2σ Guide

元交際相手からの
つきまとい行為を法的にやめさせる方法

待ち伏せ、監視、大量連絡、復縁要求、GPS等による位置情報取得に対し、安全確保から警察・裁判所・弁護士相談までの流れを一般情報として整理します。

5つ中心ルート
#9110警察相談
3段階行動計画
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元交際相手からの つきまとい行為を法的にやめさせる方法

主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。

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元交際相手からの つきまとい行為を法的にやめさせる方法
主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 元交際相手からの つきまとい行為を法的にやめさせる方法
  • 主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。

POINT 1

  • 2. 「つきまとい」は法律上どこから問題になるのか
  • 主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。
  • 2.1 ストーカー規制法の対象は「恋愛感情等」だけではなく、満たされなかったことへの怨恨も含む
  • 2.2 典型的な「つきまとい等」
  • 2.3 GPS・スマートフォン・紛失防止タグによる位置情報取得も重要な論点

POINT 2

  • 3. 最初に行うべきこと ― 安全確保と証拠保全
  • 主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。
  • 3.1 安全確保は「法的措置の前提」である
  • 3.2 証拠は「点」ではなく「時系列」で残す
  • 3.3 証拠化の実務ポイント

POINT 3

  • 4. 警察を使った法的対応 ― 警告、禁止命令、刑事手続
  • 主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。
  • 4.1 警察相談は「被害が深刻になってから」では遅い
  • 4.2 警告とは何か
  • 4.3 禁止命令等とは何か

POINT 4

  • 5. 裁判所を使う方法1 ― DV防止法上の保護命令
  • 主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。
  • 5.1 保護命令は「元交際相手」でも使える場合がある
  • 5.2 保護命令で命じられる内容
  • 5.3 保護命令の申立要件

POINT 5

  • 6. 裁判所を使う方法2 ― 民事保全による接触禁止・面談禁止の仮処分
  • 主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。
  • 6.1 DV保護命令の対象外でも、民事保全を検討できる場合がある
  • 6.2 民事保全で問題となる要件
  • 6.3 どのような命令を求めるか

POINT 6

  • 7. 弁護士に依頼して「やめるよう通知する」方法
  • 主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。
  • 7.1 弁護士通知の役割
  • 7.2 内容証明郵便の意味と限界
  • 7.3 弁護士通知に記載する事項

POINT 7

  • 8. 住所・勤務先・学校を守る ― 情報流出対策と支援措置
  • 主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。
  • 8.1 住民票・戸籍附票の閲覧・交付制限
  • 8.2 共通の知人・家族・職場からの情報流出を防ぐ
  • 8.3 職場・学校との連携

POINT 8

  • 9. 損害賠償請求と費用回収
  • 主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。
  • 9.1 つきまといによる損害
  • 9.2 損害賠償の証拠
  • 元交際相手のつきまといにより、被害者には次のような損害が生じることがあります。

まとめ

  • 元交際相手からの つきまとい行為を法的にやめさせる方法
  • 2. 「つきまとい」は法律上どこから問題になるのか:主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。
  • 3. 最初に行うべきこと ― 安全確保と証拠保全:主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。
  • 4. 警察を使った法的対応 ― 警告、禁止命令、刑事手続:主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

0. このページの位置づけと安全上の注意

主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。

次の一覧は、元交際相手のつきまとい対応で最初に把握したい制度と行動を整理したものです。安全を守るには一つの手段だけでは足りないため重要で、読者は警察、裁判所、弁護士、生活情報保護を組み合わせる視点を読み取ってください。

警察

相談・警告・禁止命令

待ち伏せ、大量連絡、監視告知、GPS等がある場合、警察相談や警告、禁止命令、刑事手続の可否を確認します。

裁判所

保護命令・仮処分

同居歴や暴力等がある場合は保護命令、対象外でも権利侵害や急迫の危険がある場合は民事保全を検討します。

弁護士

通知・窓口一本化

接触拒否、禁止事項、違反時の対応を文書化し、本人が直接対応しないための窓口を作ります。

生活

住所・勤務先を守る

住民票等の支援措置、共通の知人への注意喚起、職場・学校との連携で生活情報の流出を防ぎます。

次の判断の流れは、危険を下げてから制度を選ぶ順番を示しています。順番を誤ると本人対応が相手を刺激したり、重要な証拠を失ったりするため重要で、上から下へ安全確保、記録、第三者機関の介入へ進むことを読み取ってください。

基本の行動順序

危険を下げる

110番、避難、位置情報共有の停止、家族や職場への共有を優先します。

証拠を残す

着信履歴、メッセージ、写真、録音、診断書、相談記録を時系列で保存します。

制度を選ぶ

警察相談、警告、禁止命令、保護命令、仮処分、弁護士通知を状況に合わせて検討します。

生活情報を守る

住民票等の支援措置、勤務先・学校との連携、共通の知人への情報提供防止を進めます。

このページは、元交際相手からのつきまとい行為を法的にやめさせる方法について、ストーカー規制法、DV防止法上の保護命令、民事保全、弁護士による通知・交渉、損害賠償、住民票等の支援措置を横断して整理するものです。

ただし、つきまとい・待ち伏せ・監視・大量連絡・復縁要求・GPS等による位置情報取得は、単なる「恋愛トラブル」ではなく、生命・身体・自由・名誉・生活の平穏に関わる問題です。いま目の前に危険がある場合、記事を読み進めるより先に、次の行動を優先してください。

  • 相手が自宅・職場・学校の近くにいる、追われている、暴力や侵入のおそれがある場合は、110番へ通報する。
  • 緊急ではないが警察に相談したい場合は、最寄りの警察署又は警察相談専用電話 #9110 を利用する。
  • できる限り一人で対応せず、家族、信頼できる友人、職場・学校の担当部署、支援機関、弁護士等に早期に共有する。

