タグアロング条項は、大株主の売却局面で少数株主を取り残さないための契約上の売却参加権です。発動条件、通知、行使期間、売却株式数、買主拘束、譲渡承認まで具体的に設計して初めて機能します。
タグアロング条項は、大株主の売却局面で少数株主を取り残さないための契約上の売却参加権です。
少数株主のExit機会を守る契約上の売却参加権です。
タグアロング条項は、ある株主が第三者に株式を譲渡しようとする場合に、他の株主が同一または実質的に同等の条件でその売却に参加できるようにする条項です。売却参加権、共同売却権、共同売却請求権、Tag-Along Right、Co-Sale Right と呼ばれることもあります。
次の重要ポイント一覧は、タグアロング条項が守る利益を4つに分けたものです。条項の目的を正確に定義しないと、発動条件や売却株式数の設計がぶれます。各項目から、誰を何から守る条項なのかを読み取ってください。
非上場会社の少数株式は流動性が低く、単独では買主を見つけにくいです。大株主の売却機会に参加できれば投資回収の機会が現実化します。
買主が支配権や事業上のシナジーに価値を見出して高い価格を提示する場合、大株主だけが利益を得ることを防ぐ役割があります。
創業者、親会社、スポンサーが離脱し、未知の第三者が株主になる場合、経営方針、情報共有、競業リスク、技術流出リスクが変わります。
少数株主は情報請求権、拒否権、先買権、ドラッグアロング、みなし清算などと組み合わせて投資リスクを調整します。
スタートアップ、JV、事業承継、PE、上場準備で意味が変わります。
次の判断の流れは、タグアロング条項が発動する典型的な順番を示しています。上から下へ、誰が売るのか、何を通知するのか、誰が行使するのか、買主にどう取得させるのかを確認してください。順番を明確にするほど、クロージング直前の混乱を減らせます。
第三者への株式譲渡、支配権移転、競合先への譲渡などが発動対象かを確認します。
譲渡予定株式数、買主、価格、支払方法、主要条件、クロージング予定日、先買権との関係を通知します。
一定期間内に、全部参加型または比例参加型に基づき売却参加するかを決めます。
タグアロング権者の株式も買主に取得させ、手続が満たされない限り主要株主の譲渡を完了できない構造にします。
次の一覧は、タグアロング条項が使われる代表的な場面です。場面ごとに守りたい利益が異なるため、どの場面で何を条件にすべきかを読み取ってください。
創業者が持株を売却してキャッシュアウトした後、投資家だけが流動性の低い株式を持ち続ける不公平を調整します。
VC創業者片方の株主が第三者に売却すると、相手方は想定外のパートナーと共同事業を続けることになります。技術、顧客、ブランド、データが絡む場面で重要です。
JV共同事業オーナー売却時に少数株主も同条件で売却できれば、買主にとっても株主整理が進めやすくなります。
承継非上場ファンドのExitに経営陣が参加するか、経営陣の売却にファンドが参加するかを相互に設計することがあります。
PEExit金融商品取引法、公開買付規制、大量保有報告制度、インサイダー取引規制、適時開示、上場規則との関係を確認します。
上場規制会社法上当然の権利ではなく、契約で精密に作る権利です。
次の比較表は、タグアロング条項をどの文書に置くかを整理したものです。定款に入れる事項と契約に置く事項を混同すると、誰を拘束できるのかが不明確になります。各行から、効力範囲と運用しやすさの違いを読み取ってください。
| 文書 | 役割 | タグアロングとの関係 |
|---|---|---|
| 定款 | 会社の根本規則。会社、株主、機関に対する会社法上の効力を持ちます | 譲渡制限、種類株式、機関設計などは定款事項になり得ますが、詳細な運用は契約に置くことが多いです |
| 投資契約 | 新株発行、株式引受、投資実行条件を定めます | 投資時の前提条件、表明保証、払込、投資家権利の入口を定めます |
| 株主間契約 | 株主間の継続的な権利義務を定めます | タグアロング、先買権、ドラッグ、情報権、拒否権、取締役指名権の中心です |
| 財産分配契約 | M&A時の分配やExitを定めます | みなし清算、ドラッグ、売却代金配分などと連動することがあります |
| サイドレター | 個別投資家との補足合意です | 特定投資家だけに権利を与える場合、最恵待遇や情報開示との整合性が問題になります |
