2σ Guide

医療事故調査の結果に
納得できない場合の次のステップ

調査報告書への疑問を、診療記録、時系列、センター調査、弁護士相談、医療ADR、訴訟の順に整理し、次に確認すべき資料と手続を見失わないための一般情報です。

7基本ステップ
5主な争点分類
10FAQで確認
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医療事故調査の結果に 納得できない場合の次のステップ

制度内の再検証と、損害賠償・ADR・訴訟などの別ルートを分けて考えます。

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医療事故調査の結果に 納得できない場合の次のステップ
制度内の再検証と、損害賠償・ADR・訴訟などの別ルートを分けて考えます。
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  • 医療事故調査の結果に 納得できない場合の次のステップ
  • 制度内の再検証と、損害賠償・ADR・訴訟などの別ルートを分けて考えます。

POINT 1

  • 医療事故調査の結果に納得できない場合の全体像
  • 1. 疑問点を特定:報告書・説明内容のどこに納得できないかを整理します。
  • 2. 客観資料を入手:診療記録、検査結果、画像、看護記録などを取得します。
  • 3. 時系列を作成:記録と家族の記憶を分けて、事故前後の経過を再構成します。
  • 4. 次の手続を選択:追加説明、センター調査、弁護士相談、ADR、訴訟を検討します。

POINT 2

  • 医療事故調査制度の位置づけと限界
  • 責任追及の制度ではないこと、対象が限定されること、院内調査とセンター調査の違いを押さえます。
  • 再発防止が中心
  • 対象は限定される
  • 報告済み事案が前提

POINT 3

  • 医療事故調査の結果に納得できない点を争点へ変換する
  • 事実経過
  • 医学的評価
  • 検査値の異常、画像所見、鑑別診断、薬剤投与量、手術・処置の適応やタイミングなどを確認します。

POINT 4

  • 医療事故調査報告書と説明内容を根拠から読む
  • 結論だけでなく、どの資料と論理で結論に至ったかを確認します。
  • 調査報告書を読むときは、結論が納得できるかだけでなく、結論を支える資料と論理が十分かを見ることが大切です。
  • 説明会では、説明者の氏名・役職・診療科、説明日時、場所、参加者を記録し、可能であれば複数人で出席します。
  • 事前に質問リストを送り、曖昧な回答は後日書面での回答を求め、説明後すぐに家族側メモを作成します。

POINT 5

  • 医療事故調査に納得できないときは診療記録を入手する
  • 記憶だけではなく、第三者が検討できる客観資料をそろえる段階です。
  • 医療事故・医療過誤の検討では、診療録、看護記録、検査結果、画像、同意書などの記録が中心資料になります。
  • 家族の記憶や説明時の印象も重要ですが、弁護士や協力医が医学的・法的に検討するには、客観資料が欠かせません。
  • 資料名は医療機関によって異なるため、何を表す資料かを意識し、診療経過のどこを確認するために必要かを読み取ることが重要です。

POINT 6

  • 医療事故調査の疑問点を時系列で整理する
  • 1. カルテに書かれている事実:診療録、看護記録、検査結果、画像レポートなど、客観資料に記載された内容を抽出します。
  • 2. 家族が見聞きした事実:説明会、病室での会話、症状の訴え、同席者の記憶を、資料とは別欄に記録します。
  • 3. 医学的に確認すべき点:検査の必要性、画像所見、薬剤、処置、転院や専門医介入の必要性を整理します。
  • 4. 法的に問題となり得る点:注意義務違反、因果関係、説明義務、損害、時効など、弁護士に確認したい論点へつなげます。

POINT 7

  • 医療機関に追加説明と再検討を求める方法
  • 1. 追加資料の開示を求める:不足資料や画像データを具体的に示します。
  • 2. 書面回答を再度求める:回答が曖昧な論点を絞り込みます。
  • 3. センター調査の可否を確認:センターへの報告済み事案かを確認します。
  • 4. 専門家へ相談:医療安全支援センター、弁護士、協力医の検討へ進みます。

POINT 8

  • センター調査を検討できる条件と限界
  • 既にセンターへ報告された医療事故かどうかが大きな分岐点です。
  • 医学的検証
  • 提出資料の検討
  • 法的責任は別問題

まとめ

  • 医療事故調査の結果に 納得できない場合の次のステップ
  • 医療事故調査の結果に納得できない場合の全体像:制度内の再検証と、損害賠償・ADR・訴訟などの別ルートを分けて考えます。
  • 医療事故調査制度の位置づけと限界:責任追及の制度ではないこと、対象が限定されること、院内調査とセンター調査の違いを押さえます。
  • 医療事故調査の結果に納得できない点を争点へ変換する:感情的な不満を否定せず、資料で検証できる論点へ分けていきます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

医療事故調査の結果に納得できない場合の全体像

制度内の再検証と、損害賠償・ADR・訴訟などの別ルートを分けて考えます。

医療事故調査の結果に納得できない場合、最初に理解すべきことは、医療事故調査制度と損害賠償請求・示談交渉・訴訟が別の目的を持つ手続だという点です。調査報告書が作成されても、それだけで医療機関の法的責任、過失、損害賠償額が決まるわけではありません。一方で、報告書への疑問は、後続の相談・資料収集・交渉の重要な出発点になります。

