2σ Guide

財産隠しに備える
仮差押えの手続き

相手が預金を引き出す、不動産を売る、売掛金を移すといった危険があるときに、将来の回収可能性を残すための民事保全手続を整理します。

2要件 被保全権利と保全の必要性
2,000円 申立手数料の案内例
2週間 保全執行の期間目安
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財産隠しに備える 仮差押えの手続き

相手が預金を引き出す、不動産を売る、売掛金を移すといった危険があるときに、将来の回収可能性を残すための民事保全手続を整理します。

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財産隠しに備える 仮差押えの手続き
相手が預金を引き出す、不動産を売る、売掛金を移すといった危険があるときに、将来の回収可能性を残すための民事保全手続を整理します。
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  • 財産隠しに備える 仮差押えの手続き
  • 相手が預金を引き出す、不動産を売る、売掛金を移すといった危険があるときに、将来の回収可能性を残すための民事保全手続を整理します。

POINT 1

  • 仮差押えの手続きは財産隠しに備える保全策
  • 訴訟で勝つ前に、将来の強制執行が空振りになる危険を抑えるための民事保全手続です。
  • 将来の執行を守る
  • 権利と必要性を示す
  • 速さと証拠が並ぶ

POINT 2

  • 仮差押えの基本用語と民事保全法上の要件
  • 被保全権利、保全の必要性、疎明、第三債務者を正確に区別します。
  • 仮差押えを検討するときは、日常語の「差押え」と法律上の「仮差押え」を分ける必要があります。
  • 次の重要ポイントは、要件を満たすための資料の方向性を示しています。
  • 請求金額だけでなく、なぜ今保全しなければならないかを具体的に読むことが、申立ての成否に直結します。

POINT 3

  • 財産隠しの恐れを仮差押えで示す具体事情
  • 資産状況
  • 不動産、預金、売掛先、勤務先、事業資産の有無を確認します。
  • 債務状況
  • 他の債権者、支払停止、取引停止、破産・再生の兆候を整理します。

POINT 4

  • 仮差押えできる財産の種類と選び方
  • 預金、売掛金、不動産、動産、給与では、特定方法と実効性が異なります。
  • 対象財産の選び方は、仮差押えの実効性を大きく左右します。
  • 次の重要ポイントは、財産の種類ごとに「押さえやすさ」と「回収可能性」が一致しないことを示しています。
  • 不動産は公示力がありますが先順位担保で実益が小さい場合があり、預金は即効性があっても支店特定が課題になります。

POINT 5

  • 相手が財産を隠す恐れがある場合の仮差押えの手続き全体像
  • 1. 危険の把握:財産処分、預金引出し、移転、支払停止などの兆候を確認します。
  • 2. 資料収集・財産調査:請求権資料と保全の必要性資料を分けて集めます。
  • 3. 対象財産の選定:預金、不動産、売掛金、動産、給与の中から、特定できる財産を選びます。
  • 4. 管轄裁判所と申立書の準備:本案管轄や財産所在地を検討し、目録、疎明資料、添付書類を整えます。
  • 5. 申立て・面接・補正:裁判所の審査、債権者面接、追加資料提出に対応します。
  • 6. 担保提供と発令:供託や支払保証委託契約などで担保を準備し、保全命令の発令へ進みます。
  • 7. 保全執行と本案への移行:送達、登記、執行官による手続などを経て、本案訴訟や交渉、強制執行へ接続します。

POINT 6

  • 仮差押え申立てで集める証拠と財産特定資料
  • 被保全権利と保全の必要性は、別々の資料で支えます。
  • 仮差押えの資料は、請求権そのものを支える資料と、今押さえる必要性を支える資料に分かれます。
  • 次の注意点は、陳述書で避けたい抽象表現と、採用されやすい具体表現の違いを示しています。
  • 文章の長さではなく、日時、発言者、発言内容、直後の行動、添付資料がそろっているかを読み取ります。

POINT 7

  • 仮差押えの費用、担保、期限で注意する数字
  • 収入印紙、郵便切手、登録免許税、担保金、7日、2週間を見落とさないようにします。
  • 担保金の準備が手続全体の速度を左右します
  • 仮差押えでは、申立手数料よりも担保金や期限管理が大きな問題になることがあります。
  • 次の強調部分は、費用面で最も見落とされやすい担保の位置づけを示しています。

