2σ Guide

親が購入した金額がわからない場合の
取得費の算出方法

相続した土地建物を売却するとき、取得費は税額に直結します。5%概算に進む前に、親の取得費を引き継ぐ原則、資料探索、建物の減価償却、取得費加算や空き家特例まで順番に確認します。

5%概算取得費の目安
20.315%長期譲渡の概算税率
3年10か月取得費加算の確認目安
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親が購入した金額がわからない場合の 取得費の算出方法

相続 した土地建物を売却するとき、取得費は税額に直結します。

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親が購入した金額がわからない場合の 取得費の算出方法
相続 した土地建物を売却するとき、取得費は税額に直結します。
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  • 親が購入した金額がわからない場合の 取得費の算出方法
  • 相続 した土地建物を売却するとき、取得費は税額に直結します。

POINT 1

  • 親が購入した金額がわからない場合の取得費の全体像
  • 5%だけで決めず、証拠、計算、特例、推計の順で整理します。
  • 親の取得費を探す
  • 土地と建物を分ける
  • 5%概算を比較する

POINT 2

  • 親が購入した金額がわからない場合の取得費は相続でどう引き継ぐか
  • 相続したから取得費はゼロ
  • 相続では親の取得費を引き継ぐため、親の購入金額や取得時費用を確認できれば取得費として検討できます。
  • 相続税評価額が取得費
  • 相続税評価額は相続税のための評価額であり、譲渡所得の取得費とは別の考え方です。

POINT 3

  • 親が購入した金額がわからない場合に探す取得費資料
  • 直接証拠と間接証拠を分けて、実額または合理的な説明の手掛かりを集めます。
  • 親が購入した金額がわからない場合でも、すぐに概算取得費へ進む必要はありません。
  • どの資料が何を確認できるか、どこを探すべきかを対応させているため、資料探索の優先順位を読み取れます。
  • 複数の資料が整合しているかを見ることが重要で、単独資料だけで金額を断定しにくい点も読み取ってください。

POINT 4

  • 親が購入した金額が判明した場合の取得費計算
  • 土地は減価償却せず、建物は所有期間中の減価償却費相当額を差し引きます。
  • 親の購入金額が判明した場合の基本計算は、土地と建物で異なります。
  • ただし、すでに事業所得などの必要経費に算入されたものは重ねて入れられません。
  • 非業務用の自宅建物では、経過年数の端数は6か月以上を1年、6か月未満を切り捨てます。

POINT 5

  • 親が購入した金額がわからない場合の概算取得費5%
  • 資料探索をしても実額が分からない場合に、譲渡価額の5%を使う方法です。
  • 資料探索をしても取得費が分からない場合、土地建物については譲渡価額の5%相当額を取得費とすることができます。
  • 先祖伝来の土地建物や買い入れ時期が古い土地建物などで、実際の取得費が分からない場合に使われる方法です。
  • 実際の取得費が譲渡価額の5%相当額を下回る場合も、5%相当額を取得費にできるとされています。

POINT 6

  • 親が購入した金額がわからない場合の特例と登記費用
  • 相続人が支払った費用、取得費加算、空き家特例は併用制限まで確認します。
  • 実額取得費方式では検討できる費用でも、取得費が分からないため5%相当額を使う場合には取得費に含められないとされています。
  • 方式ごとの効果を並べて見ることで、5%を選ぶ前に資料探索を続ける意味を読み取れます。
  • この点は見落とされやすい部分です。

POINT 7

  • 親が購入した金額がわからない場合の取得費推計
  • 立地と道路付け
  • 駅距離、前面道路、接道状況、再建築可否などにより、同じ地域でも価格が大きく変わります。
  • 土地の形状と権利
  • 地積、形状、用途地域、地目、借地権の有無などは、個別土地の価値を左右します。

POINT 8

  • 親が購入した金額がわからない場合の実務手順
  • 1. ステップ1 売却資産を確認する:土地だけか、建物付きか、共有持分か、借地権かを整理します。
  • 2. ステップ2 親の取得経緯を確認する:売買、建築、交換、買換え、贈与、相続などを確認します。
  • 3. ステップ3 取得時期を確認する:登記、契約書、建築確認、固定資産税資料を確認します。
  • 4. ステップ4 取得費資料を探す:契約書、領収書、ローン、通帳、申告書控えを確認します。
  • 5. ステップ5 土地と建物に分ける:建物があれば減価償却費相当額を計算します。
  • 6. ステップ6 実額取得費と概算取得費を比較する:実額が5%を下回る場合も5%を使える点を確認します。
  • 7. ステップ7 相続人支払費用を確認する:実額方式なら一定の登記費用などを検討します。
  • 8. ステップ8 取得費加算と特別控除を検討する:相続税の取得費加算、空き家特例などを確認します。
  • 9. ステップ9 譲渡費用を整理する:仲介手数料、印紙税、測量費、取壊し費用などを整理します。
  • 10. ステップ10 申告方針を決める:証拠、税額、否認リスク、専門家意見を踏まえます。