重要このページは一般的な制度理解と検討順序を整理するものです。診療経過、診療科、死亡・後遺障害の有無、記録の内容、時効の進行、証拠保全の必要性によって対応は大きく変わるため、具体的な方針は弁護士等の専門家に相談する必要があります。

次の比較表は、調査結果に疑問が残る場面で、不満の内容をどの確認事項へつなげるかを示しています。疑問を資料や手続に結びつけることが重要で、左列が不満の内容、右列が次に確認すべき資料や論点を表します。

納得できない点主に確認すべきこと
説明が抽象的で原因が分からない調査報告書、死亡原因、検査所見、画像、剖検・Aiの有無
家族が聞いた説明と報告書の記載が違う説明時のメモ、録音、同席者、同意書、診療録の記載
医療機関が予期していたとして制度対象外にした予期の根拠、事前説明の内容、死亡・死産に至る経過
調査体制に外部専門家の関与が見えない院内調査の体制、支援団体への相談の有無、専門性
再発防止策だけで責任に触れていない制度目的と法的責任追及の違い、別途の交渉・ADR・訴訟
損害賠償を求めたい過失、因果関係、損害、証拠、時効、専門医意見

次の判断の流れは、最初に何を整理し、どの段階でセンター調査や弁護士相談へ進むかを示しています。順番を追うことで、感情的な不信を第三者が検討できる資料と論点へ変換しやすくなります。

基本ルート

疑問点を特定

報告書・説明内容のどこに納得できないかを整理します。

客観資料を入手

診療記録、検査結果、画像、看護記録などを取得します。

時系列を作成

記録と家族の記憶を分けて、事故前後の経過を再構成します。

次の手続を選択

追加説明、センター調査、弁護士相談、ADR、訴訟を検討します。

Section 01

医療事故調査制度の位置づけと限界

責任追及の制度ではないこと、対象が限定されること、院内調査とセンター調査の違いを押さえます。

医療事故調査制度の中心目的は、医療事故の原因を分析し、再発防止につなげることです。誰のミスか、過失があるか、損害賠償額はいくらかを直接決める制度ではありません。この性質を理解しておくと、報告書に責任判断が書かれていない場合でも、制度の限界と別ルートの必要性を分けて考えられます。

次の一覧は、制度の基本的な性格を3つに分けて整理したものです。どの項目も、調査結果への不満をどの手続で扱うべきかを判断する基礎になるため、各項目の限界を読み取ることが重要です。

Purpose

再発防止が中心

医療安全を目的とする制度であり、民事訴訟の判決文や損害賠償請求書とは役割が異なります。

Scope

対象は限定される

医療に起因し、または起因すると疑われる死亡または死産で、管理者が予期しなかったものが中心です。

Route

報告済み事案が前提

センター調査は、医療機関から既にセンターへ報告された医療事故について依頼を検討する手続です。

次の比較表は、院内調査とセンター調査の主体と役割の違いを示しています。どちらの調査なのかによって、提出される資料、検証の範囲、家族側が次に確認すべき事項が変わります。

種類主体概要
院内調査医療機関診療録、関係者ヒアリング、検査、画像、剖検・死亡時画像診断等をもとに行う調査です。
センター調査医療事故調査・支援センター既にセンターに報告された医療事故について、遺族または医療機関の依頼により行われる調査です。

遺族が医療事故だと感じていても、医療機関が制度対象外と判断することがあります。その場合は、まず対象外判断の根拠、診療記録上の説明、死亡または死産に至る経過を確認する必要があります。

Section 02

医療事故調査の結果に納得できない点を争点へ変換する

感情的な不満を否定せず、資料で検証できる論点へ分けていきます。

突然の死亡、説明の変遷、診療中の違和感、医療者の態度、カルテ記載との食い違いが重なると、調査結果を受け入れがたく感じることがあります。ただし、次の手続へ進むには、いつ、誰が、何を説明し、報告書のどの部分と矛盾し、その矛盾が死亡原因や回避可能性にどう関係するのかを整理する必要があります。

次の一覧は、調査結果への不満が実務上どの争点に分かれやすいかを示しています。どの種類の争点かを見分けることが重要で、必要な資料や相談先が争点ごとに違うことを読み取ります。

事実経過

急変時刻、症状の伝達、医師の来室時刻、同意書の説明内容、安定していたという説明と報告書記載の違いなどが問題になります。

医学的評価

検査値の異常、画像所見、鑑別診断、薬剤投与量、手術・処置の適応やタイミングなどを確認します。

因果関係

検査、転院、ICU管理、専門医介入、急変後対応が死亡や後遺障害にどの程度影響したかが争点になります。

調査手続

外部専門家の有無、ヒアリングの範囲、家族意見の反映、専門性、重要資料の検討漏れを確認します。

説明義務・情報提供

リスク説明、代替治療、急変時説明、事故後説明の変遷、診療記録開示の範囲が問題になることがあります。

注意納得できない理由を分類しても、それだけで過失や因果関係が認められるわけではありません。医学的根拠、当時の医療水準、診療記録、説明内容を総合して検討する必要があります。
Section 03

医療事故調査報告書と説明内容を根拠から読む

結論だけでなく、どの資料と論理で結論に至ったかを確認します。

調査報告書を読むときは、結論が納得できるかだけでなく、結論を支える資料と論理が十分かを見ることが大切です。調査対象期間、診療行為、参照記録、ヒアリング対象者、家族からの聞き取り、検査値・画像・病理・剖検・Ai、急変前後の時系列、死亡原因の推定、再発防止策、不明点、外部専門家の関与、少数意見や検討過程を確認します。