POINT 8

  • 仮差押え後の本案訴訟、対抗手段、財産不明時の限界
  • 仮差押え前の限界
  • 対象財産を一定程度特定して申し立てる必要があるため、財産の所在が全く分からない場合は難しくなります。
  • 現実的な確認先
  • 過去の振込先、契約書、請求書、取引先、勤務先、不動産登記、法人登記、事業実態を確認します。

まとめ

  • 財産隠しに備える 仮差押えの手続き
  • 仮差押えの手続きは財産隠しに備える保全策:訴訟で勝つ前に、将来の強制執行が空振りになる危険を抑えるための民事保全手続です。
  • 仮差押えの基本用語と民事保全法上の要件:被保全権利、保全の必要性、疎明、第三債務者を正確に区別します。
  • 財産隠しの恐れを仮差押えで示す具体事情:抽象的な不安ではなく、資産状況、債務状況、請求後の反応、財産の流動性を組み合わせます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

仮差押えの手続きは財産隠しに備える保全策

訴訟で勝つ前に、将来の強制執行が空振りになる危険を抑えるための民事保全手続です。

相手が財産を隠す恐れがある場合の仮差押えの手続きは、将来の強制執行を実効的にするため、裁判所に申し立てて、相手の預金、不動産、売掛金などを暫定的に動かしにくくする制度です。請求、交渉、訴訟、判決、強制執行という通常の順番だけを考えていると、その間に預金の引出しや不動産売却、売掛金の移転が進み、勝訴しても回収が難しくなることがあります。

次の重要ポイントは、仮差押えで最初に確認すべき判断軸を示しています。制度の目的、裁判所に示す要件、手続の性質を並べることで、急いでいる場面でも何を読み取ればよいかが分かります。

目的

将来の執行を守る

仮差押えは回収そのものではなく、本案訴訟や債務名義取得後の強制執行を空振りにしないための暫定措置です。

要件

権利と必要性を示す

金銭請求権である被保全権利と、今押さえなければ執行不能または著しく困難になる保全の必要性を疎明します。

運用

速さと証拠が並ぶ

通常の訴訟より迅速性が重視されますが、契約書、請求書、登記、内容証明、陳述書など客観資料の整理が欠かせません。

次の強調部分は、この手続を誤解しやすい点をまとめたものです。仮差押えは強力ですが、相手の全財産を包括的に止める制度ではないため、対象財産、請求額、担保、後続手続まで一体で読む必要があります。

仮差押えは「勝訴前の回収」ではなく「勝訴後の回収可能性を残す」手続です

預金を仮に押さえても直ちに債権者の口座へ入金されるわけではありません。保全後は、本案訴訟、和解、支払督促、公正証書、強制執行などへ進める設計が必要です。

Section 01

仮差押えの基本用語と民事保全法上の要件

被保全権利、保全の必要性、疎明、第三債務者を正確に区別します。

仮差押えを検討するときは、日常語の「差押え」と法律上の「仮差押え」を分ける必要があります。次の比較表は、申立書や裁判所とのやり取りで頻出する用語を整理したもので、誰が誰に対して何を求め、どの資料で支えるのかを読み取るために重要です。

用語意味具体例
仮差押え金銭債権の将来の強制執行を保全するため、債務者の財産を暫定的に差し押さえる処分です。預金、売掛金、不動産、動産、給与債権などを対象にします。
債権者お金を請求する側です。貸主、売掛金を請求する会社、損害賠償を求める被害者などです。
債務者お金を支払うべき相手方です。借主、代金未払いの取引先、加害者などです。
第三債務者債務者に対して支払義務を負う第三者です。預金を管理する銀行、売掛金を支払う取引先、給与支払者などです。
被保全権利仮差押えで守ろうとする金銭請求権です。貸金、売買代金、請負代金、損害賠償、保証債務などです。
保全の必要性今押さえなければ将来の執行ができない、または著しく困難になる危険です。財産の隠匿、処分、名義移転、債務超過、所在不明化などです。
疎明裁判官に事実が一応確からしいと認識してもらうための資料提出です。契約書、請求書、内容証明、メール、登記、陳述書など即時に確認できる資料です。

次の重要ポイントは、要件を満たすための資料の方向性を示しています。請求金額だけでなく、なぜ今保全しなければならないかを具体的に読むことが、申立ての成否に直結します。

