2σ Guide

ハラスメント加害者への
求償権行使の可否

企業が被害者へ賠償金・解決金・和解金を支払った後、加害者個人へどこまで内部負担を求められるのかを、判例、支払原因、証拠、規程、ガバナンスの順に整理します。

715条 民法上の求償根拠
2判例 公平分担の基本原理
3視点 原因・範囲・手続
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ハラスメント加害者への 求償権行使の可否

会社が先に支払った金銭を、加害者個人へどの範囲で請求できるかを整理します。

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ハラスメント加害者への 求償権行使の可否
会社が先に支払った金銭を、加害者個人へどの範囲で請求できるかを整理します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • ハラスメント加害者への 求償権行使の可否
  • 会社が先に支払った金銭を、加害者個人へどの範囲で請求できるかを整理します。

POINT 1

  • ハラスメント加害者への求償権行使の全体像
  • 会社が先に支払った金銭を、加害者個人へどの範囲で請求できるかを整理します。
  • 支払原因を特定する
  • 内部負担を評価する
  • 行使手続を設計する

POINT 2

  • ハラスメント加害者への求償権行使で押さえる用語
  • 求償、行為者認定、各種ハラスメントの法的な位置づけを確認します。
  • ハラスメント加害者
  • 職場のハラスメント類型
  • 求償権とは、ある者が本来他人も負担すべき債務や損害を支払った場合に、その内部的負担部分について償還を求める権利をいいます。

POINT 3

  • ハラスメント加害者への求償権行使を支える法的根拠
  • 加害者本人の不法行為責任、会社の使用者責任、安全配慮義務、共同不法行為を分けて見ます。
  • 加害者個人の不法行為責任
  • 会社の使用者責任
  • 会社の安全配慮義務と職場環境配慮義務

POINT 4

  • 最高裁判例から見るハラスメント加害者への求償権行使の限界
  • 損害の公平な分担という基準を、ハラスメント事案へ読み替えます。
  • 昭和51年最高裁判決の意義
  • 令和2年最高裁判決の意義
  • ハラスメント事案への適用

POINT 5

  • ハラスメント加害者への求償権行使はどこまで可能か
  • 可能性あり、ただし全額当然ではない、という結論を実務に落とし込みます。
  • 法的には求償可能性がある
  • 全額求償が当然に認められるわけではない
  • 会社の独自責任部分は転嫁しにくい

POINT 6

  • ハラスメント加害者への求償権行使の判断基準
  • 1. 支払原因の特定:判決、和解、解決金、医療費、休業補償、調査費を分類する
  • 2. 加害行為の評価:故意性、反復性、権限濫用、証拠隠滅、報復性を確認する
  • 3. 会社側の帰責性:相談体制、研修、調査、被害者保護、再発防止の不備を検討する
  • 4. 請求額を抑える:会社固有責任や政策的支払を除外する
  • 5. 相当額を算定する:証拠と資料で内部負担部分を説明する

POINT 7

  • ハラスメント加害者への求償権行使を類型別に考える
  • 上司によるパワーハラスメント
  • 管理職性は個人責任を強める一方、会社の選任・教育・監督責任も強めます。
  • 同僚間のいじめ・集団的嫌がらせ
  • 全員へ同額請求すると、証拠面も社内秩序面も不安定になり得ます。

POINT 8

  • ハラスメント加害者への求償割合と金額相当性
  • 固定割合ではなく、故意性、管理職性、会社の支払額を総合評価します。
  • 故意性は重要だが万能ではない
  • 管理職性は両方向に働く
  • 会社の支払額が妥当か

まとめ

  • ハラスメント加害者への 求償権行使の可否
  • ハラスメント加害者への求償権行使の全体像:会社が先に支払った金銭を、加害者個人へどの範囲で請求できるかを整理します。
  • ハラスメント加害者への求償権行使で押さえる用語:求償、行為者認定、各種ハラスメントの法的な位置づけを確認します。
  • ハラスメント加害者への求償権行使を支える法的根拠:加害者本人の不法行為責任、会社の使用者責任、安全配慮義務、共同不法行為を分けて見ます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

ハラスメント加害者への求償権行使の全体像

会社が先に支払った金銭を、加害者個人へどの範囲で請求できるかを整理します。

企業がハラスメント被害者に損害賠償金、解決金、和解金、休職補償、医療費相当額などを支払った場合、加害者個人に対する求償権行使が問題になります。一般的には、求償または損害賠償請求の可能性はあります。ただし、常に全額請求できるものではありません。

民法715条3項は、使用者または監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げないとしています。他方で最高裁判例は、使用者から被用者への請求について、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度に制限され得ると示しています。

