診療記録の取得、医療安全支援センター、医療ADR、民事調停、証拠保全、弁護士相談、訴訟準備まで、目的別に進め方を整理します。
診療記録の取得、医療安全支援センター、医療ADR、民事調停、証拠保全、弁護士相談、訴訟準備まで、目的別に進め方を整理します。
感情的な対立を強める前に、記録、制度、法的評価へ順番に進める考え方を整理します。
病院との説明や協議が進まない場面では、争点の整理不足、診療記録の不足、医学的評価の不一致、損害額の見通しの違い、病院側の説明体制の限界が重なっていることが多くあります。このページは、医療事件に関する一般的な制度情報として、次に検討しやすい選択肢を段階的に整理するものです。個別事件の結論は、診療経過、医学的知見、損害、時効、証拠の状態で変わるため、具体的な判断は資料をそろえて弁護士等の専門家へ確認する必要があります。
次の手順図は、病院との話し合いが平行線になったあとに、何を先に整え、どの段階で第三者や法的手続を検討するかを示します。上から順に、事実整理から法的手続へ専門性が高くなる点を読み取ることが重要です。
症状、説明、検査、処置、結果、病院側の回答を日時順に並べます。
診療録、看護記録、検査画像、説明文書、同意書を確認します。
説明、調査、再発防止、謝罪、損害賠償、転院を一つずつ整理します。
医療安全支援センター、医療ADR、民事調停、弁護士相談を目的に合わせて検討します。
時効、証拠保全、訴訟提起、和解交渉を専門家と確認します。
医療に関するトラブルは、一般的な契約や事故と異なり、医学的専門性、不確実性、患者側と医療者側の情報格差、緊急性、専門用語、複数職種の関与があります。患者や家族が説明に納得できないと感じても、病院側は当時の医療水準、回避困難性、因果関係の不明確さを理由に責任を否定することがあります。
次の比較表は、病院との話し合いが平行線になる典型理由を、患者・家族側の認識、病院側の認識、次に確認すべき課題に分けたものです。左右の認識差だけで終わらせず、右端の資料確認や制度確認へ移す点を読み取ります。
| 平行線になる理由 | 患者・家族側の認識 | 病院側の認識 | 次の検討課題 |
|---|---|---|---|
| 事実認識の違い | 症状を訴えた、説明されていない、対応が遅れた | 記録上は訴えがない、説明済み、標準対応だった | 診療録、看護記録、説明文書の確認 |
| 医学的評価の違い | 見落とし、手技ミス、判断ミスではないか | 医療水準上やむを得ない、合併症である | 協力医、医学文献、ガイドラインの検討 |
| 目的の違い | 真相解明、謝罪、再発防止、賠償を求めたい | 説明以上の対応は困難、責任は認められない | 要求事項を分けて整理 |
| 手続理解の違い | 病院が調査すべき、第三者が判断すべき | 内部確認はした、制度対象外である | 医療事故調査制度、医療安全支援センター、ADRの確認 |
| 法的責任の見通しの違い | 結果が悪い以上、責任があるはずだと感じる | 結果と過失は別問題である | 過失、因果関係、損害の法的整理 |
次の4つの項目は、似た言葉を制度上・法的な意味に分けたものです。どの言葉を使っているかによって、病院に求める回答や次の手続が変わる点を確認します。
一般用語では望ましくない結果を広く指すことがあります。一方、医療事故調査制度では、医療に起因し又は起因すると疑われる死亡又は死産で、管理者が予期しなかったものという限定された定義があります。
一般的には、注意義務違反と損害との因果関係が問題になる場合を指します。悪い結果が生じたことだけで直ちに医療過誤になるわけではありません。
治療や手術に伴い一定の確率で起こり得る結果です。ただし、説明、予防措置、発生後対応が不十分であれば、別の法的評価が問題になる可能性があります。
患者が治療を選択し同意するために必要な情報を説明する義務又は責務です。病名、治療方法、代替手段、主な危険性、治療しない場合の見通しなどが検討対象になります。
何を求めたいのかを分けることで、相談先と必要資料を選びやすくします。
話し合いが進まなくなった直後に必要なのは、病院を説得する長い文章ではなく、目的を分解する作業です。説明、事実確認、再発防止、謝罪、賠償、第三者判断、証拠保全は、それぞれ必要な資料と適した手段が異なります。
