交通事故の骨折後に金属製の内固定材が残っているとき、後遺障害として何が評価されるのかを、抜釘、症状固定、診断書、画像資料の順に整理します。
交通事故の骨折後に金属製の内固定材が残っているとき、後遺障害として何が評価されるのかを、抜釘、症状固定、診断書、画像資料の順に整理します。
金属が残っている事実と、等級認定で評価される残存障害を切り分けます。
交通事故で骨折し、手術でプレート、ボルト、スクリュー、髄内釘などが入ったままになっている場合でも、後遺障害が認定対象になる可能性はあります。ただし、中心になるのは金属そのものではなく、症状固定時点で身体にどのような障害が残っているかです。
次のポイント一覧は、このページで最初に押さえるべき結論を整理したものです。金属の残存だけで判断しない理由、抜釘前後の扱い、診断書で確認すべき事項をまとめて見ることで、自分の資料でどこが不足しやすいかを読み取れます。
プレートやボルトが体内に残っているだけで、通常それ自体から等級が決まるわけではありません。
関節可動域制限、神経症状、骨変形、偽関節、脚長差、脊柱変形、醜状などが問題になります。
医学的に抜釘しない、または抜釘が不適切な場合は、金属が残った状態を前提に審査されます。
抜釘前に示談するか、抜釘後に再評価するかで、将来治療費や後遺障害診断の見方が変わります。
画像、手術記録、可動域測定、神経学的所見、症状の推移をつなげて説明できる状態が大切です。
内固定材、抜釘、症状固定、後遺症と後遺障害の違いを確認します。
このページは、鎖骨骨折、上腕骨骨折、橈骨遠位端骨折、骨盤骨折、大腿骨骨折、脛骨骨折、足関節骨折、踵骨骨折、椎体骨折などで、プレート、ボルト、ワイヤー、髄内釘、ロッドなどの内固定材を使用した交通事故被害者を主な対象にしています。
次の用語一覧は、医療上の言葉と賠償実務上の言葉の違いを表しています。言葉の意味を取り違えると、抜釘の必要性、症状固定日、後遺障害申請の時期を誤解しやすいため、どの言葉が何を指すのかを読み取ってください。
骨折部を安定させる金属製材料です。骨の表面に沿うプレートや、骨片を固定するネジ状のスクリューなどがあります。
骨癒合、年齢、部位、皮膚や腱への刺激、感染、生活上の不便などを総合して要否が判断されます。
賠償実務では、症状固定日を境に傷害部分と後遺障害部分を分けて考えます。
事故との相当因果関係、医学的に認められる残存障害、労働能力への影響、等級表への該当性が問題になります。
次の比較表は、金属固定後の骨折事案で問題になりやすい障害類型と等級の目安をまとめたものです。読者にとって重要なのは、金属の有無ではなく、どの身体機能や形態に障害が残ったかで見る点です。表では、類型ごとに典型例と確認されやすい等級を読み取れます。
| 障害類型 | 典型例 | 問題になりやすい等級 |
|---|---|---|
| 関節機能障害 | 肩、肘、手首、股、膝、足関節の可動域制限 | 8級、10級、12級など |
| 変形障害 | 長管骨変形、鎖骨や骨盤骨の著しい変形 | 12級など |
| 偽関節 | 骨癒合不全により異常可動性が残る状態 | 7級、8級など |
| 神経症状 | 骨折部周辺の痛み、しびれ、感覚障害 | 12級13号、14級9号 |
| 短縮障害 | 下肢短縮、脚長差 | 8級、10級、13級など |
| 脊柱障害 | 脊柱変形、脊柱運動障害 | 6級、8級、11級など |
| 醜状障害 | 手術痕、開放創後の瘢痕 | 7級、9級、12級、14級など |
次の金額比較は、自賠責保険の後遺障害限度額の幅を示しています。限度額は示談や裁判での最終賠償額そのものではありませんが、等級の違いが損害項目に大きく関わるため、最低限の制度上の枠を読み取ることが重要です。
| 区分 | 等級 | 自賠責保険の限度額 | 主な損害項目 |
|---|---|---|---|
| 介護を要する後遺障害 | 第1級 | 4,000万円 | 逸失利益、慰謝料、介護関連損害など |
| 介護を要する後遺障害 | 第2級 | 3,000万円 | 逸失利益、慰謝料、介護関連損害など |
| それ以外の後遺障害 | 第1級 | 3,000万円 | 逸失利益、慰謝料など |
| それ以外の後遺障害 | 第14級 | 75万円 | 慰謝料、逸失利益など |