次の三つの項目は、求償判断の入口を表します。重要なのは、請求可能性を一つの問いで終わらせず、支払原因、内部負担部分、実際の行使方法を分けて検討することです。読み取るべき点は、会社が支払った金額と加害者が最終的に負担すべき金額が必ずしも一致しないということです。

Step 01

支払原因を特定する

判決、裁判上の和解、裁判外の解決金、医療費、休業補償、調査費など、会社が何に対して支払ったのかを分けます。

Step 02

内部負担を評価する

加害者の故意性・悪質性と、会社の相談体制、調査、再発防止の不備を対比して、加害者が負担すべき範囲を考えます。

Step 03

行使手続を設計する

証拠、弁明機会、和解条項、給与控除禁止、保険、取締役会報告、被害者保護を整えたうえで請求方法を選びます。

要点ハラスメント加害者への求償権行使は、被害者救済や再発防止の代替ではありません。金銭請求と並行して、組織としての調査、保護、教育、制度改善を続ける必要があります。
Section 01

ハラスメント加害者への求償権行使で押さえる用語

求償、行為者認定、各種ハラスメントの法的な位置づけを確認します。

求償権

求償権とは、ある者が本来他人も負担すべき債務や損害を支払った場合に、その内部的負担部分について償還を求める権利をいいます。ハラスメント事案では、会社が被害者に賠償または和解金を支払い、その後、加害者個人に全部または一部の負担を求める場面が典型です。

企業実務で求償と呼ばれていても、法的根拠は一つではありません。民法715条3項に基づく使用者から被用者への求償、共同不法行為者間の内部負担、労働契約上の誠実義務違反を理由とする損害賠償請求、役員の任務懈怠責任に基づく請求などが混在します。

ハラスメント加害者

ここでいうハラスメント加害者とは、単に申告された者ではなく、適正な事実調査、弁明機会、証拠評価を経て、違法または就業規則違反のハラスメント行為をしたと認定される者を指します。社内調査段階では、行為者、被申告者などの中立的表現を用い、最終認定前に断定しない運用が望まれます。

職場のハラスメント類型

職場におけるパワーハラスメントは、優越的な関係を背景とした言動で、業務上必要かつ相当な範囲を超え、労働者の就業環境を害するものと整理されています。客観的にみて業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は、パワーハラスメントには該当しないとされています。

セクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント、育児・介護休業等に関するハラスメントについても、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法に基づき、事業主に雇用管理上必要な措置が求められます。方針の明確化、相談体制、迅速な対応、プライバシー保護、不利益取扱いの禁止が重要です。

Section 02

ハラスメント加害者への求償権行使を支える法的根拠

加害者本人の不法行為責任、会社の使用者責任、安全配慮義務、共同不法行為を分けて見ます。

加害者個人の不法行為責任

ハラスメント行為が、人格権、名誉感情、性的自由、身体の安全、プライバシー、働きやすい職場環境に関する利益を侵害する場合、加害者個人は民法709条に基づく不法行為責任を負う可能性があります。求償権行使の出発点は、加害者本人に直接の違法行為があるかです。

加害者本人の不法行為が成立しない場合、会社が被害者に見舞金や環境調整金を支払っても、その全額を加害者に求償することは困難です。支払の名目だけでなく、行為と損害との相当因果関係が必要です。

会社の使用者責任

民法715条1項は、事業のために他人を使用する者が、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負うと定めます。同条3項は、使用者または監督者から被用者に対する求償権行使を妨げないとしています。

職場ハラスメントでは、加害者が上司、同僚、管理職であり、地位、指揮命令、評価権限、職場内コミュニケーションを利用して被害を発生させた場合、事業の執行との関連が認められやすくなります。勤務時間外や私的連絡手段であっても、業務上の関係性や優越関係を背景にしていれば、企業責任が問題となり得ます。

会社の安全配慮義務と職場環境配慮義務

労働契約法5条は、使用者が労働契約に伴い、労働者の生命、身体等の安全を確保しつつ労働できるよう必要な配慮をするものと定めます。ここでいう安全には心身の健康が含まれると説明されています。

会社が相談体制の不備、放置、調査遅延、被害者保護の欠如、再発防止措置の不足を理由として責任を負う場合、その会社独自の責任部分は加害者への求償範囲を考えるうえで重要です。会社固有の負担まで加害者へ転嫁できるとは限りません。

共同不法行為と内部負担

複数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自が連帯して損害を賠償する責任を負います。会社と加害者が被害者に対して連帯的に責任を負う場合、外部関係では被害者保護が重視され、内部関係では最終的な負担割合を別途判断します。

