欠席が自動的に出席扱いになるわけではありません。学校外施設、自宅ICT学習、成績評価、重大事態調査を分けて整理し、安全と学びを守る確認ポイントを解説します。
欠席が自動的に出席扱いになるわけではありません。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
次の重要ポイントは、このページ全体の結論をまとめたものです。出席扱いだけが認められても、安全確保や重大事態調査、成績・進路の問題が残ることがあるため、制度と安全を分けて読み取ってください。
出席扱いは、学校外の学びやICT学習を学校記録にどう反映するかの問題です。いじめの事実調査、安全確保、再発防止、重大事態調査とは目的が異なります。
次の一覧は、最初に押さえる3つの結論を整理したものです。制度上の判断、いじめ法制上の判断、学校との協議事項を混同しないことが重要です。
学校外施設、自宅ICT学習、連携、対面指導、校長判断などの要件確認が必要です。
相当期間の欠席を余儀なくされている疑いがある場合、第28条が問題になります。
出席扱い、成績評価、別室登校、ICT学習、調査、安全確保を並行して整理します。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
いじめが原因で学校に行けなくなった場合、保護者がまず知っておくべき結論は、次の3点です。
第一に、日本の制度上、「いじめ被害者だから欠席日数が当然にゼロになる」「いじめが原因なら当然に出席扱いになる」という単純な制度はありません。一般に「出席扱い」と呼ばれるものは、主として、不登校児童生徒が学校外の公的機関・民間施設で相談・指導を受けた日数や、自宅でICT等を活用した学習活動を行った場合について、一定の要件を満たすときに、在籍校の校長が指導要録上、出席扱いにすることができるという制度運用を指します。文部科学省は、学校外施設で相談・指導を受ける場合について、一定の要件を満たせば「指導要録上出席扱いとすることができる」と整理しています。 また、自宅でICT等を活用した学習活動についても、一定要件の下で出席扱いの対象となり得ます。
第二に、いじめが原因で不登校になった場合は、単なる出欠処理の問題ではなく、いじめ防止対策推進法上の「重大事態」、特に「いじめにより相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがある場合」に当たり得ます。いじめ防止対策推進法第28条は、いじめにより児童生徒が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがある場合、学校の設置者又は学校に調査を求めています。 文部科学省の基本方針では、この「相当の期間」は不登校の定義を踏まえ年間30日を目安としつつ、連続欠席などの場合には30日に到達する前でも迅速に調査に着手する必要があるとされています。
第三に、「出席扱い」を求めることと、「いじめを止めさせ、安全を確保し、事実関係を調査し、再発防止を求めること」は分けて考える必要があります。出席扱いは学習努力を学校記録にどう反映するかの問題であり、いじめ問題の解決そのものではありません。出席扱いだけが認められても、教室が安全でない、加害児童生徒との接触が続く、重大事態調査がされない、学校が事実を記録しない、進級・進学に不利益が生じる、という問題は残り得ます。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
文部科学省の統計上、「不登校」は、心理的、情緒的、身体的、社会的要因・背景により、児童生徒が登校しない、または登校したくてもできない状況にある者を指し、病気、経済的理由、新型コロナウイルス感染回避などとは区別して扱われます。理由別長期欠席者数の調査では、年度間に30日以上登校しなかった児童生徒を理由別に調査しています。
ここで重要なのは、「30日」は、支援を始めるための最低条件ではないという点です。いじめで学校に行けなくなった場合、1日目から安全確保・記録化・相談体制の整備が必要です。30日を待ってよいという意味ではありません。
いじめ防止対策推進法上のいじめは、児童等に対して、その児童等が在籍する学校に在籍しているなど一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為で、対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいいます。ここでいう「行為」にはインターネットを通じて行われるものも含まれます。したがって、殴る・蹴るだけでなく、無視、悪口、SNSでの攻撃、画像拡散、物隠し、金品要求、性的からかい、集団からの排除、教師の見ていない場所での継続的嫌がらせなども問題になり得ます。