後遺障害の調査では、事故状況、傷害との因果関係、医療記録、画像、診断書、症状の一貫性が確認されます。単に「痛みがある」と伝えるだけでなく、資料として説明できる形に整えることが大切です。
手術をした事実と、等級表で評価される障害は別の問題です。
プレートやボルトが体内に残っていることは、骨折が重く、手術が必要だったことを示す重要な事情です。しかし、後遺障害等級は「手術をしたか」「金属が残っているか」だけで決まる制度ではありません。
次の重要ポイントは、等級認定で何が本質になるかを示しています。読者にとって重要なのは、体内金属の存在から一歩進めて、症状固定時点の身体機能や労働能力への影響を確認することです。
骨癒合が良好で、関節可動域が正常に近く、痛みやしびれも労働能力に影響する程度で残っていない場合、プレートやボルトが入ったままでも非該当となることがあります。
次の修正要素の一覧は、金属が残っていることが後遺障害判断で重要になりやすい場面を表しています。なぜ重要かというと、同じ「入ったまま」でも医学的な意味がまったく違うためです。各項目から、主治医の記録や画像で説明すべき論点を読み取ってください。
固定材を外すと安定性が失われる場合、偽関節や変形障害として評価される可能性があります。
スクリューの突出、皮膚刺激、腱障害、しびれ、可動域制限などが症状と結びつくことがあります。
骨癒合不全、感染リスク、高齢、脊椎や骨盤などの抜釘困難部位では、残存理由の説明が重要です。
鎖骨プレートが残っていても肩の可動域が正常で、疼痛が軽微で、外観上の著しい変形もない場合は、等級認定が難しくなります。逆に、プレートを抜去済みでも、可動域制限、骨変形、局部の神経症状が残れば、後遺障害として検討されます。
骨折部位、関節、神経、脊柱、瘢痕など、評価される対象を整理します。
骨折後の後遺障害では、関節の動き、骨の形、骨癒合、痛みやしびれ、脊柱の変形、脚長差、手術痕などを分けて確認します。固定材の種類よりも、どの障害類型に当てはまる可能性があるかを見極めることが重要です。
次の比較表は、主な障害類型ごとの確認ポイントを示しています。読者にとって重要なのは、後遺障害診断書でどの欄に何を書いてもらうべきかが類型によって変わる点です。表では、症状、資料、注意点のつながりを読み取ってください。
| 類型 | 確認する内容 | 資料上の注意点 |
|---|---|---|
| 関節可動域制限 | 肩、肘、手関節、股、膝、足関節の主要運動と健側比較 | 他動運動、自動運動、痛みによる制限、画像上の原因を記録します。 |
| 骨の変形障害 | 長管骨、鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤骨の変形 | X線、CT、全長下肢X線、角度計測、脚長差、荷重軸が重要です。 |
| 偽関節、骨癒合不全 | 異常可動性、骨癒合の遅れ、骨欠損、感染、再骨折リスク | 単純X線で不明瞭な場合はCTが検討され、構造的障害として説明します。 |
| 神経症状 | 痛み、しびれ、感覚鈍麻、灼熱感、荷重時痛、運動時痛 | 痛みの部位、性質、出現条件、画像や神経学的所見との対応が大切です。 |
| 脊柱障害 | 椎体骨折、破裂骨折、ロッドやスクリュー固定後の変形や運動障害 | 固定範囲、可動性、神経症状、脊髄損傷の有無を確認します。 |
| 下肢短縮、脚長差 | 大腿骨、脛骨、骨盤骨折後の左右差 | 5センチメートル、3センチメートル、1センチメートルなどの差が等級上問題になります。 |
| 醜状障害 | 手術痕、開放創、植皮痕、瘢痕 | 部位、大きさ、色調、陥凹、肥厚、露出面かどうかを写真や部位図で残します。 |
| 人工関節との区別 | プレート固定と人工関節、人工骨頭の違い | 関節そのものを置換する場合は、内固定材残存とは別の評価になります。 |
橈骨遠位端骨折後の手関節、脛骨高原骨折後の膝関節、足関節骨折後の背屈や底屈などでは、健側との比較が重視されます。痛みを我慢して実際以上に動かすと過小評価されることがあり、意図的に動かさない場合は信用性が問題になります。
骨折部位と一致する圧痛、金属周囲の痛み、荷重時痛、手指や足趾のしびれ、腱や神経への干渉、筋力低下、感覚障害、Tinel徴候などは、診療録と検査所見でつながると説明しやすくなります。
