2σ Guide

不動産の処分禁止の仮処分を
申し立てるケース

売却や担保設定で本案判決が実現しにくくなる前に、どの権利を守り、どの資料で処分危険を示すのかを整理します。

3要件 権利・危険・疎明
2週間 保全執行の期限管理
8問 FAQで要点確認
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不動産の処分禁止の仮処分を 申し立てるケース

売却や担保設定で本案判決が実現しにくくなる前に、どの権利を守り、どの資料で処分危険を示すのかを整理します。

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不動産の処分禁止の仮処分を 申し立てるケース
売却や担保設定で本案判決が実現しにくくなる前に、どの権利を守り、どの資料で処分危険を示すのかを整理します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 不動産の処分禁止の仮処分を 申し立てるケース
  • 売却や担保設定で本案判決が実現しにくくなる前に、どの権利を守り、どの資料で処分危険を示すのかを整理します。

POINT 1

  • 不動産の処分禁止の仮処分を申し立てるケースの全体像
  • 売却・担保設定・賃貸借設定で本案判決が空文化するおそれを、要件と資料から整理します。
  • 守るべき権利
  • 処分による危険
  • 疎明資料

POINT 2

  • 不動産の処分禁止の仮処分で押さえる基本概念
  • 不動産、処分、仮処分、仮差押え、占有移転禁止の仮処分を混同しないことが出発点です。
  • 不動産は土地・建物を中心とする高額財産であり、登記によって権利関係が外部に示されます。
  • 民法177条の考え方により、登記を備えないまま第三者が関与すると、対抗関係や登記順位の問題が一気に複雑になります。
  • 読者にとって重要なのは、金銭回収、登記請求、占有の入替えという目的の違いを読み取り、手段選択を誤らないことです。

POINT 3

  • 不動産の処分禁止の仮処分の要件と効力
  • 1. 本案で実現したい権利を特定:所有権移転登記、抹消登記、担保権設定登記、建物収去土地明渡しなどを具体化します。
  • 2. 相手方の処分危険を確認:譲渡、担保設定、賃借権設定、共有持分移転などの具体的兆候を確認します。
  • 3. 疎明資料を組み立てる:契約書、登記、支払資料、広告、報告書を時系列で整理します。
  • 4. 補充または別手段を検討:抽象的な不安だけでは発令が難しくなります。
  • 5. 申立てと本案準備を並行:担保提供、登記執行、本案訴訟への移行を想定します。

POINT 4

  • 不動産の処分禁止の仮処分を申し立てる典型ケース
  • 売買、相続、担保権、建物収去土地明渡しなど、具体的な場面を整理します。
  • 処分禁止の仮処分が問題になる場面は、登記名義や不動産の法律状態が動くと後日の権利実現が難しくなる場合です。
  • 読者は、自分の事案がどの類型に近いかを確認し、証拠の不足点を読み取ることが重要です。
  • 離婚・財産分与・親族間紛争では、金銭的清算なのか、特定不動産そのものの移転を求めるのかで保全手段が変わります。

POINT 5

  • 不動産の処分禁止の仮処分が適さないケース
  • 金銭を回収したいだけ
  • 貸金、売掛金、損害賠償などの回収が目的なら、原則として不動産仮差押えや他の強制執行を検討します。
  • 占有者の入替えだけが問題
  • 建物明渡しで第三者入居が心配な場合は、占有移転禁止の仮処分が中心になることがあります。

POINT 6

  • 不動産の処分禁止の仮処分で必要な疎明資料
  • 契約、登記、支払、処分危険、目録を時系列と対象物ごとにそろえます。
  • 疎明資料は、権利の根拠と処分危険を一応確からしいものとして示すための材料です。
  • 読者にとって重要なのは、資料名を集めるだけでなく、どの資料がどの要件を支えるのかを読み取ることです。
  • 物件目録の誤りは、登記嘱託や効力範囲に影響します。

POINT 7

  • 不動産の処分禁止の仮処分の申立手続
  • 1. 事案整理と手段選択:金銭回収、登記請求、明渡し、占有問題のどれを守るのかを明確にし、仮差押えや占有移転禁止の仮処分とも比較します。
  • 2. 管轄裁判所の確認:本案の管轄裁判所または係争物所在地を管轄する地方裁判所が問題になります。
  • 3. 申立書と疎明資料の作成:当事者、申立ての趣旨、被保全権利、保全の必要性、疎明方法、添付書類、物件目録、必要に応じて登記目録を整理します。
  • 4. 受付、面接、審尋:裁判所の書類審査後、被保全権利と処分危険について具体的な確認がされることがあります。
  • 5. 担保提供と発令:民事保全法14条に基づき、担保を立てる場合、執行条件とされる場合、担保なしの場合があります。
  • 6. 登記による執行と本案準備:保全執行は、債権者に保全命令が送達された日から2週間を経過すると実施できないため、発令後の段取りも重要です。