Section 03

最高裁判例から見るハラスメント加害者への求償権行使の限界

損害の公平な分担という基準を、ハラスメント事案へ読み替えます。

昭和51年最高裁判決の意義

最高裁昭和51年7月8日判決、いわゆる茨城石炭商事事件は、使用者が被用者の加害行為により直接損害を被った場合や、使用者として損害賠償責任を負担した場合でも、使用者は諸般の事情に照らし、損害の公平な分担という見地から信義則上相当と認められる限度で、被用者に請求できるとしました。

次の比較表は、同判決の考慮要素をハラスメント事案へ置き換えたものです。重要なのは、加害者の行為だけでなく、会社の予防・相談・調査・損失分散も同時に評価される点です。読み取るべき点は、会社側の体制が弱いほど、加害者への転嫁範囲が狭まり得ることです。

考慮要素ハラスメント事案での読み替え
事業の性格、規模、施設の状況企業規模、管理職階層、相談窓口、内部通報制度、職場構造、リモート環境
被用者の業務内容、労働条件、勤務態度加害者の職位、権限、賃金、管理職性、過去の懲戒歴、研修受講歴
加害行為の態様故意性、反復性、悪質性、性的侵害、暴力、人格否定、報復性、隠蔽
予防または損失分散への配慮研修、規程、相談窓口、通報対応、配置転換、保険、被害者支援
その他諸般の事情和解の合理性、証拠の明確性、会社の黙認、被害者の損害拡大、再発防止

令和2年最高裁判決の意義

最高裁令和2年2月28日判決は、被用者が使用者の事業の執行について第三者に損害を加え、その損害を賠償した場合に、被用者が使用者に対して求償できるかを判断しました。最高裁は、使用者責任の趣旨を、利益享受と危険創出に着目した損害の公平な分担に求めました。

この判決は、直接には被用者から使用者への逆方向の求償を認めたものです。しかし、使用者と被用者の内部負担は、支払った順番ではなく、損害の公平な分担という同一の基準で考えるべきことを確認した点で重要です。

ハラスメント事案への適用

交通事故型の過失事案では、業務遂行に伴う通常リスク、保険加入可能性、労働者の賃金水準、使用者の危険分散能力が重視されます。これに対し、ハラスメント事案では、人格権侵害、権限濫用、故意または重大な過失、会社の予防・相談対応・再発防止、被害者保護が中心になります。

判例の読み方会社が先に支払ったという形式だけで、加害者に全額転嫁できるわけではありません。会社が負担すべき管理責任や固有リスクがある場合、その部分は会社側に残ります。
Section 04

ハラスメント加害者への求償権行使はどこまで可能か

可能性あり、ただし全額当然ではない、という結論を実務に落とし込みます。

法的には求償可能性がある

会社が被害者に対して、加害者のハラスメント行為に起因する損害を賠償した場合、民法715条3項、共同不法行為の内部負担、労働契約上の義務違反、役員責任などを根拠として、加害者に求償または損害賠償を請求できる可能性があります。

求償を肯定しやすい事情としては、加害行為が明確に認定されていること、故意または重大な過失があること、反復・隠蔽・報復・口止め・証拠隠滅があること、性的自由や人格を重大に侵害していること、加害者が管理職や専門職として高度な注意義務を負っていたこと、会社側が合理的な予防措置と迅速な調査を尽くしていたことが挙げられます。

全額求償が当然に認められるわけではない

民法715条3項が求償を妨げないとしても、最高裁判例の信義則制限があります。ハラスメント事案では加害者の故意性が重い方向に働く一方、会社の防止措置義務違反、相談対応不備、管理職の黙認、過去事案の放置は、会社側の負担を残す方向に働きます。

全額求償を検討できるのは、会社が十分な防止体制を構築し、加害者が明示されたルールに反して重大なハラスメントを行い、会社が合理的な範囲で被害者に支払ったような場合です。それでも、加害者の賃金、職位、支払能力、因果関係、和解の合理性、会社の管理責任を確認する必要があります。

会社の独自責任部分は転嫁しにくい

相談窓口不備や調査遅延により拡大した損害、被害者への不利益取扱いにより発生した損害、管理職が以前から知りながら放置したため拡大した損害、レピュテーション回復費用、全社研修費用、会社都合で高額に設定した解決金の政策的上乗せ部分は、加害者へ求償できるか慎重に検討すべきです。

これらを請求するには、加害行為との相当因果関係、費用の必要性、金額の相当性を具体的に立証する必要があります。会社固有のコンプライアンス投資や体制不備の補修費用は、会社側に残る可能性があります。

