2σ Guide

成年後見を10年間利用した場合の
トータルコスト試算

月額報酬は10年で大きな負担になります。親族後見人、専門職後見人、監督人ありのケースを分け、相続・不動産・税務まで含めて確認します。

240万月額2万円の10年分
83.6%親族以外の選任割合
1094万高額ケースの概算上限
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成年後見を10年間利用した場合の トータルコスト試算

月額報酬は10年で大きな負担になります。

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成年後見を10年間利用した場合の トータルコスト試算
月額報酬は10年で大きな負担になります。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 成年後見を10年間利用した場合の トータルコスト試算
  • 月額報酬は10年で大きな負担になります。

POINT 1

  • 成年後見を10年間利用した場合の費用全体像
  • まず、10年単位でどの程度の支出幅になるかを把握します。
  • 成年後見を10年間利用する費用は、申立て時の数万円だけでは判断できません。
  • 大きく効くのは、成年後見人の月額報酬、成年後見監督人の報酬、付加報酬、相続や不動産に伴う周辺費用です。
  • 最初に全体の幅を知ることで、親族後見人の負担、専門職後見人の継続報酬、監督人が加わる場合の差を読み取れます。

POINT 2

  • 成年後見を10年間利用する費用の射程
  • 法定後見の後見を中心に、含める費用と外す費用を分けます。
  • 後見制度に直接関係する費用
  • 制度を使わなくても発生し得る費用
  • 後見事務の複雑性として見る費用

POINT 3

  • 相続で成年後見が必要になる場面
  • 相続手続、財産管理、不動産処分、親族対立が重なると長期費用の検討が必要です。
  • 解約と支払いが止まる
  • 協議に参加できない
  • 相続人本人の権利を守る

POINT 4

  • 成年後見を10年間利用する費用構造
  • 申立時費用、月額報酬、監督人報酬、付加報酬、相続周辺費用を分けます。
  • 成年後見の費用は、発生時期と決まり方を5層に分けると整理しやすくなります。
  • 層を分けることが重要なのは、申立時に必要な費用と、10年で大きく積み上がる月額報酬を混同しないためです。
  • 次の比較は、後見人と監督人の月額報酬のめやすを10年分へ置き換えたものです。

POINT 5

  • 成年後見を10年間利用する費用の計算式
  • 月額報酬120か月分を中心に、付加費用と助成を分けて試算します。
  • T10 = I + 120G + 120S + F + P + X + C - A
  • 計算式を先に置くことで、どの費用が固定的で、どの費用が事案依存かを読み取れます。
  • 次の対応表は、計算式の各記号を実務上の費用に置き換えたものです。

POINT 6

  • 成年後見を10年間利用する相続場面別の実務試算
  • 1. 親族後見人、報酬請求なし:監督人なし、鑑定なしなら、10年総額は1万円から2万円程度に近い場合があります。
  • 2. 専門職後見人、監督人なし:鑑定ありで、後見人基本報酬が月額3万円から4万円となると、10年総額は約371万円から493万円が目安になります。
  • 3. 専門職後見人、監督人あり:後見人報酬と監督人報酬で基本部分は約483万円から734万円となり、不動産売却費用や付加報酬は別に検討します。
  • 4. 利益相反と特別代理人:後見人も共同相続人なら、遺産分割で利益相反が生じるため、特別代理人等の選任が必要になる可能性があります。

POINT 7

  • 成年後見を10年間利用すると増えやすい専門職費用
  • 相続、登記、税務、不動産、会社、社会保障を分担して確認します。
  • 相続・不動産・税務・会社・社会保障が絡むと、成年後見人報酬とは別に専門職費用が発生し得ます。
  • どの論点に誰が関与するかを分けることで、見積り漏れを防げます。
  • 相続登記、不動産名義変更、戸籍収集、登記用書類、後見申立ての裁判所提出書類作成などで関与します。

POINT 8

  • 親族後見人は本当に成年後見10年費用を下げるのか
  • 時間コスト
  • 通帳管理、支払い、領収書整理、財産目録作成、定期報告に時間がかかります。
  • 説明責任
  • 他の相続人から財産管理を疑われる可能性があります。

