民事上の損害賠償責任がどのように発生するのかを、要件、特殊な責任、時効、証拠、解決手段、弁護士相談まで一般情報として整理します。
民事上の損害賠償責任がどのように発生するのかを、要件、特殊な責任、時効、証拠、解決手段、弁護士相談まで一般情報として整理します。
民法709条を軸に、成立要件、損害賠償、時効、相談前の準備まで全体像をつかみます。
不法行為とは、故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害し、その結果として損害を生じさせた場合に、加害者が被害者に対して損害賠償責任を負う民事上の制度です。中心規定は民法709条です。
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
この一文だけを見ると単純ですが、実際には「故意または過失」「権利または法律上保護される利益」「損害」「因果関係」を証拠に基づいて説明する必要があります。個別の見通しは、証拠、当事者の関係、損害額、時効、交渉経緯、裁判例の傾向によって変わります。
次の比較表は、不法行為の成立を検討するときに最初に確認する項目を整理したものです。左の列は検討する観点、中央は制度上の意味、右の列は資料を集めるときの確認先を示しており、どの要素が弱いと請求の説明が難しくなるかを読み取ることが重要です。
| 観点 | 内容 | 実務上の確認事項 |
|---|---|---|
| 行為 | 相手が何をしたか、または何をしなかったか | いつ、どこで、誰が、どのように行動したか |
| 故意・過失 | わざとか、不注意か | 予見可能性、回避可能性、注意義務の内容 |
| 権利・利益侵害 | 何が侵害されたか | 生命、身体、財産、名誉、信用、プライバシー、営業上の利益など |
| 損害 | どのような損害が生じたか | 治療費、休業損害、修理費、逸失利益、慰謝料など |
| 因果関係 | 行為と損害が結びついているか | その行為がなければ損害は発生しなかったか、通常生じる範囲か |
| 期間制限 | 時効にかかっていないか | 損害・加害者を知った時期、不法行為時からの経過年数 |
隣接する制度と比べると、民事責任としての位置づけが見えやすくなります。
不法行為という言葉には「不法」という強い表現が含まれるため、犯罪と混同されがちです。しかし、不法行為は民事責任の問題であり、犯罪は刑事責任の問題です。民事責任では損害の回復や分担が中心となり、刑事責任では国家による処罰が中心となります。
同じ行為が、民事上の不法行為であると同時に刑事上の犯罪になることはあります。暴行、傷害、詐欺、名誉毀損、器物損壊などでは、刑事事件として扱われる可能性がある一方で、被害者が民事上の損害賠償を求めることもあります。
一方で、犯罪にはならなくても不法行為が成立することがあります。過失による事故、専門職の注意義務違反、企業の管理体制不備、名誉・プライバシー侵害などでは、刑罰の対象にならない場合でも、民事上の賠償責任が問題になります。
次の比較一覧は、不法行為、債務不履行、不当利得の違いを示しています。責任の出発点、請求の中心、典型例を分けて見ることで、どの制度構成を検討する必要があるかを整理できます。
契約関係がなくても、故意・過失による権利侵害と損害があれば損害賠償責任が問題になります。交通事故、誹謗中傷、プライバシー侵害などが典型です。
契約などで発生した義務を履行しない場合の責任です。商品を引き渡さない、工事を完成させない、賃料を支払わない場面などで問題になります。
法律上の原因なく利益を得て、他人に損失を与えた場合に、その利益の返還を求める制度です。中心は損害賠償ではなく利益の返還です。
契約関係がある場合でも、不法行為が重ねて問題になることがあります。医療、建築、システム開発、雇用、賃貸借などでは、債務不履行責任と不法行為責任の双方が主張されることがあります。どちらを根拠にするかにより、時効、立証対象、損害範囲、遅延損害金、管轄などが変わることがあります。
成立判断では、条文に直接書かれた要素だけでなく、責任能力、違法性阻却、過失相殺、時効も検討します。
民法709条から導かれる基本要件は、一般に、加害行為、故意または過失、権利または法律上保護される利益の侵害、損害、因果関係を中心に整理されます。裁判では、責任能力、違法性を否定する事情、過失相殺、時効なども含めて総合的に判断されます。
