派遣労働者の同一労働同一賃金を、派遣先情報、労使協定、一般賃金、説明義務、内部監査の観点から整理します。
派遣労働者の同一労働同一賃金を、派遣先情報、労使協定、一般賃金、説明義務、内部監査の観点から整理します。
比較の中心は、賃金額だけでなく、比較対象、情報提供、賃金の安定性、統制できるリスクです。
派遣労働者の同一労働同一賃金では、派遣元事業主が、原則として派遣先均等・均衡方式または労使協定方式のいずれかにより、公正な待遇を確保する必要があります。派遣先均等均衡方式は派遣先の通常の労働者を基準にし、労使協定方式は同種業務の一般労働者の平均的賃金水準と派遣元の労使協定を基準にする点が本質的な違いです。
次の重要ポイントは、両方式の違いを一言で整理したものです。方式選択では、どちらが安いかではなく、どの情報を誰が持ち、どの証跡を誰が残し、派遣労働者へどこまで説明できるかを読み取ることが重要です。
派遣先均等均衡方式は派遣先の通常労働者との待遇差を個別に説明する方式であり、労使協定方式は派遣元の協定と一般賃金以上性を軸に待遇を標準化する方式です。
次の4つの項目は、両方式を比較するときの主要な判断軸を表しています。どの軸も、契約前の情報提供、派遣料金、説明義務、内部監査の対象になるため、自社の管理体制で読み切れるかを確認してください。
派遣先均等均衡方式では派遣先の通常労働者、労使協定方式では一般賃金水準と派遣元の通常労働者が中心になります。
派遣先均等均衡方式では比較対象労働者の詳細情報が重く、労使協定方式でも教育訓練や福利厚生施設の情報提供は残ります。
派遣先変更で賃金が変わりやすいか、派遣元の制度として一定のルールで運用できるかが異なります。
比較対象の選定と待遇差説明に重点があるのか、労使協定の有効性、一般賃金以上性、協定遵守に重点があるのかを分けて管理します。
派遣では、雇用主である派遣元と指揮命令を行う派遣先が分かれるため、待遇比較の設計が複雑になります。
派遣労働者は派遣元に雇用され、派遣先の指揮命令下で働きます。そのため、同一労働同一賃金をどの会社の労働者と比べて実現するのかが、パートタイム・有期雇用労働者の場合より複雑になります。労働者派遣法30条の3は派遣先均等・均衡方式を、30条の4は労使協定方式を定めています。
次の表は、制度を読む前にそろえておきたい基本用語を整理したものです。用語ごとに責任主体と比較対象が変わるため、列の右側にある実務上の意味まで確認すると、契約書、説明資料、監査証跡のどこに影響するかを読み取りやすくなります。
| 用語 | 意味 | 実務上の確認点 |
|---|---|---|
| 派遣元事業主 | 派遣労働者を雇用し、派遣先へ労働者派遣を行う事業主です。 | 賃金支払、雇用契約、教育訓練、キャリア形成支援、派遣元管理台帳を担います。 |
| 派遣先 | 派遣労働者を受け入れ、業務上の指揮命令を行う企業等です。 | 比較対象労働者情報、教育訓練、福利厚生施設、派遣料金配慮、派遣先管理台帳が問題になります。 |
| 均等待遇 | 職務内容と変更範囲が同一の場合、雇用形態の違いを理由に差別的取扱いをしない考え方です。 | 同一性が強い場面では、待遇差の説明がより厳しく問われます。 |
| 均衡待遇 | 職務内容、変更範囲、その他事情を考慮して不合理な待遇差を設けない考え方です。 | 待遇の性質・目的ごとに、差の理由を説明できるかが重要です。 |
| 比較対象労働者 | 派遣先均等均衡方式で、派遣労働者の待遇を決めるために比較する派遣先労働者です。 | 選定理由、職務内容、配置変更範囲、待遇内容、待遇目的を記録します。 |
| 協定対象派遣労働者 | 労使協定方式で、労使協定に基づいて待遇が決定される派遣労働者です。 | 協定対象の範囲、協定の周知、有効期間、協定どおりの支払が必要です。 |
| 一般賃金 | 同種業務に従事する一般労働者の平均的な賃金額です。 | 職種、地域、能力・経験、通勤手当、退職手当等を毎年度確認します。 |
