなくても、短信開示、業績予想修正、レビュー要否を確認します。

10月から11月

中間期の短信と半期報告書

TDnetとEDINETの双方を意識し、短信と半期報告書の整合を確認します。

1月から2月

第3四半期決算短信

年度末見込み、減損兆候、税効果、次期予算との接続を確認します。

Section 08

TDnet登録と開示ファイルのスケジュール実務

本文資料だけでなく、XBRL、PDF、HTML、英文資料、ウェブ掲載まで工程化します。

TDnetは、東京証券取引所の適時開示情報伝達システムであり、上場会社が決算短信、適時開示資料、訂正開示等を公表するための実務上の中心システムです。決算短信・四半期決算短信の予定を組む際には、本文資料だけでなく、XBRLデータ、PDF、HTML形式の添付資料、会社ウェブサイト掲載、英文資料、決算説明会資料との整合まで含めて工程化する必要があります。

TDnet登録時の確認項目は、資料の表題からXBRL、レビュー報告書、同時開示の順序まで広がります。次の表は、登録直前に確認すべき項目と観点を整理したものです。単なるファイル提出ではなく、投資者が同時に読む資料群の一貫性を読み取ってください。

項目チェック内容
表題「○年○月期 決算短信」「○年○月期 第1四半期決算短信」等の表記が正しいか
会計基準日本基準、IFRS、米国基準等の表記が正しいか
連結・非連結連結決算の有無、連結範囲変更の有無が正しいか
XBRL数値、タグ、単位、期間、符号がPDFと一致しているか
配当配当予想、配当実績、剰余金処分案との整合があるか
業績予想修正の有無、レンジ表記、前回予想との比較が正しいか
注記継続企業の前提、会計方針変更、セグメント、重要な後発事象が適切か
レビュー報告書義務レビュー・任意レビューの有無、添付要否が正しいか
開示時刻取締役会・開示委員会決裁後、遅滞なく登録されるか
同時開示日本語資料、英文資料、ウェブサイト、説明会資料の順序が適切か

多くの上場会社では、決算短信の公表前に取締役会または経営会議で決算内容を承認・確認します。しかし、取締役会の日程が固定されているために開示が不必要に遅れる場合、適時開示の趣旨と緊張関係が生じます。

取締役会・開示委員会との関係は、通常時と緊急時の承認経路を分けて整備することが重要です。下の判断の流れは、決算内容の確定予定日と会議日程がずれる場合に、どの承認経路を使うかを確認するものです。取締役会を待つべき場面と、機動的承認を検討すべき場面を読み取ってください。

決算短信公表前の承認経路

年間開示カレンダーを設定

取締役会、監査役会、監査等委員会、監査人作業日を逆算します。

決算内容確定日と取締役会日が整合するか

実質的に確定した情報を会議都合だけで待たせないか確認します。

整合する
通常承認で公表

取締役会等で確認後、TDnet登録へ進みます。

ずれる
臨時承認を検討

代表取締役、CFO、開示委員会による承認経路を使えるか確認します。

Section 10

会計・監査・内部統制から見る決算短信・四半期開示の遅延要因

見積り、J-SOX、監査人コミュニケーションを早期に管理します。

四半期開示では、短期間で会計上の見積りを行う必要があります。減損損失、棚卸資産評価損、貸倒引当金、製品保証引当金、訴訟損失引当金、退職給付債務、繰延税金資産の回収可能性、のれんの評価、収益認識の見積り、工事進行基準・一定期間にわたり充足される履行義務などがスケジュールに大きく影響します。

内部統制の観点では、決算短信・四半期開示が毎期遅延する会社では、財務報告に係る内部統制の設計・運用に問題がある可能性があります。次の表は、J-SOX対応で確認すべき統制領域と項目を整理しています。遅延が単なる繁忙ではなく、統制不備の兆候になっていないかを読み取ってください。