このページは一般的な情報提供であり、個別事件における最適な対応は、地域、被害状況、相手方の危険性、証拠の有無、同居歴、暴力・脅迫の有無によって変わります。実際に行動する際は、警察、配偶者暴力相談支援センター、法テラス、弁護士等の専門窓口に相談してください。

Section 01

1. 結論 ― 法的にやめさせるための中心ルートは5つある

主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。

元交際相手のつきまといを法的に止める方法は、単一ではありません。現実には、以下の複数の制度を組み合わせます。

次の比較表は、1. 結論 ― 法的にやめさせるための中心ルートは5つあるに関係する項目を整理したものです。項目同士の違いや順番を見失わないことが重要で、読者は列ごとの違いと自分の状況に近い行を確認してください。

ルート主体目的典型的に使う場面強み限界
警察への相談・警告警察署長等行為者に「これ以上するな」と警告する復縁要求、待ち伏せ、大量連絡、監視告知などが始まっている早期対応しやすい相手が警告を無視する場合がある
禁止命令等都道府県公安委員会等反復行為を行政命令として禁止する警告後も続く、又は反復のおそれが強い違反時の刑事罰につながる要件・事実認定が必要
刑事手続警察・検察ストーカー行為等を犯罪として捜査・処罰する反復したつきまとい、禁止命令違反、暴行・脅迫等抑止力が大きい被害者負担・報復不安への配慮が必要
保護命令地方裁判所DV防止法に基づき接近・電話等を禁止する生活の本拠を共にした交際相手から暴力等を受け、解消後も危険が続く裁判所命令で、違反に刑事罰がある交際していただけでは対象外となる場合がある
民事上の仮処分・訴訟地方裁判所等面談禁止、接触禁止、損害賠償等を求めるDV保護命令の要件を満たさないが、権利侵害・危険がある個別事情に応じた設計が可能証拠・保全の必要性・担保等が問題になる

実務的には、「安全確保 → 証拠保全 → 警察相談 → 必要に応じて弁護士・裁判所手続」という順序が基本です。特に、元交際相手が怒りや執着を強めている場合、本人が直接交渉したり、二人きりで会ったりすることは危険を高めることがあります。交渉よりも、安全な距離の確保と第三者機関の介入を優先します。

Section 02

2. 「つきまとい」は法律上どこから問題になるのか

主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。

2.1 ストーカー規制法の対象は「恋愛感情等」だけではなく、満たされなかったことへの怨恨も含む

ストーカー規制法は、個人の身体、自由、名誉に対する危害の発生を防ぎ、生活の安全と平穏を守るための法律です。警視庁の解説では、同法は「つきまとい等又は位置情報無承諾取得等」を繰り返すストーカー行為者に警告を与えたり、悪質な場合に逮捕することで被害者を守る法律と説明されています。

元交際相手との関係で重要なのは、規制対象が単なる好意だけではない点です。法は、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情、又はそれが満たされなかったことへの怨恨の感情を充足する目的で行われる行為を対象にしています。別れた後の復縁要求、拒絶後の怒り、交際終了への恨み、相手の新しい交際への嫉妬などが背景にある場合、ストーカー規制法上の検討対象になり得ます。

2.2 典型的な「つきまとい等」

ストーカー規制法上問題となる行為は、昔ながらの尾行・待ち伏せに限られません。代表例は次のとおりです。

つきまとい・待ち伏せ・押しかけ・うろつき

通勤途中で待ち伏せする、進路に立ちふさがる、自宅・職場・学校付近で見張る、押しかける、付近をみだりにうろつく行為などです。警視庁は、これらをストーカー規制法第2条第1項第1号の例として説明しています。

監視していると告げる行為

「今日、誰といたのか知っている」「いま帰宅しただろう」「いつも見ている」など、監視していると思わせる内容を電話、メール、SNS、掲示板等で伝える行為です。実際に監視していたかどうかだけでなく、相手に監視されていると思わせる点が重要です。

面会・交際・復縁など義務のないことの要求

「会え」「話し合え」「復縁しろ」「プレゼントを受け取れ」など、相手に義務のない行為を要求することも含まれます。元交際相手によるしつこい復縁要求は、典型的な相談類型です。

著しく粗野又は乱暴な言動

怒鳴る、粗暴なメッセージを送る、家の前で大きな音を立てるなどです。相手が「直接手を出していない」と主張しても、粗野又は乱暴な言動自体が対象になり得ます。

無言電話、拒否後の連続電話・メール・SNS・文書送付

拒否したにもかかわらず、何度も電話、メール、SNSメッセージ、文書等を送る行為です。警視庁は、日時・内容等を記録・保存することを勧めています。

汚物等の送付、名誉毀損的な告知、性的羞恥心を害する告知・画像送付

不快物の送付、中傷する内容の送信、わいせつ画像の送付、卑わいな言葉を告げる行為などです。性的画像の拡散や拡散予告は、ストーカー規制法だけでなく、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律、名誉・プライバシー侵害、脅迫等の問題にもなり得ます。

2.3 GPS・スマートフォン・紛失防止タグによる位置情報取得も重要な論点

現代のつきまといでは、位置情報アプリ、スマートフォンの共有設定、車両へのGPS機器、カバンへの紛失防止タグなどが使われることがあります。

警視庁は、スマートフォン等を勝手に操作して位置情報を盗み見る行為、車両や所持品にGPS機器等を取り付けて位置情報を取得する行為を例示しています。また、令和7年12月30日から、紛失防止タグを用いた位置情報取得や、GPS機器等・紛失防止タグを取り付ける行為等に対する規制が施行されています。

