2σ Guide

テレワーク規程に
必ず入れるべき条項

在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイル勤務、ワーケーションを、労務管理・情報管理・安全衛生・内部統制の観点から横断的に整備するための実務ガイドです。

23 必須条項の目安
5層 規程設計の観点
2024年 就業場所明示の改正
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テレワーク規程に 必ず入れるべき条項

労務、情報管理、安全衛生、内部統制を横断して、規程に置くべき論点を先に整理します。

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テレワーク規程に 必ず入れるべき条項
労務、情報管理、安全衛生、内部統制を横断して、規程に置くべき論点を先に整理します。
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  • テレワーク規程に 必ず入れるべき条項
  • 労務、情報管理、安全衛生、内部統制を横断して、規程に置くべき論点を先に整理します。

POINT 1

  • テレワーク規程に必ず入れるべき条項の全体像
  • 労務、情報管理、安全衛生、内部統制を横断して、規程に置くべき論点を先に整理します。
  • 制度の焦点は、自由な働き方と会社の統制を同時に設計することです
  • テレワーク規程は、在宅勤務の福利厚生だけを定める文書ではありません。
  • 次の強調表示は、テレワーク規程に必ず入れるべき条項を考える前提を表しています。

POINT 2

  • テレワーク規程の制度設計 ― 就業規則、別規程、労働条件通知書
  • 1. 就業規則本体:テレワーク勤務に関する事項は別に定める規程による、という委任規定を置きます。
  • 2. テレワーク勤務規程
  • 3. 関連規程との整合
  • 4. 契約・通知書との照合

POINT 3

  • テレワーク規程に必ず入れるべき23条項
  • 目的、定義、勤務場所、労働時間、費用、情報管理、健康、監査まで、規程の骨格を一覧で把握します。
  • テレワーク規程に必ず入れるべき条項は、会社の業種や規模により文言を調整しても、論点としては大きく共通します。
  • 条項数が多く見えても、目的はシンプルです。

POINT 4

  • テレワーク規程の勤務場所・労働時間・勤怠条項
  • 1. 勤務場所、勤務日、勤務時間、業務内容を申請:申請期限、申請方法、承認権者、緊急時の事後申請可否、不承認理由の記録を定めます。
  • 2. 勤怠システム、電子メール、チャット等で記録:PCログ、入退場記録、自己申告を組み合わせ、過度な監視にならないよう目的、項目、保存期間、閲覧権限を明確にします。
  • 3. 休憩、中抜け、移動時間を区別:中抜け時間は、休憩として終業時刻を繰り下げる方法や、時間単位年休で処理する方法をあらかじめ定めます。
  • 4. 時間外、休日、深夜労働は事前承認を原則にする:36協定、割増賃金、上限規制を前提に、夜間や休日の連絡が黙示の業務指示にならないよう管理します。

POINT 5

  • テレワーク規程の費用負担・機器・情報管理条項
  • 会社端末を原則にする
  • BYODは例外扱いとし、暗号化、OS更新、ウイルス対策、退職時消去、業務データ保存制限を条件にします。
  • 認証とアクセスを限定する
  • VPN、仮想デスクトップ、クラウド、ID、パスワード、多要素認証、アカウント共有禁止を明記します。

POINT 6

  • テレワーク規程の安全衛生・労災・ハラスメント・評価条項
  • 自宅で働く場合でも、安全配慮、事故報告、オンライン上の職場、評価の公平性を規程で可視化します。
  • 自宅でも作業環境を確認する
  • 業務災害と私的行為を記録で分ける
  • オンライン上の職場を含める

