企業内弁護士の副業可否を、会社員としての服務規律と弁護士としての専門職規律の両面から整理します。執筆・講演、個人事件、国選弁護、社外役員、投資まで、確認すべき順番を押さえます。
企業内弁護士の副業可否を、会社員としての服務規律と弁護士としての専門職規律の両面から整理します。
企業内弁護士の副業は、弁護士法で当然に全面禁止されているものではありません。ただし、勤務先の就業規則、弁護士会への届出、弁護士職務基本規程、利益相反、守秘義務、労働時間管理、情報セキュリティを通過して初めて実務上検討できる性質のものです。
次の強調欄は、このページ全体の結論を短く表したものです。最初に結論を押さえることが重要なのは、副業の可否が一つの条文だけで決まらず、会社員としての制約と弁護士としての規律が同時に働くからです。読み取るべきポイントは、一律禁止でも完全自由でもなく、複数の確認を経た場合に限り認められ得るという位置づけです。
法律上当然に全面禁止されるわけではありませんが、会社規程、弁護士法30条、弁護士倫理、利益相反、守秘義務、労務管理、情報管理を満たす必要があります。
実務上は、少なくとも次の5条件を順番に確認します。この一覧は副業開始前の最低限の確認事項を表しており、どれか一つでも軽く見ると、勤務先との服務規律違反、依頼者秘密の漏えい、弁護士倫理上の問題に発展し得るため重要です。各項目が互いに独立した審査軸であることを読み取ってください。
就業規則、雇用契約、副業規程、秘密保持契約で禁止または許可制になっていないかを確認します。
営利業務届出、法律事務所届出、広告、預り金など、所属弁護士会の運用を含めて確認します。
勤務先、依頼者、副業先、相手方、取引先、競合先との関係を整理します。
勤務先情報と副業情報を端末、メール、場所、会話、記録管理の面で分離できるかを確認します。
労働時間、健康確保、税務、保険、肩書表示、会社設備の不使用を管理できるかを確認します。
副業可否を考える前提として、雇用上の義務と弁護士倫理が同時に働く点を確認します。
企業内弁護士とは、企業の役員または従業員などとして組織内に所属し、法務、コンプライアンス、契約、紛争、ガバナンス、知的財産、労務、M&A、個人情報保護、危機管理などに関与する弁護士をいいます。組織内弁護士の一類型であり、行政庁や地方公共団体などに所属する弁護士とは兼業規制の前提が異なる場合があります。
次の比較表は、企業内弁護士が持つ二つの立場を整理したものです。この二重性が重要なのは、副業の問題が会社員の服務規律だけでも、弁護士の事件受任だけでも完結しないためです。左列と右列の義務が同時にかかることを読み取ると、判断の出発点がつかみやすくなります。
| 立場 | 主な規律 | 副業判断で見る点 |
|---|---|---|
| 会社員または役員 | 雇用契約、就業規則、職務専念義務、秘密保持義務、競業避止、服務規律、役員の場合は善管注意義務や忠実義務 | 勤務時間、会社設備、肩書表示、会社情報、取引先・競合先との関係 |
| 弁護士 | 弁護士法、弁護士職務基本規程、所属弁護士会の会則、守秘義務、忠実義務、利益相反規制 | 営利業務届出、法律事務所、依頼者秘密、預り金、広告、非弁提携 |
このため、企業内弁護士の副業は、会社法務、労務管理、弁護士倫理の三方向から同時に検討する必要があります。会社が許可しても弁護士倫理上の問題が消えるわけではなく、弁護士法上の届出をしても会社の就業規則違反が解消されるわけではありません。
法律事務型、講演・執筆、役職就任、事業運営、投資、公益活動では確認事項が異なります。
副業は、本業以外に収入を得る仕事を行うことを指し、兼業は二つ以上の職業や業務を並行して行うことを指します。企業内弁護士の場合、法律事務そのものか、法律知識を活かした周辺活動か、役職就任かでリスクの質が大きく変わります。
次の分類表は、企業内弁護士の副業を実務上よく問題になる6類型に分けたものです。分類が重要なのは、同じ「副業」でも必要な届出、利益相反確認、情報管理、会社許可の重さが変わるからです。例と主な論点を見比べ、どの類型ほど慎重な審査が必要かを読み取ってください。