次の判断の流れは、要件をどの順番で点検すると整理しやすいかを示しています。上から順に、事実、責任原因、侵害された利益、損害、因果関係、請求を妨げる事情を確認すると、どこが争点になりやすいかが分かります。
作為または不作為として、相手が何をしたかを特定します。
予見可能性、回避可能性、注意義務違反を確認します。
生命、身体、財産、名誉、信用、プライバシーなどの侵害を見ます。
損害額と行為との法的な結びつきを資料で説明します。
責任が否定または減額される事情を検討します。
損害額、証拠、交渉方針を具体化します。
加害行為には、何かをする作為だけでなく、本来すべきことをしなかった不作為も含まれます。店舗の床が濡れているのに長時間放置した場合、危険を除去すべき立場にある者の不作為が問題になります。
不作為が不法行為になるためには、単に「何もしなかった」だけでは足りません。契約、法令、先行行為、危険源の管理、専門的地位、支配領域、社会通念などから、作為義務が導かれる必要があります。
故意とは、結果の発生を認識し、少なくともそれを容認して行為する心理状態をいいます。過失とは、必要な注意を尽くせば損害の発生を予見し回避できたのに、その注意を怠ったことをいいます。
過失の判断では、単なる結果論ではなく、行為時点で損害発生を予見できたか、回避できたか、どの程度の注意義務が求められたか、行為者の専門性や管理権限、法令・業界基準・社内規程の有無、当時の技術水準、被害者側の行動などが検討されます。
何が侵害され、どの損害まで賠償対象になるかは、事案ごとの事情で変わります。
民法709条の「権利」には、所有権、生命・身体、名誉、信用、プライバシーなど、法的に保護される典型的な利益が含まれます。さらに「法律上保護される利益」により、人格的利益、営業上の信用、生活の平穏、景観・日照・騒音に関する利益、個人情報に関する利益なども問題になります。
もっとも、社会生活では、競争、批判、報道、表現、営業活動、近隣関係によって一定の不快感や不利益が生じます。それらをすべて不法行為にすると、表現の自由や営業の自由が過度に萎縮します。そのため、侵害された利益の性質、侵害行為の態様、被害の程度、公共性、公益性、相当性、代替手段の有無、当事者間の関係などを総合して判断します。
違法性は、単純に「法律に違反したか」だけで決まるものではありません。法令違反があれば違法性を基礎づけやすくなりますが、法令違反がなくても社会通念上許されない権利侵害であれば不法行為が成立することがあります。逆に、正当防衛、緊急避難、正当な業務行為、被害者の有効な承諾などがあれば、違法性が否定されることがあります。民法720条は、他人の不法行為に対して自己または第三者の権利・法律上保護される利益を防衛するため、やむを得ず加害行為をした場合などを定めています。
次の表は、損害の種類と典型例を整理したものです。損害の分類ごとに必要な資料が異なるため、どの損害を主張するのかを分けて考えることが、証拠収集と金額算定の出発点になります。
| 損害の種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 積極損害 | 実際に支出した、または支出を余儀なくされる費用 | 治療費、通院交通費、修理費、葬儀費用、調査費用 |
| 消極損害 | 得られたはずの利益を失った損害 | 休業損害、逸失利益、営業利益の喪失 |
| 精神的損害 | 精神的苦痛に対する損害 | 慰謝料 |
| 将来損害 | 将来発生する損害 | 後遺障害による逸失利益、将来介護費、継続治療費 |
| 無形損害 | 金額化が難しい利益侵害 | 名誉、信用、プライバシー、生活の平穏の侵害 |
民法710条は、身体、自由、名誉、財産権の侵害のいずれであるかを問わず、財産以外の損害についても賠償しなければならないと定めています。これが慰謝料請求の根拠になります。
因果関係は、加害行為と損害との法的な結びつきです。まず「その行為がなければ損害は発生しなかったか」という事実的因果関係を見ます。次に、法的に賠償させる範囲として相当かという相当因果関係を検討します。
相当因果関係では、損害の通常性、予見可能性、危険の範囲、被害者側事情、第三者の介入、既往症、時間的間隔などを考慮します。医療事故、労災、製品事故、公害、システム障害、誹謗中傷による売上減少、投資被害などでは特に争点になりやすい部分です。