同一労働同一賃金は、基本給や賞与だけを同額にする制度ではありません。手当、退職手当、通勤手当、食堂・休憩室・更衣室、教育訓練、安全衛生、休暇、福利厚生など、個々の待遇ごとに性質と目的を確認し、不合理な差がないかを検討する必要があります。
派遣先の通常労働者を基準に、待遇差を個別に点検する方式です。
派遣先均等均衡方式では、派遣先の通常労働者との関係で、基本給、賞与、手当、福利厚生、教育訓練、安全管理などの待遇について、不合理な差がないように待遇を決定します。単に同じ業務名かどうかではなく、責任の程度、配置転換・昇進・転勤の範囲、制度上の待遇目的まで確認する必要があります。
次の判断の流れは、契約前から更新時までに派遣先と派遣元が確認する順番を表しています。順番に意味があり、前段階の情報が不足すると、後段階の待遇差検討や説明資料が成り立ちにくくなる点を読み取ってください。
就業場所、就業日、時間、派遣期間、責任の程度を整理します。
職務内容や変更範囲が近い労働者または労働者群を選びます。
待遇内容、待遇目的、選定理由、考慮事項を保存可能な方法で提供します。
基本給、賞与、手当、福利厚生、教育訓練ごとに理由を整理します。
待遇改善原資、派遣料金、派遣労働者への説明に接続します。
次の比較一覧は、この方式の利点と負担をまとめたものです。左側は納得性や透明性につながる点、右側は情報管理や料金交渉の負荷につながる点であり、どちらも契約前に確認しておくことが重要です。
| 観点 | 利点 | 注意点 |
|---|---|---|
| 職場実態との近さ | 実際に働く職場の通常労働者との比較で説明しやすいです。 | 比較対象の選定を誤ると待遇差検討全体が不安定になります。 |
| 情報提供 | 人事制度や待遇目的を踏まえた判断過程を可視化できます。 | 賃金情報、人事制度、個人情報、営業秘密の管理が必要です。 |
| 賃金の変動 | 派遣先の待遇水準を反映しやすいです。 | 派遣先が変わると賃金水準が変動し、所得が不安定になる可能性があります。 |
| 派遣料金 | 必要な待遇改善額を派遣先と協議する根拠を整理できます。 | 料金に反映されない場合、派遣元の法令遵守と採算が衝突します。 |
派遣元の労使協定を軸に、一般賃金以上性と協定どおりの運用を確認します。
労使協定方式は、派遣元事業主が過半数労働組合または過半数代表者と書面による労使協定を締結し、協定対象派遣労働者の待遇を決める方式です。派遣先ごとの通常労働者との賃金比較ではなく、同種業務の一般労働者の平均的賃金水準を下回らないことが中核になります。
次の表は、労使協定方式で確認すべき事項を、協定本文、賃金比較、運用証跡の3つの面から整理しています。表の右列は監査で見られやすい資料を示しているため、協定を作るだけでなく実際の給与計算や説明記録と一致しているかを読み取ってください。
| 確認領域 | 主な内容 | 証跡 |
|---|---|---|
| 協定対象の範囲 | どの派遣労働者を協定対象とするかを明確にします。 | 労使協定、就業条件明示、派遣契約別紙 |
| 賃金決定方法 | 職務内容、能力、経験、成果等に応じた賃金改善の仕組みを定めます。 | 賃金規程、評価表、昇給記録 |
| 一般賃金以上性 | 職種、地域、能力・経験年数、通勤手当、退職手当等を踏まえて比較します。 | 賃金比較表、比較ツール出力、確認書 |
| 賃金以外の待遇 | 派遣元の通常労働者との不合理な待遇差を確認します。 | 就業規則、福利厚生規程、説明資料 |
| 教育訓練と周知 | 段階的・体系的な教育訓練、有効期間、協定周知を行います。 | 教育記録、周知記録、協定閲覧記録 |
次の時系列は、労使協定方式で毎年度行うべき確認の流れを表しています。一般賃金は年度ごとに見直されるため、有効期間中でも水準確認、必要に応じた協定再締結、派遣料金協議へ進む順番を押さえることが重要です。
令和8年度適用版など、年度ごとの通達、職種別賃金、地域指数を確認します。
契約書上の業務名ではなく、実際の業務内容、必要技能、責任、成果物に基づいて分類します。
