株主総会と取締役会で異なる議決権行使制限を、条文、判例、定足数、議事録、紛争対応まで実務目線で整理します。
株主総会と取締役会で異なる議決権行使制限を、条文、判例、定足数、議事録、紛争対応まで実務目線で整理します。
制度の出発点を整理します
このページは、企業法務に関わる弁護士、企業内弁護士、外部弁護士、商事法務担当、取締役会事務局、株主総会事務局、司法書士、公認会計士、税理士、コンプライアンス担当、内部監査担当、M&A・組織再編法務担当などの実務上の視点を横断的に統合し、「特別利害関係人の議決権行使制限」を専門的に解説する記事である。
対象読者は、会社法を専門にしていない経営者、法務担当者、管理部門担当者、士業関係者、研究者、コンサルタント、投資家、株主、取締役、監査役などを想定している。したがって、条文・判例・実務論点を扱う一方で、用語の意味もできる限り明確に説明する。
「特別利害関係人の議決権行使制限」という表現は、会社法上の複数の制度をまとめて説明する実務上・解説上の言い方である。会社法の条文では、主に次のような表現が使われる。
日常的には、これらをまとめて「特別利害関係人の議決権行使制限」と呼ぶことが多い。しかし、法的には次の二つを厳密に分ける必要がある。
この区別を誤ると、株主総会・取締役会の運営、議事録作成、登記、M&A、自己株式取得、役員報酬、利益相反取引、代表取締役の解職、少数株主対応などで重大なミスが生じる。
「特別利害関係人」とは、一般的には、ある議案について、会社や他の構成員とは異なる個人的・外部的・対立的な利害を有し、その議決権行使の公正性に疑義が生じ得る者をいう。
ただし、すべての「利害関係」が「特別の利害関係」になるわけではない。たとえば、株主は会社の利益配当、株価、経営支配、役員選任などについて当然に利害を持つ。これらは株主として通常有する利害であり、直ちに特別利害関係とはいえない。
実務では、次のような観点から判断する。
次の重要ポイント一覧は、制度理解の出発点を示します。会議体ごとに扱いが異なるため重要であり、議決排除、取消リスク、明文制限を分けて読み取ります。
会社法369条2項により、特別の利害関係を有する取締役は当該議案の議決に加わることができません。
特別利害関係株主を一律に事前排除する規定はなく、831条1項3号の取消リスクを確認します。
140条3項、160条4項、175条2項では、対象株主の議決権行使が制限されます。
株主総会と取締役会を混同しないことが重要です
「特別利害関係人の議決権行使制限」を理解するうえで最も重要なのは、株主総会と取締役会を混同しないことである。
2. 制度の全体像 ― 株主総会と取締役会は根本的に違うを比較表で整理します。この表は根拠、問題、対応の違いを一目で確認するために重要です。左から右へ読み、どの場面でどの対応を追加すべきかを確認してください。
| 会議体 | 原則 | 特別利害関係人の扱い | 主な根拠 |
|---|---|---|---|
| 株主総会 | 株主は自己の利益を考慮して議決権を行使できる | 一般的な事前排除はない。ただし、著しく不当な決議がされた場合は取消しの問題となる。個別条文による排除もある。 | 会社法831条1項3号、140条3項、160条4項、175条2項 |
| 取締役会 | 取締役は会社に対して忠実義務を負う | 特別の利害関係を有する取締役は議決に加わることができない | 会社法369条2項 |
この違いは、株主と取締役の法的性質の違いから生じる。
株主は出資者であり、株式会社の所有者的地位を有する。株主は自らの投資利益、経済的利益、経営方針に関する意見を踏まえて議決権を行使することが予定されている。株主の利害が対立する場合には、原則として多数決によって意思決定が行われる。
これに対し、取締役は会社の業務執行または業務執行の監督に関わる機関の構成員であり、会社に対して忠実義務を負う。取締役が会社の利益と自己の利益が衝突する議案について議決に加わると、会社のために忠実に判断することが期待しにくい。そこで、取締役会では特別の利害関係を有する取締役を議決から排除する仕組みが採用されている。
定足数、議長、議事録まで確認します
取締役会について、会社法369条2項は、特別の利害関係を有する取締役は議決に加わることができないと定める。これは、特別利害関係人の議決権行使制限の中核規定である。
この規定の実務上の意味は、単に「賛成・反対の票を入れてはいけない」というだけではない。特別利害関係を有する取締役は、原則として当該議案の議決に参加できず、議決権数の計算上も除外される。