したがって、車、バイク、自転車、バッグ、財布、鍵、衣類、スマートフォン周辺機器に不審な機器が見つかった場合は、捨てたり分解したりする前に、写真を撮り、触りすぎず、警察に相談します。機器そのものが重要な証拠になることがあります。

2.4 「反復」しているかどうか

同一の者に対して「つきまとい等又は位置情報無承諾取得等」を繰り返して行うことが、ストーカー規制法上の「ストーカー行為」とされます。警視庁は、同一の者に対してこれらを繰り返すことをストーカー行為と説明し、罰則を設けているとしています。

もっとも、「まだ1回しか起きていないから相談できない」と考える必要はありません。待ち伏せ、監視告知、脅迫的連絡、GPS発見などは、初期段階でも危険性を評価すべきです。警察への相談は、反復後に限られるものではありません。早期に相談し、相談記録を残すこと自体が、その後の警告、禁止命令、保護命令、仮処分の判断に役立つ場合があります。

Section 03

3. 最初に行うべきこと ― 安全確保と証拠保全

主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。

3.1 安全確保は「法的措置の前提」である

法的手続は重要ですが、裁判所や警察の判断には一定の時間を要することがあります。相手方がすでに近くにいる、暴力をほのめかしている、刃物・凶器・車両利用などの危険がある、住居に侵入しようとしている、勤務先で待ち伏せしている場合は、法律相談の予約よりも先に、110番通報と避難を優先します。

避難の際は、相手に居場所を伝えないこと、共通の知人に不用意に伝えないこと、位置情報共有を切ること、SNS投稿で現在地を出さないことが重要です。スマートフォンの位置情報、共有カレンダー、写真の位置情報、家族・友人向けの位置共有アプリ、車載アプリ、スマートウォッチ、紛失防止タグ通知なども確認します。

3.2 証拠は「点」ではなく「時系列」で残す

弁護士、警察、裁判所に説明する際、最も役立つのは、個別のスクリーンショットだけではなく、時系列で整理された記録です。

次のような形で記録します。

次の比較表は、3. 最初に行うべきこと ― 安全確保と証拠保全に関係する項目を整理したものです。項目同士の違いや順番を見失わないことが重要で、読者は列ごとの違いと自分の状況に近い行を確認してください。

記録項目
日時2026年4月20日 22時15分
場所自宅マンション前、勤務先出入口、駅改札付近
行為待ち伏せ、電話30件、SNSメッセージ、監視発言、GPS発見
内容「会わなければ職場に行く」など
証拠スクリーンショット、着信履歴、録音、写真、動画、配送物、目撃者
影響不眠、欠勤、通院、転居準備、職場への相談
対応警察相談、ブロック、弁護士相談、職場警備への連絡

警視庁も、連続した電話・メール等について日時・内容等の記録・保存を勧めています。送付物については届いた時間と内容をメモし、開封前後の写真を残して警察へ相談することが重要です。

3.3 証拠化の実務ポイント

証拠は、後から第三者が見ても分かるように保存します。

  • スクリーンショットには、送信者名、アカウントID、日時、文面、URL、スレッドの前後関係が分かるようにする。
  • 着信履歴は、全体の件数が分かる画面と、個別詳細の画面を残す。
  • SNSは、相手方が削除する前に、投稿URL、プロフィール、投稿日時、返信・DMの内容を残す。
  • 録音・録画は、自分や周囲の安全を損なわない範囲で行う。
  • 監視カメラ映像は、自宅管理会社、店舗、職場、駅、駐車場等に早期に保存依頼する。
  • 医師の診断書、通院記録、カウンセリング記録、欠勤記録、転居費用、警備費用なども保存する。
  • 不審なGPS機器や紛失防止タグは、発見場所、日時、状態を写真で残し、警察に相談する。

注意すべき点は、証拠を集めるために相手の端末へアクセスしたり、相手のアカウントへ不正ログインしたり、相手の住居・車両に侵入したりしないことです。被害者側が違法な収集をすると、別の法的問題を招き、手続上も不利になるおそれがあります。

Section 04

4. 警察を使った法的対応 ― 警告、禁止命令、刑事手続

主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。

4.1 警察相談は「被害が深刻になってから」では遅い

警視庁は、つきまとい等又は位置情報無承諾取得等を受けたら、すぐに最寄りの警察署に相談するよう案内しています。相談により、警察署長等から「ストーカー行為をやめなさい」と警告することができ、また禁止命令を行うこともできると説明されています。さらに、警告や禁止命令以外に、処罰を求めることも可能です。

警察に相談する際は、単に「元交際相手が怖い」と伝えるだけでなく、次のように整理して説明します。

  • 相手方の氏名、住所、勤務先、電話番号、SNSアカウント、車両情報
  • 交際開始・終了時期、別れた理由、別れた後の接触状況
  • 拒否の意思を示した日時と方法
  • つきまとい、待ち伏せ、連続連絡、監視発言、GPS等の具体的事実
  • 暴力、脅迫、性的画像、金銭要求、職場への接触の有無
  • 家族、子、同居人、職場、学校への影響
  • 今すぐ危険な場所、相手が来る可能性の高い場所
  • 求める対応 ― 警告、禁止命令、被害届、パトロール、避難相談等

4.2 警告とは何か

警告は、行為者に対し、さらに反復してつきまとい等を行ってはならない旨を警察側が伝える行政上の措置です。初期段階では、警告だけで相手方が止まることもあります。

ただし、警告には限界があります。相手方が「警察を呼ばれた」と逆上するケース、警告直後は静かになっても別アカウントや共通の知人を使って接触を再開するケース、被害者の居場所探索に切り替えるケースもあります。警告後は、被害者側も安全計画を強化し、追加の接触があれば直ちに警察へ報告します。