Section 05

ハラスメント加害者への求償権行使の判断基準

支払原因、加害行為、会社側の帰責性、金額相当性の四段階で確認します。

次の手順図は、求償可否を検討する順番を表します。重要なのは、最初から割合だけを決めようとせず、支払の性質、行為の悪質性、会社側の責任、金額の合理性を順に確認することです。読み取るべき点は、どこか一段階で根拠が弱いと、後続の請求額にも影響するということです。

求償検討の順序

支払原因の特定

判決、和解、解決金、医療費、休業補償、調査費を分類する

加害行為の評価

故意性、反復性、権限濫用、証拠隠滅、報復性を確認する

会社側の帰責性

相談体制、研修、調査、被害者保護、再発防止の不備を検討する

根拠が弱い
請求額を抑える

会社固有責任や政策的支払を除外する

根拠が強い
相当額を算定する

証拠と資料で内部負担部分を説明する

第一段階 ― 支払原因の特定

会社が被害者に支払った金銭の性質を分類します。判決で認容された損害賠償金、裁判上の和解金、裁判外の解決金、医療費、休業補償、カウンセリング費、職場復帰支援費用、調査費、弁護士費用、全社研修費用では、求償しやすさが異なります。

次の比較表は、支払類型ごとの求償可能性と注意点を示します。重要なのは、会社が払ったという事実だけでなく、法的損害か、政策的支払か、会社固有の対応費用かを分けることです。読み取るべき点は、被害者救済のために必要な支払と、会社の制度整備費用では求償の説明方法が異なることです。

支払類型求償可能性の方向性実務上の注意
判決で認容された損害賠償金比較的検討しやすい判決理由で加害者行為と会社責任のどちらが重視されたかを読む
裁判上の和解金検討可能和解条項、請求原因、証拠状況、金額の合理性を保存する
裁判外の解決金事案による紛争解決上の政策的上乗せ部分を区別する
医療費、休業補償、カウンセリング費因果関係があれば検討可能診断書、休業期間、業務起因性、既往症の評価が必要
職場復帰支援費用一部検討可能被害者保護として会社が負うべき部分との区別が必要
調査費、弁護士費用限定的必要性、相当性、加害行為との因果関係が争点
全社研修、制度整備費用原則慎重会社固有のコンプライアンス投資と見られやすい

第二段階 ― 加害者行為の違法性と悪質性

求償割合を高める方向に働く事情には、性的接触、暴行、脅迫、執拗な交際要求、人格否定発言、差別的言動の反復、評価権限や配属権限の利用、拒否や注意後の継続、証拠隠滅、虚偽説明、口止め、報復人事への関与、過去の同種行為があります。

逆に、ハラスメント該当性が境界的で業務指導との線引きが難しい場合、会社が曖昧な目標設定や過重労働、過度なノルマ、劣悪な職場文化を放置していた場合、加害者が十分な研修や指導を受けていなかった場合は、求償額を抑える方向に働きます。

第三段階 ― 会社側の帰責性

会社側の帰責性は、ハラスメント加害者への求償権行使の可否で決定的に重要です。方針の明確化、管理・監督者を含む周知啓発、相談体制、迅速かつ正確な事実確認、被害者と行為者への適正な対処、再発防止措置が不十分であれば、被害者への対外責任だけでなく、内部求償でも会社が負担すべき部分が大きくなります。

第四段階 ― 金額の相当性

会社が被害者に高額な解決金を支払った場合、求償訴訟では、その支払が法的に必要かつ相当だったかが争われます。被害者の請求内容、損害内訳、医療記録、診断書、休業証明、賃金資料、類似裁判例、外部専門家の見通し、和解で回避できた追加損害や訴訟費用、政策的支払部分の区別を残す必要があります。

Section 06

ハラスメント加害者への求償権行使を類型別に考える

パワハラ、いじめ、セクハラ、マタハラ、役員関与、外部者、カスハラで結論が変わります。

次の比較一覧は、主なハラスメント類型ごとの求償判断の違いを表します。重要なのは、同じハラスメントでも、会社の管理責任や契約関係、加害者の地位によって法的構成が変わることです。読み取るべき点は、雇用関係の有無、権限濫用の程度、会社の制度運用との結びつきです。

上司によるパワーハラスメント

人格否定、長時間叱責、公開の場での罵倒、過大・過小な要求、無視、隔離などでは、上司個人の責任と会社の使用者責任・安全配慮義務違反が問題になります。管理職性は個人責任を強める一方、会社の選任・教育・監督責任も強めます。

同僚間のいじめ・集団的嫌がらせ

無視、悪口、SNS上の中傷、情報共有からの排除、私物への嫌がらせでは、主導者と追随者、行為回数、悪質性、管理職の黙認、会社の早期介入可能性を分けて検討します。全員へ同額請求すると、証拠面も社内秩序面も不安定になり得ます。