| 類型 | 例 | 主な問題点 |
|---|---|---|
| 法律事務型 | 個人事件の受任、法律相談、契約書作成、訴訟代理、国選弁護、当番弁護 | 弁護士法、弁護士倫理、法律事務所、預り金、利益相反、守秘義務 |
| 専門知識活用型 | 法律記事の執筆、講演、セミナー講師、大学非常勤講師、研究会報告 | 会社の許可、守秘義務、肩書表示、著作権、労働時間 |
| 役職就任型 | 社外取締役、監査役、顧問、アドバイザー、スタートアップ支援 | 弁護士法30条、会社法上の義務、競業、利益相反、インサイダー情報 |
| 事業運営型 | 個人事業、法律事務所以外のコンサル業、リーガルテック事業 | 営利業務届出、非弁提携、広告、競業、会社設備利用 |
| 投資・資産運用型 | 株式投資、不動産賃貸、暗号資産投資 | インサイダー取引、利益相反、事業性の有無、就業規則 |
| 公益活動型 | 弁護士会活動、法教育、プロボノ、NPO支援 | 無償でも会社規程上の届出対象となる可能性、守秘義務、時間管理 |
次の一覧は、弁護士業務そのものと、資格や知識を活かす活動の違いを整理しています。この違いが重要なのは、個別事件を受けるかどうかで、委任契約、報酬説明、預り金、事件記録、法律事務所表示などの実務管理が大きく変わるからです。各項目から、どこまで弁護士実務に近い活動なのかを読み取ってください。
離婚、相続、労働事件、交通事故、契約紛争などを依頼者から受任する活動です。委任契約、報酬説明、利益相反、守秘義務、預り金、記録管理、賠償責任保険の確認が必要になります。
法律記事の執筆、セミナー講師、大学非常勤講師、教材監修などです。個別事件の受任ではなくても、会社情報の利用、肩書表示、広報承認、勤務時間との関係が問題になります。
社外役員、顧問、アドバイザー、リーガルテック事業などです。営利業務届出、会社法上の責任、競業、未公表情報、非弁提携との線引きを確認します。
弁護士法30条、法律事務所、守秘義務、利益相反、非弁提携の観点から確認します。
企業内弁護士の副業でまず確認すべき条文の一つが弁護士法30条です。弁護士が自ら営利を目的とする業務を営む場合、または営利目的の業務を営む者の取締役、執行役その他業務執行役員・使用人になる場合は、あらかじめ所属弁護士会へ所定事項を届け出る必要があります。あわせて、弁護士職務基本規程23条の守秘義務、27条・28条の利益相反規律も確認対象になります。
次の比較表は、弁護士法上の主な規律と副業場面での見方を対応させたものです。条文ごとの確認が重要なのは、副業の許可可否だけでなく、届出、事務所、秘密保持、利益相反、非弁提携が別々に問題になるからです。どの条文がどの実務リスクに結びつくかを読み取ってください。
| 規律 | 内容 | 企業内弁護士の副業での注意 |
|---|---|---|
| 弁護士法30条 | 営利業務や営利事業者の役員・使用人になる場合の届出 | 企業勤務そのものに加え、別会社役員、個人事業、有償業務の追加届出や変更届を確認します。 |
| 法律事務所 | 法律事務所の設置、所属弁護士会地域内の事務所、複数事務所の制限、届出 | 勤務先住所や会社設備で第三者事件を扱うと、秘密混入や表示の問題が生じます。 |
| 守秘義務 | 職務上知り得た秘密を保持し、正当な理由なく漏らし、または利用しない義務 | 勤務先の秘密を副業へ使わず、副業依頼者の秘密を勤務先へ漏らさない二方向の管理が必要です。 |
| 利益相反 | 相手方、既存依頼者、自己の経済的利益などとの相反を規律 | 弁護士法上の相反に該当しなくても、会社規程上は競業やブランドリスクになる場合があります。 |
| 非弁提携禁止 | 非弁護士との不適切な提携や名義利用の禁止 | リーガルテック、紹介料、報酬分配、広告表示、AI法律支援の設計で慎重な確認が必要です。 |
日本組織内弁護士協会の倫理行動指針第4号は、組織内弁護士が職務外で弁護士業務を行う場面について、所属組織の法律事務しか行わない場所とは別に活動拠点を整える考え方を示しています。特に、勤務先から貸与されたPCや同僚に聞こえる場所での会話は、依頼者秘密の保護という点で問題になり得ます。
