2σ Guide

国際相続では
日本と現地の専門家が必要です

国際相続は、準拠法、現地手続、日本の相続税、登記、翻訳・認証、裁判所手続が重なります。日本側と現地側の専門家をどう分担させるかを、実務の流れに沿って整理します。

3層実体法・手続・税務
10か月相続税申告の目安
3年相続登記義務の目安
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国際相続では 日本と現地の専門家が必要です

国際 相続は、準拠法、現地手続、日本の相続税、登記、翻訳・認証、裁判所手続が重なります。

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国際相続では 日本と現地の専門家が必要です
国際 相続は、準拠法、現地手続、日本の相続税、登記、翻訳・認証、裁判所手続が重なります。
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  • 国際相続では 日本と現地の専門家が必要です
  • 国際 相続は、準拠法、現地手続、日本の相続税、登記、翻訳・認証、裁判所手続が重なります。

POINT 1

  • 国際相続で日本と現地の専門家が必要になる全体像
  • 法律、手続、税務、書類認証が同時に動くため、一国だけの判断では完結しません。
  • 誰が何を承継するか
  • 財産を実際に動かせるか
  • 税務と期限を管理できるか

POINT 2

  • 国際相続の基本用語と三層構造
  • 準拠法、管轄、プロベート、認証、外国税額控除を分けて理解します。
  • 実体法の層
  • 財産移転の層
  • 税務・評価の層

POINT 3

  • 国際相続で日本法だけでは現地手続を完結できない理由
  • 1. 準拠法を仮確認:被相続人の国籍、住所、常居所、財産所在地を整理します。
  • 2. 遺言を三つに分ける:方式、内容、執行可能性を別々に見ます。
  • 3. 現地機関の権限証明が必要か:裁判所命令、公証、現地税務番号、代理人の要否を確認します。
  • 4. 現地手続を先に設計:現地専門家が受理要件と順序を確認します。
  • 5. 日本側処理と照合:税務申告、遺産分割、戸籍、相続登記への反映を確認します。

POINT 4

  • 国際相続の日本側手続と税務期限
  • 1. 相続放棄・限定承認:財産の処分や引出しの前に、日本側と現地側で単純承認リスクを確認します。
  • 2. 準確定申告:被相続人の所得や不動産収入がある場合、資料収集を急ぎます。
  • 3. 相続税申告・納税:未分割や現地評価書待ちでも、日本側の申告期限を前提に対応を検討します。
  • 4. 相続登記:日本不動産がある場合、不動産取得を知った日からの義務を管理します。

POINT 5

  • 国際相続の書類認証と紛争対応
  • 翻訳の仕様差
  • 日本の法務局が求める翻訳と、現地銀行が求める翻訳は同じとは限りません。
  • 認証方式の違い
  • アポスティーユで足りる国もあれば、領事認証や現地外務省認証が必要な国もあります。

POINT 6

  • 国際相続の不動産と特殊財産
  • 所在地国の制度が強い不動産と、会社・知財・信託・デジタル資産を分けて扱います。
  • 不動産は所在地国の制度が強く働く
  • 日本国内不動産では、相続登記、境界確認、分筆、表示登記、評価、売却実務が問題になります。
  • 相続土地国庫帰属制度を検討する場合も、土地の状態、境界、管理負担、承認要件を確認する必要があります。

POINT 7

  • 国際相続の日本側専門家と現地側専門家の役割分担
  • 誰が最初に相談先になるかだけでなく、どの論点を誰が担当するかを明確にします。
  • 役割を曖昧にすると、同じ資料を二重に集めたり、期限・評価・書類の前提がずれたりするため重要です。
  • 領域ごとに、連携の要点を見て担当の境界線を読み取ってください。
  • 同じ相続案件でも、紛争、登記、税務、認証、評価、生活保障で必要な資格や経験が変わるため重要です。

POINT 8

  • 国際相続の典型事例別に必要な専門家
  • 米国証券口座、外国籍配偶者、海外在住相続人、EU不動産で必要なチームは変わります。
  • 事例ごとに税務、登記、署名、裁判所、金融機関の要件が異なるため重要です。
  • 左から状況、主な論点、必要チームを見て、似た案件でも同じ進め方にはならないと読み取ってください。
  • 典型事例に共通するのは、日本側の理論判断と現地側の受理要件を照合する必要があることです。

まとめ

  • 国際相続では 日本と現地の専門家が必要です
  • 国際相続で日本と現地の専門家が必要になる全体像:法律、手続、税務、書類認証が同時に動くため、一国だけの判断では完結しません。
  • 国際相続の基本用語と三層構造:準拠法、管轄、プロベート、認証、外国税額控除を分けて理解します。
  • 国際相続で日本法だけでは現地手続を完結できない理由:準拠法、遺言、プロベートは、理論上の権利と実際の財産移転を分けて考えます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