まとめ

  • 親が購入した金額がわからない場合の 取得費の算出方法
  • 親が購入した金額がわからない場合の取得費の全体像:5%だけで決めず、証拠、計算、特例、推計の順で整理します。
  • 親が購入した金額がわからない場合の取得費は相続でどう引き継ぐか:相続 税評価額や相続した日の時価とは別に、親の購入時の情報を基礎にします。
  • 親が購入した金額がわからない場合に探す取得費資料:直接証拠と間接証拠を分けて、実額または合理的な説明の手掛かりを集めます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

親が購入した金額がわからない場合の取得費の全体像

5%だけで決めず、証拠、計算、特例、推計の順で整理します。

親が購入した金額がわからない場合の取得費の算出方法は、最初から売却額の5%だけに進むのではなく、資料探索から始めるのが実務上の基本です。相続では、原則として親の取得費と取得時期を相続人が引き継ぐため、古い契約書や登記資料が見つかれば税額が大きく変わる可能性があります。

次の一覧は、取得費を検討するときの主要な確認順序を示しています。どの段階で何を確認するかを把握しておくと、資料が足りないときに5%概算へ進むべきか、特例や推計の検討余地があるかを読み取りやすくなります。

Step 01

親の取得費を探す

売買契約書、領収書、登記資料、ローン資料、通帳、建築資料、固定資産税資料などから実額の手掛かりを集めます。

Step 02

土地と建物を分ける

土地は減価償却しません。建物は取得価額から減価償却費相当額を差し引くため、内訳の合理的な按分が重要です。

Step 03

5%概算を比較する

実額が不明な場合は譲渡価額の5%を取得費にできます。ただし相続人が支払った登記費用などを上乗せできない点に注意します。

Step 04

特例を確認する

相続税の取得費加算、空き家の3,000万円特別控除、譲渡費用の整理により、取得費以外でも税額が変わります。

Step 05

説明可能性を見る

市街地価格指数などによる推計は自動的な方法ではありません。証拠と合理性を税務署に説明できるかが決め手です。

結論として、取得費の検討は「資料探索」「実額計算」「概算取得費」「特例」「推計の合理性」を順番に積み上げる作業です。金額が大きい売却では、税理士、弁護士、司法書士、不動産鑑定士などに資料を示して確認することが重要です。

Section 01

親が購入した金額がわからない場合の取得費は相続でどう引き継ぐか

相続税評価額や相続した日の時価とは別に、親の購入時の情報を基礎にします。

取得費とは、譲渡所得を計算するときに売却代金から差し引くことができる「その資産を取得するために要した金額」です。土地建物では、購入代金、建築代金、購入手数料、設備費、改良費などが中心になり、建物については所有期間中の減価償却費相当額を差し引きます。

基本式譲渡所得金額 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 特別控除額

次の比較表は、譲渡所得でよく使う用語と注意点を整理したものです。似た言葉を取り違えると取得費の判断がずれるため、どの列が「意味」、どの列が「実務上の注意点」を示すのかを確認し、相続税評価額と取得費を混同しないことを読み取ってください。

用語意味実務上の注意点
取得費売却資産を取得するために要した金額相続では親の取得費を引き継ぐ
譲渡価額売却代金などの収入金額土地と建物を一括売却した場合は按分が問題になる
譲渡費用売るために直接かかった費用仲介手数料、売主負担の印紙税、一定の取壊し費用など
概算取得費実額が不明な場合などに使える譲渡価額の5%相当額使うと取得費が低くなり、税負担が大きくなることが多い
減価償却費相当額建物の経年劣化分として取得価額から控除する額土地には減価償却はない

相続した不動産を売却する場合、相続人が不動産を相続した日の時価を取得費にするのではありません。原則として、親が購入したときの購入代金や購入手数料などを基礎にします。たとえば親が1980年に1,000万円で土地を購入し、子が2026年に相続して4,000万円で売却した場合、取得費は相続時評価額ではなく1980年の1,000万円を基礎にします。