POINT 8

  • 不動産の処分禁止の仮処分申立書の構成例
  • 所有権移転登記請求権型、保全仮登記併用型、建物収去土地明渡型を比較します。
  • 申立書は、どの権利を守るのかによって構成が変わります。
  • 読者は、自分の事案で本案請求と仮処分対象が対応しているかを読み取ることが重要です。
  • 申立書の文言は、実際の契約、登記、当事者関係、本案請求によって調整が必要です。

まとめ

  • 不動産の処分禁止の仮処分を 申し立てるケース
  • 不動産の処分禁止の仮処分を申し立てるケースの全体像:売却・担保設定・賃貸借設定で本案判決が空文化するおそれを、要件と資料から整理します。
  • 不動産の処分禁止の仮処分で押さえる基本概念:不動産、処分、仮処分、仮差押え、占有移転禁止の仮処分を混同しないことが出発点です。
  • 不動産の処分禁止の仮処分の要件と効力:被保全権利、保全の必要性、登記による効力を一体で理解します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

不動産の処分禁止の仮処分を申し立てるケースの全体像

売却・担保設定・賃貸借設定で本案判決が空文化するおそれを、要件と資料から整理します。

不動産の処分禁止の仮処分を申し立てるケースは、単に相手方の行動が不安という場面ではありません。本案訴訟で実現したい登記請求権や明渡請求権があり、相手方の処分によって権利実現が不能または著しく困難になるおそれを、資料で疎明できる場面です。

この一覧は、処分禁止の仮処分で最初に確認する三つの柱を表しています。読者にとって重要なのは、感情的な対立ではなく、守る権利、処分の危険、疎明資料の三点がそろっているかを読み取ることです。

Right

守るべき権利

所有権移転登記請求権、抹消登記請求権、根抵当権設定登記請求権、建物収去土地明渡請求権など、本案で実現したい具体的な権利を示します。

Risk

処分による危険

譲渡、担保権設定、賃借権設定、共有持分移転などにより、勝訴後の登記や明渡しが難しくなる危険を示します。

Proof

疎明資料

契約書、登記事項証明書、支払資料、内容証明郵便、広告資料、報告書などで、権利と危険を一応確からしいものとして説明します。

注意処分禁止の仮処分は、将来の判決を実効的にする暫定的な保全手続です。相手方の財産処分を制約するため、個別事情によって必要性や担保の要否が変わります。
Section 01

不動産の処分禁止の仮処分で押さえる基本概念

不動産、処分、仮処分、仮差押え、占有移転禁止の仮処分を混同しないことが出発点です。

不動産は土地・建物を中心とする高額財産であり、登記によって権利関係が外部に示されます。民法177条の考え方により、登記を備えないまま第三者が関与すると、対抗関係や登記順位の問題が一気に複雑になります。

この比較表は、似た制度の目的と使いどころを分けて示しています。読者にとって重要なのは、金銭回収、登記請求、占有の入替えという目的の違いを読み取り、手段選択を誤らないことです。

手段主な目的典型場面注意点
処分禁止の仮処分特定不動産に関する権利実現の保全所有権移転登記、抹消登記、担保権設定登記、建物収去土地明渡し被保全権利と処分危険の疎明が必要です。
仮差押え金銭債権の将来の強制執行の保全貸金、売掛金、損害賠償などの回収不動産そのものの登記請求を実現する制度ではありません。
占有移転禁止の仮処分明渡しの相手が入れ替わることの防止建物明渡し、無断転貸、占有者の入替え登記上の処分ではなく、事実上の占有移転を問題にします。

処分禁止の仮処分でいう処分は、不動産を捨てる意味ではなく、所有権の譲渡、共有持分の譲渡、抵当権・根抵当権の設定、質権の設定、賃借権の設定など、法律上の状態を変える行為を広く含みます。

民事保全法上、不動産の処分禁止の仮処分は多くの場合、係争物に関する仮処分です。係争物の現状変更により、債権者が権利を実行できなくなるおそれ、または著しい困難を生ずるおそれがあるときに問題になります。