国際相続で日本と現地の専門家が必要になる全体像

法律、手続、税務、書類認証が同時に動くため、一国だけの判断では完結しません。

国際相続で日本と現地の両方の専門家が必要になる最大の理由は、相続の問題が一つの法律だけで完結しないためです。相続人の範囲、遺産分割、遺留分、遺言の効力といった実体法上の問題と、預金解約、不動産名義変更、プロベート、税務申告、相続放棄、登記、書類認証、裁判所手続は別々のルールで動きます。

日本の国際私法では、相続は原則として被相続人の本国法によると整理されます。しかし、外国不動産、外国銀行口座、外国会社株式、海外信託、海外年金、海外保険などを実際に移すには、現地の登記、金融、税務、裁判所、行政実務に従う必要があります。

次の重要ポイントは、国際相続で専門家を分ける理由を一文にまとめたものです。この視点は、依頼先を増やすためではなく、どの国の誰が何を処理するかを誤らないために重要です。中央の結論から、日本側と現地側を競合ではなく共同設計の担当者として見る必要があると読み取ってください。

一つの案件を、二つ以上の制度で動かす

日本側は準拠法判断、日本国内財産、日本税務、戸籍、登記、家庭裁判所、金融機関実務を扱います。現地側は現地法、現地税、現地不動産、現地銀行、プロベート、認証、翻訳、訴訟、行政実務を扱います。

次の一覧は、国際相続で日本側と現地側をつなぐ三つの基本観点を表しています。最初に観点を分けることが、相談先の重複や期限漏れを避けるために重要です。各項目から、法務・手続・税務を同時に管理する必要があると読み取ってください。

Law

誰が何を承継するか

相続人、相続分、遺言、遺留分、配偶者権、特別受益、寄与分などは、準拠法を確認して判断します。

Procedure

財産を実際に動かせるか

銀行、登記所、裁判所、証券会社、公証人、行政機関が受理する書類や権限証明を整えます。

Tax

税務と期限を管理できるか

日本の相続税、現地税、評価、為替換算、外国税額控除、申告期限を同時に確認します。

国際相続に当たる典型例

国際相続とは、相続関係のどこかに国境をまたぐ要素がある相続です。被相続人が日本国籍で海外に不動産や口座を持つ場合、外国籍者が日本に財産を残す場合、相続人の一部が海外在住で日本の印鑑証明書や住民票を取得できない場合、外国語の遺言や外国公証人が関わる場合などです。

  • 日本と現地の双方で相続税、遺産税、承継税、キャピタルゲイン課税が問題になる。
  • 共同相続人の一部が外国人、未成年者、後見利用者、信託受益者、会社経営者である。
  • 海外の裁判所、税務当局、銀行、登記所、証券会社、信託会社が関与する。
Section 01

国際相続の基本用語と三層構造

準拠法、管轄、プロベート、認証、外国税額控除を分けて理解します。

次の比較表は、国際相続で早い段階から出てくる用語の意味と注意点を整理したものです。用語の違いを取り違えると、相談先、提出書類、期限管理がずれるため重要です。左列で用語を確認し、右列で日本側と現地側のどちらにも確認が必要な理由を読み取ってください。

用語意味と国際相続での注意点
被相続人亡くなった人です。国籍、最後の住所、常居所、居住歴、財産所在地、遺言の有無が判断の出発点になります。
相続人被相続人の権利義務を承継する人です。国際相続では、どの国の法律で相続人を決めるかが先に問題になります。
準拠法ある法律問題にどの国の法律を適用するかというルールです。日本では相続について被相続人の本国法が関係します。
国際裁判管轄どの国の裁判所で争えるかという問題です。日本の裁判所で争えても、適用される法律が外国法になることがあります。
プロベート英米法圏などで、遺言確認、遺産管理人や遺言執行者の権限確認、清算、分配を裁判所などが関与して進める制度です。
アポスティーユと公印確認公文書の真正を示す手続です。提出先により、アポスティーユ、公印確認、領事認証、現地公証などの要否が異なります。
外国税額控除同じ相続財産について日本と外国で課税される場合に、日本の相続税計算で一定の外国税を控除できる制度です。対象税、限度額、証明書、為替換算が必要です。

次の三つの項目は、国際相続を難しくする層の違いを表しています。層ごとに担当者、根拠法、必要書類、期限が変わるため、最初に分けておくことが重要です。各項目から、一つの相続でも実体判断、財産移転、税務管理を並行して進める必要があると読み取ってください。