令和7年改正により、警察庁は、令和7年12月30日から職権での警告が創設されたと案内しています。従来以上に、危険性や必要性に応じた早期介入が制度上想定される場面が広がっています。

4.3 禁止命令等とは何か

禁止命令等は、行為者に対し、つきまとい等をさらに反復してはならない旨を命じる行政命令です。警察による警告よりも強い措置であり、違反すると刑事罰の対象になります。

警視庁は、ストーカー行為の罰則として、ストーカー行為をした者は1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金、禁止命令等に違反してストーカー行為をした者は2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金、禁止命令等に違反した者は6か月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金と説明しています。

禁止命令を求める場面では、次の点が重要です。

  • 警告後の再発があるか。
  • 警告前でも、反復のおそれや危険性が高い事情があるか。
  • 行為が単発ではなく、一定のパターンとして続いているか。
  • 被害者本人だけでなく、家族、子、職場、学校、親族への接触があるか。
  • 位置情報取得、侵入、脅迫、性的画像、暴力など、危険性を高める事情があるか。

4.4 刑事手続 ― 被害届・告訴・処罰意思

ストーカー行為は犯罪になり得ます。禁止命令等違反がある場合は、さらに強い刑事責任につながります。2016年の法改正では、ストーカー行為罪の非親告罪化等が行われました。つまり、制度上は、一定の場合に被害者の告訴がなくても公訴提起が可能な構造になっています。

もっとも、実務では、被害者の安全、意思、証拠、今後の生活、報復不安を踏まえた判断が必要です。被害届を出すべきか、告訴状を作成すべきか、警察でどのように説明すべきか、刑事手続と避難・転居をどう組み合わせるかは、弁護士への相談が有用です。

4.5 警察に相談する際の「言い方」

警察相談では、抽象的な不安だけでなく、法的評価に必要な事実を簡潔に伝えます。例えば、次のように説明します。

説明例元交際相手から、別れた後も復縁を求める連絡が続いています。私は○月○日に「今後は連絡しないでください」と伝えましたが、その後も電話が1日に○件、SNSメッセージが○件来ています。○月○日には勤務先の前で待ち伏せされ、○月○日には「居場所は分かっている」と送られました。着信履歴、メッセージ、写真、時系列表を持参しています。警告、禁止命令、被害届の可否、安全確保について相談したいです。

このように、拒否の意思、反復性、具体的な行為、証拠、求める対応を示すと、相談が進みやすくなります。

Section 05

5. 裁判所を使う方法1 ― DV防止法上の保護命令

主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。

5.1 保護命令は「元交際相手」でも使える場合がある

保護命令は、配偶者や生活の本拠を共にする交際相手からの身体に対する暴力等を防ぐため、被害者の申立てにより、裁判所が相手方につきまとい等をしてはならないこと等を命じる制度です。裁判所は、保護命令制度をこのように説明しています。

重要なのは、元交際相手であっても、生活の本拠を共にする交際相手から暴力等を受け、その後に生活の本拠を共にする交際関係を解消した場合には、保護命令の対象となり得る点です。裁判所は、生活の本拠を共にする交際相手から暴力等を受けた被害者も申し立てることができ、交際関係を解消した場合も対象となる旨を説明しています。ただし、「生活の本拠を共にする交際」からは、婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいないものは除かれます。

したがって、単に恋人関係だっただけ、短期間の滞在だけ、旅行や一時的な宿泊だけ、専ら友人としての共同生活だけの場合には、保護命令ではなく、ストーカー規制法や民事保全等の別ルートを検討することになります。

5.2 保護命令で命じられる内容

裁判所によれば、保護命令には、申立人への接近禁止命令、申立人への電話等禁止命令、子への接近禁止命令、子への電話等禁止命令、親族等への接近禁止命令、退去等命令があります。申立人への接近禁止命令は、1年間、申立人の身辺につきまとったり、通常所在する場所付近をはいかいしたりしてはならないことを命じるものです。電話等禁止命令では、面会要求、監視告知、粗野乱暴な言動、無言電話、連続した電話・メール・SNS等、深夜早朝の連絡、汚物送付、名誉・性的羞恥心を害する告知、GPSによる位置情報取得等が禁止対象として挙げられています。

保護命令に違反すると、2年以下の拘禁刑又は200万円以下の罰金という刑事罰の対象になります。

5.3 保護命令の申立要件

裁判所の説明では、被害者への接近禁止命令は、配偶者から身体に対する暴力又は生命・身体・自由・名誉・財産に害を加える旨を告知してする脅迫を受けた被害者が、さらに身体に対する暴力等により生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいときに申し立てることができます。生活の本拠を共にする交際相手から暴力等を受けた者も同様です。

申立前には、相手方から暴力を受けた状況などについて、配偶者暴力相談支援センター又は警察署にあらかじめ相談することが求められています。事前相談をしていない場合は、公証人役場で宣誓供述書を作成してもらう必要があります。

5.4 保護命令の手続の流れ

裁判所の案内では、保護命令の申立先は、相手方の住所又は居所、申立人の住所又は居所、身体に対する暴力等が行われた地のいずれかを管轄する地方裁判所又は支部です。申立書・副本、添付資料、証拠が必要です。申立書の受理後、当日又は速やかに申立人本人又は代理人と面接し、通常はその後1週間程度先に口頭弁論又は審尋期日を設けますが、緊急の場合には相手方への審尋期日等を経ずに発令されることがあります。

保護命令を検討する場合は、弁護士に相談し、申立書の構成、証拠、危険性の説明、事前相談記録、避難先の秘匿、子・親族への接近禁止の必要性などを整理することが望ましいです。