このページでいう「出席扱い」とは、主に、児童生徒が実際に教室へ登校して授業を受けていない日について、一定の要件を満たす場合に、指導要録上の出欠の記録において出席扱いとすることをいいます。
ただし、出席扱いには少なくとも次の3つの意味が混在しやすいため、混同してはいけません。
学校が作成する指導要録の「出欠の記録」において、学校外施設への通所等の日数を出席日数の内数として扱うことです。文部科学省は、出席扱いとした日数と学校外施設名を指導要録に記入する取扱いを示しています。
学校外施設や自宅等で行った学習成果を、学校の判断で成績評価に反映することです。令和6年8月29日の文部科学省通知では、一定の要件の下で、欠席中に行った学習成果を学校の判断で成績評価に考慮できることが、法令上明確化されたとされています。
指導要録上で出席扱いになっても、文部科学省の問題行動・不登校等調査では、校長が出席扱いとした日数が備考欄に記載されている場合、その日数も欠席日数として含めるという統計上の扱いがあります。 つまり、学校内の指導要録上の扱いと、国の統計上の把握は同じではありません。
指導要録は、児童生徒の学籍、出欠、学習評価、行動等を記録する学校の重要な公的記録です。出席扱いが問題になるのは、単に通知表の見た目だけではなく、進級・進学・転校・卒業・高等学校入試等に関係する可能性があるためです。
ただし、指導要録上の出席扱いが認められても、すべての進路上の問題が自動的に解消されるわけではありません。特に高等学校では、後述するとおり、指導要録上の出席扱いと、科目の履修・単位認定とは別問題です。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
いじめが原因で不登校になった場合、出席扱いに関係する制度は大きく分けて次の4類型です。
次の表は、直前の論点を項目ごとに整理したものです。比較して読むことで、判断に必要な要素と注意点を分けて確認できます。各列の違いに注目してください。
| 類型 | 主な対象 | 内容 | 主要な判断者 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 学校外の公的機関・民間施設での相談・指導 | 主に義務教育段階 | 教育支援センター、フリースクール等で相談・指導を受けた日数を、一定要件の下で指導要録上出席扱いにできる | 校長。民間施設の場合は教育委員会との連携判断 | フリースクールに行けば当然に出席扱い、ではない |
| 自宅でICT等を活用した学習活動 | 義務教育段階 | 自宅でオンライン教材・授業配信等を活用した学習を、一定要件の下で出席扱いにできる | 校長 | 定期的・継続的な対面指導、学習状況把握が重要 |
| 高等学校で学校外施設に通所する場合 | 高等学校 | 学校外施設で相談・指導を受けた日数を指導要録上出席扱いにできる | 校長 | 科目履修・単位認定の出席とは異なる |
| 欠席中の学習成果の成績評価 | 義務教育段階中心 | 学校外機関・自宅等での学習成果を、一定要件の下で成績評価に考慮できる | 学校 | 出席扱いとは別の制度。全教科に評定が当然に付くわけではない |
この制度の根底には、教育機会確保法の考え方があります。同法は、不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、個々の状況に応じた必要な支援を行うこと、また不登校児童生徒が学校以外の場で行う多様で適切な学習活動の重要性と休養の必要性を踏まえた支援を行うことを定めています。
したがって、「いじめが原因で不登校になった場合の出席扱いの制度」は、単なる便宜的な欠席処理ではありません。児童生徒の安全、休養、学習権、社会的自立、学校復帰を望む場合の円滑な復帰、進路保障を総合的に扱う制度領域です。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
いじめが原因で不登校になった場合、学校側が「本人が来ない」「家庭が登校させていない」と処理してしまうと、問題の本質が見えなくなります。実務上は、次のように整理する必要があります。
文部科学省のいじめの基本方針は、いじめは教育を受ける権利を著しく侵害し、心身の健全な成長や人格形成に重大な影響を与え、生命・身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるとしています。
出席扱いが認められることは、児童生徒の努力を学校が評価する意味があります。しかし、出席扱いが認められたからといって、いじめ被害、学校の対応、重大事態該当性、加害児童生徒への指導、再発防止が不要になるわけではありません。