協定に定めた方法どおりに支払われない場合、労使協定方式の前提が崩れる可能性があります。
一般賃金変更に伴い賃金額を変更する場合、確認書の添付だけでは足りない場面があります。
法的根拠、情報提供、説明義務、監査証跡を同じ軸で並べると、方式ごとの統制ポイントが見えます。
次の比較表は、両方式を同じ項目で並べたものです。列の違いは、派遣先と派遣元のどちらに重い管理負担が置かれるかを示しており、派遣契約、料金協議、説明資料、内部監査の設計に直結する重要な差として読み取ってください。
| 比較項目 | 派遣先均等均衡方式 | 労使協定方式 |
|---|---|---|
| 法的根拠 | 労働者派遣法30条の3 | 労働者派遣法30条の4 |
| 基準となる比較対象 | 派遣先に雇用される通常の労働者 | 同種業務の一般労働者の平均的賃金水準、派遣元の通常の労働者、労使協定 |
| 賃金決定の中心 | 派遣先の比較対象労働者との均等・均衡 | 一般賃金以上性、職務・能力・経験等に基づく協定上の賃金決定方法 |
| 賃金の安定性 | 派遣先変更により変動しやすいです。 | 派遣元の協定に基づくため比較的安定しやすいです。 |
| 派遣先の情報提供負担 | 比較対象労働者の詳細情報が必要です。 | 主に教育訓練・福利厚生施設等の情報提供が中心ですが、契約管理上の情報提供は残ります。 |
| 派遣元の運用負担 | 派遣先ごとの比較、説明、料金交渉が重くなります。 | 労使協定、職種分類、賃金比較、毎年度更新、過半数代表者対応が重くなります。 |
| 派遣労働者への説明 | 派遣先比較対象労働者との待遇差の内容・理由が焦点です。 | 協定に基づく賃金決定方法、一般賃金以上性、評価・昇給の仕組みが焦点です。 |
| 向く場面 | 派遣先社員と実質的に同じ職場・職務で、比較対象が明確な場合です。 | 多数の派遣先に横断的に派遣し、派遣元でキャリア形成・賃金制度を標準化したい場合です。 |
| 主なリスク | 比較対象労働者の選定ミス、情報提供不足、派遣料金不足、個人情報・人事情報管理です。 | 労使協定不備、一般賃金未満、職種分類誤り、協定未遵守、過半数代表者選出不備です。 |
| 費用影響 | 派遣先社員の待遇水準に応じて大きく変動し得ます。 | 一般賃金水準改定や協定賃金改定に応じて派遣料金交渉が必要です。 |
| 監査証跡 | 比較対象労働者情報、待遇差検討表、派遣料金協議記録 | 労使協定、代表者選出記録、賃金比較表、確認書、賃金台帳、評価記録 |
どちらが有利かではなく、どちらを適法かつ安定的に統制できるかで考えます。
方式選択では、「安いか」「簡単か」だけを先に置くと、説明義務や監査対応で行き詰まりやすくなります。派遣先が比較対象情報を正確に提供でき、派遣元が待遇差を精緻に検討できるなら派遣先均等均衡方式は透明性の高い選択肢になります。一方、派遣元が職種分類、賃金比較、労使協定、評価、給与計算、説明を一体管理できるなら、労使協定方式は制度運用に向きます。
次の一覧は、関係者ごとに確認すべき観点を分けたものです。誰が方式を選び、誰が情報を提供し、誰が説明を受けるのかが異なるため、自社の立場に近い項目から読むと、対応すべき証跡が分かります。
派遣元がどの方式を採用しているか、契約書に協定対象派遣労働者の限定があるか、教育訓練・福利厚生施設の情報提供範囲を理解しているかを確認します。
情報提供料金配慮労使協定、職種分類、賃金テーブル、評価制度、給与計算、就業条件明示、説明対応、内部監査を一体として設計します。
協定管理説明証跡方式名ではなく、実際に公正な待遇が確保され、待遇差の内容・理由を理解できることが重要です。
納得性説明請求比較対象、職種分類、協定未遵守、料金不足は、紛争・監査・行政対応で焦点になりやすい論点です。
次のリスク一覧は、派遣先均等均衡方式で起きやすい不備をまとめたものです。どの項目も待遇差説明の出発点に影響するため、情報の根拠、更新時の再確認、派遣料金への反映状況を読み取ることが重要です。
