不動産の名義変更だけを専門家へ任せたい人に向けて、司法書士と弁護士の費用差、業務範囲、見積りの見方、紛争がある場合の分岐を整理します。
不動産の名義変更だけを専門家へ任せたい人に向けて、司法書士と弁護士の費用差、業務範囲、見積りの見方、紛争がある場合の分岐を整理します。
争いがない名義変更だけなら司法書士が安くなりやすく、争いがあるなら弁護士の検討が先になります。
相続登記だけ依頼したい場合は司法書士と弁護士どちらが安いかという問いへの実務上の答えは、相続人間に争いがなく、不動産の名義変更、戸籍収集、登記申請書類の作成、法務局への申請代理に限られるなら、司法書士のほうが安くなりやすいという整理です。相続登記は司法書士の中心的な業務領域で、登記手続の代理、法務局提出書類の作成、その相談が典型業務として位置付けられているためです。
一方で、司法書士が常に安いと断定することはできません。司法書士報酬も弁護士費用も各専門家が自由に定め、依頼者との合意で決まります。さらに、相続人の一人が協議書に署名しない、遺留分をめぐる請求がある、使い込み疑いがある、遺言の有効性が争われている、家庭裁判所で調停や審判が必要であるといった事情があれば、途中で弁護士への切替えが必要になり、総費用が上がることがあります。
次の比較表は、依頼内容ごとに費用が安くなりやすい専門家と、その理由を並べたものです。最初に依頼範囲を切り分けることが重要で、表では「名義変更だけ」「争いがある」「税務や境界が絡む」といった違いから、どの専門家の費用を比較すべきかを読み取れます。
| 依頼内容 | 安くなりやすい専門家 | 理由 |
|---|---|---|
| 相続登記だけ。不動産の名義変更だけ。相続人間に争いなし | 司法書士 | 登記代理と登記書類作成が本来業務で、定型的な費用設計になりやすい |
| 登記は必要だが、相続人間で揉めている | 弁護士を先行 | 交渉、調停、審判、訴訟、遺留分、使い込み疑いは弁護士領域 |
| 相続税申告が必要そう | 税理士と司法書士の連携 | 登記は司法書士、税務申告や税務相談は税理士 |
| 土地の境界、分筆、表示登記が絡む | 土地家屋調査士と司法書士の連携 | 権利登記と表示登記の専門領域が異なる |
| 費用を抑えたいが手間をかけられる | 本人申請も選択肢 | 登記は本人申請も可能だが、書類不備や時間負担のリスクがある |
このページでは、相続登記だけ依頼したい場合の費用比較を、登録免許税、実費、専門家報酬、業務範囲、相続紛争リスクに分けて確認します。登録免許税や戸籍代は専門家の肩書きで大きく変わるものではなく、比較の中心は専門家報酬と追加業務の範囲です。
「登記だけ」と「相続問題の解決」を分けることが、費用比較の出発点です。
相続登記とは、亡くなった人の名義になっている土地や建物について、相続によって取得した人の名義へ変更する不動産登記手続です。たとえば、親名義の実家を子が相続した場合、法務局の登記簿上の所有者を親から子へ移す手続が相続登記です。
相続登記だけ依頼したいという検索意図には、相続登記の専門家が誰なのか、司法書士と弁護士の業務範囲はどう違うのか、弁護士のほうが安心でも費用が高いのではないか、司法書士に頼んでよい境界はどこか、登録免許税や戸籍代を含めて結局いくら必要なのか、義務化後に放置すると不利益があるのではないか、という不安が含まれます。
次の一覧は、このページでいう「相続登記だけ」の範囲を整理したものです。費用比較で迷わないために重要なのは、登記申請の前提となる合意ができているかどうかで、一覧から争い・税務・境界・売却などが別業務になる点を読み取ってください。
相続税申告は税理士、土地の境界や分筆や建物表題登記は土地家屋調査士、不動産売却は不動産仲介業者など、登記以外の専門領域が関わります。
この意味での相続登記だけであれば、費用比較の中心は弁護士の紛争解決力ではなく、登記代理業務を誰に頼むのが効率的かという問題になります。相続人の合意がないまま登記だけを頼もうとしても、登記の前提が整わず進まないことがあります。
登録免許税、証明書実費、専門家報酬を分けて見ると、比較すべき費用が明確になります。
令和6年4月1日以降に不動産を相続で取得したことを知った場合、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をしないと、正当な理由がない場合に過料の対象となります。遺産分割によって不動産を取得した場合には、遺産分割の日から3年以内に、その結果に基づく登記をしない場合も対象になります。
