2σ Guide

過失相殺とは
交通事故の損害賠償を調整する制度

民法722条2項、自賠責の重過失減額、証拠、医療資料、示談交渉まで、交通事故で賠償額がどう変わるかを一般情報として整理します。

722条民法の中心規定
7割自賠責の重過失境界
10%3,000万円なら300万円差
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過失相殺とは 交通事故の損害賠償を調整する制度

民法722条2項、自賠責の重過失減額、証拠、医療資料、示談交渉まで、交通事故で賠償額がどう変わるかを一般情報として整理します。

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過失相殺とは 交通事故の損害賠償を調整する制度
民法722条2項、自賠責の重過失減額、証拠、医療資料、示談交渉まで、交通事故で賠償額がどう変わるかを一般情報として整理します。
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  • 過失相殺とは 交通事故の損害賠償を調整する制度
  • 民法722条2項、自賠責の重過失減額、証拠、医療資料、示談交渉まで、交通事故で賠償額がどう変わるかを一般情報として整理します。

POINT 1

  • 過失相殺とは何かをまず押さえる
  • 損害賠償額を公平に調整する制度として、過失割合との関係まで一気に整理します。
  • 過失相殺は「悪さの割合」ではなく損害分担の調整です
  • 過失相殺
  • 過失割合

POINT 2

  • 過失相殺とはどの法律から生まれるのか
  • 民法、自賠法、道路交通法、時効の関係を分けて確認します。
  • 警察が決めるものと民事で決めるもの
  • 法的根拠を整理するときは、責任原因を定める規定、道路上の行動ルール、保険請求の制度、時効管理を分けることが重要です。
  • 時効は交渉の土台になる期限管理を表します。

POINT 3

  • 過失相殺とは損害額にどう反映されるのか
  • 1. 損害総額を項目別に整理:治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益、物損などを分けます。
  • 2. 被害者側過失割合を確認:事故態様と修正要素を証拠で検討します。
  • 3. 相手方負担割合を掛ける:100%から被害者側過失割合を差し引いた割合を使います。
  • 4. 既払金や給付を調整:自賠責、任意保険、労災、健康保険、仮払金などの控除関係を確認します。

POINT 4

  • 過失相殺とは自賠責保険でどう扱われるのか
  • 通常の民事賠償と自賠責の重過失減額は同じではありません。
  • 自賠責保険・共済は被害者保護の制度であり、通常の民事賠償と同じ形で厳格に過失相殺するわけではありません。
  • 任意保険の一括対応では、自賠責部分と任意保険部分を一体として受け取るように見えることがあります。

POINT 5

  • 過失相殺とは証拠でどう変わるのか
  • 1. 早期受診と症状申告:痛み、しびれ、頭痛、吐き気、めまい、記憶障害、視覚・聴覚異常、歯や顎、心理面の症状は軽く見えることがあります。
  • 2. 治療経過と通院合理性:診療録、画像、検査結果、処方、リハビリ記録、紹介状を整理します。
  • 3. 後遺障害申請の基点:症状固定は、医学上一般に認められた医療を行っても医療効果が期待できなくなった状態と説明されています。

POINT 6

  • 過失相殺とは事故類型ごとにどう考えるのか
  • 交差点事故
  • 信号、一時停止、優先道路、道路幅、左方優先、先入、見通し、停止線、衝突地点を確認します。
  • 追突事故
  • 後続車の前方不注視や車間距離だけでなく、前車の急停止、後退、無灯火、危険な進路変更も問題になります。

POINT 7

  • 過失相殺とは被害者側の過失や別制度とどう違うのか
  • 同乗者、家族、共同不法行為、素因減額、損益相殺を分けます。
  • 同乗者・家族・内縁関係
  • 共同不法行為
  • 素因減額・損益相殺・好意同乗

POINT 8

  • 過失相殺とは示談交渉でどう争うのか
  • 1. 事故態様を固定:日時、天候、道路、信号、速度、衝突地点、損傷部位、停止位置を整理します。
  • 2. 保険会社の根拠を確認:事故類型、基本割合、修正要素、証拠、人損と物損の扱いを尋ねます。
  • 3. 証拠と反論を結びつける:映像時刻、停止位置、衝突部位、目撃者、警察資料を具体的に示します。
  • 4. 示談範囲と時効を確認:物損だけの合意か、人身を含むか、清算条項と期限を確認します。

