多くの非上場投資信託では基準価額が出発点ですが、信託財産留保額、源泉徴収税額相当額、未収分配金などの調整が必要です。ETF、J-REIT、外貨建て、NISA口座の違いも整理します。
多くの非上場投資信託では基準価額が出発点ですが、信託財産留保額、源泉徴収税額相当額、未収分配金などの調整が必要です。
基準価額を使う場面、使わない場面、調整が必要な項目を最初に整理します。
「投資信託の相続税評価額は基準価額で計算するのか」という問いへの答えは、商品区分によって変わります。多くの非上場投資信託では基準価額を出発点にしますが、相続税評価額は基準価額そのものではなく、課税時期に解約請求または買取請求をしたと仮定した場合に受け取れる価額を考えるのが基本です。
次の重要ポイントは、投資信託の相続税評価額が単純な掛け算で終わらない理由を表しています。読者にとって重要なのは、最初に商品区分を分けることで確認すべき資料が変わる点です。まず「基準価額を使うのか、市場価格を使うのか」を読み取ってください。
非上場投資信託では基準価額と口数を確認し、税額相当額、信託財産留保額、解約手数料、未収分配金を調整します。ETFやJ-REITは上場株式に準じるため、取引所価格と月平均額の比較が中心になります。
次の一覧は、相続税評価で最初に分けるべき3つの方向を表しています。この区分を誤ると、基準価額、終値、TTB、分配金の扱いがずれてしまうため重要です。各項目から、どの資料を金融機関に依頼するかを読み取ってください。
基準価額を出発点に、口数、源泉徴収されるべき所得税等相当額、信託財産留保額、解約手数料を確認します。
基準価額ではなく、上場株式の評価に準じて、死亡日の終値と死亡月、前月、前々月の月平均額を比較します。
外貨建てはTTBで円換算し、NISA口座も相続財産として評価します。未収分配金や金銭分配期待権の漏れにも注意します。
基準価額を使う商品でも、最終的な評価額には控除や加算が入ることがあります。
証券会社や銀行で購入する多くの公募投資信託は、取引所でリアルタイム売買される商品ではなく、通常は1日1回算出される基準価額をもとに購入や換金が行われます。基準価額は純資産総額を総口数で割った価額で、多くの国内公募投資信託では1万口あたりで公表されます。
相続税評価でも基準価額は重要ですが、典型的な非上場投資信託では「基準価額×口数」だけで確定しないことがあります。課税時期に解約請求等をしたと仮定した場合に、源泉徴収されるべき所得税等相当額、信託財産留保額、解約手数料を控除することが問題になります。
次の判断の流れは、投資信託の相続税評価額で最初に確認する順番を表しています。最初の分岐を誤ると、基準価額で計算すべき商品を市場価格で見たり、ETFを非上場投資信託と同じ式で見たりするため重要です。上から順に、どの評価ルールに進むかを読み取ってください。
金融機関の残高証明書と明細で、投資信託の種類を確認します。
ETFやJ-REITなら上場株式に準じた評価へ進みます。
死亡日の終値、死亡月、前月、前々月の月平均額を確認します。
口数、税額相当額、信託財産留保額、未収分配金を確認します。
次の比較表は、基準価額を使う商品と市場価格を使う商品の違いを表しています。評価方法の入口を整理しておくと、金融機関への依頼内容が明確になるため重要です。左列の商品区分ごとに、中央列の基礎価額と右列の調整項目を読み取ってください。
| 商品区分 | 評価の出発点 | 主な調整項目 |
|---|---|---|
| 日々決算型以外の非上場投資信託 | 課税時期の基準価額と保有口数 | 源泉徴収されるべき所得税等相当額、信託財産留保額、解約手数料 |
| 日々決算型の投資信託 | 基準価額と口数 | 再投資されていない未収分配金、税額相当額、信託財産留保額、解約手数料 |
| ETFなど上場投資信託 | 死亡日の終値と月平均額 | 上場株式評価に準じるため、解約控除の発想とは異なります |
| 外貨建て投資信託 | 商品ごとの評価額 | 原則として課税時期のTTBで円換算します |
計算式の前に、評価時点、基準価額、控除項目の意味を整理します。