特に秘密保持は、勤務先と副業先の双方に向かって働きます。勤務先の契約戦略、価格交渉方針、M&A情報、取引先評価、内部通報、研究開発情報、未公表決算情報を副業に利用してはなりません。同時に、副業依頼者の氏名、事件内容、相手方、証拠、相談経緯を勤務先へ不用意に開示することも避ける必要があります。
次の一覧は、秘密保持と利益相反の観点から特に危険度が高い場面を整理したものです。重要なのは、弁護士法上の利益相反だけでなく、会社の競争上の利益やレピュテーションにも影響することです。どの関係者が勤務先と近いほど危険になるかを読み取ってください。
勤務先企業を相手方とする個人や企業から事件を受ける場面は、利益相反と信頼関係の問題が強く出ます。
勤務先の取引先から、勤務先との契約交渉や紛争について相談を受ける場面は慎重な確認が必要です。
競合企業の法務顧問、スタートアップ支援、同領域の事業参画は、競業避止や情報利用が問題になります。
M&A、訴訟、不祥事、行政対応などの未公表情報を知る立場では、投資や役員就任にも制限が生じ得ます。
会社員としての服務規律、会社設備、肩書表示、競業、許可制・届出制を整理します。
企業内弁護士が従業員である場合、会社の就業規則、雇用契約、誓約書、秘密保持契約、副業規程、情報セキュリティ規程、インサイダー取引防止規程、ソーシャルメディアポリシーに従う必要があります。副業を一切禁止している会社では原則として副業は難しく、許可制の場合は会社の手続を経る必要があります。
次の比較表は、会社が副業を制限しやすい場面を整理したものです。会社ルールが重要なのは、弁護士法上の届出とは別に、服務規律違反や懲戒、損害賠償、信頼関係破壊の問題が生じ得るためです。どの活動が本業への支障、情報漏えい、競業、健康リスクにつながるかを読み取ってください。
| 制限されやすい副業 | 会社側の懸念 | 確認すべき事項 |
|---|---|---|
| 勤務時間中の活動 | 職務専念、本業の遂行、労働時間管理 | 勤務時間外、有給休暇、職務免除、出張扱いの整理 |
| 秘密情報に近い活動 | 企業秘密、顧客情報、個人情報の漏えい | 端末、クラウド、メール、会話、記録保管の分離 |
| 競合や取引先への関与 | 競業、取引先信頼、内部統制、レピュテーション | 副業先、依頼者、相手方、投資先、役員兼任先の確認 |
| 会社名や肩書の利用 | 公式見解との誤認、ブランド毀損、広報対応 | 会社名、ロゴ、役職名、プロフィール、SNS表示の承認 |
| 過重な副業 | 健康障害、判断力低下、ミス、緊急対応への支障 | 月間時間、深夜・休日、移動、緊急対応の頻度 |
事前許可制と事前届出制の設計では、会社のリスク管理と弁護士の守秘義務を両立させる必要があります。会社が個別事件の依頼者名、相手方名、証拠関係を包括的に求めると、弁護士の守秘義務と衝突する可能性があります。
次の時系列は、副業申請時に会社へ出す情報を段階的に整理する考え方を表しています。段階化が重要なのは、最初から依頼者秘密を広く出さずに、リスクがある場合だけ必要最小限の追加情報へ進めるためです。順番を追って、会社審査と守秘義務の均衡を読み取ってください。
活動類型、報酬の有無、想定時間、勤務時間との関係、会社設備利用、会社名表示の有無を申告します。
利益相反や競業のおそれがある場合に限り、依頼者同意の範囲で追加情報を提出します。
会社は副業審査に必要な範囲で情報を扱い、取得情報を別目的に利用しない管理を置きます。
案件内容、相手方、時間数、報酬形態、肩書表示が変わった場合は、再確認します。
雇用型副業の労働時間通算、非雇用型の健康管理、フリーランス取引の留意点を確認します。
企業内弁護士が副業先でも労働者として雇用される場合、労働基準法38条1項に関する労働時間通算が問題になります。事業場を異にする場合には、事業主が異なる場合も含めて労働時間が通算されると整理されています。一方、個人事業主、講師、執筆者、顧問、社外役員など労働基準法が適用されない形態では、通算の対象外となる場合があります。