まとめ

  • 成年後見を10年間利用した場合の トータルコスト試算
  • 成年後見を10年間利用した場合の費用全体像:まず、10年単位でどの程度の支出幅になるかを把握します。
  • 成年後見を10年間利用する費用の射程:法定後見の後見を中心に、含める費用と外す費用を分けます。
  • 相続で成年後見が必要になる場面:相続手続、財産管理、不動産処分、親族対立が重なると長期費用の検討が必要です。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

成年後見を10年間利用した場合の費用全体像

まず、10年単位でどの程度の支出幅になるかを把握します。

成年後見を10年間利用する費用は、申立て時の数万円だけでは判断できません。大きく効くのは、成年後見人の月額報酬、成年後見監督人の報酬、付加報酬、相続や不動産に伴う周辺費用です。

次の比較表は、10年間の概算額を管理財産額と監督人の有無で整理したものです。最初に全体の幅を知ることで、親族後見人の負担、専門職後見人の継続報酬、監督人が加わる場合の差を読み取れます。

ケース10年間の概算総額重要な注意点
親族後見人、報酬請求なし、監督人なし約1万円から12万円現金支出は小さくても、親族の管理責任と報告負担は重くなります。
報酬を請求する後見人、1000万円以下、監督人なし約242万円から253万円月額2万円を10年分として試算します。
報酬を請求する後見人、1000万円超5000万円以下、監督人なし約362万円から493万円月額3万円から4万円を10年分として試算します。
報酬を請求する後見人、5000万円超、監督人なし約602万円から733万円月額5万円から6万円を10年分として試算します。
報酬を請求する後見人、1000万円以下、監督人あり約363万円から494万円後見人月額2万円に監督人月額1万円から2万円を加えます。
報酬を請求する後見人、1000万円超5000万円以下、監督人あり約483万円から734万円後見人月額3万円から4万円、監督人月額1万円から2万円の組み合わせです。
報酬を請求する後見人、5000万円超、監督人あり約903万円から1094万円後見人月額5万円から6万円、監督人月額2万5000円から3万円の組み合わせです。
注意この比較は基本報酬を中心にした概算です。遺産分割、不動産売却、相続登記、相続税申告、使い込み疑い、訴訟、会社株式、知的財産、境界問題、専門職への依頼費用、付加報酬は別に加わる可能性があります。
Section 01

成年後見を10年間利用する費用の射程

法定後見の後見を中心に、含める費用と外す費用を分けます。

成年後見制度には、家庭裁判所が成年後見人等を選ぶ法定後見と、本人が判断能力のあるうちに契約で準備する任意後見があります。ここでは、相続実務で問題になりやすい法定後見のうち、判断能力が欠けているのが通常の状態の方に使われる後見を中心に整理します。

次の一覧は、10年費用に含めるものと、基本試算から外すものを分けています。どこまでを後見費用として見るかを分けることが重要で、介護費や生活費まで混ぜると、後見制度そのものの負担が見えにくくなります。

含める費用

後見制度に直接関係する費用

申立費用、鑑定費用、成年後見人報酬、監督人報酬、報酬付与申立ての事務費、付加報酬、相続・不動産・税務・紛争の周辺費用を扱います。

基本試算から外す費用

制度を使わなくても発生し得る費用

介護施設費、医療費、通常の生活費、通常の相続税額そのものは、基本の10年試算からは外します。

影響し得る費用

後見事務の複雑性として見る費用

施設契約、不動産売却、納税資金の確保などは、後見人の事務量や付加報酬に影響する可能性があります。

本人の利益を中心に据える点も重要です。成年後見は、相続人の都合で財産を動かす制度ではなく、本人の財産管理と身上保護を支える制度です。

Section 02

相続で成年後見が必要になる場面

相続手続、財産管理、不動産処分、親族対立が重なると長期費用の検討が必要です。

相続で成年後見が必要になるのは、本人の判断能力が低下した結果、財産管理、契約、遺産分割、不動産処分が止まる場面です。相続手続だけを一時的に代行する制度ではないため、開始後に長く続く可能性まで見込む必要があります。

次の一覧は、成年後見と相続が交差しやすい場面を並べたものです。どの場面があるかを確認すると、後見費用だけでなく、登記、税務、不動産、紛争対応の費用が加わるかを読み取れます。

