2σ Guide

商標登録の更新手続きと
更新を忘れた場合のリスク

商標権の10年更新、満了前6か月の申請期間、追納・回復制度、契約や広告表示への影響を、事業者向けに整理します。このページの制度情報は、2026年4月30日時点の日本法・公的情報を中心にしています。

10年 設定登録日からの存続期間
6か月 通常更新・追納の重要期間
86,400円 商標の回復手数料
本ページは株式会社Dプロフェッションズ(医師/医療機関/弁護士/弁護士法人ではありません)が運営しています。
一般的な情報提供を目的としており医療上の助言や法律相談等を行うものではありません。
広告(PR)を掲載しています。広告は編集内容や推奨を意味しません。
Video

商標登録の更新手続きと 更新を忘れた場合のリスク

商標 権の10年更新、満了前6か月の申請期間、追納・回復制度、契約や広告表示への影響を、事業者向けに整理します。

動画を読み込み中…
2σ GUIDE ・ VIDEO
商標登録の更新手続きと 更新を忘れた場合のリスク
商標 権の10年更新、満了前6か月の申請期間、追納・回復制度、契約や広告表示への影響を、事業者向けに整理します。
動画の文字起こし(全文テキスト)

2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 商標登録の更新手続きと 更新を忘れた場合のリスク
  • 商標 権の10年更新、満了前6か月の申請期間、追納・回復制度、契約や広告表示への影響を、事業者向けに整理します。

POINT 1

  • 商標登録の更新手続きと更新忘れの全体像
  • 1. 通常の更新登録申請期間:商標権存続期間更新登録申請書を提出し、更新登録料を納付します。
  • 2. 追納により更新できる段階:通常の更新登録料に加えて同額の割増登録料を納付します。
  • 3. 権利消滅と回復検討の段階:追納期間内にも更新申請がない場合、商標権は満了時にさかのぼって消滅したものとみなされます。

POINT 2

  • 商標登録の更新手続きが重要な理由と基本用語
  • 更新漏れはブランド価値、契約、証拠、交渉力に影響します。
  • 差止め・警告の弱体化
  • 契約関係の不整合
  • M&A・資金調達での指摘

POINT 3

  • 商標登録の更新制度 ― 10年・6か月・回復要件
  • 1. 満了日前6か月に入る:通常の更新登録申請期間が始まります。
  • 2. 満了日までに申請・納付:更新登録料を納付し、さらに10年の更新を目指します。
  • 3. 満了日を過ぎたか確認:満了日後6か月以内かどうかで対応が分かれます。
  • 4. 追納で更新を急ぐ:更新登録料に同額の割増登録料が加わります。
  • 5. 消滅・回復を検討:満了時にさかのぼる消滅扱いと回復要件を確認します。

POINT 4

  • 商標登録の更新手続きの実務手順と費用
  • 1. 第1段階 ― 登録番号と満了日を確認:J-PlatPat、登録原簿、社内台帳で基本情報を確認します。
  • 2. 第2段階 ― 更新・放棄・区分減縮を判断:費用だけでなく、ブランド戦略、競合状況、契約関係、将来計画を見ます。
  • 3. 第3段階 ― 更新登録料を計算:区分数と一括・分割の選択を確認します。
  • 4. 第4段階 ― 更新登録申請書を作成:書類名、提出日、あて先、商標登録番号、申請人、代理人、登録料の表示などを整えます。
  • 5. 第5段階 ― 権利者情報を確認:共同権利者、代表者、識別番号、住所変更、合併・ 会社分割 などの不一致を確認します。
  • 6. 第6段階 ― オンラインまたは書面で提出:紙手続では電子化手数料や特許印紙の扱いにも注意します。
  • 7. 第7段階 ― 更新後に台帳へ反映:次回満了日、更新期間開始日、後期分割納付期限、証拠保管場所を登録します。

POINT 5

  • 商標登録の更新を忘れた場合の時系列リスク
  • 1. まだ通常更新できる段階:必要書類を作成し、更新登録料を納付して申請します。
  • 2. 追納で更新できるが費用が倍増する段階:通常更新登録料に加え、同額の割増登録料が必要です。
  • 3. 原則として権利消滅が問題になる段階:満了時にさかのぼって消滅したものとみなされ、差止請求、登録番号表示、契約関係、再出願戦略を総合的に見直します。

POINT 6

  • 商標登録の回復制度と回復理由書の注意点
  • 「故意によるものでないこと」は広い救済ではなく、説明の整合性が問われます。
  • 費用削減後の方針変更
  • 事業撤退後の再開
  • 買主・投資家からの指摘

POINT 7

  • 商標登録を更新していても注意すべき不使用取消審判
  • 更新と使用証拠は別問題です。3年以上使っていない商標は別のリスクがあります。
  • 更新と使用証拠は別問題です。
  • 3年以上使っていない商標は別のリスクがあります。
  • 商標権は更新すれば長く維持できます。

POINT 8

  • 商標登録の更新漏れ発覚時に行う緊急対応
  • 1. 商標登録番号・権利者・満了日を確認:登録原簿、J-PlatPat、社内台帳で客観情報を確認します。
  • 2. 満了日後6か月以内か:追納による更新が可能な段階かを確認します。
  • 3. 追納更新を最優先:更新登録料と割増登録料を確認し、確実な方法で申請します。
  • 4. 回復・再出願・表示修正を検討:回復期間、第三者出願、契約、広告、取引先説明を同時に確認します。