Layer 1

実体法の層

相続人、法定相続分、遺留分、遺言の効力、配偶者の権利、非嫡出子、養子、代襲相続、相続欠格、廃除、特別受益、寄与分が問題になります。

Layer 2

財産移転の層

預金解約、不動産登記、証券口座の名義変更、会社株式の承継、知的財産権の名義変更、現地裁判所の権限証書取得などが含まれます。

Layer 3

税務・評価の層

日本の相続税、準確定申告、現地の遺産税、相続税、贈与税、譲渡所得課税、登録税、為替換算、国外財産評価を整理します。

日本側の専門家だけでは現地手続の細部を完結しにくく、現地側の専門家だけでは日本の相続税申告、戸籍、相続登記、家庭裁判所実務を正確に処理しにくいことがあります。この三層をつなぐ統括が、国際相続の出発点になります。

Section 02

国際相続で日本法だけでは現地手続を完結できない理由

準拠法、遺言、プロベートは、理論上の権利と実際の財産移転を分けて考えます。

日本の国際私法だけでは現地機関は動かない

日本の国際私法で相続の準拠法を確認しても、それだけで海外不動産や海外預金が動くわけではありません。現地の登記所、銀行、証券会社、税務署、裁判所が求めるのは、現地法上有効な権限証明、現地様式の申請書、現地公証、現地語翻訳、現地税務番号、現地代理人であることが多いためです。

日本法上の相続人全員が合意した遺産分割協議書があっても、現地不動産登記所がそのまま受理するとは限りません。現地の土地制度が、裁判所のプロベート命令、遺産管理人の任命、現地公証人作成の承継証書、現地税務当局の納税証明を要求することがあります。

遺言は方式、有効性、執行可能性を分ける

国際相続では、遺言がある場合でも安心とは限りません。遺言の方式が有効か、内容が準拠法上有効か、その遺言で日本と現地の財産を実際に移転できるかを分けて検討します。方式上有効であることと、現地銀行や現地登記所が名義変更を受け付けることは別問題です。

  1. 遺言の方式が有効か。
  2. 遺言の内容が準拠法上有効か。
  3. 遺言を使って日本と現地で実際に財産を移転できるか。

外国語遺言、共同遺言、信託型遺言、公証遺言、手書き遺言、電子的遺言、遺言代用信託などは、国ごとに扱いが異なります。日本で選任された遺言執行者の権限が外国の銀行や登記所で認められるかも、現地法と現地実務の確認が必要です。

プロベートが財産移転の入口になる国もある

英米法圏を中心に、遺産を管理する権限者が裁判所から正式に認められなければ、銀行口座、証券口座、不動産、保険、会社株式を扱えない制度があります。英国ではプロベート申請が必要になる場合があり、米国では非居住者かつ非米国市民の米国所在財産についてEstate Taxが問題になることがあります。

このような国では、日本の相続人が日本法上の相続人であることを説明しても、現地金融機関はexecutor、administrator、personal representativeなどの権限証書を求めることがあります。

次の判断の流れは、海外財産を動かす前に確認すべき順番を表しています。順番を誤ると、日本法上は整っている書類が現地で使えない、または現地処理が日本税務で説明できない事態が起こり得るため重要です。上から順に、準拠法、遺言、現地機関、日本側反映を照合する必要があると読み取ってください。

海外財産を動かす前の確認順序

準拠法を仮確認

被相続人の国籍、住所、常居所、財産所在地を整理します。

遺言を三つに分ける

方式、内容、執行可能性を別々に見ます。

現地機関の権限証明が必要か

裁判所命令、公証、現地税務番号、代理人の要否を確認します。

必要
現地手続を先に設計

現地専門家が受理要件と順序を確認します。

不要
日本側処理と照合

税務申告、遺産分割、戸籍、相続登記への反映を確認します。

Section 03

国際相続の日本側手続と税務期限

日本国内財産、相続税、為替換算、外国税額控除、期限を同時に管理します。

日本国内財産には日本の戸籍、登記、金融実務がある

海外在住者や外国籍者が関係していても、日本国内に不動産、預金、証券、保険、会社株式があれば、日本の制度に従った手続が必要です。外国籍者については、出生証明書、婚姻証明書、死亡証明書、宣誓供述書、法定相続人証明、現地公証人の証明、現地裁判所の証明などで戸籍に代わる説明をすることがあります。

日本不動産がある場合は、相続登記が特に重要です。相続人が不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をする義務があり、正当な理由がないのにしない場合は10万円以下の過料が科される可能性があります。この制度は令和6年、2024年4月1日から始まりました。