次の表は、目的ごとに希望、必要資料、次に検討する手段を対応させたものです。左から右へ読み、いまの希望がどの制度や資料に結び付くかを確認します。
| 目的 | 具体的な希望 | 必要な資料 | 適した次の手段 |
|---|---|---|---|
| 説明を受けたい | なぜこの診断・治療になったのかを聞きたい | 診療録、検査結果、説明文書 | 再説明申入れ、患者相談窓口 |
| 事実を確認したい | 当日の対応、時刻、担当者、指示を確認したい | 診療録、看護記録、投薬記録、モニター記録 | 診療情報開示、質問書 |
| 再発防止を求めたい | 同じことが起きないよう対策を知りたい | 院内調査結果、事故報告の有無 | 医療安全部門、医療安全支援センター |
| 謝罪を求めたい | 不適切対応を認めて謝ってほしい | 経過表、録音、説明記録 | 交渉、ADR、調停 |
| 賠償を求めたい | 治療費、休業損害、慰謝料等を請求したい | 損害資料、医療記録、医学的意見 | 弁護士相談、示談交渉、訴訟 |
| 第三者判断を求めたい | 病院内部だけでは信用できない | 診療記録一式、主張整理 | 医療ADR、民事調停、訴訟 |
| 証拠を守りたい | 記録がなくなる、改変されるのではないか | どの記録が必要かの特定 | 証拠保全、弁護士相談 |
病院の患者相談窓口は説明調整には有用ですが、損害賠償責任の法的判断をする機関ではありません。医療安全支援センターも中立的な相談窓口であり、病院に賠償を命じる機関ではありません。医療ADRは合意による解決を目指す手続で、訴訟は最終判断を得られる一方、時間、費用、立証負担が大きくなります。
記憶だけのやり取りから、診療録・画像・説明文書を基礎にした検討へ移します。
医療事件の検討では、診療録、看護記録、検査画像、検査結果、手術記録、麻酔記録、投薬記録、説明同意書、紹介状、退院サマリーなどが基本資料になります。診療情報の提供に関する公的な指針では、原則として患者本人が診療記録の開示を求め得る者とされ、一定の場合には法定代理人、任意後見人、患者から代理権を与えられた親族等も開示を求めることができると整理されています。
次の表は、開示請求や法律相談前に検討しやすい資料を、分類、具体例、確認する観点に分けたものです。分類ごとに不足がないかを確認し、画像データや説明同意書のように後から必要になりやすい資料も見落とさないことが重要です。
| 分類 | 例 | 着眼点 |
|---|---|---|
| 診療録 | 外来カルテ、入院カルテ | 症状の記載、診断根拠、説明内容 |
| 看護記録 | バイタル、訴え、観察内容 | 患者の訴え、異常所見、報告時刻 |
| 検査資料 | 血液検査、画像、心電図、病理 | 異常値、見落とし、実施時刻 |
| 画像 | CT、MRI、X線、超音波 | 専門医の読影、時系列比較 |
| 手術・処置記録 | 手術記録、麻酔記録、内視鏡記録 | 手技、出血、合併症、対応 |
| 投薬記録 | 処方、注射、点滴、薬剤管理 | 投与量、禁忌、副作用、指示 |
| 説明文書 | 同意書、説明書、パンフレット | リスク説明、代替手段の説明 |
| 院内連絡 | 紹介状、退院サマリー、診療情報提供書 | 他院への説明内容との整合性 |
| 損害資料 | 領収書、休業証明、診断書、障害資料 | 損害賠償請求の基礎 |
開示請求では、対象資料を広く指定することが重要です。「カルテ一式」という表現だけでは、画像データ、看護記録、モニター記録、説明同意書、手術映像などが含まれるか不明確な場合があります。病院の所定書式を使う場合でも、別紙で取得したい資料一覧を添付する方法が考えられます。
画像データはCD-R等で交付されることがあります。弁護士や協力医へ相談する場合、読影レポートだけでなく画像そのものが必要になることが多いため、画像データ本体の取得も検討対象になります。
質問書を分けて作り、面談内容を後から確認できる形に残します。
話し合いが完全に決裂していない場合は、再度の説明会を申し入れる価値があります。ただし、同じ聞き方を繰り返すと再び平行線になりやすいため、質問を事実確認、医学的判断、説明・同意、結果発生後の対応、再発防止に分けます。
次の一覧は、再説明を求める質問を組み立てる順番を示します。番号順に確認することで、感情的な非難ではなく、診療記録に基づく回答を求めやすくなります。