次の比較表は、報告書でよく見られる記載と、その記載を読んだときに確認すべき観点を示しています。左列の表現だけで納得するのではなく、右列の根拠までたどることが重要です。

報告書の記載確認すべき観点
原因は特定できないどの資料を検討した上で不明としたのか。
合併症と考えられるその合併症は予見可能だったか、防止可能だったか。
適切に対応したどの時点のどの判断が適切と評価されたのか。
早期発見は困難だったどの症状・検査値・画像を根拠にそう判断したのか。
再発防止策を講じる何が問題だったから、その防止策が必要になったのか。

説明会では、説明者の氏名・役職・診療科、説明日時、場所、参加者を記録し、可能であれば複数人で出席します。事前に質問リストを送り、曖昧な回答は後日書面での回答を求め、説明後すぐに家族側メモを作成します。録音を検討する場合は、目的、保存方法、公開の有無に注意が必要です。

公開注意録音やカルテ画像の公開、編集、第三者提供、SNS投稿は、名誉毀損、プライバシー、個人情報、証拠価値の問題を生じさせる可能性があります。証拠として使う可能性がある場合は、公表する前に弁護士等へ相談する必要があります。
Section 04

医療事故調査に納得できないときは診療記録を入手する

記憶だけではなく、第三者が検討できる客観資料をそろえる段階です。

医療事故・医療過誤の検討では、診療録、看護記録、検査結果、画像、同意書などの記録が中心資料になります。家族の記憶や説明時の印象も重要ですが、弁護士や協力医が医学的・法的に検討するには、客観資料が欠かせません。

次の一覧は、開示請求で検討されやすい資料群を分野ごとに整理したものです。資料名は医療機関によって異なるため、何を表す資料かを意識し、診療経過のどこを確認するために必要かを読み取ることが重要です。

01

基本的な診療記録

診療録、経過記録、医師記録、看護記録、サマリー、紹介状・返書、問診票、バイタルサイン表、体温表、薬剤投与記録、注射・点滴記録、輸血記録、栄養管理記録、リハビリ記録を確認します。

経過把握
02

検査・画像関係

血液検査、尿検査、細菌検査、病理検査、心電図、レントゲン、CT、MRI、超音波、内視鏡、読影レポート、モニター記録、血液ガス分析を確認します。

医学的評価
03

手術・処置・麻酔関係

手術記録、麻酔記録、術前評価、術後指示、同意書、処置記録、ICU記録、救急外来記録、急変対応記録、CPR記録を確認します。

急変対応
04

説明・同意関係

説明書、同意書、リスク説明文書、代替治療の説明資料、セカンドオピニオン関連資料、家族への説明記録、電話連絡記録を確認します。

説明義務
05

事故調査関係

医療事故調査報告書、家族説明資料、再発防止策資料、院内調査で参照した資料の範囲、外部委員・支援団体の関与資料を確認します。

調査範囲

次の比較表は、遺族が開示請求を行うときに確認しやすい実務項目をまとめたものです。誰が請求できるか、どの形式で受け取れるか、どの範囲が非開示になり得るかを事前に確認すると、資料不足を防ぎやすくなります。

確認項目具体例
請求できる人遺族、相続人、代理人の可否、委任状の要否
必要書類本人確認書類、戸籍関係書類、親族関係を示す資料
対象資料紙の診療録、電子カルテ出力、検査結果、画像データ、説明文書
交付方法紙媒体、CD-R、DVD、オンライン媒体、画像データの有無
費用と期間手数料、画像交付費、標準処理期間、追加請求の方法
非開示理由第三者情報、内部委員会資料、個人評価資料、医療安全上の扱い

単にカルテをくださいと伝えるだけでは必要資料が不足することがあります。対象期間、診療科、資料種別を特定し、画像はレポートだけでなくデータそのものを受け取れるか確認します。

Section 05

医療事故調査の疑問点を時系列で整理する

記録と記憶を分け、どの時点で何が争点になるかを見える形にします。

医療事故の検討では、時系列表が重要な資料になります。弁護士に相談する場合も、整理された時系列があると、事案の把握が早くなり、どの診療行為や説明が争点になるのかを確認しやすくなります。

次の表は、時系列表に入れる列と記載例を示しています。日時、出来事、根拠資料、家族の記憶・疑問、争点を分けることが重要で、どの事実が記録に基づくのかを読み取れるようにします。

日時出来事根拠資料家族の記憶・疑問争点
〇月〇日 10時発熱・呼吸苦を訴える看護記録p.12家族も同席検査指示の遅れ
〇月〇日 11時30分血液検査実施検査結果p.3数値異常あり医師確認時刻
〇月〇日 13時医師診察診療録p.8説明では大丈夫と聞いた鑑別診断
〇月〇日 15時20分急変急変記録p.2家族連絡が遅い対応体制
〇月〇日 16時10分蘇生開始CPR記録p.1実際はもっと前から悪化因果関係

