示談書の条項は、紛争を終わらせる力と、将来の請求を制限する力を同時に持ちます。必要な条項と避けるべき条項を、一般情報として分野別・手順別に整理します。
示談書の条項は、紛争を終わらせる力と、将来の請求を制限する力を同時に持ちます。
まず、条項が持つ効果とリスクをまとめて確認します。
示談書の条項は、必要なものを並べるだけでは足りません。範囲、条件、例外、履行確保を読まないと、必要な請求まで失ったり、効力が問題になる文言を置いたりする可能性があります。次の重要ポイントから、必要条項と避ける条項の違いを読み取ってください。
当事者、事件特定、支払、清算、守秘、署名押印など、ほとんどの示談書で確認する基本条項です。
刑事処分の保証、証拠隠滅、専門家相談の禁止、将来損害の無条件放棄など、効力や適法性が問題になりやすい条項です。
交通事故、刑事、労働、SNS、消費者など、分野ごとに残すべき請求と避けるべき文言が変わります。
次の強調部分は、条項設計の中心を示しています。重要なのは、条項の数ではなく、権利放棄と履行確保の均衡です。読者は、見た目の整った文言よりも、署名後に生じる効果を読み取ってください。
示談書は、紛争を終わらせる文書であると同時に、将来の紛争を作ってしまう文書にもなり得ます。
重要な確認点を、本文・表・注意点に分けて整理します。
「示談」とは、当事者が話し合いにより紛争を解決することをいいます。法律用語としては、民法上の「和解」に近い概念です。民法695条は、和解を、当事者が互いに譲歩して争いをやめることを約する契約として定めています。つまり、示談書は、多くの場合、和解契約の内容を文書化したものです。
ただし、文書の表題が「示談書」「和解契約書」「合意書」「確認書」のどれであるかによって効力が自動的に決まるわけではありません。重要なのは、当事者が何に合意したのか、どの権利義務を発生・変更・消滅させたのかです。
示談書には、少なくとも次の4つの機能があります。
次の比較表は、1. 示談書とは何かを整理したものです。項目ごとの違いを先に把握することが重要で、左から順に分類、内容、注意点を読み取り、該当する行を重点的に確認してください。
| 機能 | 内容 | 典型的な条項 |
|---|---|---|
| 紛争解決機能 | どの紛争を、どの条件で終わらせるかを決める | 事件特定、清算条項、請求放棄 |
| 証拠化機能 | 後日「言った・言わない」を防ぐ | 当事者表示、署名押印、日付 |
| 履行確保機能 | 支払・削除・返還などを実行させる | 支払期限、期限の利益喪失、違約金、公正証書化 |
| リスク遮断機能 | 再発・口外・接触・追加請求を管理する | 守秘義務、接触禁止、誹謗中傷禁止、将来損害留保 |
示談書を「金額だけを書く紙」と考えると失敗します。示談書は、紛争の出口を設計し、将来の火種を減らすための法的文書です。
当事者同士で作成した通常の示談書は、重要な証拠にはなります。しかし、原則として、それだけで直ちに相手の預金や給与を差し押さえられるわけではありません。
次の比較表は、1. 示談書とは何かを整理したものです。項目ごとの違いを先に把握することが重要で、左から順に分類、内容、注意点を読み取り、該当する行を重点的に確認してください。
| 種類 | 作成主体・場面 | 強制執行との関係 |
|---|---|---|
| 私的な示談書 | 当事者同士、または代理人を通じて作成 | 証拠にはなるが、通常それだけでは差押えできない |
| 裁判上の和解調書 | 裁判所の訴訟手続内で成立 | 確定判決と同様に強制執行の根拠になり得る |
| 調停調書 | 民事調停・家事調停等で成立 | 確定判決と同様の効力を持つ場合がある |
| 強制執行認諾文言付き公正証書 | 公証人が作成し、債務者が強制執行を受ける旨を認める | 金銭債務等について裁判を経ず強制執行の根拠になり得る |
高額な示談金、分割払い、相手方の支払能力に不安がある事案では、「払ってもらえなかったらどうするか」を示談書作成時点で考える必要があります。
---
重要な確認点を、本文・表・注意点に分けて整理します。
示談書は契約の一種ですが、当事者が署名したからといって、どのような条項でも有効になるわけではありません。民法90条は、公の秩序または善良の風俗に反する法律行為を無効としています。犯罪行為を助長する合意、証拠隠滅を目的とする合意、違法行為を隠すための合意、過度に人身の自由を拘束する合意などは、効力が問題になり得ます。