日本の相続税と現地税は考え方が違う

国ごとに、課税対象者、課税対象財産、税率、控除、申告期限、納税義務者、財産評価、為替換算、税額控除、延滞税、加算税、罰則が異なります。日本の相続税申告は、通常、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内で、相続財産が未分割でも申告期限が当然に延びるわけではありません。国外財産の外貨換算では、原則として課税時期のTTBまたはこれに準ずる相場で邦貨換算します。

次の比較表は、日本側で特に意識しやすい期限と主な担当を整理したものです。現地のプロベートや税務申告が終わらなくても日本側の期限が進むため、期限表を作ることが重要です。期限の短い順に、相続放棄、準確定申告、相続税申告、相続登記の優先度を読み取ってください。

手続期限の目安主な担当
相続放棄、限定承認自己のために相続開始を知った時から3か月以内弁護士、家庭裁判所手続支援、司法書士の書類作成
準確定申告相続開始を知った日の翌日から4か月以内税理士
相続税申告、納税相続開始を知った日の翌日から10か月以内税理士
相続登記不動産取得を知った日から3年以内司法書士、弁護士

次の時系列は、日本側で見落としやすい期限の並びを表しています。月単位と年単位の期限が現地手続と並行するため、早い時点で全体の工程を見える化することが重要です。左から短い期限ほど先に到来し、現地書類待ちを理由に放置できないと読み取ってください。

3か月

相続放棄・限定承認

財産の処分や引出しの前に、日本側と現地側で単純承認リスクを確認します。

4か月

準確定申告

被相続人の所得や不動産収入がある場合、資料収集を急ぎます。

10か月

相続税申告・納税

未分割や現地評価書待ちでも、日本側の申告期限を前提に対応を検討します。

3年

相続登記

日本不動産がある場合、不動産取得を知った日からの義務を管理します。

現地側にも、プロベート申請期限、遺産税申告期限、相続税申告期限、不動産登録期限、相続人通知期限、債権者公告期間、少額財産手続の期限、外国人所有規制に関する期限があり得ます。問題は、これらが順番ではなく同時に来ることです。

Section 04

国際相続の書類認証と紛争対応

内容が正しい書類でも、形式、翻訳、認証が合わないと受理されないことがあります。

書類の真正、翻訳、認証が手続の成否を左右する

国際相続では、外国の死亡証明書を日本の税務署、法務局、銀行に提出する場面や、日本の戸籍謄本を外国裁判所、外国銀行、外国登記所に提出する場面があります。日本の遺産分割協議書に海外在住相続人が署名する場合、外国公証人の宣誓供述書を日本の法務局に提出する場合、外国語の遺言書を日本の家庭裁判所や銀行で使う場合もあります。

ここで問題になるのが、アポスティーユ、公印確認、領事認証、宣誓翻訳、認証翻訳、署名証明、在留証明、サイン証明、印鑑証明の代替です。提出先により受理される形式は異なります。

次の注意一覧は、国際相続の書類と紛争でつまずきやすい要素を表しています。提出先ごとに要求が異なるため、最後にまとめて確認すると数週間から数か月の遅延につながりやすく重要です。各項目から、書類作成、翻訳、認証、証拠収集を同時に設計する必要があると読み取ってください。

翻訳の仕様差

日本の法務局が求める翻訳と、現地銀行が求める翻訳は同じとは限りません。

認証方式の違い

アポスティーユで足りる国もあれば、領事認証や現地外務省認証が必要な国もあります。

署名証明の形式

海外在住相続人の署名証明は、銀行、法務局、税務署、裁判所で要求が変わります。

証拠の取得権限

海外預金の取引履歴を誰が取得できるかは、現地法や金融機関実務に左右されます。

裁判手続の分裂

日本の調停や審判と、現地裁判所の手続が別々に進むことがあります。

合意後の執行

日本で合意しても、現地不動産の名義変更には現地の登記要件が残ります。

相続紛争は日本と現地で争点が分かれる

相続人間でもめている場合、遺留分侵害額請求、外国法上のforced heirship、配偶者権、法定取分、海外預金の使い込み疑い、現地銀行取引履歴の取得、日本の遺産分割調停への海外相続人の参加、外国裁判所手続の日本手続への影響などが分かれて問題になります。

日本では、遺産分割の話合いがつかない場合に家庭裁判所の調停または審判を利用できます。ただし、海外財産については現地の裁判所や現地法が関与することがあり、日本の調停で全相続人が合意しても、現地不動産の名義変更には現地の登記要件が残ります。