次の時系列は、記録と記憶を混同しないための整理順を示しています。順番に沿って分けることで、相談時に事実、推測、医学的確認事項、法的争点を切り分けやすくなります。

Step 01

カルテに書かれている事実

診療録、看護記録、検査結果、画像レポートなど、客観資料に記載された内容を抽出します。

Step 02

家族が見聞きした事実

説明会、病室での会話、症状の訴え、同席者の記憶を、資料とは別欄に記録します。

Step 03

医学的に確認すべき点

検査の必要性、画像所見、薬剤、処置、転院や専門医介入の必要性を整理します。

Step 04

法的に問題となり得る点

注意義務違反、因果関係、説明義務、損害、時効など、弁護士に確認したい論点へつなげます。

Section 06

医療機関に追加説明と再検討を求める方法

感情的な抗議よりも、質問事項を整理した書面が実務上は有効です。

調査結果に納得できない場合、医療機関へ追加説明を求めることがあります。その際は、報告書のどの部分に関する質問か、どの資料と矛盾するのか、どの医学的判断の根拠を知りたいのか、追加で開示してほしい資料は何かを整理します。

次の一覧は、質問書に入れると整理しやすい項目を示しています。質問の種類を分けることが重要で、医療機関に何を回答してほしいのかを具体的に読み取れる形にします。

Facts

事実経過

急変時刻、検査結果を医師が確認した時刻、看護記録上の症状、家族への説明記録を尋ねます。

Medical

医学的評価

鑑別診断、検査を実施しなかった理由、薬剤投与量、専門医相談の有無を確認します。

Causation

因果関係

早期介入、ICU管理、検査値異常と死亡原因との関係をどのように検討したかを尋ねます。

Process

調査手続

関係者ヒアリング、外部専門家・支援団体への相談、家族意見の反映、検討資料の一覧を確認します。

次の判断の流れは、医療機関の回答が十分でないときに検討する選択肢を示しています。最初から訴訟へ進むという意味ではなく、資料開示、書面回答、センター調査、相談先の順番を状況に応じて選ぶことを読み取ります。

回答が不十分な場合の検討順序

追加資料の開示を求める

不足資料や画像データを具体的に示します。

書面回答を再度求める

回答が曖昧な論点を絞り込みます。

センター調査の可否を確認

センターへの報告済み事案かを確認します。

専門家へ相談

医療安全支援センター、弁護士、協力医の検討へ進みます。

Section 07

センター調査を検討できる条件と限界

既にセンターへ報告された医療事故かどうかが大きな分岐点です。

センター調査は、医療事故調査・支援センターが行う調査です。院内調査の結果に疑問がある場合、第三者的な立場から調査・検証を受けられる可能性があります。ただし、対象は既に医療機関からセンターへ報告された医療事故です。

次の比較表は、センター調査を検討できるかどうかを状況別に整理したものです。医療機関が報告済みか、制度対象外判断があるか、死亡・死産以外かによって進め方が変わるため、右列の確認事項を読み取ることが重要です。

状況センター調査の検討
医療機関が医療事故としてセンターへ報告済み遺族からセンター調査を依頼できる可能性があります。
医療機関が制度対象外と判断し、報告していないまず対象外判断の根拠確認・再検討要請が必要です。
死亡・死産ではない後遺障害事案医療事故調査制度の対象外となる可能性が高く、別ルートを検討します。
説明義務違反のみが問題診療記録開示、弁護士相談、交渉、ADR等を検討します。

次の一覧は、センター調査で期待できる事項と限界を並べたものです。センター調査は重要な再検証手段ですが、損害賠償額や個人責任を決める手続ではないため、目的に合うかを読み取る必要があります。

期待できること

医学的検証

院内調査結果、事故経過、死亡原因・発生原因、再発防止策を検討する可能性があります。

確認される資料

提出資料の検討

医療機関から提出された資料を確認し、必要に応じて説明やヒアリングが行われることがあります。

限界

法的責任は別問題

過失認定、損害賠償額の決定、個人責任の追及、訴訟上の結論を直接示す手続ではありません。

申し込み前には、医療機関がセンターへ事故発生報告をしたか、院内調査報告書を受け取ったか、どの点に疑問があるか、追加で検討してほしい医学的論点は何か、家族の記憶との相違点は何か、診療記録開示を受けているかを整理します。

Section 08

医療事故調査制度の対象外とされた場合の確認事項

対象外判断の理由を確認し、それでも残る別ルートを整理します。

医療機関が制度対象ではないと判断した場合、遺族は、死亡または死産が医療に起因しないと判断した理由、医療に起因する疑いもないと判断した理由、予期していたと判断した理由を確認します。特に予期していたとされる場合は、どの時点で、誰が、どのように説明し、患者・家族がどの程度理解していたかが重要になります。

次の比較表は、対象外判断を受けたときに、どの点を管理者へ確認すべきかを整理したものです。判断理由の言葉だけでなく、右列の資料や説明の根拠を読み取ることが大切です。

確認する理由確認する根拠
医療に起因しないとされた理由診療録、検査結果、死亡診断、急変経過の記録
医療に起因する疑いもないとされた理由医学的評価、既往症、合併症、院内検討資料の範囲
死亡または死産を予期していた理由事前説明、同意書、診療録、家族への説明記録
管理者の判断資料どの部署・診療科・支援団体が関与したか
外部専門家への相談支援団体や専門家に相談した有無と専門領域

次の一覧は、再検討を求めても報告されない場合に残る選択肢をまとめています。制度対象外という判断と民事上の責任がないことは同じではないため、別ルートで何を検討できるかを読み取ります。