特定の日時に患者が症状を訴えたことについて、診療録や看護記録上の記載を確認します。
当時の検査結果、所見、緊急性を踏まえて、特定の疾患を疑わなかった理由を確認します。
必要と感じる検査が行われなかった場合、その判断根拠を記録と所見に基づいて確認します。
結果が起きたあと、院内でどのような確認、検討、再発防止策の整理が行われたかを確認します。
面談では、発言者、日時、回答内容を記録します。録音を行う場合は、トラブル防止の観点から事前に録音の可否を確認することが望ましいとされています。録音の法的評価は状況で変わり得るため、すでに紛争化している場合は弁護士へ相談する必要があります。
面談後は、病院に対して説明内容の確認メモを送付することがあります。相手の回答を確定させ、後日の認識違いを減らすためです。
相談窓口と調査制度は、目的と限界を理解して使い分けます。
医療安全支援センターは、都道府県、保健所設置市、特別区等に設置される医療に関する相談窓口です。公的な運営要領では、患者・住民の苦情、心配、相談に対応し、医療提供施設や患者・住民に対する助言や情報提供を通じて医療安全を推進することが目的とされています。また、中立的な立場から相談に対応することが基本方針とされています。
次の比較一覧は、医療安全支援センターと医療事故調査制度の役割を分けて示します。相談先として使える場面と、賠償命令や代理交渉までは行わない限界を読み分けることが重要です。
病院の説明窓口が分からない、話し合いの進め方を相談したい、苦情をどこに伝えるか分からない、医療安全上の不安がある、いきなり裁判までは考えていない場合に検討します。
医療過誤の有無を最終判断したり、病院に賠償を命じたり、弁護士のように代理交渉したりする機関ではありません。損害賠償、証拠保全、時効対応、訴訟提起は別途検討が必要です。
平成27年10月1日に施行された制度で、医療事故が発生した医療機関が院内調査を行い、調査報告を医療事故調査・支援センターが収集・分析して再発防止につなげる仕組みです。
制度は責任追及を目的とするものではありません。院内調査が行われても、それだけで賠償が認められるわけではなく、対象外とされた場合でも民事上の検討が常に閉ざされるわけではありません。
裁判外の専門的な話し合いと、裁判所での話し合いを比較します。
ADRは、裁判によらず、公正中立な第三者が当事者間に入り、話し合いを通じて解決を図る手続とされています。医療ADRは医療紛争に特化したADRで、病院との直接交渉では進まないが、訴訟までは踏み切れない場合に検討されます。医療紛争は高度な専門性があり、患者側にとって事実経過や注意義務違反の立証が難しいことが多いため、医療紛争の特質を踏まえた手続が用意されています。
次の比較表は、医療ADRと民事調停を、実施主体、目的、効力、専門性、公開性で比べたものです。どちらも話し合いが基本であり、相手方が応じない場合や合意できない場合には解決に至らないことがあります。
| 観点 | 医療ADR | 民事調停 |
|---|---|---|
| 実施主体 | 弁護士会等のADR機関 | 裁判所 |
| 目的 | 話し合いによる柔軟な解決 | 裁判所関与の話し合い |
| 効力 | 合意が基本 | 調停成立時は調停調書に効力 |
| 専門性 | 医療事件経験者が関与する場合がある | 医療専門調停委員が関与する場合がある |
| 相手が応じない場合 | 不成立となる可能性 | 不成立となる可能性 |
| 公開性 | 原則非公開 | 非公開 |
医療ADRは、直接交渉は平行線だが双方に話し合いの余地がある場合、非公開で解決したい場合、謝罪、説明、再発防止、一定の金銭解決を柔軟に組み合わせたい場合に検討されます。ただし、相手方が出席しない、合意しない、責任を全面否定する、証拠開示に協力しない場合には解決しないことがあります。ADR機関ごとに対象事件、費用、あっせん人の構成、医師意見の扱い、申立方法も異なります。
民事調停は、裁判所が当事者の間に入って話し合いを進める手続です。裁判所の説明では、手続が簡単で、訴訟に比べて費用が低額で、非公開であり、比較的早く解決できることが特徴とされます。通常は申立て後に2、3回の調停期日が開かれ、おおむね3か月以内に終了することが多いとされますが、医療紛争では専門性や対立の強さにより長期化することがあります。