Section 05

国際相続の不動産と特殊財産

所在地国の制度が強い不動産と、会社・知財・信託・デジタル資産を分けて扱います。

不動産は所在地国の制度が強く働く

不動産は、登記、境界、固定資産税、都市計画、農地規制、外国人所有規制、共有解消、売却、賃貸、管理、環境規制、建物安全規制など、所在地国の制度に強く結び付いています。日本国内不動産では、相続登記、境界確認、分筆、表示登記、評価、売却実務が問題になります。

相続土地国庫帰属制度を検討する場合も、土地の状態、境界、管理負担、承認要件を確認する必要があります。海外不動産では、売却許可、税務番号、相続登記、未納税確認、管理組合承認、外国送金規制が必要になることがあります。

次の比較表は、国際相続で専門分化が起きやすい財産と、主に確認すべき論点を表しています。預金と自宅だけの相続と異なり、財産ごとに会社法、知財、信託、IT、金融規制が重なるため重要です。各行から、財産の種類ごとに日本側専門家と現地側専門家を追加する必要があると読み取ってください。

財産の種類主な論点必要になりやすい専門家
日本不動産相続登記、境界、評価、売却、国庫帰属制度、管理負担司法書士、弁護士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、不動産仲介業者
海外不動産現地登記、売却許可、未納税、外国人所有規制、送金規制現地弁護士、現地公証人、現地鑑定士、現地税理士
会社・非上場株式会社法、定款、株主間契約、譲渡制限、役員変更、事業承継弁護士、税理士、公認会計士、中小企業診断士、現地会社法専門家
知的財産特許、商標、著作権、ライセンス契約、ドメイン、営業秘密弁理士、弁護士、現地弁理士、現地代理人
信託・財団海外信託、ファミリートラスト、受益権、日本税務、現地税制税理士、信託法専門家、弁護士、受託者対応担当
暗号資産・デジタル資産取引所所在地、利用規約、本人確認、秘密鍵、税務評価、アクセス権税理士、IT・金融規制に詳しい専門家、現地取引所対応担当

評価の目的も混同できません。日本の相続税評価、現地の時価評価、現地税務評価、遺産分割上の評価、売却見込価格は一致しないことがあります。

Section 06

国際相続の日本側専門家と現地側専門家の役割分担

誰が最初に相談先になるかだけでなく、どの論点を誰が担当するかを明確にします。

次の比較表は、国際相続で日本側と現地側の専門家が担当しやすい領域を整理したものです。役割を曖昧にすると、同じ資料を二重に集めたり、期限・評価・書類の前提がずれたりするため重要です。領域ごとに、連携の要点を見て担当の境界線を読み取ってください。

領域日本側で必要になりやすい専門家現地側で必要になりやすい専門家連携の要点
相続人、相続分、遺言、遺留分弁護士現地弁護士、公証人準拠法、現地強行法、遺言の有効性を照合する
日本不動産司法書士、弁護士、土地家屋調査士、不動産鑑定士必要に応じて現地説明担当相続登記義務、評価、売却方針を管理する
海外不動産日本側弁護士、税理士現地弁護士、現地公証人、現地登記専門家、現地鑑定士現地登記と日本税務評価を分ける
日本相続税税理士現地税理士から資料提供納税義務判定、国外財産評価、外国税額控除を管理する
現地税日本側税理士現地税理士、現地会計士現地納税証明を日本申告に使える形で取得する
書類作成、認証行政書士、司法書士、弁護士、翻訳者現地公証人、現地翻訳者、在外公館提出先ごとの様式、翻訳、認証を確認する
紛争弁護士現地弁護士日本調停、現地裁判、証拠収集を統合する
会社、事業承継弁護士、税理士、公認会計士、中小企業診断士、司法書士現地会社法弁護士、現地会計士株式評価、支配権、税務、役員変更を統合する
知的財産弁理士、弁護士現地弁理士、現地弁護士登録国ごとの名義変更を管理する
年金、保険、生活保障社会保険労務士、FP、保険会社担当現地年金、保険、税務担当相続財産か固有権か、課税関係を分ける

次の一覧は、国際相続で中心になりやすい専門職の実務上の見方を表しています。同じ相続案件でも、紛争、登記、税務、認証、評価、生活保障で必要な資格や経験が変わるため重要です。各項目から、最初の相談先だけでなく、後から接続すべき専門職を読み取ってください。