預貯金

解約と支払いが止まる

親が認知症となり、預貯金の解約、施設契約、介護費支払いができない場合です。

遺産分割

協議に参加できない

共同相続人の1人が判断能力を欠くと、遺産分割協議に有効に参加できません。

相続手続

相続人本人の権利を守る

本人が相続人となり、相続放棄、遺産分割、預金払戻し、保険金請求、相続登記が必要になる場合です。

不動産

売却や納税資金が必要

本人所有の自宅や収益不動産を売却しなければ、施設費や納税資金を確保できないことがあります。

親族対立

使い込み疑いがある

親族間に使い込み疑いがあり、中立的な専門職後見人が必要になる場合です。

特殊財産

会社や知財などがある

非上場株式、事業用不動産、知的財産、農地、借地権、境界未確定土地が含まれる場合です。

次の割合比較は、最高裁判所事務総局家庭局の令和7年統計で示された主な申立て動機を整理したものです。割合が高い項目ほど、成年後見が相続だけでなく日常の財産管理や身上保護と重なって現れやすいことを読み取ります。

預貯金管理
93.4%
身上保護
74.2%
介護契約
45.7%
不動産処分
36.3%
相続手続
25.6%
相続手続は単独で現れるというより、預貯金管理、介護、施設入所、不動産処分と重なりやすい項目です。
重要相続登記は2024年4月1日から義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内の申請が必要とされています。判断能力を欠く共同相続人がいると、登記、売却、納税、預金解約まで止まることがあります。
Section 03

成年後見を10年間利用する費用構造

申立時費用、月額報酬、監督人報酬、付加報酬、相続周辺費用を分けます。

成年後見の費用は、発生時期と決まり方を5層に分けると整理しやすくなります。層を分けることが重要なのは、申立時に必要な費用と、10年で大きく積み上がる月額報酬を混同しないためです。

費用項目発生時期金額の決まり方
第1層申立手数料、登記手数料、郵便料、書類取得費申立時裁判所案内、実費、医療機関費用で決まります。
第2層鑑定費用鑑定実施時事案ごとに異なり、多くは10万円以下と説明されています。
第3層成年後見人の基本報酬継続的家庭裁判所の審判で決まり、報酬のめやすが参照されます。
第4層監督人報酬、付加報酬必要時家庭裁判所が事務内容と財産内容を考慮します。
第5層相続、登記、税務、不動産、紛争の周辺費用必要時各専門職の見積り、取引費用、税法、登記費用などで変わります。

次の比較は、後見人と監督人の月額報酬のめやすを10年分へ置き換えたものです。管理する流動資産の区分が上がるほど10年累計が大きくなり、監督人が選任されると別枠で上乗せされることを読み取ります。

区分月額のめやす10年分
後見人、財産管理額1000万円以下2万円240万円
後見人、1000万円超5000万円以下3万円から4万円360万円から480万円
後見人、5000万円超5万円から6万円600万円から720万円
監督人、5000万円以下1万円から2万円120万円から240万円
監督人、5000万円超2万5000円から3万円300万円から360万円

親族後見人であっても、監督人が選任されれば監督人報酬が発生し得ます。最高裁判所の令和7年統計では、成年後見人等に親族以外が選任されたものが83.6%、親族が選任されたものが16.4%とされています。

Section 04

成年後見を10年間利用する費用の計算式

月額報酬120か月分を中心に、付加費用と助成を分けて試算します。

10年総額は、月額報酬を120か月分として積み上げ、付加報酬や相続周辺費用を別枠で足し、助成が使える場合は控除する形で整理します。計算式を先に置くことで、どの費用が固定的で、どの費用が事案依存かを読み取れます。

T10 = I + 120G + 120S + F + P + X + C - A

T10は10年間の総額、Iは申立時直接費用、Gは後見人の月額基本報酬、Sは監督人の月額基本報酬、Fは報酬付与申立て等の事務費、P・X・Cは事案依存の費用、Aは利用できる助成です。