統制領域確認項目
決算締め締切日、承認者、証憑、仕訳承認
連結決算子会社パッケージ、連結調整、内部取引消去
開示統制決算短信作成、レビュー、承認、TDnet登録
IT統制会計システム、権限管理、ログ、障害対応
子会社管理海外子会社、買収子会社、非連結子会社の情報収集
監査対応監査人への資料提出、論点管理、回答期限

監査人とのコミュニケーションを軽視すると、開示後の重要な修正、訂正開示、投資家説明、信用低下、内部統制不備の問題につながります。決算短信公表前には、重要な会計処理の見解相違、監査・レビューで重要な未了手続、後発事象、継続企業の前提、注記方針、内部統制上の重要な不備、開示後修正の可能性を協議しておくことが望まれます。

会計上の見積りは、単なる経理処理ではなく、経営判断と密接に結びつきます。次の一覧は、決算短信の予定に影響しやすい見積り項目をまとめたものです。どの項目が取締役会資料、事業計画、金融機関説明資料と整合すべきかを読み取ってください。

損失・評価に関わる見積り

減損損失、棚卸資産評価損、貸倒引当金、訴訟損失引当金、のれん評価は、後日修正の影響が大きくなりやすい項目です。

税金・将来計画に関わる見積り

税金計算、繰延税金資産の回収可能性、将来事業計画、資金繰り計画との整合を確認します。

収益認識・履行義務

収益認識の見積り、一定期間にわたり充足される履行義務、工事進行基準に関する判断を確認します。

Section 11

決算短信・四半期開示を支える役割分担

単一部門ではなく、代表取締役、CFO、取締役会、経理、IR、法務、監査人が連携します。

決算短信・四半期開示のスケジュールは、単一部門だけで完結しません。専門家・実務担当者の役割分担を明確にすることで、遅延、誤記、法令違反、投資者対応ミスを予防できます。

次の表は、決算短信・四半期開示に関わる主な関係者と役割を整理したものです。どの部署が最終責任を持ち、どの部署が証跡や整合性を支えるのかを読み取ってください。

関係者主な役割
代表取締役・CFO決算内容、開示方針、業績予想、投資家説明の最終責任
取締役会決算承認、配当、重要会計論点、ガバナンス上の監督
監査役・監査等委員取締役の職務執行、会計監査人との連携、開示プロセスの監視
経理・財務部門決算数値、財務諸表、注記、XBRL、監査対応
IR部門投資家説明、決算説明資料、想定問答、英文開示
法務部門適時開示、インサイダー情報管理、取締役会、契約・訴訟リスク
商事法務担当取締役会議事録、株主総会、配当決議、会社法書類との整合
内部統制担当決算・開示プロセスの統制、J-SOX、証跡管理
内部監査部門決算プロセス、子会社管理、開示統制の点検
企業内弁護士社内意思決定に近い立場での法的リスク判断
外部弁護士適時開示、不祥事、金融商品取引法、訴訟、当局対応の助言
公認会計士・監査人監査・レビュー、会計処理、財務諸表の信頼性確保
税理士税金計算、税効果、組織再編税制、税務調査リスク
司法書士配当、資本政策、役員変更、登記実務との接続
フォレンジック専門家不正会計、データ保全、内部調査、証拠分析

役割分担を実効化するためには、年間開示カレンダー、RACI表、決裁権限表、緊急時連絡網、開示チェックリストを整備します。単に名前を並べるだけでなく、誰が期限を持ち、誰が最終確認し、誰が代替担当になるかを明確にする必要があります。

Section 12

決算短信・四半期開示の遅延・訂正・不祥事対応

遅延が判明した時点で、原因、数値影響、取引所相談、売買制限を同時に確認します。

決算短信・四半期開示が予定どおり実施できない可能性がある場合、初動が極めて重要です。会社は、原因を把握し、社内外の関係者と連携し、投資者に必要な情報を適時に提供する必要があります。