会社法369条1項は、取締役会決議について「議決に加わることができる取締役」の過半数が出席し、その過半数で決議すると定める。したがって、特別利害関係を有する取締役がいる場合、定足数・可決要件の分母は、その取締役を除いた取締役数を基礎に計算される。
取締役会で特別利害関係が問題となる典型例は、次のとおりである。
3. 取締役会における特別利害関係人の議決権行使制限を比較表で整理します。この表は根拠、問題、対応の違いを一目で確認するために重要です。左から右へ読み、どの場面でどの対応を追加すべきかを確認してください。
| 場面 | 特別利害関係が問題となる理由 |
|---|---|
| 取締役と会社との直接取引の承認 | 取締役が取引相手方となり、会社の利益と自己の利益が衝突する |
| 会社が取締役の債務を保証する場合 | 取締役の経済的利益と会社のリスクが対立する |
| 取締役が代表者である別会社との取引 | 取締役が相手方会社側の利益を代表している可能性がある |
| 代表取締役の解職 | 当該代表取締役の地位・権限・名誉・報酬等に直接影響する |
| 取締役の責任免除・責任限定 | 当該取締役の法的責任が軽減される |
| 役員報酬・退職慰労金の個別決定 | 当該取締役が具体的経済利益を受ける |
| M&A・組織再編で取締役が買主側・売主側に関与する場合 | 経済的利益、地位、インセンティブが会社利益とずれる可能性がある |
特に、会社法356条1項の競業取引・利益相反取引について、取締役会設置会社では会社法365条により取締役会の承認が必要となる。このような利益相反取引の承認議案では、当該取引に関係する取締役が特別利害関係取締役に該当することが多い。
代表取締役を取締役会で解職する場合、当該代表取締役は特別の利害関係を有する取締役に該当すると理解されている。
最高裁昭和44年3月28日判決は、代表取締役の解職を決議する取締役会において、当該代表取締役は特別の利害関係を有する者に当たると判示した。代表取締役は会社業務の執行・支配に大きな影響力を持つため、本人の意思に反して解職を議論する場面では、会社に対する忠実な職務遂行として公正に議決権を行使することを期待しがたい、という考え方が示されている。
この判例は、特別利害関係の判断基準を理解するうえで極めて重要である。特別利害関係は、単に金銭的利益の有無だけでなく、地位、権限、支配、責任、名誉、将来の会社運営への影響も含めて判断される。
特別利害関係取締役は、当該議案について「議決に加わることができる取締役」ではない。そのため、取締役会決議の定足数を計算する際には、原則として分母から除外される。
たとえば、取締役5名の会社で、1名が特別利害関係取締役である場合、当該議案について議決に加わることができる取締役は4名である。会社法上の原則的な定足数は、その過半数、すなわち3名である。3名が出席し、その過半数である2名が賛成すれば、通常は可決される。
ただし、定款や取締役会規程でより厳格な要件を定めている場合がある。また、上場会社、金融機関、ファンド投資先、M&A局面、親子会社間取引などでは、法的最低限を満たすだけでは十分でない場合がある。独立社外取締役の関与、特別委員会、第三者評価、少数株主保護措置などを併用すべきことが多い。
特別利害関係取締役が当該議案の議長を務めることは、実務上強く避けるべきである。
議長は、議事進行、発言整理、採決方法、議事録確認などに影響を与える。形式的に投票していなくても、議長として議事をコントロールすれば、議決に実質的に関与したと評価されるおそれがある。したがって、特別利害関係がある議案では、別の取締役を臨時議長とするのが安全である。
ただし、利益相反取引の承認などでは、当該取締役から取引の重要事実について説明を受ける必要がある場合もある。その場合でも、説明終了後は退席させ、審議・採決には加わらせない運用が望ましい。
会社法施行規則101条は、取締役会議事録の記載事項として、決議事項について特別の利害関係を有する取締役があるときは、その取締役の氏名を記載することを求めている。
実務上は、単に氏名を書くのではなく、次のような事項を記載しておくことが望ましい。
議事録記載例
特別利害関係取締役が議決に参加した場合、取締役会決議の効力が問題となる。原則として、会社法369条2項に反するため、決議の瑕疵となる。
もっとも、最高裁平成28年1月22日判決は、特別利害関係を有する理事が議決に参加した場合でも、その議決権行使によって議決結果に変動がないときは、決議の効力を否定しないとの考え方を示している。この考え方は、取締役会の特別利害関係取締役の問題にも重要な示唆を与える。
したがって、実務では次のように整理できる。