Section 02

不動産の処分禁止の仮処分の要件と効力

被保全権利、保全の必要性、登記による効力を一体で理解します。

申立てでは、保全すべき権利または権利関係と、保全の必要性を明らかにし、それらを疎明する必要があります。被保全権利は仮処分で守ろうとしている本体の権利であり、保全の必要性は今すぐ保全しなければ本案で勝っても実現が難しくなる危険です。

この法令一覧は、処分禁止の仮処分で頻出する条文の役割を整理したものです。読者にとって重要なのは、申立ての要件、仮処分の方法、登記による執行、後続登記への効力、本案との関係を分けて読み取ることです。

根拠主な役割確認する場面
民事保全法13条保全すべき権利と保全の必要性の疎明申立ての入口で、権利と危険を資料で示す場面
民事保全法23条・24条係争物に関する仮処分と、禁止命令などの方法不動産の現状変更で権利実現が難しくなる場面
民事保全法53条・55条登記請求権や建物収去土地明渡請求権を保全する執行方法処分禁止の登記や保全仮登記を検討する場面
民事保全法58条・不動産登記法111条処分禁止登記後の登記に対する効力や抹消後日の本登記や後続登記の扱いを確認する場面
民事保全法14条・37条・43条担保、本案提起命令、保全執行の期限発令後の担保提供、本案移行、2週間の期限管理を確認する場面
民法177条・555条・560条・424条登記の対抗要件、売買、権利移転義務、詐害行為取消し被保全権利の実体法上の根拠を組み立てる場面

この判断の流れは、裁判所に示すべき論理の順番を表しています。読者にとって重要なのは、最初に権利の根拠を置き、次に処分危険、最後に登記による保全効果を確認する順番を読み取ることです。

処分禁止の仮処分を検討する順番

本案で実現したい権利を特定

所有権移転登記、抹消登記、担保権設定登記、建物収去土地明渡しなどを具体化します。

相手方の処分危険を確認

譲渡、担保設定、賃借権設定、共有持分移転などの具体的兆候を確認します。

疎明資料を組み立てる

契約書、登記、支払資料、広告、報告書を時系列で整理します。

不足
補充または別手段を検討

抽象的な不安だけでは発令が難しくなります。

充足
申立てと本案準備を並行

担保提供、登記執行、本案訴訟への移行を想定します。

所有権移転登記請求権を保全する一般型では、処分禁止の登記が中心です。根抵当権設定登記請求権や地上権設定登記請求権など、所有権以外の権利の保存・設定・変更に関する登記請求権では、処分禁止の登記と保全仮登記の併用が問題になります。

処分禁止の仮処分は、相手方の処分行為を物理的に絶対不可能にする制度ではありません。実務上の意味は、処分禁止の登記後にされた登記を、一定範囲で仮処分債権者に対抗できない状態にし、後日の本登記や抹消を可能にすることです。

Section 03

不動産の処分禁止の仮処分を申し立てる典型ケース

売買、相続、担保権、建物収去土地明渡しなど、具体的な場面を整理します。

処分禁止の仮処分が問題になる場面は、登記名義や不動産の法律状態が動くと後日の権利実現が難しくなる場合です。次の比較表は、代表的な類型ごとに、守る権利、処分危険、集める資料を示しています。読者は、自分の事案がどの類型に近いかを確認し、証拠の不足点を読み取ることが重要です。

類型被保全権利の例処分危険の例主な資料
売買代金支払後の登記拒否所有権移転登記請求権売主が第三者へ売却を進める売買契約書、領収書、振込記録、登記事項証明書、内容証明郵便
贈与・交換・代物弁済所有権移転登記請求権登記前に相手方が撤回や第三者移転を主張する合意書、公正証書、メール、固定資産税の負担資料、引渡し資料
二重譲渡・名義移転の危険所有権移転登記請求権別の買主候補、媒介依頼、広告掲載、担保設定準備不動産広告、仲介資料、現地確認記録、登記拒否の経緯
無効登記・名義回復抹消登記請求権、真正な登記名義の回復を原因とする登記請求権現在の名義人がさらに第三者へ譲渡する登記原因証明情報、契約書、本人確認資料、解除通知、詐欺や代理権を示す資料
相続・遺産分割持分移転登記請求権など相続人が持分を第三者へ譲渡する戸籍、遺言書、遺産分割協議書、印鑑証明書、協議経過
担保権設定抵当権・根抵当権設定登記請求権債務者が売却や他の担保設定をする担保権設定契約書、債権発生資料、極度額、債務者・物上保証人資料
建物収去土地明渡し建物収去土地明渡請求権建物所有者が建物を第三者へ譲渡する土地登記、建物登記、賃貸借契約、解除通知、無権原占有を示す資料
詐害行為取消し・財産隠し取消しに関連する登記請求権など親族や関連会社へ移転後、さらに転売される移転経緯、対価、債務超過、資金移動、関係性を示す資料