遅延が判明した時点では、原因調査と開示判断を並行して進めます。下の判断の流れは、初動で確認すべき項目を順番に並べたものです。遅延理由の説明、業績予想修正、自社株売買制限、取引所相談を同じ初動の中で確認することを読み取ってください。

遅延が見込まれる場合の初動

原因を分類

会計処理、監査、システム、子会社、法務、不祥事のいずれかを確認します。

決算数値への影響を確認

業績予想修正、特別損失、訂正の要否を確認します。

関係者の見解を集約

監査人、レビュー担当監査人、取引所、法務、IR、経営陣の認識をそろえます。

重要影響あり
遅延理由開示を検討

開示予定時期、投資者への影響、再発防止の方向性を整理します。

影響限定的
開示予定を再調整

証跡を残し、社内承認とTDnet登録の予定を更新します。

訂正開示では、単純な誤記と、会計処理・収益認識・減損・税効果・引当金等に関する重要な修正を分けて対応します。訂正の原因、訂正箇所、訂正前後の数値、業績予想への影響、過年度財務諸表への影響、内部統制上の不備の有無、監査人との協議状況、再発防止策を整理します。

不適切会計や不祥事が疑われる場合は、通常の決算スケジュールとは異なる危機対応になります。次の一覧は、その場面で必要になりやすい対応を並べたものです。開示を遅らせるかどうかだけではなく、証拠保全、監査人対応、過年度訂正、責任追及まで視野に入れることを読み取ってください。

調査・証拠保全

社内調査または第三者委員会、デジタルフォレンジック、関係資料の保全を検討します。

開示・当局対応

監査人への報告、取引所への相談、適時開示文書、訂正報告書対応を整理します。

再発防止・説明

役職員の責任追及、再発防止策、株主・投資家・金融機関への説明を準備します。

Section 13

決算短信・四半期開示スケジュールの実務チェックリスト

年間カレンダー、公表前、公表後の3段階で確認します。

決算短信・四半期開示の予定は、年間カレンダー作成時、公表前、公表後で確認すべき事項が変わります。チェックリストを段階別に分けることで、期限管理、品質管理、投資家対応を同時に進めやすくなります。

年間カレンダー作成時の確認事項は、45日目の計算だけでは足りません。取締役会、監査人、海外子会社、英文開示、業績予想修正、ブラックアウト期間を同じ予定表に置く必要があります。次の一覧は、開示予定を組む前に確認すべき項目です。抜けがあると後工程で遅延につながる項目を読み取ってください。

A

年間カレンダー作成時

事業年度末、四半期末、中間期末を起点に45日目を算出し、休日の取扱い、30日以内開示の方針、取締役会、監査人日程、海外子会社締切、英文開示、業績予想修正判定日、ブラックアウト期間を設定します。

計画
B

公表前

決算数値とXBRL、短信本文、サマリー、説明会資料、配当、業績予想、減損、税効果、引当金、偶発債務、継続企業の前提、監査人論点、別途開示事項、自社株売買制限、TDnet登録時刻を確認します。

直前確認
C

公表後

TDnetでの公表、会社ウェブサイト掲載、英文資料との整合、投資家・アナリスト対応、誤記・訂正、株価・出来高の異常変動、監査・レビュー継続論点、次回開示への改善点を確認します。

公表後

特に公表前チェックでは、短信と説明会資料が別々に作られ、数値や表現がずれるリスクがあります。IR資料、ウェブ掲載資料、想定問答まで含めて、同じマスター数値と同じ前提で管理することが望まれます。

Section 14

決算短信・四半期開示のモデル・スケジュール

D+1からD+45までの工程を、通期、第1・第3四半期、中間期に分けて設計します。

モデル・スケジュールを作るときは、D+1からD+45までを単純に均等配分するのではなく、数値確定、監査・レビュー、開示文書作成、社内承認、TDnetまたはEDINET対応の順に工程を置きます。通期、第1・第3四半期、中間期では作業の重さが異なります。