POINT 7

  • テレワーク規程の導入手順と見直し
  • 1. 対象業務と情報資産の棚卸し:法務、人事、情報システム、現場が、遠隔で実施できる業務と扱う情報を確認します。
  • 2. 労働時間制度と勤怠把握方法の選定:通常の労働時間制、フレックスタイム制、事業場外みなし労働時間制などの要件を確認します。
  • 3. 費用、機器、情報管理、安全衛生の設計:費用負担、会社端末、BYOD、個人情報、営業秘密、健康相談、作業環境を具体化します。
  • 4. 規程案、関連規程、申請様式の作成:就業規則、テレワーク勤務規程、申請書、承認記録、事故報告書を整えます。
  • 5. 意見聴取、届出、周知、教育:労働者代表または労働組合への説明、就業規則変更届、従業員教育、管理職研修を実施します。
  • 6. 試行、アンケート、監査、改訂:勤怠、費用、インシデント、健康、評価、相談件数を定期的に確認し、制度を更新します。

POINT 8

  • テレワーク規程に関するFAQ
  • 制度導入時に企業担当者が迷いやすい論点を、一般的な制度説明として整理します。
  • Q1. テレワーク規程は必ず作成しなければなりませんか。
  • Q2. 会社は一方的に在宅勤務を命じられますか。
  • Q3. 在宅勤務者の自宅を会社が確認できますか。

まとめ

  • テレワーク規程に 必ず入れるべき条項
  • テレワーク規程に必ず入れるべき条項の全体像:労務、情報管理、安全衛生、内部統制を横断して、規程に置くべき論点を先に整理します。
  • テレワーク規程の制度設計 ― 就業規則、別規程、労働条件通知書:就業規則本体に置くか、別規程にするか、2024年4月以降の就業場所明示とどう整合させるかを確認します。
  • テレワーク規程に必ず入れるべき23条項:目的、定義、勤務場所、労働時間、費用、情報管理、健康、監査まで、規程の骨格を一覧で把握します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

テレワーク規程に必ず入れるべき条項の全体像

労務、情報管理、安全衛生、内部統制を横断して、規程に置くべき論点を先に整理します。

テレワーク規程は、在宅勤務の福利厚生だけを定める文書ではありません。就業場所、労働時間、費用負担、情報管理、健康確保、ハラスメント防止、労働災害、個人情報保護、営業秘密管理、緊急時対応を横断する、企業法務上の基幹規程です。

次の強調表示は、テレワーク規程に必ず入れるべき条項を考える前提を表しています。読者にとって重要なのは、在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイル勤務、ワーケーションを同じ扱いにせず、労務と情報管理の両面でどこにリスクが集中するかを読み取ることです。

制度の焦点は、自由な働き方と会社の統制を同時に設計することです

規程が曖昧なままだと、未払残業代、労災認定、情報漏えい、個人情報事故、営業秘密流出、費用負担紛争、不公平な人事評価、オンライン上のハラスメント、メンタルヘルス不調が重なって起きやすくなります。

次の一覧は、テレワーク規程を5つの層に分けたものです。層ごとに規程上の主題と主なリスクを並べているため、自社の規程案にどの領域が抜けているかを確認できます。

規程上の主題主なリスク
労働契約層就業場所、労働時間、賃金、費用負担、服務規律未払賃金、不利益変更、就業規則不備
労務管理層勤怠把握、中抜け、時間外申請、業務報告、人事評価長時間労働、評価不公正、黙示の残業指示
安全衛生層作業環境、健康相談、メンタルヘルス、労災報告健康障害、労災認定紛争、安全配慮義務違反
情報管理層端末、通信、クラウド、BYOD、秘密情報、個人情報情報漏えい、個人情報事故、営業秘密喪失
ガバナンス層承認権限、記録保存、内部監査、教育、規程改廃統制不備、属人的運用、監査指摘、行政対応困難

「必ず入れるべき」とは、すべての会社に同じ文言が法定されているという意味ではありません。法令上明記が必要な事項、就業規則との関係で明示しないと紛争化しやすい事項、行政資料であらかじめルール化が求められる事項、重大事故を防ぐため不可欠な事項を総合した意味です。

Section 01

テレワーク規程の制度設計 ― 就業規則、別規程、労働条件通知書

就業規則本体に置くか、別規程にするか、2024年4月以降の就業場所明示とどう整合させるかを確認します。

テレワークを制度として導入する方法は、就業規則本体に直接条項を追加する方法と、就業規則本体に委任規定を置いて詳細を別規程にまとめる方法に分かれます。実務上は、就業規則本体、テレワーク勤務規程、関連規程、個別契約を矛盾させないことが重要です。