離婚・財産分与・親族間紛争では、金銭的清算なのか、特定不動産そのものの移転を求めるのかで保全手段が変わります。共有不動産では、不動産全体を対象にするのか、共有持分を対象にするのかも慎重に整理する必要があります。

Section 04

不動産の処分禁止の仮処分が適さないケース

金銭回収、占有の入替え、抽象的な不安だけでは別の手段を検討することがあります。

処分禁止の仮処分は強い手段ですが、目的と合わない場面で使うと被保全権利の構成が崩れます。次の一覧は、処分禁止の仮処分に向かない代表例と、検討されやすい別手段を示しています。読者は、自分の目的が不動産そのものの権利実現なのか、金銭回収や占有問題なのかを読み取ることが重要です。

金銭を回収したいだけ

貸金、売掛金、損害賠償などの回収が目的なら、原則として不動産仮差押えや他の強制執行を検討します。

占有者の入替えだけが問題

建物明渡しで第三者入居が心配な場合は、占有移転禁止の仮処分が中心になることがあります。

権利が抽象的または未成熟

契約交渉中にすぎない、合意の成立が不明確といった場合は、所有権移転登記請求権の疎明が難しくなります。

処分危険が具体化していない

相手方を信用できないという不安だけでは弱く、売却示唆、広告、媒介依頼、資金繰り悪化などの具体事情が必要です。

既に第三者へ移転済み

元の名義人だけを相手にしても実効性がないことがあり、現在の登記名義人、詐害行為取消し、抹消登記、仮差押えを比較します。

重要手段選択を誤ると、資料を集めても裁判所に示すべき権利と危険がかみ合いません。金銭回収なら仮差押え、不動産の登記請求なら処分禁止の仮処分、占有問題なら占有移転禁止の仮処分という目的の違いを確認します。
Section 05

不動産の処分禁止の仮処分で必要な疎明資料

契約、登記、支払、処分危険、目録を時系列と対象物ごとにそろえます。

疎明資料は、権利の根拠と処分危険を一応確からしいものとして示すための材料です。次の比較表は、申立て前に確認する資料を役割ごとに整理しています。読者にとって重要なのは、資料名を集めるだけでなく、どの資料がどの要件を支えるのかを読み取ることです。

資料群確認する内容実務上の注意
不動産資料登記事項証明書、固定資産評価証明書、物件目録、登記目録住所ではなく登記上の所在、地番、家屋番号、敷地権、共有持分を正確に確認します。
権利根拠資料売買契約書、贈与契約書、担保権設定契約書、和解書、遺産分割協議申込みと承諾、目的物、代金、履行期、解除条項、権利移転義務を整理します。
履行資料領収書、振込明細、通帳、決済資料、固定資産税の負担資料代金支払や引渡しなど、自分側の履行を示します。
処分危険資料内容証明郵便、メール、メッセージ、広告、査定書、媒介契約書、販売図面いつ、誰が、どの処分を準備しているのかを時系列にします。
関係者資料法人資格証明、商業登記、戸籍、相続関係説明図、代理権資料法人、相続、代理が絡む場合は当事者の同一性と権限を補います。
報告書・陳述書当事者や関係者が体験した事実推測と事実を分け、日時、場所、発言、確認した資料を具体的に記載します。

物件目録の誤りは、登記嘱託や効力範囲に影響します。土地なら所在、地番、地目、地積、建物なら所在、家屋番号、種類、構造、床面積を登記事項証明書に沿って記載します。区分所有建物では、一棟の建物、専有部分、敷地権の表示が問題になることがあります。

この相談準備表は、専門家に相談する前に整理しておきたい事項をまとめたものです。読者にとって重要なのは、権利の根拠、処分の兆候、本案で求める内容、担保資金を同時に確認し、相談時に説明できる状態にすることです。