責任能力、使用者責任、土地工作物責任、動物占有者責任、共同不法行為をまとめて確認します。
不法行為責任を負うには、原則として、自分の行為の責任を弁識する能力、すなわち責任能力が必要です。未成年者や精神上の障害がある人については、民法712条・713条により、責任能力の有無が問題になります。
責任無能力者が直接責任を負わない場合でも、民法714条により、監督する法定義務者などの責任が問題になることがあります。年齢、生活状況、監督可能性、事故の態様、施設・学校・家族の関与などを具体的に検討します。
次の一覧は、民法709条の基本形だけでは捉えにくい特殊な責任類型を整理したものです。誰の行為・物・動物・関与が問題なのかを分けて見ることで、請求相手や証拠の方向性を読み取れます。
民法715条により、従業員が事業の執行について第三者に損害を与えた場合、会社や組織が責任を負うことがあります。勤務時間だけでなく、職務関連性、外形、会社の看板や道具の利用が問題になります。
民法717条により、建物、塀、看板、階段、外壁、排水設備などが通常備えるべき安全性を欠き、他人に損害が生じた場合、占有者や所有者の責任が問題になります。
民法718条により、犬が通行人に噛みつく、動物が他人の物を壊すなどの場面では、リード、柵、施錠、しつけ、過去の攻撃性、飼育環境が争点になります。
民法719条により、集団暴行、いじめ、共同詐欺、欠陥工事、複数車両事故、複数投稿者による権利侵害では、複数人が連帯して責任を負う場合があります。
使用者責任の趣旨には、危険を作り出し利益を得ている者が、その危険から生じる損害を負担すべきだという考え方があります。企業は事業活動により利益を得る一方、第三者に損害が生じるリスクも生み出します。
工作物責任では、点検記録、修繕履歴、清掃記録、注意喚起表示、外部業者によるメンテナンス記録が重要です。被害者側では、事故直後の写真、現場状況、目撃証言、診断書、修理・治療費資料の保全が重要です。
製造物責任、国家賠償、自動車事故では、被害者保護や危険分配のための特別な枠組みがあります。
不法行為は民法709条だけで完結する制度ではありません。特定の領域では、被害者保護や危険分配の観点から、民法709条を修正・補充する特別法が存在します。
次の比較表は、民法709条の周辺にある代表的な制度を示しています。対象となる場面、責任の根拠、相談時に集めたい資料を並べて確認すると、通常の不法行為として考えるだけでよいのか、特別法の検討が必要なのかを判断しやすくなります。
| 制度 | 対象となる場面 | 確認したい資料 |
|---|---|---|
| 製造物責任法 | 製造物の欠陥により生命、身体または財産に損害が発生した場合 | 製品、取扱説明書、警告表示、購入記録、事故状況、修理記録 |
| 国家賠償法 | 公務員の違法な職務行為や公の営造物の設置・管理の瑕疵が問題になる場合 | 行政文書、処分通知、現場写真、申請・相談記録、事故報告 |
| 自動車損害賠償保障法 | 自動車の運行によって他人の生命または身体が害された場合 | 交通事故証明、診断書、実況見分資料、保険資料、通院記録 |
製造物責任では、通常の不法行為のように加害者の過失を中心に考えるのではなく、製造物に安全性の欠如、すなわち欠陥があったかが重要になります。欠陥は、製造上の欠陥、設計上の欠陥、指示・警告上の欠陥に分類されます。
国家賠償では、違法な行政処分、警察・学校・児童相談所・入管・自治体などの公的活動、公道や公共施設の管理不備などが問題になります。民法709条だけでなく国家賠償法1条・2条の検討が必要です。
自動車事故では、治療費、休業損害、後遺障害、逸失利益、慰謝料、過失割合、保険会社対応、症状固定、後遺障害等級など、多くの専門的論点が関係します。自賠責保険・共済、運行供用者責任も検討します。
請求できる可能性がある項目と、減額要素を分けて検討します。
不法行為に基づく損害賠償では、発生した損害のすべてが常に認められるわけではありません。原則として、加害行為と相当因果関係のある損害が賠償対象になります。
次の一覧は、損害賠償でよく問題になる項目を分類したものです。項目ごとに立証資料が異なるため、何を請求したいのか、どの資料で金額を説明できるのかを対応させて読むことが大切です。