次の判断の流れは、テレワーク規程をどこに置き、どの文書と接続するかを示しています。上から順に確認すると、就業規則の届出・周知、関連規程との相互参照、労働条件通知書の就業場所明示を同時に点検できます。

規程体系を決める順番

就業規則本体

テレワーク勤務に関する事項は別に定める規程による、という委任規定を置きます。

テレワーク勤務規程

対象者、申請、勤務場所、労働時間、勤怠、費用、機器、情報管理、安全衛生、労災、ハラスメント、教育、緊急時対応を集約します。

関連規程との整合

情報セキュリティ規程、個人情報取扱規程、営業秘密管理規程、費用精算規程、賃金規程、旅費規程、ハラスメント防止規程と接続します。

契約・通知書との照合

労働条件通知書、雇用契約書、派遣契約、業務委託契約、クラウド利用契約、サテライトオフィス利用契約と矛盾しないよう確認します。

2024年4月以降は、労働契約締結時と有期労働契約更新時に、就業場所と業務の変更の範囲を明示する事項が追加されています。次の比較表では、規程と通知書のどちらに何を書くべきかを分けて確認できます。

文書記載の焦点注意点
就業規則本体別規程への委任、服務、懲戒、労働時間、費用負担の基本常時10人以上の事業場では変更手続、意見聴取、届出、周知を確認します。
テレワーク勤務規程制度の詳細、承認、勤務場所、勤怠、費用、情報管理、安全衛生分かりやすさのため、関連条項を集約する設計が有用です。
労働条件通知書雇入れ直後の就業場所と変更の範囲自宅、会社指定サテライトオフィス、個別承認場所をどう明示するか検討します。
個別合意勤務地限定、在宅勤務限定、育児介護、障害配慮など包括的な勤務場所記載が個別合意と矛盾しないかを確認します。
労働条件の変更 労働契約の内容変更は、労働者と使用者の合意が原則です。就業規則変更による労働条件変更では、合理性と周知が問題になります。
Section 02

テレワーク規程に必ず入れるべき23条項

目的、定義、勤務場所、労働時間、費用、情報管理、健康、監査まで、規程の骨格を一覧で把握します。

テレワーク規程に必ず入れるべき条項は、会社の業種や規模により文言を調整しても、論点としては大きく共通します。次の一覧は、各条項がどのリスクを抑えるためのものかを示しているため、雛形の穴を探す基準として使えます。

条項主な内容必須性の理由
目的・定義・適用範囲制度趣旨、在宅・サテライト・モバイル・ワーケーション、対象者解釈基準、雇用形態間の公平性、就業規則との関係を明確にします。
対象業務・申請承認対象業務、対象者、申請事項、承認権限、取消し、出社命令属人的運用、不公平運用、承認後の混乱を防ぎます。
勤務場所自宅、準ずる場所、サテライト、公共空間、海外、場所変更労災、情報管理、税務、社会保険、顧客契約への影響を抑えます。
労働時間・勤怠始業終業、休憩、中抜け、客観記録、自己申告、業務報告未払残業代、黙示の残業指示、長時間労働を防ぎます。
時間外・服務時間外、休日、深夜労働の事前承認、職務専念、第三者閲覧防止私生活空間での業務ルールと割増賃金の根拠を整えます。
費用・機器通信費、水道光熱費、備品、通勤費、貸与端末、BYOD費用負担紛争、税務、資産管理、私物端末リスクを整理します。
情報管理セキュリティ、個人情報、秘密情報、営業秘密、紙資料、廃棄漏えい事故、営業秘密の秘密管理性喪失、委託元違反を防ぎます。
安全衛生・労災作業環境、健康相談、メンタルヘルス、事故報告、記録安全配慮義務と労災該当性の確認に備えます。
ハラスメント・評価・教育オンライン上の職場、監視型管理、評価基準、管理職研修在宅者不利、出社者優遇、即時返信強要、私生活介入を防ぎます。
緊急時・違反・見直しBCP、障害、情報漏えい、承認取消し、懲戒、定期監査事故時の初動、再発防止、法改正対応を可能にします。