弁護士

遺産分割、遺留分、使い込み疑い、遺言無効、現地財産の開示、調停、審判、訴訟、外国手続との調整を扱います。

紛争

司法書士

日本不動産の相続登記、戸籍収集、登記用書類、法定相続情報、裁判所提出書類作成で重要です。

登記

税理士

日本の相続税申告、準確定申告、国外財産評価、外貨換算、外国税額控除、二重課税リスクを扱います。

税務

行政書士

紛争、税務、登記申請を除く範囲で、遺産分割協議書、相続関係説明図、翻訳、認証、在外書類を支援します。

書類

公証人と現地公証人

公正証書遺言、宣誓供述書、公証文書、署名認証、認証翻訳に関与します。日本の公証制度と現地notaryは同じではありません。

認証

遺言執行者と信託銀行等

日本国内では有用でも、海外財産については現地裁判所の権限確認が必要になることがあります。

執行
Section 07

国際相続の典型事例別に必要な専門家

米国証券口座、外国籍配偶者、海外在住相続人、EU不動産で必要なチームは変わります。

次の比較表は、国際相続で典型的に問題になる四つの事例と必要な専門家を表しています。事例ごとに税務、登記、署名、裁判所、金融機関の要件が異なるため重要です。左から状況、主な論点、必要チームを見て、似た案件でも同じ進め方にはならないと読み取ってください。

事例主な論点必要になりやすい専門家
日本国籍の親が米国に証券口座を残して死亡米国証券口座の移管、米国所在財産の遺産税、Form 706-NA、本人確認、W-8BEN、TIN、メダリオン署名保証日本側の弁護士、税理士、行政書士、場合により司法書士。現地側の米国弁護士、米国税理士、CPA、金融機関担当者
外国籍の配偶者が日本に住み、日本の不動産を残して死亡被相続人の本国法、外国法上の相続人や相続分、翻訳、宣誓供述書、現地法意見書、日本の相続登記日本側の司法書士、弁護士、税理士。現地側の本国法に詳しい弁護士、公証人、身分登録制度に詳しい専門家
相続人の一人が海外在住で日本の遺産分割協議書に署名する日本の印鑑証明書がない場合の在外公館の署名証明、現地公証人の署名認証、在留証明、提出先ごとの形式日本側の司法書士、行政書士、弁護士。現地側の公証人、翻訳者、在外公館
EU加盟国に不動産を持つ日本国籍者が死亡EU側の最後の常居所地アプローチ、国籍国法の選択、日本の本国法アプローチ、遺言の法選択、現地不動産登記、日本相続税申告日本側弁護士、税理士、司法書士。EU現地弁護士、現地公証人、現地税務・登記の専門家

典型事例に共通するのは、日本側の理論判断と現地側の受理要件を照合する必要があることです。米国証券口座では金融機関の本人確認や税務様式が問題になり、EU不動産では常居所地と国籍国法の関係が問題になります。

Section 08

国際相続の実務手順

事実関係、準拠法、期限、評価、書類、税務、執行を同時に整理します。

次の時系列は、国際相続で何をどの順番で整理するかを表しています。複数国の手続は感情的にも事務的にも負担が大きいため、段階を分けることが重要です。上から順に、事実を固定してから法務、期限、財産、書類、税務、執行へ進むと読み取ってください。

第1段階

事実関係の固定

国籍、重国籍、住所、常居所、居住歴、死亡日、死亡地、死亡証明書、遺言、信託契約、婚前契約、会社定款、株主間契約、相続人候補者、財産所在地、負債、保証、税金、訴訟、未払費用を確認します。

第2段階

準拠法と管轄の仮説

日本の通則法、現地法、裁判所、遺言の方式・内容・法選択・執行可能性、紛争時の手続を検討します。

第3段階

期限表の作成

3か月、4か月、10か月、3年の日本側期限と、現地のプロベート、税務申告、登記、債権者公告の期限を並べます。

第4段階

財産の凍結、保全、評価

金融機関への死亡通知、不動産管理、会社への影響、海外財産の残高証明・評価証明・納税証明、取引履歴の保全を確認します。

第5段階

提出先別の書類設計

日本の税務署、法務局、銀行、証券、保険会社、家庭裁判所、現地裁判所、現地銀行、現地登記所、現地税務署ごとに、翻訳、認証、原本、コピー、公証、アポスティーユの要否を確認します。

第6段階

税務と分割の同時設計

未分割申告、外国税額控除、国外財産評価、為替換算、現地譲渡税、将来の譲渡税への影響を確認します。

第7段階

合意、執行、登記、送金

分割を確定し、日本の相続登記、預金解約、証券移管、現地プロベート、現地登記、現地口座解約、外国送金規制、源泉税、為替リスク、修正申告や更正の請求を確認します。

注意同じ死亡証明書や遺産分割協議書でも、提出先により翻訳、認証、原本、コピー、公証、アポスティーユの要否が異なります。早い段階で提出先別の書類表を作ることが、再提出や期限漏れを防ぐ実務上の要点です。
Section 09