取得時期も引き継ぎます。相続人が売却した年の1月1日において所有期間が5年を超えるかは、原則として親の取得日から判定します。親が長く所有していた不動産なら、相続後すぐに売却しても長期譲渡になることが多い点が重要です。

次の一覧は、相続不動産の取得費で誤解されやすい考え方をまとめたものです。誤解の内容と正しい整理を並べることで、申告前にどの前提を直すべきかを読み取れます。

相続したから取得費はゼロ

相続では親の取得費を引き継ぐため、親の購入金額や取得時費用を確認できれば取得費として検討できます。

相続税評価額が取得費

相続税評価額は相続税のための評価額であり、譲渡所得の取得費とは別の考え方です。

相続後5年以内は短期譲渡

原則として親の取得日から所有期間を判定するため、親が5年超所有していれば長期譲渡になりやすいとされています。

Section 02

親が購入した金額がわからない場合に探す取得費資料

直接証拠と間接証拠を分けて、実額または合理的な説明の手掛かりを集めます。

親が購入した金額がわからない場合でも、すぐに概算取得費へ進む必要はありません。購入金額を直接示す資料、または取得時期や価格推計に役立つ資料を集めることで、実額取得費や合理的な推計を検討できる余地が広がります。

次の比較表は、購入金額や取得費を直接示しやすい資料を整理しています。どの資料が何を確認できるか、どこを探すべきかを対応させているため、資料探索の優先順位を読み取れます。

資料確認できる事項探す場所
売買契約書購入代金、土地建物の内訳、消費税額、契約日実家、金庫、親の書類箱、貸金庫
領収書支払額、支払先、支払時期実家、税務申告書控え、古い封筒
建築請負契約書建物の建築代金、工事内容施工会社、親の保管書類
重要事項説明書物件の内容、取引条件仲介会社、親の保管書類
決済明細書売買代金、固定資産税精算金、登記費用など仲介会社、司法書士、親の書類
ローン契約書借入額、担保設定、購入資金の規模金融機関、抵当権設定資料
通帳、振込控え売主や施工会社への支払履歴金融機関、親の通帳
申告書控え過去の不動産所得、減価償却明細、青色申告決算書税務署、親の控え、税理士

次の比較表は、購入金額そのものを示さないものの、取得費の推計や説明に役立つ資料をまとめています。複数の資料が整合しているかを見ることが重要で、単独資料だけで金額を断定しにくい点も読み取ってください。

資料実務上の使い道
登記事項証明書取得日、前所有者、抵当権設定額、建物新築時期の確認
閉鎖登記簿、旧土地台帳古い取得経緯や地目の確認
建築確認済証、検査済証建物の建築時期、構造、用途の確認
固定資産税課税明細書土地建物の評価額、床面積、構造の確認
相続税申告書相続財産の評価、取得者、債務、取得費加算の検討
遺産分割協議書誰が不動産を取得したか、代償金の有無の確認
境界確認書、測量図売却時の譲渡費用や土地範囲の確認
不動産鑑定評価書価格推計や相続人間の争いの整理

間接証拠だけで取得費を断定できるとは限りません。ただし、登記、ローン、通帳、固定資産税資料などが同じ方向を示していれば、税理士や不動産鑑定士が合理的な説明を組み立てる余地があります。

Section 03

親が購入した金額が判明した場合の取得費計算

土地は減価償却せず、建物は所有期間中の減価償却費相当額を差し引きます。

親の購入金額が判明した場合の基本計算は、土地と建物で異なります。土地は減価償却しない一方、建物は取得価額から所有期間中の減価償却費相当額を差し引くため、土地建物の内訳を合理的に分ける必要があります。

土地土地の取得費 = 親の土地購入代金 + 購入手数料 + 取得時費用 + 設備費、改良費など

土地に関する取得費としては、購入時仲介手数料、購入契約書の印紙税、所有権移転登記の登録免許税や司法書士報酬、一定の不動産取得税、造成費、測量費などを検討します。ただし、すでに事業所得などの必要経費に算入されたものは重ねて入れられません。

建物減価償却費相当額 = 建物の取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数。建物の取得費 = 建物の取得価額 - 減価償却費相当額