次のリスク一覧は、契約上の権利としてタグアロング条項を設計する際の限界と実効性確保策を示しています。買主や後続株主が契約当事者でない場合もあるため、どの義務を誰に負わせるかを読み取ってください。
タグアロング権は通常、株主間契約などの債権的権利として作られます。契約当事者でない買主や後続株主への効力は別途設計が必要です。
契約で「違反譲渡は無効」と書いても、第三者への譲渡効を当然に否定できるとは限りません。差止め、損害賠償、買戻し、承認手続と組み合わせます。
譲渡予定株主に、買主をしてタグ株式を取得させる義務を負わせるか、買主に加入契約を締結させる設計が重要です。
会社を契約当事者に入れる場合、通知、株主名簿、譲渡承認、加入書管理など、法令・定款に反しない範囲の協力に限定します。
売る権利、売らせる権利、先に買う権利を順序で整理します。
次の比較表は、タグアロング条項とドラッグアロング条項の違いを整理したものです。どちらも株式売却局面で使われますが、保護対象と機能が反対方向に働くため、列ごとの違いを必ず読み分けてください。
| 項目 | タグアロング条項 | ドラッグアロング条項 |
|---|---|---|
| 基本機能 | 他の株主が売却に参加できます | 他の株主を売却に参加させます |
| 主な保護対象 | 少数株主、投資家、非売却株主 | 買主、大株主、Exitを実現したい投資家 |
| 権利の性質 | 売る権利です | 売らせる権利または義務付けです |
| 典型場面 | 創業者や大株主の一部売却 | 会社全体のM&A、100%売却、Exit実現 |
| 主要リスク | 買主がタグ株式の取得を拒む、計算式が曖昧 | 少数株主が不本意な売却を強制される |
次の判断の流れは、先買権、タグアロング、ドラッグアロングの優先順位を示しています。順番が契約に書かれていないと、買主、売主、少数株主、会社の間でクロージング条件が不確実になります。上から下へ、第三者参入を止める段階、売却に参加する段階、会社全体を売る段階を読み取ってください。
譲渡予定株主が第三者への売却条件を通知します。
先買権者が同条件で買い取る場合、第三者売却は消滅または縮小します。
先買権が全部行使されない場合、残余株式について売却参加権の行使を確認します。
会社全体のM&Aなど適格ドラッグが発動する場合、ドラッグ条項を優先させる設計があります。
大株主の一部売却などでは、タグアロング手続で少数株主の参加機会を確保します。
対象者、対象譲渡、閾値、権利者、通知、買主拘束を具体化します。
次の比較表は、タグアロング条項の設計要素を一枚で点検するためのものです。各行は条項本文で具体化すべき項目であり、どこが曖昧だと発動しないか、買主を拘束できないか、売却株式数が争われるかを読み取ってください。
| 設計要素 | 主な選択肢 | 注意点 |
|---|---|---|
| 対象となる譲渡予定株主 | 創業株主、経営株主、親会社、筆頭株主、一定割合以上の株主、リード投資家、PEファンド、特定事業会社株主 | 全株主を対象にすると公平ですが、小規模譲渡にも発動し、実務負担が重くなります |
| 対象となる譲渡 | 売買、贈与、交換、現物出資、組織再編、信託、担保設定、デリバティブ、親会社株式の譲渡、間接的支配権移転 | 広すぎると過剰に発動し、狭すぎると潜脱されます |
| 発動閾値 | 1株でも発動、一定割合以上、支配権移転、創業者の大部分譲渡、競合先譲渡 | 閾値未満の分割譲渡や間接譲渡による潜脱に注意します |
| 権利者の範囲 | 全株主、創業者を除く全株主、優先株主、一定割合以上の投資家、シリーズ別投資家、リード投資家 | ラウンドが進む場合は新規株主の契約加入を忘れないようにします |
| 売却可能株式数 | 全部参加型、比例参加型、支配権移転時だけ全部参加型 | 買主の取得枠、譲渡予定株主の売却数、少数株主の公平性を調整します |
| 価格と条件 | 1株当たり価格、現金・株式・社債・アーンアウト、支払時期、エスクロー、表明保証、補償、ロックアップ | 同一条件の範囲を金額だけに限定しないことが重要です |
| 通知手続 | 買主情報、実質的支配者、反社・制裁リスク、株式数、価格、支払方法、主要条件、行使期限 | 通知不足だと権利行使の前提が揺らぎます |