また、錯誤、詐欺、強迫、説明不足、代理権の欠缺、消費者契約法上の不当条項などがあれば、示談書の有効性が争われることがあります。
示談書で最も注意すべきものが、清算条項です。清算条項とは、示談書に定めたもの以外に、当事者間の債権債務が存在しないことを確認する条項です。
たとえば、次のような文言です。
この条項は、紛争を終わらせるために非常に有用です。しかし、範囲を誤ると、まだ判明していない後遺障害、未払賃金、別件の貸金、将来発生する損害まで失う可能性があります。
示談書は「請求するための文書」であると同時に、「請求しないことを約束する文書」でもあります。この二面性を理解することが重要です。
弁護士でない者が、報酬を得る目的で、法律事件について代理、和解、法律相談などを業として取り扱うことは、弁護士法上問題となる場合があります。企業の法務・広報担当者が自社の案件について社内文書を整えることと、第三者の法律事件を報酬目的で扱うことは、法的に意味が異なります。
この記事をもとに記事を公開する場合も、「個別事件の示談書を作成します」「相手と交渉します」といった表示は、業務内容や資格との関係で慎重に確認する必要があります。
---
重要な確認点を、本文・表・注意点に分けて整理します。
以下は、ほとんどの示談書で検討すべき基本条項です。ただし、すべての事案に同じ文言を入れればよいわけではありません。重要なのは、「この事案で何を確定し、何を留保するか」を考えることです。
誰と誰の合意なのかを明確にする条項です。
当事者表示が曖昧だと、後日「その人と合意した覚えはない」「会社ではなく担当者個人の合意だ」「代理人に権限がなかった」と争われます。
刑事事件、性被害、ストーカー、DV、ハラスメントなどでは、被害者の住所や勤務先を相手方に知られたくない場合があります。その場合は、弁護士など代理人を通じて、本人の住所を文書に出さない設計が検討されます。
どの紛争を解決する示談なのかを明確にする条項です。
この文言は広すぎます。別件まで含むのか、過去のすべてのやり取りを含むのか、将来判明する損害を含むのかが分かりません。
事件特定は、清算条項、請求放棄、守秘義務、再発防止条項の範囲を決める基礎です。ここが曖昧な示談書は、後で必ず弱くなります。
どの事実を前提に合意するのか、法的責任を認めるのか否かを整理する条項です。
「責任を認めるかどうか」は、民事責任、刑事手続、社内処分、保険、レピュテーションに影響します。曖昧にすると、支払側・受取側の双方に火種が残ります。
いくらを、誰が、誰に、いつ、どの方法で支払うのかを明確にする条項です。
「速やかに支払う」「できるだけ早く支払う」という文言は避けます。支払期限は、年月日で特定します。
相手が約束どおり支払わなかった場合に備える条項です。
「期限の利益」とは、支払期限が来るまでは支払わなくてよいという債務者側の利益です。「期限の利益喪失」とは、分割払いを怠った場合などに、残額全部を直ちに支払わなければならなくすることです。
遅延損害金や違約金は高ければよいわけではありません。消費者契約、利息制限、過大な制裁、公序良俗などの問題を確認する必要があります。
相手方が支払義務を認めていることを明確にする条項です。
単に「乙は50万円を支払う」と書くよりも、「支払義務を負うことを認める」と明記した方が、後日「任意の見舞金だった」「義務ではなかった」と争われるリスクを下げられます。
示談書に定めたもの以外に、当事者間に請求関係が残らないことを確認する条項です。
危険例には「本件紛争に関し」という限定がありません。別の貸金、未払賃金、売買代金、将来損害まで含むのかが争点になります。
示談時点では判明していない損害を、後日請求できる余地として残す条項です。
示談時点で損害が確定していない場合、清算条項を入れる前に、将来損害を留保すべきか慎重に検討します。
同じ紛争について、追加請求や訴訟提起をしないことを定める条項です。
請求放棄は、支払完了を条件にするのが安全です。支払われていないのに請求放棄だけが先に発生する文言は、受取側に非常に不利です。
危険な文言は次のようなものです。
この文言では、相手が支払わなくても、すでに請求を放棄したと主張される余地があります。