令和6年4月1日より前に相続で取得したことを知っていた不動産についても、令和9年3月31日までに相続登記をしない場合、正当な理由がないと過料の対象となります。過料は10万円以下の範囲で裁判所が決定すると説明されています。過料は刑事罰としての罰金ではありませんが、放置するコストが増したことは確かです。
次の時系列は、義務化後に意識すべき期限と相続人申告登記の位置づけを表します。期限を見落とすと過料リスクや売却準備の遅れにつながるため、どの時点で正式な相続登記が必要になり、どの場面で一時的な義務履行手段を検討するのかを読み取ってください。
原則として、この日から3年以内に相続登記を行う必要があります。
遺産分割で不動産取得者が決まった場合、その結果に基づく登記も期限管理が必要です。
令和6年4月1日より前に相続で取得したことを知っていた不動産にも、期限が設けられています。
正式な相続登記が難しい場合に、簡易に申請義務を履行する仕組みとして検討されます。ただし権利関係を公示する正式な相続登記の代替ではありません。
相続登記にかかる費用は、登録免許税、戸籍・住民票・評価証明書などの実費、専門家報酬の3つに分けられます。次の表は、誰に支払う費用なのか、司法書士と弁護士で変わりやすいかを示すものです。費用比較では、税金や実費を専門家報酬と混同しないことが重要で、表から「変わりにくい費用」と「比較すべき費用」を分けて確認してください。
| 費用項目 | 支払先 | 専門家で変わるか |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 国 | 原則として変わらない |
| 戸籍、住民票、評価証明書などの実費 | 市区町村等 | 原則として変わらない |
| 専門家報酬 | 司法書士または弁護士 | ここが主な比較対象 |
国税庁の登録免許税の税額表では、相続による土地や建物の所有権移転登記は不動産の価額を課税標準として1,000分の4とされています。固定資産評価額1,000万円の不動産を相続登記する場合、原則的な登録免許税は、10,000,000円 × 0.4% = 40,000円です。この40,000円は、司法書士に頼んでも弁護士に頼んでも、本人が申請しても、基本的には同じです。
相続登記だけなら、司法書士報酬の定型化と登記実務の反復性が費用面の強みになります。
司法書士の費用は全国一律ではありません。司法書士の報酬は各司法書士が自由に定めますが、額や算定方法、諸費用を明示し、依頼者との合意によって決定するとされています。つまり、司法書士に頼めば必ず一定額という制度ではありません。
それでも、相続登記は司法書士にとって反復的に扱う登記実務であり、料金表やパッケージ料金が用意されている事務所も多いため、弁護士に比べて定型的かつ低廉な見積りになりやすい構造があります。日本司法書士会連合会の2024年3月実施の報酬アンケートでは、一定のモデルで平均報酬は74,888円とされています。
次の重要ポイントは、日司連アンケートのモデル条件と平均報酬をまとめたものです。金額だけを見るのではなく、土地1筆と建物1棟、固定資産評価額合計1,000万円、法定相続人3名、戸籍謄本等5通、遺産分割協議書と相続関係説明図の作成、登記申請代理という前提を読み取ることが重要です。
土地1筆および建物1棟、固定資産評価額合計1,000万円、法定相続人3名のうち1名が単独相続するモデルで、司法書士報酬の平均として示されています。
次の比較一覧は、相続登記だけでも司法書士報酬が上がりやすい要因を整理したものです。見積りが高く見えるときに、単なる価格差なのか、物件数・相続人数・戸籍範囲など作業量の違いなのかを読み取るために確認してください。
物件ごとの登記情報確認、申請書作成、登録免許税計算が増えます。
申請先が分かれるため、確認や提出の作業が増えます。
戸籍確認、協議書作成、署名押印管理の負担が増えます。
相続関係が二段階以上になったり、孫などが相続人になったりして確認範囲が広がります。
被相続人だけでなく、親や兄弟姉妹の戸籍確認が必要になりやすいです。
同一人物性の証明、署名証明、在留証明など追加資料が必要になることがあります。