非業務用の自宅建物では、経過年数の端数は6か月以上を1年、6か月未満を切り捨てます。減価償却費相当額は建物取得価額の95%が限度です。古い建物では、建物部分の取得費がほとんど残らない場合があります。

次の比較表は、土地建物の購入代金が一括表示されているときに、内訳を合理的に分けるための資料を示しています。資料ごとの特徴を見比べることで、どの根拠を組み合わせると税務上説明しやすいかを読み取れます。

按分資料特徴
契約書上の消費税額建物には消費税がかかるが土地にはかからないため、建物価額の推定に使えることがある
固定資産税評価額土地建物の相対的な価値割合を確認できる
建築請負契約書建物の建築代金が分かる
当時の建物標準単価建物価額推計の補助資料になる
不動産鑑定士の意見高額案件や紛争案件で有用

按分は税務調査で確認されやすい論点です。土地は減価償却しないため、土地に多く配分すると譲渡所得が小さくなりやすいからです。合計額が分かっている場合でも、建物部分を過度に低くし土地部分を過度に高くする処理には合理的な根拠が必要です。

Section 04

親が購入した金額がわからない場合の概算取得費5%

資料探索をしても実額が分からない場合に、譲渡価額の5%を使う方法です。

資料探索をしても取得費が分からない場合、土地建物については譲渡価額の5%相当額を取得費とすることができます。先祖伝来の土地建物や買い入れ時期が古い土地建物などで、実際の取得費が分からない場合に使われる方法です。実際の取得費が譲渡価額の5%相当額を下回る場合も、5%相当額を取得費にできるとされています。

計算式概算取得費 = 譲渡価額 × 5%。たとえば4,000万円で売却した場合、概算取得費は200万円です。

次の比較表は、概算取得費の長所と短所を整理したものです。簡便さと税負担の大きさを同じ表で見ることで、5%を使う前に何を確認すべきかを読み取れます。

観点内容注意点
長所計算が明確で、国税庁が明示している方法である契約書がなく資料も少ない場合の出発点にしやすい
短所譲渡価額の5%しか取得費にできない譲渡費用や特別控除が少ないと売却代金の大部分が譲渡所得になる
相続人支払費用5%概算を使う場合、相続人が支払った登記費用などを取得費に含められない実額方式なら検討できる費用を上乗せできない点を確認する

次の計算例は、概算取得費を使うと譲渡所得と税額がどのように膨らむかを示しています。金額欄は前提条件と計算結果を区別して読むことで、5%の影響と譲渡費用を差し引く意味を把握できます。

項目金額または条件
売却代金4,000万円
親の取得費不明
概算取得費200万円
売却時仲介手数料などの譲渡費用150万円
特別控除なし
所有期間長期譲渡
譲渡所得4,000万円 - 200万円 - 150万円 = 3,650万円
概算税額3,650万円 × 20.315% = 約741万4,975円

長期譲渡の税率は所得税15%、住民税5%を基本とし、平成25年から令和19年までは復興特別所得税として基準所得税額の2.1%が加わります。同じ売却代金でも、実額の取得費を証明できれば税負担が大きく変わります。

次の比較表は、譲渡費用になりやすい費用と、原則として譲渡費用になりにくい費用を分けています。売却に直接必要だったかを読み取ることで、概算取得費を使う場合でも別枠で差し引ける費用を確認できます。

費用譲渡費用になりやすいか注意点
売却時仲介手数料なりやすい領収書、媒介契約書を保存
売買契約書の印紙税なりやすい売主負担分
測量費売却のための測量なら検討可能取得時測量費は取得費側で検討
建物取壊し費用土地売却のためなら検討可能取壊し時期と売却目的の関係を説明
固定資産税原則として譲渡費用ではない維持管理費と考えられる
リフォーム費原則として譲渡費用ではない資本的支出として取得費になる余地を検討
遺産分割の弁護士費用原則として譲渡費用ではない取得費にもならないことが多い

譲渡費用は、概算取得費を使う場合でも別途差し引けます。売却時の仲介手数料、印紙税、測量費、取壊し費用などの領収書は保管しておく必要があります。

Section 05

親が購入した金額がわからない場合の特例と登記費用

相続人が支払った費用、取得費加算、空き家特例は併用制限まで確認します。

相続で取得した不動産について、相続人が支払った登録免許税、司法書士報酬、不動産取得税などが取得費になるかは、概算取得費を使うかどうかで扱いが変わります。実額取得費方式では検討できる費用でも、取得費が分からないため5%相当額を使う場合には取得費に含められないとされています。