すでに進行している裁判、調停、被害届、告訴、保険請求、社内通報などをどう扱うかを定める条項です。
被害者が「宥恕する」、つまり加害者を許す、または厳重処罰を望まない意思を表明することはあります。しかし、私人間の示談によって、検察官の起訴・不起訴や裁判所の量刑を拘束することはできません。
したがって、次のような文言は避けます。
修正文例は次のようになります。
示談内容、交渉経過、紛争の事実を第三者に開示しないことを定める条項です。
守秘義務で最も危険なのは、「一切誰にも話してはならない」とすることです。弁護士相談、医療相談、税務申告、警察・裁判所・行政機関への説明、公益通報、保険請求、家族への必要な相談まで封じる文言は、無効・不当・公序良俗違反の問題を生じさせる可能性があります。
守秘義務は、秘密を守るための条項であって、正当な相談や法的手続を妨害する条項ではありません。
示談後のSNS投稿、口コミ、職場内拡散、再炎上を防ぐ条項です。
公益目的の通報、法令上必要な説明、裁判上の主張、被害回復のための正当な相談まで禁止する趣旨にしてはいけません。「不当に」「本件紛争に関し」など、範囲を適切に限定します。
ストーカー、ハラスメント、近隣トラブル、学校・職場トラブルなどで、示談後の接触や再発を防ぐ条項です。
職場や学校などで完全な接触禁止が現実的でない場合は、窓口、業務上必要な接触、緊急時の対応、第三者同席などを具体的に定めます。
個人情報、写真、動画、録音、業務資料、顧客情報、SNS投稿、口コミなどを適切に処理する条項です。
証拠隠滅を目的とする削除条項は危険です。裁判、捜査、行政調査、税務、社内調査で保存が必要な資料まで「すべて破棄する」と書くべきではありません。
金銭だけでは解決しにくい紛争で、加害者側の謝罪や再発防止意思を明確にする条項です。
謝罪文言は、感情面の解決に役立つ一方で、責任を認める証拠として利用される可能性があります。支払側は「謝罪」と「法的責任の認否」をどう整理するか、受取側は「謝罪だけで終わるのか」「再発防止や金銭支払も必要か」を検討します。
守秘義務、接触禁止、分割払い、投稿削除などに違反した場合の効果を定める条項です。
違約金は、履行確保のための条項です。脅し文句ではありません。過大な違約金、制裁目的だけの違約金、消費者に一方的に不利な違約金は、効力が争われる可能性があります。
金銭支払義務の履行を確保するため、強制執行認諾文言付き公正証書の作成に協力することを定める条項です。
公正証書にすれば何でも強制執行できるわけではありません。金銭支払など一定の債務について、債務者が直ちに強制執行に服する旨を陳述する文言が必要です。接触禁止や謝罪そのものを、公正証書だけで直接強制することには限界があります。
弁護士費用、公正証書作成費用、振込手数料、印紙代、交通費、鑑定費、保険手続費用などの負担を明確にする条項です。
費用負担を明確にしないと、少額でも後日争いになります。
示談金の税務処理、領収書、印紙税などの問題を整理する条項です。
損害賠償金や慰謝料は、性質によって税務上の扱いが変わります。身体的・精神的損害に対する損害賠償金は非課税となる場面が多い一方、事業収入の補償、営業損害、給与相当額、解決金名目などでは税務判断が必要になることがあります。
また、印紙税は文書のタイトルではなく、記載内容によって課税文書該当性が判断されます。示談書、領収書、債務承認書、売買代金の受領書などは、内容に応じて印紙税の確認が必要です。
将来紛争が再燃した場合に、どの裁判所で争うかを定める条項です。
消費者を相手にする契約では、事業者に一方的に有利な管轄条項が問題になる可能性があります。遠方の裁判所を指定して相手の権利行使を事実上困難にする条項は、慎重に検討します。
示談書に書かれた内容が、最終的な合意内容であることを確認する条項です。
完全合意条項を入れる場合、書き漏れがあると「示談書に書かれていない以上、合意内容ではない」と扱われるリスクがあります。重要な約束は必ず本文に明記します。
後日、強迫、錯誤、説明不足などを理由に争われるリスクを減らす条項です。
この条項を書いただけで強迫や詐欺が治癒されるわけではありません。実際に、全文を読ませる、説明する、考える時間を与える、専門家相談を妨げないことが重要です。
電子署名サービスを使う場合は、本人確認、署名時刻、改ざん防止、監査ログ、契約データの保存方法を確認します。