これらは弁護士に頼んでも消える問題ではありません。むしろ登記実務としては司法書士が慣れている領域です。ただし、これらの事情が相続人間の対立に発展している場合には、弁護士の関与が必要です。
弁護士が高いというより、依頼目的が登記だけから相続問題の解決へ広がることがあります。
弁護士は相続全般の法律問題を扱う専門職です。相続の手続全体を整理し、法律相談、和解や示談交渉、訴訟活動、遺産分割調停や審判などに対応します。弁護士費用は、着手金、報酬金、手数料、法律相談料、日当、実費など複数の費目に分かれ、事件内容、争いの有無、難易度によって変わります。
ここで注意すべきなのは、弁護士が高いという単純な評価ではなく、弁護士に頼む局面では「登記だけ」ではなく「相続問題の解決」になっていることが多い点です。弁護士は、他の相続人との交渉、遺産分割調停、審判、遺留分請求、遺言無効、使い込み疑い、特別受益、寄与分など、登記の前提となる権利関係の争いを扱います。
次の一覧は、弁護士を先に検討する必要が高い典型事情をまとめたものです。登記費用だけを見て安い専門家を選ぶと、遺産分割が成立せず登記まで進まないことがあるため、一覧から「費用の比較」より先に「紛争を処理できる権限」を確認すべき場面を読み取ってください。
遺産分割協議書に署名しない、話し合いを拒否する、相手方に代理人がついた場合は、交渉や家庭裁判所手続が問題になります。
対立あり金銭請求、証拠関係、時効、相手方との交渉が絡み、登記書類だけでは解決しにくい領域です。
権利主張認知症、意思能力、遺言能力、形式不備などが争点になると、登記の前提となる取得者が確定しにくくなります。
有効性争い家庭裁判所や訴訟対応では、代理人として他の相続人と話し合う権限を持つ弁護士の役割が中心になります。
裁判所対応弁護士に相続登記だけを相談する場合は、登記申請を法律事務所が処理するのか、司法書士に外注または連携するのか、司法書士報酬が見積額に含まれているのかを確認します。弁護士費用が手数料制か、時間制か、着手金制か、登記だけでなく遺産分割交渉を含む契約になっていないかも重要です。
次の表は、弁護士へ相談する前に見積書で確認すべき項目をまとめたものです。登記だけのつもりが相続全体の契約になっていないか、税金や実費と弁護士費用が混ざっていないかを読み取るために使います。
| 質問 | 確認すべき理由 |
|---|---|
| 登記申請代理まで法律事務所で行いますか | 登記部分が別の司法書士費用になるか確認するため |
| 司法書士費用は見積りに含まれていますか | 二重見積りを避けるため |
| 弁護士費用は手数料ですか、着手金ですか、時間制ですか | 登記だけのつもりが紛争処理契約になっていないか確認するため |
| 遺産分割交渉は含まれますか | 交渉が含まれると費用体系が変わるため |
| 登録免許税と戸籍実費は別ですか | 税金と報酬を混同しないため |
| 途中で争いが生じた場合の追加費用はどうなりますか | 将来の費用増加を予測するため |
登記、紛争、税務、境界、売却を分けると、無駄な費用を避けやすくなります。
司法書士の中心領域は、登記手続の代理、法務局に提出する書類の作成、これらに関する相談です。相続登記申請書の作成、登記申請代理、戸籍謄本等の取得、相続関係説明図、争いがない場合の遺産分割協議書、法定相続情報一覧図、登録免許税の計算、法務局との補正対応、登記完了後の書類整理などが向いています。
弁護士の中心領域は、法律相談、交渉、訴訟、調停、審判、紛争予防、紛争解決です。他の相続人との交渉代理、遺産分割協議の代理交渉、遺産分割調停や審判、遺留分侵害額請求、使い込み疑い、遺言無効確認訴訟、相続放棄や限定承認の判断相談、成年後見や特別代理人選任が絡む相続対応などが中心になります。
次の表は、相続に関わる専門職の役割を並べたものです。相続登記だけの費用を抑えるには、すべてを一つの窓口へまとめるのではなく、登記・紛争・税務・境界・売却を分け、必要な専門職だけを選ぶことが重要で、表から依頼範囲の切り分け方を読み取れます。
| 専門職 | 相続での主な役割 | 相続登記だけとの関係 |
|---|---|---|
| 司法書士 | 相続登記、不動産名義変更、登記用書類、戸籍収集 | 登記だけなら第一候補 |
| 弁護士 | 争いのある相続、交渉、調停、審判、訴訟 | 争いがあるなら先行候補 |