通期決算短信のモデルでは、単体決算から連結、税金計算、短信ドラフト、社内レビュー、承認、公表までを45日以内に収めます。次の表は、D+45を基準にした工程の例です。早期開示を目指す場合は、どの工程を前倒しすべきかを読み取ってください。

期末後日数主担当作業
D+1〜D+5経理単体決算締め、子会社パッケージ依頼
D+6〜D+15経理・子会社連結パッケージ回収、連結調整
D+16〜D+22経理・税務・監査人税金計算、減損、引当金、主要会計論点協議
D+23〜D+28経理・IR・法務決算短信ドラフト、業績予想、配当、注記確認
D+29〜D+35開示委員会・役員社内レビュー、取締役会資料、想定問答
D+36〜D+45取締役会・TDnet担当承認、公表、投資家対応

第1・第3四半期では、通期より短い工程で数値確定、見積り、業績予想修正、レビュー要否を確認します。次の表は、四半期末後45日以内に開示するための工程例です。レビューが義務付けられる場合は、D+26以降の作業が開示日の制約になることを読み取ってください。

四半期末後日数主担当作業
D+1〜D+7経理四半期締め、子会社数値収集
D+8〜D+18経理連結決算、税金費用、主要見積り
D+19〜D+25経理・法務・IR四半期短信作成、業績予想修正要否確認
D+26〜D+35監査人・レビュー担当者レビュー要否確認、任意レビューまたは義務レビュー対応
D+36〜D+45開示委員会・TDnet担当社内承認、公表

第2四半期・中間期では、短信だけでなく半期報告書の提出があるため、TDnetとEDINETの双方を意識した工程管理が必要です。次の表は、中間期末後45日以内を意識した工程例です。短信ドラフトと半期報告書ドラフトの整合を同じ時期に確認することを読み取ってください。

中間期末後日数主担当作業
D+1〜D+10経理中間決算締め、子会社パッケージ回収
D+11〜D+25経理・監査人中間財務諸表、レビュー対応、注記作成
D+26〜D+35経理・法務・IR第2四半期(中間期)決算短信、半期報告書ドラフト整合
D+36〜D+45役員・TDnet・EDINET担当短信開示、半期報告書提出
Section 15

企業規模・業種別に変わる決算短信・四半期開示の留意点

グローバル企業、M&A頻度が高い会社、規制業種、上場準備会社では、追加工程が必要です。

決算短信・四半期開示の基本構造は共通していても、会社の規模、業種、海外展開、M&Aの頻度、上場準備の段階によって、スケジュール上の制約は大きく変わります。一般的な内国上場会社の目安をそのまま当てはめず、自社の追加工程を洗い出す必要があります。

次の一覧は、企業規模・業種別に予定が遅れやすい要素を整理したものです。自社に当てはまる類型を見つけ、45日以内の開示予定に何を追加すべきかを読み取ってください。

GLOBAL

グローバル企業

海外子会社を多数有する会社では、時差、現地会計基準、現地監査、為替換算、税制、連結パッケージ品質が影響します。グローバル決算カレンダーの統一が重要です。

M&A

M&Aを頻繁に行う会社

買収直後の会社では、PPA、のれん、連結範囲、内部取引消去、会計方針統一、減損兆候、取得関連費用が問題になります。

REGULATED

金融・保険・規制業種

銀行、保険、証券、信託等では、業法上の報告、監督当局対応、自己資本比率、ソルベンシー、金融規制上の開示が関係する場合があります。

IPO

スタートアップ・上場準備会社

上場後の開示スケジュールに耐えられる月次決算、連結決算、開示統制、内部統制、監査対応、取締役会資料、予算実績管理を上場前から整備します。

規制業種では、一般事業会社と異なる様式や報告が関係する場合があります。また、上場準備会社では、上場直前に急いで開示体制を整えようとしても、月次決算や内部統制が追いつかないことがあります。制度の表面だけでなく、社内の意思決定と証跡管理まで早期に設計することが重要です。