まとめ

  • 商標登録の更新手続きと 更新を忘れた場合のリスク
  • 商標登録の更新手続きと更新忘れの全体像:10年更新、満了後6か月、回復制度、事業リスクを最初に整理します。
  • 商標登録の更新手続きが重要な理由と基本用語:更新漏れはブランド価値、契約、証拠、交渉力に影響します。
  • 商標登録の更新制度 ― 10年・6か月・回復要件:商標権は何度でも更新できますが、自動では続きません。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

商標登録の更新手続きと更新忘れの全体像

10年更新、満了後6か月、回復制度、事業リスクを最初に整理します。

商標登録の更新手続きと更新を忘れた場合のリスクは、単なる期限管理ではありません。商品名、サービス名、店舗名、アプリ名、ブランドロゴ、ECサイト名などを市場で守る権利に関わり、更新漏れは差止め、警告、ライセンス、M&A、フランチャイズ、広告表示、ECプラットフォーム対応まで広がり得ます。

日本の商標権は、原則として設定登録日から10年で存続期間が満了します。商標権者が更新登録申請を行えばさらに10年更新でき、この更新を繰り返せます。通常の更新登録申請期間は、存続期間満了日の6か月前から満了日までです。

次の重要ポイントは、このページで扱う期限・費用・救済の全体像を表します。商標更新では、どの期間にいるかで取れる手段と費用が大きく変わるため、まず10年、6か月、86,400円という基準値を読み取ることが重要です。

通常期間内の更新完了が、最も確実なリスク管理です

満了日の少なくとも1年前から更新要否を検討し、満了日前6か月の通常期間に入ったら速やかに更新申請を完了させる運用が基本です。追納や回復制度は存在しますが、費用と不確実性が増します。

商標更新で見落としやすいのは、期限を過ぎても直ちに全ての選択肢が失われるわけではない一方、段階が進むほど費用・説明責任・契約リスクが重くなる点です。次の一覧では、各段階で何が起こるかを時系列で読み取ってください。

満了日前6か月から満了日まで

通常の更新登録申請期間

商標権存続期間更新登録申請書を提出し、更新登録料を納付します。原則としてこの期間内に終えるのが最も安全です。

満了日後6か月以内

追納により更新できる段階

通常の更新登録料に加えて同額の割増登録料を納付します。1区分なら、43,600円に43,600円が加わり、特許庁費用ベースで87,200円になります。

追納期間経過後

権利消滅と回復検討の段階

追納期間内にも更新申請がない場合、商標権は満了時にさかのぼって消滅したものとみなされます。一定の回復制度はありますが、提出期間、回復理由書、回復手数料などが問題になります。

重要追納期間後の回復制度は、費用を払えば当然に戻る制度ではありません。故意によるものではないこと、手続可能になった日から2か月以内であること、商標について所定期間内であることなどを確認する必要があります。
Section 01

商標登録の更新手続きが重要な理由と基本用語

更新漏れはブランド価値、契約、証拠、交渉力に影響します。

商標は、単なる名称やロゴではなく、商品・サービスの出所を示し、顧客の信用、口コミ、広告投資、販売実績、ブランドイメージを蓄積する標識です。商標権は目に見えにくいものの、企業価値や事業継続性を支える知的財産です。

商標登録をした時点で安心してしまうと、10年ごとの更新管理を見落としやすくなります。更新登録申請と更新登録料の納付を怠ると、権利の消滅、契約不整合、権利証明の弱体化、再出願の不確実性といった問題が起こり得ます。

次の一覧は、商標更新の失敗から生じる主な波及リスクを整理したものです。リスクの種類を並べて見ることで、更新漏れが費用だけでなく、契約、資金調達、広告、EC対応にまで及ぶことを読み取れます。

ENFORCEMENT

差止め・警告の弱体化

他社が同一・類似ブランドを使い始めても、登録商標権に基づく差止請求や警告が困難になります。

CONTRACT

契約関係の不整合

ライセンス契約、代理店契約、フランチャイズ契約、共同開発契約で、登録商標の維持を前提にした条項と矛盾する可能性があります。

FINANCE

M&A・資金調達での指摘

知財デューデリジェンス、担保設定、事業譲渡、IPO準備で、重要ブランドの管理不備として扱われることがあります。

PLATFORM

EC・広告・模倣品対策への影響

ECモール、広告審査、税関対応、ブランド保護制度で、権利証明の根拠が弱くなるおそれがあります。

REFILING

再出願の不確実性

再出願しても、第三者の先行出願、指定商品・指定役務、事業内容の変化により同じ範囲で登録できるとは限りません。

次の比較表は、商標更新を理解するための基本用語をまとめたものです。用語ごとに意味と実務上の確認点を分けて読むと、登録番号、区分、満了日、回復制度のどこを確認すべきかが分かります。