内容証明、時効、証拠保全、費用支援まで、早めに確認したい場面を整理します。
病院側への正式な通知や請求では、内容証明郵便が利用されることがあります。内容証明は、いつ、どのような内容の文書を、誰から誰あてに差し出したかを証明するサービスですが、文書の内容が真実であることを証明するものではありません。強い印象を与えるため、回答期限、損害賠償請求、時効完成前の催告、記録開示、代理人就任通知などに使う際は、文面の法的効果を確認する必要があります。
次の一覧は、早期に弁護士相談を検討しやすい事情を示します。複数当てはまるほど、通常の説明交渉だけで進めるリスクが高まり、時効や証拠の観点から専門家の確認が重要になります。
死亡、重い後遺障害、長期入院、重大な合併症がある場合は、損害や医学的評価が複雑になりやすくなります。
説明拒否、回答の大きな変遷、記録開示への消極姿勢、一部開示だけの場合は、資料確認の方法を検討します。
時効が近い可能性、証拠が消えるおそれ、保存期間の短い資料がある場合は、対応の遅れが影響します。
病院側から弁護士、保険会社、顧問弁護士が出てきた場合は、やり取りが法的交渉の性質を強めます。
ADR、調停、訴訟、証拠保全を検討している場合は、どの順番で進めるかの判断が必要です。
家族内で方針が分かれる、何を求めるべきか分からない場合も、争点整理の相談が役立つことがあります。
次の表は、弁護士相談前に準備する資料をまとめたものです。相談時間を有効に使うため、感情的な経緯だけではなく、資料と時系列で説明できる状態を目指します。
| 資料 | 内容 |
|---|---|
| 時系列表 | 受診日、症状、検査、説明、処置、結果を時刻単位で整理 |
| 診療記録 | 開示済みのカルテ、看護記録、検査結果、画像 |
| 説明資料 | 同意書、説明文書、パンフレット、病院からの回答書 |
| 損害資料 | 医療費、交通費、休業損害、介護費、診断書、障害関係資料 |
| 通信記録 | 病院とのメール、手紙、面談メモ、録音の有無 |
| 家族メモ | 説明時に誰が何を聞いたか、患者の訴え |
| 相談目的 | 説明、謝罪、再発防止、賠償、転院、訴訟のどれを重視するか |
医療事件は専門性が高いため、医療事件の取扱経験、診療記録の読み方、協力医との連携、医学文献調査、証拠保全、ADR・調停・訴訟の経験を確認します。相談時には、患者側と医療機関側の経験、協力医の意見取得、調査段階と訴訟段階の費用、見通しが悪い場合の説明、委任範囲と費用の明確さも確認事項になります。
経済的に余裕がない場合は、法テラスの民事法律扶助を検討できます。無料法律相談や弁護士・司法書士費用等の立替えは、資力基準、勝訴の見込みがないとはいえないこと、制度趣旨に適することなどの条件があります。
記録が失われるおそれや最終判断が必要な場合は、裁判所の手続も視野に入ります。
証拠保全とは、訴訟前又は訴訟中に、あらかじめ証拠調べをしておかなければ後で証拠を使用することが困難になる事情がある場合に、裁判所を通じて証拠調べを行う手続です。医療事件では、診療録、看護記録、画像、手術記録、モニター記録、電子カルテの入力履歴などが重要になります。
次の一覧は、通常の診療情報開示だけで足りるか、証拠保全の検討が必要かを考えるための事情を示します。保存期間が短い資料や記録の改変・追記の疑いがある場合は、早めの確認が重要です。
病院が記録開示に消極的、又は開示内容が不自然に少ない場合は、記録の全体像を確認する方法を検討します。
記録の改変・追記の疑いがある場合、電子カルテの入力履歴なども検討対象になることがあります。
手術映像、モニター波形、ナースコール記録など、保存期間が短い資料がある場合は時期が重要です。
死亡事案や重大後遺障害事案では、訴訟提起前に証拠の全体像を把握する必要性が高まることがあります。
証拠保全は裁判所を使う手続であり、申立書、疎明資料、対象証拠の特定、保全の必要性の説明が必要です。実務上、医療事件では弁護士に依頼して行うことが多く、費用対効果や病院側の姿勢を踏まえて判断します。
次の表は、医療訴訟で典型的に問題になる争点と、患者側が準備する資料を対応させたものです。診療経過、過失、因果関係、損害の4つがそろわないと、悪い結果があるだけでは法的評価に進みにくい点を確認します。