むしろ、いじめによる不登校の場合は、出席扱いの申請や協議の場面で、学校に対して次の点を明確にしておく必要があります。
教育機会確保法の公布通知では、法案採決時の附帯決議として、不登校というだけで問題行動であると受け取られないよう配慮すること、例えばいじめから身を守るために一定期間休むことを認めるなど、児童生徒の状況に応じた支援を行うことが指摘されています。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
義務教育段階の不登校児童生徒について、文部科学省は、学校外施設で相談・指導を受け、社会的自立に向けて努力している児童生徒の努力を学校として評価し支援するため、一定要件を満たす場合には、学校外施設で相談・指導を受けた日数を指導要録上出席扱いとすることができるとしています。
ここで重要なのは、「学校復帰を現時点で希望しているかどうか」だけで判断しないという点です。文部科学省の整理では、学校外施設での相談・指導が社会的自立を目指すものであり、本人が自ら登校を希望した際に円滑な学校復帰が可能となるよう個別指導等の適切な支援を実施していると評価できる場合、出席扱いの対象となり得ます。
学校外施設で相談・指導を受ける場合の主な要件は、実務上、次のように整理できます。
施設の利用状況、活動内容、学習内容、相談状況、本人の状態を学校が把握できる体制が必要です。
教育支援センター等の公的機関が基本ですが、公的機関で指導の機会が得られない、公的機関に通うことが困難、本人や保護者の希望がある、適切と判断される、などの場合には民間施設も考慮されます。
民間施設の適切性は、校長が教育委員会と十分に連携して判断します。学校・教育委員会は、民間施設ガイドライン等を参考に、判断の目安を設けることが望ましいとされています。
単に教材を購入した、オンライン動画を見た、家庭で勉強した、というだけでは、この類型の出席扱いには直結しません。
ただし、全教科・全観点の評定が必ず記載されるわけではなく、文章記述などにより学習状況を記録することも考えられます。
実務上、保護者がもっとも誤解しやすい点は、「フリースクールに通えば自動的に出席扱いになる」と考えてしまうことです。実際には、校長の判断、学校と保護者・施設との連携、教育委員会との調整、活動内容の把握、施設の安全性・透明性、学習計画の妥当性が重要です。
特にいじめが原因で不登校になった場合、フリースクールや教育支援センターの利用目的は、単なる欠席日数対策ではありません。児童生徒が安心できる居場所を確保し、心理的回復、学習継続、対人関係の再構築、進路選択の可能性を守るための支援として位置づけるべきです。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
義務教育段階の不登校児童生徒が自宅でICT等を活用した学習活動を行う場合も、一定要件を満たせば指導要録上の出席扱いが可能です。文部科学省は、自宅でICT等を活用した学習活動を出席扱いとする場合について、学習理解の程度を踏まえた計画的な学習プログラムであること、校長が対面指導や学習活動の状況を十分に把握すること、対面指導が適切に行われることなどを求めています。
自宅ICT学習の場合の主な要件は、次のとおりです。
家庭だけで完結する学習ではなく、学校が学習状況を把握し、必要に応じて調整できることが必要です。
ICT学習のみで児童生徒を孤立させるのではなく、訪問、面談、オンラインと対面の組合せ、担任・支援員・専門職との関わりなどにより、本人の状態を継続的に把握する必要があります。文部科学省資料でも、訪問等による対面指導が定期的かつ継続的に行われることが前提と整理されています。
本人の学習理解度、心理状態、生活リズム、学年、進路希望に応じた計画が必要です。
例として、対面指導者からの定期報告、担任・保護者を含めた連絡会、学習ログ、提出課題、振り返り記録などが考えられます。
文部科学省は、ICT等を活用した学習活動を出席扱いとするのは、基本的に学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けられないような場合に行う学習活動であるとしています。
いじめにより教室に入れない児童生徒にとって、ICT学習は、安全を守りながら学習を切らさないための重要な手段です。たとえば、次のような使い方が考えられます。
ただし、ICT学習は、いじめ被害者を家庭に閉じ込める制度ではありません。ICTで学べているから学校環境の安全確保をしなくてよい、という理屈にはなりません。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