まとめ

  • 過失相殺とは 交通事故の損害賠償を調整する制度
  • 過失相殺とは何かをまず押さえる:損害賠償額を公平に調整する制度として、過失割合との関係まで一気に整理します。
  • 過失相殺とはどの法律から生まれるのか:民法、自賠法、道路交通法、時効の関係を分けて確認します。
  • 過失相殺とは損害額にどう反映されるのか:基本式、物損、人身、高額損害での差を具体例で確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

過失相殺とは何かをまず押さえる

損害賠償額を公平に調整する制度として、過失割合との関係まで一気に整理します。

過失相殺とは、交通事故などの不法行為で損害賠償額を決める際、被害者側にも事故発生または損害拡大に関係する不注意や落ち度がある場合に、その事情を考慮して賠償額を減らす法的な調整制度です。中心条文は民法722条2項で、交通事故実務では過失割合、過失相殺率、基本割合、修正要素、重過失減額、被害者側の過失と結びついて使われます。

最初に見るべきなのは、過失相殺が「被害者を責める制度」ではなく、発生した損害を当事者間でどのように分担するかを決める仕組みだという点です。ここを押さえると、痛みや治療の必要性と、賠償額が調整される問題を分けて読めます。

過失相殺は「悪さの割合」ではなく損害分担の調整です

事故態様、道路状況、信号、速度、証拠、医療経過、保険制度、既払金、時効、同乗者関係、社会保険給付まで関係します。単純な印象ではなく、証拠と制度を組み合わせて確認する必要があります。

次の3つの整理は、制度の入口で混乱しやすい言葉を分けるための一覧です。読者にとって重要なのは、事故原因の評価、損害額の計算、保険上の扱いが別々の段階で問題になることを読み取ることです。

制度

過失相殺

被害者側の過失を考慮し、請求できる損害賠償額を調整する考え方です。民法上の通常の相殺とは異なります。

割合

過失割合

事故発生または損害拡大への寄与を、80対20や70対30のように表す実務上の概念です。

資料

基本割合と修正要素

事故類型ごとの出発点に、速度、信号、見通し、著しい過失、重過失などの事情を加減して検討します。

注意一般的には、警察の捜査、刑事処分、行政処分、保険会社の提示、民事上の過失相殺は目的が異なるとされています。個別の見通しや対応方針は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

過失の意味

ここでいう過失は、日常語の「うっかり」だけではありません。道路交通上の注意義務、予見可能性、回避可能性、交通規制、視界、速度、進路、車両状態、周囲の交通状況などを踏まえ、事故や損害拡大を避けるため通常求められる行動をとらなかったことを指します。

相殺という言葉の注意点

交通事故でいう過失相殺は、債権同士を対当額で消す通常の相殺とは異なります。たとえば総損害額が1,000万円、被害者側過失が20%なら、原則として1,000万円から20%を控除し、800万円を基礎にするという意味です。被害者が加害者へ20%を支払うという意味ではありません。

Section 01

過失相殺とはどの法律から生まれるのか

民法、自賠法、道路交通法、時効の関係を分けて確認します。

法的根拠を整理するときは、責任原因を定める規定、道路上の行動ルール、保険請求の制度、時効管理を分けることが重要です。次の表は各制度が何を扱うかを示すもので、どの根拠が過失相殺の計算に直接関わるかを読み取るために使います。

制度主な役割過失相殺との関係
民法722条2項被害者に過失があるとき、裁判所が損害賠償額を定める際に考慮できる枠組みです。過失相殺の中心条文です。事故発生だけでなく損害拡大の事情も問題になることがあります。
民法709条故意または過失により他人の権利・利益を侵害した場合の不法行為責任です。加害者側の責任原因を検討する基礎になります。
自賠法3条運行供用者責任により、人身損害について被害者保護を図る制度です。自賠責保険・共済の請求と関係しますが、最終的な民事賠償額では過失相殺が問題になります。
道路交通法信号、速度、一時停止、横断歩道、事故発生時の措置などを定めます。違反の有無は重要な判断材料ですが、違反だけで民事上の割合が自動決定されるわけではありません。
時効人身損害の不法行為請求や自賠責請求には期限があります。過失割合の交渉が長引くほど、権利行使の期限管理が重要になります。

時効は交渉の土台になる期限管理を表します。人身損害では、損害および加害者を知った時から5年、不法行為時から20年という枠組みが問題になり、自賠責保険・共済の請求は原則3年で、傷害、後遺障害、死亡により起算点が異なるとされています。