相続税評価額とは、相続税を計算するために相続財産を評価した金額です。日常的な売却価格に近いこともありますが、相続税では相続税法、財産評価基本通達、国税庁の説明などに基づき、財産の種類ごとに評価方法が定められています。
相続税の計算では、各人の課税価格を合計し、そこから基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を計算します。基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数です。投資信託の評価額は、この課税価格を構成する財産額の一部になります。
次の用語一覧は、投資信託の相続税評価額で混同しやすい概念を表しています。計算式に入る前に意味をそろえることが重要です。左列で用語、中央列で意味、右列で評価上の注意点を確認してください。
| 用語 | 意味 | 評価での注意点 |
|---|---|---|
| 課税時期 | 相続税評価の評価時点 | 相続や遺贈では原則として被相続人の死亡日です。 |
| 基準価額 | 投資信託の純資産総額を受益権総口数で割った価額 | 多くは1万口あたりで公表されるため、口数の単位を確認します。 |
| 信託財産留保額 | 途中換金時に換金する人が負担し、投資信託に残される財産 | 評価上控除する場合があるため、目論見書や金融機関回答を確認します。 |
| 源泉徴収されるべき所得税等相当額 | 解約請求等をした場合に源泉徴収されるべき税額相当額 | 商品区分、口座区分、現行税制で扱いが変わるため機械計算は避けます。 |
| 未収分配金 | 権利が発生しているが、まだ受け取っていない分配金 | 日々決算型や分配金の権利確定前後で評価漏れが起きやすい項目です。 |
基準価額が「1万口あたり12,000円」と表示され、保有口数が1,500,000口の場合、12,000円に1,500,000をそのまま掛けてはいけません。1,500,000口を10,000口で割って150単位と考え、12,000円×150=1,800,000円が基準価額ベースの金額になります。
公募株式投資信託の分配金や譲渡益について、2014年以降の代表的な税率として20.315%が説明されることがあります。また、2009年以降、公募株式投資信託の換金時利益は換金方法を問わず譲渡所得として扱われる整理があります。ただし、財産評価で控除する金額は商品区分や口座区分により確認が必要です。
貸付信託、日々決算型、非上場投資信託、ETF、J-REIT、外貨建てを分けて確認します。
投資信託の相続税評価額は、「投資信託」という大きなくくりだけで判断できません。次の比較表は、商品区分ごとの基本式と確認資料を表しています。商品区分により控除や加算の有無が変わるため重要です。該当する行から、どの計算式と資料が必要かを読み取ってください。
| 種類 | 基本的な評価式 | 確認する資料 |
|---|---|---|
| 貸付信託受益証券 | 元本の額+既経過収益の額−源泉所得税相当額−買取割引料 | 発行した信託銀行等の買取金額、収益計算期間、買取割引料 |
| 日々決算型 | 基準価額×口数+未収分配金−未収分配金の税額相当額−信託財産留保額等 | MRF、MMF、中期国債ファンド等の明細、未収分配金 |
| 日々決算型以外の非上場投資信託 | 課税時期の基準価額×口数−税額相当額−信託財産留保額等 | 相続開始日現在の基準価額、口数、控除項目 |
| ETFなど上場投資信託 | 上場株式に準じ、終値と月平均額を比較 | 死亡日の終値、死亡月、前月、前々月の月平均額 |
| J-REIT | 上場株式に準じた1口ごとの評価 | 取引所価格、分配金の権利状況 |
| 外貨建て投資信託 | 商品ごとの評価額を原則TTBで円換算 | 外貨評価額、課税時期のTTB、未収分配金、外貨預り金 |
貸付信託受益証券は、発行した信託銀行等が課税時期に買い取る場合の買取金額を基として評価します。評価額は、元本の額に既経過収益の額を加え、源泉所得税相当額と買取割引料を差し引く形で整理されます。既経過収益の額は、課税時期の属する収益計算期間の開始日から課税時期の前日までの期間における収益分配金の額です。