国際相続の専門家を選ぶ判断基準

相続に詳しいだけでなく、国際私法、現地連携、税務、書類認証を説明できるかを見ます。

次の比較表は、国際相続で専門家を選ぶときに確認したい質問を整理したものです。広告や肩書だけでは、複数国の法務、税務、書類、期限を統合できるか判断しにくいため重要です。各質問から、初回相談で相手の経験範囲と連携体制を確認すべきだと読み取ってください。

確認したい観点初回相談で見る質問
初期診断被相続人の国籍、住所、常居所、財産所在地を分けて整理できるか。
準拠法日本の通則法と現地国際私法の両方を確認する必要性を説明できるか。
期限管理日本の相続税申告期限と現地税務期限を同時に管理できるか。
税務評価海外財産の評価、為替換算、外国税額控除を扱えるか。
書類実務外国の死亡証明書、出生証明書、婚姻証明書、宣誓供述書を日本手続で使う経験があるか。
現地連携現地弁護士、現地税理士、現地公証人、翻訳者と連携できるか。
紛争対応争いがある場合に、交渉、調停、審判、訴訟の見通しを説明できるか。
特殊財産不動産、会社、信託、知財、保険、年金などに応じて別の専門家を紹介できるか。
依頼条件報酬、役割、責任範囲、依頼者との連絡方法を明確にできるか。

国際相続では、誰に最初に相談するかよりも、最初の相談先が必要な専門家を適切な順序で接続できるかが重要です。争い、遺言の有効性、相続放棄、使い込み疑い、日本不動産の登記、相続税、海外財産の有無によって必要な専門家は変わります。

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国際相続で避けたい6つの失敗

日本側と現地側のどちらか一方だけで進めると、書類、税務、期限、評価がずれやすくなります。

次の注意一覧は、国際相続でやってはいけない典型的な失敗を表しています。いずれも、一つの国の手続だけを見て判断すると起きやすいため重要です。各項目から、財産処分、申告、評価、認証、全体統括を早期に確認する必要があると読み取ってください。

日本の協議書だけで海外財産も動くと思い込む

相続人全員が合意していても、現地機関が現地法上の権限証明を求めることがあります。

現地の専門家だけに任せて日本の相続税を忘れる

現地のプロベートが終わっていなくても、日本の相続税申告期限は原則として進みます。

相続放棄の判断前に海外財産を処分する

財産の処分、引出し、売却、名義変更が単純承認と評価される可能性があります。

為替換算と評価時点を曖昧にする

外貨預金、外国株式、海外不動産、海外保険は、評価時点と為替相場が税額に影響します。

翻訳や認証を最後に回す

提出先がどの認証を要求するかを最初に確認しないと、数週間から数か月の遅延につながります。

誰が全体責任者かを決めない

各専門家が正しい仕事をしていても、全体を統合する人がいなければ、期限、評価、分割、税務、書類がずれます。

専門家を増やすこと自体が目的ではありません。国際相続では、適切な専門家を適切な順序で配置し、期限を守り、二重課税を抑え、財産を凍結から解放し、相続人間の納得可能性を高めることが目的です。

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国際相続で日本と現地の専門家に関するFAQ

日本法、現地手続、署名証明、外国税、評価、相談先を一般情報として整理します。

Q1. 日本人が亡くなった場合、海外財産も日本法だけで相続できますか。

一般的には、日本国籍者の相続では日本法が実体判断に関係しやすいとされています。ただし、海外財産を実際に移転するには、現地の登記、銀行、税務、裁判所、認証の手続が必要になる可能性があります。財産所在地、遺言、現地機関の要件によって結論は変わるため、具体的な対応は弁護士等の専門家と現地専門家へ相談する必要があります。

Q2. 外国籍の人が日本で亡くなった場合、日本法が適用されますか。

一般的には、日本で死亡したという事情だけで日本法だけが適用されるとは限らないとされています。日本の通則法では相続について被相続人の本国法が関係し、本国法が日本法を参照する反致なども問題になる可能性があります。国籍、住所、常居所、財産所在地、遺言の内容で判断が変わるため、具体的には日本側と現地側の専門家に確認する必要があります。

Q3. 海外在住の相続人が日本の遺産分割協議書に実印を押せない場合はどうしますか。

一般的には、在外公館の署名証明、現地公証人による署名認証、在留証明などを使うことがあります。ただし、提出先が銀行、法務局、税務署、裁判所のどれかによって、受理される形式が変わる可能性があります。個別の書類形式は提出先と専門家に確認し、翻訳や認証の要否を事前に整理する必要があります。