Section 16

専門家が見る決算短信・四半期開示の高度論点

速報性と正確性、取締役会決議日、監査人協議、決算説明資料の整合を検討します。

決算短信制度の核心は、速報性と正確性のバランスです。速報性を過度に重視すれば、後日訂正や投資者誤認のリスクが高まります。正確性を過度に重視して開示を遅らせれば、市場の情報格差が拡大し、適時開示の趣旨を損ないます。

高度論点では、形式的な期限だけでなく、開示判断の前提を取締役会が理解しているか、未了の監査・レビュー手続が数値変更につながり得るか、決算説明資料と短信が整合しているかを見ます。次の比較表は、監査人との協議中の論点を重要度別に整理したものです。軽微な補正と、投資判断や監査意見に影響し得る論点を区別して読み取ってください。

分類開示判断への影響
軽微な表示・注記誤字、科目名、軽微な注記補正開示を妨げないことが多い
重要性の低い数値修正金額的重要性が低い仕訳修正影響を確認し、必要に応じて反映
投資判断上重要な数値修正減損、税効果、引当金、売上認識開示時期・文言を慎重に検討
監査意見に影響し得る論点継続企業の前提、内部統制重大不備、不正会計法務・監査人・取引所との協議が必要

取締役会決議日と決算内容確定日がずれる場合も、重要な論点です。取締役会の数日前に決算内容が実質的に定まっているのに、会議日程だけを理由に開示を待つことが適時開示上許容されるかを検討する必要があります。

決算説明資料は、投資家理解を補助する資料ですが、投資者は決算短信と一体として読むことがあります。次の重要ポイントは、短信と説明資料の整合を確認する理由を示しています。正式な開示資料だけでなく、説明会資料や質疑応答まで同じ情報統制に置くことを読み取ってください。

決算説明資料も開示統制の対象に置く

決算短信と異なる数値、過度に楽観的な表現、未公表の重要情報、不正確なKPIが説明資料に含まれると、法務リスクが生じます。Non-GAAP指標やKPIの定義、将来見通しの前提、個別投資家への情報提供範囲を確認します。

Section 17

決算短信・四半期開示のスケジュールに関するFAQ

制度改正、45日ルール、レビュー、遅延対応など、実務で迷いやすい質問を一般情報として整理します。

四半期報告書は完全に廃止されたのですか。

一般的には、第1・第3四半期について、上場会社の金融商品取引法上の四半期報告書制度は廃止され、取引所規則に基づく四半期決算短信を中心とする仕組みに整理されたとされています。ただし、第2四半期に相当する中間期については半期報告書という法定開示が残ります。具体的な開示義務や提出期限は、会社の属性や最新規則によって変わる可能性があるため、専門家へ確認する必要があります。

第1・第3四半期決算短信は任意開示ですか。

一般的には、上場会社については取引所規則に基づく開示が求められるとされています。金融商品取引法上の第1・第3四半期報告書が廃止されたことと、四半期決算短信が任意になることは同じではありません。ただし、レビュー要否や記載内容は状況により異なるため、具体的な対応は規則と専門家の確認が必要です。

通期決算短信は監査完了後でなければ開示できませんか。

一般的には、通期決算短信は法定開示に先立つ速報としての性格を有するため、監査完了後でなければ開示できないものではないとされています。ただし、監査人との重要な見解相違や後日大幅修正の可能性がある場合には、開示時期、記載内容、注記、投資者説明を慎重に検討する必要があります。

第1・第3四半期決算短信はレビューを受ける必要がありますか。

一般的には、レビューは任意とされています。ただし、財務諸表の信頼性確保の観点から一定の場合にはレビューが義務付けられ、レビュー完了後に四半期決算短信を開示する必要があります。任意レビューを採用するか、レビュー前開示とレビュー後再開示を行うかは、会社の状況により検討が必要です。