MRF、MMF、中期国債ファンドなどの日々決算型では、基準価額に口数を掛けるだけでなく、再投資されていない未収分配金を加算し、その未収分配金に係る源泉徴収税額相当額、信託財産留保額、解約手数料を調整します。証券口座内で自動的にMRFに振り替えられている場合もあるため、預り金、MRF、外貨建MMF、現金残高を区別します。
もっとも相談件数が多いのは、銀行や証券会社で販売される国内公募株式投資信託、国内公募公社債投資信託、バランスファンド、外国株式インデックスファンド、アクティブファンドなどです。正確な区分は、目論見書や金融機関の回答で確認します。
次の計算例一覧は、1万口あたり基準価額を使う非上場投資信託の評価過程を表しています。基準価額ベースの金額と最終評価額が違うことを確認するために重要です。行ごとの前提、途中計算、最終額の差を読み取ってください。
| 例 | 前提 | 計算結果 |
|---|---|---|
| 信託財産留保額がある場合 | 2026年5月10日、1万口あたり14,000円、3,000,000口、信託財産留保額0.2%、税額相当額0円 | 14,000円×300=4,200,000円。4,200,000円×0.2%=8,400円。評価額は4,191,600円。 |
| 税額相当額がある場合 | 1万口あたり12,500円、2,000,000口、基準価額ベース2,500,000円、証券会社回答の税額相当額50,000円 | 2,500,000円−50,000円=2,450,000円。税額相当額は自己判断で安易に算定しません。 |
ETFなど金融商品取引所に上場されている証券投資信託は、解約請求等を前提とした評価ではなく、上場株式に準じて評価します。原則として死亡日の最終価格を用いますが、死亡月、前月、前々月の各月平均額のうち最も低い価額が死亡日の最終価格を下回る場合は、その低い価額で評価します。
次の横棒グラフは、ETF評価で比較する4つの価額を表しています。相続税評価では最も低い価額が採用される場面があるため重要です。棒の長さは金額の大きさを示し、右端の数値から、この例では前々月平均17,500円が最も低いことを読み取ってください。
J-REITは日常会話では不動産投資信託と呼ばれますが、法的には投資法人の投資口など、通常の契約型投資信託とは異なる形態をとることがあります。上場J-REITでは基準価額ではなく取引所価格を用いるのが基本です。外貨建て投資信託では、まず商品ごとの評価方法に従い、その後に原則として課税時期のTTBで日本円に換算します。
死亡日、休日、終値がない日、基準価額の公表時刻を整理します。
相続税評価の課税時期は、相続や遺贈では原則として被相続人が死亡した日です。死亡後に相場が上がった、または下がったとしても、相続税評価の基準日は原則として死亡日です。証券会社には「相続開始日現在」の残高証明書や評価資料を依頼します。
次の時系列は、死亡日と評価資料の関係を表しています。基準価額がない日や取引所価格がない日でも、都合のよい後日の価格を選べるわけではないため重要です。上から順に、非上場投資信託と上場投資信託で確認する日付の違いを読み取ってください。
相続では原則として死亡日が評価時点です。死亡診断書、戸籍、住民票の除票などで死亡日を確認します。
死亡日に基準価額がない場合は、課税時期前の基準価額のうち、課税時期に最も近い日の基準価額を用いる整理になります。
終値がない日や権利落ちがある場合は、上場株式評価の定めに準じて、前後の最終価格や修正の要否を確認します。
基準価額、口数、控除項目、終値、月平均額、TTBなど、計算根拠を後から説明できる資料として残します。
投資信託の基準価額は、通常、1日1回、組入資産の時価評価をもとに算出されます。相続税評価では、画面上でいつ公表されたかよりも、評価ルール上どの日の基準価額が採用されるかが重要です。死亡日に基準価額があるならその基準価額を使い、死亡日に基準価額がなければ課税時期前の最も近い基準価額を使うのが基本です。
投資信託本体の評価と、分配金を受ける権利を分けて確認します。