次の対応表は、計算式の各記号を実務上の費用に置き換えたものです。基本値が数字で置ける項目と、案件ごとに見積りが必要な項目を分けて読むことが重要です。

記号意味基本値
T1010年間の総額試算対象
I申立時直接費用1万円から12万円
G成年後見人の月額基本報酬0円、2万円、3万円から4万円、5万円から6万円
S監督人の月額基本報酬0円、1万円から2万円、2万5000円から3万円
F報酬付与申立て等の事務費約0円から2万円
P付加報酬事案依存
X申立代理、書類作成、訴訟、税務、登記等の専門職費用事案依存
C相続、不動産、会社、知財等の周辺費用事案依存
A法テラス、市町村助成等利用できる場合に控除

次の金額比較は、月額2万円、4万円、6万円を10年分へ換算したものです。申立時の1万円から12万円より、月額報酬の累計が大きくなりやすいことを読み取ります。

240万
月額2万円
480万
月額4万円
720万
月額6万円
Section 05

成年後見を10年間利用する基本シナリオ別試算

8つのシナリオで、報酬と監督人の有無による差を比較します。

基本シナリオでは、付加報酬、申立代理等の専門職費用、相続・不動産・税務等の周辺費用、助成をいったん0円として、制度利用の基本費用だけを見ます。この比較により、監督人の有無と流動資産額の区分がどれだけ総額を変えるかを読み取れます。

シナリオ後見人報酬監督人報酬10年報酬部分初期・申立関連10年総額概算
A 親族後見人、報酬請求なし、監督人なし0円0円0円1万円から12万円1万円から12万円
B 親族後見人、報酬請求なし、監督人あり、5000万円以下0円月額1万円から2万円120万円から240万円3万円から14万円123万円から254万円
C 報酬を請求する後見人、1000万円以下、監督人なし月額2万円0円240万円2万円から13万円242万円から253万円
D 報酬を請求する後見人、1000万円超5000万円以下、監督人なし月額3万円から4万円0円360万円から480万円2万円から13万円362万円から493万円
E 報酬を請求する後見人、5000万円超、監督人なし月額5万円から6万円0円600万円から720万円2万円から13万円602万円から733万円
F 報酬を請求する後見人、1000万円以下、監督人あり月額2万円月額1万円から2万円360万円から480万円3万円から14万円363万円から494万円
G 報酬を請求する後見人、1000万円超5000万円以下、監督人あり月額3万円から4万円月額1万円から2万円480万円から720万円3万円から14万円483万円から734万円
H 報酬を請求する後見人、5000万円超、監督人あり月額5万円から6万円月額2万5000円から3万円900万円から1080万円3万円から14万円903万円から1094万円
読み方専門職後見人か親族後見人かだけではなく、報酬を請求するか、監督人がいるか、管理する流動資産がいくらかを分けて見る必要があります。
Section 06

成年後見を10年間利用する相続場面別の実務試算

預貯金、不動産売却、利益相反の有無で追加費用が変わります。

相続場面では、同じ10年でも預貯金額、不動産売却、監督人、利益相反の有無で費用の中心が変わります。次の時系列は、典型事例ごとに何が費用を動かすかを示すもので、少額で済む場合と数百万円規模になる場合の違いを読み取れます。

預貯金800万円

親族後見人、報酬請求なし

監督人なし、鑑定なしなら、10年総額は1万円から2万円程度に近い場合があります。ただし、通帳、領収書、施設費、医療費、本人生活費の記録管理が重い負担になります。

預貯金1500万円

専門職後見人、監督人なし

鑑定ありで、後見人基本報酬が月額3万円から4万円となると、10年総額は約371万円から493万円が目安になります。

預貯金3000万円と自宅

専門職後見人、監督人あり

後見人報酬と監督人報酬で基本部分は約483万円から734万円となり、不動産売却費用や付加報酬は別に検討します。

共同相続人が成年被後見人

利益相反と特別代理人

後見人も共同相続人なら、遺産分割で利益相反が生じるため、特別代理人等の選任が必要になる可能性があります。

次の比較表は、不動産売却と利益相反で追加的に問題になりやすい費用を整理したものです。基本報酬だけでは見落としやすい周辺費用を、売却・登記・評価・税務・紛争の順に確認します。