次の比較表は、雇用型副業とフリーランス型副業で確認する軸を分けたものです。この区別が重要なのは、労働時間通算の有無だけでなく、健康確保やミス防止の必要性は形態を問わず残るためです。法的な時間管理と実務上の疲労管理を分けて読み取ってください。
| 働き方 | 労働時間の扱い | 実務上の確認 |
|---|---|---|
| 雇用型 | 副業先でも労働者として雇用される場合、原則として労働時間通算が問題になります。 | 時間外労働、割増賃金、36協定、休息、健康確保措置を確認します。 |
| 非雇用型 | 個人事業、弁護士業務、講師、執筆、顧問、社外役員では通算対象外となる場合があります。 | 月間活動時間、深夜・休日対応、緊急対応、判断力低下、守秘義務違反リスクを確認します。 |
| フリーランス取引 | 令和6年11月1日に施行されたフリーランス・事業者間取引適正化等法の対象となる可能性があります。 | 取引条件の明示、報酬支払、ハラスメント対策、発注者側の責任も確認します。 |
次の一覧は、企業内弁護士の副業で健康管理上見落としやすい要素をまとめています。重要なのは、本業の法務対応が緊急性や精神的負荷を伴うことが多く、夜間や休日の副業が判断力低下や情報管理ミスにつながり得る点です。どの負荷が継続すると危険かを読み取ってください。
睡眠不足が続くと、契約審査、紛争対応、相談対応での判断精度が下がりやすくなります。
休息が取れない状態が続くと、本業の緊急案件や役員会対応への集中に影響します。
国選弁護や当番弁護などでは、急な日程や移動が勤務との調整課題になります。
疲労時は、ファイル保存先、送信先、会話場所の誤りが秘密保持上の問題に直結します。
副業の内容ごとに、認められやすさと注意すべきリスクを整理します。
副業類型ごとの可否は、抽象的に「副業だから可」または「弁護士だから不可」とは整理できません。活動の内容、報酬、相手方、勤務先との関係、情報の分離、届出の要否によってリスクが変わります。
次の一覧は、代表的な副業類型ごとの注意点を並べたものです。類型別に見ることが重要なのは、執筆や講演は比較的認められやすい一方、個人事件や社外役員、リーガルテック関与は独立した法的責任や倫理問題を伴いやすいからです。各項目で、会社許可だけでは足りない確認点を読み取ってください。
勤務先の内部情報、契約条項、紛争事例、行政対応を特定可能な形で書かないことが重要です。肩書表示、執筆料、広報承認、税務も確認します。
比較的低リスク守秘注意質疑応答で勤務先の具体的対応や未公表事例に踏み込まれやすいため、一般論と勤務先の見解を明確に分けます。講義日程、報酬、録画配信、教材著作権も整理します。
知識活用広報確認会社許可、弁護士会届出、法律事務所、委任契約、報酬説明、本人確認、預り金、保険、利益相反、秘密分離を整える必要があり、最も慎重な検討を要します。
高リスク事務所確認公益性が高い活動ですが、報酬がある場合は会社規程上の副業に当たり得ます。急な接見、法廷日程、勤務時間、会社設備の不使用、肩書表示を整理します。
公益性時間調整弁護士法30条の届出、会社の許可、会社法上の責任、競業、利益相反、インサイダー情報、D&O保険、責任限定契約を確認します。
役職責任未公表情報勤務先の競合、投資先、共同研究先、買収候補と重なる可能性があります。非弁提携、紹介料、報酬分配、広告、AIによる法律支援の範囲も慎重に確認します。
競業注意非弁確認一般には資産運用とされることがありますが、規模や頻度によって事業性が問題になります。インサイダー取引、取引制限リスト、利益相反に注意します。
資産運用情報管理活動類型から届出、利益相反、情報分離、労務、契約・税務まで順に確認します。
企業内弁護士が副業を検討する際は、活動類型から始めて、会社規程、弁護士法、利益相反、秘密保持、労働時間、契約・保険・税務へ順番に進むと整理しやすくなります。
次の判断の流れは、副業開始前に確認する7段階を表しています。順番が重要なのは、会社規程で止まる活動や、弁護士会届出が必要な活動を早い段階で見極めることで、依頼者秘密や勤務先情報を不必要に動かさずに済むためです。上から下へ、確認が積み上がる構造を読み取ってください。