条項数が多く見えても、目的はシンプルです。何が認められ、何が認められないかを明確にし、上司の個別判断を減らし、従業員が安心して働くための条件と、会社が守るべき情報資産を同時に可視化します。

次の表は、規定例として入れるべき文言の骨子をまとめたものです。条文を丸写しするためではなく、自社の制度、労働時間制度、情報資産、顧客契約に合わせて、どの文言を具体化すべきかを読み取るために使います。

条文群規定に入れる文言の骨子実務上の効き方
目的業務の円滑な遂行、生産性向上、多様な働き方、健康確保、会社情報・個人情報保護、事業継続を目的にします。承認可否、取消し、出社命令、費用負担、情報管理の解釈基準になります。
定義テレワーク勤務、在宅勤務、サテライトオフィス勤務、モバイル勤務、ワーケーション勤務を分けます。勤務場所、費用、労働時間、セキュリティを類型ごとに調整できます。
申請・承認勤務場所、勤務日、勤務時間、業務内容、使用機器、連絡方法を申請し、所属長の承認を受ける形にします。部署ごとのばらつき、緊急時の事後申請、承認取消し、出社命令の根拠になります。
勤務場所会社が承認した場所に限り、場所変更は事前承認、公共空間や海外勤務は制限または個別承認にします。情報漏えい、労災、税務、社会保険、輸出管理、顧客契約違反の予防につながります。
労働時間始業終業、休憩、中抜け、時間外・休日・深夜労働、業務報告、客観記録の確認を定めます。黙示の残業指示、未払残業代、長時間労働、自己申告の不正確さを抑えます。
費用・機器会社貸与、実費精算、定額手当、通勤費、BYOD、貸与物返却、紛失時報告を整理します。労働基準法第89条、税務、資産管理、従業員納得、私物端末リスクに対応できます。
情報管理承認された方法以外でのアクセス、保存、外部送信、印刷、撮影、録音録画、私用クラウド利用を制限します。個人情報、秘密情報、営業秘密、委託元情報の漏えいと秘密管理性の低下を防ぎます。
安全衛生・事故作業環境確認、健康相談、事故・疾病・情報漏えい時の報告、会社調査への協力を定めます。安全配慮義務、労災該当性確認、再発防止、保険手続に必要な記録を残せます。
違反・見直し指導、再教育、承認取消し、出社命令、アクセス停止、懲戒、定期見直し、内部監査を定めます。軽微な違反と重大な情報漏えいを切り分け、制度を法改正や事故教訓に合わせて更新できます。
Section 03

テレワーク規程の勤務場所・労働時間・勤怠条項

自宅、実家、カフェ、海外を同じに扱わず、労働時間法制と勤怠記録を規程に落とし込みます。

勤務場所条項は、テレワーク規程の中核です。就業場所は労働条件であり、労働時間管理、労災、安全衛生、情報セキュリティ、個人情報、営業秘密、税務、社会保険、出入国管理に影響します。

次の比較表は、勤務場所ごとの推奨取扱いを整理したものです。場所の種類ごとに情報管理と労災の前提が変わるため、自社が承認できる場所、個別承認にする場所、原則禁止にする場所を読み分けてください。

場所推奨される取扱い主な確認点
従業員の自宅原則として承認対象作業環境、通信環境、第三者閲覧防止を条件にします。
実家、介護先、配偶者宅自宅に準ずる場所として個別承認住所と理由を記録し、勤務場所変更の手続を設けます。
会社指定サテライトオフィス施設契約と利用条件を確認して承認入退館、印刷、会議音声、個人情報の取扱いを確認します。
カフェ、ホテルロビー、交通機関原則禁止または閲覧業務に限定機密情報、個人情報、社内会議、顧客会議は避ける設計が無難です。
コワーキングスペース会社指定または承認施設に限定周囲からの視認、会話の聴取、印刷物管理を確認します。
海外原則禁止または役員承認制税務、社会保険、現地法、入管、輸出管理、個人情報の越境移転を確認します。