用語意味更新実務での確認点
商標商品やサービスの出所を示す標識です。文字、図形、記号、立体的形状、色彩、音、動き、ホログラム、位置などが対象になり得ます。商品名、サービス名、店舗名、ロゴ、アプリ名、シリーズ名、キャラクター名などを棚卸しします。
商標登録特許庁への出願と審査を経て、特定の商品・役務との関係で商標権を発生させる制度です。商標そのものだけでなく、指定商品・指定役務と区分の設計を確認します。
商標権登録商標を指定商品・指定役務について独占的に使用し、一定範囲で類似商標の使用を排除し得る権利です。模倣品対応、警告、差止請求、損害賠償請求、ライセンス、ブランド譲渡の前提になります。
設定登録審査後に登録料が納付され、商標権が発生する登録手続です。10年の存続期間は、原則として設定登録日から起算します。
存続期間満了日現在の商標権の存続期間が終わる日です。通常更新期間、追納期間、回復検討期間の基準になるため、最初に確認します。
更新登録申請満了する商標権の存続期間をさらに10年延長するための申請です。商標権存続期間更新登録申請書を提出し、更新登録料を納付します。
区分・指定商品・指定役務商品・サービスを国際分類に従って指定する枠組みです。更新登録料は区分数で計算されるため、維持すべき区分と不要区分を検討します。
失効・消滅・回復更新されず効力を失う状態、満了時にさかのぼって消滅したものとみなされる扱い、一定要件で復活を求める制度です。追納期間を過ぎた案件では、回復要件と事業防衛策を同時に検討します。
Section 02

商標登録の更新制度 ― 10年・6か月・回復要件

商標権は何度でも更新できますが、自動では続きません。

商標権は設定登録日から10年で満了しますが、更新登録申請を行えばさらに10年更新でき、これを繰り返せます。商標は事業上の信用を示す標識であり、使用が続く限り保護の必要性が継続し得るため、長期維持を予定した制度になっています。

ただし、何度でも更新できることは、何もしなくても続くことを意味しません。更新登録申請と更新登録料の納付が必要です。通常の更新登録申請は、存続期間満了日の6か月前から満了日までに行います。

次の時系列は、満了日を中心に通常更新、追納、回復検討の関係を表します。左右の順番は時間の進み方を示し、後ろへ進むほど費用と不確実性が増すため、自社の商標がどの段階にあるかを読み取ることが重要です。

商標登録更新の期間判断

満了日前6か月に入る

通常の更新登録申請期間が始まります。

満了日までに申請・納付

更新登録料を納付し、さらに10年の更新を目指します。

満了日を過ぎたか確認

満了日後6か月以内かどうかで対応が分かれます。

6か月以内
追納で更新を急ぐ

更新登録料に同額の割増登録料が加わります。

6か月超
消滅・回復を検討

満了時にさかのぼる消滅扱いと回復要件を確認します。

通常期間の開始日は1日単位で確認する

満了日の6か月前という表現は、日付の計算を誤りやすい点です。存続期間満了日が12月26日の場合、更新登録申請期間は6月27日から12月26日とされ、6月26日に申請すると期間外として受理されない可能性があります。

追納期間内にも更新しなかった場合

満了日後6か月以内にも更新申請がされない場合、商標権は存続期間満了時にさかのぼって消滅したものとみなされます。単に追納期間の最終日に消えるのではなく、満了時点に戻って消滅扱いになるため、満了日後の警告、契約、表示、EC申立ての前提に注意が必要です。

追納期間経過後の回復制度

追納期間を過ぎても、一定要件を満たせば回復が認められる場合があります。令和5年4月1日以降の期間徒過については、回復要件が「正当な理由があること」から「故意によるものでないこと」に緩和されています。ただし、何でも救済される制度ではありません。

次の比較表は、回復制度で特に確認すべき条件と費用を整理したものです。期間、提出書面、手数料、更新料の列を分けて読むことで、回復手続が通常更新より重い手続であることを把握できます。

確認項目内容実務上の注意
提出期間手続ができるようになった日から2か月以内、かつ商標について所定期間内であることを確認します。気づいた日と手続可能になった日を証跡で残します。
回復理由書期間内に手続できなかった理由、手続できるようになった日、故意でないことを説明します。後日の契約責任や監査説明と矛盾しない記載が必要です。
回復手数料商標の回復手数料は86,400円とされています。更新登録料、割増登録料とは別に準備します。
更新登録料・割増登録料回復制度を利用する場合でも、更新登録料と割増登録料の納付が必要です。費用負担は通常更新より大きくなります。

満了通知は原則として届かない

商標権の存続要否は権利者に委ねられるため、特許庁から存続期間満了日の通知等は原則として行われません。特許・登録料支払期限通知サービスはありますが、権利維持の手続そのものを代替するものではありません。

Section 03

商標登録の更新手続きの実務手順と費用

登録番号、区分、料金、申請書、提出方法、台帳反映まで順番に確認します。

更新管理の出発点は、登録番号と存続期間満了日の確認です。商標登録証、過去の出願書類、代理人からの報告書、社内の知財管理台帳、J-PlatPatなどを確認します。

次の比較表は、更新前に一覧化しておきたい情報を整理したものです。左列は確認項目、右列は実務上の意味を示しており、登録番号や満了日だけでなく、区分、使用状況、契約関係まで確認する必要があることを読み取れます。

確認項目実務上の意味
商標登録番号更新申請書に必要です。誤記は不備につながります。
商標の表示文字商標、ロゴ、図形、結合商標などを確認します。
商標権者更新申請人になる者です。合併、商号変更、住所変更の有無を確認します。
区分更新登録料の計算基礎です。不要区分の整理対象にもなります。
指定商品・指定役務現在の事業内容と一致しているか確認します。
存続期間満了日更新期間、追納期間、回復期間の基準です。
分割納付の有無後期分割登録料の期限管理が必要です。
使用状況不使用取消リスク、維持要否、証拠収集に関係します。
ライセンス・担保・契約更新漏れが契約違反や表明保証違反になり得ます。