場面追加で確認する費用注意点
居住用不動産の売却収入印紙800円、郵便切手、査定書、契約書案、登記事項証明書等家庭裁判所の許可が必要となる場合があります。
不動産売却実務仲介手数料、登記、測量、境界確認、残置物処理、税務検討後見固有の費用でなくても、後見人の事務量を増やします。
利益相反のある遺産分割特別代理人、遺産分割協議書、不動産評価、相続税申告、弁護士費用本人の法定相続分を下回る分割や代償金不払いリスクに注意します。
Section 07

成年後見を10年間利用すると増えやすい専門職費用

相続、登記、税務、不動産、会社、社会保障を分担して確認します。

相続・不動産・税務・会社・社会保障が絡むと、成年後見人報酬とは別に専門職費用が発生し得ます。次の一覧は、専門職ごとに費用が増える場面を整理したものです。どの論点に誰が関与するかを分けることで、見積り漏れを防げます。

弁護士

遺留分、遺産分割調停・審判、使い込み疑い、預金の不自然な出金、遺言無効、共有物分割、後見人への苦情、本人財産の返還請求などで関与します。

紛争相続

司法書士

相続登記、不動産名義変更、戸籍収集、登記用書類、後見申立ての裁判所提出書類作成などで関与します。

登記

税理士

相続税申告、準確定申告、譲渡所得税、不動産売却後の税務、非上場株式評価、税務調査対応で関与します。

税務

行政書士等

紛争、税務、登記申請を除く範囲で遺産分割協議書や相続人関係説明図などの書類作成に関与することがあります。

書類

不動産専門職

不動産鑑定士、土地家屋調査士、宅地建物取引士が、評価、境界、分筆、売買契約、重要事項説明などで関与します。

不動産

会計・事業・知財

公認会計士、中小企業診断士、弁理士は、会社、非上場株式、事業用資産、知的財産がある場合に関与します。

事業

FP・社労士

年金、保険、介護費、施設費、不動産維持費、後見報酬を含む長期資金計画や年金関係手続で関与します。

資金
注意本人がすでに判断能力を欠く場合、新たな遺言、任意後見契約、信託契約の有効性は厳しく問題になります。予防的な相続対策の選択肢は限られます。
Section 08

親族後見人は本当に成年後見10年費用を下げるのか

報酬がなくても、管理責任、説明責任、利益相反、監督人リスクが残ります。

親族後見人が報酬を請求しなければ、現金支出は小さくなります。ただし、費用が低いことと負担が軽いことは同じではありません。次の一覧では、親族後見人に残る隠れた負担を整理し、どの負担が後日の相続紛争につながりやすいかを読み取ります。

時間コスト

通帳管理、支払い、領収書整理、財産目録作成、定期報告に時間がかかります。

説明責任

他の相続人から財産管理を疑われる可能性があります。

利益相反

親族後見人自身が相続人、受贈者、借主、同居者である場合に問題が起こります。

不正リスク

本人財産と自分の財産を混同すると、返還請求、解任、刑事問題につながることがあります。

専門性不足

不動産、税務、会社、訴訟、相続放棄で判断を誤る可能性があります。

監督人選任

親族後見人であっても監督人が選任されれば、監督人報酬が発生し得ます。

次の比較は、親族後見人と専門職後見人を費用だけでなく管理責任の面から整理したものです。現金支出の大小だけでなく、報告に耐える証拠管理と利益相反の有無を読み取ります。

観点親族後見人専門職後見人
現金支出報酬請求がなければ抑えられることがあります。報酬付与申立てにより月額換算の費用を見込む必要があります。
管理責任通帳、領収書、施設費、医療費、生活費の記録が必要です。職務として管理しますが、本人財産から報酬が支払われます。
親族間の説明後日の相続で使途を疑われるリスクがあります。中立性が確保されやすい一方、費用負担への不満が出ることがあります。
複雑案件不動産、税務、会社、紛争では限界が出やすいです。専門的処理に向く一方、付加報酬や周辺費用が問題になります。
Section 09

成年後見10年費用で使える助成、法テラス、市町村支援

費用負担が難しい場合は、支援制度と自治体要綱を分けて確認します。

費用負担が難しい場合は、法テラスの民事法律扶助、市町村の成年後見制度利用支援事業、地域包括支援センター、中核機関、社会福祉協議会を確認します。次の比較は、支援制度ごとに対象になりやすい費用と注意点を分けたものです。