Section 06

6. 裁判所を使う方法2 ― 民事保全による接触禁止・面談禁止の仮処分

主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。

6.1 DV保護命令の対象外でも、民事保全を検討できる場合がある

元交際相手との関係が、生活の本拠を共にする交際に当たらない場合や、DV防止法上の暴力・脅迫要件の立証が難しい場合でも、民事上の権利侵害として裁判所に仮処分を求める選択肢があります。

内閣府男女共同参画局は、権利関係に争いがあり現在の危険や不安を取り除きたい場合、裁判手続が終了するまでの間、仮の措置を定めることを裁判所に求めることができると説明しています。例えば、被害者が平穏に生活する利益を守るため、加害者に面談禁止を求めようとする場合、正式な裁判手続には時間がかかるため、その間の侵害を防ぐ制度として仮処分命令があるとされています。

裁判所の民事保全の説明でも、民事保全とは、権利又は権利関係の確定までに時間がかかることから生じる危険を回避するため、裁判所に暫定的な保全措置を求める手続とされています。特に「仮の地位を定める仮処分」は、現在、債権者に著しい損害又は急迫の危険や不安が生じるおそれがある場合に、一定の権利関係について暫定的に必要な措置を命じる手続です。

6.2 民事保全で問題となる要件

仮処分では、一般に、次の2点を裁判所に示す必要があります。

  1. 保全すべき権利又は権利関係
  2. 例 ― 人格権、平穏生活権、プライバシー権、名誉権、身体の安全に関わる利益など。

  1. 保全の必要性
  2. 例 ― 本案訴訟を待っていては危険が継続する、接触がエスカレートしている、勤務先や自宅で待ち伏せが続く、SNSで個人情報を拡散するおそれがある、通院・転居・休職を余儀なくされているなど。

仮処分は、刑事手続ではなく民事手続です。相手を処罰する制度ではなく、暫定的に行為を止める制度として位置付けます。担保金、審尋、申立書、証拠、命令内容の具体性などが問題になるため、弁護士への相談が特に重要です。

6.3 どのような命令を求めるか

事案に応じて、以下のような内容が検討されます。

  • 申立人への面談・接触の禁止
  • 自宅、勤務先、学校、実家、避難先付近への接近禁止
  • 電話、メール、SNS、手紙等による連絡禁止
  • 第三者を介した接触禁止
  • 位置情報取得、監視、追跡、GPS機器等の取付け禁止
  • 個人情報、写真、動画、性的画像、名誉毀損的投稿の投稿・送信・拡散禁止
  • 職場・学校・家族への連絡禁止

ただし、命令内容は、広すぎると認められにくく、狭すぎると実効性が不足します。相手の行為態様、接触経路、生活圏、危険性に合わせて、具体的に設計する必要があります。

Section 07

7. 弁護士に依頼して「やめるよう通知する」方法

主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。

7.1 弁護士通知の役割

弁護士に依頼すると、相手方に対し、今後の接触禁止、待ち伏せ禁止、SNS連絡禁止、第三者経由の接触禁止、職場・学校・家族への連絡禁止、違反時の警察相談・法的措置等を明記した通知を送付することがあります。

この通知には、次の効果が期待されます。

  • 被害者本人が直接対応しなくて済む。
  • 相手方に、今後は法的手続に進む可能性があることを伝えられる。
  • 拒否の意思、禁止事項、警告内容を文書で明確化できる。
  • 後日の警察相談、仮処分、損害賠償請求における資料となる。

もっとも、危険性が高い相手に通知を送ると、逆上や報復のきっかけになる場合もあります。通知を送る前に、警察相談、避難、職場・学校への共有、住所秘匿、証拠整理を済ませるべき事案もあります。弁護士通知は万能ではなく、安全計画と一体で行うべきです。

7.2 内容証明郵便の意味と限界

弁護士通知では、内容証明郵便を使うことがあります。日本郵便は、内容証明を「いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたか」を証明する制度と説明しています。ただし、文書の内容が真実であることまで証明するものではありません。

つまり、内容証明郵便は「送った内容と時期を証明する手段」であり、それ自体が裁判所命令や警察命令になるわけではありません。相手が無視した場合に直ちに強制執行できるわけでもありません。しかし、拒絶意思や警告内容を明確化し、後の手続で「通知したにもかかわらず続けた」と示す資料として役立ちます。

7.3 弁護士通知に記載する事項

弁護士通知では、一般に次のような事項を整理します。

  • 当事者の関係と交際終了の事実
  • 被害者が接触を拒否している事実
  • これまでのつきまとい、連絡、待ち伏せ、監視、脅迫等の概要
  • 今後禁止する行為の具体的列挙
  • 第三者を介した接触や情報収集も禁止する旨
  • SNS、電話、メール、郵便物、勤務先・学校への接触禁止
  • 性的画像、写真、個人情報、名誉毀損的投稿の削除・不拡散
  • 違反時に警察、禁止命令、仮処分、損害賠償等を検討する旨
  • 連絡窓口を弁護士に一本化する旨

本人が自作して送る場合、感情的な文言、相手を挑発する表現、事実と異なる断定、過剰な要求を入れてしまうことがあります。相手が危険な場合や、すでに警察・裁判所手続を見据える場合は、弁護士に文案作成を相談する方が安全です。

Section 08

8. 住所・勤務先・学校を守る ― 情報流出対策と支援措置

主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。

8.1 住民票・戸籍附票の閲覧・交付制限

元交際相手が転居先を探すおそれがある場合、住民票や戸籍附票から住所が判明しないよう、住民基本台帳事務における支援措置を検討します。

法テラスは、DV、ストーカー、児童虐待及びこれらに準ずる事案の被害者について、一定の要件を満たす場合、本人又は本人の代理人以外の者からの住民票の閲覧・交付請求などを制限できると説明しています。