更新するか、放棄するか、区分を減らすか

商標権は何度でも更新できますが、すべての登録を機械的に更新する必要があるとは限りません。事業撤退、ブランド統廃合、ロゴ変更、サービス終了、海外展開の停止などにより、維持の必要性が低下している登録もあります。

一方で、現在は使っていないように見えても、将来の再展開、派生ブランド、防衛的意義、既存契約上の義務、第三者の模倣抑止のために維持すべき商標もあります。多区分登録の場合、更新時に区分を減らすことはできますが、区分を増やすことはできません。保護を広げる場合は別途出願を検討します。

次の費用表は、納付方法ごとの基本額と特徴を整理したものです。金額列は特許庁費用の基本額を示し、追納や回復に進むほど費用が増えるため、早期更新の重要性を読み取れます。

納付方法特許庁費用の基本額特徴
10年一括納付区分数 × 43,600円長期管理が簡素です。総額は分割納付より低くなります。
5年ごとの分割納付前期・後期それぞれ区分数 × 22,800円初期負担は抑えられますが、後期納付の期限管理が必要です。
満了日後6か月以内の追納通常更新登録料 + 同額の割増登録料費用が実質的に倍額になります。
追納期間経過後の回復更新登録料 + 割増登録料 + 回復手数料等認められるとは限らず、手続負担が大きくなります。

次の手順は、商標登録更新を進める実務上の順番を表します。上から下へ確認することで、登録情報の確認、更新判断、料金計算、申請書作成、提出、台帳反映までの抜け漏れを防げます。

更新登録申請の実務手順

第1段階 ― 登録番号と満了日を確認

J-PlatPat、登録原簿、社内台帳で基本情報を確認します。

第2段階 ― 更新・放棄・区分減縮を判断

費用だけでなく、ブランド戦略、競合状況、契約関係、将来計画を見ます。

第3段階 ― 更新登録料を計算

区分数と一括・分割の選択を確認します。

第4段階 ― 更新登録申請書を作成

書類名、提出日、あて先、商標登録番号、申請人、代理人、登録料の表示などを整えます。

第5段階 ― 権利者情報を確認

共同権利者、代表者、識別番号、住所変更、合併・会社分割などの不一致を確認します。

第6段階 ― オンラインまたは書面で提出

紙手続では電子化手数料や特許印紙の扱いにも注意します。

第7段階 ― 更新後に台帳へ反映

次回満了日、更新期間開始日、後期分割納付期限、証拠保管場所を登録します。

申請書で確認する主な記載事項

更新登録申請では、商標権存続期間更新登録申請書を作成します。典型的には、書類名、提出日、特許庁長官宛てであること、商標登録番号、更新登録申請人、識別番号または住所、氏名・名称、代表者、代理人、登録料の表示、納付金額などを確認します。代理人が弁理士の場合は弁理士、弁護士の場合は弁護士と記録する扱いも示されています。

紙手続と電子化手数料

電子出願で可能な手続を書面で行う場合、電子化手数料が必要になる場合があります。電子化手数料は、手続1件につき2,400円に、書面1枚につき800円を加えた額とされています。紙手続では、収入印紙ではなく特許印紙を使う場面がある点にも注意します。

Section 04

商標登録の更新を忘れた場合の時系列リスク

満了日前、満了後6か月以内、6か月超でリスクの質が変わります。

更新漏れが発覚したときは、まず現在の段階を確認します。満了日前であれば通常更新、満了日後6か月以内であれば追納、6か月を超えれば消滅と回復検討が中心になります。

次の時系列は、更新漏れが進むにつれて何を優先すべきかを表します。期間の順番がそのまま対応の優先順位になるため、原因分析より先に期限と権利状態を確定することを読み取ってください。

満了日前

まだ通常更新できる段階

必要書類を作成し、更新登録料を納付して申請します。ただし、満了日直前は社内決裁、権利者情報、代理人対応、登録番号確認、郵送、支払方法でつまずきやすくなります。

満了日後6か月以内

追納で更新できるが費用が倍増する段階

通常更新登録料に加え、同額の割増登録料が必要です。まず期限確認と申請完了を優先し、原因分析は並行して行います。

満了日後6か月超

原則として権利消滅が問題になる段階

満了時にさかのぼって消滅したものとみなされ、差止請求、登録番号表示、契約関係、再出願戦略を総合的に見直します。

次の一覧は、満了日後6か月を超えた場合に顕在化しやすいリスクをまとめたものです。各項目は別々に見えても、ブランド防衛、契約、資金調達、広告表示、内部統制が連動して悪化し得る点を読み取ることが重要です。

差止請求・警告の基盤喪失

登録商標権に基づく差止請求や模倣品対応が困難になり、交渉力が低下します。

第三者出願・使用への対応複雑化

第三者が同一・類似商標を出願・使用する余地が生じ、再出願しても同じ範囲で登録できるとは限りません。

ライセンス・フランチャイズ契約への影響

商標権の維持義務、第三者侵害対応義務、ロイヤルティ、解除条項に影響することがあります。

M&A・資金調達・監査での指摘

重要ブランドの失効は、価格調整、表明保証違反、補償、追加調査につながり得ます。

広告・表示・登録番号表示の問題

権利消滅後に登録商標であるかのような表示を続けると、表示の正確性が問題になります。

社内統制・責任問題

重要商標の更新漏れは、法務・知財・広報・商品企画・海外部門・子会社管理の連携不備を示すことがあります。

注意満了日後の段階に入った時点で、費用の問題だけでなく管理体制の不備として扱う必要があります。特に重要ブランドでは、取引先やライセンシーへの影響も同時に確認します。
Section 05