期限過失割合を精密に争うことは重要ですが、時効が迫る場面では権利行使の管理が先に問題になります。交渉中でも期限が止まるとは限らないため、一般的には専門家への確認が必要とされています。

警察が決めるものと民事で決めるもの

警察は事故の届出、現場確認、実況見分、刑事事件としての捜査を行いますが、民事上の過失割合を最終決定する機関ではありません。交通違反や刑事責任の評価と、損害賠償額を調整する過失相殺は、証拠が重なる部分はあっても目的が異なります。

Section 02

過失相殺とは損害額にどう反映されるのか

基本式、物損、人身、高額損害での差を具体例で確認します。

計算は、過失割合そのものを決める段階と、決まった割合を損害額へ反映する段階に分けると理解しやすくなります。次の判断の流れは、どの段階で割合、損害項目、既払金を見るのかを示すもので、途中を飛ばすと最終支払額を誤りやすい点を読み取れます。

賠償額を考える判断の流れ

損害総額を項目別に整理

治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益、物損などを分けます。

被害者側過失割合を確認

事故態様と修正要素を証拠で検討します。

相手方負担割合を掛ける

100%から被害者側過失割合を差し引いた割合を使います。

既払金や給付を調整

自賠責、任意保険、労災、健康保険、仮払金などの控除関係を確認します。

次の表は、計算例を金額と割合で整理したものです。読者にとって重要なのは、同じ過失割合でも物損と人身では控除や既払金の扱いが異なり、総損害が大きいほど数%の差が生活再建に影響する点です。

場面計算式読み取り方
基本式請求可能額の基礎 = 損害総額 × 相手方負担割合
相手方負担割合 = 100% - 被害者側過失割合
総損害に相手方が負担する割合を掛けるのが出発点です。
総損害1,200万円・被害者側過失25%1,200万円 × 75% = 900万円過失相殺後の基礎額は900万円です。
物損例A車修理費80万円 × Bの過失70% = 56万円
B車修理費40万円 × Aの過失30% = 12万円
双方に請求権があるため、実務上は差額処理されることがあります。
人身損害例総損害2,000万円 × 80% = 1,600万円ここから治療費、自賠責、仮払金、労災給付などの控除順序を確認します。
1割違う意味総損害3,000万円 × 10% = 300万円高次脳機能障害、脊髄損傷、死亡事故、将来介護費では数%差でも影響が大きくなります。
計算総損害に割合を掛けるだけで最終額が出るとは限りません。既払金、自賠責保険金、労災給付、健康保険からの求償、弁護士費用相当額、遅延損害金、物損と人損の区別、損益相殺、充当関係が絡むためです。
Section 03

過失相殺とは自賠責保険でどう扱われるのか

通常の民事賠償と自賠責の重過失減額は同じではありません。

自賠責保険・共済は被害者保護の制度であり、通常の民事賠償と同じ形で厳格に過失相殺するわけではありません。次の割合比較は、重過失減額が始まる境界を高さで表したもので、7割未満では減額なしとされる一方、7割以上から段階的に扱いが変わることを読み取るためのものです。

70%
減額開始の境界
80%
後遺障害・死亡で3割
90%
後遺障害・死亡で5割

次の表は、自賠責の重過失減額と通常の民事上の過失相殺を比べたものです。被害者にとって重要なのは、民事上の過失割合が大きくても自賠責の範囲では一定の救済が残る可能性がある一方、100%被害者の責任とされる無責事故では扱いが大きく異なる点です。

区分扱い注意点
通常の民事賠償被害者側過失20%なら、原則として損害額から20%を控除する考え方です。最終額では既払金や損益相殺も問題になります。
自賠責の傷害部分被害者側過失7割未満では減額なし、7割以上10割未満では2割減額とされています。治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料などが対象になります。
自賠責の後遺障害・死亡部分7割以上8割未満は2割、8割以上9割未満は3割、9割以上10割未満は5割の減額とされています。後遺障害は逸失利益や慰謝料等、死亡は死亡による損害の枠組みで扱われます。
無責事故100%被害者の責任で発生した事故では、相手車両の自賠責保険金・共済金の支払対象にならないと説明されています。事故態様と責任の有無を証拠で確認する必要があります。