制度・窓口対象になり得る費用確認すべき点
法テラスの民事法律扶助申立代理人費用などの立替え資力要件、償還、生活保護受給者の猶予・免除の扱いを確認します。
市町村の利用支援事業申立費用や後見人等報酬の助成所得要件、資産要件、申立人要件、報酬助成上限、申請期限を確認します。
地域包括支援センター等相談先への接続、市町村長申立ての相談本人の住所地、生活状況、親族関係、緊急性を整理して相談します。

次の重要表示は、厚生労働省資料にある自治体助成の普及状況を示しています。この数字から、助成制度は例外的な制度ではなく、本人の住所地で必ず確認すべき実務項目であることを読み取ります。

1741自治体中1690自治体

令和3年4月1日時点の厚生労働省資料では、高齢者関係で成年後見制度の申立費用や報酬の助成制度を設けている自治体数が、回答1741自治体のうち1690自治体とされています。ただし、対象者や上限は自治体ごとに異なります。

Section 10

成年後見10年費用を下げるための実務方策

本人保護を前提に、準備、資料整理、不動産、利益相反を早く確認します。

成年後見の費用を下げるために本人保護を犠牲にすることはできません。ただし、不要な費用、無用な紛争、手続遅延を避けることはできます。次の判断の流れは、準備、資料整理、不動産、利益相反、支援預貯金の順に確認するものです。

成年後見10年費用を膨らませない確認順序

判断能力があるうちに準備

任意後見契約、公正証書遺言、財産管理委任契約、家族信託、生命保険、財産目録整備などを検討します。

財産資料を整理

通帳、領収書、固定資産税通知、保険証券、年金通知、医療費、施設費、賃貸契約、借入、保証債務を整理します。

不動産の出口を決める

自宅、空き家、収益不動産、共有不動産、農地、山林、借地権について、維持、売却、賃貸、相続まで保有の選択肢を比べます。

利益相反を早く確認

後見人や親族が共同相続人の場合、遺産分割、共有物売却、代償分割などで本人利益と親族利益が衝突しやすくなります。

支援信託・支援預貯金を検討

一定額以上の財産がある場合、後見制度支援信託や支援預貯金により管理を安定させられることがあります。

次のチェック表は、相続人が申立前に確認すべき項目をまとめたものです。各行の確認内容を埋めることで、10年費用、相続周辺費用、助成制度、記録管理の見落としを減らせます。

チェック項目確認内容
本人の判断能力診断書、本人情報シート、日常の意思決定状況を確認します。
必要な法律行為預金解約、不動産売却、施設契約、遺産分割、相続放棄、保険金請求を洗い出します。
代替手段任意代理、日常生活自立支援事業、金融機関手続で足りるかを確認します。
継続可能性相続手続後も終了できない可能性を理解します。
候補者親族候補者の適格性、利害関係、財産管理能力、他相続人の納得を確認します。
監督人可能性財産額、親族対立、使い込み疑い、不動産や相続の複雑性を確認します。
10年費用240万円、480万円、720万円、1000万円規模の可能性を把握します。
周辺費用登記、税務、鑑定、測量、不動産売却、弁護士費用を別に見積もります。
助成制度市区町村、法テラス、地域包括支援センター、中核機関に確認します。
記録管理通帳、領収書、契約書、財産目録、相続資料を保存します。
Section 11

成年後見を10年間利用する費用のよくある質問

報酬、終了、親族後見人、相続税対策に関する誤解を整理します。

次の質問と回答は、10年費用で誤解が起きやすい点を一般情報として整理したものです。個別事情、財産額、親族関係、証拠関係、家庭裁判所の判断で結論が変わるため、具体的な対応は資料を整理して専門家に確認してください。

家族を候補者にすれば必ず家族が後見人になりますか。

一般的には、家庭裁判所が本人の心身の状態、生活・財産状況、候補者の適格性、利害関係、親族間対立、財産管理の難易度などを考慮して選任するとされています。最高裁判所の令和7年統計では、親族以外が選任されたものが83.6%とされています。ただし、個別事情で結論は変わるため、具体的な見通しは弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