商標登録の回復制度と回復理由書の注意点

「故意によるものでないこと」は広い救済ではなく、説明の整合性が問われます。

令和5年4月1日以降の期間徒過について、回復要件は「故意によるものでないこと」に緩和されました。しかし、これを「うっかり忘れなら当然に救済される」と理解するのは危険です。

次の一覧は、回復が問題になる場面で慎重に検討すべき事情を整理したものです。各項目は、後から必要になったから復活させたいという説明が、故意ではなかったという主張と両立するかを読むためのものです。

COST

費用削減後の方針変更

費用削減のため更新しないと判断した後、競合出現により復活させたい場合は慎重な説明が必要です。

BUSINESS

事業撤退後の再開

撤退予定で更新しなかった後に事業再開が決まった場合、当初判断の記録が問題になり得ます。

M&A

買主・投資家からの指摘

M&A候補先や投資家から指摘されて必要性に気づいた場合、管理記録との整合性を確認します。

AGENT

代理人案内の放置

代理人から案内が来ていたのに社内で放置していた場合、経緯の説明が難しくなることがあります。

回復理由書に整理する事項

回復理由書では、期間内に手続できなかった理由、手続できるようになった日、手続しなかったことが故意でないことを簡明に説明します。証拠書類は常に必須とはされませんが、記載事項に疑義がある場合などには提出を求められる可能性があります。

次の比較表は、回復理由書の準備で確認する事項を表します。番号順に確認すると、対象商標の特定、通常期間・追納期間の事情、気づいた日、期限内申請、故意でないこと、再発防止策まで一貫した説明になっているかを確認できます。

番号整理事項確認する意味
1対象商標の登録番号、権利者、満了日、追納期限どの権利について回復を求めるかを明確にします。
2通常更新期間中に手続できなかった理由通常期間内に終えられなかった事情を確認します。
3追納期間中にも手続できなかった理由追納期間も徒過した理由を説明します。
4期間徒過に気づいた日、または手続できるようになった日2か月以内要件の起点を確認します。
5その日から2か月以内に回復手続をしていること提出期限を満たすか確認します。
6商標について所定の期間内であること商標特有の期間制限に入っているか確認します。
7手続しなかったことが故意ではないこと単なる方針変更ではないかを検討します。
8社内管理体制の問題と再発防止策今後の管理改善と説明責任に関係します。
9必要に応じたメール、社内記録、代理人連絡履歴記載内容を裏付ける資料を準備します。

回復申請中も権利が安定するわけではない

回復申請を出しただけでは、直ちに権利が安定するわけではありません。認否結果が出るまでの間に後続の納付期限が来る場合もあり、納付を怠ると割増登録料や権利消滅の問題が生じ得ます。第三者との交渉、契約、警告、表示、EC申立ては慎重に扱う必要があります。

Section 06

商標登録を更新していても注意すべき不使用取消審判

更新と使用証拠は別問題です。3年以上使っていない商標は別のリスクがあります。

商標権は更新すれば長く維持できます。しかし、更新された商標権であっても、使っていない商標は不使用取消審判の対象になり得ます。登録商標が商標権者等により継続して3年以上日本国内で使用されていない場合、何人も取消しを求める審判を請求できるとされています。

次の比較表は、更新手続と使用実態を混同しないためのものです。左列の誤解と右列の正しい理解を対比して読むと、更新料を払うだけでは使用証拠の問題が解決しないことが分かります。

誤解正しい理解
更新できたから、使用していなくても絶対に安全3年以上不使用であれば、不使用取消審判を請求される可能性があります。
商標を少し変えて使っているから常に使用になる登録商標と社会通念上同一といえるか、指定商品・役務との関係で使っているかが問題になります。
海外で使っているから日本でも使用扱いになる日本国内での使用が問題になります。
ライセンシーが使っているから証拠は不要使用許諾関係や使用実績を証明できる証拠を保管する必要があります。

次の一覧は、更新のたびに保存を確認したい使用証拠をまとめたものです。資料の種類を幅広く保管することで、商標の実際の使用、使用許諾先の使用、指定商品・役務との関係を後から説明しやすくなります。

01

商品・販売資料

商品パッケージ写真、ECサイトの商品ページ、カタログ、パンフレット、店舗看板写真を保存します。

商品表示
02

オンライン・広告資料

ウェブサイトのスクリーンショット、広告、SNS投稿、プレスリリース、展示会資料を定期的に残します。

公開証跡
03

取引・許諾資料

請求書、納品書、取引書類、ライセンシーの使用資料、使用許諾契約書を保管します。

契約証跡
実務更新管理と使用証拠管理は、同じ知財リスク管理の一部です。更新判断の際には、費用だけでなく、使用実態と証拠の保管状況を同時に確認します。
Section 07

商標登録の更新漏れ発覚時に行う緊急対応

最初の24時間で権利状態を確定し、段階別に対応を切り替えます。

更新漏れに気づいた場合、最初に行うべきことは感情的な責任追及ではなく、法的ステータスの確定です。公的記録と期限を確認し、必要に応じて弁理士・弁護士へ即日相談します。