次の比較表は、実額取得費方式と概算取得費方式で、相続人支払費用の扱いがどう異なるかを示しています。方式ごとの効果を並べて見ることで、5%を選ぶ前に資料探索を続ける意味を読み取れます。

方法取得費に含められるもの実務上の効果
実額取得費方式親の取得費、取得時費用、相続人の一定の登記費用など証拠があれば税負担を抑えやすい
概算取得費方式譲渡価額の5%簡便だが、相続人の登記費用などは上乗せできない

相続登記のために登録免許税と司法書士報酬を合計30万円支払っていても、概算取得費を採用するなら、その30万円を取得費に追加できません。この点は見落とされやすい部分です。

相続税を納めている場合は、相続税額の一部を取得費に加算できる特例を検討します。次の比較表は、この特例の主な要件を整理したものです。取得原因、相続税、譲渡時期の三つを順に確認することで、検討対象になるかを読み取れます。

要件内容
取得原因相続または遺贈により財産を取得した者であること
相続税その財産を取得した人に相続税が課税されていること
譲渡時期相続開始の日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること

相続税の申告期限は原則として相続開始から10か月であるため、実務では相続開始からおおむね3年10か月以内の売却かが一つの確認ポイントです。正確には条文と申告期限に基づいて日付を確認します。概算取得費を使う場合でも、要件を満たせば取得費加算を検討する余地がありますが、計算明細書などの申告書類が必要です。

親の自宅を相続して売却する場合は、被相続人の居住用財産、いわゆる相続空き家の3,000万円特別控除も検討対象になります。次の比較表は、取得費加算や空き家特例などを横並びで示しています。どの制度が有利になりやすいかを読むことで、取得費だけで判断しない重要性が分かります。

比較対象典型的に有利になりやすい場面
空き家の3,000万円特別控除譲渡所得が大きく、相続税の取得費加算額より控除効果が大きい場合
相続税の取得費加算空き家特例の要件を満たさない場合、または相続税額が大きい場合
概算取得費のみ相続税がかかっておらず、空き家特例の要件も満たさない場合
実額取得費方式親の取得費を証明でき、実額が5%より大きい場合

空き家特例は、被相続人が居住していたこと、昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること、一定の耐震基準や取壊しの要件、売却代金1億円以下、親族など特別関係者への売却でないことなどが問題になります。令和6年1月1日以後の譲渡で取得した相続人の数が3人以上の場合は、控除額が2,000万円までとされています。取得費加算との併用制限も確認が必要です。

Section 06

親が購入した金額がわからない場合の取得費推計

市街地価格指数などは参考になる一方、合理性と証拠が求められます。

取得費が不明な場合、譲渡価額の5%ではなく、市街地価格指数などを使って親の購入時の土地価額を推計したいという場面があります。市街地価格指数は市街地の宅地価格の推移を示す指標ですが、市町村別の指数は作成されていないとされています。

推計式推計取得費 ≒ 譲渡時価額 × 取得時の指数 ÷ 譲渡時の指数

この推計は、法令が一律に認めた計算方法ではありません。過去には市街地価格指数を用いた取得費算定が合理的と判断された裁決例がありますが、事案ごとの証拠関係、土地の属性、地域、取得時期、指数の適合性によって結論は変わり得ます。

次の一覧は、推計が問題になりやすい不動産の個別要素を整理したものです。どの要素が価格に影響するかを把握すると、指数だけでは購入金額を証明しにくい理由を読み取れます。

立地と道路付け

駅距離、前面道路、接道状況、再建築可否などにより、同じ地域でも価格が大きく変わります。

土地の形状と権利

地積、形状、用途地域、地目、借地権の有無などは、個別土地の価値を左右します。

取得時期と地域差

指数が長期的な地価変動を示しても、個別不動産の購入金額そのものを示す資料ではありません。

次の比較表は、市街地価格指数などによる推計を補強する資料を整理しています。補強できる点を確認することで、税務署に説明するためにどの資料を組み合わせるべきかを読み取れます。

補強資料補強できる点
登記事項証明書、閉鎖登記簿取得日、地目、地積、権利関係
旧公図、地積測量図土地の形状、分筆経緯
路線価、地価公示、都道府県地価調査周辺地価の推移
固定資産税評価額の推移地域内の評価変動
抵当権設定額購入資金規模の参考
通帳、借入返済表実際の資金移動
不動産鑑定士の意見書推計の専門的説明
当時の広告、パンフレット周辺相場の参考

