公正取引委員会の調査、立入検査、供述聴取、課徴金減免、確約手続、意見聴取、制裁、再発防止まで、企業法務と危機管理の観点から整理します。
公正取引委員会の調査、立入検査、供述聴取、課徴金減免、確約手続、意見聴取、制裁、再発防止まで、企業法務と危機管理の観点から整理します。
初動、証拠保全、制度選択、統治を同時に動かす危機管理です。
独禁法違反が疑われた場合の公取委対応は、法務部だけの問い合わせ対応ではありません。証拠保全、調査協力、防御権の行使、課徴金減免制度や確約手続の選択、取締役会による監督、再発防止までを含む全社的な危機管理です。
カルテル、入札談合、受注調整の疑いでは、課徴金減免制度の順位が経済的な帰結を大きく左右し得ます。優越的地位の濫用、再販売価格拘束、取引妨害、拘束条件付取引、私的独占などの疑いでは、行為の停止、契約・運用の是正、取引先への通知、監査・教育を含む改善措置の実効性が重要になります。
次の重要ポイントは、このページで扱う公取委対応の中心軸を表しています。何を表すかというと、初動、証拠、制度選択、統治という四つの視点です。読者にとって重要なのは、疑いの発生時点から全社の意思決定を動かし、何を止め、何を守り、どの制度を検討するかを読み取ることです。
証拠を消さず、競合他社と連絡せず、事実確認と制度選択を同時に進め、取締役会・監査役・事業部門・IT・外部専門家を含む体制で処理します。
平時から、競合接触ルール、入札管理、業界団体参加ルール、弁護士通信の管理、緊急連絡網、電子証拠保全、社内調査手順、公取委立入検査対応マニュアルを整備しておくことが、同じ疑いに直面したときの対応品質を左右します。
行為類型、調査手続、重要用語を先に揃えます。
独占禁止法、正式には「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」は、私的独占、不当な取引制限、不公正な取引方法などを禁止し、公正かつ自由な競争を促進することを目的とする法律です。公正取引委員会は、違反被疑事件の審査、行政調査、法的措置、課徴金納付命令、排除措置命令、確約計画の認定、企業結合審査、下請・取引適正化分野の監視などを担います。
次の比較表は、独禁法違反が疑われる典型類型と危険信号を整理したものです。各行は、行為類型、典型例、早期発見の手掛かりを示しており、読者はどの場面で法務・コンプライアンス部門へエスカレーションすべきかを読み取れます。
| 類型 | 典型例 | 実務上の危険信号 |
|---|---|---|
| 不当な取引制限 | 価格カルテル、入札談合、受注調整、数量制限、顧客分割 | 競合との会合、業界団体での価格情報交換、入札前の連絡、見積辞退の調整 |
| 私的独占 | 排除型私的独占、支配型私的独占 | プラットフォーム、流通網、必須設備、データを用いた競争者排除 |
| 不公正な取引方法 | 優越的地位の濫用、再販売価格拘束、拘束条件付取引、抱き合わせ、取引拒絶、差別対価、不当廉売 | 取引先への一方的な負担転嫁、販売価格の維持要求、競合品取扱制限 |
| 事業者団体規制 | 業界団体による価格・数量・参入制限 | 団体名義の価格表、営業自粛要請、会員間ルール |
| 企業結合関係 | 合併、株式取得、事業譲受等による競争制限 | 届出要否の誤判定、ガンジャンピング、競合情報交換 |
次の一覧は、公取委対応で頻出する重要用語をまとめたものです。手続名の違いは、権限、罰則、期限、会社と役職員の利害に直結するため、どの制度が何を意味するかを読み取ることが重要です。
| 用語 | 定義・実務上の意味 |
|---|---|
| 審査・行政調査 | 職権探知、申告、課徴金減免制度などを端緒として、公取委が資料提出、留置、立入検査、審尋、報告命令などを行う調査です。 |
| 犯則調査 | 刑事告発に相当する重大事案を対象とし、許可状に基づく臨検・捜索・差押えが行われることがあります。 |
| 立入検査・提出命令・留置 | 調査官が事業所等に立ち入り、関係資料や電子データを確認し、提出を命じ、必要に応じて留め置く手続です。 |
| 供述聴取・審尋 | 役職員から事情を聴く手続です。審尋では虚偽陳述等に罰則リスクがあります。 |