3. 取締役会における特別利害関係人の議決権行使制限を比較表で整理します。この表は根拠、問題、対応の違いを一目で確認するために重要です。左から右へ読み、どの場面でどの対応を追加すべきかを確認してください。
| 状況 | 効力リスク |
|---|---|
| 特別利害関係取締役を除外しても定足数・可決要件を満たす | 決議の効力が維持される余地がある |
| 特別利害関係取締役の票がなければ可決しない | 決議無効・不存在等の重大リスク |
| 特別利害関係取締役が議長として議事を主導した | 形式的な票数以上に公正性が問題となる |
| 議事録に特別利害関係の処理が残っていない | 後日の立証リスクが高い |
ただし、「結果に影響がないから参加させてもよい」と考えるべきではない。これはあくまで事後的な効力判断の問題であり、実務運営としては、事前に特別利害関係を特定し、当該取締役を審議・採決から除外することが原則である。
個別条文による事前制限を確認します
株主総会では一般的な特別利害関係株主の議決権排除はないが、会社法は特定の場面で明文上、議決権行使を制限している。ここを見落とすと、決議の成否、登記、取引実行に重大な影響が出る。
譲渡制限株式について、譲渡承認請求がなされたが会社が承認しない場合、会社がその株式を買い取る旨の決定をする場面がある。この場合、会社法140条3項は、譲渡等承認請求者は、当該株主総会の決議について議決権を行使できないと定める。ただし、他の株主の全部が議決権を行使できない場合は例外とされる。
この規定は、中小企業・同族会社・閉鎖会社で非常に重要である。株式の譲渡をめぐる紛争、事業承継、株主間対立、少数株主の退出、相続後の株式整理などで頻繁に問題となる。
株式会社が特定の株主から自己株式を取得する場合、会社法156条1項の決議に加えて、会社法160条の手続が問題となる。この場面で、取得の相手方となる特定の株主は、会社法160条4項により、原則として当該株主総会の議決権を行使できない。
これは、特定株主が自己株式取得の相手方として会社から対価を受け取るため、他の株主とは異なる直接の経済的利益を持つからである。
実務上は、次の点に注意する。
定款に定めがある場合、会社は相続その他の一般承継によって譲渡制限株式を取得した者に対し、その株式を会社に売り渡すよう請求できる。この売渡請求をするかどうかの決定において、会社法175条2項は、対象となる相続人等について議決権行使を制限している。
同族会社・オーナー企業・事業承継会社では、この制度が非常に重要である。創業家株式、相続株式、分散株式、敵対的相続人、事業に関与しない相続人の退出などの場面で利用されることがある。
もっとも、売渡請求は株主の地位を奪う強い制度であるため、定款規定、手続、価格、通知、期限、議事録、少数株主対応を慎重に確認する必要がある。
個別条文で「議決権を行使することができない」と定められている場合は、当該株主の議決権を最初から除外して決議を行う必要がある。
これに対し、会社法831条1項3号は、特別利害関係人が議決権を行使したことにより著しく不当な決議がされた場合に、事後的に決議取消しを認める規定である。
両者を整理すると、次のようになる。
5. 株主総会における明文上の議決権行使制限を比較表で整理します。この表は根拠、問題、対応の違いを一目で確認するために重要です。左から右へ読み、どの場面でどの対応を追加すべきかを確認してください。
| 類型 | 議決権行使 | 効力問題 | 代表例 |
|---|---|---|---|
| 明文上の議決権行使禁止 | 事前に行使不可 | 行使されれば決議手続・成否に重大な瑕疵 | 140条3項、160条4項、175条2項 |
| 831条1項3号 | 原則として事前排除ではない | 特別利害関係人の行使により著しく不当な決議がされた場合に取消し | 支配株主・利益相反株主による不公正決議など |
場面別に確認順序を分けます
取締役が会社と取引をする場合、会社法356条・365条の利益相反取引規制が問題となる。取締役会設置会社では、取締役会の承認が必要となる。
この場合、当該取締役は通常、特別利害関係取締役として議決に加わることができない。会社法上の承認を得たとしても、取引条件が不公正であれば、取締役の責任、株主代表訴訟、利益供与、会計・税務上の問題が生じ得る。
実務チェックポイント
代表取締役の解職は、会社の支配構造を変える重大な議案である。対象となる代表取締役は、取締役会において特別利害関係を有するため、当該解職決議には加われない。
実務では、次の事項を慎重に確認する。