| 行使方法 | 書面・電子署名、到達時点、撤回可否、配分、端数処理、署名期限、書類提出期限 | 期限管理と証拠化が重要です |
| 買主に取得させる義務 | 買主加入、売買契約への参加、タグ手続完了を譲渡の前提条件にする | 買主が契約当事者でない場合の実効性を補います |
| クロージング条件 | 売買契約、譲渡承認、株主名簿書換、株券交付、反社・制裁、競争法、外為法、税務書類、同時履行 | タグ行使分を含めた株式数で規制承認や資金確保を確認します |
次の比較表は、発動閾値ごとの向き不向きを整理したものです。閾値は少数株主保護と実務負担の調整点なので、どの場面で過剰発動や潜脱が起きるかを読み取ってください。
| 発動条件 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 1株でも譲渡すれば発動 | 少数株主保護を最大化したい場合 | 小規模譲渡にも過剰に発動し、実務負担が大きくなります |
| 一定割合以上の譲渡 | 実質的な株主構成変化のみ捕捉したい場合 | 閾値未満の分割譲渡による潜脱に注意します |
| 支配権移転を伴う譲渡 | M&A・親会社変更に焦点を当てる場合 | 支配権の定義が争点になります |
| 創業者の全部または大部分の譲渡 | 創業者コミットメントを重視する場合 | 一部流動化を許容するか検討します |
| 競合先・戦略買主への譲渡 | 事業リスクを重視する場合 | 競合先の定義が必要です |
全部参加型、比例参加型、除外取引、違反時救済を分けて設計します。
次の比較表は、売却可能株式数の計算方式を整理したものです。全部参加型と比例参加型では、譲渡予定株主、少数株主、買主の利害が大きく変わるため、どの条件でどの方式を使うかを読み取ってください。
| 方式 | 内容 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 全部参加型 | 権利者が自己保有株式の全部または一部を同条件で売却できます | 支配権移転や創業者の大部分売却など、少数株主を残すべきでない場面 | 買主の取得株式数が増え、資金・承認・契約条件が変わります |
| 比例参加型 | 買主の取得枠を、譲渡予定株主と権利者の保有割合に応じて配分します | 買主が取得株式数を限定している場面、通常の一部譲渡 | 譲渡予定株主の売却数が減るため、創業者側が嫌うことがあります |
| 折衷型 | 支配権移転では全部参加型、通常の一部譲渡では比例参加型にします | 保護と実務負担を調整したい場面 | 支配権移転や大部分売却の定義が重要です |
次の条項例の要点一覧は、条文として何を盛り込むべきかを機能ごとに整理したものです。実際の案件では、そのまま使うのではなく、株式構成、定款、投資ラウンド、買主属性、税務、規制、交渉力に合わせて修正する必要があります。
| 型 | 入れるべき要点 | 実務上の読み方 |
|---|---|---|
| 基本型 | 譲渡予定株主の事前通知、権利者の行使期間、同一価格・実質同等条件、買主に取得させる義務、タグ手続完了まで自己譲渡を実行しない義務 | 通知、行使、買主拘束、クロージング禁止を一体で書きます |
| 比例配分型 | 買主の取得上限がある場合、譲渡予定株主と権利者の保有株式数割合に応じて売却可能株式数を算定し、端数処理を定めます | 買主の取得枠が限られる場合にこそ売却参加の意味があります |
| 除外取引 | グループ内移転、相続、持株会、上場後の市場売却、ドラッグに基づく譲渡、全株主承認済み譲渡を除外しつつ、譲受人の加入義務を置きます | 除外を広げすぎると潜脱が生じます |
| 違反時救済 | 差止め、履行停止、損害賠償、違約金、会社の株主名簿書換協力拒否、買戻し義務を定めます | 無効と書くだけでは弱いため、実行前に止める手段を重視します |
契約上の権利と、譲渡承認・株主名簿の手続を分けて確認します。
次の比較表は、会社法上の譲渡制限とタグアロング条項の関係を整理したものです。契約上の売却参加権だけでは、会社の譲渡承認や株主名簿書換を当然に動かせるわけではないため、どの機関が何を決めるかを読み取ってください。
| 論点 | 確認事項 | 注意点 |
|---|---|---|