任意保険の一括対応では、自賠責部分と任意保険部分を一体として受け取るように見えることがあります。しかし制度上は自賠責の支払基準と任意保険・民事賠償の考え方は同じではなく、異議申立や紛争処理、被害者請求、既払金、健康保険、労災、時効を個別に確認する必要があります。

Section 04

過失相殺とは証拠でどう変わるのか

警察資料、映像、車両損傷、医療資料を役割ごとに整理します。

過失割合を争う場面では、どの資料が何を示すかを分けることが重要です。次の一覧は証拠の種類と役割を表し、事故原因の立証、損害額の立証、損害拡大の評価が別の資料で支えられることを読み取るために使います。

交通事故証明書

事故の存在、日時、場所、当事者などの基礎情報を示します。過失割合を最終決定する資料ではありません。

基礎資料

実況見分調書・物件事故報告書

道路状況、車両位置、衝突地点、停止位置、ブレーキ痕、見通し、説明内容などが問題になります。

警察資料

ドライブレコーダー・防犯カメラ

信号、速度感、ブレーキ、進路変更、車間距離、歩行者や自転車の動き、衝突音などを確認できることがあります。

客観映像限界あり

EDR・車両データ・損傷痕跡

速度、衝突角度、制動、損傷位置、塗膜片、擦過痕、部品散乱位置などから事故態様を検討します。

工学分析

医療資料

診断書、診療録、画像、検査結果、リハビリ記録、後遺障害診断書は因果関係、損害額、症状固定に関わります。

損害立証

医療と事故原因は混同しやすい論点です。次の時系列は、事故後の医療資料がどの段階で重要になるかを示すもので、早期受診、症状固定、後遺障害、既払金調整を順番に確認する必要があることを読み取れます。

事故直後

早期受診と症状申告

痛み、しびれ、頭痛、吐き気、めまい、記憶障害、視覚・聴覚異常、歯や顎、心理面の症状は軽く見えることがあります。初診が遅いと因果関係を争われる場合があります。

治療中

治療経過と通院合理性

診療録、画像、検査結果、処方、リハビリ記録、紹介状を整理します。通院が少ない理由が仕事や育児などにある場合も、医学的状態と合わせて説明する必要があります。

症状固定

後遺障害申請の基点

症状固定は、医学上一般に認められた医療を行っても医療効果が期待できなくなった状態と説明されています。後遺障害申請や請求期限に影響します。

交差点で被害者側に20%の過失があるとしても、それ自体は「けがが存在しない」ことを意味しません。逆に重い後遺障害が残っても、事故発生に被害者側の過失があれば賠償額は調整される可能性があります。

Section 05

過失相殺とは事故類型ごとにどう考えるのか

交差点、追突、歩行者、自転車、駐車場、高速道路などの評価軸を整理します。

事故類型ごとの評価では、基本割合だけでなく、信号、速度、見通し、合図、児童・高齢者、著しい過失、重過失などの修正事情が重要です。次の一覧は代表的な事故類型と確認軸を表し、どの事実が割合を動かす材料になるかを読み取るためのものです。

交差点事故

信号、一時停止、優先道路、道路幅、左方優先、先入、見通し、停止線、衝突地点を確認します。

追突事故

後続車の前方不注視や車間距離だけでなく、前車の急停止、後退、無灯火、危険な進路変更も問題になります。

進路変更事故

合図、変更開始位置、後続車との距離、速度差、死角、合流地点の構造を確認します。

歩行者事故

横断歩道、信号、横断禁止場所、夜間視認性、児童・高齢者への保護、前方注視義務を検討します。

自転車事故

信号遵守、一時停止、夜間灯火、右側通行、スマートフォン使用、歩道通行時の徐行などが問題になります。

駐車場・高速道路

駐車場ではバックや発進、歩行者通行、高速道路では渋滞末尾、故障車、路肩停止、落下物、合流、二次事故が重要です。

次の表は、類型別に「最初に確認する事実」と「割合を動かし得る事情」を分けたものです。読者にとって重要なのは、事故名だけで割合が決まるのではなく、具体的な道路状況と証拠の組み合わせで評価される点です。

