2σ Guide

取引先との紛争で
仮処分を申し立てるべきケース

通常訴訟を待つと回復困難な損害が出る場面で、営業秘密、商標、金型、システム、信用毀損などをどのように保全するかを整理します。

4条件 権利・危険・措置・証拠
3種類 仮差押え・係争物・仮の地位
2週間 保全執行で意識する期限
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取引先との紛争で 仮処分を申し立てるべきケース

通常訴訟を待つと回復困難な損害が出る場面で、営業秘密、商標、金型、システム、信用毀損などをどのように保全するかを整理します。

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取引先との紛争で 仮処分を申し立てるべきケース
通常訴訟を待つと回復困難な損害が出る場面で、営業秘密、商標、金型、システム、信用毀損などをどのように保全するかを整理します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 取引先との紛争で 仮処分を申し立てるべきケース
  • 通常訴訟を待つと回復困難な損害が出る場面で、営業秘密、商標、金型、システム、信用毀損などをどのように保全するかを整理します。

POINT 1

  • 取引先との紛争で仮処分を申し立てるべきケースの全体像
  • 通常訴訟を待つと回復困難な損害が出る場面で、暫定的な保全措置として検討します。
  • 守るべき権利がある
  • 判決を待つと困難になる
  • 措置を具体化できる

POINT 2

  • 仮処分と仮差押えの違いを取引先紛争で見分ける
  • 1. 最終的に何を実現したいか:金銭回収、物の確保、行為の停止、利用継続を分けます。
  • 2. 仮差押えを検討:相手財産の散逸リスクと財産特定を確認します。
  • 3. 仮処分を検討:現状維持または急迫な危険の除去を設計します。
  • 4. 命令内容を具体化:対象物、情報、商品、媒体、期間、禁止行為を特定します。

POINT 3

  • 取引先との紛争で仮処分が必要になる時間との戦い
  • 秘密情報の拡散
  • 営業秘密が外部に広がると、秘密状態と競争上の優位を完全に回復することは困難です。
  • 物の売却・廃棄
  • 係争中の金型、機械、在庫が第三者へ移転すると、引渡請求の実現が難しくなります。

POINT 4

  • 取引先との紛争で仮処分を申し立てるべき典型ケース
  • 営業秘密、商標、金型、取引継続、競合販売、信用毀損、不動産、デジタル資産を類型別に確認します。
  • なぜ重要かというと、類型ごとに必要な法的根拠、証拠、注意点が変わるためです。

POINT 5

  • 取引先との紛争で仮処分を申し立てる判断手順
  • 1. 守りたい利益を特定:金銭、物、情報、ブランド、事業継続、顧客関係、占有を分けます。
  • 2. 被保全権利を組み立てる:所有権、契約上の地位、秘密保持契約、知財権、不正競争防止法 上の請求などを検討します。
  • 3. 保全の必要性を具体化:本案判決まで待つと何が、いつ、どの程度起きるのかを資料で説明します。
  • 4. 仮処分の内容を設計:情報、物、商標、商品、媒体、期間、禁止行為を第三者にも分かる形にします。
  • 5. 担保と反対リスクを見積もる:担保金、相手方損害、取引関係、顧客、広報、本案維持可能性を確認します。

POINT 6

  • 仮処分申立て前の証拠と社内初動を整える
  • 1. 窓口を一本化:営業、技術、サポート、経営陣のやり取りを法務または責任者に集約します。
  • 2. 証拠を保全:メール、チャット、ログ、スクリーンショット、Webページ、写真、契約書、議事録を保存します。
  • 3. 不用意な発言を避ける:感情的なメール、SNS投稿、脅しと受け取られる表現を避けます。
  • 4. 被害拡大を防ぐ:アクセス権限、パスワード、顧客確認、代替調達、社内周知を同時に進めます。
  • 5. 法務・経営・広報・事業部を連携:手続、顧客対応、資金繰り、サプライチェーンへの影響を一体で判断します。

POINT 7

  • 仮処分の手続の流れと2週間ルールを確認する
  • 1. 管轄を確認:本案の管轄裁判所、係争物所在地、相手方所在地、合意管轄、知財事件かどうかを確認します。
  • 2. 趣旨と理由を作成:当事者、申立ての趣旨、被保全権利、保全の必要性、証拠、目録、担保意見を整理します。
  • 3. 面接・審尋:無審尋事件では債権者面接、仮の地位を定める仮処分では相手方が立ち会える審尋が行われる場合があります。
  • 4. 供託・保証:裁判所が担保を求める場合、供託や支払保証委託契約などで担保を準備します。
  • 5. 保全執行:占有移転禁止、物の引渡し、現地保管などでは執行官による保全執行が必要になることがあります。
  • 6. 異議・本案対応:相手方の保全異議や保全取消し、本案訴訟、仲裁、和解交渉を見据えて主張立証を強化します。