| 税理士 | 相続税申告、税務相談、税務代理 | 税金の申告が必要なら必須候補。登記代理は専門外 |
| 行政書士 | 紛争、税務、登記を除く書類作成 | 争いのない遺産分割協議書作成等に関与し得るが、登記申請代理はできない |
| 土地家屋調査士 | 表示登記、分筆、境界、測量 | 土地を分ける場合や建物表題登記が必要な場合に関与 |
| 不動産鑑定士 | 不動産評価 | 遺産分割で価格が争点になる場合に関与 |
| 宅地建物取引士、不動産仲介業者 | 相続不動産の売却 | 登記後の売却や換価分割で関与 |
| 社会保険労務士 | 遺族年金など | 相続周辺手続で関与 |
| ファイナンシャル・プランナー | 資産全体の整理、専門家紹介 | 独占業務ではなく、全体設計や窓口として有用 |
この表の要点は、相続登記だけなら司法書士、相続紛争なら弁護士、相続税なら税理士、土地の物理的区画や境界なら土地家屋調査士という役割分担です。費用だけを見るより、依頼する作業の性質を先に確定するほうが、結果的に無駄な出費を抑えやすくなります。
同じ相続登記でも、相続人の合意、税務、境界、期限で依頼先は変わります。
親名義の実家を子1人が相続するケースでは、相続人が子1人だけで、遺言の有無も問題にならず、預貯金や相続税申告も大きな問題にならないなら、相続登記だけを司法書士に依頼するのが通常は合理的です。総費用は、登録免許税、戸籍等実費、司法書士報酬に分解できます。
相続人3人が合意して1人が実家を相続するケースでは、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名押印し、印鑑証明書を添付して相続登記します。争いがなければ司法書士向きで、日司連アンケートのモデル事案も、法定相続人3名のうち1名が単独相続する設定です。
相続人の一人が協議書に署名しない場合は、相続登記だけの問題ではありません。登記の前提となる遺産分割協議が成立していないため、司法書士に登記だけ依頼しても進まない可能性があります。この局面では、弁護士に相談し、任意交渉、遺産分割調停、審判などの選択肢を検討することになります。
次の判断の流れは、相談先を分けるための順番を表しています。費用を抑えるためには、最初から肩書きで選ぶのではなく、争い、税務、境界、純粋な登記だけかという順に確認することが重要で、各分岐から次に相談すべき専門領域を読み取ってください。
署名拒否、遺留分、使い込み疑い、遺言の有効性などを確認します。
登記の前提となる合意形成や裁判所手続を検討します。
相続税申告の可能性を確認します。
土地家屋調査士や司法書士の連携が必要かを確認します。
争い、税務、境界が大きな問題でなければ、司法書士が第一候補になります。
期限が迫っているが遺産分割が終わらない場合には、相続人申告登記を検討します。ただし、相続人申告登記は権利関係を公示する正式な相続登記の代替ではありません。相続不動産の売却や抵当権設定をする場合には、別途相続登記が必要です。
相続税が発生しそうな場合は、税理士の関与が重要です。司法書士も弁護士も、税務相談や税務代理を業務として行う専門家ではありません。相続税申告が必要な案件では、税理士が財産評価や申告を担当し、司法書士が相続登記を担当し、争いがあれば弁護士が担当するという分業が合理的です。
土地をA相続人とB相続人で物理的に分ける場合、分筆登記や測量、境界確認が必要になることがあります。この場合、権利登記の司法書士だけでなく、土地家屋調査士が関与します。不動産の価格が争点になる場合は不動産鑑定士が必要になることもあります。
初期見積額だけでなく、追加費用リスクと作業範囲をそろえて比較します。
相続登記だけの費用は、登録免許税、証明書実費、郵送等実費、専門家報酬、追加業務報酬に分解できます。専門家選択によって大きく変わるのは、専門家報酬と追加業務報酬です。
次の表は、司法書士モデルと弁護士モデルで費用項目がどう変わるかを整理したものです。どちらが安いかを比べるには、登録免許税や実費を除いた専門家報酬だけでなく、司法書士連携費用や交渉・調停などの追加業務が含まれているかを読み取る必要があります。
| モデル | 費用の内訳 | 読み取り方 |
|---|---|---|