セクシュアルハラスメント

身体接触、執拗な交際要求、性的発言、私生活への干渉、拒否後の不利益取扱いがある場合、加害者個人の責任は重く評価されやすい一方、過去相談の放置や二次被害防止の不足は会社負担を大きくします。

妊娠・育児・介護に関するハラスメント

個人の発言だけでなく、人事制度、評価制度、復職配置、業務配分、欠員補充体制が問題になりやすい類型です。上司の発言が会社の制度運用や人員不足と結びつく場合、全額転嫁は難しくなります。

役員・代表者・実質的経営者

民法715条だけでなく、会社法350条、会社法423条、任務懈怠責任、善管注意義務、忠実義務、不法行為責任が問題になります。利益相反、取締役会、監査役、社外取締役、D&O保険、株主代表訴訟リスクも検討対象です。

派遣労働者・委託先・取引先

派遣では派遣元と派遣先双方の防止措置が問題になります。委託先従業員や取引先担当者では雇用関係がないため、民法715条3項の構成ではなく、契約上の補償条項、民法709条、共同不法行為などを検討します。

カスタマーハラスメント

顧客等は通常会社の被用者ではないため、求償というより、顧客本人への不法行為責任追及、損害賠償請求、出入禁止、契約解除、警察相談などとして整理する方が正確です。令和8年10月1日からの措置義務化も意識する必要があります。

Section 07

ハラスメント加害者への求償割合と金額相当性

固定割合ではなく、故意性、管理職性、会社の支払額を総合評価します。

ハラスメント加害者への求償権行使では、実務担当者が何割請求できるのかと考えがちです。しかし、最高裁判例は固定割合を示していません。判断は、損害の公平な分担、信義則、諸般の事情に基づく総合評価です。

次の比較表は、求償割合を検討する際の方向感を表します。重要なのは、数値の機械的な当てはめではなく、加害者の悪質性と会社側の体制不備を同じ表で比較することです。読み取るべき点は、高割合を検討できる場合ほど、会社側の予防・対応に大きな不備がないことの説明も必要になることです。

類型求償方向の目安典型事情
全額または高割合を検討加害者の故意、重大な性的侵害、暴力、反復、証拠隠滅が明確で、会社の予防・対応に大きな不備がない管理職が明示的禁止に反して重大なセクハラを行った
中程度の割合を検討加害者責任は明確だが、会社の体制不備や管理職の黙認が一部ある過去の相談対応が遅れたが、主たる損害は加害者行為による
低割合または請求見送りハラスメント該当性が境界的、会社の制度・指示・文化が強く影響、支払の多くが会社独自責任過重ノルマと組織的叱責文化の中で管理職が逸脱した
求償困難加害者認定が不十分、証拠不足、会社が被害者に政策的見舞金を払っただけ事実認定未了のまま一律支払をした

故意性は重要だが万能ではない

ハラスメントは故意に行われることが多いため、加害者負担を重くする事情となります。ただし、故意行為だから常に全額求償できるわけではありません。会社が予見し得た、過去に通報があった、管理職が黙認した、被害者の救済を遅らせた場合、会社の負担部分が残ります。

管理職性は両方向に働く

加害者が管理職であることは、加害者の注意義務を高めます。他方、管理職は会社の指揮命令系統の一部であり、会社がその者を選任、教育、監督した責任も重くなります。管理職性は、個人責任と組織責任の双方を強める事情です。

会社の支払額が妥当か

会社が高額な解決金を支払った場合、求償訴訟では、その支払が法的に必要かつ相当だったかが争われます。訴訟リスク、証拠状況、相場、被害者の損害、休職期間、精神疾患の有無を検討せず、早期沈静化だけで支払った場合、加害者に全額負担させる説明は難しくなります。

Section 08

ハラスメント加害者への求償権行使の実務手続

調査、和解、通知、協議、給与控除禁止を順番に確認します。

次の時系列は、被害申告から求償請求までの実務上の順番を表します。重要なのは、求償を急ぐ前に被害者保護と事実認定を整えることです。読み取るべき点は、各段階で残す記録が、後の請求額と手続適正の説明資料になることです。

調査段階

被害者保護と証拠保全を優先

相談者の安全確保、接触遮断、暫定配置、相談記録、メール・チャット・勤怠・録音・SNS・面談記録の保全、行為者の弁明機会、関係者ヒアリング、調査担当者の独立性、プライバシー保護を整えます。