同じ事務職でも責任、判断権限、異動範囲、残業、評価制度が異なる場合があります。選定理由の文書化が必要です。
複数業務を行う場合は、原則として業務ごとに比較対象労働者情報を確認する必要があります。
比較対象情報には機微な人事情報が含まれるため、秘密保持、目的外利用禁止、保存・廃棄方法を定めます。
待遇改善原資が料金に反映されない場合、派遣元の待遇確保が難しくなります。協議記録が重要です。
次のリスク一覧は、労使協定方式で起きやすい不備をまとめたものです。協定本文があるだけでは足りず、選出手続、職種分類、年度改定、実際の支払がそろっているかが重要なので、各項目を確認してください。
使用者の指名、形式的同意、民主的手続の不明確さは、協定の信頼性を損ないます。
低い職種へ分類すると一般賃金水準が下がり、待遇改善を阻害します。実務内容との整合が必要です。
年度ごとの水準変更、最低賃金、地域指数、退職手当、通勤手当の確認が給与計算と料金交渉に直結します。
協定上は昇給や評価があるのに記録がない、給与明細と規程が合わない場合、方式の前提が崩れる可能性があります。
契約前、契約中、更新・終了時、派遣元側の協定管理を分けて確認します。
次の表は、派遣先企業が契約前から更新・終了時まで確認すべき事項をまとめたものです。段階ごとに確認すべき資料が異なるため重要であり、左列の時点と右列の証跡を対応させて読むと、抜けやすい作業を把握できます。
| 時点 | 派遣先企業の確認事項 | 残すべき証跡 |
|---|---|---|
| 契約前 | 待遇決定方式、協定対象派遣労働者の限定、業務内容、責任、就業場所、情報提供範囲、派遣料金を確認します。 | 派遣契約書、待遇情報提供書、料金協議記録 |
| 契約期間中 | 業務内容の乖離、待遇情報変更、教育訓練、福利厚生施設、料金改定要請への対応を確認します。 | 変更通知、教育記録、施設利用ルール、協議記録 |
| 更新・終了時 | 待遇情報再確認、労使協定有効期間、一般賃金改定、台帳・情報提供書・協議記録の保存を確認します。 | 更新契約書、確認書、保存台帳、終了時レビュー |
次の表は、派遣元企業が方式ごとに確認すべき事項をまとめたものです。方式によって重点資料が変わる点が重要で、労使協定方式では協定と実支払の一致、派遣先均等均衡方式では比較対象情報と待遇差検討の一致を重点的に読み取ってください。
| 方式 | 派遣元企業の確認事項 | 重点資料 |
|---|---|---|
| 労使協定方式 | 代表者選出、協定対象範囲、職種分類、一般賃金以上性、通勤手当・退職手当、評価・昇給、説明対応を確認します。 | 労使協定、選出記録、賃金比較表、賃金台帳、評価記録 |
| 派遣先均等均衡方式 | 比較対象情報の受領、業務ごとの比較、待遇差理由、派遣料金、秘密保持、契約更新時の再確認を確認します。 | 待遇情報提供書、比較対象選定理由、待遇差検討表、料金交渉資料 |
明示書の文言修正だけでなく、説明できる資料と担当者教育まで整える必要があります。
2026年10月1日から、派遣労働者のさらなる待遇改善を目的とする施行規則、同一労働同一賃金ガイドライン、派遣元指針、派遣先指針の一部改正が施行・適用されると案内されています。雇入れ時・派遣時の明示事項に、待遇の相違の内容と理由等について説明を求めることができる旨が追加される点が重要です。
次の時系列は、改正対応をどの順番で進めるかを表しています。単なる書式修正で止めず、説明請求への回答資料、派遣先との情報連携、内部監査項目までつなげて読み取ることが重要です。
明示書、就業条件明示書、派遣契約別紙、情報提供書、料金協議書を確認します。
派遣先均等均衡方式では待遇差理由、労使協定方式では一般賃金以上性と評価・昇給を説明できる資料を用意します。
明示文言、相談窓口、苦情処理、内部監査チェックリスト、担当者教育を更新します。
労働局調査、待遇差をめぐる民事紛争、説明義務への対応では、証跡の有無が結論に影響します。