Q4. 海外の相続税を払ったら、日本の相続税は不要になりますか。

一般的には、海外で相続税や遺産税を支払っても、日本の相続税が当然に不要になるわけではないとされています。日本で納税義務がある場合は、日本でも申告と納税が必要になることがあります。外国税額控除を検討できる場合でも、対象税、限度額、証明書、為替換算、申告書記載が必要であり、具体的には税理士等へ相談する必要があります。

Q5. 海外不動産の価値は、現地の固定資産税評価でよいですか。

一般的には、現地の固定資産税評価だけで日本の相続税評価や遺産分割評価が決まるとは限らないとされています。日本の相続税評価、遺産分割上の評価、現地税務評価、売却見込価格は目的が異なります。鑑定評価、売買事例、現地評価制度、為替換算を含めて、税理士や不動産鑑定士等へ確認する必要があります。

Q6. 国際相続では最初に誰に相談すべきですか。

一般的には、争い、遺言の有効性、相続放棄、使い込み疑いがある場合は弁護士への相談が優先されやすく、日本不動産の登記が中心なら司法書士、相続税が発生しそうなら税理士も早期に関与することが多いとされています。ただし、財産の種類、紛争の有無、期限、現地手続によって必要な専門家は変わります。具体的には、初回相談時に現地専門家との連携経験も確認する必要があります。

Q7. 現地専門家は日本側専門家から紹介してもらうべきですか。

一般的には、国際相続に慣れた日本側専門家から紹介を受けると、情報共有や役割分担を整理しやすい場合があります。ただし、対象国、財産規模、紛争の有無、言語、報酬、利益相反の有無によって適切な選び方は変わります。具体的には、契約範囲と責任分担を明確にしてから依頼する必要があります。

Q8. 相続人全員が仲良くても専門家は必要ですか。

一般的には、相続人間に争いがなくても、現地銀行、税務署、登記所、裁判所が制度上の書類を求めることがあります。国際相続の難しさは家族関係の対立だけでなく、制度差、書類形式、期限、税務、認証の違いにもあります。財産の所在国や手続先によって必要性は変わるため、早い段階で専門家に確認することが重要です。

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国際相続は日本と現地の共同設計で進める

二国間の単純な分担ではなく、一つの案件として期限、税務、書類、執行を統合します。

次の重要ポイントは、国際相続で日本と現地の専門家を同時に置く目的を表しています。専門家を増やすこと自体ではなく、理論上の相続権と実際の財産移転をつなぐことが重要です。中央の結論から、法務、税務、登記、証拠、金融、裁判所手続を一つの工程として管理する必要があると読み取ってください。

日本側の判断と現地側の受理要件をつなぐ

日本側専門家は、日本の準拠法判断、日本国内財産、日本の相続税、戸籍、登記、家庭裁判所、金融機関実務を守ります。現地側専門家は、現地のプロベート、税務、登記、銀行、裁判所、公証、認証、送金、財産評価を担います。

読者が最初に整理したいのは、財産を国別、種類別、期限別に分け、相続人、遺言、税務、登記、現地手続を一枚の工程表に落とし込むことです。そのうえで、日本の弁護士、司法書士、税理士などの中核専門家と、現地の弁護士、税理士、公証人、不動産専門家を早期に接続します。

国際相続では、期限を守り、二重課税を抑え、財産の凍結を解き、相続人間の納得可能性を高めるために、適切な専門家を適切な順序で配置することが重要です。日本と現地の両方の専門家は競合関係ではなく、同じ案件を完成させるための共同設計者として位置づける必要があります。

Reference

参考資料

公的機関・中立的資料を中心に、制度確認に使う資料名を整理しています。

  • e-Gov法令検索「法の適用に関する通則法」第36条
  • 日本法令外国語訳データベース「法の適用に関する通則法」Article 36
  • 日本法令外国語訳データベース「遺言の方式の準拠法に関する法律」Article 2
  • 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
  • 国税庁タックスアンサー No.4205「相続税の申告と納税」
  • 国税庁タックスアンサー No.4138「相続人が外国に居住しているとき」
  • 国税庁タックスアンサー No.4665「外貨(現金)の邦貨換算」
  • 国税庁「外国税額控除の適用を受けられる方へ」
  • 裁判所「遺産分割調停」
  • 裁判所「相続の放棄の申述」
  • 外務省「証明(公印確認・アポスティーユ)・在外公館における証明」
  • 外務省「在外公館における証明」
  • European e-Justice Portal「Succession」
  • IRS「Estate tax for nonresidents not citizens of the United States」
  • GOV.UK「Applying for probate」
  • 裁判所「遺言執行者の選任」
  • 国税庁タックスアンサー No.4208「相続財産が分割されていないときの申告」
  • 国税庁タックスアンサー No.2022「納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」
  • 法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」