司法書士の観点では、代表取締役の変更登記に必要な議事録、就任承諾書、印鑑証明書、本人確認証明書、株主リスト等の要否を確認する必要がある。弁護士の観点では、解職決議の瑕疵、仮処分、損害賠償、名誉毀損、労務上の地位、支配権争いへの波及を検討する必要がある。
役員報酬・退職慰労金では、株主総会決議と取締役会・取締役間の配分決定が組み合わさることが多い。
株主総会で報酬総額を決める場合、役員でもある株主が議決権を行使できるかが問題となることがある。しかし、株主総会では一般的な事前排除はないため、直ちに議決権を失うわけではない。もっとも、特定役員に不当に高額な報酬・退職慰労金を支給する決議であれば、831条1項3号の取消リスクや取締役の責任が問題となる。
一方、取締役会で個別配分を決める場合、具体的な報酬を受ける取締役が特別利害関係を有するかを検討する必要がある。とくに、個別金額、退職慰労金、特別功労金、インセンティブ報酬、ストックオプションなどでは慎重な判断が必要である。
自己株式取得では、すべての株主から比例的に取得する場合と、特定の株主から取得する場合で、法的リスクが大きく異なる。
特定の株主から自己株式を取得する場合、会社法160条4項により、その特定株主は原則として当該株主総会で議決権を行使できない。ここを誤ると、自己株式取得の有効性、会計処理、税務処理、株主間紛争、取締役責任に直結する。
M&A、株式交換、株式移転、合併、会社分割、事業譲渡、スクイーズアウト、MBO、親子会社間取引では、支配株主、経営者、買主、売主、対象会社取締役の利害が複雑に交錯する。
株主総会で支配株主が議決権を行使すること自体が常に禁止されるわけではない。しかし、支配株主が自己に有利な条件で少数株主を不利益に扱う場合、決議取消し、差止め、価格決定、取締役責任、開示責任、金融商品取引法上の責任などが問題となる。
この領域では、法令上の最低限に加えて、次のような公正性確保措置が重要である。
特別利害関係人の議決権行使制限は、大企業だけでなく、中小企業・同族会社でこそ深刻な問題になりやすい。
同族会社では、株主、取締役、従業員、親族、取引先、保証人、債権者の立場が重なりやすい。たとえば、兄弟間の経営権争い、相続株式の処理、親族役員の報酬、会社不動産の売却、特定株主からの自己株式取得、代表取締役の解職などでは、誰がどの立場で議決に参加できるのかが複雑になる。
この場合、次のような手順で整理する。
専門職ごとの視点を整理します
弁護士は、特別利害関係人の議決権行使制限について、条文適用、判例、決議効力、訴訟リスク、仮処分、取締役責任、株主代表訴訟、M&A公正性を総合的に判断する。
特に重要なのは、単に「議決権を行使できるか」だけでなく、次の点を同時に検討することである。
商事法務担当は、実際の会議運営を担うため、特別利害関係人の議決権行使制限を手続に落とし込む必要がある。
実務上は、議案管理表に次の項目を設けるとよい。
7. 専門職別に見た実務上の注意点を比較表で整理します。この表は根拠、問題、対応の違いを一目で確認するために重要です。左から右へ読み、どの場面でどの対応を追加すべきかを確認してください。
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 議案名 | どの議案か |
| 会議体 | 株主総会か取締役会か |
| 関係者 | 株主・取締役・親族・関連会社 |
| 特別利害関係の有無 | あり・なし・要検討 |
| 明文上の制限 | 140条、160条、175条など |
| 除外対象者 | 誰を除外するか |
| 定足数計算 | 分母と出席数 |
| 議長 | 利害関係のない者か |
| 議事録記載 | 氏名・理由・退席・賛否 |
| 証拠資料 | 算定書、説明資料、同意書等 |
司法書士は、代表取締役変更、役員変更、自己株式取得、株式併合、組織再編などの登記場面で、決議の形式的適法性を確認する。
特別利害関係人の処理が議事録に明確でない場合、登記手続そのものが進まない、または後日決議の有効性が争われるリスクがある。特に、代表取締役の解職・選定、取締役の選任・解任、種類株式、相続人等への売渡請求、株式譲渡承認、自己株式取得では注意が必要である。
公認会計士・税理士は、取引価格、自己株式取得価格、役員報酬、退職慰労金、組織再編、関連当事者取引、会計処理、税務処理を確認する。
特別利害関係人が関与する取引は、法的手続だけでなく、会計・税務上も問題になりやすい。たとえば、不当に高額な対価は、役員給与、寄附金、みなし配当、受贈益、移転価格、関連当事者注記などの論点を生じさせる。
コンプライアンス担当・内部監査担当は、特別利害関係人の議決権行使制限を、利益相反管理、内部統制、決裁権限、関連当事者取引管理、反社・贈収賄・不正防止の観点から確認する。