事件受任、講演・執筆、役員就任、個人事業、投資、公益活動のどれかを整理します。
禁止、許可制、届出制、無償活動、肩書表示、会社設備、勤務時間との関係を確認します。
営利業務届出、法律事務所届出、広告、預り金、保険、所属弁護士会の運用を確認します。
勤務先、依頼者、副業先、相手方、取引先、競合先、投資先を照合します。
会社PC、会社メール、会社クラウド、会社オフィス、副業記録の混在を避けます。
雇用型なら通算、非雇用型でも月間時間、深夜・休日、緊急対応を確認します。
委任契約、業務委託契約、報酬、請求、税務、賠償責任保険、肩書表示を整えます。
会社が取りすぎてはいけない情報、許可条件、禁止類型を明確にします。
企業内弁護士を雇用する企業は、一般従業員向けの副業規程だけでなく、法務・コンプライアンス職の機密性を踏まえた運用基準を設けることが望まれます。禁止か許可かの二択ではなく、類型別・リスク別に審査する設計が有効です。
次の比較表は、企業内弁護士向け副業規程に入れるべき基本項目を整理したものです。規程化が重要なのは、都度判断だけでは、守秘義務、競業、健康管理、広報表示の基準がぶれやすいからです。各項目が本人保護、会社保護、依頼者保護のどれにも関わることを読み取ってください。
| 項目 | 入れる内容 | 実務上の狙い |
|---|---|---|
| 目的 | 利益相反、秘密保持、健康管理、レピュテーション保護 | 制度の趣旨を明確にし、過度な制限ではなくリスク管理として説明します。 |
| 対象 | 有償・無償、役員就任、講演・執筆、法律相談、公益活動 | 無償活動や公益活動も届出対象になり得る範囲を明確にします。 |
| 手続 | 事前届出、事前許可、変更報告、更新制 | 開始時だけでなく、内容変更や時間増加にも対応します。 |
| 審査基準 | 競業、利益相反、守秘義務、時間、会社設備利用、肩書表示 | 審査の透明性を高め、担当者ごとの判断差を減らします。 |
| 禁止類型 | 競合企業支援、勤務先相手方事件、非弁提携、会社設備利用 | 重大リスクがある活動をあらかじめ線引きします。 |
| 許可条件 | 勤務時間外、秘密分離、会社名不使用、保険加入、弁護士会届出 | 専門性を活かす機会を残しながら、運用上の事故を防ぎます。 |
次の一覧は、会社が取得してよい情報と、取りすぎに注意すべき情報を分ける観点を示しています。この分け方が重要なのは、会社が副業審査をする必要がある一方で、弁護士の依頼者秘密を不必要に取得すべきではないからです。審査に必要な外形情報を中心に、個別事件の核心へ踏み込みすぎないことを読み取ってください。
活動類型、報酬の有無・概算、想定時間、勤務時間との関係、会社設備利用、会社名・肩書表示、弁護士会届出の要否を確認します。
個別の依頼者名や相手方名が必要な場合は、依頼者同意、開示範囲、社内取扱者、目的外利用禁止を明確にします。
詳細な相談内容、証拠、相談経緯、戦略などを包括的に求める運用は、守秘義務と衝突する可能性があります。
次の一覧は、会社が副業を許可する場合に付ける条件の例を整理しています。条件設定が重要なのは、企業内弁護士の専門性を活かす余地を残しつつ、会社、依頼者、副業先のリスクを下げるためです。許可後も継続管理が必要な点を読み取ってください。
勤務時間中に行わず、会社の端末、メール、クラウド、会議室、郵送設備を使わない条件を置きます。
会社名、会社ロゴ、役職名を使わず、勤務先の公式見解ではないことを明示する条件を置きます。
勤務先、取引先、競合先、紛争相手に関する案件を扱わない条件を置きます。
弁護士会への届出が必要な場合の事前対応、法律事務型副業での賠償責任保険加入を条件にします。
一般的な制度説明として、会社規程・弁護士法・守秘義務・税務の疑問を整理します。
一般的には、企業内弁護士の副業が法律上当然に全面禁止されているわけではないと整理されています。ただし、勤務先規程、弁護士会届出、利益相反、守秘義務、労働時間、情報管理によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、勤務先規程と関係資料を整理したうえで所属弁護士会や弁護士等の専門家へ確認する必要があります。