手術痕があるだけでは足りません。上肢や下肢の露出面、てのひらの大きさ、外貌の醜状、色調や陥凹など、等級表で評価される程度かどうかが問題になります。
抜釘の有無、症状固定日、将来治療費の扱いを分けて考えます。
抜釘しないまま症状固定になることはあります。医師が、抜釘の必要がない、抜釘のメリットが乏しい、抜釘リスクが高い、骨癒合が不十分で抜釘できない、再手術が適切でないと判断することがあるためです。
次の判断の流れは、抜釘予定がある交通事故骨折事案で確認する順番を表しています。なぜ重要かというと、抜釘前に示談するか、抜釘後に症状固定とするかで、後遺障害診断書と将来治療費の扱いが変わるためです。分岐ごとに、確認すべき資料と相談先を読み取ってください。
時期、必要性、抜釘しない場合の理由を確認します。
医学的見通しと賠償実務上の影響を分けて整理します。
入院費、休業、リハビリ、抜釘後の診断時期を示談前に検討します。
骨癒合状態、再手術リスク、症状との関係を診断書や意見書で整理します。
次の時系列は、事故直後から後遺障害申請までに残す資料の流れを示しています。時期ごとの記録がそろうほど症状の一貫性を説明しやすいため、どの段階でどの資料を確保すべきかを読み取ってください。
骨折部位、事故態様、X線やCT、初診時の症状を残します。
観血的整復固定術、プレート固定術、髄内釘固定術などの内容を確認します。
痛み、しびれ、歩行、階段、仕事上の支障、可動域測定値を継続的に残します。
抜釘予定、抜釘しない理由、画像所見、神経学的所見、瘢痕などを確認します。
抜釘により金属刺激がなくなり、痛みや可動域制限が改善すれば、後遺障害等級は下がるか非該当となる可能性があります。一方で、抜釘後も可動域制限、神経症状、骨変形が残る場合には、抜釘済みでも後遺障害認定の対象になります。
診断書、画像、検査結果をつなげて残存障害を説明します。
後遺障害診断書は、等級認定の中心資料です。「プレート残存」とだけ書かれても、審査上の意味は限定的です。残存金属が症状や機能障害とどう関係するかを、診断名、可動域、画像、神経学的所見、瘢痕などで説明する必要があります。
次の比較表は、後遺障害診断書で確認したい記載欄と具体例を表しています。読者にとって重要なのは、抽象的な痛みの記載だけでは不足しやすい点です。各欄から、主治医に医学的事実として確認してもらう内容を読み取ってください。
| 記載項目 | 確認したい内容 | 記載例の方向性 |
|---|---|---|
| 傷病名 | 骨折名、手術名、部位 | 右脛骨骨幹部開放骨折、左鎖骨遠位端骨折、右橈骨遠位端関節内骨折など |
| 自覚症状 | 痛みの部位、性質、誘発動作、頻度、生活への影響 | 荷重時痛、階段降下時痛、長時間歩行後の疼痛、足背部のしびれ感など |
| 他覚所見 | 画像、可動域、筋力、感覚障害、圧痛、瘢痕 | X線での骨癒合状態、CTでの関節面不整、瘢痕の長さと幅など |
| 可動域測定 | 健側比較、他動運動、自動運動、主要運動、疼痛の影響 | 痛みが出る角度と動かせる限界を、過不足なく測定してもらいます。 |
| 将来見通し | 抜釘予定、再手術予定、骨癒合未完成、感染リスク | 症状固定時点で残っている障害と、将来治療の見通しを分けて確認します。 |
次の画像資料の一覧は、プレートやボルトが入ったままの骨折事案で使われる主な検査を表しています。画像ごとに分かることが違うため、どの資料で骨癒合、変形、軟部組織、資料漏れを確認するのかを読み取ってください。
骨折部位、金属固定の状態、骨癒合、変形、スクリューのゆるみ、プレート破損、仮骨形成を確認する基本資料です。
基本資料単純X線で分かりにくい骨癒合、関節内骨折の段差、骨欠損、回旋変形、骨盤や脊椎の立体的変形を把握します。
骨癒合関節面軟部組織、靭帯、腱、神経、骨髄、関節内構造の評価に使われます。金属による画像の乱れには注意が必要です。
軟部組織事故直後、手術直後、リハビリ中、症状固定時の画像を並べると、骨折の重症度と治療経過を説明しやすくなります。
経過確認手術をした病院、転院先、リハビリ病院で画像が分散している場合、提出漏れが生じることがあります。後遺障害申請前には、事故直後から症状固定時までの画像がそろっているかを確認してください。