労働時間に関しては、テレワークでも労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労災保険法が適用されます。次の一覧は、勤怠把握と時間外労働の管理を実務に落とすための要素です。各項目の順番は、始業前の承認から、勤務中の記録、勤務後の補正、時間外対応までを表しています。

始業前

勤務場所、勤務日、勤務時間、業務内容を申請

申請期限、申請方法、承認権者、緊急時の事後申請可否、不承認理由の記録を定めます。

勤務開始・終了

勤怠システム、電子メール、チャット等で記録

PCログ、入退場記録、自己申告を組み合わせ、過度な監視にならないよう目的、項目、保存期間、閲覧権限を明確にします。

勤務中

休憩、中抜け、移動時間を区別

中抜け時間は、休憩として終業時刻を繰り下げる方法や、時間単位年休で処理する方法をあらかじめ定めます。

所定外

時間外、休日、深夜労働は事前承認を原則にする

36協定、割増賃金、上限規制を前提に、夜間や休日の連絡が黙示の業務指示にならないよう管理します。

黙示の残業指示 夜間や休日のメール、チャット、会議依頼に即時対応しないことを理由に不利益評価する運用は避ける必要があります。時間外連絡は、緊急性と承認の有無を明確にしてください。
Section 04

テレワーク規程の費用負担・機器・情報管理条項

通信費、在宅勤務手当、会社端末、BYOD、秘密情報、紙資料を一体で設計します。

費用負担は、テレワーク規程で紛争化しやすい論点です。通信費、電気料金、水道光熱費、椅子、机、ディスプレイ、プリンタ、文具、郵送費、サテライトオフィス利用料、出社時交通費など、会社負担と従業員負担の境界を先に決める必要があります。

次の比較表は、費用負担方式ごとの長所と注意点を整理しています。どの方式が正しいかではなく、税務、証憑、従業員納得、割増賃金算定基礎への影響を読み取ることが重要です。

方式長所注意点
会社貸与、会社契約情報管理しやすく従業員負担が少ない初期コスト、資産管理、返却管理が必要です。
実費精算公平性が高く税務整理しやすい領収書、合理的計算式、承認手続が必要です。
定額手当事務負担が少ない給与課税、割増賃金算定基礎、過不足感が問題になります。
従業員負担会社コストは低い労働基準法第89条、従業員納得、採用競争力に注意します。

情報管理では、端末、通信、クラウド、外部記録媒体、印刷、Web会議、紙資料、家族の視認まで含めてルール化します。次の一覧は、テレワークで守るべき情報管理上の要素を並べたものです。各項目を規程本文、情報セキュリティ規程、個人情報取扱規程、営業秘密管理規程のどこに置くかを確認してください。

会社端末を原則にする

BYODは例外扱いとし、暗号化、OS更新、ウイルス対策、退職時消去、業務データ保存制限を条件にします。

認証とアクセスを限定する

VPN、仮想デスクトップ、クラウド、ID、パスワード、多要素認証、アカウント共有禁止を明記します。

個人情報と営業秘密を特定する

顧客情報、人事情報、委託元情報、研究開発情報、契約情報など、秘密として管理する情報を認識できるようにします。

紙資料と廃棄を制御する

持出し台帳、返却期限、保管方法、印刷可否、シュレッダーや会社返却による廃棄を定めます。

インシデント報告を早くする

端末紛失、盗難、不正アクセス、マルウェア感染、誤送信、個人情報漏えいの疑いを直ちに報告する手順を作ります。

外部サービス入力を制限する

生成AI、翻訳、議事録、私用クラウド、私用メールへの業務情報入力を、承認サービス以外では禁止または制限します。

営業秘密管理 テレワークでも営業秘密の保護を維持するには、アクセス制限、秘密表示、関連規程、教育、実施状況確認を組み合わせる必要があります。
Section 05