類型最初に確認する事実割合を動かし得る事情
信号機のある交差点双方の信号表示、黄信号・赤信号進入、右折矢印の有無。信号表示の立証、速度、既右折、渋滞、見通し。
信号機のない交差点優先道路、一時停止、道路幅、左方優先、先入関係。停止線位置、衝突部位、最終停止位置、ブレーキ痕、目撃者。
右左折直進車優先、左折巻き込み、横断歩道、自転車横断帯。合図、寄せ、死角確認、内輪差、大型車の注意義務。
歩行者横断歩道上か、信号、横断禁止場所、年齢や属性。飛び出し、夜間、酒酔い、車道上横臥、運転者の歩行者保護義務。
基準交通事故の過失割合では、裁判例を類型化した実務上の基準が参照されます。ただし、基準は事故類型が合えば自動的にその割合になるというものではなく、修正要素と証拠による確認が必要です。
Section 06

過失相殺とは被害者側の過失や別制度とどう違うのか

同乗者、家族、共同不法行為、素因減額、損益相殺を分けます。

発展的な論点では、本人の不注意だけでなく、家族や同乗者、複数加害者、既往症、社会保険給付が絡みます。次の一覧は混同しやすい制度を並べたもので、どれが過失相殺で、どれが別の調整なのかを読み取るために重要です。

被害者側

同乗者・家族・内縁関係

被害者本人以外でも、身分上・生活関係上一体とみられる者の過失が考慮されることがあります。単なる友人や同僚では慎重に検討されます。

複数加害者

共同不法行為

複数車両、道路管理、落下物、整備不良などが重なると、絶対的過失相殺と相対的過失相殺の考え方が問題になります。

別制度

素因減額・損益相殺・好意同乗

既往症や体質、保険給付、無償同乗時の危険関与などは、過失相殺と似て見えても別の理由で整理されます。

次の表は、別制度との違いを項目別に示しています。読者にとって重要なのは、保険会社の書面で複数の言葉が混在していても、どの制度を理由に、どの損害項目が、何%またはいくら減らされているのかを分解して確認することです。

用語何を調整するか過失相殺との違い
被害者側の過失被害者と生活上一体とみられる者の過失を考慮します。本人が運転していなくても問題になることがありますが、関係の実態が重要です。
素因減額既往症、体質的素因、心理的要因などの寄与を見ます。被害者の不注意を問題にする制度ではありません。
損益相殺同じ事故を原因として受けた保険金や給付の控除を検討します。二重取りを避けるための調整で、過失とは別です。
好意同乗無償同乗中の事故で賠償額を制限できるかを検討します。単に乗せてもらっただけで当然に減額されるわけではありません。

最高裁は、内縁の夫の過失を被害者側の過失として考慮できるとした判断枠組みや、複数加害者の過失と被害者の過失が競合する一つの交通事故で過失相殺後の損害賠償額について加害者らが共同不法行為に基づく責任を負うとした判断を示しています。

Section 07

過失相殺とは示談交渉でどう争うのか

事故態様の固定、提示根拠の確認、証拠による反論、示談前チェックをまとめます。

示談交渉では、感情的に納得できないと伝えるだけでは割合が動きにくいとされています。次の判断の流れは、提示割合を受け取った後に、どの順番で事実、根拠、証拠、示談範囲を確認するかを示すもので、反論を証拠と結びつける重要性を読み取るためのものです。

過失割合提示後の確認手順

事故態様を固定

日時、天候、道路、信号、速度、衝突地点、損傷部位、停止位置を整理します。

保険会社の根拠を確認

事故類型、基本割合、修正要素、証拠、人損と物損の扱いを尋ねます。

証拠と反論を結びつける

映像時刻、停止位置、衝突部位、目撃者、警察資料を具体的に示します。

示談範囲と時効を確認

物損だけの合意か、人身を含むか、清算条項と期限を確認します。

付録Bの実務メモは、事故から示談前までの段階を時系列で並べると使いやすくなります。次の時系列は、各段階で優先する資料や確認事項を表し、事故直後の保存が後日の過失相殺に影響することを読み取るためのものです。

事故直後48時間

救護・届出・証拠保存

負傷者の救護、安全確保、警察への届出、早期受診、現場・車両・信号・標識の撮影、ドライブレコーダー保存、説明時の事実と推測の区別が重要です。その場で過失割合を合意しないことも大切です。

治療中

症状と資料を継続整理

症状を医師へ具体的に伝え、通院頻度、検査、リハビリ、休業損害資料、治療費打切りの打診、物損示談の範囲、過失割合の根拠を確認します。

示談前

総損害・時効・清算条項

総損害額、過失割合の根拠、既払金、自賠責部分と任意保険部分、将来損害、後遺障害、介護、逸失利益、時効、示談書の清算条項を確認します。

保存資料の一覧は、事故態様の立証と損害額の立証を分けて確認するために重要です。次の表では、どの資料がどの争点に関わるかを整理しており、後から集めにくい資料を早めに押さえる必要があることを読み取れます。