認定方向の事情、不利になりやすい事情、不足資料の補い方を整理します。
後遺障害認定では、画像上の骨折の明確さ、症状の一貫性、可動域制限、神経学的所見、主治医の具体的記載などが重視されます。一方で、金属が残っている以外に明確な機能障害がない場合や、治療記録と症状がつながらない場合は、非該当または低い等級にとどまる可能性があります。
次の比較一覧は、認定方向の事情と不利になりやすい事情を並べたものです。なぜ重要かというと、同じ骨折後でも、資料の残り方で説明力が大きく変わるからです。左右を比較して、自分の資料で補うべき点を読み取ってください。
事故直後から同じ部位の症状があり、症状固定時のX線やCTで骨変形、関節面不整、骨癒合不全を確認できる場合です。
可動域制限が健側比較で明確で、感覚障害や筋力低下などの神経学的所見も記録されています。
骨癒合が良好で変形もなく、可動域制限が軽微で、症状の訴えも診療録上ほとんど残っていない場合です。
自覚症状欄が空欄、他覚所見が乏しい、可動域測定が未実施、治療中断が長いといった事情です。
次の判断の流れは、非該当となった後に確認する順番を示しています。読者にとって重要なのは、単に不満を述べるのではなく、認定理由に対応して医学的、事実的な不足を補うことです。順番に、理由確認、資料補充、異議申立ての検討を読み取ってください。
どの類型が否定されたのか、資料不足なのかを把握します。
画像、CTやMRI、可動域再測定、神経伝導検査、手術記録、主治医意見を確認します。
非該当理由に対応する資料をそろえて申立てを検討します。
治療経過、慰謝料、休業損害、示談条件などを総合的に確認します。
異議申立てでは、症状固定時の画像、追加撮影、可動域再測定、神経伝導検査、筋電図、主治医意見書、手術記録、リハビリ記録、症状経過の整理などが検討対象になります。
治療費打切り、抜釘予定、申請方法、弁護士相談の時期を確認します。
保険会社が治療費の一括対応を終了すると述べても、それだけで医学的に症状固定したことにはなりません。症状固定は、基本的には主治医の医学的判断を中心に検討されますが、賠償実務では治療期間の相当性が争われることがあります。
次の比較表は、示談前に確認したい抜釘関連の論点をまとめたものです。示談は原則として最終解決になるため、抜釘予定や将来治療費の扱いを見落とすと後で争いになりやすくなります。各行から、主治医、保険会社、専門家に確認すべき項目を読み取ってください。
| 確認項目 | なぜ重要か | 確認する資料や相手 |
|---|---|---|
| 抜釘予定の有無 | 抜釘前に示談してよいか、症状固定日をどう見るかに関わります。 | 主治医の説明、診療録、手術予定 |
| 抜釘費用の扱い | 症状固定後の治療費は争点になりやすく、将来治療費として検討されることがあります。 | 見積り、入院予定、保険会社との交渉資料 |
| 抜釘後の休業 | 入院やリハビリで仕事を休む場合、示談に含めるかが問題になります。 | 勤務先資料、医師の見通し |
| 後遺障害診断の時期 | 抜釘後に症状が改善するか、残るかで診断書の内容が変わります。 | 抜釘前後の可動域、画像、症状経過 |
| 示談書の清算条項 | 示談後の追加請求が難しくなることがあります。 | 示談書案、留保条項の要否 |
次の一覧は、後遺障害申請や示談で弁護士等の専門家への相談が有用になりやすい場面を表しています。なぜ重要かというと、画像、診断書、抜釘費用、逸失利益、異議申立ては早い段階の資料整理で結果が変わり得るためです。自分の状況がどの項目に近いかを読み取ってください。
抜釘予定、将来治療費、診断時期が争点になりやすい場面です。
自覚症状、他覚所見、可動域、画像所見、抜釘理由の記載漏れを防ぐ観点が重要です。
画像、手術記録、意見書、症状経過資料を主体的に整えて提出したい場合に検討されます。
認定理由と不足資料を確認し、異議申立ての可否を検討します。
医学的事実を正確に記録してもらい、申請資料の漏れを防ぎます。
後遺障害認定は法的手続ですが、中心資料は医師が作成する診断書と医療記録です。医師に等級を求めるのではなく、痛む部位、動作、しびれ、仕事や家事への影響を医学的事実として正確に記録してもらう姿勢が重要です。