| 争点 | 内容 | 患者側が準備するもの |
|---|---|---|
| 診療経過 | いつ、誰が、何をしたか | 診療録、看護記録、時系列表 |
| 過失 | 当時の医療水準に反したか | 医学文献、ガイドライン、協力医意見 |
| 因果関係 | 過失がなければ結果を避けられたか | 経過分析、専門医意見、統計・文献 |
| 損害 | どの損害が発生したか | 領収書、休業資料、後遺障害資料、介護資料 |
次の比較グラフは、最高裁判所の令和6年速報値における医事関係訴訟事件の終局区分別割合を、和解、判決、その他の順で示します。和解が半数を超える点から、医療訴訟は判決だけで終わるものではないことを読み取れます。
同じ統計では、令和6年の医事関係訴訟事件の平均審理期間は24.7か月とされています。ただし、この数値は速報値であり、個別事件では鑑定、専門委員、証人尋問、複数医療機関、後遺障害、死亡事案などにより大きく変動します。
協議が続いているだけでは、時効リスクが当然になくなるわけではありません。
病院との話し合いが長引くと、時効が問題になることがあります。医療事件では、不法行為責任、債務不履行責任、説明義務違反など、法的構成によって時効期間や起算点が問題になります。
次の表は、民法上問題になりやすい期間を整理したものです。どの構成を取るか、いつから数えるか、改正民法の経過措置がどう関わるかで結論が変わるため、数字だけで判断しないことが重要です。
| 請求の類型 | 基本的な期間 | 注意点 |
|---|---|---|
| 一般的な債権 | 権利を行使できることを知った時から5年、又は権利を行使できる時から10年 | 法的構成と起算点の確認が必要です。 |
| 生命又は身体の侵害による損害賠償請求権 | 上記10年の期間が20年に伸長 | 債務不履行構成でも身体侵害が関係する場合は検討が必要です。 |
| 不法行為に基づく損害賠償請求権 | 損害及び加害者を知った時から3年、又は不法行為の時から20年 | 生命又は身体を害する不法行為では、3年が5年に伸長されます。 |
次の判断表は、現在の状況から優先する手順を選ぶためのものです。左列で近い状況を探し、中央の手順を確認し、右列の補足で注意点を読み取ります。
| 現在の状況 | 優先する次のステップ | 補足 |
|---|---|---|
| 説明内容が分からない | 質問書を作成し、再説明を申し入れる | 議事録化する |
| 病院の説明が変わる | 診療記録開示、面談記録の整理 | 記録と説明の齟齬を見る |
| 記録を取得していない | 診療情報開示請求 | 画像・看護記録も対象に含める |
| 病院が記録開示に消極的 | 弁護士相談、証拠保全検討 | 保存期間の短い資料に注意 |
| 死亡・死産事案 | 医療事故調査制度対象の確認 | 制度対象と民事責任は別 |
| 苦情・相談先が分からない | 医療安全支援センター | 中立的相談窓口 |
| 話し合いの余地がある | 医療ADR、民事調停 | 合意による解決を目指す |
| 損害賠償を求めたい | 医療事件対応の弁護士へ相談 | 過失・因果関係・損害を検討 |
| 時効が近い | すみやかに弁護士へ相談 | 催告だけで安心しない |
| 相手が全面否定 | 証拠保全、訴訟検討 | 立証可能性を調査 |
| 経済的負担が不安 | 法テラス、弁護士費用保険確認 | 要件を確認する |
| 転院・治療継続が必要 | 診療情報提供書、セカンドオピニオン | 紛争対応と治療確保を分ける |
要求を分け、表現を整え、治療継続と紛争対応を切り分けます。
患者・家族側は、説明、謝罪、再発防止、賠償を一体として求めがちです。しかし、病院側は賠償責任を認めることにつながる発言を避けるため、説明自体が硬直化することがあります。まず診療経過の事実確認を行い、次に医療安全上の検討を確認し、損害賠償は資料確認後に協議するなど、段階化する方法が考えられます。
強い非難表現は、感情としては理解できる場合があるものの、交渉では逆効果になりやすいとされています。法的文書では、説明内容と診療録の記載に齟齬がある、当時の医療水準に照らした検査実施義務の有無を確認したい、因果関係について説明を求める、という表現へ置き換えます。