投資信託を相続するときは、本体の評価だけでなく、分配金を受ける権利が相続財産に含まれるかを確認します。日々決算型では、再投資されていない未収分配金が評価式に明示的に含まれます。ETFやJ-REITでは、分配金の基準日、権利落ち、支払日、相続開始日の位置関係により、金銭分配期待権または未収分配金を別途評価する必要が生じることがあります。
次の比較表は、投資信託本体と分配金の権利を分けて確認する視点を表しています。評価漏れは相続財産の過少計上につながる可能性があるため重要です。どの時点でどの権利が発生しているかを読み取ってください。
| 確認対象 | 確認する時点 | 評価上の見方 |
|---|---|---|
| 投資信託本体 | 死亡日現在 | 非上場なら基準価額と口数、上場なら終値と月平均額を確認します。 |
| 日々決算型の未収分配金 | 再投資前の未収額がある時点 | 基準価額ベースの金額に未収分配金を加算し、税額相当額等を調整します。 |
| ETFやJ-REITの分配金 | 基準日、権利落ち、支払日との関係 | 金銭分配期待権や未収分配金を、配当期待権に準じて確認することがあります。 |
| 外貨建て商品の分配金 | 外貨で権利がある時点 | 外貨額と円換算レートを別に確認し、換算根拠を残します。 |
配当期待権に準じる評価では、課税時期後に受けると見込まれる予想配当の金額から、その金額につき源泉徴収されるべき所得税等相当額を控除した金額で評価する考え方があります。投資信託やREITの金銭分配期待権も、この考え方に準じることがあります。
NISAは所得税・住民税の非課税制度であり、相続税評価を不要にする制度ではありません。
NISA口座に入っている投資信託であっても、相続税の対象財産から除外されるわけではありません。NISAは所得税・住民税上の非課税制度であり、相続税の財産評価を不要にする制度ではないためです。
次の3つの整理は、NISA口座の投資信託で混同しやすい論点を表しています。相続税評価、所得税上の取得価額、金融機関手続は別々に確認する必要があるため重要です。それぞれの項目から、どの専門家や金融機関に確認するかを読み取ってください。
NISA口座内の商品も相続財産として死亡日時点の評価が必要です。非課税口座だから評価額をゼロにできるわけではありません。
税務NISAから払い出された上場株式等について、相続開始日の終値に相当する金額で取得したものとみなされる場合があります。
所得税相続人のNISA口座にそのまま移せるわけではなく、原則として課税口座への移管や届出が問題になります。
手続税務申告の評価額と、相続人間で公平に分けるための価値は別の問題です。
相続税申告では、原則として死亡日時点の評価額を用います。一方、遺産分割協議で誰がどの財産を取得するかを決めるとき、相続人間では協議時点の時価、実際の換金額、死亡日時点の評価額、またはこれらを調整した金額を用いることがあります。相続人間の合意があれば、内部的な分け方として別の評価基準を採用すること自体は実務上あり得ます。
次の注意点一覧は、投資信託の価格変動が遺産分割に与える影響を表しています。死亡後も価格が動く財産では公平感のずれが生じやすいため重要です。どの場面で税理士、弁護士、金融機関の確認が必要になるかを読み取ってください。
死亡日、分割協議日、換金日で価額が変わることがあります。相続税申告と相続人間の分け方を混同しないことが大切です。
ある相続人が投資信託を取得し、別の相続人が預金を取得する場合、価格変動の負担を誰が見るかが問題になります。
評価時点や換金損益の扱いでもめる場合は、法的交渉の対象になることがあります。税務申告では税理士との連携も必要です。
単なる残高証明書だけでは、控除項目や分配金の情報が不足することがあります。
投資信託の相続税評価では、金融機関から死亡日現在の資料を取得することが出発点です。「相続税申告に使用するため、被相続人の死亡日現在の投資信託の相続税評価に必要な資料をください」と明確に伝えると、必要な明細を依頼しやすくなります。
次の資料一覧は、投資信託の相続税評価額を計算するために確認すべき書類を表しています。評価漏れや根拠不足を防ぐため重要です。各項目から、残高、評価額、控除項目、換算レート、分配金のどの資料が不足しているかを読み取ってください。
死亡日現在の残高証明書、銘柄別の保有口数、基準価額、評価額がわかる明細を取得します。