POINT 8

  • ケース別チェックリストで仮処分の準備不足を見つける
  • 営業秘密、商標、金型、取引継続、信用毀損ごとに、確認事項を絞り込みます。
  • 物件目録
  • 営業秘密目録
  • 商品・商標目録

まとめ

  • 取引先との紛争で 仮処分を申し立てるべきケース
  • 取引先との紛争で仮処分を申し立てるべきケースの全体像:通常訴訟を待つと回復困難な損害が出る場面で、暫定的な保全措置として検討します。
  • 仮処分と仮差押えの違いを取引先紛争で見分ける:お金を後で回収したいのか、物・情報・行為・地位を守りたいのかで手続が変わります。
  • 取引先との紛争で仮処分が必要になる時間との戦い:通常訴訟の慎重な審理を待つ間に、秘密情報、物、ブランド、システム、信用が損なわれる場合があります。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

取引先との紛争で仮処分を申し立てるべきケースの全体像

通常訴訟を待つと回復困難な損害が出る場面で、暫定的な保全措置として検討します。

取引先との紛争では、売掛金の未払い、契約解除、秘密情報の流出、商標やロゴの無断使用、在庫や金型の引渡し拒否、システム利用停止、信用を傷つける説明の流布などが起こります。多くは交渉、内容証明、調停、訴訟、仲裁、債権回収で対応しますが、判決を待っていたのでは遅い事案があります。

次の一覧は、仮処分を真剣に検討する典型条件を四つに分けたものです。なぜ重要かというと、単に相手が悪質、早く解決したいというだけでは足りず、裁判所へ示せる権利、危険、具体的措置、証拠が必要になるためです。四つがそろうほど、仮処分の検討優先度が高いと読み取ります。

Condition 1

守るべき権利がある

契約上の地位、所有権、使用差止請求権、秘密保持義務、知的財産権、営業秘密、占有、引渡請求権などです。

Condition 2

判決を待つと困難になる

係争物の売却・廃棄・移転、秘密情報の拡散、ブランド毀損、事業停止に近い損害などです。

Condition 3

措置を具体化できる

特定製品の販売禁止、特定情報の使用・開示禁止、特定物の処分禁止、一定期間の利用妨害禁止などです。

Condition 4

短期間で疎明できる

契約書、発注書、メール、ログ、写真、スクリーンショット、NDA、陳述書などを整理します。

次の強調表示は、このページの判断軸を一文にしたものです。なぜ重要かというと、仮処分を強硬手段ではなく、権利を実質的に失わないための暫定的な設計として理解できるためです。金銭だけで回復できない損害が時間経過で拡大するかを中心に読みます。

仮処分を検討すべき中心条件

金銭賠償だけでは救済しきれない損害が、訴訟の結論を待つ間に発生・拡大するおそれがあり、法的根拠と証拠を短期間で示せるケースです。

Section 01

仮処分と仮差押えの違いを取引先紛争で見分ける

お金を後で回収したいのか、物・情報・行為・地位を守りたいのかで手続が変わります。

次の比較表は、民事保全の三種類と取引先紛争での使いどころを整理したものです。なぜ重要かというと、未払い代金の回収を保全したい場合と、秘密情報やブランド使用を止めたい場合では、選ぶ手続が違うためです。目的欄を見て、自社の紛争がどの手続に近いかを読み取ります。

種類目的取引先紛争での典型例
仮差押え金銭債権について、将来の強制執行を保全する売掛金、貸付金、損害賠償金を回収する前に相手方財産が散逸しそうな場合
係争物に関する仮処分特定物・不動産・権利などの現状を維持する金型、機械、在庫、倉庫、建物、特定商品、登記対象物が売却・移転・廃棄されそうな場合
仮の地位を定める仮処分著しい損害または急迫の危険を避けるため暫定的な地位・措置を定める秘密情報の使用禁止、商標使用差止め、販売差止め、契約上の地位の一時的維持、システム利用妨害禁止など