決算短信の45日ルールとは何ですか。

一般的には、通期決算短信について期末後45日以内の開示が適当であり、30日以内の開示がより望ましいとされています。第1・第3四半期決算短信についても、四半期末後45日以内を基本にスケジュールを設計する必要があります。ただし、決算内容が定まった場合には直ちに開示すべきであり、45日まで待ってよいという意味ではありません。

決算短信が遅れる場合、何を開示すべきですか。

一般的には、通期決算短信が期末後50日を超える場合、または第1・第3四半期決算短信が四半期末後45日を超える場合には、遅延理由、今後の開示予定時期、必要に応じて投資者への影響を説明する開示が必要となる可能性があります。具体的な文言や開示時期は、取引所、監査人、法務・IR、専門家と確認する必要があります。

非上場会社にも決算短信は必要ですか。

一般的には、決算短信は上場会社の取引所規則に基づく開示資料とされています。非上場会社には通常、東京証券取引所の決算短信開示義務はありません。ただし、社債発行会社、金融商品取引法上の継続開示会社、金融機関との契約上の報告義務、親会社・投資家への報告義務がある場合には、別途のスケジュール管理が問題となる可能性があります。

3月決算会社の場合、いつ開示するのが目安ですか。

一般的には、通期決算短信は5月中旬まで、第1四半期決算短信は8月中旬まで、第2四半期(中間期)決算短信および半期報告書は11月中旬まで、第3四半期決算短信は2月中旬までを基準に設計すると整理されます。ただし、休日、業種、特定事業会社該当性、監査・レビュー、会社の決裁手続によって変動するため、毎年度確認する必要があります。

Section 18

決算短信・四半期開示のスケジュール管理のまとめ

日付管理ではなく、市場へ迅速かつ正確に情報を届ける開示統制として設計します。

決算短信・四半期開示のスケジュールは、単なる日付管理ではありません。上場会社が、市場に対して、迅速かつ正確に決算情報を提供するための企業統治プロセスです。

現在の制度では、第1・第3四半期の金融商品取引法上の四半期報告書は廃止され、取引所規則に基づく四半期決算短信を中心とする仕組みとなりました。一方、第2四半期・中間期については半期報告書が残り、通期については決算短信と有価証券報告書が接続します。実務上は、短信、半期報告書、有価証券報告書、監査・レビュー、TDnet、EDINET、社内決裁、投資家対応を一体で管理しなければなりません。

最後に、実務上採るべき基本方針を3つに整理します。下の重要ポイントは、社内規程、年間カレンダー、開示統制をどの方向で整備すべきかを示しています。日付の目安を、実際に動く社内プロセスへ落とし込むことを読み取ってください。

45日・50日の目安を社内プロセスに変換する

決算内容が定まったら直ちに開示する原則を社内規程へ落とし込み、45日・50日等の目安を監査・レビュー、取締役会、TDnet、投資家説明を含む年間カレンダーに具体化します。

法務、経理、IR、内部統制、監査人、外部専門家が共同で、遅延・訂正・不祥事対応まで含めた開示統制を構築することが、会社の信用、資本市場へのアクセス、取締役の責任管理、企業価値の維持向上に直結します。

Reference

決算短信・四半期開示の参考資料

  • 日本取引所グループ「決算短信作成要領・四半期決算短信作成要領」
  • 東京証券取引所「決算短信・四半期決算短信 作成要領等」
  • 日本取引所グループ「FAQ 決算短信等」
  • 東京証券取引所「四半期開示の見直しに関する東証の開示制度について」
  • 金融庁「金融商品取引法等の一部を改正する法律に係る政令・内閣府令等の公布について」
  • 金融庁「四半期レビュー基準の期中レビュー基準への改訂等に関する解説」
  • 企業会計基準委員会「企業会計基準第37号 期中財務諸表に関する会計基準」