文部科学省の整理では、学校外施設で相談・指導を受けて出席扱いとなる場合、指導要録上は、出席日数の内数として出席扱いとした日数および児童生徒が通所又は入所した学校外施設名を記入します。 文部科学省の学校・教育委員会向け資料でも、出席扱いとした日数は出席日数に計上し、欠席日数から除く旨の記載例が示されています。
ここで、実務上は次の点を確認してください。
出席扱いの日数換算について、文部科学省は、学校や教育委員会が、対面指導の日数や学習活動の時間などを基準とした規程等を作成して判断することなどが考えられるとしています。 したがって、保護者は「うちの学校では何を基準に判断するのか」を早い段階で書面又はメールで確認することが重要です。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
令和6年8月29日の文部科学省通知は、不登校児童生徒が欠席中に行った学習成果の成績評価について、一定の要件の下で、学校の判断により考慮できることを法令上明確化したものです。 文部科学省は、学校外機関や自宅等で学習を続けている不登校児童生徒の努力を評価し、社会的自立を支援する意義を強調しています。
成績評価については、実務上、次の要件が重視されます。
文部科学省は、観点別学習状況や評定を記載するにあたって、常にすべての教科・観点について記載が求められるわけではなく、記載困難な場合でも指導要録の所見欄に学習状況を文章記述するなど、次年度以降の指導改善に生かす観点で適切な記載に努めることが求められるとしています。
「出席扱いが認められたから成績も当然に付く」「成績評価がされたから出席扱いも当然に認められる」という関係ではありません。両者は関連しますが、制度目的と判断要素が異なります。
したがって、学校に相談するときは、「出席扱い」と「成績評価」を分けて依頼・確認するのが実務的です。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
高等学校における不登校生徒についても、学校外の公的機関や民間施設で相談・指導を受けている場合、一定要件を満たすときは、指導要録上出席扱いとすることができます。文部科学省の平成21年通知は、高等学校の不登校生徒が学校外施設において相談・指導を受ける場合、当該施設への通所又は入所が将来的な社会的自立を助ける上で有効・適切であると判断されるとき、校長が指導要録上出席扱いにできるとしています。
ただし、高等学校では、特に次の点が重要です。
高等学校でいじめ被害により登校できない場合、「出席扱いが可能か」だけでなく、「卒業可能性をどう確保するか」が重大な論点になります。早期に、学校、設置者、教育委員会又は所轄庁、必要に応じて弁護士に相談するべきです。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
次の時系列は、年間30日という目安を待つのではなく、欠席の初期から安全確保と情報共有を進めるべきことを示します。30日は対応開始の条件ではなく、重大事態判断の目安の一つである点を読み取ってください。
欠席理由、安全措置、学習支援、相談体制を記録します。
30日に到達する前から設置者への報告や情報共有が必要になることがあります。
保護者や児童生徒から重大な被害の申立てがある場合は、軽視せず調査等に当たる必要があります。
いじめ防止対策推進法第28条は、学校の設置者又は学校に対し、次の場合に重大事態として調査を行うことを求めています。
いじめにより不登校になった場合、後者、つまり「不登校重大事態」に該当する可能性があります。
文部科学省の基本方針は、法第28条第1項第2号の「相当の期間」について、不登校の定義を踏まえ年間30日を目安としています。ただし、児童生徒が一定期間連続して欠席しているような場合には、その目安にかかわらず、学校の設置者又は学校の判断により、迅速に調査に着手する必要があるとしています。
さらに、令和6年8月改訂の「いじめの重大事態の調査に関するガイドライン」は、不登校重大事態について年間30日の欠席を目安としつつ、一定期間連続して欠席しており、要因としていじめが考えられる場合には、30日に到達する前から設置者に報告・相談し、情報共有を図る必要があるとしています。
したがって、学校が「まだ30日休んでいないので重大事態ではありません」と機械的に述べる場合は、文部科学省の考え方と整合しているかを慎重に確認する必要があります。
文部科学省の基本方針は、児童生徒や保護者から、いじめにより重大な被害が生じたという申立てがあった場合、その時点で学校が「いじめの結果ではない」「重大事態とはいえない」と考えたとしても、重大事態が発生したものとして報告・調査等に当たるとしています。調査をしないまま、いじめ重大事態ではないと断言できないことに留意すべきとされています。