A

資料収集

診療記録の開示、協力医による医学的検討、証拠保全を検討します。

証拠
B

相談窓口

医療安全支援センター、弁護士、医療ADR機関などへ相談します。

相談
C

法的手続

交渉、医療ADR、民事訴訟、必要に応じた行政・刑事に関する相談を検討します。

期限管理
Section 09

医療事故調査の結果に納得できないときの弁護士相談

早期相談が望ましい場面、確認事項、持参資料を整理します。

死亡または重大な後遺障害がある、説明が変遷している、診療記録の開示が遅い、制度対象外判断に疑問がある、話し合いが感情的対立になっている、時効が近い可能性がある、損害賠償請求や報道・SNSでの公表を考えている場面では、早めに弁護士へ相談することを検討します。

次の一覧は、弁護士相談で確認すべき事項と持参資料をまとめたものです。相談の質は準備資料によって変わるため、どの資料が見通し判断に使われるのかを読み取ることが重要です。

01

相談で確認すること

医療事件の取扱経験、患者側・医療機関側のどちらを主に扱うか、協力医・専門医の意見取得体制、証拠保全、医療ADR、訴訟の経験、費用体系、利益相反、交渉方針を確認します。

方針確認
02

持参したい資料

医療事故調査報告書、説明資料、診療記録、検査結果、画像データ、同意書・説明書、死亡診断書、診断書、紹介状・返書、時系列表、説明会メモ、録音または反訳を準備します。

資料整理
03

費用・損害関係

医療機関とのメール・書面、費用・損害に関する資料、戸籍・相続関係資料、既に相談した機関の回答を持参すると、請求や手続選択の検討に役立ちます。

費用

資料が完全でなくても相談は可能です。ただし、資料が多い場合は、時系列表と主要資料の索引を作ると、短い相談時間でも重要な論点を確認しやすくなります。

Section 10

証拠保全と任意開示の違いを理解する

記録の欠落や散逸のおそれがある場合は、裁判所手続による証拠確保も検討対象になります。

証拠保全とは、訴訟を起こす前などに、裁判所の手続を通じて証拠を確保する方法です。医療事件では、診療録、看護記録、画像、検査結果、モニター記録などを確認・保全する目的で利用が検討されることがあります。

次の比較表は、任意開示と証拠保全の違いを示しています。費用、対象、強制力、緊急性、専門性が違うため、どちらを選ぶべきかは資料の保存状況と争点の重要性から読み取る必要があります。

項目任意開示証拠保全
実施主体医療機関の手続裁判所の手続
費用医療機関の定める手数料等申立費用・弁護士費用等
対象医療機関の開示規程による裁判所が認めた範囲
強制力限定的裁判所手続としての効果
緊急性比較的低い場合もある証拠散逸のおそれ等が問題
専門性本人対応も可能弁護士関与が望ましい

証拠保全を考える場面には、診療記録の開示に応じない、開示記録に不自然な欠落がある、改変・後日記載が疑われる、画像やモニター記録など消えやすい資料がある、説明と記録が矛盾している、急変時の記録が重要である、複数医療機関の記録を比較する必要がある場合などがあります。

要確認証拠保全は強力な手段ですが、すべての事案で必要とは限りません。費用対効果、緊急性、資料の保存状況を弁護士に確認する必要があります。
Section 11

医療ADRで話し合う場合の向き不向き

訴訟とは別の場で、説明・謝罪・再発防止・解決金などを含む柔軟な合意を目指す手続です。

医療ADRは、医療紛争について裁判とは別の場で話し合いによる解決を目指す手続です。弁護士会等が実施する医療ADRでは、医療紛争に関する経験を持つ弁護士があっせん人となる場合があります。

次の一覧は、医療ADRが向く可能性がある事案と、注意すべき限界を整理したものです。ADRは勝ち負けだけを決める場ではない一方、相手方の参加や合意が必要になるため、目的と限界を読み取ることが重要です。

向く可能性

話し合いの余地がある

訴訟より早期解決を重視し、説明・謝罪・再発防止策、一定の解決金などを含めて検討したい場合に候補になります。

必要な前提

争点が整理されている

双方が第三者の関与を受け入れ、証拠関係が一定程度開示されている場合に進めやすくなります。

限界

合意できなければ解決しない

強制的な証拠開示には限界があり、複雑な医学的争点や責任を全面的に争う事案では訴訟が適することがあります。

ADRを利用する場合でも、時効の完成が当然に止まるとは限らないため、期限管理、証拠整理、交渉方針、訴訟へ移行する可能性を弁護士と確認しておく必要があります。

Section 12

医療事故と医療過誤の違い、損害賠償請求の考え方

悪い結果だけで責任が決まるわけではなく、注意義務違反・因果関係・損害・立証を検討します。

医療事故と医療過誤は、日常会話では混同されがちですが、法的には区別して考える必要があります。医療事故は医療に関連して発生した事故・有害事象を広く指す言葉です。医療過誤は、医療従事者に注意義務違反があり、その違反と損害との因果関係が認められる場合を指します。

次の比較表は、医療過誤として損害賠償を求める際に検討される主な要素を示しています。各要素がそろって初めて請求の見通しを検討できるため、単に結果が悪かったという事実だけでは足りないことを読み取る必要があります。