推計による申告は、税務署に説明できる根拠を準備したうえで行う必要があります。金額が大きい場合は、税理士と不動産鑑定士の連携が望ましいといえます。

Section 07

親が購入した金額がわからない場合の実務手順

売却資産の確認から申告方針の決定まで、順番に整理します。

実務では、取得費だけを単独で見るのではなく、資産の種類、取得経緯、資料、特例、譲渡費用を順番に確認します。次の判断の流れは、どの順番で検討すれば抜け漏れを減らせるかを示しており、上から下へ進むほど申告方針が具体化することを読み取れます。

取得費検討の判断の流れ

ステップ1 売却資産を確認する

土地だけか、建物付きか、共有持分か、借地権かを整理します。

ステップ2 親の取得経緯を確認する

売買、建築、交換、買換え、贈与、相続などを確認します。

ステップ3 取得時期を確認する

登記、契約書、建築確認、固定資産税資料を確認します。

ステップ4 取得費資料を探す

契約書、領収書、ローン、通帳、申告書控えを確認します。

ステップ5 土地と建物に分ける

建物があれば減価償却費相当額を計算します。

ステップ6 実額取得費と概算取得費を比較する

実額が5%を下回る場合も5%を使える点を確認します。

ステップ7 相続人支払費用を確認する

実額方式なら一定の登記費用などを検討します。

ステップ8 取得費加算と特別控除を検討する

相続税の取得費加算、空き家特例などを確認します。

ステップ9 譲渡費用を整理する

仲介手数料、印紙税、測量費、取壊し費用などを整理します。

ステップ10 申告方針を決める

証拠、税額、否認リスク、専門家意見を踏まえます。

次の時系列は、売却前、売却時、申告時に確認する内容をまとめたものです。段階ごとに資料が変わるため、いつ何を集めるかを読み取ると、後から領収書や証拠を探す負担を減らせます。

売却前

権利と取得費の資料を集める

登記事項証明書、相続登記の要否、遺産分割協議書、親の契約書、建築資料、通帳、ローン資料、固定資産税課税明細書を確認します。

売却時

譲渡価額と譲渡費用を残す

売買契約書、仲介手数料の領収書、印紙税、測量費、取壊し費用、固定資産税精算金、土地建物の内訳を保存します。

申告時

方式と特例を比較する

実額取得費と概算取得費、減価償却費相当額、取得費加算、空き家特例、譲渡所得の内訳書、根拠資料の保存を確認します。

Section 08

親が購入した金額がわからない場合の計算例

5%概算、取得費を説明できる場合、古い建物付き土地を比べます。

具体例を見ると、資料探索や推計の検討が税額にどれほど影響するかが分かります。次の比較表は、5,000万円で売却した土地について、5%概算を使う場合と、2,200万円の取得費を説明できる場合を並べています。譲渡所得と概算税額の差を読み取ってください。

項目例1 5%概算例2 取得費2,200万円を説明
売却代金5,000万円5,000万円
取得費250万円2,200万円
譲渡費用180万円180万円
特別控除なしなし
譲渡所得4,570万円2,620万円
概算税額約928万3,955円約532万2,530円
税額差約396万円

次の比較グラフは、5%概算と取得費2,200万円を説明できる場合の概算税額を並べています。棒の高さが税額の大きさを示し、差額が資料探索の経済的な意味を表します。どちらの方式が低い税額になっているかを読み取ってください。

928万
5%概算
532万
取得費説明
396万
差額

もちろん、2,200万円を取得費として申告するには資料と説明が必要です。しかし、税額差が大きい場合ほど、資料探索や合理的な検討を行う価値があります。

次の比較表は、建物付き土地で建物が古い場合の計算例です。建物部分は減価償却費相当額を差し引くため、土地と建物の内訳がどれほど重要かを読み取れます。

項目内容
親の購入総額3,000万円
土地部分2,000万円
建物部分1,000万円
建物構造木造居住用
経過年数40年
売却代金4,000万円
減価償却費相当額1,000万円 × 0.9 × 0.031 × 40年 = 1,116万円。ただし95%限度により950万円
建物の取得費1,000万円 - 950万円 = 50万円
土地建物の取得費土地2,000万円 + 建物50万円 = 2,050万円