実務上、これは非常に重要です。保護者は、口頭で「いじめがありました」と伝えるだけでなく、可能であれば書面又はメールで次の事項を明記してください。
重大事態調査の目的は、当該事態への対処と同種事態の再発防止であり、事実関係を明確にすることです。文部科学省の基本方針は、「事実関係を明確にする」とは、いじめ行為がいつ、誰から、どのような態様で行われたか、いじめを生んだ背景事情、児童生徒の人間関係、学校・教職員の対応などを可能な限り網羅的に明確にすることだとしています。
したがって、出席扱いの協議と重大事態調査は、並行して進めることができますが、互いに代替するものではありません。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
次の一覧は、学校や教育委員会が検討し得る安全確保措置を整理したものです。出席扱いの協議の前提として、児童生徒が安心して学べる環境を作る必要があります。選択肢を組み合わせるものとして読んでください。
座席変更、班編成変更、登下校時の見守り、学級替え、部活動・行事での接触管理を検討します。
安全別室登校、保健室登校、教育支援センター等を検討します。
居場所ICTによる授業参加、転校、区域外就学、指定校変更を確認します。
学習保障いじめによる不登校では、出席扱いの前提として、児童生徒の安全をどう確保するかが中心になります。学校や教育委員会が検討し得る措置には、次のようなものがあります。
いじめ防止対策推進法第26条は、いじめを行った児童等の保護者に対して出席停止を命ずる等、いじめを受けた児童等その他の児童等が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置を速やかに講ずるものとしています。 また、令和6年8月改訂の重大事態調査ガイドラインは、いじめが犯罪行為として取り扱うべき場合は警察と連携し、生命・身体・財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは直ちに警察署に通報し援助を求めなければならないとしています。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
いじめが原因で不登校になった場合、保護者は、感情的な対立を避けつつ、次の事項を整理して学校に確認すると実務が進みやすくなります。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
以下は、保護者が学校へ送る文面の例です。実際には、事案の内容に応じて調整してください。
件名 ― いじめによる不登校に伴う安全確保・重大事態該当性・出席扱い協議のお願い
〇〇学校
校長先生
担任の先生
保護者の〇〇です。
子ども〇〇は、〇月〇日頃から、同級生による〇〇、〇〇等の行為により強い心身の苦痛を訴えており、現在、登校が困難な状態です。欠席は本人の怠学ではなく、学校生活上の安全と心理的負担に関わるものと考えております。
つきましては、以下の点について、学校としての対応方針を書面又は面談でご説明ください。
1. 本件をいじめとして認知しているか。
2. 学校いじめ対策組織での検討状況。
3. いじめ防止対策推進法第28条の重大事態該当性の検討状況。
4. 子どもの安全確保策。
5. 学校外施設又は自宅ICT学習を利用した場合の指導要録上の出席扱いの可否と判断基準。
6. 欠席中の学習成果を成績評価に反映するための方法。
7. 今後の学習計画、対面指導、連絡体制。
なお、出席扱いの協議をお願いすることは、いじめ被害の調査や安全確保を不要とする趣旨ではありません。子どもの安全、学習保障、事実関係の確認、再発防止を並行して進めていただくようお願いいたします。
〇年〇月〇日
保護者氏名
連絡先
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
いじめが原因で不登校になった場合、すべての事案で直ちに弁護士が必要になるわけではありません。しかし、次のような場合は、早めに相談した方がよい可能性があります。
学校が「いじめではない」「子ども同士のトラブル」「証拠がない」と述べるだけで、学校いじめ対策組織での検討、聞き取り、記録化、保護者への説明をしない場合、後から事実関係を立証することが難しくなります。弁護士は、時系列、証拠、要望事項を整理し、学校や教育委員会に対して法制度に沿った対応を求める文書作成を支援できます。
いじめにより欠席が続いている、または心身被害が大きいにもかかわらず、学校が重大事態該当性を検討しない場合は注意が必要です。重大事態の申立てがある場合、学校が調査をしないまま重大事態ではないと断言することは、文部科学省の基本方針と整合しない可能性があります。