次の判断の流れは、更新漏れに気づいた直後の確認順序を表します。上から下に進めることで、満了日後6か月以内か、回復可能性があるか、事業防衛策に移るべきかを読み取れます。

更新漏れ発覚時の判断順序

商標登録番号・権利者・満了日を確認

登録原簿、J-PlatPat、社内台帳で客観情報を確認します。

満了日後6か月以内か

追納による更新が可能な段階かを確認します。

該当
追納更新を最優先

更新登録料と割増登録料を確認し、確実な方法で申請します。

非該当
回復・再出願・表示修正を検討

回復期間、第三者出願、契約、広告、取引先説明を同時に確認します。

最初の24時間で確認すること

  • 商標登録番号、権利者名、存続期間満了日。
  • 満了日後6か月以内か、追納期間経過後であれば経過後6か月以内か。
  • 登録原簿・J-PlatPat上の状態。
  • 登録商標と現在使用中の商標が一致しているか。
  • 指定商品・指定役務と現在の事業が一致しているか。
  • ライセンス契約、フランチャイズ契約、M&A、係争、警告書の有無。
  • 第三者の同一・類似商標出願や使用の有無。

満了日後6か月以内の場合

原則として追納による更新を最優先します。社内では原因記録、管理体制の見直し、次回満了日と後期分割納付期限の登録、関連する海外商標や関連ブランドの漏れ確認、重要取引先への説明要否の検討を並行します。

追納期間を過ぎているが回復可能性がある場合

登録番号、満了日、追納期限、更新管理台帳、社内通知、代理人案内、メール履歴、期間徒過に気づいた日、手続ができるようになった日、故意ではなかった事情、社内決裁記録、費用準備、ライセンス先・販売先・子会社への影響をそろえます。

回復期間も過ぎている、または回復が困難な場合

既存商標権の復活に固執せず、同一商標の再出願、類似・周辺商標を含めた再出願戦略、第三者出願・使用の監視、不正競争防止法上の保護可能性、契約書上の商標保証や解除条項、ECモール・広告・包装・ウェブサイト上の登録表示修正、取引先・加盟店・販売代理店への説明、ブランド変更やロゴ変更を総合的に検討します。

Section 08

商標登録の更新で弁護士・弁理士に相談する場面と海外商標

特許庁手続、契約・紛争、海外更新では相談先と管理方法が変わります。

商標更新手続そのものは、制度を理解していれば権利者本人が行うことも可能です。しかし、区分整理、回復、再出願、契約、警告、M&A、海外商標が絡む場合は、弁理士または弁護士への相談が重要になります。

次の一覧は、弁理士、弁護士、両者の連携が有効な場面を分けたものです。特許庁手続と契約・紛争リスクを切り分けて読むと、どの専門家に何を相談するか整理しやすくなります。

PATENT ATTORNEY

弁理士への相談が有効な場面

更新登録申請書の作成・提出、区分減縮、予納・電子出願・特許印紙・紙手続の確認、回復理由書と特許庁手続、再出願可能性調査、類似商標調査、指定商品・指定役務の再設計、海外商標・マドリッド国際登録の更新管理が中心です。

LAWYER

弁護士への相談が重要な場面

第三者使用、警告書の送付・受領、ライセンス契約、フランチャイズ契約、M&A、資金調達、IPO審査、広告表示、取引先説明、役員・担当者責任、不正競争防止法や契約違反の検討が中心です。

JOINT

連携が望ましい場面

更新漏れが第三者紛争や契約問題に発展している場合、弁理士は特許庁手続と商標ポートフォリオを整理し、弁護士は契約、交渉、訴訟、損害、広報リスクを整理します。

海外商標・マドリッド国際登録の更新

このページは日本の商標登録を中心にしていますが、海外商標やマドリッド協定議定書による国際登録では更新制度が異なります。国際登録は、所定の手数料により存続期間満了からさらに10年更新できます。WIPO国際事務局は満了6か月前に非公式通知を送りますが、通知が届かなかったことを理由に期限徒過を正当化する主張は認められないとされています。

次の比較表は、海外商標で国ごとに異なる確認項目を整理したものです。各列を見ることで、日本国内の商標台帳だけでは足りず、国別の更新期間、使用証拠、代理人要件、回復制度まで一元管理する必要があることを読み取れます。

確認項目国・制度ごとに異なる点管理上の注意
更新期間・猶予期間国ごとに通常期間と猶予期間が異なります。満了日だけでなく、国別の開始日・最終日を台帳に登録します。
使用宣誓・使用証拠使用証拠や宣誓が必要な国があります。国内使用証拠と海外使用証拠を分けて管理します。
代理人要件現地代理人が必要な場合があります。現地代理人と日本側の連絡先を複数化します。
住所変更・名義変更国ごとに手続の扱いが異なります。会社再編や所在地変更時に一括点検します。
回復制度・料金失効後の回復可否や追加料金が異なります。国際登録では猶予期間の割増手数料が更新基本手数料の50%と説明されています。
海外日本の特許庁通知サービスは、マドリッド協定議定書に基づく国際登録出願等手続で日本国特許庁において設定登録された権利を対象外としています。国内商標とは別の管理が必要です。
Section 09