この制度は、転居後の安全確保に重要です。警察署、配偶者暴力相談支援センター、自治体窓口等に相談し、必要な意見記載や確認書類を整えます。自治体ごとに手続や必要書類、期間更新の運用があるため、転居前後の早い段階で相談します。

8.2 共通の知人・家族・職場からの情報流出を防ぐ

ストーカー事案では、行為者本人が直接住所を調べるだけでなく、共通の友人、元同僚、家族、SNSの相互フォロー、職場代表電話、学校窓口などを通じて情報を得ることがあります。

令和7年改正では、ストーカー行為等をするおそれがある者であることを知りながら、その者に対し、相手方に係る一定の情報を提供することは禁止されている制度に関し、令和8年3月10日から、警察本部長等が情報提供のおそれのある者に対して、情報提供先がストーカー行為等をするおそれがある者であることを通知し、情報提供しないよう求めることができるようになったと警察庁が案内しています。

実務上は、共通の知人には「居場所、勤務先、連絡先、予定、SNS投稿を相手に伝えないでほしい」と明確に伝えます。職場や学校には、受付、代表電話、人事・学生課、警備担当、上司等に、本人の同意なく来訪者・電話照会・在籍確認・退勤時刻・部署・教室等を伝えないよう依頼します。

8.3 職場・学校との連携

令和7年改正では、令和7年12月30日から、被害者の勤務先及び学校が被害者に対する援助に係る努力義務の主体に追加され、警察庁は勤務先・学校関係者に援助への協力を求めています。

職場・学校には、次のような具体的対策を相談します。

  • 受付・警備への顔写真、氏名、車両情報の共有
  • 勤務シフト・授業予定・連絡先の秘匿
  • 退勤・下校時の同行やルート変更
  • 代表電話での在籍・出勤確認への対応ルール
  • 不審者来訪時の通報手順
  • 防犯カメラ映像の保存
  • 休職・在宅勤務・授業配慮等の検討
  • 会社貸与端末・学校アカウントへの不正アクセス対策
Section 09

9. 損害賠償請求と費用回収

主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。

9.1 つきまといによる損害

元交際相手のつきまといにより、被害者には次のような損害が生じることがあります。

  • 精神的苦痛に対する慰謝料
  • 通院費、診断書費用、カウンセリング費用
  • 転居費、鍵交換費、防犯カメラ・防犯ブザー等の費用
  • 休業損害、退職・異動に伴う損害
  • 弁護士費用相当額の一部
  • 名誉毀損、プライバシー侵害、性的画像拡散による損害
  • 子どもや家族への影響に関連する費用

損害賠償請求は、相手を止めるための即効手段というより、過去の違法行為に対する金銭的責任を問う手段です。仮処分や警察対応と併用して、後から請求することもあります。

9.2 損害賠償の証拠

損害賠償請求では、単に「怖かった」と主張するだけでなく、違法行為、損害、因果関係を示す資料が必要です。

  • つきまとい等の時系列表
  • メール、SNS、着信履歴、録音、写真、動画
  • 警察相談記録、被害届、禁止命令等の資料
  • 診断書、通院記録、薬代領収書
  • 転居費用、鍵交換費、防犯設備費の領収書
  • 欠勤・休職・退職に関する資料
  • 名誉毀損投稿や画像拡散のURL、スクリーンショット、削除依頼記録

刑事事件化している場合、刑事記録や処分結果が民事請求に影響することがあります。弁護士に、刑事手続と民事請求をどの順序で進めるか相談します。

Section 10

10. 性的画像・SNS投稿・誹謗中傷が絡む場合

主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。

元交際相手が、交際中に撮影した性的画像を送ってくる、公開すると脅す、実際に投稿する、氏名・勤務先・住所とともに中傷する場合、対応は急を要します。

警察庁は、性的な画像等を同意なくインターネット掲示板等に公表する行為により、被害者が大きな精神的苦痛を受ける被害が発生しており、私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律は、名誉及び私生活の平穏の侵害による被害の発生又は拡大を防止する目的で施行されたと説明しています。

対応の基本は次のとおりです。

  1. 投稿や脅迫文のURL、日時、アカウント、画像、文脈を保存する。
  2. 自分だけで削除依頼する前に、警察・弁護士・相談機関に相談する。削除前に証拠化が必要な場合がある。
  3. プラットフォームへの削除申請、発信者情報開示、仮処分、損害賠償、刑事告訴を検討する。
  4. 画像をさらに拡散しない。証拠共有も必要最小限の専門機関に限定する。
  5. 家族・職場・学校への二次被害対策を準備する。

性的画像や名誉毀損投稿は、時間が経つほど拡散し、削除が難しくなります。弁護士、警察、法務局、人権相談、違法・有害情報相談センター等の利用を早めに検討します。

Section 11

11. 弁護士に相談すべきタイミング

主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。

弁護士相談は「訴訟を起こすと決めた後」だけではありません。むしろ、初期段階で相談することで、警察への説明、証拠保全、安全計画、通知の要否、保護命令・仮処分の可否を整理できます。

特に、次のいずれかに該当する場合は、早期相談を強く推奨します。

  • 相手が自宅・職場・学校に来ている。
  • 「殺す」「職場にばらす」「写真を公開する」などの脅迫がある。
  • GPS、紛失防止タグ、位置情報アプリが疑われる。
  • すでに警察へ相談したが、行為が止まらない。
  • 警告後に再発した。
  • 同居歴があり、暴力・脅迫があった。
  • 子ども、家族、職場、学校を巻き込んでいる。
  • 住所を知られないように転居したい。
  • 損害賠償、仮処分、保護命令を検討している。
  • 被害届・告訴を出すべきか迷っている。
  • 相手から逆に「名誉毀損」「貸金」「荷物返還」などを主張されている。