取締役会や株主総会の決議が形式的に成立していても、利益相反管理が不十分であれば、内部統制上の重大な不備となり得る。上場会社では、コーポレートガバナンス報告書、内部統制報告制度、監査法人対応、証券取引所対応にも影響する。
経営者や取締役にとって、特別利害関係人の議決権行使制限は、単なる法務部門の形式的チェックではない。会社の意思決定が公正であることを示すためのガバナンス手段である。
社外取締役や監査役は、次の点を確認すべきである。
取締役会、株主総会、M&Aを分けて確認します
取締役会で特別利害関係人の議決権行使制限を検討する場合、次のチェックリストを用いる。
株主総会で特別利害関係人の議決権行使制限を検討する場合、次のチェックリストを用いる。
M&Aや支配株主取引では、通常の会議運営チェックに加えて、次の事項を確認する。
よくある誤解を正します
一般的には、これは誤りである。現行会社法では、株主総会一般について、特別利害関係株主を一律に事前排除する規定はない。会社法831条1項3号は、一定の場合に決議取消しを認める事後的救済の規定である。 ただし、会社の機関設計、議案内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
ただし、会社法140条3項、160条4項、175条2項のような個別規定がある場合は、当該株主の議決権行使が明文で制限される。
一般的には、これも誤りである。特別利害関係取締役が存在すること自体が問題なのではなく、その取締役を適切に議決から除外したかが問題である。 ただし、会社の機関設計、議案内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、適切に除外し、残りの取締役で定足数・可決要件を満たせば、決議は成立し得る。 ただし、会社の機関設計、議案内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、これも危険な理解である。特別利害関係取締役は議決に加わることができない。仮に事後的に「その票を除いても結果は同じ」と評価される場合でも、手続違反がないわけではない。議事録、説明、退席、議長交代などを含め、事前に適切な手続を取るべきである。 ただし、会社の機関設計、議案内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、特別利害関係取締役がいる議案で「全員一致」とだけ記載すると、誰が議決に加わったのか不明確になる。後日、当該取締役も議決に参加したと疑われるリスクがある。 ただし、会社の機関設計、議案内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、議事録には、特別利害関係取締役の氏名、理由、審議・採決に参加しなかったこと、議決に加わることができる取締役数、賛否を明記すべきである。 ただし、会社の機関設計、議案内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、定款や株主間契約によって一定の手続的ルールを置くことはあり得るが、会社法上の議決権、株主平等原則、強行法規、決議要件との関係を慎重に検討する必要がある。 ただし、会社の機関設計、議案内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、特に、特定株主を恣意的に排除するような定款・合意は、無効・取消し・損害賠償・支配権紛争の原因となり得る。株主間契約上の議決権拘束と会社法上の決議効力も区別して考える必要がある。 ただし、会社の機関設計、議案内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般情報型で整理します
一般的には、同じではない。特別利害関係人とは、特定の議案について特別の利害関係を有する者を指す実務上の概念である。これに対し、特別支配株主は、会社法上のキャッシュアウト制度などで用いられる別個の法概念である。 ただし、会社の機関設計、議案内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、原則として、直ちに議決権を失うわけではない。株主総会では、特別利害関係株主を一般的に事前排除する制度はない。ただし、個別条文で議決権行使が禁止される場合があり、また、その議決権行使によって著しく不当な決議がされた場合には決議取消しが問題となる。 