要素内容
注意義務当時の医療水準に照らし、医療者が何をすべきだったか。
注意義務違反検査、診断、治療、説明、転送、監視等に不適切な点があったか。
因果関係違反がなければ死亡・後遺障害等を避けられたか。
損害死亡慰謝料、逸失利益、治療費、葬儀費、後遺障害損害等。
立証診療記録、専門医意見、医学文献、鑑定等により証明できるか。

訴訟を検討する場合は、争点が診断ミス、治療選択、手技ミス、説明義務違反のどれか、協力医の意見が得られるか、医学文献上の根拠があるか、因果関係をどう主張するか、損害額をどう算定するか、被告が医療法人か医師個人か複数医療機関か、証拠保全が必要か、費用・期間・精神的負担を許容できるか、時効に間に合うかを整理します。

Section 13

医療事故調査と時効・期間制限は別に管理する

調査や説明が続いていても、法的請求の期限は別問題として確認します。

医療事故調査の結果を待っている間にも、法的請求の期間制限は問題になり得ます。損害賠償請求では、不法行為責任、債務不履行責任、説明義務違反など、複数の法的構成が検討されます。

次の一覧は、期間管理で危険になりやすい思い込みを整理したものです。どの手続をしているかと時効がどう進むかは別問題になり得るため、各項目を期限確認のきっかけとして読み取ることが重要です。

調査待ち

医療事故調査が終わるまで時効は進まないはずだと考えるのは危険です。

説明継続

医療機関が説明を続けているから大丈夫だと考えるのは避ける必要があります。

センター調査

センター調査を申し込めば時効が止まるはずだと決めつけることはできません。

ADR・交渉

話し合いが続いているから訴訟期限は問題ないと考えるのは危険です。

死亡からの年数

死亡からまだ数年だから絶対に間に合うと判断することはできません。

期限管理起算点、改正前後の経過措置、誰がいつ損害および加害者を知ったか、診療契約上の債務不履行として構成するか、不法行為として構成するかによって判断が変わります。損害賠償請求や訴訟を少しでも考える場合は、早めに弁護士へ期限を確認する必要があります。
Section 14

刑事・行政・苦情申立ては目的を分けて考える

複数の手段は目的が異なり、同時に進めればよいとは限りません。

医療事故では、民事上の損害賠償だけでなく、刑事責任、行政対応、医療安全上の相談、苦情申立てを考える方もいます。ただし、それぞれ目的が異なるため、事実関係・証拠・目的を整理し、民事手続との関係を考える必要があります。

次の比較表は、各手段の主な目的と注意点を整理したものです。どの手段が何を解決するのかを区別することが重要で、個別賠償、再発防止、刑事責任、苦情対応を混同しないように読み取ります。

手段主な目的注意点
医療事故調査制度原因分析・再発防止責任追及制度ではありません。
センター調査第三者的調査・検証報告済み医療事故が対象です。
医療安全支援センター相談医療に関する相談・苦情対応支援損害賠償を決める機関ではありません。
医療ADR話し合いによる解決相手方の参加・合意が必要です。
民事訴訟損害賠償責任の判断立証・費用・時間が問題になります。
刑事告訴・告発刑事責任の追及立件・起訴には高いハードルがあります。
行政相談・監督医療法上の指導等個別賠償の解決とは別問題です。

感情的に複数手続を同時に進めると、かえって解決が難しくなる場合があります。目的、証拠、見通し、期限を整理してから選択することが大切です。

Section 15

医療事故調査後にやってはいけない対応

不信感が強い場面ほど、証拠価値や名誉・プライバシーの問題に注意します。

調査結果に納得できない場合でも、対応を誤ると、名誉毀損、プライバシー侵害、個人情報、業務妨害、証拠価値の低下、時効管理の遅れといった別の問題が生じる可能性があります。

次の一覧は、避けるべき対応と理由を整理したものです。いずれも感情を否定する趣旨ではなく、後続の相談・交渉・ADR・訴訟で不利になり得る行動を読み取るためのものです。

SNSで実名・病院名を拡散する

事実関係が確定していない段階で医療機関名、医師名、看護師名、顔写真、録音、カルテ画像等を公表すると、別の法的問題を生じさせる可能性があります。

医療機関との会話を感情的に断つ

必要資料の開示、追加説明、再検討、ADR、交渉のためには、一定の連絡窓口を維持することが有益な場合があります。

証拠を整理せずに相談先を転々とする

相談のたびに同じ説明へ時間を取られ、実質的な検討が進みにくくなります。時系列表、主要資料一覧、質問・疑問点リストを準備します。

時効を軽視する

調査、院内説明、ADR、交渉が続いていても、法的請求の期限は別問題です。完成後は交渉上も訴訟上も不利になる可能性があります。

Section 16

弁護士相談前チェックリストで医療事故調査の資料をそろえる

基本情報、制度、診療記録、争点、手続選択を相談前に確認します。

弁護士相談前には、すべての資料がそろっていなくても、何があるか、何が不足しているかを整理することが役立ちます。次の一覧は相談前の準備項目を分野ごとにまとめたもので、不足箇所を読み取ることで初回相談の質問を具体化できます。