信託財産留保額、解約手数料、解約請求等をした場合に源泉徴収されるべき所得税等相当額の有無と金額を確認します。
交付目論見書、運用報告書、商品概要資料、特定口座、一般口座、NISA口座など口座区分がわかる資料を確認します。
外貨建ての場合は外貨建評価額と換算レートを確認します。分配金、未収分配金、金銭分配期待権に関する支払通知書も確認します。
商品区分、課税時期、価額、口数、控除項目、外貨換算、申告書の整合性を順に確認します。
投資信託の相続税評価は、手順を固定して確認するとミスを減らせます。次の手順図は、実務で確認する順番を表しています。順番を飛ばすと、基準価額の単位、商品区分、分配金、外貨換算を見落としやすいため重要です。上から順に、どの情報を集めて評価額に反映するかを読み取ってください。
貸付信託、日々決算型、非上場投資信託、ETF、J-REIT、外貨建て、NISA、私募投信などを分けます。
相続では原則として死亡日を基準に、金融機関へ資料を請求します。
非上場なら基準価額、上場なら取引所価格を確認し、1口あたりか1万口あたりかも確認します。
死亡後の売却や移管があっても、相続税評価では死亡日時点の数量が基準です。
信託財産留保額、解約手数料、税額相当額、未収分配金、分配金期待権を確認します。
原則として課税時期のTTBで円換算し、レートの根拠を保存します。
財産明細に転記し、計算メモと添付資料を保存します。
単位、時点、商品区分、控除項目、分配金、NISA、外貨換算を確認します。
投資信託の相続税評価では、計算そのものよりも、前提資料の取り違えで誤りが起きることがあります。次の注意点一覧は、実務で見落としやすい誤りを表しています。どれも評価額に直接影響するため重要です。該当する項目がないか、資料を見ながら読み取ってください。
口数を1万で割らずに計算すると、評価額が大きくずれます。表示単位を必ず確認します。
ウェブ画面の現在残高ではなく、相続開始日現在の残高と価額を使います。
ETFは上場株式に準じて評価します。基準価額や一口純資産額を中心にしない点に注意します。
控除できる場合があるため、目論見書や金融機関の評価資料を確認します。
20.315%という税率だけで判断せず、商品区分、口座区分、金融機関回答を確認します。
基準日後、支払日前などでは、未収分配金や金銭分配期待権の確認が必要になることがあります。
NISAは所得税・住民税の非課税制度であり、相続税評価を不要にする制度ではありません。
相続税評価上のTTBに基づく換算かを確認し、換算根拠を保存します。
税務申告の評価額と、相続人間で公平に分けるための価値は一致しないことがあります。
税務、法務、登記、書類作成、金融機関手続、相続後の資産管理を分けて考えます。
投資信託の相続では、税理士だけで完結する場面もありますが、相続人間の争い、不動産を含む遺産分割、金融機関手続、相続後の資産運用が絡むと複数の専門職が関わります。次の一覧は、専門家ごとの主な役割を表しています。相談先を間違えると手続が進まないことがあるため重要です。どの論点を誰に確認するかを読み取ってください。
投資信託の相続税評価、相続税申告、税務代理、税務調査対応を担当します。源泉徴収税額相当額、信託財産留保額、外貨換算、NISA、未収分配金の確認が重要です。
中核投資信託そのものは金融機関手続が中心ですが、不動産が含まれる場合は相続登記を担当します。2024年4月1日から相続登記は義務化されています。
登記争いがなく、税務や登記申請代理に該当しない範囲で、遺産分割協議書、相続関係説明図、戸籍収集支援などの書類作成に関与することがあります。
書類残高証明書、相続手続書類、移管手続、換金手続、相続人名義口座への移管などを案内します。税務判断を代行するわけではありません。
資料相続後の資産運用、生活資金、納税資金、二次相続対策、保険の見直しなどで役立つことがあります。
運用評価資料の取得に時間がかかっても、申告期限は原則として延びません。
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行う必要があります。投資信託の評価資料の取得に時間がかかる場合でも、申告期限は原則として延びません。遺産分割協議が成立していない場合でも、相続税の申告期限は延びない点にも注意します。