分野保存する資料関係する争点
事故現場・車両現場全景、信号、標識、停止線、横断歩道、道路幅、見通し、車両損傷、ドラレコ原本、防犯カメラ位置、目撃者、レッカー記録、修理見積、全損資料。事故態様、衝突位置、速度、回避可能性、物損額。
警察・行政交通事故証明書、人身切替資料、実況見分調書、供述調書、不起訴記録、免許証、車検証、自賠責証明書、任意保険証券、道路管理者への照会記録。事故存在、刑事記録、届出、保険請求、道路状況。
医療・生活診断書、診療録、画像、検査結果、休業診断書、後遺障害診断書、源泉徴収票、確定申告書、労災、傷病手当金、障害年金、復職・退職資料。因果関係、症状固定、後遺障害、休業損害、逸失利益、損益相殺、生活再建。
Section 08

過失相殺とは専門職ごとに何を意味するのか

現場対応、医療、保険、法律、車両技術、福祉が交差します。

交通事故の過失相殺は、法律だけで完結しません。次の一覧は専門職ごとの役割を表し、どの分野の資料や専門知が事故原因、損害額、生活再建に関係するかを読み取るために重要です。

警察官・交通捜査担当

実況見分、供述調書、現場写真、信号サイクル、道路規制、事故態様の記録が民事でも重要な証拠になります。

現場記録

救急隊員・救急救命士

搬送時の意識状態、痛みの部位、外傷の程度、患者の訴え、現場状況は、受傷機転や症状の連続性に関わります。

初期症状

医師・看護師・リハビリ職

診断、画像、治療経過、症状固定、後遺障害、就労制限、日常生活動作の制限が損害立証の基礎になります。

医療資料

法律分野

事実認定、証拠評価、法的基準、交渉、訴訟、時効、既払金、後遺障害、解決額と解決時期を整理します。

法的評価

保険・損害調査

事故受付、責任判断、支払、示談交渉、後遺障害申請、重過失減額、既払金管理を行います。提示根拠の確認が重要です。

支払実務

事故鑑定・車両技術

速度、衝突角度、視認距離、反応時間、制動距離、回避可能性、EDR、映像解析、損傷痕跡を検討します。

工学検証

社会保険・福祉・就労支援

労災、傷病手当金、障害年金、介護保険、障害福祉、復職、就学、心理的支援が生活再建に関わります。

生活再建
連携過失相殺により賠償額が減る場合ほど、社会保障制度や保険給付を組み合わせた生活再建が重要になります。ただし、給付は損益相殺や求償と関係するため、制度ごとの整理が欠かせません。
Section 09

過失相殺とは何かを用語集で確認する

付録Cの重要語を公開向けに整理します。

用語集は、交渉書面や保険会社の説明を読むときの確認表として重要です。次の表は似た言葉の意味を短くまとめたもので、過失相殺、過失割合、重過失減額、素因減額、損益相殺を取り違えないように読み取ります。

用語意味
過失相殺被害者側の過失を考慮して損害賠償額を減額する制度です。交通事故では民法722条2項が中心です。
過失割合事故発生または損害拡大への当事者の過失の寄与度を割合で表した民事上の評価です。
基本割合事故類型ごとに、裁判例や実務基準を踏まえて出発点として使われる割合です。
修正要素速度違反、著しい過失、重過失、夜間、児童・高齢者、見通し、合図、徐行、一時停止、酒気帯びなど、基本割合を動かす事情です。
重過失減額自賠責保険・共済で、被害者に重大な過失がある場合に行われる減額です。通常の民事過失相殺とは異なります。
被害者側の過失被害者本人ではないが、被害者と身分上・生活関係上一体とみられる者の過失を考慮する法理です。
素因減額既往症、体質的素因、心理的要因などが損害拡大に寄与した場合に検討される調整です。
損益相殺同じ事故を原因として保険金や給付などの利益を受けた場合に、二重取りを避けるため控除する調整です。
症状固定症状が安定し、一般に認められた医療を行っても医療効果が期待できなくなった状態です。後遺障害申請や請求期限に関係します。
後遺障害交通事故による傷害が治った後に身体または精神に残る障害で、事故との相当因果関係と医学的認定が問題になります。
交通事故証明書交通事故の事実を確認したことを証明する書面です。過失割合を確定する書面ではありません。
Section 10