一般的には、弁護士会への届出は弁護士法上の手続であり、会社との雇用契約や就業規則を当然に変更するものではありません。ただし、会社規程の内容、公益活動の扱い、雇用形態、個別合意によって結論が変わる可能性があります。具体的には、会社の担当部門や所属弁護士会へ確認する必要があります。
一般的には、会社の許可と弁護士法・弁護士職務基本規程上の適否は別に判断されると考えられています。ただし、活動内容、依頼者、相手方、報酬形態、法律事務所の扱いによって確認事項は変わります。具体的な可否は、利益相反や守秘義務を含めて専門家へ確認する必要があります。
一般的には、可能性が全くないわけではありませんが、企業内弁護士の個人事件受任は慎重な検討を要するとされています。ただし、勤務先規程、勤務日、法律事務所届出、秘密保持、利益相反、保険、預り金の有無で結論が変わる可能性があります。具体的には、所属弁護士会の運用と勤務先の許可条件を確認する必要があります。
一般的には、報酬が発生する場合、会社規程上は副業または兼業として扱われる可能性があります。ただし、公益性、弁護士会の義務づけ、勤務時間、緊急対応、会社設備の不使用の条件によって扱いは変わります。具体的には、勤務先の副業規程と所属弁護士会の制度を照合する必要があります。
一般的には、個別事件の受任より認められやすい場合があります。ただし、勤務先の内部情報、肩書表示、広報承認、報酬、勤務時間、録画配信、教材利用によってリスクが変わる可能性があります。具体的には、会社の副業規程や広報規程を確認し、必要に応じて承認を得る必要があります。
一般的には、勤務先から貸与された端末やメールを職務外の法律事務に使うことは避けるべきとされています。ただし、社内制度、活動内容、情報管理体制によって確認事項は変わります。具体的には、副業用の端末、メール、クラウド、連絡先、記録保管を分ける運用を検討する必要があります。
一般的には、必要な場合はあり得ますが、依頼者の秘密を不必要に開示すべきではないと考えられています。ただし、勤務先との関係、相手方、競業可能性、依頼者同意の有無によって対応は変わります。具体的には、開示範囲、社内取扱者、目的外利用禁止を限定して設計する必要があります。
一般的には、可能性はありますが、弁護士法30条の届出、会社の許可、会社法上の責任、競業、利益相反、インサイダー情報管理を確認する必要があります。ただし、勤務先と副業先の事業領域や取引関係によって結論が変わる可能性があります。具体的には、D&O保険や責任限定契約も含めて確認する必要があります。
一般的には、給与所得、事業所得、雑所得、役員報酬など、収入の形態によって処理が異なるとされています。ただし、源泉徴収、消費税、インボイス、確定申告、経費計上、社会保険への影響は個別事情で変わります。具体的には、必要に応じて税理士等の専門家へ確認する必要があります。
抽象的な可否ではなく、何を、誰に対して、どの条件で行うのかを具体化します。
企業内弁護士の副業は、単なる副業解禁の問題ではありません。企業内弁護士は会社に所属する内部者でありながら、弁護士としての独立性、守秘義務、利益相反規制に服する専門職です。そのため、会社ルール、弁護士会届出、法律事務所、守秘、利益相反、労務、情報セキュリティを具体的に確認する必要があります。
次の整理は、ここまでの論点を最終確認用にまとめたものです。最終整理が重要なのは、抽象的な可否だけでは実務判断につながらず、活動内容、相手方、時間、場所、肩書、使用情報、届出を具体化する必要があるためです。どの確認が残っているかを読み取ってください。
弁護士法は、企業内弁護士の副業を当然に全面禁止しているわけではありません。もっとも、会社ルールと弁護士倫理の双方を満たす必要があります。
個人事件、法律相談、訴訟代理は、守秘、利益相反、法律事務所、預り金、保険、記録管理を整えなければなりません。
禁止か許可かの二択ではなく、類型別・リスク別の審査基準、情報取得範囲、許可条件、変更報告を整えることが望まれます。
法令、公的資料、弁護士会・組織内弁護士団体の資料名を整理しています。