古い建物では、建物部分の取得費は大きく残らないことがあります。土地建物の内訳を確認することは、取得費計算の土台になります。

Section 09

相続登記・紛争がある場合の取得費整理

登記資料は取得時期の手掛かりになり、相続人間の争いは売却や資料収集に影響します。

取得費の計算と相続登記は別の制度です。ただし、相続不動産を売却するには、通常、登記名義を相続人へ移す必要があります。また、登記資料は取得時期や取得経緯を確認する手掛かりにもなります。

相続登記は令和6年4月1日から義務化されています。相続人は、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をすることが法律上の義務となり、正当な理由なく申請しない場合は10万円以下の過料が科される可能性があります。令和6年4月1日より前に相続したことを知った未登記不動産も対象で、その場合は令和9年3月31日までに申請が必要とされています。

次の比較表は、親の購入金額がわからない問題と並行して起こりやすい相続トラブルを整理したものです。問題点と中心となる専門職を並べることで、税務だけで解決できない場面を読み取れます。

紛争類型問題点中心となる専門職
共有者の一人が売却に反対売却自体が進まない弁護士
遺産分割が未了誰が売却するか決まらない弁護士、司法書士
代償分割をした代償金と取得費の関係を整理する必要税理士、弁護士
親の預金使い込み疑い資料開示、調停、訴訟の可能性弁護士
不動産評価で争い代償金や分割方法に影響不動産鑑定士
境界未確定売却価格や売却可能性に影響土地家屋調査士

取得費の資料を探す過程で、親の財産管理、預金移動、生前贈与、遺産分割の不公平感が表面化することもあります。争いがある相続では、税務申告だけでなく、交渉、調停、審判、訴訟対応を含めた整理が必要になる可能性があります。

次の一覧は、早めに専門家へ相談した方がよい場面を整理しています。ケースと相談先を対応させることで、自分の状況が税務、登記、評価、紛争のどこに近いかを読み取れます。

税理士に確認する場面

売却益が大きい、相続税を申告している、空き家特例を検討している、親の取得費資料が一部だけある、市街地価格指数などで推計したい場合です。

税務特例

弁護士に確認する場面

遺産分割でもめている、共有者が売却に反対している、不動産価格や使い込みをめぐる相続人間の争いがある場合です。

紛争

司法書士に確認する場面

相続登記が未了で、売却前に登記名義の整理が必要な場合です。登記事項証明書や遺産分割協議書の確認も関係します。

登記

不動産鑑定士などに確認する場面

不動産価格で相続人間の争いがある、推計の専門的説明が必要、境界や分筆が売却に影響する場合です。

評価測量
Section 10

親が購入した金額がわからない場合のチェックリスト

売却前、売却時、申告時に見るべき資料と最終判断基準をまとめます。

取得費の判断では、資料の有無、方式の選択、特例、譲渡費用をまとめて確認する必要があります。次の比較表は、売却前から申告時までの確認項目を段階ごとにまとめています。各段階で未確認の項目がないかを読み取ってください。

時期確認項目
売却前登記事項証明書、相続登記の要否、遺産分割協議書や遺言書、親の売買契約書、建築請負契約書、通帳、ローン資料、抵当権資料、固定資産税課税明細書、土地建物の内訳、建物の構造と建築年、空き家特例、取得費加算の期限
売却時売買契約書、仲介手数料の領収書、印紙税の負担額、測量費の領収書、取壊し費用の売却目的、固定資産税精算金の扱い、土地建物の譲渡価額内訳
申告時実額取得費と概算取得費の比較、建物の減価償却費相当額、相続人支払登記費用の扱い、取得費加算の計算明細書、空き家特例の添付書類、譲渡所得の内訳書、申告書控えと根拠資料の保存

次の判断基準は、取得費の最終方針を決めるための整理です。判断段階と採るべき方針を対応させているため、今の資料状況がどの選択肢に近いかを読み取れます。

判断段階採るべき方針
親の購入金額が明確実額取得費を基礎に計算
親の購入金額は不明だが資料が多い税理士と合理的な実額推認を検討
土地建物の内訳だけ不明消費税、固定資産税評価額、鑑定などで按分
建物が古い減価償却後の建物取得費を確認
何も資料がない概算取得費5%を検討
相続税を払っている取得費加算を検討
親の自宅空き家を売る空き家特例を検討
金額が大きい、推計したい税理士、不動産鑑定士へ相談
相続人間で争いがある弁護士へ相談
登記が未了司法書士へ相談