過失相殺とは何かについてよくある質問

個別判断ではなく、一般的な制度説明として整理します。

Q1. 過失相殺とは、被害者が悪者にされる制度ですか。

一般的には、被害者を道徳的に非難する制度ではなく、事故による損害を当事者間で公平に分担するための制度とされています。ただし、事故態様、証拠、損害の発生状況によって評価は変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 警察が過失割合を決めるのですか。

一般的には、警察は事故の届出、現場確認、実況見分、刑事事件としての捜査等を行う機関であり、民事上の過失割合を最終決定する機関ではないとされています。民事上の割合は、協議、保険会社との交渉、ADR、裁判などで問題になります。

Q3. 保険会社が提示した割合は必ず受け入れる必要がありますか。

一般的には、保険会社の提示は交渉上の見解であり、根拠類型、修正要素、証拠を確認して反論が検討されます。ただし、事故態様や証拠関係で見通しは変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q4. 自賠責保険では過失相殺されないのですか。

一般的には、通常の民事賠償と同じ形の過失相殺ではなく、被害者に重大な過失がある場合に重過失減額が行われる仕組みとされています。ただし、過失割合、傷害・後遺障害・死亡の区分、既払金、請求方法によって結論は変わる可能性があります。

Q5. 物損で合意した過失割合は人身にも影響しますか。

一般的には、物損示談の内容や書き方によって、人身損害の交渉でも同じ割合が前提として扱われる可能性があります。物損に限るのか、人身を別に協議するのかは示談書の文言で確認する必要があります。具体的には弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q6. ドライブレコーダーがあれば常に有利になりますか。

一般的には、ドライブレコーダーは強い証拠になり得ますが、画角、音声、時刻、速度、見えない範囲、事故前後の記録範囲に限界があります。自車側に不利な事情が映ることもあるため、客観的な分析が必要です。

Q7. けがが重いほど過失割合は小さくなりますか。

一般的には、けがの重さと事故原因の過失割合は別の問題とされています。重傷であっても事故発生に被害者側の過失があれば調整される可能性があります。ただし、歩行者、児童、高齢者などの属性が事故回避可能性や保護義務の評価に影響することはあります。

Q8. 相手が謝ったら0対100になりますか。

一般的には、事故直後の謝罪は道義的・感情的な対応であることが多く、民事上の過失割合を確定するものではないとされています。ただし、事故直後の発言が事実認定の資料になる可能性はあります。

Q9. 自分にも少し落ち度があると言ったら不利ですか。

一般的には、事実に反する説明は避ける必要がありますが、法的評価としての過失割合を事故直後に断定する必要はありません。事実と評価を分け、記憶が曖昧な部分は確認後に整理することが重要とされています。

Q10. 過失相殺を避けるために通院を増やせばよいですか。

一般的には、通院は医学的必要性に基づくものとされています。不自然な通院、必要性の乏しい治療、症状と整合しない経過は、損害額や因果関係を争われる原因になる可能性があります。医療上の判断は医師に確認し、法的な見通しは弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

結論過失相殺とは、単なる悪さの割合ではなく、事故原因、損害拡大、証拠、医療、保険、法律、社会保障を総合して賠償額を調整する制度です。警察への届出、医療受診、証拠保存、保険会社提示の根拠確認、時効管理を分けて進めることが重要です。
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過失相殺とはで次に確認したいこと

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Reference

この記事の参考情報源

法令・公的資料

  • e-Gov法令検索「民法」
  • e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法」
  • e-Gov法令検索「道路交通法」
  • 国土交通省「自賠責保険・共済の限度額と補償内容」
  • 国土交通省「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」
  • 国土交通省「支払までの流れと請求方法」
  • 国土交通省「損害賠償を受けるときは?」
  • 国土交通省「相談先にお困りのときは?」
  • 自動車安全運転センター「交通事故に関する証明書」

裁判例・実務資料

  • 最高裁平成19年4月24日第三小法廷判決
  • 最高裁平成15年7月11日第二小法廷判決
  • 判例タイムズ社『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準〔全訂6版〕別冊判例タイムズ39号』
  • 日弁連交通事故相談センターに関する公的案内