次の時系列は、投資信託の評価資料取得と相続税申告期限の関係を表しています。期限から逆算しないと、金融機関の回答待ちで申告準備が遅れるため重要です。各時点で、どの資料と判断が必要になるかを読み取ってください。
相続開始日現在の投資信託の残高、口数、基準価額、終値、分配金の権利状況を確認します。
単なる残高証明書だけで足りない場合があるため、相続税評価用の明細や控除項目の回答を依頼します。
未分割でも期限までに申告と納税が必要です。民法上の相続分などに従って計算する場面があります。
後から分割が成立し税額が変わる場合には、修正申告や更正の請求が問題になることがあります。
基準価額そのものではない理由、税額相当額の射程、相続後の所得税との違いを確認します。
非上場投資信託の評価が基準価額そのものではなく、解約請求等により支払いを受けることができる価額を基礎とする理由は、投資信託が信託財産を換金して受益者に返還する仕組みを持つからです。取引所で第三者に売るのではなく、販売会社や委託会社のルールに従って解約または買取により換金するため、信託財産留保額、解約手数料、税額相当額が差し引かれることがあります。
次の専門論点一覧は、評価通達199まわりで慎重に確認したい点を表しています。一般向けの単純な説明だけでは税額相当額や取得費の扱いを誤ることがあるため重要です。各項目から、金融機関回答と税理士判断を突き合わせるべき場面を読み取ってください。
非上場投資信託は換金時の実質的な受取額に近づける設計のため、控除項目を確認します。
通達上の文言、商品区分、私募か公募か、特定口座か一般口座か、他の譲渡損益との関係を踏まえます。
相続税評価額が、そのまま相続人の所得税上の取得費になるとは限りません。売却予定がある場合は早めに確認します。
安全な実務対応としては、金融機関に相続開始日現在で解約請求等をした場合の源泉徴収税額相当額を照会し、商品区分と口座区分を税理士が確認し、評価計算メモに控除した金額と根拠資料を保存する流れが考えられます。
銀行販売、ETFとの混在、外貨建MMF、NISA、死亡後売却の疑いを整理します。
実際の相続では、口座内に複数の商品が混在していたり、死亡後に換金が行われたりすることがあります。次のケース別一覧は、よくある相談場面ごとの確認ポイントを表しています。場面ごとに必要資料と相談先が変わるため重要です。自分の状況に近いケースから、最初に確認する項目を読み取ってください。
多くは非上場の公募投資信託です。死亡日現在の残高証明書と相続税評価用資料を依頼し、1万口あたり基準価額、信託財産留保額、税額相当額を確認します。
ETFは上場株式に準じて評価し、非上場投資信託は基準価額を出発点に評価します。名称だけでなく銘柄コードと上場の有無を確認します。
外貨建ての投資信託として、評価と円換算の両方が問題になります。未収分配金、外貨預り金、為替レート、TTBを確認します。
NISA口座内の商品も相続財産です。相続税評価を行い、金融機関の手続に従って死亡届出等を進めます。
税務上は死亡日現在の評価資料を取る必要があります。法務上は売却権限、遺産分割前の処分、払戻金の管理、使い込みの有無が問題になります。
基準価額、休日、1万口表示、控除項目、NISA、資料取得について一般的な考え方を整理します。
一般的には、多くの非上場投資信託では基準価額が計算の出発点になるとされています。ただし、基準価額×口数だけで終わるとは限らず、源泉徴収されるべき所得税等相当額、信託財産留保額、解約手数料、未収分配金などを調整する場合があります。商品区分や口座区分で結論が変わる可能性があるため、具体的な対応は税理士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、非上場投資信託で課税時期の基準価額がない場合、課税時期前の基準価額のうち課税時期に最も近い日の基準価額を用いるとされています。ただし、商品内容や金融機関資料の表示によって確認方法が変わる可能性があります。具体的な評価は、相続開始日と資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、1万口あたりの基準価額が公表されている場合、保有口数を1万で割って計算するとされています。たとえば、1万口あたり15,000円、保有口数800,000口なら、15,000円×80=1,200,000円が基準価額ベースの金額です。ただし、最終評価額では控除項目や加算項目が問題になることがあります。