名誉毀損では、損害賠償に代えて、または損害賠償とともに、謝罪広告、訂正文、削除、掲載停止などが問題になることがあります。
民法723条表現の自由慰謝料額は、被害の重大性、侵害態様、加害者の故意・過失の程度、被害者の年齢・職業・社会的立場、被害継続期間、謝罪・対応の有無、再発可能性、社会的影響などによって変わります。裁判では、主観的な苦痛だけでなく客観的事情に基づいて金額化されます。
民法722条2項は、被害者に過失があったときは、裁判所がこれを考慮して損害賠償額を定めることができるとしています。交通事故で双方に注意義務違反があった場合、建物事故で被害者が明らかな危険を認識していた場合、取引被害で重大な確認不足があった場合などには、賠償額が減額されることがあります。
3年、5年、20年という期間だけでなく、起算点や完成猶予・更新も確認します。
不法行為による損害賠償請求権は、いつまでも行使できるものではありません。民法724条は、被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間行使しないとき、または不法行為の時から20年間行使しないときに、時効により消滅すると定めています。
人の生命または身体を害する不法行為については、民法724条の2により、損害および加害者を知った時からの期間が5年間になります。時効は「事故日から何年」と単純に決まるとは限らないため、損害を知った時、加害者を知った時、症状固定時、後遺障害の判明時などを丁寧に確認します。
次の時系列は、時効を考えるときに押さえるべき節目を示しています。左から右へ時間が進むイメージで、いつ権利行使の準備を始め、どの時点で専門家確認が必要になるかを読み取ってください。
事故・投稿・契約トラブルなどの発生日、相手方、損害の発生状況を保存します。
一般の不法行為では3年、生命・身体侵害では5年が基本になります。
損害や相手方を知った時期とは別に、不法行為時から20年という期間も確認します。
催告、協議、訴訟提起、支払督促、調停申立て、承認などの効果を確認します。
継続的不法行為、隠れた損害、相手方不明事案、後遺障害の判明が遅れた事案では、起算点が争われることがあります。時効が近い可能性がある場合は、自己判断で放置せず、資料を整理して早急に専門家へ確認する必要があります。
感情的に納得できない事案でも、法的には事実と損害を資料で示す必要があります。
不法行為は、感情的には「相手が悪い」と感じる事案でも、法的には証拠で説明する必要がある制度です。裁判所は、原則として主張だけでなく証拠に基づいて判断します。
次の表は、被害直後に保存したい資料を種類別に整理したものです。左の列は資料の種類、中央は具体例、右の列は保存時の注意点を示しており、早く消えやすい資料ほど優先して保全する必要があります。
| 証拠の種類 | 具体例 | 注意点 |
|---|---|---|
| 写真・動画 | 現場、けが、壊れた物、表示、路面、建物状況 | 撮影日時が分かる形で保存する |
| 医療資料 | 診断書、診療明細、カルテ開示資料、薬の記録 | 受傷後なるべく早く受診する |
| 金銭資料 | 領収書、見積書、請求書、給与明細、確定申告書 | 原本とコピーを分けて保管する |
| 通信記録 | メール、LINE、チャット、SNS、録音 | 改ざんを疑われない保存方法にする |
| 第三者資料 | 警察資料、事故証明、目撃者メモ、防犯カメラ | 保存期間が短いものは早めに確認する |
| 業務資料 | 売上表、勤務表、日報、勤怠記録、社内報告書 | 損害発生前後の比較ができる形にする |
| インターネット資料 | URL、投稿日時、アカウント、スクリーンショット | 画面だけでなくURL・日時・投稿者情報を残す |
インターネット上の名誉毀損・プライバシー侵害では、投稿が削除される前に証拠化する必要があります。単なるスクリーンショットだけでは不十分な場合があるため、URL、投稿日時、アカウント名、表示画面全体、関連する前後の投稿、検索結果、拡散状況などを保存します。
裁判だけでなく、請求内容や相手方の対応に応じて複数の手段を検討します。
不法行為による紛争は、必ず裁判になるわけではありません。任意交渉、内容証明郵便、民事調停、ADR、民事訴訟などから、証拠の強さ、相手方の対応、時効、費用対効果を踏まえて選択します。