確認項目整理する内容
登記事項証明書現在の名義人、抵当権、仮差押え、差押え、仮処分、共有者の有無
契約・合意の根拠売買、贈与、担保設定、遺産分割、財産分与などの資料
履行状況代金支払、引渡し、税金負担、登記協力依頼の経緯
処分のおそれ売却広告、媒介資料、担保設定交渉、相手方の発言、資金繰り悪化
本案で求める内容所有権移転登記、抹消登記、担保権設定登記、建物収去土地明渡しなど
相手方情報住所、法人情報、相続人、代理人、関係会社、第三者移転の有無
担保資金と緊急性担保提供の見通し、処分予定日、決済日、登記手続の切迫度

保全仮登記併用型では、登記目録も重要です。根抵当権設定登記請求権を保全するなら、登記の目的、原因、極度額、債権の範囲、債務者、根抵当権者を明確にします。

Section 06

不動産の処分禁止の仮処分の申立手続

手段選択から本案訴訟まで、急ぎながらも順番を崩さず進めます。

申立手続は、資料を集めて書類を出すだけではなく、手段選択、管轄、申立書、面接、担保、登記執行、本案訴訟が連続します。次の時系列は、実務上の進行順を表しています。読者は、各段階で何を準備し、どこで遅れやすいかを読み取ることが重要です。

Step 1

事案整理と手段選択

金銭回収、登記請求、明渡し、占有問題のどれを守るのかを明確にし、仮差押えや占有移転禁止の仮処分とも比較します。

Step 2

管轄裁判所の確認

本案の管轄裁判所または係争物所在地を管轄する地方裁判所が問題になります。

Step 3

申立書と疎明資料の作成

当事者、申立ての趣旨、被保全権利、保全の必要性、疎明方法、添付書類、物件目録、必要に応じて登記目録を整理します。

Step 4

受付、面接、審尋

裁判所の書類審査後、被保全権利と処分危険について具体的な確認がされることがあります。

Step 5

担保提供と発令

民事保全法14条に基づき、担保を立てる場合、執行条件とされる場合、担保なしの場合があります。

Step 6

登記による執行と本案準備

保全執行は、債権者に保全命令が送達された日から2週間を経過すると実施できないため、発令後の段取りも重要です。

仮処分は本案訴訟の代替ではありません。債務者が本案提起命令を申し立てると、債権者は一定期間内に本案の訴えを提起し、その提起を証する書面を提出する必要が生じることがあります。

Section 07

不動産の処分禁止の仮処分申立書の構成例

所有権移転登記請求権型、保全仮登記併用型、建物収去土地明渡型を比較します。

申立書は、どの権利を守るのかによって構成が変わります。次の比較表は、三つの代表型について、保全すべき権利、申立ての趣旨、必要性の書き方を整理したものです。読者は、自分の事案で本案請求と仮処分対象が対応しているかを読み取ることが重要です。

保全すべき権利申立ての趣旨の骨子保全の必要性
所有権移転登記請求権型売買などに基づく所有権移転登記請求権対象不動産について、譲渡、担保権設定、賃借権設定その他一切の処分をしてはならない売主が登記に協力せず、第三者への売却を進めているため、登記取得が困難になる
保全仮登記併用型根抵当権設定登記請求権など処分禁止に加え、所有権以外の権利に関する保全仮登記を組み合わせる債務者が設定登記に協力せず、売却や他の担保設定で担保取得が困難になる
建物収去土地明渡型建物収去土地明渡請求権対象建物について、譲渡、担保権設定、賃借権設定その他一切の処分をしてはならない建物が第三者へ譲渡されると、勝訴後の収去・明渡しの執行が難しくなる

申立書の文言は、実際の契約、登記、当事者関係、本案請求によって調整が必要です。特に登記請求では、登記原因、登記目的、登記義務者・登記権利者、対象不動産の表示を誤らないことが重要です。

Section 08

不動産の処分禁止の仮処分で失敗しやすい注意点

担保、遅れ、目録、手段選択、本案準備の不足が大きなリスクになります。

処分禁止の仮処分は、登記されたから安心という制度ではありません。次の一覧は、実務上の失敗パターンをまとめたものです。読者にとって重要なのは、どの失敗が発令前の問題で、どの失敗が発令後の本案や登記に影響するのかを読み取ることです。