専門職後見人が選ばれると毎月必ず報酬が発生しますか。

一般的には、成年後見人等の報酬は、報酬付与申立てがあり、家庭裁判所が審判で決定した場合に本人財産から支払われます。専門職後見人は報酬付与申立てを行うことが想定されるため、長期利用では月額換算の報酬を見込む必要があります。

親族後見人なら0円ですか。

一般的には、親族後見人が報酬を請求しなければ後見人報酬が0円になる可能性があります。ただし、申立費用、鑑定費用、書類取得費、監督人報酬、相続・登記・税務・不動産の費用は別です。親族後見人自身が報酬付与申立てをすれば、家庭裁判所が相当な報酬を認めることもあります。

相続手続が終われば成年後見は終了できますか。

一般的には、相続手続の完了だけでは成年後見は終了しません。本人の判断能力が回復し、家庭裁判所が取消しを認める必要があるとされています。本人が亡くなるまで続く可能性を前提に費用を計算する必要があります。

成年後見人報酬は誰が払いますか。

一般的には、家庭裁判所の審判により、本人の財産から支払われるのが基本です。申立時の費用は申立人が一時負担することがありますが、裁判官の判断で本人負担が認められることがあります。

10年ではなく5年なら費用は半分ですか。

一般的には、基本報酬部分はおおむね期間に比例します。月額2万円なら5年で120万円、10年で240万円です。ただし、申立費用、鑑定費用、不動産売却、遺産分割、訴訟、税務などのスポット費用は期間に単純比例しません。

成年後見を使うと相続税対策はできなくなりますか。

一般的には、本人の利益にならない相続税対策や、本人財産を相続人へ移す目的の贈与は困難です。成年後見人は本人の利益のために行動する法定代理人であり、相続人の節税や財産移転を目的にすることはできません。

Section 12

成年後見10年費用を本人中心で評価する

費用は本人の権利、生活、財産管理の安全性と合わせて判断します。

成年後見の10年費用は、高いか安いかだけでは評価できません。本人に判断能力がない状態で、預金解約、遺産分割、不動産売却を無理に進めれば、無効、取消し、損害賠償、親族間紛争、刑事問題に発展する可能性があります。

次の重要ポイントは、10年費用を本人中心性と法的安全性から評価するためのものです。費用が高い場合でも、複雑な財産管理や紛争防止に対応している可能性があることを読み取ります。

成年後見費用は本人の法的安全性を確保するためのコストです

預貯金、有価証券、賃貸不動産、会社株式、海外資産、借入、保証債務、税務申告がある場合、専門職の関与なしに安全に管理することは困難なことがあります。

次の一覧は、最終判断で確認すべき3つの軸を示しています。相続人の便宜ではなく、本人の生活、医療、介護、住まい、尊厳、意思決定支援を守る観点から読み取ります。

軸1

必要な法律行為

成年後見が本当に必要な法律行為は何かを確認します。

軸2

続く期間

開始後に何年続く可能性があるかを確認します。

軸3

本人財産への影響

後見人報酬だけでなく、相続、不動産、税務、紛争、監督人、付加報酬まで含めて本人財産からいくら減るかを確認します。

Reference

成年後見10年費用の参考資料

公的機関の制度資料を中心に確認しています。

公的機関・制度資料

  • 厚生労働省「法定後見制度とは(手続の流れ、費用)」
  • 裁判所「後見開始」
  • 裁判所「後見開始」申立てに必要な費用
  • 大阪家庭裁判所・大阪家庭裁判所堺支部・大阪家庭裁判所岸和田支部「成年後見人等の報酬額のめやす」
  • 最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況」
  • 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
  • 福岡家庭裁判所「成年後見申立ての手引」
  • 大阪家庭裁判所「成年後見制度(後見・保佐・補助)」報酬付与申立て
  • 大阪家庭裁判所「成年後見制度(後見・保佐・補助)」居住用不動産処分許可申立て
  • 大阪家庭裁判所「成年後見制度(後見・保佐・補助)」特別代理人等選任申立て
  • 大阪家庭裁判所「成年後見制度(後見・保佐・補助)」定期報告
  • 厚生労働省「成年後見制度利用支援事業について」