商標登録の更新を忘れない管理体制

商標台帳、複数リマインダー、部門連携、使用証拠保存で再発を防ぎます。

商標更新は10年ごとのため、人事異動、退職、システム変更、会社統合、メールアドレス変更で見落とされやすい手続です。重要商標は、担当者の記憶ではなく、台帳、リマインダー、承認記録、証拠保管を組み合わせて管理します。

次の表は、最低限の商標台帳に入れておきたい管理項目です。列ごとに、期限、保護範囲、権利者、使用部署、契約関係を分けて読むと、更新漏れを防ぐだけでなく、不要商標の整理や不使用取消対策にもつながることが分かります。

管理項目内容
管理番号社内で一意に管理する番号です。
商標名・ロゴ文字、ロゴ、図形などを記録します。
登録番号特許庁手続で必須です。
出願日・登録日権利の経緯を確認します。
存続期間満了日更新管理の基準日です。
更新期間開始日満了日前6か月の開始日です。
追納期限満了日後6か月の最終日です。
回復可能性の最終確認日追納期間経過後の緊急管理用です。
区分料金計算と保護範囲に関係します。
指定商品・指定役務事業との対応関係を確認します。
権利者法人名、住所、合併・移転履歴を記録します。
使用部署商品部、営業部、広報部、海外部門などを記録します。
使用証拠保管場所不使用取消対策に関係します。
ライセンス先使用許諾先と契約期限を記録します。
代理人弁理士や手続担当の連絡先を記録します。
次回アクション更新、再出願、区分減縮、放棄などを記録します。

次の時系列は、満了日の18か月前から満了日後1週間までのリマインダー設計を表します。早い段階ほど情報確認と予算確保、満了日に近づくほど未処理案件のエスカレーションが重要になることを読み取ってください。

18か月前

台帳確認・権利者情報確認

登録番号、権利者、住所、合併・商号変更の有無を確認します。

12か月前

更新要否の一次検討

事業部門、広報、営業、海外部門と維持の必要性を確認します。

8か月前

予算確保・使用状況確認

更新料、代理人費用、使用証拠、不使用取消リスクを確認します。

6か月前

更新期間開始・申請準備

通常期間に入ったら、申請書作成と納付準備を進めます。

3か月前・1か月前

未処理案件のエスカレーション

未処理案件を責任者や役員へ通知し、遅延理由を記録します。

満了日直前・満了日後1週間

最終確認と緊急対応

申請完了、納付、反映を確認し、漏れがあれば追納段階として扱います。

更新判断は法務だけに閉じない

商標更新は法務・知財部門の手続ですが、更新要否の判断は事業部門、広報、マーケティング、営業、海外部門、経営企画、経理、子会社管理と連携して行います。法務部門だけでは、将来再利用、広告予定、海外展開、フランチャイズ契約上の必要性を把握しきれないことがあります。

不要商標の放棄も記録する

不要な商標を更新しない判断も合理的です。ただし、放棄対象の登録番号、放棄する区分・商品役務、放棄理由、事業部門の確認、競合調査、ライセンス・契約への影響、将来再出願の要否、責任者の承認を記録します。放棄記録は、後日の回復申請の可否にも影響し得ます。

使用証拠を定期保存する

更新のたびに、登録商標が実際に使用されているかを確認し、商品パッケージ、ウェブサイト、EC商品ページ、広告、請求書、納品書、プレスリリース、SNS投稿、展示会資料、店舗看板、ライセンシー資料、使用許諾契約書を保存します。

Section 10

商標登録の更新手続きに関するFAQ

期限・費用・通知・区分・専門家相談について、一般的な考え方を整理します。

Q1. 商標登録は何年ごとに更新しますか。

一般的には、日本の商標権は設定登録日から10年で満了し、更新登録申請によりさらに10年更新できるとされています。更新は繰り返し可能ですが、登録番号、権利者、区分、分割納付の有無によって確認すべき事項が変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁理士・弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 更新申請はいつからできますか。

一般的には、存続期間満了日の6か月前から満了日までとされています。ただし、開始日の計算を1日誤ると期間外になる可能性があります。満了日が12月26日の場合、更新登録申請期間は6月27日から12月26日とされる例が示されています。具体的にはJ-PlatPat、登録原簿、代理人資料で確認する必要があります。

Q3. 更新を忘れたらすぐに権利はなくなりますか。

一般的には、満了日後6か月以内であれば、通常の更新登録料に加えて同額の割増登録料を納付することで更新申請ができるとされています。ただし、その期間内にも申請しなかった場合、商標権は満了時にさかのぼって消滅したものとみなされます。具体的な権利状態は登録情報を確認する必要があります。

Q4. 満了日後6か月も過ぎたら回復できませんか。

一般的には、一定の要件を満たせば回復が認められる場合があります。ただし、手続ができるようになった日から2か月以内、商標についての期間制限、回復理由書、回復手数料、更新登録料、割増登録料などが問題になります。個別の見通しは、期間や経緯の資料を整理して専門家へ相談する必要があります。

Q5. 特許庁から更新通知は届きますか。

一般的には、特許庁から存続期間満了日の通知等は行われないとされています。期限通知サービスはありますが、手続の代替ではありません。担当者変更、メール不達、対象外案件などの事情で見落とす可能性があるため、社内台帳と複数リマインダーで管理する必要があります。

Q6. 更新料はいくらですか。

2026年4月30日時点の公的情報では、商標の更新登録申請は区分数×43,600円、分割納付は前期・後期それぞれ区分数×22,800円とされています。ただし、料金は制度改正で変わる可能性があります。申請時には特許庁の最新料金と区分数を確認する必要があります。