法テラスは、犯罪被害者支援として、支援制度や相談窓口の紹介、犯罪被害者支援の経験や理解のある弁護士の紹介、弁護士費用等を援助できる制度の案内を行う場合があると説明しています。利用には要件がありますが、費用不安がある場合も相談先として重要です。

Section 12

12. 弁護士に持参する資料

主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。

相談の質は、持参資料で大きく変わります。初回相談には、次の資料を可能な範囲で準備します。

12.1 事実関係

  • 交際開始日、別れた日、同居の有無・期間
  • 別れ話の経緯、拒否の意思表示
  • 相手方の氏名、住所、勤務先、電話番号、SNSアカウント
  • 暴力、脅迫、性的画像、金銭貸借、荷物、合鍵の有無
  • 共通の知人、家族、職場・学校への接触状況

12.2 証拠

  • 時系列表
  • メッセージ、メール、SNS、着信履歴
  • 写真、動画、録音
  • 医師の診断書、通院記録
  • 警察相談記録、担当部署、相談番号
  • 防犯カメラ保存依頼の状況
  • 送付物、封筒、配送記録
  • GPS・紛失防止タグの写真
  • 住民票支援措置、転居、職場相談の資料

12.3 希望する結果

弁護士には、単に「どうしたらよいか」だけでなく、優先順位を伝えます。

  • とにかく近づかせたくない。
  • 電話・SNSを止めたい。
  • 住所を知られたくない。
  • 会社や学校に来させたくない。
  • 画像を消したい。
  • 刑事処罰を求めたい。
  • 報復が怖いので慎重に進めたい。
  • 損害賠償も請求したい。
  • 荷物や鍵の返還を安全に済ませたい。

優先順位によって、警察を先にするか、弁護士通知を先にするか、仮処分を申し立てるか、避難や住所秘匿を先にするかが変わります。

Section 13

13. 実務上の行動計画

主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。

13.1 今日中に行うこと

  1. 危険があれば110番、緊急でなければ警察署又は#9110に相談する。
  2. 相手との直接対話をやめ、二人で会わない。
  3. スクリーンショット、着信履歴、時系列表を作る。
  4. 位置情報共有、SNS公開範囲、写真の位置情報、共通アプリを確認する。
  5. 家族・信頼できる友人・職場又は学校に、居場所や予定を相手に伝えないよう依頼する。
  6. 弁護士又は法テラスに相談予約を入れる。
  7. 自宅・通勤通学経路・帰宅時間を見直し、防犯ブザー、タクシー利用、同行者等を検討する。

13.2 1週間以内に行うこと

  1. 警察に証拠一式を持参し、警告・禁止命令・被害届の可否を相談する。
  2. 弁護士に、弁護士通知、保護命令、仮処分、損害賠償の可否を相談する。
  3. 同居歴と暴力・脅迫がある場合、保護命令の準備を検討する。
  4. 転居や避難が必要な場合、住民票等の支援措置を自治体に相談する。
  5. 職場・学校の受付、警備、人事、学生課等に対応方針を共有する。
  6. 防犯カメラ映像の保存依頼を行う。
  7. 相手の行為が続く場合、警察へ追加報告し、相談記録を残す。

13.3 継続的に行うこと

  • 新たな接触は、日時・内容・証拠・影響を記録する。
  • 相手に反応しない。反応が相手の執着を強めることがある。
  • 住所、勤務先、交友関係、予定、写真の背景などをSNSに出さない。
  • 共通の知人からの「一度だけ会ってあげて」等の要請に応じない。
  • 警察・弁護士に定期的に状況を共有する。
  • 精神的負担が強い場合、医療機関やカウンセリングも利用する。
Section 14

14. よくある質問

一般的な制度説明として、状況ごとに確認すべき点を整理します。

Q1. 元交際相手でもストーカー規制法の対象になりますか。

一般的には、元交際相手からの復縁要求、拒否後の連続連絡、待ち伏せ、監視告知などは、ストーカー規制法上の検討対象になり得るとされています。ただし、目的、行為態様、反復性、証拠関係によって判断は変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで警察や弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. まだ警察に行くほどではない気がしても相談できますか。

一般的には、不安を覚えた段階で警察署や#9110に相談することができます。早期相談により、警告、禁止命令、パトロール、避難、証拠化の方針を確認しやすくなります。ただし、危険が差し迫っている場合は、110番通報や避難が優先される対応とされています。

Q3. 相手をブロックしてよいですか。

一般的には、ブロックが有効な場合があります。ただし、ブロック前に最低限の証拠を保存する必要があり、相手が自宅、職場、学校への接触に切り替える危険がある場合は、警察、職場・学校、家族への共有も検討されます。遮断方法は危険性によって変わるため、具体的には専門家へ相談する必要があります。

Q4. 「一度だけ話し合えば終わる」と言われています。会うべきですか。

一般的には、つきまとい事案で二人きりで会うことは危険を高める可能性があります。荷物返還や鍵返却が必要な場合も、弁護士、警察、配送、第三者立会い、公共性のある場所などを組み合わせる方法が考えられます。具体的な安全確保の方法は、事情に応じて専門家へ相談する必要があります。

Q5. 同居していない元恋人には保護命令を使えませんか。

一般的には、DV防止法上の保護命令は、配偶者や生活の本拠を共にする交際相手からの身体に対する暴力等を防ぐ制度とされています。生活の本拠を共にしていない交際関係では、保護命令の対象外となる可能性があります。ただし、ストーカー規制法、刑事手続、民事保全による仮処分など別の制度を検討できる場合があり、具体的には専門家へ相談する必要があります。