「とにかく教室へ戻ること」を前提にされると、いじめ被害を受けた児童生徒がさらに追い詰められることがあります。教育機会確保法は、個々の不登校児童生徒の休養の必要性を踏まえた支援を求めています。 出席扱い、別室登校、ICT学習、教育支援センター、転校等を含む柔軟な支援を求める余地があります。
高等学校では、出席扱いだけでなく、単位認定や卒業要件が問題になります。学校から退学、転学、原級留置を強く示唆されている場合、本人にとって重大な進路不利益が生じ得ます。学則、履修規程、成績評価、補習・追試・遠隔授業の可否を確認し、必要に応じて弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
暴行、傷害、恐喝、強要、名誉毀損、侮辱、性的画像の拡散、不同意わいせつ、器物損壊、脅迫、ストーカー的行為などが疑われる場合、学校対応だけでなく警察相談・被害届・証拠保全が必要になることがあります。文部科学省の重大事態ガイドラインも、犯罪行為として取り扱うべきいじめについては警察との連携を求めています。
治療費、転校費用、通学費用、フリースクール費用、心理的損害、進路不利益などが生じている場合、加害児童生徒側、学校、設置者の責任が問題になることがあります。責任追及を検討する場合は、早い段階で証拠保全と時系列整理が重要です。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
弁護士相談では、感情的な説明だけではなく、客観資料があるほど対応方針を立てやすくなります。以下の資料を可能な範囲で準備してください。
特に、学校との面談は、可能であれば日時、参加者、発言内容、合意事項、次回期限をメモに残してください。口頭の約束だけで進めると、後日「言った・言わない」になりやすくなります。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
自動的にはなりません。出席扱いになるかどうかは、学校外施設での相談・指導、自宅ICT学習、学習計画、学校との連携、対面指導、校長判断など、文部科学省通知等で示された要件に照らして判断されます。いじめが原因であることは重要ですが、それだけで全欠席日が当然に出席扱いになるわけではありません。
指導要録上、一定要件の下で出席扱いとなる日数は、出席日数の内数として扱われ得ます。ただし、文部科学省の統計上の長期欠席調査では、校長が出席扱いとした日数も欠席日数として含める扱いがあります。 「学校記録上どう扱うか」と「国の統計上どう数えるか」は区別してください。
活動報告書は重要資料ですが、それだけで当然に出席扱いになるわけではありません。学校と保護者、施設の連携、施設の適切性、相談・指導の内容、本人の状況、教育委員会との連携、校長判断が必要です。
単にオンライン教材を利用しているだけでは足りません。文部科学省は、自宅ICT学習について、保護者と学校との連携、定期的・継続的な対面指導、計画的な学習プログラム、校長による状況把握などを求めています。
30日は目安です。文部科学省の基本方針や令和6年改訂ガイドラインは、一定期間連続して欠席し、要因としていじめが考えられる場合には、30日に到達する前から報告・相談・情報共有し、丁寧に対応する必要があるとしています。
不要にはなりません。出席扱いは学習努力の評価・記録の問題であり、いじめの事実調査、安全確保、再発防止とは目的が異なります。
弁護士の関与は、常に対立を意味しません。適切に使えば、事実関係、要望、法的根拠、期限、協議事項を整理し、感情的対立を減らす役割を果たすことがあります。ただし、弁護士への依頼目的を明確にすることが大切です。たとえば、「重大事態として扱ってほしい」「安全確保策を文書化したい」「出席扱いと成績評価の協議を進めたい」「損害賠償を検討したい」など、目的により対応は変わります。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
出席扱いの協議は重要ですが、いじめ原因を記録しないまま「不登校支援」の話だけが進むと、後で重大事態や責任追及を求める際に、原因関係が曖昧になります。出席扱いの相談と同時に、いじめの認知、学校いじめ対策組織での扱い、重大事態該当性の検討を求めることが考えられます。
フリースクール等に通い始めた後で学校に出席扱いを求めても、学校が活動内容を把握できていない、施設の適切性を判断できない、報告書の様式がない、という理由で協議が難航することがあります。可能であれば、利用開始前又は利用直後に、学校へ施設名、活動内容、報告方法、連絡担当者を共有してください。