次の判断の流れは、紛争目的から手続を選ぶ順番を示します。なぜ重要かというと、「仮処分」という言葉だけで考えると、金銭回収に仮処分を選んでしまうなどのずれが起きるためです。上から順に、お金、物、行為、地位のどれを守りたいかを確認します。

保全手続の選び方

最終的に何を実現したいか

金銭回収、物の確保、行為の停止、利用継続を分けます。

金銭回収
仮差押えを検討

相手財産の散逸リスクと財産特定を確認します。

物・行為・地位
仮処分を検討

現状維持または急迫な危険の除去を設計します。

命令内容を具体化

対象物、情報、商品、媒体、期間、禁止行為を特定します。

暫定性仮処分は通常訴訟の判決の代わりではありません。認められても本案で必ず勝つとは限らず、認められなくても本案で必ず敗れるわけではありません。
Section 02

取引先との紛争で仮処分が必要になる時間との戦い

通常訴訟の慎重な審理を待つ間に、秘密情報、物、ブランド、システム、信用が損なわれる場合があります。

次の一覧は、通常訴訟だけでは遅くなる代表場面を整理したものです。なぜ重要かというと、仮処分の必要性は「本案で勝てるか」だけでなく「勝った時点で救済が意味を持つか」から導かれるためです。各項目では、後から元に戻しにくい損害かを読み取ります。

秘密情報の拡散

営業秘密が外部に広がると、秘密状態と競争上の優位を完全に回復することは困難です。

物の売却・廃棄

係争中の金型、機械、在庫が第三者へ移転すると、引渡請求の実現が難しくなります。

ブランド毀損

ライセンス終了後の商標使用や類似表示により、顧客の混同や品質管理上の危険が広がります。

事業継続への影響

重要な仕入、クラウド、決済、物流、データアクセスの停止により顧客対応や生産が止まることがあります。

信用毀損

虚偽説明が顧客や市場に広がると、後日の損害賠償だけでは信用回復が難しい場合があります。

次の比較表は、仮処分の二つの本質を整理したものです。なぜ重要かというと、命令内容を作るときに、現状を固定したいのか、急迫な危険を止めたいのかを分ける必要があるためです。目的と典型措置を対応させて読みます。

目的意味典型措置
現状維持特定物、不動産、権利、占有、登記状態が変わると将来の権利実現が難しい場面で状態を固定します。処分禁止、占有移転禁止、仮の保管、搬出禁止
急迫な危険の除去相手方の行為を一時的に禁止し、著しい損害や急迫の危険を避けます。使用・開示禁止、販売差止め、利用妨害禁止、データ削除禁止
Section 03

取引先との紛争で仮処分を申し立てるべき典型ケース

営業秘密、商標、金型、取引継続、競合販売、信用毀損、不動産、デジタル資産を類型別に確認します。

次の比較表は、仮処分を検討しやすい取引先紛争の類型を整理したものです。なぜ重要かというと、類型ごとに必要な法的根拠、証拠、注意点が変わるためです。左列で類型を選び、右列で急ぎ整理する証拠を読み取ります。

類型仮処分を検討する理由重要な証拠
営業秘密・秘密情報一度拡散すると秘密性や競争優位の回復が困難です。NDA、秘密表示、アクセス制限、開示履歴、類似商品、拡散危険の資料
商標・ロゴ・ブランド顧客混同、信用毀損、品質管理の破綻が進みます。商標登録情報、ライセンス契約、終了通知、Webページ、広告、店舗写真、顧客問い合わせ
金型・機械・在庫・データ媒体売却・移転・廃棄されると本案勝訴後の実現が困難です。契約書、所有権条項、物件目録、写真、型番、保管場所、売却示唆のメール
取引継続・供給停止判決までに顧客、売上、信用、事業基盤を失う可能性があります。基本契約、利用規約、停止通知、代替調達困難性、売上・納期・顧客影響
競合販売・類似商品市場シェア、価格、販売網、ブランドが短期間で損なわれます。共同開発契約、ライセンス契約、相手製品、広告、自社製品との比較、販売開始予定
虚偽説明・信用毀損顧客離脱や市場評価の低下を後から完全回復しにくい場合があります。顧客連絡、録音、配布文書、SNS投稿、虚偽性を示す資料、影響資料
不動産・倉庫・店舗の占有占有者が変わると、明渡判決後の執行が複雑になります。賃貸借契約、解除通知、現地写真、看板、使用者資料、占有移転のおそれ
Web・ドメイン・SNS・データ短時間で移転、削除、改変され、復元が困難な場合があります。ドメイン登録情報、管理画面、契約、権限変更ログ、スクリーンショット、削除予告
特定仮処分では、対象情報、対象商品、物件、Webサイト、データ、顧客、発言内容を具体的に特定する必要があります。抽象的な禁止表現だけでは発令や執行が難しくなります。
Section 04