和解段階

被害者救済と内部求償を両立

支払主体、加害者個人の責任、内部求償権の扱い、守秘義務の開示例外、被害者を不用意に巻き込まない配慮を検討します。広すぎる清算条項は後日の請求に影響する可能性があります。

請求段階

通知、弁明、協議を経て請求

調査結果の概要、加害者の反論、会社の支払内容、法的根拠、請求額、算定根拠、分割払い、期限の利益、守秘義務、再発防止誓約を協議し、必要に応じて民事訴訟、支払督促、調停を検討します。

控除・相殺

給与からの一方的控除は避ける

求償権があると考える場合でも、給与から一方的に控除すると賃金全額払い原則が問題になります。違約金や損害賠償額をあらかじめ予定する規定も避けるべきです。

注意懲戒処分と求償請求は目的が異なります。懲戒は企業秩序違反への制裁、求償は会社が負担した損害の内部負担です。併存し得ますが、証拠、規程、弁明機会、社会的相当性をそれぞれ確認する必要があります。
Section 09

求償権行使を見据えた社内規程と通報対応

求償条項は制裁ではなく、法令・判例に従う内部負担調整として設計します。

求償条項の基本方針

社内規程では、求償を制裁的に定めるのではなく、法令・判例に従う内部負担調整として位置づけるべきです。会社は、ハラスメント行為により会社または第三者に損害が生じた場合、当該行為者に対し、法令および判例に照らして相当な範囲で損害賠償または求償を請求することがある、といった方向性が考えられます。

請求額は、行為の態様、故意・過失、職位、会社の管理状況、被害者に生じた損害、会社の支払額、その他一切の事情を考慮して決定します。請求前には、原則として本人に弁明の機会を付与します。賃金からの控除は、法令に基づく場合または本人の自由な意思に基づく明確な合意がある場合を除き行わない設計が基本です。

懲戒規程との関係

職場におけるパワーハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、行為者について厳正に対処する方針や対処内容を就業規則等に規定し、周知啓発することが求められます。懲戒処分と求償請求は別制度ですが、実務上は同時に検討されます。

調査報告書には、懲戒判断に必要な事実と、金銭請求に必要な損害・因果関係・金額根拠を分けて記載することが望まれます。両者を混同すると、二重処分との誤解や請求額の相当性に関する争いが生じやすくなります。

内部通報制度との関係

内部通報を契機にハラスメントが発覚した場合、通報者保護が最優先です。求償請求のために通報者名や被害者情報を不必要に開示すれば、二次被害、報復、公益通報者保護法上の問題、個人情報保護上の問題が生じ得ます。

求償訴訟で証人や証拠が必要となる可能性はありますが、初期段階から被害者に過度な協力負担を課さないよう、客観証拠、会社側記録、加害者本人の認否、第三者証言を整理しておくことが重要です。

Section 10

ハラスメント加害者への求償権行使に必要な証拠

会社が立証すべき事項、有用な証拠、調査報告書の構成を整理します。

会社が立証すべき事項

会社がハラスメント加害者に求償する場合、加害者が具体的にどの行為をしたか、その行為が違法または就業規則違反であること、会社が被害者へ金銭を支払ったこと、支払が加害行為と相当因果関係を有すること、支払額が合理的かつ相当であること、会社の独自責任部分を除いても加害者が内部的に負担すべき額があることを立証する必要があります。

次の実務一覧は、求償判断で集めるべき資料を目的別に示します。重要なのは、行為認定の証拠と、金額・因果関係の証拠を分けてそろえることです。読み取るべき点は、メールや録音だけでは足りず、支払記録、和解契約、規程、研修記録、会社対応記録まで一体で必要になることです。

1

行為認定の資料

被害者の申告書、相談記録、面談録、メール、チャット、SNS、通話履歴、録音、録画、防犯カメラ映像、勤怠記録、配席、入退館ログを確認します。

事実認定
2

損害と因果関係の資料

医師の診断書、休職資料、被害者との和解契約書、支払記録、振込記録、会計処理資料、損害内訳、休業期間を整理します。

金額根拠
3

会社対応の資料

就業規則、ハラスメント防止規程、懲戒規程、加害者への注意歴、研修受講記録、調査報告書、ヒアリングメモを保存します。

会社帰責性
4

見通しを支える資料

外部専門家の意見書、類似裁判例調査、和解額の比較資料、保険会社との協議記録、取締役会・監査機関への報告資料を残します。

監査対応

調査報告書の書き方

調査報告書は、後の懲戒、被害者対応、加害者への求償、監査、取締役会報告に使われる可能性があります。調査目的、調査体制と独立性、調査対象期間、調査方法、認定事実、証拠の信用性評価、ハラスメント該当性、会社対応の適否、被害者損害との因果関係、再発防止策、求償検討上の留意点を分けて記載します。