| 株式譲渡自由の原則 | 株主は原則として株式を譲渡できます | 定款で譲渡制限株式とされている場合は承認手続が必要です |
| 譲渡承認機関 | 株主総会、取締役会設置会社では取締役会、定款による別段の定め | タグアロング権者の株式譲渡にも承認が必要か確認します |
| 承認協力義務 | 譲渡予定株主、会社、他の株主が承認取得に協力するか | 取締役の善管注意義務・忠実義務との整合性を確認します |
| 承認されない場合 | 取引全体を中止するか、会社または指定買取人による買取りへ移行するか | 契約上の前提条件と整合させます |
| 会社の関与 | 通知取次ぎ、株主名簿情報、加入書管理、譲渡承認手続、名簿書換 | 会社が過度な義務を負わないよう範囲を限定します |
| 定款と契約の不一致 | 定款上は譲渡できても、株主間契約上は制限される場合があります | 組織法上の効力と契約上の責任を分けて理解します |
立場別の利害を見ながら、通知から名簿書換まで管理します。
次の一覧は、交渉当事者ごとの見方を整理したものです。同じタグアロング条項でも、投資家、創業者、会社、買主では重視するポイントが異なります。各立場がどのリスクを見ているかを読み取ると、落としどころを設計しやすくなります。
創業者や大株主が抜けるなら自分も抜けられるか、同じ経済条件で売れるか、買主に取得させる義務が明確かを重視します。
一定割合以下の売却、グループ内移転、相続、資産管理会社への移転、会社承認済みセカンダリーを除外したいと考えることがあります。
株主名簿管理、譲渡承認機関、新規株主の加入、上場準備時の解除、競合先や反社・制裁対象者の株主化防止を確認します。
追加株式を取得する義務があるか、取得株式数が増えるか、価格・条件を全売主に同一にする必要があるか、規制承認が変わるかを確認します。
次の時系列は、条項を実際に運用する場面を示しています。投資時からクロージング後まで順番に確認することで、通知漏れ、行使期限漏れ、規制承認漏れ、名簿書換漏れを防ぎやすくなります。
何を防ぎたいか、誰の売却で発動するか、誰が権利者か、対象譲渡・除外取引を決めます。
通知内容、行使期間、売却株式数の計算式、先買権・ドラッグとの順序、譲渡承認、買主加入、違反時救済を定めます。
売却がタグ発動対象か、先買権手続の要否、買主の取得意思、タグ行使分を含む資金・承認を確認します。
買主、実質的支配者、株式数、価格、支払方法、契約条件、クロージング予定日、行使期限を通知し、到達を証拠化します。
複数権利者、端数、撤回可否、売買契約への署名期限、必要書類提出期限を管理します。
譲渡承認、株主名簿書換、反社・制裁、競争法、外為法、業法、税務書類、エスクローを確認します。
代金支払、株式移転、株主名簿書換、新株主の契約加入、秘密保持・情報開示制限を確認します。
同一条件、買主拘束、分割譲渡、表明保証、規制を詰めます。
次のリスク一覧は、タグアロング条項で特に争点になりやすい論点を整理したものです。どのリスクも、発動条件、通知、買主拘束、表明保証、規制承認のいずれかに接続します。各項目から、条項本文で先に潰すべき曖昧さを読み取ってください。
価格だけでなく、支払方法、アーンアウト、株式対価、エスクロー、表明保証、補償、ロックアップ、経営継続義務まで条件に含めるかを決めます。
買主が契約当事者でない場合、直接請求は難しいため、譲渡予定株主の取得させる義務、買主加入、前提条件を組み合わせます。
閾値未満の売却を複数回行うと発動を避けられる可能性があるため、一定期間内の合算や関連者譲渡を定めます。
親会社株式の譲渡、持株会社の支配権移転、組織再編などで実質的に支配権が移る場合を含めるか検討します。
経営に関与しない少数株主に、会社事業全体の表明保証や広い補償を負わせる設計は慎重に検討します。
現金以外の対価は評価方法、リスク、ロックアップ、税務処理が異なるため、同一条件の意味を明確にします。
外国投資家、規制業種、制裁対象、業法許認可が関わると、タグ行使分を含む取得株式数が規制判断に影響します。
競合先が買主となる場合、情報開示、デューデリジェンス、クリーンチーム、営業秘密管理を慎重に設計します。
次の比較表は、少数株主が負う表明保証をどこまで限定するかを整理したものです。経営に関与していない権利者には、会社事業全体ではなく、自分の株式と権限に関する事項へ限定する方向で読むのが一般的です。