ただし、会社の機関設計、議案内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、通常はできない。当該取締役は特別利害関係取締役に該当し、会社法369条2項により議決に加わることができない。必要な事実説明を行うことはあり得るが、審議・採決からは除外するのが原則である。 ただし、会社の機関設計、議案内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、当該議案については、原則として入らない。会社法369条1項は「議決に加わることができる取締役」を基準にしているため、特別利害関係取締役は定足数計算の分母から除外される。 ただし、会社の機関設計、議案内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、可能な場合がある。利益相反取引などでは、当該取締役から取引内容や重要事実の説明を受ける必要があることがある。ただし、説明後は退席させ、審議・採決には参加させない運用が望ましい。議事録にもその経過を記載する。 ただし、会社の機関設計、議案内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、株主総会については、会社法831条1項3号が「特別利害関係人が議決権を行使したことによって」著しく不当な決議がされたことを要件としている。したがって、その票を除いても同じ結論であった場合、取消しは認められにくい。ただし、議事運営、情報開示、強圧性など他の取消事由が問題となる可能性はある。 ただし、会社の機関設計、議案内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、対象となる代表取締役は、解職決議について特別の利害関係を有する取締役に該当するため、議決に加わることはできない。実務上は、議長を交代し、本人を審議・採決から除外し、議事録に明確に記載する。 ただし、会社の機関設計、議案内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、登記実務では、議事録上、決議の成立が確認できるかが重要である。特別利害関係取締役が除外されているか、定足数・可決要件を満たすか、議事録に必要事項が記載されているかを確認する。登記が受理されたとしても、決議の実体的有効性が保証されるわけではない。 ただし、会社の機関設計、議案内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、決議の日から3か月以内である。この期間を過ぎると、原則として同号に基づく取消訴訟は提起できない。紛争が予想される場合は、早期に資料を収集し、専門家に相談する必要がある。 ただし、会社の機関設計、議案内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、最初に確認すべきことは、会議体が株主総会なのか取締役会なのかである。取締役会であれば会社法369条2項による議決参加禁止が中心となる。株主総会であれば、まず明文上の議決権行使制限の有無を確認し、明文規定がない場合は会社法831条1項3号の決議取消リスクを検討する。 ただし、会社の機関設計、議案内容、証拠関係、時期によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
会議体を起点に検討します
実務では、次の手順で整理するとミスを減らせる。
1. どの会議体か
├─ 取締役会
│ ├─ 議案について特別利害関係取締役がいるか
│ ├─ いる場合、その取締役を審議・採決から除外
│ ├─ 定足数・可決要件を再計算
│ ├─ 議長・議事録・証拠化を確認
│ └─ 決議後の取引実行・報告・登記を確認
│
└─ 株主総会
├─ 個別条文で議決権行使禁止があるか
│ ├─ ある ― 当該株主の議決権を除外して決議
│ └─ ない ― 原則として議決権行使は可能
├─ 831条1項3号の取消リスクを検討
├─ 特別利害関係人の票を除いても可決するか確認
├─ 著しく不当な決議と評価されるリスクを検討
└─ 公正性確保措置・情報開示・証拠化を実施
次の判断の流れは、取締役会と株主総会で確認順序が分かれることを示しています。順番に意味があるため重要であり、会議体、制限の有無、定足数、取消リスク、証拠化を読み取ります。
取締役会か株主総会かを最初に分けます。
いる場合は審議・採決から除外し、定足数と可決要件を再計算します。
個別条文があれば当該株主を除外し、なければ取消リスクを検討します。
議長、議事録、説明資料、採決結果、価格資料、登記・税務・会計への影響を残します。