求償を予定する場合でも、報告書が一方的、断定的、感情的な記載にならないよう注意します。裁判で証拠提出される可能性を想定し、客観性と手続適正を保つ必要があります。

Section 11

保険・会計・税務・取締役会で確認すべき論点

求償判断は法務だけで完結せず、保険、会計、税務、ガバナンスに波及します。

保険

雇用慣行賠償責任保険、会社役員賠償責任保険、賠償責任保険、サイバー・レピュテーション関連保険などが関係することがあります。保険金が支払われる場合、会社の実損額は減少します。保険会社の代位、免責条項、故意免責、役員免責、通知義務、和解同意条項を確認する必要があります。

会計

会社が被害者に支払った金額は、費用または損失として処理されることが多い一方、加害者への求償権を資産計上できるかは、回収可能性、金額の合理的見積り、相手方の支払能力、訴訟見通しに左右されます。内部統制上は、求償権を認識するか、偶発資産として扱うか、注記や引当の要否を会計監査人と協議します。

税務

被害者への支払、加害者への求償、回収不能時の貸倒処理、役員への請求免除、関連者間取引は税務上の論点を伴います。特に役員加害事案で会社が役員に求償しない場合、会社法上の責任免除手続、株主利益、税務上の給与・寄附金・役員給与認定の問題が生じ得ます。

取締役会、監査役、内部監査の関与

次の強調項目は、経営層の関与が必要になりやすい場面を表します。重要なのは、加害者が役員や重要管理職である場合、通常ラインだけで判断すると利益相反が生じ得ることです。読み取るべき点は、求償する判断だけでなく、見送る判断にも合理的な理由と記録が必要になることです。

求償しない判断にも説明責任がある

証拠不足、会社独自責任、被害者保護、回収可能性、二次被害リスク、訴訟費用との比較から求償を見送ることはあり得ます。ただし、加害者の地位や社内政治を理由に漫然と請求しない場合、取締役の善管注意義務や会社財産の管理が問題となる可能性があります。

支払額が重要性基準を超える、役員または重要な管理職が加害者である、社会的影響や報道リスクがある、内部統制不備が問題となる、求償見送りが役員責任を問われ得る、保険会社・監査法人・行政機関への説明が必要となる場合は、取締役会または監査機関への報告を検討します。

Section 12

ハラスメント加害者への求償権行使の実務チェック

可否判断、請求書、見送り記録の三つに分けて確認します。

次の比較表は、求償可否を検討する際の確認項目を表します。重要なのは、行為認定、法的根拠、金額、会社側事情、手続、ガバナンスを一枚で点検することです。読み取るべき点は、どれか一つでも説明できない項目がある場合、請求額や請求方法を再検討すべきということです。

チェック項目確認内容
加害行為の認定誰が、いつ、どこで、何をしたかが証拠で説明できるか
違法性不法行為、就業規則違反、職場環境侵害が認定できるか
会社支払支払額、支払日、支払先、支払根拠が明確か
因果関係加害行為と会社支払の対応関係が説明できるか
金額相当性裁判例、損害内訳、医療資料、専門家意見で説明できるか
会社帰責性会社の予防・対応不備がどの程度あるか
労働法制給与控除、賠償予定、懲戒手続に問題がないか
和解条項加害者への求償を妨げる文言がないか
保険保険金、代位、免責、通知義務を確認したか
ガバナンス役員関与、利益相反、取締役会報告が必要か

求償請求書に盛り込むべき事項

求償請求書には、事実関係の概要、ハラスメント認定の理由、会社が負担した金額と内訳、法的根拠、求償額の算定方法、支払期限、分割協議の可否、守秘義務と被害者保護、異議申出方法、期限までに協議がない場合の法的措置を盛り込みます。

求償を見送る場合の記録事項

求償を見送る場合も、証拠不足の内容、会社独自責任の評価、求償可能額と費用の比較、被害者保護上の懸念、回収可能性、再発防止策との関係、取締役会または監査役への報告内容、将来同種事案への方針を記録します。

FAQ

ハラスメント加害者への求償権行使でよくある質問

個別事情で結論が変わるため、一般的な考え方として整理します。

会社が被害者に和解金を払えば、当然に加害者へ全額請求できますか。

一般的には、当然に全額請求できるものではないとされています。会社が被害者に支払ったこと、加害者の行為との因果関係、支払額の相当性、会社と加害者の内部負担割合を立証する必要があります。ただし、証拠関係、和解条項、会社側の管理状況によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