| 排除措置命令・課徴金納付命令 | 違反行為を排除する措置や、一定の違反行為について法定算定方法により金銭的不利益を命じる行政処分です。 |
| 課徴金減免制度・調査協力減算制度 | カルテル・入札談合等について、自主報告や真相解明への協力度に応じて課徴金の免除・減額が行われる制度です。 |
| 確約手続 | 疑いのある行為を是正する確約計画を申請し、認定を受けて競争上の懸念を解消する手続です。 |
| 意見聴取手続・判別手続 | 命令前に意見を述べる手続と、一定の弁護士との秘密通信について内容確認を避けて還付対象を判別する取扱いです。 |
申告、減免申請、入札データ、海外当局連携など、端緒は社外からも生じます。
公取委の審査は、職権探知、一般の人や事業者からの申告、課徴金減免制度の利用などによって得た情報を端緒として開始されます。企業が社内では問題にしていなくても、公取委側では既に競合、取引先、退職者、内部通報者、公共入札データ、業界団体資料、報道、他省庁、海外競争当局などから情報を把握していることがあります。
次の時系列は、公取委調査が始まる典型的な情報経路を表しています。順番は固定ではありませんが、社外申告、市場の兆候、外部波及、当局調査という複数の入口があることを読み取ると、社内だけで静かに処理する発想では足りない理由が分かります。
競合他社の課徴金減免申請、取引先や顧客からの申告、退職者・内部通報者からの情報が端緒になります。
落札率、辞退パターン、入札価格の一致、業界団体資料、価格改定通知、営業資料などが確認対象になります。
報道、国会・自治体での指摘、他省庁からの情報、海外競争当局との情報連携や多国籍事件の波及があり得ます。
次の比較表は、行政調査と犯則調査の違いを示しています。調査権限、罰則リスク、刑事事件化の可能性が異なるため、読者は自社が置かれている手続段階を見誤らないように読む必要があります。
| 区分 | 主な内容 | 企業対応上の注意 |
|---|---|---|
| 行政調査 | 立入検査、提出命令、留置、出頭命令・審尋、報告命令などが行われます。 | 適法な調査には協力しつつ、調査範囲、提出物、弁護士通信、営業秘密、個人情報、海外データを記録します。 |
| 犯則調査 | 刑事告発に相当する重大事案を対象に、許可状に基づく臨検・捜索・差押えが行われることがあります。 | 役職員個人の刑事責任、会社の両罰規定、個別代理人、広報、取締役会報告、開示判断を含めて検討します。 |
発覚直後は、違反停止、証拠保全、制度選択、経営管理を並行します。
初動対応の目的は、違反行為が継続している可能性を止めること、証拠を保全し事実を正確に把握すること、公取委対応上の制度選択を誤らないこと、経営責任・再発防止・取引先や従業員への影響を管理することです。カルテル・入札談合では、数時間の遅れが課徴金減免制度の順位に影響することもあります。
次の比較表は、初動チームに入れるべき機能と役割を示しています。各列は、どの専門機能が何を担当するかを表しており、読者は法務部だけでなく、経営、IT、事業、監査、広報を同時に動かす必要があることを読み取れます。
| 機能 | 役割 |
|---|---|
| 企業内弁護士・法務部 | 法的論点整理、証拠保全指示、公取委対応窓口、社内調査設計 |
| 外部弁護士 | 独禁法評価、課徴金減免、確約手続、意見聴取、供述聴取、争訟戦略 |
| コンプライアンス・内部監査 | 通報制度、社内規程、教育、再発防止、業務プロセスや監査証跡の確認 |
| IT・フォレンジック | メール、チャット、ログ、端末、クラウドデータの保全・収集・解析・改ざん防止 |
| 事業部門・経営陣・監査役・広報 | 取引実態の確認、重要判断、取締役会報告、監督、外部説明、報道・IR対応 |
次の一覧は、最初の24時間で避けるべき行為を整理しています。何を表すかというと、二次被害を生みやすい行為です。読者にとって重要なのは、違反の有無が未確定でも、証拠隠滅や口裏合わせに見える行動を止めることです。
関係メール、チャット、議事録、見積資料、入札資料、価格表を削除したり、私用クラウドへ移したりしないようにします。