もっとも避けたいのは、資料探索をしないまま5%で申告してしまうことと、根拠の乏しい推計額を取得費として申告してしまうことです。前者は税負担が過大になる可能性があり、後者は税務調査で否認される可能性があります。

最終的な実務上の整理は、証拠を探し、比較し、特例を検討し、説明可能な申告方針を選ぶことです。「いくらが有利か」だけではなく、「その金額を資料で説明できるか」が決定的に重要です。

Section 11

親が購入した金額がわからない場合のよくある質問

個別の判断は資料や時期で変わるため、一般的な整理として確認してください。

Q1. 親の購入時の契約書がない場合、必ず5%になりますか

一般的には、まず資料探索を行い、実額を証明または合理的に説明できるかを検討します。ただし、十分な根拠がない場合は、国税庁が示す概算取得費として譲渡価額の5%相当額を使うことが現実的な選択になる可能性があります。具体的な申告方針は、資料を整理したうえで税理士等の専門家へ確認する必要があります。

Q2. 相続税評価額を取得費にできますか

一般的には、相続した土地建物の取得費は、親が買い入れたときの購入代金や購入手数料などを基礎にするとされています。相続税評価額は相続税計算のための評価額であり、譲渡所得の取得費とは別です。具体的な扱いは、資産の内容や資料状況によって確認が必要です。

Q3. 固定資産税評価額は取得費になりますか

一般的には、固定資産税評価額そのものが当然に取得費になるわけではありません。ただし、土地建物の按分、当時の価格水準の確認、推計の補助資料として役立つことがあります。どのように使えるかは、他の資料との整合性によって変わります。

Q4. 親が建てた家の建築費がわからない場合はどうしますか

一般的には、建築請負契約書、領収書、建築確認資料、施工会社の記録、住宅ローン資料、当時の通帳などを探します。建物の取得価額が分かっても、売却時の取得費は減価償却費相当額を差し引いた金額です。古い建物では取得費が小さくなる可能性があります。

Q5. 概算取得費5%を使った場合、相続登記費用を追加できますか

一般的には、取得費が分からないため5%相当額を取得費とする場合、相続人などが支払った登記費用などを取得費に含めることはできないと説明されています。実額取得費方式であれば扱いが変わる可能性があるため、資料と方式を整理して確認する必要があります。

Q6. 売却時の仲介手数料は差し引けますか

一般的には、売却のために支払った仲介手数料は譲渡費用として検討できるとされています。概算取得費を使う場合でも、譲渡費用は別枠で差し引く検討ができます。ただし、領収書や契約書などの資料保存が重要です。

Q7. 親が買った時期もわからない場合はどうしますか

一般的には、登記事項証明書、閉鎖登記簿、旧土地台帳、建築確認資料、固定資産税資料、抵当権設定資料を確認します。取得時期は長期譲渡か短期譲渡かの判定に関わるため重要です。相続では原則として親の取得日から所有期間を判定するとされています。

Q8. 相続した不動産をすぐ売ると短期譲渡ですか

一般的には、相続では親の取得時期を引き継ぐため、親が5年を超えて所有していた場合、相続人が相続後すぐ売却しても長期譲渡になる可能性があります。ただし、取得経緯や資料で確認すべき点があるため、具体的には専門家へ相談する必要があります。

Q9. 相続税を払っていない場合、取得費加算は使えますか

一般的には、相続税の取得費加算の特例は、相続または遺贈により財産を取得した人に相続税が課税されていることが要件とされています。相続税が課税されていない場合は、他の特例や取得費の資料探索を含めて確認する必要があります。

Q10. 空き家特例と取得費加算はどちらが有利ですか

一般的には、空き家特例は最大3,000万円、一定の場合は2,000万円の特別控除であり、取得費加算は相続税額の一部を取得費に加算する制度です。併用制限があるため、両方の税額を試算して比較する必要があります。具体的な有利不利は、売却時期、相続人の数、相続税額、建物要件などで変わります。

Reference

この記事の参考資料

国税庁の資料

  • 国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」
  • 国税庁「No.3252 取得費となるもの」
  • 国税庁「No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」
  • 国税庁「No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」
  • 国税庁「No.3261 建物の取得費の計算」
  • 国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」
  • 国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
  • 国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
  • 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」

登記・調査・裁決資料

  • 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
  • 国立国会図書館リサーチ・ナビ「市街地価格指数の調べ方」
  • 国税不服審判所「平成12年11月16日裁決、裁決事例集No.60 208頁」