取引先との紛争で仮処分を申し立てる判断手順

守りたい利益、被保全権利、保全の必要性、命令内容、担保と反対リスクを順番に検討します。

次の判断の流れは、仮処分を申し立てるべきかを五段階で整理したものです。なぜ重要かというと、緊急性だけで動くと、権利根拠、証拠、担保、相手方不利益の検討が抜けやすいからです。上から順に、裁判所へ説明する骨格を作る読み方をします。

仮処分申立ての五段階

守りたい利益を特定

金銭、物、情報、ブランド、事業継続、顧客関係、占有を分けます。

被保全権利を組み立てる

所有権、契約上の地位、秘密保持契約、知財権、不正競争防止法上の請求などを検討します。

保全の必要性を具体化

本案判決まで待つと何が、いつ、どの程度起きるのかを資料で説明します。

仮処分の内容を設計

情報、物、商標、商品、媒体、期間、禁止行為を第三者にも分かる形にします。

担保と反対リスクを見積もる

担保金、相手方損害、取引関係、顧客、広報、本案維持可能性を確認します。

次の比較表は、申し立てを強く検討する場面、慎重に検討する場面、原則として適さない場面を分けたものです。なぜ重要かというと、仮処分は強力な一方で、担保や反撃リスクがあるため、適否の見極めが必要だからです。各列を比較し、自社の事案がどこに近いかを読み取ります。

強く検討慎重に検討適さないことが多い
営業秘密・顧客情報・設計情報が外部開示されそう取引継続を相手に強制したい未払い代金だけを回収したい
商標・ブランドの無断使用が継続中広範な競業避止や販売禁止を求めたい損害賠償で十分に回復できる
係争物が売却・廃棄・搬出されそう事実関係が複雑で証拠が不足している交渉上揺さぶることが主目的
システム・データ・アカウントが削除または遮断される危険がある海外取引先や国外プラットフォームが関係する権利根拠がほとんどない
Section 05

仮処分申立て前の証拠と社内初動を整える

時系列、権利、必要性の三分類で証拠をまとめ、社内窓口と証拠保全を急ぎます。

次の比較表は、仮処分で整理する証拠を三分類に分けたものです。なぜ重要かというと、裁判官が短期間で事案を理解するには、背景説明よりも、時系列、権利、危険が一目で分かる構成が必要だからです。各分類の証拠を別フォルダに分ける読み方をします。

分類主な証拠
時系列を示す証拠契約締結日、取引開始日、秘密情報開示日、紛争発生日、解除通知日、販売開始日、削除・移転・出荷・開示予定日、交渉経過
被保全権利を示す証拠契約書、発注書、納品書、検収書、支払記録、NDA、知財登録情報、仕様書、所有権帰属資料、利用許諾履歴
保全の必要性を示す証拠売却・移転・廃棄の予告、販売ページ、広告、展示会情報、虚偽説明資料、削除予告、代替調達困難性、事業停止リスク

次の判断の流れは、社内で直ちに行う初動対応を順番に示します。なぜ重要かというと、部門ごとに相手方へ発言したり証拠が散逸したりすると、申立ての説得力が落ちるためです。上から順に窓口、保存、発言、実務措置、部門連携を進めると読み取ります。

緊急時の社内初動

窓口を一本化

営業、技術、サポート、経営陣のやり取りを法務または責任者に集約します。

証拠を保全

メール、チャット、ログ、スクリーンショット、Webページ、写真、契約書、議事録を保存します。

不用意な発言を避ける

感情的なメール、SNS投稿、脅しと受け取られる表現を避けます。

被害拡大を防ぐ

アクセス権限、パスワード、顧客確認、代替調達、社内周知を同時に進めます。

法務・経営・広報・事業部を連携

手続、顧客対応、資金繰り、サプライチェーンへの影響を一体で判断します。

禁止事項相手方システムへの無断アクセス、秘密保持義務に反する資料取得、個人情報や通信秘密を侵害する収集、証拠の改ざん・削除、SNSでの一方的告発は、法的主張の信用を損なうおそれがあります。
Section 06