加害者が故意にセクハラをした場合は全額求償できますか。

一般的には、故意性や性的自由の侵害は加害者負担を重くする事情とされています。ただし、会社が防止措置を尽くしていたか、過去の相談を放置していないか、和解金額が相当か、会社独自の責任部分が含まれていないかによって結論が変わる可能性があります。具体的な見通しは、証拠と支払資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

加害者が退職した後でも請求できますか。

一般的には、退職により当然に求償権が消えるわけではないとされています。ただし、住所把握、証拠確保、時効、回収可能性、退職時合意書の清算条項によって判断が変わる可能性があります。退職合意書の文言によって後日の請求が制限されることもあるため、具体的な対応は弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

給与や退職金から天引きしてよいですか。

一般的には、給与からの一方的控除は賃金全額払い原則との関係で慎重に扱う必要があるとされています。退職金についても、就業規則、退職金規程、相殺合意の自由意思、判例の枠組みによって結論が変わる可能性があります。具体的な控除や相殺の可否は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

被害者との和解書に加害者を入れるべきですか。

一般的には、事案により選択が分かれるとされています。加害者も和解当事者に入れると全体解決につながりやすい一方、加害者が争うと和解が難航する可能性があります。会社単独で和解する場合は、内部求償権を放棄したと解されないよう条項設計が重要です。具体的な条項は弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

会社のハラスメント防止体制が不十分だった場合、求償は無理ですか。

一般的には、防止体制が不十分でも直ちに求償が否定されるとは限らないとされています。ただし、会社の体制不備に起因する損害拡大部分は会社が負担すべきと評価されやすくなります。加害者の故意行為と会社の管理不備を分ける必要があり、具体的な内部負担割合は弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

求償請求は被害者への報復と見られませんか。

一般的には、会社が加害者に請求すること自体は被害者への報復とは別問題とされています。ただし、求償のために被害者を過度に再聴取する、被害者情報を不用意に加害者へ開示する、証言を強く求めるなどの対応は二次被害につながる可能性があります。被害者保護と手続公正の均衡について、具体的には弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

社内で懲戒処分済みなら、さらに求償すると二重処罰ですか。

一般的には、懲戒処分と求償請求は目的が異なる制度とされています。懲戒は企業秩序違反への制裁であり、求償は会社が負担した損害の内部負担です。ただし、懲戒の重さ、求償額、本人の弁明機会、就業規則の根拠、社会的相当性によって評価が変わる可能性があります。具体的な対応は弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Conclusion

ハラスメント加害者への求償権行使の最終判断

請求できるかだけでなく、どの損害を、どの根拠で、どの手続で請求するかを決めます。

ハラスメント加害者への求償権行使については、法的には、会社が被害者へ賠償または和解金を支払った場合、加害者個人へ求償または損害賠償を請求できる可能性があります。民法715条3項は使用者から被用者への求償権行使を妨げず、加害者本人に不法行為責任が成立する場合、その内部負担を求める根拠は存在します。

一方で、求償範囲は、損害の公平な分担と信義則によって制限され得ます。ハラスメント特有の故意性、人格権侵害、優越的地位の濫用、反復性、報復性は加害者負担を重くしますが、会社の相談対応不備、予防措置不足、管理職の黙認、被害者保護の遅れは会社負担を重くします。

実務では、求償請求の前提として、事実調査、被害者保護、証拠保全、和解条項設計、保険確認、給与控除禁止、取締役会報告、監査対応を整える必要があります。求償は被害者救済や再発防止の代替ではなく、組織としての責任を果たす一部にすぎません。

最終的には、ハラスメント加害者への求償権行使の可否は、請求できるかという入口問題よりも、どの損害を、どの根拠で、どの範囲で、どの手続により、誰の承認を得て請求するかという企業統治上の総合判断です。

Reference

参考資料

制度・判例・公的資料を中心に整理しています。

公的資料・法令

  • 厚生労働省「職場におけるハラスメント関係指針」パワーハラスメント防止のための指針
  • 厚生労働省「職場におけるハラスメントの防止のために」
  • e-Gov法令検索「民法」
  • 厚生労働省「労働契約法第5条」解説資料
  • e-Gov法令検索「会社法」
  • 厚生労働省「令和7年の労働施策総合推進法等の一部改正について」
  • 政府広報オンライン「カスハラとは?法改正により義務化されるカスハラ対策の内容」
  • 厚生労働省「確かめよう労働条件 賃金と他の債権の相殺」
  • 和歌山労働局「賠償予定の禁止」

裁判例

  • 最高裁第一小法廷昭和51年7月8日判決、民集30巻7号689頁、茨城石炭商事事件
  • 最高裁第二小法廷令和2年2月28日判決、債務確認請求本訴、求償金請求反訴事件