テレワーク規程の安全衛生・労災・ハラスメント・評価条項

自宅で働く場合でも、安全配慮、事故報告、オンライン上の職場、評価の公平性を規程で可視化します。

テレワークでは、会社が自宅の机、椅子、照明、空調を直接管理できません。しかし、安全配慮義務や安全衛生上の責任が消えるわけではありません。作業環境チェックリスト、健康相談、メンタルヘルス、孤立防止、長時間労働防止を規程に入れることが重要です。

次の一覧は、安全衛生、労災、ハラスメント、評価、教育の論点を並べたものです。読者が読み取るべき点は、在宅勤務者だけを特別扱いするのではなく、出社者との公平性、オンライン上の職場、管理職教育を同時に整える必要があるということです。

安全衛生

自宅でも作業環境を確認する

机、椅子、照明、換気、温湿度、ディスプレイ、姿勢、健康相談窓口、産業医や衛生委員会との関係を定めます。

労災報告

業務災害と私的行為を記録で分ける

発生日時、場所、作業内容、負傷状況、目撃者、写真、医療機関受診状況を可能な限り記録するルールを置きます。

ハラスメント

オンライン上の職場を含める

勤務時間外の連絡強要、過度な監視、私生活への不要な介入、在宅者や出社者への不利益取扱いを防ぎます。

評価

出社の有無だけで評価しない

職務内容、目標、成果、業務遂行過程、協働、報告、規程遵守状況に基づいて評価します。

教育

従業員と管理職の双方を対象にする

労働時間申告、情報セキュリティ、Web会議、健康管理、ハラスメント、事故報告、遠隔マネジメントを教育します。

確認方法

私的空間への介入を抑える

自宅確認は、チェックリスト、写真提出、自己申告、オンライン面談など相当な方法を用い、立入り確認は原則として同意を前提にします。

労災については、労働契約に基づいて事業主の支配下にあることによって生じた災害は、事業場勤務と同様に労災保険給付の対象となり得ます。一方、私的行為が原因の場合は業務上の災害と認められない可能性があります。

Section 06

テレワーク規程の導入手順と見直し

条文作成だけで終わらせず、対象業務の棚卸し、労使手続、教育、監査、改訂までつなげます。

テレワーク規程は、作って終わりではありません。技術、法令、働き方、組織構造、サイバー攻撃手法、税務実務は変化するため、試行、教育、監査、改訂を制度に組み込む必要があります。

次の時系列は、規程を作る前後に行うべき作業を示しています。番号の順に進めると、対象業務、労働時間、費用、情報管理、安全衛生、労使手続、周知、監査を一体として実装できます。

1

対象業務と情報資産の棚卸し

法務、人事、情報システム、現場が、遠隔で実施できる業務と扱う情報を確認します。

2

労働時間制度と勤怠把握方法の選定

通常の労働時間制、フレックスタイム制、事業場外みなし労働時間制などの要件を確認します。

3

費用、機器、情報管理、安全衛生の設計

費用負担、会社端末、BYOD、個人情報、営業秘密、健康相談、作業環境を具体化します。

4

規程案、関連規程、申請様式の作成

就業規則、テレワーク勤務規程、申請書、承認記録、事故報告書を整えます。

5

意見聴取、届出、周知、教育

労働者代表または労働組合への説明、就業規則変更届、従業員教育、管理職研修を実施します。

6

試行、アンケート、監査、改訂

勤怠、費用、インシデント、健康、評価、相談件数を定期的に確認し、制度を更新します。

追加条項として漏れやすいのは、海外テレワーク、生成AI利用、委託元・顧客契約遵守、副業・兼業との切り分け、監視ツール利用です。これらはテレワーク規程単独で処理せず、税務、社会保険、個人情報、輸出管理、顧客契約、情報セキュリティの担当者と連携して設計します。