次の比較表は、医師に伝える内容と、資料として保管しておく内容を整理したものです。なぜ重要かというと、診療録に残っていない症状は、事故後一貫していた症状として評価されにくくなるためです。各項目から、通院中に具体的に伝えるべきことを読み取ってください。
| 場面 | 伝える、保管する内容 | 後遺障害申請での意味 |
|---|---|---|
| 診察時 | 痛む部位、痛む時期、痛む動作、しびれや感覚異常の範囲 | 自覚症状の一貫性と部位の特定につながります。 |
| 生活状況 | 歩行距離、階段、しゃがみ込み、正座、荷物運搬、仕事や家事の支障 | 労働能力や日常生活への影響を説明する資料になります。 |
| 内固定材の違和感 | 皮膚や腱に当たる感じ、荷重時痛、靴との干渉、抜釘への不安 | 残存金属と症状との関係を説明する手がかりになります。 |
| 医療資料 | 診断書、診療報酬明細書、X線、CT、MRI、手術記録、退院サマリー | 受傷、治療、骨癒合、変形、症状固定までの経過を示します。 |
| 補助資料 | リハビリ記録、主治医意見書、事故状況資料、仕事への影響資料、写真 | 可動域、歩行能力、因果関係、逸失利益、瘢痕の説明に使います。 |
鎖骨、手首、下肢、足関節、踵骨、骨盤、脊椎で見るべき点を整理します。
骨折部位によって、プレートやボルトが残った後に問題になりやすい障害は異なります。次の比較表は、部位ごとの典型的な争点を示しています。読者にとって重要なのは、自分の骨折部位で何を測定し、どの画像や所見を残すべきかが変わる点です。
| 部位 | 問題になりやすい内容 | 資料上の注意点 |
|---|---|---|
| 鎖骨骨折 | 肩の可動域制限、鎖骨の変形、局部痛、手術痕 | プレートの触れやすさだけでなく、肩の動きと著しい変形を確認します。 |
| 橈骨遠位端骨折 | 手関節可動域、回内回外制限、握力低下、手指しびれ、腱刺激 | 日常生活や仕事での手の使用制限を具体的に記録します。 |
| 大腿骨、脛骨骨折 | 膝や足関節の可動域、荷重時痛、脚長差、偽関節、歩行障害 | 歩行、階段、坂道、長時間立位、しゃがみ込みへの影響を確認します。 |
| 足関節骨折 | 靴との干渉、皮膚刺激、腱刺激、背屈や底屈の制限、荷重時痛 | 角度だけでなく、階段降下や正座困難などの生活上の支障を残します。 |
| 踵骨骨折 | 踵部痛、距骨下関節の可動域制限、足部変形、靴の不適合 | CTで関節面を評価することが重要になる場合があります。 |
| 骨盤骨折 | 骨盤変形、脚長差、股関節可動域、神経症状、排尿排便障害 | 画像、歩行評価、神経学的評価、泌尿器科や婦人科的評価が問題になることがあります。 |
| 脊椎骨折 | 脊柱変形、運動障害、神経症状、固定術後の可動性低下 | 整形外科または脊椎外科の所見に加え、神経障害の評価も重要です。 |
人工関節や人工骨頭は、プレートやボルトとは異なり、関節そのものを置換または補綴するものです。「金属が入っている」という共通点だけで同じ評価にしないことが大切です。
等級だけでなく、職種、減収、将来の業務制限も検討します。
後遺障害等級が認定されると、等級に応じて労働能力喪失率が問題になります。ただし、実際の逸失利益は、等級だけで自動的に決まるものではありません。職種、年齢、収入、仕事内容、配置転換、減収の有無、将来の昇進可能性などが考慮されます。
次の職種一覧は、金属固定後の痛みや可動域制限が仕事に影響しやすい場面を表しています。読者にとって重要なのは、収入が直ちに減っていなくても、努力、職場配慮、将来の業務選択の制限が問題になり得る点です。自分の仕事内容に近い支障を読み取ってください。
建設、製造、運送、警備、営業などでは、荷重時痛、階段、長距離移動、長時間立位が問題になります。
移乗介助、抱き上げ、しゃがみ込み、急な動作などで関節可動域や痛みの影響が出やすくなります。
手関節や肩の可動域、握力、しびれ、細かな作業の持続性が争点になることがあります。
身体機能を高度に使う職業では、軽度の制限でも将来の業務選択に影響する可能性があります。