次の時系列は、解決手段を段階的に検討する順番を示しています。上から下へ進むほど手続の負担や公的関与が大きくなるため、どの段階で合意の余地があるか、どの段階で強制的な判断が必要になるかを読み取ってください。
相手方や保険会社と、損害賠償額、謝罪、再発防止、削除、原状回復などを協議します。
相手が無視している場合、時効が近い場合、請求内容を明確に残したい場合に使われることがあります。
裁判所の民事調停や専門ADRを利用し、第三者の関与のもとで解決を目指します。
交渉で解決しない場合、訴状、請求の趣旨、請求の原因、証拠を整えて訴訟を検討します。
民事訴訟では、原告または訴訟代理人である弁護士が裁判所に訴状を提出し、請求の趣旨と請求の原因を記載し、手数料を納める必要があります。140万円以下の請求に係る民事訴訟は簡易裁判所、それ以外の一般的な民事訴訟は地方裁判所が第一審裁判所になることがあります。
不法行為に基づく損害賠償請求では、不法行為が行われた土地を管轄する裁判所にも訴えを起こせる場合があります。どの手続が適するかは、請求額、証拠、相手方の所在地、緊急性、時効、費用負担によって変わります。
相談の必要性が高い場面、持参資料、費用と相談窓口を整理します。
不法行為は、要件と証拠の組み立てが重要な分野です。けが、後遺障害、死亡など生命・身体に関わる被害がある場合、慰謝料や逸失利益の算定が難しい場合、相手方が会社・病院・学校・行政機関・保険会社などの組織である場合は、早めに弁護士へ相談する価値が高いといえます。
また、証拠が消えそうな場合、SNS投稿や口コミの削除・発信者特定が必要な場合、時効が近い可能性がある場合、複数の加害者が関係する場合、相手が責任を否定する場合、示談書や合意書への署名を求められている場合も、専門家確認が重要になります。
次の一覧は、弁護士相談に持参すると説明が進みやすい資料をまとめたものです。番号順にそろえる必要はありませんが、時系列、相手方情報、証拠、損害資料、希望する解決内容を分けておくと、短い相談時間でも重要論点を確認しやすくなります。
事故・被害の時系列メモ、相手の氏名・住所・会社名・連絡先、保険会社名、相手とのやり取りを整理します。
時系列相手方情報写真、動画、スクリーンショット、診断書、領収書、見積書、修理明細、収入資料、休業資料、売上資料を準備します。
損害額証拠警察、学校、会社、行政、保険会社から受け取った書類、提示された示談案・合意書案、希望する解決内容を確認します。
示談案清算条項弁護士費用は、相談料、着手金、報酬金、実費、日当などで構成されることが多いですが、事件類型や事務所によって異なります。正式に依頼する前に、見積り、費用体系、途中終了時の扱い、実費、成功報酬の計算方法を確認することが重要です。
経済的に余裕がない場合には、法テラスの民事法律扶助制度が利用できる可能性があります。弁護士会の法律相談、法テラス、無料法律相談、有料相談の違いも含め、事案の緊急性と必要な専門性に応じて窓口を選びます。
断定的な結論ではなく、一般的な制度説明として整理します。
一般的には、不法行為は故意だけでなく過失でも成立する可能性がある制度とされています。ただし、具体的な注意義務、予見可能性、回避可能性、証拠関係によって結論は変わります。個別の見通しや対応方針は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、損害があるだけでは足りず、相手の故意・過失、権利・利益侵害、因果関係が必要とされています。ただし、社会生活上受忍すべき範囲か、証拠で損害を説明できるかによって結論が変わる可能性があります。具体的には弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、当事者間で合意する場合は一定の自由がありますが、裁判で認められる慰謝料額は、類似事案の傾向、被害の程度、証拠、侵害態様などから判断されるとされています。事故態様や証拠関係によって結論は変わるため、具体的な金額見通しは専門家へ確認する必要があります。
一般的には、警察は刑事事件を扱う機関であり、民事上の損害賠償金を回収する機関ではないとされています。ただし、同じ出来事について刑事手続と民事請求が並行することはあります。損害回復の具体的手段は、交渉、調停、ADR、訴訟などを含めて弁護士等へ相談する必要があります。