労働局の調査や是正指導では、派遣契約の必要事項、比較対象労働者情報の契約前提供、労使協定方式であることの明示、協定の締結・周知、一般賃金以上性の確認資料、評価・昇給・手当の実際の運用、教育訓練・福利厚生施設の機会付与、派遣料金交渉記録、派遣労働者への説明記録が確認されやすいと考えられます。
次の表は、行政調査、民事紛争、説明義務対応で焦点になりやすい事項を整理したものです。行ごとに見るべき資料と説明すべき内容が変わるため重要であり、どの方式でどの証跡が必要になるかを読み取ってください。
| 場面 | 主な確認事項 | 説明・保存すべき資料 |
|---|---|---|
| 行政調査・是正指導 | 契約記載、待遇情報提供、協定明示、協定周知、一般賃金以上性、派遣料金配慮、教育訓練・福利厚生施設の機会付与を確認します。 | 派遣契約書、待遇情報提供書、労使協定、賃金比較表、料金協議記録、教育訓練記録 |
| 派遣先均等均衡方式の民事紛争 | 比較対象労働者の選定、待遇差の内容、待遇差の理由、職務内容・責任の程度・配置変更範囲、手当や賞与の性質・目的が争点になります。 | 比較対象労働者の選定理由書、待遇差検討表、待遇目的の整理、説明請求への回答記録 |
| 労使協定方式の民事紛争 | 協定の有効性、過半数代表者選出、協定対象派遣労働者の範囲、職種分類、能力・経験評価、協定どおりの支払が争点になります。 | 代表者選出記録、労使協定、一般賃金比較表、賃金台帳、評価表、昇給記録 |
| 説明義務対応 | 「法令どおり」という結論だけでなく、制度、比較対象、算定根拠、待遇の性質・目的、評価結果を分かる形で説明できるかを確認します。 | 就業条件明示書、雇入れ時・派遣時の説明資料、説明請求と回答の記録、内部相談記録 |
次の一覧は、紛争・監査・行政対応を見据えて残すべき資料群を整理したものです。契約、情報提供、協定、説明、料金、監査が別々に保存されていると後からつながりを説明しにくいため重要であり、自社の保存場所と担当部門を確認してください。
労働者派遣契約書、派遣先からの待遇情報提供書、比較対象労働者の選定理由書、待遇差検討表を保存します。
労使協定書、過半数代表者選出記録、一般賃金比較表、賃金比較ツールの出力、賃金テーブル、評価表、昇給記録をそろえます。
就業条件明示書、雇入れ時・派遣時の説明資料、説明請求と回答記録、苦情処理記録、教育訓練記録を残します。
派遣料金交渉記録、福利厚生施設利用ルール、内部監査報告書を一元管理し、改定時に再確認します。
本社事務、専門職、短期派遣、紹介予定派遣では、比較対象と説明資料の作り方が変わります。
次の表は、典型的な派遣場面ごとに、どちらの方式で何が問題になりやすいかを整理したものです。場面ごとに情報提供の重さ、職種分類の精度、派遣先制度との接続が変わるため重要であり、自社の受入れ形態に近い行を中心に確認してください。
| 場面 | 派遣先均等均衡方式での焦点 | 労使協定方式での焦点 |
|---|---|---|
| 大企業の本社事務 | 派遣先社員の高水準な賃金・賞与・福利厚生との比較、派遣料金への影響、人事制度情報の提供負担が問題になります。 | 派遣先情報の負担は軽くなりますが、教育訓練・福利厚生施設・料金配慮は残ります。 |
| 専門職・技術職 | 同種専門職の比較対象、資格、責任範囲、成果責任をどう評価するかが焦点です。 | IT、設計、研究補助、法務補助、経理、翻訳、データ分析などの職種分類と能力経験評価が重要です。 |
| 期間限定・短期派遣 | 契約開始までに比較情報を集め切れるかが実務上の負担になります。 | 標準化された制度で迅速に対応しやすい一方、同一労働同一賃金の対象から外れるわけではありません。 |
| 紹介予定派遣 | 派遣先での直接雇用後の待遇制度との接続を説明する必要があります。 | 合理的理由がある方式分けはあり得ますが、賃金引下げ目的の切替は慎重に扱う必要があります。 |
FAQは一般的な制度説明として整理し、個別案件では資料を確認して専門家に相談する前提で扱います。