議事録・社内メモに残す事項を確認します
取締役会議事録では、次のような記載が有用である。
第○号議案 株式会社Xとの業務委託契約締結承認の件
議長は、当社取締役Aが株式会社Xの代表取締役を兼務しており、本議案について特別の利害関係を有するため、会社法369条2項に基づき、本議案の審議および決議に参加しない旨を説明した。
取締役Aは、本契約の概要および取引条件に関する事実説明を行った後、退席した。
その後、議決に加わることができる取締役4名中3名が出席して審議を行い、出席取締役3名全員の賛成により、本議案は原案どおり可決された。
株主総会では、明文上の議決権行使制限があるかどうかにより記載が変わる。
明文上の制限がある場合の例
第○号議案 特定株主Bからの自己株式取得の件
議長は、本議案が会社法160条に基づき特定の株主Bから自己株式を取得する議案であり、同条4項により株主Bは本議案について議決権を行使することができない旨を説明した。
議長は、株主Bの議決権を除外して議決権数を確認したうえで採決を行い、法定の要件を満たす賛成を得たため、本議案は原案どおり可決された。
明文上の制限がないが特別利害関係が争点となり得る場合の例
第○号議案 事業譲渡承認の件
議長は、本議案に関し、一部株主から、株主Cが譲受会社の親会社株主であるため特別の利害関係を有するのではないかとの質問を受けた。
これに対し、議長は、本議案について会社法上当然に株主Cの議決権行使を排除する明文規定はないこと、取引条件について第三者算定機関の評価を取得していること、取締役会では利害関係を有する取締役を除外して審議・決議したことを説明した。
その後、質疑を経て採決を行い、所定の賛成を得たため、本議案は原案どおり可決された。
紛争時の争点と証拠を確認します
特別利害関係人の議決権行使制限をめぐる紛争では、次の争点が中心となる。
株主総会決議取消訴訟では、原告側は次の点を主張立証することになる。
会社側は、次のように反論することが多い。
取締役会決議については、株主総会決議取消訴訟のような定型的な取消訴訟制度ではなく、決議の無効・不存在、取引の有効性、取締役責任、仮処分などの形で争われることが多い。
争点は次のとおりである。
紛争では、次の証拠が重要となる。
形式的適法性と実質的公正性を確認します
特別利害関係人の議決権行使制限では、形式的適法性と実質的公正性の双方が重要である。
形式的適法性とは、条文上の手続を満たしているかという問題である。たとえば、特別利害関係取締役を取締役会の議決から除外したか、明文上議決権を行使できない株主を除外したか、定足数・可決要件を満たしたかがこれに当たる。
実質的公正性とは、決議内容や取引条件が会社・株主にとって合理的かという問題である。たとえば、取引価格が公正か、支配株主が少数株主を搾取していないか、役員報酬が過大でないか、経営者が自己保身のために意思決定していないかがこれに当たる。
法務実務では、形式的適法性だけを満たしても不十分な場合がある。特に、支配株主取引、MBO、関連当事者取引、同族会社紛争では、実質的公正性の説明可能性が紛争予防の鍵となる。
特別利害関係人の議決権行使制限は、会社法だけで完結しない。
したがって、重要案件では、弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、社内法務、経理、経営企画、監査役、社外取締役が早期に連携することが望ましい。
会社は、特別利害関係人の議決権行使制限に関する社内規程を整備しておくべきである。
候補となる規程・運用は次のとおりである。
規程には、少なくとも次の事項を定めるとよい。
公正で説明可能な意思決定を目指します
「特別利害関係人の議決権行使制限」は、企業法務の中でも、会社法、コーポレートガバナンス、利益相反管理、株主総会実務、取締役会実務、M&A、同族会社紛争、登記、会計税務が交差する高度な論点である。
このページの要点は次のとおりである。
結局のところ、特別利害関係人の議決権行使制限の本質は、単に「誰が投票できるか」という形式的問題にとどまらない。会社の意思決定が、利害関係者によって私物化されず、会社と株主全体に対して公正で説明可能なものになっているかを検証する制度である。
次の強調表示は、制度の本質を一文で確認するものです。最終判断の前に立ち戻る軸として重要であり、形式だけでなく意思決定の公正性を読み取ります。
特別利害関係人の議決権行使制限は、単に誰が投票できるかという形式的問題にとどまりません。会社の意思決定が、利害関係者によって私物化されず、会社と株主全体に対して公正で説明可能なものになっているかを検証する制度です。