現在も同じ病院で治療を受けている場合、紛争化により治療継続への影響を心配する人がいます。治療上の安全を最優先し、必要に応じて紹介状、診療情報提供書、検査画像を取得し、セカンドオピニオンや転院を検討します。治療確保と責任追及は、実務上分けて考える必要があります。
次の一覧は、病院との話し合いが平行線になった場面で起こりやすい誤解を整理したものです。見出しだけで結論を決めず、右側の説明にある制度上・証拠上の限界を確認します。
謝罪の有無と法的責任の有無は一致しません。保険対応、組織内判断、説明担当者の権限不足なども影響します。
記載がないことは重要ですが、患者・家族の陳述、看護記録、検査時刻、他院紹介状、録音、メール、メモで補える場合もあります。
制度は再発防止を目的とするもので、責任追及を目的とするものではありません。賠償は別の手続で検討します。
ADRは話し合いによる解決を支援する手続であり、訴訟の判決とは異なります。相手方の合意がなければ解決しないことがあります。
裁判所は提出された主張と証拠に基づいて判断します。医療水準、注意義務違反、因果関係、損害を証拠で主張立証する必要があります。
事実整理、証拠収集、法的対応を分けて確認します。
次の3つの一覧は、病院との話し合いが進まないときに、抜けやすい準備事項を分野別にまとめたものです。左の番号で分野を確認し、各項目を資料やメモで裏付けられるかを点検します。
患者氏名、生年月日、医療機関、診療科、初診から現在までの時系列、問題場面の日時、説明者と同席者を整理します。
時系列争点診療録、看護記録、検査結果、画像データ、手術記録、麻酔記録、説明同意書、紹介状、退院サマリー、領収書、病院とのやり取りを保存します。
記録保存期間時効の可能性、医療事件に対応できる弁護士、法テラス、弁護士費用保険、医療安全支援センター、医療ADR、民事調停、証拠保全、訴訟の費用と期間を確認します。
相談時効個別の見通しではなく、制度と検討順序に関する一般的な考え方を整理します。
一般的には、診療記録の取得、時系列整理、争点整理、弁護士相談を先に行うことが多いとされています。ただし、時効が近い、証拠が失われるおそれがある、重大損害があるなどの事情によって検討順序は変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、標準的医療だったかどうかは、当時の医療水準、患者の所見、検査結果、緊急性、代替手段、経過観察の内容などから評価されます。医学文献や協力医の意見が必要になることもあります。個別の見通しは診療記録や証拠関係で変わるため、専門家への相談が必要です。
一般的には、病院の患者相談窓口は医療機関内部の説明調整に関わる窓口であり、医療安全支援センターは都道府県等に設置される中立的な相談窓口とされています。いずれも裁判所ではなく、賠償命令を出す機関ではありません。損害賠償や法的手続は別途検討する必要があります。
一般的には、説明、謝罪、再発防止、一定の金銭解決を柔軟に目指す場合はADRが検討されることがあります。一方、相手方が全面的に争い、証拠に基づく法的判断が必要な場合は訴訟が検討対象になります。どちらが適するかは、証拠、目的、相手方の姿勢、費用、時効で変わります。
一般的には、相談と依頼は別です。まずは法律相談で、争点、必要資料、時効、証拠保全、見通し、費用を確認するだけでも意味があります。ただし、時効や証拠散逸のリスクがある場合は、相談後に速やかな対応が必要になる可能性があります。
一般的には、診療情報の開示は制度上予定された手続です。ただし、医療機関の受け止めや治療継続中かどうかで配慮すべき点が変わります。紛争的な表現を避け、経過確認や今後の治療理解のために請求する方法が考えられますが、すでに対立が強い場合は専門家に相談する必要があります。
一般的には、本人の同意、代理権、個人情報の問題を確認する必要があります。患者本人が判断能力を有する場合、家族が交渉や開示請求を行うには本人の委任が必要になることがあります。死亡事案や判断能力に疑義がある場合は、請求できる人の範囲を確認する必要があります。
一般的には、病院側が弁護士を窓口にした場合、以後のやり取りは法的交渉の性質が強くなるとされています。患者・家族側も弁護士へ相談し、直接連絡を続けるか、代理人を立てるかを資料と状況に応じて検討する必要があります。