| 司法書士モデル | 登録免許税 + 戸籍等実費 + 司法書士の相続登記報酬 + 物件数や相続人数などの追加報酬 | 登記だけなら、日司連モデル平均74,888円が専門家報酬の参考になります。 |
| 弁護士モデル | 登録免許税 + 戸籍等実費 + 弁護士手数料または法律相談料 + 司法書士費用 + 交渉、調停、審判、訴訟等の追加報酬 | 弁護士が関与する理由が紛争処理なら、登記だけの単純比較では判断できません。 |
| 期待総費用 | 初期見積額 + 将来の追加費用リスク + 失敗時の修正費用 + 時間損失 | 安い見積りでも途中切替えが必要になると、総額が上がる可能性があります。 |
見積り比較で避けるべきなのは、司法書士の報酬だけと弁護士の総額を比較すること、弁護士の相談料だけと司法書士の登記一式費用を比較すること、登録免許税込みの見積りと登録免許税別の見積りを比較すること、遺産分割協議書作成込みと登記申請だけの見積りを比較することです。
次の表は、司法書士と弁護士の見積書で確認する項目を並べたものです。同じ作業範囲で比較しないと安さを誤認しやすいため、表から「何が含まれ、何が別料金か」を読み取ってください。
| 見積書 | 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|---|
| 司法書士 | 基本報酬 | 何筆、何棟、何管轄まで含むか |
| 司法書士 | 戸籍収集 | 何通まで含むか。追加1通あたりいくらか |
| 司法書士 | 遺産分割協議書 | 作成を含むか。内容調整はどこまで対応するか |
| 司法書士 | 法定相続情報一覧図 | 作成、申出、取得通数を含むか |
| 司法書士 | 住所変更登記、数次相続、代襲相続 | 追加報酬の条件が明示されているか |
| 弁護士 | 相談料、契約類型 | 初回相談料、手数料、着手金、時間制のどれか |
| 弁護士 | 登記申請と司法書士報酬 | 弁護士が行うか、司法書士連携か、費用が含まれるか |
| 弁護士 | 交渉、調停、審判、報酬金 | 移行時の追加着手金や解決時の報酬金があるか |
| 共通 | 登録免許税、実費、郵送費、日当 | 報酬と実費が分けて表示されているか |
法定相続情報証明制度、司法書士選び、弁護士を選ぶ場面を整理します。
相続登記や預貯金解約では、戸籍の束を各機関へ提出する負担が大きくなりがちです。法定相続情報証明制度は、相続人から相続関係を一覧に表した法定相続情報一覧図と戸除籍謄本等の束を登記所に提出し、登記官が内容を確認した上で、認証文付きの写しを無料で交付する制度です。
この制度の申出は、親族のほか、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士に代理を依頼できると説明されています。相続登記だけ依頼する場合、司法書士に相続登記と法定相続情報一覧図の作成を合わせて依頼すると、預貯金や証券口座の相続手続にも使いやすくなることがあります。ただし、見積りに含まれるかどうかは事務所ごとに異なります。
相続登記は、売買登記と異なる複雑さがあります。戸籍の読み解き、相続人の確定、遺産分割協議書の整合性、固定資産評価額の確認、登記簿住所の相違、数次相続などが問題になるため、相続登記の経験が豊富な司法書士を選ぶことが重要です。
次の一覧は、依頼前に確認したい司法書士選びの観点をまとめたものです。最安値だけで選ぶと追加費用や連携不足で総額が上がることがあるため、一覧から経験、見積りの透明性、紛争発生時や税務・境界の連携を読み取ってください。
登録免許税、実費、報酬が分けて表示され、追加費用の条件が明示されているかを確認します。
紛争が生じたときの弁護士、税務申告の税理士、境界や分筆の土地家屋調査士との連携を確認します。
弁護士を選ぶべきなのは、安さではなく、法的対立や権利主張がある場合です。他の相続人と連絡が取れない、話し合いを拒否されている、遺産分割協議書への署名を拒否されている、代償金の額で対立している、遺留分を請求されている、遺言の有効性に疑いがある、預金引出しに疑問がある、相手方に弁護士がついたといった事情があれば、登記費用の比較より先に弁護士相談を検討する場面です。
一般情報として、誤解されやすい点を費用と業務範囲に分けて整理します。