実務上は、整形外科医、リハビリテーション科医、理学療法士、画像診断に関わる医療職、弁護士、損害調査担当者、交通事故鑑定人、社会保険労務士、就労支援職などが必要に応じて関わります。生活再建の観点では、医学、保険、法律、仕事、福祉を分断せずに資料を整理することが望まれます。
個別事案の結論ではなく、一般的な制度理解として整理します。
一般的には、金属が残っている事実だけで後遺障害等級が決まるものではないとされています。ただし、関節可動域制限、神経症状、変形、偽関節、短縮、醜状などの残存障害によって結論が変わる可能性があります。具体的な見通しは、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、抜釘しないまま症状固定となり、後遺障害申請が行われることもあります。ただし、骨癒合状態、残存理由、可動域制限、痛みとの関係によって判断が変わる可能性があります。具体的な対応は、主治医の医学的説明と申請資料を確認したうえで専門家へ相談する必要があります。
一般的には、抜釘後に症状固定とされることもありますが、抜釘が不要または不適切であれば、抜釘前または抜釘しないまま症状固定とされることもあります。ただし、医学的見通し、保険会社とのやり取り、将来治療費で結論が変わる可能性があります。
一般的には、抜釘で症状が改善すれば等級該当性が下がる可能性があります。一方で、抜釘後も可動域制限、神経症状、変形などが残る場合は、後遺障害として検討される可能性があります。抜釘の判断は医学的利益とリスクを優先して確認する必要があります。
一般的には、痛みやしびれは神経症状として12級13号または14級9号が問題になることがあります。ただし、事故との因果関係、症状の一貫性、画像や検査所見、通院経過によって結論が変わる可能性があります。
一般的には、金属の種類や部位により撮影可否や有用性が変わるとされています。近年の整形外科インプラントではMRI可能なものもありますが、画像の乱れで評価が難しくなる可能性があります。撮影可否は医療機関に確認する必要があります。
一般的には、手術痕の部位、大きさ、露出面かどうか、醜状の程度によって後遺障害として評価される可能性があります。ただし、小さな手術痕だけでは等級該当性が認めにくい場合もあり、写真や部位図などの資料が重要です。
一般的には、骨癒合が得られていても、関節可動域制限、痛み、しびれ、変形、筋力低下、手術痕などが残ることがあります。ただし、残存障害の程度、医学的説明、仕事への影響によって結論が変わる可能性があります。
一般論としては、金属の残存だけで等級が決まらないという説明には合理的な部分があります。ただし、金属が入っていることに関連して可動域制限、神経症状、骨変形、偽関節などが残る場合は別の検討が必要です。医療資料に基づいて確認する必要があります。
一般的には、結果後でも相談は可能ですが、診断書作成前、画像資料提出前、症状固定前、抜釘前後に相談した方が資料不足を防ぎやすい場合があります。ただし、保険契約、事故態様、治療経過によって適切な時期は変わる可能性があります。
症状固定前、診断書、申請資料、示談前の確認事項をまとめます。
次の確認一覧は、申請前後に見落としやすい事項を四つの時期に分けたものです。なぜ重要かというと、抜釘予定、画像、可動域、示談条項のどれかが抜けると、後から補う負担が大きくなるためです。自分の段階に近い欄から順に読み取ってください。
金属の存在から、残った障害と資料の整備へ視点を移します。
プレートやボルトが入ったままの場合の後遺障害は、認定対象になる可能性があります。しかし、認められる理由は「金属が入っているから」ではありません。症状固定時点で、関節可動域制限、神経症状、骨変形、偽関節、脚長差、脊柱障害、醜状障害などが残り、それが医学的に認められ、法令上の等級に該当するかが問題になります。
次の重要ポイントは、示談前に最後に確認したい考え方を表しています。読者にとって重要なのは、体内金属に注意を奪われすぎず、可動域、痛み、しびれ、画像、仕事への影響を資料に残すことです。ここから、今すぐ確認すべき不足資料を読み取ってください。
主治医には症状を具体的に伝え、必要な検査を相談し、診断書の記載を確認します。保険会社との交渉や示談前には、交通事故に詳しい弁護士等の専門家に相談することが重要です。
公的資料、医学教育資料、交通事故損害調査に関する中立的資料を整理しています。