一般的には、示談書や合意書に清算条項があると、後から追加請求が難しくなる可能性があります。ただし、後遺障害、将来損害、再発リスク、分割払い、守秘義務、違約金、削除義務などの扱いによって結論は変わります。署名前に資料を整理して専門家へ確認する必要があります。
一般的には、使用者責任が成立する場合でも、加害行為をした本人の責任が別に問題になることがあります。また、会社が賠償した後に内部的な求償関係が問題になることもあります。請求相手の選択は、証拠、資力、時効、責任根拠によって変わるため、具体的には専門家へ相談する必要があります。
交通事故、誹謗中傷、医療・介護事故、学校事故、ハラスメント、近隣トラブルなどで争点は変わります。
不法行為は、生活上・事業上のさまざまな場面で使われる基礎概念です。ただし、事案類型によって、争点、必要資料、解決手段は大きく変わります。
次の一覧は、代表的な事案ごとの実務上の着眼点を整理したものです。各項目で、どの権利・利益が問題になり、どの資料が重要になりやすいかを読み取ると、相談前の準備に役立ちます。
過失割合、治療期間、症状固定、後遺障害、逸失利益、慰謝料、保険会社の提示額が主要論点です。ドライブレコーダー、実況見分資料、事故証明、診断書、通院記録が重要です。
社会的評価を低下させる事実摘示、公共性、公益目的、真実性・真実相当性、意見論評として許容される範囲が問題になります。削除、発信者情報開示、損害賠償、再発防止も検討します。
私生活上の情報か、公開を欲しない情報か、公開の不利益や必要性が問題になります。個人情報漏えいでは、安全管理措置、通知・報告、再発防止も重要です。
専門的注意義務違反、説明義務違反、因果関係、損害額が争点になります。診療録、看護記録、検査結果、説明同意書、事故報告書、介護記録が重要です。
安全配慮、監督義務、予見可能性、事後対応、記録、アンケート、相談履歴、保護者への説明、第三者委員会報告などが問題になります。
加害者本人の責任、会社の使用者責任、職場環境配慮義務・安全配慮義務違反が問題になります。メール、チャット、録音、日記、医療記録、人事相談記録を確認します。
騒音、悪臭、日照、振動、越境、漏水、ペット、迷惑行為では、受忍限度を超えるかが問題になります。時間帯、頻度、地域性、測定結果、改善要請への対応が重要です。
営業秘密侵害、信用毀損、不正競争、取引妨害、虚偽告知、システム障害、情報漏えいなどでは、契約責任、不正競争防止法、会社法、個人情報保護法も検討します。
最後に、被害者側・加害者側それぞれの初動と、制度の本質を確認します。
不法行為とは、単に悪い人を罰する制度ではありません。刑事罰と異なり、民事上の不法行為責任の中心は、被害者に生じた損害を、誰に、どの範囲で、どのように負担させるのが公平かという判断です。
次の重要ポイントは、不法行為の問題に直面したときに最初に意識したい行動をまとめたものです。4つの項目は、事実、損害、つながり、期間制限の順で並んでおり、どれかが欠けると請求や防御の説明が弱くなることを読み取ってください。
何が起きたのかを時系列で整理し、どんな損害が発生したのかを資料で示し、相手の行為と損害のつながりを説明し、時効や示談で権利を失わないように確認します。
被害を受けた可能性がある場合は、事故・被害の日時、場所、状況を時系列でメモし、写真、動画、スクリーンショット、診断書、領収書、通院記録、収入資料、相手とのやり取りを保存します。警察、学校、会社、行政、保険会社への連絡履歴も残し、示談書や合意書に署名する前には、清算条項、支払条件、守秘義務、将来損害の扱いを確認します。
不法行為をした、または疑われている側は、事実確認、被害拡大防止、関係資料の保全、保険会社への通知、法定報告の要否、被害者対応窓口の一本化を急ぐ必要があります。企業では、法務・人事・広報・現場責任者の役割分担を明確にし、謝罪、見舞い、責任認定、示談交渉を混同しないことが重要です。
不法行為とは、故意または過失によって他人の権利・法律上保護される利益を侵害し、損害を発生させた者に、その損害を賠償させる民事上の責任制度です。実際に請求が認められるかは、故意・過失、権利・利益侵害、損害、因果関係、違法性、責任能力、過失相殺、時効、証拠の有無によって決まります。