何を聞かれているか、誰が何を話すかを確認する連絡は、口裏合わせや違反継続と評価される危険があります。
事実と異なる説明を促したり、過度に詳細な想定問答を配ったりすると、記憶汚染や調査妨害の問題が生じます。
公取委からの照会を担当部署だけで処理すると、法的評価や証拠保全を誤るリスクがあります。
次の比較表は、証拠保全の対象と確認事項を示しています。対象ごとに保全方法や改ざん防止の注意点が異なるため、読者は対象、範囲、方法、責任者、期限を明確にする必要性を読み取れます。
| 対象 | 実務上の確認事項 |
|---|---|
| メール・チャット | 役員、営業、購買、入札担当、価格決定者、退職予定者、共有メールボックス、Teams、Slack、LINE WORKS、社内SNS |
| 端末・クラウド | PC、スマートフォン、タブレット、外付け媒体、SharePoint、Google Drive、Box、CRM、SFA、ERP |
| 紙資料・ログ | 会議資料、名刺、手帳、業界団体資料、入札ファイル、アクセスログ、削除ログ、価格変更履歴、承認ワークフロー |
| 会計・販売・入札データ | 売上、購買、リベート、値引き、見積、原価、粗利、入札公告、仕様書、質問回答、辞退届、落札履歴 |
適法な調査には協力しつつ、手続・権利・記録を管理します。
公取委の行政調査では、調査官が事業所に立ち入り、関係資料の検査、提出命令、留置等を行うことがあります。開始時には、事件名、違反被疑事実の要旨、関係法条などが告知され、身分証明書等で調査官の身分が明らかにされます。
次の判断の流れは、立入検査が始まった場合の受付から社内統制までの順序を示しています。順番に意味があり、身分確認、連絡、記録、保全、立会いを同時に走らせることで、調査協力と権利管理を両立する読み方ができます。
身分証明書、告知書、事件名、被疑事実、関係法条を確認する
法務、企業内弁護士、コンプライアンス責任者、外部専門家、経営陣へ連絡する
資料削除、移動、外部連絡を禁止し、IT部門にデータ保全を指示する
調査官ごとに立会者を置き、調査範囲、提出資料、質問内容を記録する
外部専門家到着前でも、到着していないことだけを理由に検査を拒否しない
| 管理項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 物件の特定 | 物件番号、資料名、媒体、保管場所、作成者、作成日 |
| 形態 | 紙資料か電子データか、原本か写しか、社内に複製やバックアップがあるか |
| 秘密情報 | 弁護士通信、営業秘密、個人情報、第三者情報、海外子会社情報の含有 |
| 取得経緯 | どの調査官が、どの時刻に、どの場所から取得したか |
| 後日の必要性 | 閲覧・謄写が必要な資料か、業務継続に必要な資料か |
真実を述べる準備と、口裏合わせを避ける準備を分けます。
公取委調査では、役職員に対して事情聴取が行われます。任意の事情聴取の場合もあれば、法第47条に基づく審尋として行われる場合もあります。会社は関係者に対し、事実を正確に述べること、記憶にないことを記憶にあるように述べないこと、推測と事実を区別すること、虚偽説明をしないことを徹底します。
次の比較表は、聴取対応で従業員へ説明すべき事項と避けるべき事項を並べています。左列は適切な手続説明、右列は口裏合わせや供述誘導に見える危険行為であり、境界を読み取ることが重要です。
| 適切な準備 | 避けるべき対応 |
|---|---|
| 手続の流れ、真実を述べる義務、記憶と推測の区別を説明する | 特定の会議や発言について、会社に有利な回答を依頼する |
| 資料を見ないと分からない事項は、その旨を述べるよう説明する | 複数の従業員を集めて、供述内容や記憶をすり合わせる |
| 体調不良、長時間化、休憩希望、相談希望を申し出てよいことを伝える | 調査対象の競合他社担当者へ連絡し、聞かれている内容を確認する |
| 供述調書の内容を確認し、誤りがあれば訂正を求める重要性を説明する | 社内調査で得た供述内容を不用意に共有し、記憶を汚染する |