基本情報

患者・医療機関・遺族関係

患者氏名、生年月日、死亡日または障害発生日、医療機関名、診療科、担当医名、入院・外来期間、相談者と患者の関係、相続人・遺族の範囲を整理します。

制度関係

調査制度の状況

制度対象と判断されたか、センターへ報告されたか、院内調査報告書を受領したか、家族説明会の内容、センター調査の可否を確認します。

診療記録

取得資料

診療録、看護記録、検査結果、画像データ、説明書・同意書、手術記録・麻酔記録、急変対応記録、死亡診断書を確認します。

争点整理

疑問点の具体化

納得できない点、報告書の該当ページ、家族の記憶と記録の違い、医学的な疑問、説明義務に関する疑問を整理します。

手続選択

次の選択肢

医療機関への追加質問、センター調査、医療安全支援センター、医療ADR、証拠保全、訴訟、時効確認を検討します。

Section 17

医療機関への質問書に入れる項目

追加説明を求める書面では、資料、事実、医学的評価、因果関係、調査体制、今後の対応を分けます。

医療機関へ追加説明を求める書面は、感情的な抗議ではなく、確認したい論点と希望する回答方法を整理するために使います。次の表は質問書の構成例を示しており、左列の項目ごとに右列の内容を具体的に記載することが重要です。

項目記載する内容
宛先・件名病院長宛てに、患者に関する医療事故調査結果についての追加説明のお願いとして整理します。
調査対象資料診療録、看護記録、検査結果、画像データ、手術記録、麻酔記録、急変対応記録、説明記録のうち、院内調査で確認した資料一覧を求めます。
事実経過報告書の記載時刻と家族の認識が異なる場合、その判断根拠を尋ねます。
医学的評価対応を適切とした医学的根拠、検査結果、診療ガイドライン、専門医意見の有無を尋ねます。
因果関係特定時点で治療介入しても結果は変わらなかったと判断した根拠を尋ねます。
調査体制外部専門家、医療事故調査等支援団体、関係診療科の関与の有無を確認します。
今後の対応書面回答と説明会の開催を希望し、出席を求める部署や職種を具体化します。

実際に送付する場合は、個別事情に応じた修正が必要です。送付前に、表現が過度に断定的でないか、公表や交渉への影響がないか、弁護士等へ確認することが望ましい場合があります。

Section 18

センター調査申請理由の整理例

単に納得できないと書くのではなく、第三者的な医学的検証を求める理由を具体化します。

センター調査を依頼する場合、なぜ第三者的な医学的検証が必要なのかを明確にする必要があります。次の一覧は申請理由として整理されやすい論点を示しており、何が不十分で、どの点を検証してほしいのかを読み取れる形にすることが重要です。

急変前の検査値異常

異常値と死亡原因との関係が十分に検討されていない場合、どの検査値が問題かを特定します。

医師の確認時刻

検査結果が判明した時刻と担当医が確認した時刻に差がある場合、その検討不足を整理します。

家族説明との相違

説明会での説明と報告書の記載が異なる場合、その相違点と理由が不明な点を整理します。

外部専門家の関与

専門領域の判断が中心となる事案で、外部専門家の関与が明示されていない点を整理します。

再発防止策との関係

どの問題点を前提に再発防止策が必要とされたのかが不明確な点を整理します。

申請理由は、院内調査結果の医学的妥当性を検証してほしい事項として、報告書のページ、資料名、時刻、検査値、説明内容と結びつけて整理すると伝わりやすくなります。

Section 19

医療事故調査後の相談先を役割別に整理する

相談先ごとに目的と限界が違うため、何を相談する場所かを分けて考えます。

調査結果に納得できない場合でも、相談先ごとに扱える内容は異なります。次の一覧は主な相談先の役割を整理したもので、制度情報、苦情対応、法律相談、話し合いによる解決のどれを求めるのかを読み取ることが重要です。

01

医療事故調査・支援センター

医療事故調査制度に基づく相談やセンター調査に関する情報を確認します。対象、申請方法、費用、報告書の扱い、制度目的の確認が中心です。

制度
02

医療安全支援センター

各地域で医療に関する相談や苦情に対応します。医療機関とのコミュニケーションに悩む場合の相談先になり得ますが、損害賠償責任を判断する機関ではありません。

相談
03

弁護士会・法テラス

医療事件に対応する弁護士を探す場合や、収入・資力要件に応じて民事法律扶助を検討する場合に確認します。

費用
04

医療ADR機関

訴訟ではなく話し合いによる解決を目指す場合に候補になります。医療機関が参加し、争点が整理されている場合に有効な選択肢となり得ます。

ADR
Section 20

よくある質問

制度・資料・センター調査・ADR・訴訟について、一般的な考え方を整理します。

Q1. 医療事故調査の結果に納得できない場合、再調査を求められますか。

一般的には、医療機関に追加説明や再検討を求めることが考えられます。また、医療機関がセンターへ報告した医療事故であれば、遺族が医療事故調査・支援センターにセンター調査を依頼できる可能性があります。ただし、制度対象、報告の有無、申請要件によって結論は変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 医療機関が医療事故ではないと言ったら、何もできませんか。

一般的には、制度対象外と判断した理由を書面または説明で確認し、診療記録の開示、医療安全支援センターへの相談、弁護士相談、証拠保全、ADR、訴訟などを検討する余地があります。ただし、死亡・死産の有無、説明内容、記録、時効によって結論は変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q3. センター調査をすれば、過失の有無を判断してもらえますか。

一般的には、センター調査は医療安全と再発防止を目的とする制度の一部であり、個人の責任追及や損害賠償額の決定を目的とするものではありません。過失、因果関係、損害賠償を争う場合は、交渉、ADR、訴訟など別の手続を検討する必要があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q4. カルテ開示を受ける前に弁護士へ相談してもよいですか。

