株式会社と合同会社の維持コスト・登記管理・組織変更を比べる
決算公告、役員任期、代表者変更、合同会社から株式会社への変更コストを確認します。
株式会社には、定時株主総会の終結後遅滞なく貸借対照表を公告しなければならないという決算公告義務があります。大会社では貸借対照表および損益計算書を公告しなければなりません。公告方法は、官報、日刊新聞、電子公告など、定款の定めに応じて設計されます。
次の表は、設立後の維持事務を比較したものです。設立時の実費だけでなく、役員任期、決算公告、社員・持分管理などの継続的な負担を読み取ることが重要です。
| 項目 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 決算公告 | 原則として必要です。 | 株式会社と同じ決算公告義務は直接ありません。 |
| 役員任期 | 取締役や監査役の任期があり、非公開会社では取締役の任期を最長10年まで伸長できることがあります。 | 取締役制度はありません。 |
| 代表者変更登記 | 代表取締役変更などで必要です。 | 代表社員変更などで必要です。 |
| 株主・社員管理 | 株主名簿、株主総会、議事録などの管理が重要です。 | 社員、持分、定款、社員間契約の管理が重要です。 |
| 外部投資対応 | しやすい構造です。 | 設計が複雑になりやすい構造です。 |
| 内部自治 | 標準的に制度化されています。 | 柔軟ですが、設計責任が大きくなります。 |
合同会社には株式会社と同じ決算公告義務は直接ありませんが、資本金の額の減少、組織変更、合併、解散・清算など、債権者保護手続が必要になる場面では、官報公告や個別催告が問題になります。合同会社なら公告が一切不要と理解するのは不正確です。
次の時系列は、合同会社から株式会社へ組織変更する場合に関係しやすい作業を整理したものです。変更は制度上可能ですが、無料でも自動でもないため、近い将来に株式会社が必要なら最初から株式会社を検討する読み方が重要です。
組織変更計画と社内同意を準備します
総社員の同意や定款上の手続、変更後の株式・機関設計を確認します。
債権者保護・登記・税務会計を確認します
官報公告、個別催告、登録免許税、会計処理、税務上の取扱いが関係します。
契約・許認可・表示を見直します
契約書、銀行口座、取引先説明、Webサイト、規約、請求書、名刺、許認可の表示変更が必要になることがあります。
1年以内に外部投資家を入れる、ストックオプションを設計する、共同創業者の株式ベスティングを行う、大企業との取引で株式会社であることが有利、将来のM&Aで株式譲渡を想定する場合は、最初から株式会社で設立した方が低コスト・低リスクになることがあります。