次の一覧は、報告命令・資料提出依頼に対応する際の確認事項を整理しています。回答書は後の命令、確約手続、意見聴取、訴訟、社外説明に引用され得るため、期限や形式だけでなく、事実、評価、推測の区別を読み取ることが重要です。
回答期限、対象期間、対象製品・役務、対象地域・市場、対象法人・関係会社、原本提出か写し提出か、電子データ形式を確認します。
範囲個人情報、営業秘密、第三者秘密、海外データをどう処理するか、不明点照会が必要かを確認します。
秘密回答書の署名者・責任者を明確にし、法務、事業、会計、IT、外部専門家が事実と評価を分けて確認します。
確認供述聴取の場に第三者や弁護士を立ち会わせること、聴取中に録音・録画すること、聴取中にメモを取ることは、原則として認められない旨が示されています。ただし、休憩時間中に弁護士へ相談することは可能とされています。
時間、制度対象性、協力度、是正計画の実効性を見ます。
課徴金減免制度は、事業者が自ら関与したカルテル・入札談合について、公取委に自主的に報告した場合、課徴金が減免される制度です。すべての独禁法違反疑いに使えるわけではなく、まず問題行為が制度対象かを判断します。カルテル・入札談合では、第1順位を取れるかどうか、調査開始前か後か、真相解明に資する協力があるかが重要です。
次の比較表は、課徴金減免申請を判断する際の観点を整理しています。各行は法的評価、証拠、経済的影響、手続上の利益、経営判断、海外対応、個人責任を示しており、読者は法務部だけでなく経営・海外・個人責任を含めて同時に検討する必要があることを読み取れます。
| 観点 | 検討事項 |
|---|---|
| 法的評価 | カルテル・入札談合に該当する可能性、対象期間、関与者、合意の有無 |
| 証拠 | メール、会合記録、価格表、入札資料、供述、競合接触履歴 |
| 経済的影響 | 課徴金見込額、民事損害賠償、公共入札停止、取引先請求 |
| 手続上の利益 | 順位、減免率、調査協力減算、刑事告発リスク |
| 経営判断・海外対応・個人責任 | 取締役会報告、市場説明、海外同時申請、役職員の刑事・民事・懲戒リスク、利益相反 |
次の時系列は、課徴金減免申請で時間が問題になる理由を表しています。調査開始前と後で制度上の扱いが異なり、完全な社内調査を待つほど順位を失う可能性があるため、暫定事実把握と証拠確認を並行して進める必要があります。
関係資料を保全し、制度対象性、関与部署、対象期間、初期証拠を短時間で確認します。
順位確保の必要性、申請様式、送信先、電話確認、社内決裁権限、海外同時申請を確認します。
形式的な申請だけでなく、真相解明に資する資料提出・協力を続け、違反行為を継続しない体制を整えます。
確約手続は、公取委と事業者との合意により、独占禁止法違反の疑いを自主的な措置によって解決するための制度です。通知を受けた事業者が確約計画の認定を申請でき、申請期間は通知を受けた日から60日以内とされています。
次の比較表は、確約計画に盛り込む要素を整理しています。列は措置の種類と内容を示しており、「何をやめるか」だけでなく、「なぜ再発しないか」を説明できる計画にする読み方が重要です。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 行為の停止・契約改訂 | 問題となる契約条項、営業運用、取引条件、価格維持要請等の停止と改訂 |
| 通知・原状回復 | 取引先、販売店、顧客、関係会社、従業員への是正通知、返金、補償、取引機会回復 |
| 体制整備・教育・監査 | 競争法審査、承認権限、相談窓口、記録管理、対象別研修、内部監査 |
| 報告 | 公取委への実施状況報告、証跡提出、責任者の明確化 |
行政処分、刑事、民事、公共調達、ガバナンスへ波及します。
公取委が排除措置命令や課徴金納付命令をしようとするときは、当事者について意見聴取が行われます。通知時から意見聴取終結までの間、公取委の認定した事実を立証する証拠の閲覧・謄写を求めることができ、意見聴取期日では意見を述べ、証拠を提出し、許可を得て審査官等へ質問できる場合があります。
次の重要統計は、独禁法違反対応が抽象的なリスクではなく、実際に多数の企業が直面する課題であることを表しています。件数と金額は公取委の令和6年度年次報告に基づく情報で、審査件数、完了件数、法的措置、課徴金納付命令、課徴金減免報告の規模を読み取れます。