| 表明保証の範囲 | 典型例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 株式保有 | 自己が株式を有効に保有していること | 株主名簿、譲渡制限、担保権の有無を確認します |
| 権限 | 契約締結権限があること | 法人株主では取締役会・投資委員会承認が必要な場合があります |
| 無担保・無制限違反 | 株式に担保権、差押え、譲渡制限違反がないこと | 担保設定や契約上の譲渡制限を確認します |
| 反社・制裁 | 反社会的勢力でないこと、制裁対象者でないこと | 買主のKYC、AML、制裁チェックと連動します |
| 税務情報 | 税務上必要な情報が正確であること | 居住地、源泉、支払調書などを確認します |
| 会社事業全体 | 財務、税務、労務、知財、法令遵守など | 経営に関与しない少数株主へ広く負わせる設計は慎重に検討します |
資本関係資料、契約条項、実務確認を早期に洗い出します。
次の比較表は、M&Aデューデリジェンスで確認すべき資料と条項を整理したものです。売却直前にタグアロング条項が見つかるとスケジュールに影響するため、資本関係資料、契約条項、実務確認を分けて読み取ってください。
| 区分 | 確認項目 |
|---|---|
| 資本関係資料 | 最新の株主名簿、種類株式の内容、新株予約権原簿、ストックオプション契約、投資契約、株主間契約、財産分配契約、サイドレター、持株会規約、過去の株式譲渡契約、株主総会議事録、取締役会議事録、定款、登記事項証明書 |
| 契約条項 | タグアロング権の有無、権利者、義務者、発動条件、対象譲渡、除外取引、通知期限、行使期間、売却株式数の計算式、価格・条件の定義、先買権との順序、ドラッグとの優先関係、買主加入義務、譲渡承認手続、違反時救済、契約終了条件 |
| 実務上の確認 | 全株主が契約当事者か、後続株主が加入しているか、サイドレターで別条件がないか、連絡不能株主がいないか、海外株主に通知できるか、行使期間がM&Aスケジュールに収まるか、取得資金と承認にタグ行使分が含まれるか、規制承認の対象株式数が変わらないか |
次の失敗例一覧は、条項が「あるだけ」で機能しない典型パターンを整理したものです。各行から、条項名ではなく、通知、順序、買主拘束、後続株主加入、上場時終了、補償、税務まで具体化する必要性を読み取ってください。
| 失敗例 | 改善策 |
|---|---|
| 条項名だけで中身がない | 発動条件、通知、行使期間、売却株式数、買主拘束、違反時救済を具体化します |
| 先買権との順序がない | 先買権が先か、タグが先か、残余株式にどう適用するかを明記します |
| 買主を拘束できない | 譲渡予定株主の取得させる義務、買主加入、前提条件を置きます |
| 後続株主が契約に加入していない | 新規株主の加入義務と加入書管理を定めます |
| 上場時の終了条件がない | IPO申請時、上場承認時、上場日、全株主同意時など終了時点を明確にします |
| 表明保証・補償が過剰 | 少数株主には株式保有、権限、反社・制裁、税務情報などへ限定する方向で調整します |
| 税務を後回しにする | 居住地、源泉、株式対価、アーンアウト、エスクロー、費用負担を早期に確認します |
公正なM&A、国際実務、専門職の役割まで見通します。
次の比較表は、タグアロング条項の主なバリエーションを整理したものです。同じ売却参加権でも、全部参加、比例参加、支配権移転、競合先譲渡、投資家相互、二段階発動では、保護範囲と実務負担が異なります。
| 種類 | 内容 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| フルタグ | 権利者が自己保有株式の全部を売却できる設計です | 支配権移転や大株主の大部分売却に対応したい場合 |
| プロラタタグ | 買主の取得枠を保有割合に応じて配分する設計です | 買主の取得株式数に上限がある場合 |
| チェンジ・オブ・コントロールタグ | 直接譲渡だけでなく、親会社や持株会社の支配権移転で発動します | 間接譲渡による潜脱を防ぎたい場合 |
| 競合先譲渡タグ | 競合先や戦略買主への譲渡で発動します | 技術、データ、営業秘密、顧客関係を守りたい場合 |