仮処分の手続の流れと2週間ルールを確認する

管轄、申立書、裁判官面接、審尋、担保、発令、保全執行、不服申立て、本案を見通します。

次の時系列は、仮処分手続の一般的な流れを整理したものです。なぜ重要かというと、命令を得るだけで終わらず、担保提供、保全執行、不服申立て、本案対応まで続くためです。上から順に、どの段階で何を準備するかを読み取ります。

申立先

管轄を確認

本案の管轄裁判所、係争物所在地、相手方所在地、合意管轄、知財事件かどうかを確認します。

申立書

趣旨と理由を作成

当事者、申立ての趣旨、被保全権利、保全の必要性、証拠、目録、担保意見を整理します。

審理

面接・審尋

無審尋事件では債権者面接、仮の地位を定める仮処分では相手方が立ち会える審尋が行われる場合があります。

担保

供託・保証

裁判所が担保を求める場合、供託や支払保証委託契約などで担保を準備します。

発令後

保全執行

占有移転禁止、物の引渡し、現地保管などでは執行官による保全執行が必要になることがあります。

その後

異議・本案対応

相手方の保全異議や保全取消し、本案訴訟、仲裁、和解交渉を見据えて主張立証を強化します。

次の強調表示は、保全執行で特に見落としやすい期限を示します。なぜ重要かというと、命令取得後に執行着手が遅れると、手続の効果を失うおそれがあるためです。期限は発令後の行動予定に必ず組み込みます。

保全執行は2週間を意識する

民事保全法43条2項は、保全命令が債権者に送達された日から2週間を経過したときは保全執行をしてはならないと定めています。命令取得後も迅速な執行準備が必要です。

Section 07

ケース別チェックリストで仮処分の準備不足を見つける

営業秘密、商標、金型、取引継続、信用毀損ごとに、確認事項を絞り込みます。

次の比較表は、主要な類型ごとのチェック項目をまとめたものです。なぜ重要かというと、仮処分は短期間での疎明が必要で、類型ごとの不足資料が結果に影響しやすいからです。自社の類型に近い行を選び、チェック項目が埋まるかを確認します。

類型確認事項
営業秘密・秘密情報秘密情報の特定、秘密表示、アクセス制限、管理規程、NDA、接触経路、使用・開示証拠、拡散時の不可逆性、情報目録・製品目録
商標・ブランド登録商標または保護表示、使用態様、契約終了・許諾範囲外使用、顧客混同、媒体、差止範囲の限定
金型・機械・在庫型番、数量、写真、保管場所、所有権・引渡請求権、処分のおそれ、代替困難性、留置権反論への備え
取引継続・供給停止解除・停止が無効または違法と考える根拠、継続範囲、代替手段、切替期間、事業損害、相手方負担、自社の債務不履行の有無
虚偽説明・信用毀損問題発言の特定、虚偽性の資料、媒体と相手方、継続・反復のおそれ、顧客離脱や信用毀損、禁止対象の限定

次の一覧は、目録を作るときの用途を整理したものです。なぜ重要かというと、命令文や執行では、何を禁止し、何を保全するかが第三者にも分かる程度に具体的でなければならないからです。対象ごとに、どの目録を準備するかを読み取ります。

Object

物件目録

金型、機械、在庫、不動産、設備を名称、数量、型番、写真、保管場所で特定します。

Secret

営業秘密目録

秘密情報を特定しつつ、秘密情報そのものを不必要に公開しすぎない工夫も検討します。

Brand

商品・商標目録

販売差止め対象商品や使用禁止対象の商標・ロゴを特定します。

Digital

Web・データ目録

URL、SNSアカウント、ECページ、データベース、リポジトリ、クラウド領域を特定します。

Section 08

仮処分は交渉・広報・和解・他手段と一体で設計する

強力な手続だからこそ、却下、担保、関係悪化、顧客影響、相手方の反撃も見込みます。

次の比較表は、仮処分を使う場合の主なリスクを整理したものです。なぜ重要かというと、仮処分は相手方の営業活動や財産利用を制限するため、自社側にも担保や反撃の負担が生じるからです。リスク欄と準備欄をセットで確認します。

リスク内容準備
却下主張や証拠の一部が相手方に伝わり、交渉上不利になることがあります。追加証拠、訴訟、交渉、別手続を準備します。
担保と損害賠償後に本案で主張が認められない場合、相手方から損害賠償を請求される可能性があります。担保資金、相手方損害、販売差止めの影響を見積もります。
取引関係悪化申立てにより関係修復が困難になる場合があります。守る利益と関係悪化リスクを経営判断します。
顧客・市場への波及販売差止め、供給停止、システム停止、ブランド紛争は顧客に影響します。法務、広報、営業、サポートで説明方針を整えます。
相手方の反撃保全異議、保全取消し、本案訴訟、反対の申立て、取引停止、広報対応があり得ます。反論を想定し、本案レベルの主張立証を強化します。