中小企業での注意 規程だけ整っていても、実際には私用メール、個人メッセージ、私物PC、無料クラウドで業務を行っている状態では、規程違反が常態化し、会社が黙認していると評価されるおそれがあります。
Section 07

テレワーク規程に関するFAQ

制度導入時に企業担当者が迷いやすい論点を、一般的な制度説明として整理します。

Q1. テレワーク規程は必ず作成しなければなりませんか。

一般的には、「テレワーク規程」という名称の規程作成が一律に義務づけられているわけではありません。ただし、労働時間、費用負担、服務、情報管理、安全衛生などの労働条件または就業上の規律に変更が生じる場合、就業規則や関連規程に定める必要があると考えられます。具体的な整備範囲は、自社の制度内容を踏まえて専門家へ相談する必要があります。

Q2. 会社は一方的に在宅勤務を命じられますか。

一般的には、就業規則、雇用契約、労働条件通知書、配転条項、個別合意、業務上の必要性、労働者の生活上の事情によって判断が変わります。災害や感染症など事業継続上の必要がある場合でも、勤務場所、費用、安全衛生、情報管理を整えたうえで、合理的な説明と必要な支援を行うことが重要です。

Q3. 在宅勤務者の自宅を会社が確認できますか。

一般的には、安全衛生上の配慮が必要である一方、自宅は私生活空間です。チェックリスト、写真提出、自己申告、オンライン面談など相当な方法を用い、立入り確認が必要な場合は、目的、範囲、方法を説明し、同意を得る設計が望ましいとされています。

Q4. 私物PCの利用を認めてもよいですか。

一般的には、私物PCの業務利用は可能な場面もありますが、家族共用、マルウェア、OS更新、退職時消去、私用データ混在、ログ取得範囲が問題になります。会社端末を原則とし、例外的に認める場合は、暗号化、ウイルス対策、画面ロック、業務データ保存禁止、事故報告などの条件を明確にする必要があります。

Q5. 在宅勤務手当は必ず支給すべきですか。

一般的には、一律に必須とは限りません。ただし、労働者に過度な負担が生じないよう、費用負担の範囲、会社負担の限度、請求方法をあらかじめ定めることが重要です。一律手当は税務上の給与課税や割増賃金算定基礎、実費精算は証憑と計算式が論点になります。

Q6. テレワーク中の事故は労災になりますか。

一般的には、労働契約に基づいて事業主の支配下で業務に起因して発生した災害は、労災保険給付の対象となる可能性があります。一方、私的行為が原因の事故は業務災害と認められない可能性があります。発生時刻、作業内容、場所、状況を記録し、速やかに報告するルールが必要です。

Q7. 出社しない従業員を低く評価してよいですか。

一般的には、出社していないこと自体を低評価の理由にすることは適切ではないとされています。評価は、職務内容、成果、業務遂行、協働、報告、規程遵守などの基準で行う必要があります。出社していること自体を高評価にすることも、制度利用を妨げるおそれがあります。

Q8. 海外からのテレワークを認めてもよいですか。

一般的には、税務、労務、社会保険、ビザ、現地法、個人情報、輸出管理、顧客契約、保険を確認せずに認めることは高リスクです。原則禁止または役員承認制とし、例外承認時には期間、場所、業務内容、データアクセス、緊急連絡を個別に定める必要があります。

Reference

参考資料・公的資料

  • 厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」
  • 厚生労働省「テレワークモデル就業規則、作成の手引き」
  • 厚生労働省「労働条件明示のルール改正に関する資料」
  • e-Gov法令検索「労働基準法」
  • e-Gov法令検索「労働契約法」
  • e-Gov法令検索「労働安全衛生法」
  • e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律」
  • 情報処理推進機構「テレワークを行う際のセキュリティ上の注意事項」
  • 個人情報保護委員会「テレワークに伴う個人情報漏えい事案に関する注意事項」
  • 個人情報保護委員会「漏えい等の対応とお役立ち資料」
  • 経済産業省「テレワーク時における秘密情報管理のポイント」
  • 国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」