| 投資家相互タグ | 特定投資家の売却に他の投資家が参加できます | リード投資家間の公平性を重視する場合 |
| 二段階タグ | 一定規模までは不発動、閾値超過や支配権移転時に発動します | 小規模流動化を許しつつ大規模売却を捕捉したい場合 |
次の一覧は、公正なM&A、国際実務、専門職の役割を一体で見るための確認項目です。株主間契約だけで完結せず、公開買付、上場規則、外為法、制裁、税務、言語、登記まで広がることを読み取ってください。
米国ベンチャー投資では Right of First Refusal and Co-Sale Agreement が整備されており、日本実務では会社法、定款、株主間契約と整合させます。
法務、商事法務、司法書士、税務・会計、知財、コンプライアンス、M&Aアドバイザーが、それぞれ手続、税務、登記、規制、契約を確認します。
作成時と売却実行時で、確認事項を分けて管理します。
次のチェック表は、条項作成時と売却実行時に確認すべき事項を分けたものです。条項作成時は設計の抜け漏れを、売却実行時は通知・期限・承認・名簿書換の実務漏れを読み取ってください。
| 場面 | チェック項目 |
|---|---|
| 条項作成時 | 目的、譲渡予定株主、権利者、対象譲渡、間接譲渡、除外取引、分割譲渡の合算、通知事項、行使期間、売却可能株式数、端数処理、価格・条件、表明保証・補償、先買権との順序、ドラッグとの優先関係、買主取得義務、買主加入義務、譲渡承認、違反時救済、上場時・全株主同意時の終了条件 |
| 売却実行時 | 株主間契約の最新版、全サイドレター、タグ発動対象、先買権手続、買主の取得意思、通知書の必要情報、通知到達の証拠化、行使期限、行使株式数、売買契約への権利者参加、表明保証・補償調整、譲渡承認、規制承認、税務書類、株主名簿書換、新株主の契約加入 |
少数株主保護、買主拘束、定款、違反時救済を一般情報として整理します。
FAQは、個別案件の判断ではなく、一般的な制度・実務上の考え方として整理しています。株主構成、契約当事者、定款、買主属性、規制、証拠関係によって結論は変わるため、具体的な対応は資料を整理して専門家に相談する必要があります。
一般的には、上場株式のように市場流動性がある場合や、投資目的が配当・長期保有に限られる場合、優先度が下がることがあります。一方、非上場会社、スタートアップ、JV、同族会社、少数投資家が流動性を持たない場面では重要性が高くなります。個別事情で必要性は変わります。
一般的には、買主が契約当事者でなければ直接請求は難しいと考えられます。そのため、譲渡予定株主に買主をしてタグ株式を取得させる義務を負わせる、買主加入契約を締結させる、タグ手続完了を売却の前提条件にする設計が重要です。
一般的には、同時に置くことができます。ただし、会社全体のM&Aを成立させる適格ドラッグが発動する場合はドラッグが優先し、それ以外の大株主売却ではタグを適用するなど、優先順位を明記する必要があります。
一般的には、詳細な売却参加手続は株主間契約に置くことが多いです。定款には譲渡制限、種類株式、機関設計など会社法上必要な事項を置き、契約で通知、行使、買主拘束、救済を定める設計が実務的です。
一般的には、必ずしもそうとは限りません。生活資金、税金、資産分散、上場前流動化を一定範囲で認めることが会社の成長に資する場合もあります。一定割合以下や会社承認済みの売却を除外し、支配権移転や大量売却で発動させる設計が考えられます。
一般的には、経営に関与していない少数株主へ会社の財務、税務、労務、知財、法令遵守などを広く保証させる設計は慎重に検討されます。自らの株式保有、権限、無担保、反社・制裁、税務情報などへ限定することが多いです。
一般的には、当然に無効とは限りません。契約当事者間では契約違反となり得ますが、買主や第三者への効力、会社法上の株式移転、株主名簿、譲渡承認の効果は別途検討が必要です。差止め、仮処分、買主加入、譲渡承認、名簿対応、損害賠償予定を組み合わせます。
一般的には、契約上の合意として使われる余地はあります。ただし、上場会社では金融商品取引法、公開買付規制、大量保有報告制度、インサイダー取引規制、適時開示、取引所規則との関係を厳格に確認する必要があります。非上場会社の設計をそのまま使うことは避けるべきです。