一般的には、カルテ開示前でも、どの資料を請求すべきか、証拠保全が必要か、時効が問題ないかを確認する目的で相談することが考えられます。ただし、資料があるほど具体的な見通しを立てやすくなります。可能な範囲で診療記録、説明資料、時系列表を準備し、具体的な対応は弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q5. 医療事故調査報告書は裁判で使えますか。

一般的には、報告書は事案を検討する重要資料になり得ます。ただし、報告書の結論がそのまま裁判所の判断になるわけではありません。裁判では、診療記録、医学文献、専門医意見、鑑定、当事者の主張立証などを総合して判断されます。具体的な証拠利用は、弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q6. 医療機関の説明を録音してもよいですか。

一般的には、録音の可否や利用方法は状況により異なります。録音が常に違法というわけではありませんが、無断公開、編集、第三者提供、SNS掲載などは別の法的問題を生じさせる可能性があります。証拠として利用したい場合は、録音の方法と使い方を含めて弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q7. 医療事故調査が終わるまで訴訟は待つべきですか。

一般的には、調査結果が有用な資料になる場合があります。一方で、時効、証拠散逸、記録保全、交渉状況によっては早期に法的対応が必要となる可能性もあります。調査を待つかどうかは、事案の資料と期限によって判断が変わるため、弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q8. 医療ADRと訴訟のどちらを選ぶべきですか。

一般的には、話し合いによる柔軟な解決を重視する場合はADRが適する可能性があります。一方、相手方が責任を全面的に争う場合、証拠開示や法的判断が必要な場合、損害額が大きい場合には訴訟が検討対象になることがあります。事案の性質、証拠、相手方の姿勢、費用、期間、目的によって判断が変わるため、弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q9. 家族の意見は調査報告書に反映されますか。

一般的には、医療事故調査制度では家族への説明や家族からの意見聴取が重要とされています。ただし、家族の意見がそのまま報告書の結論になるわけではありません。時系列、質問事項、根拠資料を整理して伝えることが有効な場合があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q10. 弁護士に依頼すれば勝てますか。

一般的には、医療事件では結果の保証はできません。医学的専門性、因果関係、証拠、当時の医療水準、協力医の意見、鑑定などが大きく影響します。弁護士相談では、勝敗を断定するより、争点、証拠、リスク、費用、選択肢を具体的に確認することが重要です。具体的な見通しは、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Section 21

医療事故調査の結果に納得できない場合の判断の流れ

制度内の検証、資料取得、弁護士相談、ADR・訴訟を順番に整理します。

次の判断の流れは、医療事故調査の結果に納得できない場合の大まかな進め方を示しています。上から順に資料と論点を積み上げ、センター調査を使える場合と、制度対象外判断の根拠確認へ進む場合の分岐を読み取ることが重要です。

実務上の判断の流れ

どこに納得できないかを整理する

報告書、説明、記録のどこが問題かを特定します。

診療記録・画像・検査結果・説明資料を取得する

客観資料をそろえます。

時系列表と質問リストを作る

記録と記憶を分けます。

センターへ事故報告済みか確認する

センター調査の前提を確認します。

報告済み
センター調査を検討

医学的検証を求める理由を整理します。

未報告
対象外判断の根拠確認

再検討要請と別ルートを考えます。

弁護士相談

証拠保全、交渉、医療ADR、訴訟を検討します。

時効を管理しながら方針決定

期限を別に確認します。

Section 22

医療事故調査の結果に納得できない場合のまとめ

感情的な不信を、制度・証拠・医学的争点・法的責任の順に整理します。

医療事故調査の結果に納得できない場合、最も大切なのは、感情的な不信を否定することではなく、それを検証可能な争点に変換することです。医療事故調査制度は再発防止を目的とする制度であり、法的責任や損害賠償を直接決める制度ではありません。

実務上は、次の流れが基本です。

  1. 報告書の疑問点を具体化する。
  2. 診療記録・画像・検査結果を取得する。
  3. 家族側の時系列表を作成する。
  4. 医療機関に追加説明・書面回答を求める。
  5. センター調査の対象か確認する。
  6. 損害賠償や責任追及を考える場合は弁護士に相談する。
  7. 証拠保全、ADR、訴訟、時効を総合的に検討する。

早い段階で資料を集め、時系列を作り、専門家に相談することが、後悔の少ない判断につながります。制度の目的、証拠の位置づけ、医学的争点、法的責任の要件を一つずつ整理していくことが重要です。

Reference

参考資料と一次情報

制度や手続の確認に使われる公的機関・専門機関の情報源です。

このページは、医療事故調査制度、診療情報提供、医療ADR、民法改正に関する公的機関・専門機関の情報をもとに、一般的な制度理解として整理しています。制度運用、費用、書式等は変更される可能性があるため、実際の手続では各機関の最新情報を確認してください。

公的機関・専門機関の資料

  • 厚生労働省「医療事故調査制度に関するQ&A」
  • 日本医療安全調査機構「ご遺族のみなさまへ」
  • 日本医療安全調査機構「医療事故調査制度について」
  • 厚生労働省「診療情報の提供等に関する指針」
  • 日本弁護士連合会「医療ADR」
  • 東京弁護士会「医療ADRについて」
  • 法テラス「医療過誤・医療事故に関する相談」
  • 法務省「民法の一部を改正する法律関係資料」