Q7. 紙で申請すると追加費用はありますか。

一般的には、電子出願で可能な手続を書面で行う場合、電子化手数料が必要になる場合があります。手続1件につき2,400円に書面1枚につき800円を加えた額とされています。具体的な費用は、書面枚数、手続方法、納付方法によって確認が必要です。

Q8. 更新時に区分を減らせますか。

一般的には、多区分登録の場合、更新登録を求める区分だけを記載して区分を減らせるとされています。ただし、更新時に区分を増やすことはできません。新たな商品・役務の保護が必要な場合は、別途出願を検討する必要があります。

Q9. 使っていない商標も更新できますか。

一般的には、更新手続で常に使用証拠を提出するわけではありません。ただし、登録商標が継続して3年以上日本国内で使用されていない場合、不使用取消審判を請求される可能性があります。使用実態と証拠の保管状況は、更新判断とあわせて確認する必要があります。

Q10. 弁護士と弁理士のどちらに相談すべきですか。

一般的には、特許庁への更新申請、区分整理、再出願、回復手続の実務は弁理士が中心になりやすいとされています。一方、更新漏れが契約違反、警告、訴訟、損害賠償、M&A、取引先説明、広告表示に関係する場合は弁護士への相談が重要です。複雑な案件では、弁護士と弁理士が連携する体制を検討する必要があります。

Section 11

商標登録の更新手続きの実務チェックリストとまとめ

通常更新前と更新漏れ発覚時の確認事項を一覧で確認します。

最後に、通常更新前と更新漏れ発覚時の確認事項を分けて整理します。更新前の一覧は平常時の抜け漏れ防止、更新漏れ発覚時の一覧は期限確認と緊急対応の優先順位を読み取るために使います。

A

通常更新前の確認

商標登録番号、満了日、更新期間開始日、権利者名・住所、共同権利者、区分数、指定商品・指定役務、区分減縮、一括・分割、更新登録料、電子化手数料、社内承認、申請書提出、次回満了日の台帳登録を確認します。

平常時
B

更新漏れ発覚時の確認

満了日、満了日後6か月以内か、追納可否、回復期間内か、回復理由書、回復手数料・更新登録料・割増登録料、気づいた日、社内資料、契約影響、表示修正、専門家相談、再発防止策を確認します。

緊急時

通常更新前チェックリスト

  • 商標登録番号を確認する。
  • J-PlatPatまたは登録原簿で存続期間満了日を確認する。
  • 更新期間開始日を確認する。
  • 商標権者名・住所が現状と一致しているか確認する。
  • 共同権利者の有無を確認する。
  • 区分数を確認する。
  • 指定商品・指定役務と現在の事業を照合する。
  • 区分を減らすか検討する。
  • 10年一括納付か分割納付か決定する。
  • 更新登録料を計算する。
  • 紙手続の場合、電子化手数料を確認する。
  • 社内承認を取得する。
  • 更新登録申請書を提出する。
  • 登録後、次回満了日を台帳に登録する。

更新漏れ発覚時チェックリスト

  • 満了日を確認する。
  • 満了日後6か月以内か確認する。
  • 追納による更新が可能か確認する。
  • 追納期間経過後の場合、回復期間内か確認する。
  • 回復理由書が必要か確認する。
  • 回復手数料、更新登録料、割増登録料を確認する。
  • 期間徒過に気づいた日を記録する。
  • 社内メール、代理人連絡、管理台帳を収集する。
  • ライセンス先、取引先、加盟店への影響を確認する。
  • 登録商標表示や登録番号表示の修正要否を確認する。
  • 弁理士・弁護士への相談要否を判断する。
  • 再発防止策を記録する。
まとめ商標登録の更新手続きと更新を忘れた場合のリスクは、知財担当者だけの問題ではありません。商標権は、ブランド、信用、広告投資、契約、模倣品対策、M&A、資金調達、海外展開を支える事業資産です。通常期間内の更新、台帳管理、複数リマインダー、使用証拠保存、契約確認、専門家連携を整備することが重要です。
Reference

この記事の参考資料・公的情報源

公的機関・制度資料

  • INPIT「商標権の存続期間はどのくらいですか。」
  • 特許庁「権利維持のための特許(登録)料の納付の流れについて」
  • 特許庁「登録の実務Q&A」Q&A No.29、No.32
  • 特許庁「商標権の更新」
  • INPIT「商標権の更新登録申請をすることができず、権利が消滅してしまいました。救済措置はありますか。」
  • 特許庁「『故意によるものでないこと』による期間徒過後の救済について」
  • 特許庁「産業財産権関係料金一覧」
  • 特許庁「特許(登録)料支払期限通知サービスについて」
  • 特許庁「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で、特許(登録)料納付に必要な情報を調べたい方へ」
  • 特許庁「特許(登録)料納付書等の記載方法」
  • INPIT「商標権存続期間更新登録申請書について教えてください。」
  • 特許庁 電子出願ソフトサポートサイト「商標権存続期間更新登録申請書」
  • 特許庁 電子出願ソフトサポートサイト「代理人(商標権存続期間更新登録申請書)」
  • 特許庁「書面で手続する場合の電子化手数料について」
  • 特許庁「用語解説 ― 不使用取消審判」
  • 特許庁「国際登録の存続期間の更新申請」