要件の中心民事保全法上の仮差押えでは、金銭債権について強制執行ができなくなるおそれ、または強制執行に著しい困難が生じるおそれを示す必要があります。単なる不安や不誠実な印象だけでは足りない場合があります。
Section 02

財産隠しの恐れを仮差押えで示す具体事情

抽象的な不安ではなく、資産状況、債務状況、請求後の反応、財産の流動性を組み合わせます。

財産隠しの恐れは、相手の性格評価ではなく、将来の執行不能につながる具体的な兆候として整理します。次の比較表は、どの行動がどの危険につながり、どの資料で裏付けやすいかを示しており、列ごとに「兆候、実務上の意味、資料」の順で読みます。

兆候実務上の意味使われやすい資料
預金を急に引き出すと言っている預金仮差押え前に残高が消える危険があります。メール、録音、LINE、関係者陳述書
不動産を売りに出している責任財産が処分される危険があります。不動産広告、登記事項証明書、媒介情報
会社を閉鎖・移転しようとしている所在不明や事業資産散逸の危険があります。商業登記、通知文、ウェブサイト告知
他にも多数の債務がある一般債権者への弁済可能性が低下します。取引停止情報、督促状、訴訟情報、陳述書
支払請求後に態度が急変した請求を契機に財産移転が進む危険があります。内容証明郵便、返信、交渉記録
親族や関連会社への移転を示唆している名義移転による執行回避の危険があります。契約書案、登記情報、送金記録、発言記録

次の比較表は、背景事情として参考になる一方で、それだけでは保全の必要性を支えにくい事情を整理しています。左列の事情を見つけたら、右列の注意点に沿って、財産処分や執行困難に結びつく客観資料を補う必要があります。

事情注意点
支払期限を過ぎた債務不履行の証拠にはなりますが、財産隠しの危険とは別に説明します。
連絡が遅い支払意思の低下を示すことはありますが、財産処分の危険まで補強が必要です。
不誠実な印象がある主観的評価だけでは足りないため、発言や行動を資料化します。
SNSで羽振りがよい資産の存在や処分危険を、登記、送金記録、取引資料などで補う必要があります。
取引先から悪評を聞いた伝聞だけでなく、陳述書や客観資料で支えることが望まれます。

次の注意点一覧は、保全の必要性を組み立てるときに見落としやすい観点をまとめたものです。各項目を一つずつ証拠と結びつけて読むことで、申立書の理由が抽象論に流れるのを防げます。

資産状況

不動産、預金、売掛先、勤務先、事業資産の有無を確認します。

債務状況

他の債権者、支払停止、取引停止、破産・再生の兆候を整理します。

請求後の反応

内容証明後の回答、口座変更、移転発言、連絡遮断などを時系列化します。

財産の流動性

預金や売掛金のように短期間で移動しやすい財産ほど、緊急性の説明が重要です。

Section 03

仮差押えできる財産の種類と選び方

預金、売掛金、不動産、動産、給与では、特定方法と実効性が異なります。

対象財産の選び方は、仮差押えの実効性を大きく左右します。次の一覧は、財産ごとの利点、特定に必要な情報、注意点を横に比較するもので、どの財産が手元の資料で最も具体的に説明できるかを読み取るために重要です。

対象財産有効に働く場面特定に必要な情報と注意点
預金債権振込先口座や売上入金口座が分かり、引出しのおそれが高い場面です。金融機関名、支店または取扱部署、預金種類、上限額、預金の順序を整理します。
売掛金・請負代金債務者が主要取引先から近日中に入金を受ける場面です。取引先、契約関係、請求書番号、支払期日、債権額、業務内容を特定します。
不動産売却や担保設定を牽制し、登記によって第三者にも示したい場面です。登記事項証明書、物件目録、先順位担保権、固定資産評価額を確認します。
動産宝石、高級時計、機械設備、在庫商品など所在が分かる場面です。所在、価値、所有関係、執行可能性を慎重に確認します。
給与債権勤務先が分かり、継続的な収入を対象にする場面です。差押禁止範囲や生活保障、勤務先への影響を考慮します。

次の重要ポイントは、財産の種類ごとに「押さえやすさ」と「回収可能性」が一致しないことを示しています。不動産は公示力がありますが先順位担保で実益が小さい場合があり、預金は即効性があっても支店特定が課題になります。