または、
---
重要な確認点を、本文・表・注意点に分けて整理します。
次の判断の流れは、清算や守秘の条項をそのまま受け入れてよいかを確認する順番を表しています。分岐の順番が重要なのは、範囲、条件、例外のどれかが欠けると重大な権利放棄につながるためです。上から下へ、危険度が高まる箇所を読み取ってください。
「本件紛争に関し」など、清算範囲を示す文言を確認します。
支払前に請求放棄だけが先に発生しない設計かを確認します。
専門家、医療、税務、警察、裁判所、行政、保険会社への必要な説明を残します。
ここからは、示談書に書いてはいけない、または強く避けるべき条項を解説します。
「本件紛争に関し」という限定がないため、別件の貸金、未払賃金、売買代金、損害賠償請求、将来判明する後遺障害まで含むのかが問題になります。
乙が示談金を支払わなかった場合でも、甲が請求放棄をしたと主張されるおそれがあります。
弁護士相談、医療相談、行政申告、警察・裁判所への説明、税務申告、保険請求、公益通報、権利行使、防御活動まで妨げる可能性があります。
私人間の示談は、検察官や裁判所の判断を拘束できません。被害者が処罰感情を和らげることや、告訴の取下げを検討することはありますが、刑事処分の結論を保証することはできません。
示談のために虚偽の事実を文書化すると、後日、詐欺、強迫、名誉毀損、証拠隠滅、虚偽説明などの問題に発展する可能性があります。事実に争いがあるなら、「当事者間に争いがあるが、早期解決のために合意する」と整理します。
交通事故、医療事故、暴行、労災、ハラスメント、健康被害などでは、示談時点で後遺障害や精神疾患が明らかになっていないことがあります。将来損害を無条件に放棄すると、後で重大な症状が判明しても請求できないと主張されるおそれがあります。
消費者契約では、事業者と消費者の情報量・交渉力の格差を踏まえ、不当な勧誘による契約取消しや不当条項の無効が問題になります。事業者側が消費者との示談書を作成する場合、免責条項、過大な違約金、キャンセル禁止、管轄条項、守秘義務は特に慎重に設計します。
違約金は履行確保に役立ちますが、金額が過大だと、公序良俗、消費者契約法、権利濫用などの問題が生じます。違反の内容、予想される損害、当事者の属性、交渉過程に照らして合理的な金額にする必要があります。
このような条項は、当事者の適切な意思決定や権利行使を妨げます。むしろ後日の紛争予防という観点では、必要に応じて専門家相談の機会を与えたうえで締結する方が安全です。
公益通報者保護制度や各種行政手続は、法令違反の是正や被害防止のための制度です。示談書で正当な通報・申告を一律に禁止しようとする条項は、無効・不当と評価される可能性があります。
資料の返還・削除は必要な場合がありますが、証拠隠滅や法的手続の妨害を目的とする条項は危険です。犯罪、ハラスメント、労災、医療事故、消費者被害、企業不祥事などでは、証拠保全の必要性があります。
契約は原則として当事者を拘束するものであり、第三者を当然に拘束するものではありません。本人がコントロールできない第三者の行為まで保証すると、履行不能や過大な責任を負うおそれがあります。
性被害、ストーカー、DV、ハラスメント、刑事事件などでは、被害者の住所や勤務先を相手に知らせること自体が二次被害や再接触リスクを生みます。本人特定のために必要な情報と、安全確保のために秘匿すべき情報は分けて考えるべきです。
労働関係では、賃金、残業代、解雇、退職、労災、ハラスメント、社会保険、税務など複数の問題が絡みます。包括的な権利放棄は、労働者の真意、情報格差、強迫性、法令違反との関係で争われやすい領域です。
私人間の契約で、逮捕や刑罰を直接発生させることはできません。違反時の効果として書けるのは、主に違約金、損害賠償、解除、期限の利益喪失、差止請求の検討などです。刑事手続を脅し文句として使う条項は避けるべきです。
---
重要な確認点を、本文・表・注意点に分けて整理します。
次の一覧は、分野ごとに見落としやすい要素を整理したものです。事案ごとに失う権利が違うため重要で、各項目から、自分の紛争に近い領域で追加確認すべき論点を読み取ってください。
症状固定、後遺障害、過失割合、人身・物損の切り分けを確認します。
宥恕、告訴・被害届、接触禁止、刑事処分の保証禁止を確認します。