1

資料不足のまま急ぐ

緊急性があっても、登記、契約、支払、処分危険の資料が不足すると補正で時間を失います。

疎明
2

処分危険が抽象的

いつ、誰が、どの広告や媒介資料で処分を進めているのかを具体化しないと弱くなります。

必要性
3

仮差押えとの選択を誤る

金銭回収が目的なのに処分禁止の仮処分を選ぶと、被保全権利の構成が合いません。

手段選択
4

目録や登記実務を軽視する

住所と地番、家屋番号、区分建物、共有持分を誤ると、登記嘱託や後日の本登記で問題になります。

登記
5

本案訴訟の準備がない

仮処分は暫定措置であり、最終的な登記や明渡しには本案で権利を確定させる必要があります。

本案

相手方が任意に登記へ協力する可能性が高い場合は、内容証明郵便や交渉が合理的なこともあります。一方で、決済や登記が目前に迫っている場合は、交渉に時間を使うこと自体がリスクになるため、処分の切迫性を軸に判断します。

Section 09

不動産の処分禁止の仮処分に関するFAQ

よくある疑問を一般情報として整理します。具体的な対応は資料を確認して専門家へ相談する必要があります。

Q1. 処分禁止の仮処分が出れば、相手は絶対に売却できませんか。

一般的には、法律上・登記上の強い制約が生じるとされています。ただし、物理的に売買契約の締結が不可能になるという意味ではなく、処分禁止の登記後にされた登記が一定範囲で仮処分債権者に対抗できなくなる点が重要です。具体的な効力は、登記の内容や本案請求によって変わるため、専門家へ相談する必要があります。

Q2. 申立てれば必ず認められますか。

一般的には、被保全権利と保全の必要性を疎明できなければ発令は難しいとされています。権利の根拠が弱い、処分のおそれが抽象的、資料が不足している、別の手段が適切である場合は結論が変わります。具体的には、資料を整理して弁護士等へ相談する必要があります。

Q3. どのくらい急ぐ必要がありますか。

一般的には、処分が迫っている場合は早急な対応が重要とされています。不動産の決済日には所有権移転登記や担保権設定登記が短時間で進むことがあります。ただし、緊急性や必要な準備は事案によって異なるため、登記簿、契約書、処分の兆候を整理して専門家へ相談する必要があります。

Q4. 弁護士なしで申し立てることはできますか。

制度上、本人申立てが常に禁止されているわけではありません。ただし、被保全権利の法的構成、保全の必要性、目録、担保、登記、本案訴訟との関係が絡むため、専門性が高い手続とされています。具体的な申立て方針は、弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q5. 既に第三者へ売却されていたらどうなりますか。

一般的には、現在の登記名義、第三者の取得経緯、認識、登記順位、詐害行為取消しや抹消登記請求の可否を確認する必要があります。元の名義人だけを相手にしても実効性がない可能性があるため、具体的な対応は資料を整理して専門家へ相談する必要があります。

Q6. 担保金は必ず必要ですか。

一般的には、民事保全法上、担保を立てさせて発令する場合、担保を執行条件にする場合、担保なしの場合があるとされています。ただし、不動産の処分禁止は相手方への影響が大きいため、担保が問題になる可能性があります。担保額や要否は事案ごとに変わります。

Q7. 仮処分後、本案訴訟を起こさなくてもよいですか。

一般的には、仮処分は暫定措置であり、本案で権利関係を確定させる必要があります。債務者が本案提起命令を申し立てた場合、一定期間内に訴えを提起し、その書面を提出しなければ保全命令が取り消される可能性があります。具体的な期限管理は専門家へ相談する必要があります。

Q8. どの裁判所に申し立てますか。

一般的には、本案の管轄裁判所または係争物所在地を管轄する地方裁判所が問題になります。ただし、本案請求の種類、不動産所在地、当事者住所、専属管轄の有無で判断が変わる可能性があります。具体的には、資料を整理して専門家へ確認する必要があります。

Reference

不動産の処分禁止の仮処分の参考資料

法令

  • 民事保全法
  • 民法
  • 不動産登記法

裁判所資料

  • 東京地方裁判所 保全事件の申立て
  • 東京地方裁判所 処分禁止仮処分命令申立書 一般型
  • 東京地方裁判所 処分禁止仮処分命令申立書 保全仮登記併用型
  • 東京地方裁判所 処分禁止仮処分命令申立書 建物収去土地明渡型
  • 裁判所 民事裁判手続のデジタル化

法令データベース

  • 日本法令外国語訳DB Civil Provisional Remedies Act
  • 日本法令外国語訳DB Civil Code
  • 日本法令外国語訳DB Real Property Registration Act