いじめ被害により、不眠、腹痛、頭痛、過呼吸、抑うつ、不安、希死念慮、自傷、PTSD様症状が生じることがあります。出席扱いの制度利用だけで解決しようとせず、医療機関や心理支援につなげることが重要です。診断書や意見書は、登校困難の客観資料としても役立つ場合があります。
高等学校では、欠席が続くと単位認定・進級・卒業に直結します。指導要録上の出席扱いが可能でも、科目履修の出席要件とは別問題であるため、早めに学校規程を確認してください。
学校とのやり取りは、できるだけ記録化してください。攻撃的な文面にする必要はありませんが、「いつ、誰が、何を言ったか」「学校が何を検討すると約束したか」「次回までに何を確認するか」はメールやメモで残すことが重要です。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
このページの読者は保護者を主に想定していますが、学校・教育委員会側の望ましい対応も整理しておきます。
不登校支援として教育支援センターやICT学習を案内するだけでなく、登校困難の原因としていじめが疑われる場合は、いじめ防止対策推進法に基づく対応を並行して行う必要があります。
通常教室復帰を急がせる前に、本人の心理的安全、加害児童生徒との接触、保護者の不安、医療的状態を把握する必要があります。
保護者にとって、何を準備すれば出席扱いの判断対象になるのかが分からないと、制度は使いにくくなります。活動報告書、学習計画、対面指導記録、施設連携の様式を示すことが望まれます。
令和6年通知の趣旨を踏まえ、欠席中の学習成果をどのように評価できるかを、学校が保護者等と連携して検討することが求められます。
児童生徒や保護者から重大事態の申立てがあった場合、学校が把握していない重要情報である可能性があります。調査をしないまま否定することは避ける必要があります。
令和6年改訂ガイドラインは、重大事態調査中でも、対象児童生徒の心のケアや必要な支援、関係児童生徒への指導・支援を疎かにしてはならないとしています。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
次の判断の流れは、保護者が取る行動の優先順位を整理するためのものです。上から順に確認し、必要に応じて並行して進めることを読み取ってください。
無理な登校刺激を避け、別室登校、ICT学習、休養、医療支援を検討します。
時系列、証拠、学校への報告履歴、欠席との関係を整理します。
欠席が続く、心身被害が大きい場合は、報告・調査を求めることを検討します。
学校外施設、自宅ICT学習、対面指導、活動報告書、評価方法を分けて確認します。
学校対応が停滞する、進級・卒業に不利益が出る場合に検討します。
いじめが原因で不登校になった場合、保護者は次の5つを同時並行で進めるのが実務上有効です。
まずは子どもの安全と心身の回復です。無理な登校刺激により状態が悪化している場合は、学校と協議し、別室登校、教育支援センター、ICT学習、休養、医療支援などを検討してください。
時系列、証拠、学校への報告履歴、欠席との関係を整理してください。重大事態該当性や弁護士相談では、記録が非常に重要になります。
欠席が続いている、連続欠席がある、心身被害が大きい、保護者・児童生徒が重大事態を申し立てたい場合は、学校に重大事態としての報告・調査を求めることを検討してください。
学校外施設、自宅ICT学習、対面指導、学習計画、活動報告書、成績評価の方法を、学校と具体的に協議してください。「出席扱い」と「成績評価」は別の論点として整理するのがポイントです。
学校が対応しない、説明がない、重大事態を否定する、進級・卒業に不利益が出る、加害行為が重大、子どもの状態が深刻、という場合は、弁護士等の専門家や専門機関への早めの相談が必要となる場合があります。
学校との協議で確認すべき制度・記録・安全措置を整理します。
「いじめが原因で不登校になった場合の出席扱いの制度」は、単に欠席日数をどう処理するかという技術的制度ではありません。児童生徒の安全、教育を受ける権利、休養の必要性、多様な学び、学校のいじめ対応、重大事態調査、成績評価、進路保障が交差する制度領域です。
出席扱いが認められる可能性がある主なルートは、義務教育段階では、学校外の公的機関・民間施設での相談・指導、自宅ICT等を活用した学習活動です。高等学校でも学校外施設での相談・指導について指導要録上の出席扱いがあり得ますが、単位認定とは別に考える必要があります。
いじめが背景にある場合は、出席扱いの協議だけで終わらせず、重大事態該当性、安全確保、事実調査、再発防止、学習保障を一体として扱うことが不可欠です。保護者は、学校とのやり取りを記録化し、判断基準を確認し、必要に応じて弁護士や専門機関の助言を受けながら、子どもの安全と学びを守るための具体的な手続を進めてください。