Q6. 警察の警告後に相手がまた連絡してきました。

一般的には、警告後の再発は、禁止命令、刑事手続、仮処分等を検討する重要な事情になる可能性があります。いつ、どの経路で、どのような内容の接触があったかを保存し、警察へ追加報告することが考えられます。個別の見通しは、証拠と危険性によって変わります。

Q7. 相手が共通の友人に私の住所を聞いています。

一般的には、共通の友人や職場・学校から住所、勤務先、予定、連絡先などが伝わらないようにする対策が重要とされています。第三者経由で居場所を探している事情は、警察相談でも共有すべき情報になり得ます。具体的な情報提供防止や支援措置は、警察、自治体、弁護士等へ相談する必要があります。

Q8. 弁護士に頼むと相手を刺激しませんか。

一般的には、弁護士通知が相手を刺激する可能性もあります。そのため、危険性が高い場合は、通知より先に警察相談、避難、職場・学校への共有、住所秘匿、証拠保全を行うことがあります。一方で、弁護士が窓口になることで本人への直接接触を減らせる場合もあり、どちらが安全かは事案ごとの判断です。

Q9. 被害届を出すと報復されないか不安です。

一般的には、報復不安がある場合こそ、警察や弁護士にその不安を具体的に伝えることが重要とされています。刑事手続だけでなく、避難、住所秘匿、職場・学校連携、保護命令、仮処分を組み合わせて安全を確保する方法が検討されます。具体的な進め方は危険性や生活状況によって変わります。

Q10. 相手が性的画像を持っています。どうすればよいですか。

一般的には、脅迫文、画像の送信、投稿URL、アカウント情報を保存し、警察、弁護士、相談機関へ早期に相談することが重要とされています。画像を広く共有して証拠化しようとすると二次拡散の危険があります。削除、発信者情報開示、刑事手続、損害賠償は、事情に応じて専門家と検討する必要があります。

Section 15

15. まとめ ― 法的に止めるには「一つの手段」ではなく「安全設計」が必要

主要なポイントを、表や手順とあわせて確認します。

元交際相手からのつきまとい行為を法的にやめさせる方法は、警察に相談して終わり、弁護士から通知して終わり、裁判所に申し立てて終わり、という単純なものではありません。

実効性を高めるには、次の順序で設計することが重要です。

  1. 危険を下げる
  2. 110番、避難、職場・学校・家族への共有、位置情報対策。

  1. 証拠を残す
  2. 時系列表、スクリーンショット、着信履歴、写真、録音、診断書、相談記録。

  1. 警察の制度を使う
  2. 警告、禁止命令、被害届・告訴、パトロール、援助。

  1. 裁判所の制度を使う
  2. 同居歴・暴力等がある場合は保護命令、その他の場合は民事保全による仮処分。

  1. 弁護士を窓口にする
  2. 通知、交渉、申立書作成、警察対応の整理、損害賠償、住所秘匿対策。

  1. 生活情報を守る
  2. 住民票等の支援措置、共通の知人への情報提供防止、勤務先・学校との連携。

元交際相手によるつきまといは、時間が経つほど相手の行動パターンが固定化し、被害者の生活が狭められていくことがあります。「まだ大ごとにしたくない」と我慢するより、早い段階で相談し、記録し、第三者機関を入れることが、最も現実的な予防策です。

Reference

参考資料

参考資料

  • 警視庁「ストーカー規制法」 ― ストーカー規制の目的、規制対象、制度説明
  • 警視庁「ストーカー規制法」 ― 特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことへの怨恨の感情を充足する目的で行う行為を説明
  • 警視庁「ストーカー規制法」 ― つきまとい・待ち伏せ・押し掛け・うろつき等
  • 警視庁「ストーカー規制法」 ― 監視していると告げる行為
  • 警視庁「ストーカー規制法」 ― 面会や交際の要求
  • 警視庁「ストーカー規制法」 ― 著しく粗野又は乱暴な言動
  • 警視庁「ストーカー規制法」 ― 無言電話、拒否後の連続電話・電子メール・SNSメッセージ等
  • 警視庁「ストーカー規制法」 ― 汚物等の送付、名誉を傷つける、性的羞恥心の侵害
  • 警視庁「ストーカー規制法」 ― GPS機器等を用いて位置情報を取得する行為
  • 警視庁「ストーカー規制法」 ― 紛失防止タグを用いた位置情報取得、GPS機器等・紛失防止タグの取付け等
  • 警視庁「ストーカー規制法」 ― 「ストーカー行為」とは、同一の者に対してつきまとい等又は位置情報無承諾取得等を繰り返して行うこと
  • 警視庁「ストーカー規制法」 ― 日時・内容等の記録・保存、届いた時間と内容のメモ、写真撮影等の案内
  • 警視庁「ストーカー規制法」 ― 警告、禁止命令、処罰、援助についての説明
  • 警視庁「ストーカー規制法」 ― ストーカー行為、禁止命令等違反の罰則
  • 警視庁「ストーカー規制法」 ― 警察相談、#9110、110番の案内
  • 警察庁「ストーカー規制法が改正されました!」 ― 令和7年12月30日施行の紛失防止タグ規制、職権警告等
  • 警察庁「ストーカー規制法が改正されました!」 ― 令和8年3月10日施行の情報提供防止に関する通知・要請
  • 警察庁「ストーカー規制法が改正されました!」 ― 勤務先・学校関係者への援助協力
  • 参議院法制局「ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律案」概要 ― ストーカー行為罪の非親告罪化等
  • 裁判所「保護命令(DV事件)」 ― 保護命令制度の概要
  • 裁判所「保護命令(DV事件)」 ― 保護命令の種類、接近禁止命令、電話等禁止命令等
  • 裁判所「保護命令(DV事件)」 ― 保護命令違反の刑事罰