一般的には、弁護士は法律事務全般に広く対応でき、司法書士は登記手続に強い専門職と整理されています。ただし、相続人間の対立、遺産分割協議の状況、遺言の有効性、税務や境界の有無によって必要な専門職は変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、司法書士は登記や登記関連書類の作成に強い専門職とされています。ただし、相続人間の代理交渉、家庭裁判所での代理、訴訟対応が必要になる場合は、事案の内容によって弁護士の関与が必要になる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、登録免許税は不動産の価額と税率で決まる国税であり、相続による所有権移転登記では土地も建物も1,000分の4が基本とされています。ただし、一定の免税措置や不動産評価の確認などで結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、固定資産評価証明書などの資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。
一般的には、相続人申告登記は期限内に申請義務を履行するための簡易な制度であり、不動産の権利関係を公示する正式な相続登記そのものではないとされています。ただし、遺産分割の状況、売却予定、担保設定の有無によって必要な手続は変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。
一般的には、安い見積りでも、戸籍収集、遺産分割協議書作成、法定相続情報一覧図、登録免許税、物件追加、住所変更登記、補正対応が別料金なら、最終的な負担が増える可能性があります。ただし、必要な作業範囲は個別事情によって変わります。具体的な対応は、見積書と相続関係資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。
事案、費用、専門家選択を確認してから見積りを比較します。
依頼前には、被相続人は誰か、不動産はどこにあるか、登記簿上の所有者は本当に被相続人か、相続人は誰か、遺言書はあるか、遺産分割協議は成立しているか、協議書に全員が署名押印できるかを確認します。未成年者、認知症の人、行方不明者、海外在住者の有無、相続税申告の可能性、不動産売却予定、土地の分筆予定、境界の争いも確認します。
次の確認一覧は、依頼前に見落としやすい項目を事案、費用、専門家選択に分けたものです。安い見積りだけで決めると、後から追加費用や別専門職の費用が生じることがあるため、一覧から登記だけで完結するか、別の専門領域が混ざっていないかを読み取ってください。
| 分類 | 確認項目 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 事案 | 相続人、遺言、遺産分割協議、署名押印 | 合意が整っていれば司法書士へ進みやすく、対立があれば弁護士検討 |
| 事案 | 未成年者、認知症、行方不明者、海外在住者 | 追加手続や資料が必要になり、費用や期間が増える可能性 |
| 費用 | 登録免許税、固定資産評価額、戸籍等実費 | 専門家報酬と分けて確認する |
| 費用 | 戸籍収集、協議書作成、法定相続情報一覧図 | 見積りに含まれるか、追加条件があるかを確認する |
| 専門家 | 争いがない | 相続登記だけなら司法書士が第一候補 |
| 専門家 | 争いがある | 交渉、調停、審判、訴訟は弁護士の検討が必要 |
| 専門家 | 税務、境界、評価、売却 | 税理士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、不動産仲介業者などとの連携を確認する |
相続登記だけ依頼したい場合は司法書士と弁護士どちらが安いかという問いに、専門的かつ実務的に答えるなら、相続人間に争いがなく、不動産の名義変更だけを依頼するなら、司法書士が安くなりやすいという結論になります。相続登記は司法書士の中心的業務であり、報酬も比較的定型化しやすいからです。
ただし、相続人間に争いがあるなら、弁護士の検討が先になります。遺産分割交渉、遺留分、使い込み疑い、調停、審判、訴訟は登記だけの問題ではなく、相続紛争の問題です。この場合、司法書士の登記費用より弁護士費用が高く見えても、法的解決のために必要な費用として位置付けられます。
制度、税率、報酬、専門職の役割を確認した資料です。