一般的には、労使協定方式であっても、派遣先には教育訓練、食堂・休憩室・更衣室等の福利厚生施設、派遣料金配慮、派遣契約・台帳管理、必要な情報提供に関する対応が残るとされています。ただし、具体的な対応範囲は契約内容、就業実態、派遣元の方式、提供済み資料によって変わる可能性があります。個別の見通しや対応方針は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、均等待遇が問題になる場合と均衡待遇が問題になる場合があります。職務内容、責任の程度、配置変更範囲、その他事情が異なる場合には、その違いに応じた待遇差を説明できるかが問題になります。ただし、待遇の性質・目的に照らして説明できない差は、不合理と評価される可能性があります。具体的な判断は、比較対象情報と待遇差資料を確認して専門家へ相談する必要があります。
一般的には、一般賃金は最低限確保すべき基準として機能しますが、協定対象派遣労働者の待遇改善を図る制度趣旨も踏まえる必要があります。現在の賃金が一般賃金を上回ることを理由に水準を下げる運用は問題となる可能性があります。具体的な賃金設計は、協定、賃金規程、評価制度、派遣料金を確認して専門家へ相談する必要があります。
一般的には、一般賃金は毎年度見直されるため、協定対象派遣労働者の賃金が改定後の水準以上であるかを確認する必要があります。賃金額を変更する必要がある場合、協定再締結が問題になることがあります。具体的には、年度ごとの通達、協定有効期間、賃金テーブルを確認して専門家へ相談する必要があります。
一般的には、派遣先には派遣元が公正な待遇を確保できるよう派遣料金について配慮することが求められるとされています。派遣元から合理的な要請があるにもかかわらず協議に応じない運用は、指導対象となる可能性があります。具体的な対応は、料金算定資料、待遇改善額、契約更新時期を整理して専門家へ相談する必要があります。
方式の優劣ではなく、説明可能性、証跡保存、派遣料金協議、内部監査可能性まで含めて判断します。
派遣先均等均衡方式は、派遣先の通常労働者との比較に基づくため、職場実態に即した説明がしやすい一方、比較対象労働者の選定、待遇情報提供、派遣料金調整、情報管理の負担が大きい方式です。労使協定方式は、派遣元の労使協定と一般賃金水準に基づくため、派遣先変更による賃金変動を抑え、派遣元のキャリア形成・賃金制度を標準化しやすい方式ですが、協定の有効性、一般賃金以上性、職種分類、毎年度の見直し、公正評価、協定どおりの支払を厳格に管理する必要があります。
次の一覧は、派遣元と派遣先がそれぞれ整えるべき推奨モデルを整理したものです。方式選択を現場任せにしないことが重要であり、年度更新、職種分類、料金改定、説明資料、保存資料をどの部門が支えるかを読み取ってください。
事業年度ごとに一般賃金水準と賃金比較ツールを確認し、職種分類ルールを営業・法務・労務・給与で点検します。過半数代表者選出、労使協定、就業規則、賃金規程、雇用契約書、料金改定依頼資料、派遣労働者への説明資料、内部監査でのサンプル照合を一体で管理します。
協定運用年度更新派遣受入れ窓口を一本化し、派遣元ごとの待遇決定方式を契約書に反映します。比較対象労働者選定、教育訓練・福利厚生施設の情報提供、料金改定依頼への人事・法務・コンプライアンス関与、台帳・情報提供書・契約・抵触日通知・料金協議記録の一元保存、2026年10月改正に向けた説明請求対応を整えます。
受入れ統制説明体制次の判断の流れは、方式選択を検討するときの最終確認を表しています。上から順に、自社が情報を出せるか、派遣元が協定を運用できるか、派遣労働者へ説明できるかを確認し、どこかで不十分な点があれば、契約前に是正策を検討することが重要です。
派遣先情報か、派遣元協定・賃金比較のどちらかを説明できます。
待遇改善原資と料金協議の記録を残します。
待遇差の内容、理由、算定根拠、評価・昇給を分かる形にします。
契約、協定、台帳、料金、説明記録が後から追える状態にします。
制度の根拠確認に用いた公的資料・行政資料名を整理します。