次の比較表は、仮処分と他の手段の使い分けを示します。なぜ重要かというと、目的が金銭回収なら仮差押え、関係維持なら交渉や調停、最終判断なら訴訟が向く場合もあるためです。長所、短所、向く場面を横に比較して読みます。

手段長所短所向いている場面
交渉低コスト、柔軟、関係維持可能相手が応じないと効果がない相手に是正意思がある
内容証明郵便証拠化、心理的効果相手に準備時間を与える警告、解除、差止要求
仮処分迅速、強力、暫定的に止められる担保、却下、反撃リスク時間経過で回復困難な損害がある
仮差押え金銭債権の回収を保全相手財産の特定が必要未払い・損害賠償回収
通常訴訟権利関係を最終判断時間がかかる最終的な判決が必要
民事調停・仲裁柔軟性、非公開性、専門性合意や仲裁条項が必要な場合がある継続取引、国際取引、専門的紛争
Section 09

取引先との仮処分申立ては命令文とFAQで最終確認する

申立ての趣旨、理由、目録を具体化し、誤解しやすい点を一般情報として確認します。

次の比較表は、申立書作成で意識する構造を整理したものです。なぜ重要かというと、申立ての趣旨は命令文になり得る部分で、曖昧だと発令や執行が難しくなるためです。項目ごとに、裁判官が短時間で理解できるかを確認します。

部分作成の考え方
申立ての趣旨対象物、対象情報、対象商品を目録で特定し、禁止行為または命じる行為を動詞で明確に書きます。期間、範囲、場所、媒体を必要に応じて限定します。
申立ての理由当事者、契約・取引関係、紛争の発生、被保全権利、相手方の違反行為、保全の必要性、措置の相当性、担保意見、結論の順で整理します。
目録物件、営業秘密、商品、商標、Webサイト、データ、顧客などを、発令と執行に耐える程度に具体化します。

FAQ

仮処分は申し立てればすぐに必ず出ますか

一般的には、仮処分は緊急手続ですが、被保全権利、保全の必要性、命令内容の相当性、担保、相手方の不利益が検討されます。仮の地位を定める仮処分では相手方が立ち会える審尋等を経ることが原則とされる場合があります。具体的な見通しは、証拠と事案内容により変わるため、法律専門家へ相談する必要があります。

相手が契約違反をしていれば仮処分は当然に認められますか

一般的には、契約違反の可能性があっても、保全の必要性がなければ仮処分に適さない場合があります。損害賠償で十分か、緊急性があるか、行為が継続しているか、命令内容が過大でないかによって判断が変わります。具体的には資料を整理したうえで専門家に相談する必要があります。

仮処分が出たら本案訴訟は不要になりますか

一般的には、仮処分は本案の権利実現を保全する暫定措置です。相手方から起訴命令の申立てがされると、一定期間内に本案の訴えを提起することなどが問題になります。和解で解決する場合もありますが、出口戦略は個別事情により変わります。

弁護士なしでも簡単にできますか

一般的には、制度上の本人申立てが常に不可能というわけではありません。ただし、企業間紛争、営業秘密、知的財産、システム、取引継続、占有移転では、契約解釈、証拠整理、管轄、担保、執行、本案との関係が複雑になります。具体的な申立ては法律専門家へ相談する必要があります。

まとめ仮処分は、相手を懲らしめるためではなく、本案判決までの間に秘密情報、ブランド、物、占有、データ、顧客関係、事業継続を実質的に失わないための暫定的な保全設計です。
Reference

この記事の参考情報源

裁判所・法令・公的資料

  • 裁判所「民事保全」
  • 大阪地方裁判所「民事保全手続とは」
  • 大阪地方裁判所「民事保全事件の手続の流れ」
  • 東京地方裁判所「その他の手続」
  • 民事保全法1条
  • 民事保全法13条
  • 民事保全法14条
  • 民事保全法20条
  • 民事保全法23条
  • 民事保全法24条
  • 民事保全法37条
  • 民事保全法43条
  • Japanese Law Translation「Civil Provisional Remedies Act」
  • 経済産業省「営業秘密を守り活用する」