対象財産の選定裁判所は「何を押さえるのか」が分からない命令を出せません。仮差押えの対象は、請求額に見合い、債務者本人に属し、第三債務者や物件情報を具体的に示せるものから検討します。
Section 04

相手が財産を隠す恐れがある場合の仮差押えの手続き全体像

危険の把握から資料収集、申立て、担保提供、保全執行、本案への移行までを順に確認します。

仮差押えは、思いついた資料を順不同に出す手続ではなく、危険の把握から本案への移行まで段階的に進みます。次の判断の流れは、上から下へ進む順番に意味があり、どの段階で資料不足や費用不足が起きやすいかを読み取るために重要です。

仮差押えの判断の流れ

危険の把握

財産処分、預金引出し、移転、支払停止などの兆候を確認します。

資料収集・財産調査

請求権資料と保全の必要性資料を分けて集めます。

対象財産の選定

預金、不動産、売掛金、動産、給与の中から、特定できる財産を選びます。

管轄裁判所と申立書の準備

本案管轄や財産所在地を検討し、目録、疎明資料、添付書類を整えます。

申立て・面接・補正

裁判所の審査、債権者面接、追加資料提出に対応します。

担保提供と発令

供託や支払保証委託契約などで担保を準備し、保全命令の発令へ進みます。

保全執行と本案への移行

送達、登記、執行官による手続などを経て、本案訴訟や交渉、強制執行へ接続します。

次の時系列は、10手順を実務の進行順に整理したものです。各段階は前の準備を受けて進むため、請求と保全の順序、証拠、財産特定、費用、執行期限を一続きで読む必要があります。

手順1

請求と保全の順序を決める

財産隠しの危険が高い場合、内容証明を先に送ることで相手に資産移動の時間を与えることがあります。

手順2から4

権利資料、必要性資料、対象財産を固める

契約書や請求書だけでなく、財産処分の発言、登記、取引先情報、口座情報を整理します。

手順5から7

裁判所、申立書、費用を準備する

管轄、申立書、目録、疎明資料、手数料、郵券、登録免許税、担保を確認します。

手順8から10

面接、担保提供、保全執行へ進む

補正対応を経て担保を提供し、発令後は対象財産に応じた保全執行を行います。

Section 05

仮差押え申立てで集める証拠と財産特定資料

被保全権利と保全の必要性は、別々の資料で支えます。

仮差押えの資料は、請求権そのものを支える資料と、今押さえる必要性を支える資料に分かれます。次の比較表は、請求類型ごとに主な資料を整理したもので、どの列も「請求の発生、金額、弁済期、不履行」を示せるかという視点で読みます。

請求類型主な資料
貸金金銭消費貸借契約書、借用書、振込記録、返済予定表、利息・遅延損害金の合意資料、一部弁済記録、保証契約書
売掛金・請負代金基本契約書、個別契約書、発注書、納品書、検収書、請求書、受領確認メール、取引履歴
損害賠償事故報告書、写真、動画、修理見積書、診断書、休業損害資料、交渉記録
保証債務主債務の契約書、保証契約書、主債務者の不履行資料、保証人への請求記録

次の比較表は、保全の必要性を支える資料を場面ごとに並べています。左列で場面を選び、右列で裁判所がすぐ確認できる資料に落とし込めているかを読み取ります。

場面確認したい資料読み方
内容証明と反応内容証明郵便、配達証明、返信、交渉記録請求を契機に警戒や財産移動が起きたかを見ます。
不動産不動産登記事項証明書、売却広告、固定資産評価資料所有、担保、名義移転、売却の兆候を確認します。
法人情報商業登記、代表者変更、本店移転、解散・清算情報所在不明化や事業資産の散逸リスクを確認します。
陳述書・報告書担当者の体験事実、日時、発言、メール写し、録音記録憶測ではなく、誰がいつ何を見聞きしたかを具体化します。

次の注意点は、陳述書で避けたい抽象表現と、採用されやすい具体表現の違いを示しています。文章の長さではなく、日時、発言者、発言内容、直後の行動、添付資料がそろっているかを読み取ります。