未払賃金、退職、公益通報、行政相談、消費者契約法上の不当条項を確認します。
交通事故では、損害項目が多く、症状固定や後遺障害の有無によって金額が大きく変わります。症状固定とは、治療を続けても大幅な改善が見込めない状態をいいます。後遺障害が疑われる場合、示談は特に慎重に行う必要があります。
刑事事件の示談では、被害弁償、謝罪、宥恕、接触禁止、被害者情報の秘匿、被害届・告訴の扱いが問題になります。
職場のハラスメント、退職、解雇、未払賃金、残業代、労災などの紛争では、示談書が労働者の生活やキャリアに大きく影響します。
SNS投稿や口コミトラブルでは、投稿削除、謝罪、再投稿禁止、発信者情報、スクリーンショット、検索結果、拡散先などが問題になります。
消費者と事業者の示談では、消費者契約法、特定商取引法、景品表示法、個人情報保護法などが絡むことがあります。
---
重要な確認点を、本文・表・注意点に分けて整理します。
次の時系列は、支払条件を設計してから不履行時の手段を検討するまでの順番を表しています。支払われなかった場合の備えを先に読むことが重要で、上から下へ、合意前の確認、支払条件、履行確保の順番を読み取ってください。
誰が誰にいくら支払うのかを、名目と内訳を含めて整理します。
年月日、振込先、振込手数料、領収証、支払確認後の義務を定めます。
高額・分割・資力不安がある場合は、強制執行認諾文言付き公正証書などを検討します。
示談書作成で多い失敗は、インターネット上の雛形に名前と金額だけ入れてしまうことです。雛形は便利ですが、事案の違いを吸収してくれません。
最初に、次の事項を整理します。
示談書は、証拠と無関係に作るものではありません。
交通事故なら、事故証明、診断書、診療明細、修理見積、休業損害証明、後遺障害診断書などが関係します。
ハラスメントなら、メール、チャット、録音、勤怠記録、診断書、社内相談記録、就業規則などが関係します。
SNSトラブルなら、投稿URL、スクリーンショット、発信日時、アカウント情報、削除状況などが必要です。
資料がないまま示談すると、金額や責任範囲が不正確になります。
示談交渉では、後から「強引に署名させられた」「そんな説明は受けていない」と言われることがあります。そのため、次のような記録を残すことが重要です。
署名前には、次の確認が重要です。
示談書は、署名して終わりではありません。支払が完了して初めて実質的に解決することも多いです。
---
重要な確認点を、本文・表・注意点に分けて整理します。
次の比較表は、7. 示談書チェックリストを整理したものです。項目ごとの違いを先に把握することが重要で、左から順に分類、内容、注意点を読み取り、該当する行を重点的に確認してください。
| 項目 | 確認質問 | 危険サイン |
|---|---|---|
| 当事者 | 誰と誰の合意か明確か | 屋号、ニックネーム、SNS名だけで記載 |
| 事件特定 | どの紛争を解決するか明確か | 「一切の問題」など広すぎる |
| 金額 | 金額・名目・期限・方法が明確か | 「速やかに支払う」だけ |
| 分割払い | 支払遅延時の処理があるか | 期限の利益喪失がない |
| 清算条項 | 何を清算するか限定されているか | 本件限定がない |
| 将来損害 | 後遺障害などを留保すべきか | 将来損害を無条件放棄 |
| 守秘義務 | 例外が明記されているか | 弁護士・医師・行政への相談まで禁止 |
| 刑事事件 | 処罰意思の表明にとどまっているか | 不起訴や逮捕回避を保証 |
| 違約金 | 金額が合理的か | 違反1回で過大な金額 |
| 署名押印 | 本人確認・権限確認があるか | 代理権不明、会社権限不明 |
| 公正証書 | 強制執行が必要か検討したか | 高額分割なのに私文書のみ |
| 税務・印紙 | 課税・印紙を確認したか | 名目だけで判断している |
---
重要な確認点を、本文・表・注意点に分けて整理します。
以下は一般的な条項例です。個別事案では、事案に合わせて調整してください。
---
重要な確認点を、本文・表・注意点に分けて整理します。