排除措置命令21件、確約計画の認定3件、延べ33名に対する総額37億604万円の課徴金納付命令、課徴金減免制度に基づく報告等109件が示されています。
次の比較表は、命令後・事件後に発生し得る周辺リスクを整理しています。列はリスクの種類と実務上の影響を表しており、読者は公取委対応を行政手続だけでなく、資金、契約、株主、従業員、海外対応へ波及する問題として読む必要があります。
| リスク | 実務上の影響 |
|---|---|
| 排除措置命令・課徴金 | 行為停止、再発防止、取引先通知、法定算定による課徴金納付命令があり得ます。 |
| 刑事罰 | 一定の私的独占・不当な取引制限等について、個人の懲役・罰金、法人への両罰規定が問題になります。 |
| 民事責任 | 差止請求、無過失損害賠償責任、取引先・顧客・公共発注者・株主からの請求があり得ます。 |
| 公共調達・評判 | 指名停止、入札参加資格、主要顧客の契約解除、報道・SNS、従業員の士気低下に影響します。 |
| ガバナンス | 役員の善管注意義務・監視義務、監査法人による内部統制評価、取締役会報告が問題になります。 |
事件処理と再発防止を切り離さず、業務プロセスへ戻します。
独禁法事件の証拠と実態は、多くの場合、事業部門にあります。一方で、事業部門だけで公取委対応をすると、法的評価を誤ったり、証拠保全を怠ったり、競合他社へ連絡したりする危険があります。法務、コンプライアンス、内部監査、経営、事業、IT、会計がそれぞれの役割を持つ必要があります。
次の比較表は、企業内の役割分担を整理しています。どの部門が調査・統制・再発防止のどの部分を担うかを示しており、読者は公取委対応を組織横断の統治課題として読み取れます。
| 担当 | 主な役割 |
|---|---|
| 法務・企業内弁護士・外部専門家 | 事実整理、証拠保全、社内調査、当局窓口、取締役会報告、制度選択、争訟、海外当局対応 |
| コンプライアンス・内部監査・リスク管理 | 研修、競合接触ルール、通報制度、懲戒手続、入札・価格・取引先管理の監査 |
| 経営陣・取締役会・監査役 | 課徴金減免申請、確約手続、争訟、社外公表、役員処分、再発防止投資の重要判断 |
| 事業部門・IT・会計専門家 | 取引実態、価格決定、入札、代理店管理、電子証拠、ログ、売上・購買・課徴金算定基礎の解析 |
次の一覧は、事件後に再設計すべき独禁法コンプライアンスの要素を表しています。単なる研修ではなく、業務プロセスと評価制度に落とし込むことが重要であり、読者はどの統制を自社へ戻すべきかを読み取れます。
取締役会・経営陣が競争法遵守を明示し、売上至上主義を修正します。
競合接触、公共入札、価格決定、代理店管理、優越的地位、AI価格設定を棚卸しします。
競合接触規程、業界団体参加規程、入札規程、価格改定承認規程を整備します。
営業・購買が事前相談できる窓口を設け、対象別研修、サンプル監査、通報制度、懲戒・評価、証跡管理を運用します。
競合接触ルールでは、会合の事前承認、議題・資料・参加者の事前確認、価格・値上げ・数量・顧客・入札・販売地域・原価・利益率・将来戦略を議題にしないこと、問題発言時の異議・退出・記録・法務報告、業界団体議事録の保管を定めます。公共調達、価格転嫁、アルゴリズム・AI利用も、業務プロセスとして監査できる形に戻します。
疑い発覚、立入検査、供述聴取、減免、確約を分けて確認します。
次の一覧は、独禁法違反が疑われた場合に確認すべき事項を場面別に整理したものです。各項目は、漏れると初動遅れや証拠不備につながる確認点であり、読者は自社のマニュアルや連絡網へ転記できる粒度で読み取れます。
情報の入手経路、法務・経営・外部専門家への連絡、証拠保全命令、削除・移動・競合連絡・口裏合わせ禁止、違反継続の停止、取締役会・監査役報告、広報・IR準備を確認します。
初動身分証明書、告知書、事件名、被疑事実、関係法条、即時連絡、社内立会者、対象部署への通知、提出・留置目録、弁護士通信、電子データ範囲を確認します。