避けたい書き方具体的な書き方
相手は財産を隠すと思います。令和○年○月○日午後3時ころ、担当者Aが債務者代表者Bに電話で支払いを求めたところ、Bは「口座から全部抜く」と述べた。その直後に「入金口座を変更する」とのメールが届いた、という形で体験事実と資料を結びつけます。
Section 06

仮差押えの費用、担保、期限で注意する数字

収入印紙、郵便切手、登録免許税、担保金、7日、2週間を見落とさないようにします。

仮差押えでは、申立手数料よりも担保金や期限管理が大きな問題になることがあります。次の比較表は、費用と期限を種類別に整理したもので、固定的に準備しやすいものと、事件ごとに裁判所が判断するものを読み分けるために重要です。

項目このページでの整理注意点
申立手数料東京地裁の案内では、保全事件の申立てごとに2000円の収入印紙を貼付するとされています。裁判所や事件類型で扱いが異なることがあるため、申立先の最新案内を確認します。
郵便切手発令・送達のために必要で、債務者や第三債務者の人数で内訳が変わります。郵便料金改定や裁判所の運用差に注意します。
登録免許税不動産仮差押えでは、請求債権額に1000分の4を乗じた額が案内されています。不動産を対象にする場合は、申立前に試算します。
担保仮差押えが不当だった場合などの損害を担保するため、裁判所が提供を求めることが通常です。請求額、対象財産、不利益、疎明の強さで変わります。
担保提供期間東京地裁資料では、一般的には7日以内に供託書等を持参すると案内されています。期間内に担保を立てられないと申立てが却下されることがあります。
保全執行期間保全執行は、債権者に保全命令が送達された日から2週間以内に実施する必要があると説明されています。発令後も送達や登記、執行を迅速に進めます。

次の強調部分は、費用面で最も見落とされやすい担保の位置づけを示しています。申立手数料だけを見ていると資金計画を誤るため、担保、登録免許税、後続の本案費用まで含めて読む必要があります。

担保金の準備が手続全体の速度を左右します

裁判所が担保提供を命じた後に資金準備で止まると、財産隠しの危険が高い事件では致命的になり得ます。供託のほか支払保証委託契約が利用される場合もありますが、使えるかは裁判所の運用や事件内容によって変わります。

Section 07

仮差押え後の本案訴訟、対抗手段、財産不明時の限界

保全は終点ではなく、本案で権利を確定し、必要に応じて本執行へ移す前段階です。

仮差押え後は、権利確定と最終回収へ進む必要があります。次の一覧は、保全後に起きる主要な選択肢を並べたもので、どれが債権者側の次の行動で、どれが債務者側の対抗手段なのかを読み取るために重要です。

債権者側

本案訴訟・和解・債務名義

仮差押えだけでは請求権は最終確定しません。本案訴訟、和解、支払督促、公正証書などにより債務名義を得て、必要に応じて本執行へ進みます。

債務者側

保全異議・保全取消し

相手方は、被保全権利がない、保全の必要性がない、担保が不十分、対象財産の特定に問題があるなどと争うことがあります。

制度上の調整

起訴命令・仮差押解放金

債権者が本案を起こさない場合の起訴命令、特定財産を動かせるようにするための解放金供託が問題になります。

次の注意点一覧は、財産が分からない場合に仮差押えだけで解決できない理由を整理しています。仮差押え前に使える調査と、債務名義取得後に問題となる財産開示・第三者からの情報取得を分けて読むことが重要です。

仮差押え前の限界

対象財産を一定程度特定して申し立てる必要があるため、財産の所在が全く分からない場合は難しくなります。

現実的な確認先

過去の振込先、契約書、請求書、取引先、勤務先、不動産登記、法人登記、事業実態を確認します。

債務名義後の手続

判決等を取得した後は、財産開示手続や第三者からの情報取得手続が問題になります。

違法調査の危険

無断アクセス、脅迫的な聞き込み、個人情報の不正取得は申立人側のリスクになります。

Section 08

仮差押えを検討する実務チェックリスト

請求権、対象財産、担保、本案準備、保全の必要性を申立前に点検します。

実務チェックは、思い込みで申立てを急がないための安全装置です。次の一覧は、検討開始、預金、不動産、保全の必要性の4分類で整理しており、左から順に確認することで不足資料と追加調査を読み取れます。