一般的には、手書きでも、当事者、対象事件、合意内容、日付、署名などが明確であれば、有効な合意として扱われ得ます。ただし、読みやすさ、改ざん防止、保管性、証拠性の観点から、通常は印字した文書を作成し、署名押印する方法が望ましいです。 ただし、事案の内容、証拠、時期、契約条項によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、認印でも直ちに無効になるわけではありません。しかし、本人が署名押印したことを後で争われるリスクを考えると、重要な示談では実印と印鑑登録証明書、本人確認書類、公正証書、電子署名などを検討します。 ただし、事案の内容、証拠、時期、契約条項によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、示談書の文言によります。清算条項や請求放棄条項がある場合、追加請求が制限されることがあります。支払を受ける前に、何を放棄するのか、将来損害をどう扱うのかを確認すべきです。 ただし、事案の内容、証拠、時期、契約条項によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、通常の私的な示談書だけでは、直ちに差押えできないことがあります。支払われない場合は、訴訟、支払督促、調停、公正証書に基づく強制執行などを検討します。高額または分割払いの示談では、事前に強制執行認諾文言付き公正証書を検討する価値があります。 ただし、事案の内容、証拠、時期、契約条項によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、弁護士相談を禁止する条項や要求は、非常に危険です。示談書は権利義務を大きく左右する文書です。内容に不安がある場合は、署名前に専門家へ相談すべきです。 ただし、事案の内容、証拠、時期、契約条項によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、文言によりますが、警察、裁判所、行政機関、弁護士、医師などへの正当な相談・説明まで一律に禁止する条項は問題があります。守秘義務条項には、法令上必要な開示や権利行使・防御のための開示を例外として入れるべきです。 ただし、事案の内容、証拠、時期、契約条項によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、錯誤、詐欺、強迫、公序良俗違反、消費者契約法上の無効、不当な条項などがある場合、効力を争える可能性があります。ただし、簡単に取り消せるとは限らず、証拠や事情の検討が必要です。 ただし、事案の内容、証拠、時期、契約条項によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、当事者自身が示談書を作ること自体は可能です。しかし、高額、分割払い、後遺障害、刑事事件、ハラスメント、消費者契約、会社間取引、労働紛争、守秘義務、将来損害、強制執行が絡む場合は、弁護士相談の必要性が高くなります。 ただし、事案の内容、証拠、時期、契約条項によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、--- ただし、事案の内容、証拠、時期、契約条項によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
重要な確認点を、本文・表・注意点に分けて整理します。
「示談書に必ず入れるべき条項と書いてはいけない条項」を検討するとき、重要なのは次の3点です。
第一に、「何を解決するのか」を明確にすることです。事件の特定が曖昧な示談書は、後日の紛争を防ぐ力が弱くなります。
第二に、「何を終わらせ、何を残すのか」を明確にすることです。清算条項、請求放棄、不提訴、将来損害の留保は、示談書の中核です。
第三に、「書いてはいけない条項」を避けることです。過度な守秘義務、刑事処分の保証、将来損害の無条件放棄、消費者の権利を奪う条項、弁護士相談や行政通報の禁止、証拠隠滅条項は、示談書の効力そのものを危うくします。
示談書は、紛争を終わらせる文書であると同時に、将来の紛争を作ってしまう文書にもなり得ます。雛形の空欄を埋めるのではなく、当事者、事件、損害、支払、清算、例外、履行確保、強制執行、税務、守秘、将来損害を一つずつ確認することが必要です。
迷う場合は、署名する前に弁護士などの専門家へ相談してください。示談書は、署名してから直すより、署名前に確認する方がはるかに安全です。
---
重要な確認点を、本文・表・注意点に分けて整理します。