一般的には、途中換金時に差し引かれる信託財産留保額がある場合、評価上控除の対象になることがあるとされています。ただし、投資信託ごとに有無や率が異なり、評価資料の内容によって確認が必要です。具体的には、目論見書や金融機関回答を確認したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、20.315%は公募株式投資信託の分配金や譲渡益に関する代表的な税率として説明されます。ただし、財産評価上控除する金額は、課税時期に解約請求等をした場合に源泉徴収されるべき所得税等相当額です。商品区分、口座区分、現行税制により結論が変わる可能性があるため、金融機関回答と税理士等の確認が必要です。
一般的には、相続税評価は死亡日時点で行うとされています。死亡後すぐに売却しても、相続税評価額が当然に売却額になるわけではありません。ただし、売却資料は遺産分割や納税資金の確認で重要になることがあります。具体的な申告額は、死亡日現在の評価資料をもとに税理士等へ相談する必要があります。
一般的には、相続税評価は死亡日現在の価額で行うとされています。申告時点で価格が下がっていても、死亡日現在の評価額を用いるのが基本です。ただし、商品区分や死亡日に価格がない場合の扱いは資料によって確認が必要です。具体的には、評価資料を整理したうえで税理士等へ相談する必要があります。
一般的には、未分割でも相続税の申告期限は延びないとされています。相続財産が分割されていない場合でも、期限までに申告と納税が必要です。ただし、分割後に税額が変わる場合には修正申告や更正の請求が問題になることがあります。具体的には、税理士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、販売会社である銀行、証券会社、信託銀行などに依頼します。相続税申告用であること、死亡日現在の資料が必要であることを伝えると、必要資料を確認しやすくなります。ただし、金融機関ごとに様式や回答範囲が異なるため、不足資料は税理士等と確認する必要があります。
一般的には、残高証明書だけでは十分でないことがあります。基準価額、信託財産留保額、源泉徴収税額相当額、未収分配金、外貨換算レートが記載されていない場合、別途資料が必要になることがあります。具体的には、金融機関の明細と税理士等の確認を組み合わせる必要があります。
最後に、基準価額を使う場合と使わない場合の結論をまとめます。
次のまとめは、投資信託の相続税評価額を判断するための最終確認項目を表しています。単純な「はい」または「いいえ」では誤解しやすいテーマのため重要です。商品区分ごとに、基準価額、市場価格、外貨換算、分配金、NISAの扱いを読み取ってください。
| 確認項目 | 結論の整理 |
|---|---|
| 非上場の一般的な投資信託 | 基準価額を出発点にします。ただし、税額相当額、信託財産留保額、解約手数料を調整する場合があります。 |
| 日々決算型 | 基準価額×口数に未収分配金を加え、税額相当額や信託財産留保額等を調整します。 |
| ETFなど上場投資信託 | 基準価額ではなく上場株式に準じ、死亡日の終値と死亡月、前月、前々月の月平均額を比較します。 |
| J-REITなど | 上場されている不動産投資信託証券等は、上場株式に準じる整理があります。 |
| 外貨建て商品 | 評価額を円換算するため、原則として課税時期のTTBを確認します。 |
| NISA口座内の商品 | 相続税評価が必要であり、NISAだから相続税が非課税になるわけではありません。 |
| 遺産分割上の価値 | 相続税評価額と相続人間で分けるための価値は一致するとは限りません。 |
制度の確認に用いた公的資料・実務資料名を整理します。