分類確認項目
仮差押えを検討する前提金銭請求権がある、支払期限が到来している、契約書・請求書・振込記録がある、財産処分や隠匿の具体的事情がある、対象財産候補がある、担保金を準備できる、本案訴訟の準備がある。
預金仮差押え銀行名、支店名または取扱部署、口座用途、入金見込み、預金以外の財産が乏しい説明、上限額、第三債務者の表示を確認する。
不動産仮差押え登記事項証明書、所有者、抵当権・根抵当権、固定資産評価額、物件目録、登録免許税を確認する。
保全の必要性財産隠しの発言・行動、処分の客観資料、債務超過、住所・会社移転、他の債権者の動き、体験事実を記載した陳述書を整理する。

次の重要ポイントは、相談前に持参すると検討が進みやすい資料をまとめたものです。請求権資料と財産資料を分けて読むことで、弁護士等への相談時に要件、対象財産、担保、本案の見通しを確認しやすくなります。

早期相談の目安相手が「払わない」「逃げる」「口座を空にする」と発言した、不動産売却や法人移転の動きがある、主要口座や売掛先が分かっている、内容証明を送る前である、高額債権で回収不能の損失が大きい場合は、資料を整理して早めに専門家へ相談する必要があります。
Section 09

仮差押えの手続きでよくある質問

回収時期、相手への通知、財産不明、担保、効力範囲を一般情報として整理します。

Q1. 仮差押えをすれば、すぐにお金を回収できますか。

一般的には、仮差押えは将来の強制執行のために財産を保全する制度とされています。仮差押えだけで直ちに金銭を受け取れるわけではなく、その後に本案訴訟などで債務名義を取得し、強制執行につなげる流れが問題になります。具体的な進め方は、請求権、証拠、対象財産によって変わるため、弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 相手に知られずに進められますか。

一般的には、仮差押えは迅速性を重視するため、申立段階で債務者に事前通知されないことがあります。ただし、命令発令・執行後には相手方に決定正本が送達され、保全異議や保全取消しで争われる可能性があります。事案ごとの通知時期やリスクは専門家への確認が必要です。

Q3. 銀行名だけで預金を仮差押えできますか。

一般的には、預金仮差押えでは対象債権の特定が重要とされています。金融機関名だけでなく、支店や取扱部署、預金種類などが問題になることがあります。どこまで特定できるかは裁判所の運用や資料状況で変わるため、具体的には専門家へ相談する必要があります。

Q4. 相手の財産が分からない場合はどう考えますか。

一般的には、仮差押えは対象財産を一定程度特定して申し立てる制度とされています。過去の送金口座、取引資料、不動産登記、法人登記、売掛先などを確認します。判決等の債務名義取得後には財産開示や第三者からの情報取得が問題になりますが、利用条件があるため個別の対応は専門家へ相談する必要があります。

Q5. 仮差押えに失敗するとどうなりますか。

一般的には、申立てが却下されると時間や費用が失われるだけでなく、相手に警戒される可能性があります。また、不当な仮差押えで損害を与えた場合には損害賠償が問題になることがあります。証拠、必要性、対象財産、請求額の相当性を事前に確認する必要があります。

Q6. 担保金は戻ってきますか。

一般的には、本案で勝訴した場合、相手方の同意がある場合、権利行使催告を経る場合などに、担保取消しや取戻しを検討することがあります。ただし、条件や必要書類は手続の経過によって変わるため、具体的には専門家へ相談する必要があります。

Q7. 仮差押えを受けた相手は、全財産を動かせなくなりますか。

一般的には、仮差押えは対象財産に限って効力を持つ制度とされています。預金では第三債務者である銀行への支払い禁止、不動産では登記による処分制約が問題になりますが、全財産を包括的に凍結する制度ではありません。効力範囲は対象財産と命令内容によって変わります。

Reference

参考情報源

法令・規則

  • e-Gov法令検索「民事保全法」
  • 民事保全規則

裁判所・公的機関資料

  • 国民生活 2025年1月号「第5回 民事保全」
  • 東京地方裁判所 民事第9部「保全事件の申立て」
  • 東京地方裁判所「債権仮差押命令申立書 書式2-1」
  • 東京地方裁判所 民事第9部「保全事件の発令まで」
  • 東京地方裁判所 民事第9部「その他の手続」
  • 東京地方裁判所民事執行センター「財産開示手続・第三者からの情報取得手続」
  • 東京地方裁判所 民事第9部「担保取消しの手続」