検査手続概要、真実を述べること、推測と記憶の区別、口裏合わせ禁止、体調・通訳・休憩、供述調書訂正、会社と従業員個人の利益相反を確認します。
聴取制度対象性、調査開始前後、他社申請可能性、初期証拠、違反期間、対象商品、市場、関与者、申請様式、送信先、電話確認、時刻記録、社内承認、海外同時申請、申請後協力体制を確認します。
減免通知の有無、60日以内の申請期限、問題行為の停止、通知、契約改訂、返金・補償、再発防止策、実施期限、責任者、証跡、報告方法、経営承認を確認します。
確約一般的な制度説明として整理し、個別判断は専門家相談が必要です。
一般的には、適法な立入検査であれば、弁護士が到着していないことだけを理由として検査を拒むことはできないとされています。ただし、弁護士への連絡、社内立会者の配置、資料提出・留置の記録、判別手続の対象可能性の確認は直ちに行う必要があります。具体的な対応は、告知内容や調査状況に応じて専門家へ相談する必要があります。
一般的には、カルテル・入札談合が疑われる場合、課徴金減免制度の順位が重要になるため、完全な調査終了を待つことが不利益になる可能性があります。一方で、事実確認が不十分なまま説明すると、誤った説明や過大な自認となる危険もあります。具体的には、証拠保全、暫定事実把握、制度対象性、海外対応を同時に検討する必要があります。
一般的には、競合他社から調査内容や回答内容を確認する連絡が来た場合、応じることは避けるべきとされています。口裏合わせ、証拠隠滅、違反継続、新たな情報交換と評価される可能性があります。受けた連絡の日時、相手、内容を記録し、法務部や外部専門家へ報告する必要があります。
一般的には、事実確認は必要ですが、誘導、威圧、供述内容のすり合わせ、証拠隠滅につながる質問は避ける必要があります。ヒアリングの目的、守秘、記録方法、個人責任の可能性、会社代理人と個人の利益相反を整理したうえで実施する必要があります。
一般的には、弁護士を形式的に宛先へ入れた業務メール、単なる事実報告、ヒアリング記録が当然に判別手続の対象となるわけではありません。判別手続は、一定の要件を満たす弁護士との秘密通信を対象とする取扱いです。具体的な保管・表示・申出方法は、平時から専門家と整理する必要があります。
一般的には、事業部門だけで回答することは避けるべきです。照会事項は一見単純でも、後の法的評価、課徴金算定、命令、争訟に影響する可能性があります。法務部、関係部署、外部専門家が確認し、事実と評価を区別して回答する必要があります。
一般的には、課徴金納付命令は、公取委が法定要件を認定した場合に行われます。違反を否認する権利はありますが、事実に反する否認や虚偽説明は別のリスクを生む可能性があります。防御主張は、証拠、市場分析、法的評価に基づいて検討する必要があります。
一般的には、独禁法は大企業だけの法律ではありません。地域の公共入札、業界団体、共同配送、代理店管理、下請・取引先への要求、価格協議など、中小企業でも問題となる場面があります。法務体制が限られる企業ほど、初動マニュアルと外部専門家との連携を平時から準備する必要があります。
疑いを軽視せず、証拠を守り、競合接触を止め、経営課題として扱います。
公取委対応は、平時の準備で成否が大きく変わります。立入検査が来てからマニュアルを探す企業と、競合接触ルール、入札管理、証拠保全、緊急連絡網、課徴金減免判断、外部専門家連携を平時から準備している企業とでは、同じ疑いに直面しても対応の質が変わります。
次の一覧は、企業が守るべき原則をまとめたものです。順番には意味があり、軽視しない、証拠を守る、競合と連絡しない、体制を組む、制度選択を検討する、再発防止へつなげるという一連の流れを読み取れます。
小さな通報や照会でも、別ルートで当局が情報を把握している可能性があります。
資料を消さない、動かさない、隠さないことを最初に徹底します。
事実確認のつもりでも、口裏合わせや違反継続と見られる危険があります。
法務、コンプライアンス、経営、事業、IT、内部監査、外部専門家を即時に連携させます。
課徴金減免、確約、意見聴取、争訟の選択肢を証拠状況と期限に沿って検討します。
事件処理と再発防止を切り離さず、取締役会、監査、内部統制の問題として扱います。