配偶者には取得者ごとの居住継続・保有継続要件は置かれていません。ただし、宅地等の性質、相続開始直前の利用状況、取得原因、面積限度、分割・申告・同意などの要件は残ります。
配偶者には取得者ごとの居住継続・保有継続要件は置かれていません。
配偶者本人への追加要件がないことと、制度全体の要件がなくなることは別です。
結論として、配偶者が被相続人の自宅敷地を相続または遺贈により取得する場合、配偶者については同居親族やいわゆる家なき子に課されるような居住継続要件・保有継続要件は置かれていません。しかし、それだけで特定居住用宅地等として小規模宅地等の特例を必ず使えるわけではありません。
この重要ポイントは、配偶者に有利な部分と、それでも残る制度要件を分けて見るためのものです。読者にとっては「配偶者だから大丈夫」と判断する前に、土地・取得原因・申告手続のどこを確認するかを読み取ることが重要です。
配偶者には取得者固有の要件がありません。一方で、対象が宅地等であること、相続開始直前の居住用であること、相続または遺贈で取得していること、330平方メートル・80%の限度内であること、申告書への記載や添付書類、分割・選択同意が必要であることは変わりません。
次の比較表は、配偶者だから省略できる確認と、配偶者でも省略できない確認を分けて示しています。どの列が制度上の入口で、どの列が申告時の落とし穴になるかを確認するために重要です。
| 区分 | 配偶者の場合の扱い | 確認すべき内容 |
|---|---|---|
| 取得者ごとの要件 | 配偶者には追加要件なし | 同居継続・保有継続は配偶者固有の要件としては掲げられていません。 |
| 財産の種類 | 建物ではなく宅地等が対象 | 土地、借地権、敷地権など土地に関する権利を取得しているかを見ます。 |
| 利用状況 | 居住用であることは必要 | 相続開始直前に被相続人等の居住の用に供されていたかを確認します。 |
| 取得原因 | 相続または遺贈が前提 | 配偶者がもともと持っていた持分や生前贈与済みの持分は対象外です。 |
| 面積と減額 | 330平方メートルまで80% | 限度面積を超える部分や他の宅地等との併用制限を確認します。 |
| 手続 | 申告・添付・同意が必要 | 計算明細書、遺産分割協議書の写し、関係者の選択同意などを整えます。 |
日常語の「自宅」と、税務上の「宅地等」は範囲が異なります。
小規模宅地等の特例は、相続や遺贈で取得した財産のうち、相続開始直前に被相続人または被相続人と生計を一にしていた親族の事業用・居住用に使われていた一定の宅地等について、相続税の課税価格に算入する価額を一定割合で減額する制度です。ここでいう宅地等は、土地または土地の上に存する権利を指します。
この整理表は、日常会話で一体に見える自宅のうち、どの部分が特定居住用宅地等の検討対象になるかを示しています。建物部分と土地に関する権利を分けて読むことで、建物だけを取得した場合の注意点を把握できます。
| 財産・権利 | 特例の検討対象になるか | 読み取り方 |
|---|---|---|
| 自宅建物 | 原則として直接の対象ではない | 建物評価額を80%下げる制度ではありません。 |
| 戸建ての敷地 | 対象になり得る | 被相続人等の居住用で、相続または遺贈で取得した土地かを確認します。 |
| 分譲マンションの敷地権 | 対象になり得る | 建物部分と土地に対応する権利を分けて評価します。 |
| 借地権 | 対象になり得る | 被相続人が借地権を有し、配偶者が相続した場合に検討対象になります。 |
| 配偶者が以前から所有する持分 | 今回の相続取得分ではない | 相続または遺贈で取得した財産ではないため、今回の特例対象には含めません。 |
次の一覧は、小規模宅地等の特例の中で自宅敷地に関係する位置づけを整理するものです。制度名が似ているため、どの区分が自宅敷地の論点で、どの区分が事業や貸付の論点かを読み分けることが重要です。
被相続人等の居住の用に供されていた宅地等が中心です。自宅敷地について、330平方メートルまで80%減額が検討されます。
店舗や事務所など事業用の宅地等が対象です。自宅兼店舗では、居住部分と事業部分の区分が問題になります。
賃貸アパート、月極駐車場など貸付用部分で検討されます。自宅敷地の一部を貸している場合は区分が必要です。
特定居住用宅地等は、居住用宅地等が2以上ある場合、原則として主として居住の用に供していた一の宅地等に限られます。夫婦に複数の住まいがあるときは、生活の本拠、住民票、公共料金、郵便物、医療・介護の実態などを総合して確認します。
配偶者の優遇は「人」の層にあり、土地と手続の層は別に残ります。
税務実務では、特定居住用宅地等の適用可否を、人の要件、土地の要件、手続の要件に分けて確認します。配偶者は人の要件が最も緩やかですが、土地の利用実態や申告書類まで軽くなるわけではありません。
次の判断の流れは、配偶者の自宅相続でどの順番に確認すればよいかを表しています。上から下へ進み、途中で土地や手続の条件が崩れると、配偶者であっても適用が難しくなる点を読み取ってください。
土地、借地権、敷地権など土地に関する権利が相続財産にあるかを確認します。
配偶者がもともと所有していた持分や生前贈与済みの持分は、今回の相続取得分ではありません。
被相続人本人、または被相続人と生計を一にしていた親族の居住用だったかを見ます。
居住用宅地等が複数ある場合は、生活の本拠となる一の宅地等を確認します。
分割未成立、添付不足、同意不足があると通常どおり適用できない場合があります。
330平方メートルまで80%減額を、取得持分や併用制限に応じて計算します。
国税庁の要件表では、被相続人の居住の用に供されていた宅地等を取得した者が被相続人の配偶者である場合、取得者ごとの要件はありません。ただし、ここでいう配偶者は法律上の配偶者です。長年同居していた内縁のパートナーでも、法律上の配偶者としての扱いとは異なります。
配偶者に追加の取得者要件がなくても、土地側の要件は残ります。被相続人本人の居住用宅地等、または被相続人と生計を一にしていた親族の居住用宅地等かを見ます。自宅兼店舗、自宅横の賃貸アパート、月極駐車場、二世帯住宅、分譲マンション、借地、老人ホーム入所後の空き家などは、利用区分を精査します。
小規模宅地等の特例は、適用できる実体要件があるだけでは足りません。相続税申告書に適用を受ける旨を記載し、計算明細書や遺産分割協議書の写しなどを添付する必要があります。また、特例対象となり得る宅地等を取得した相続人等が複数いる場合、選択について関係者全員の同意が必要になる場面があります。
税額がゼロになりそうな場合でも、申告と期限管理は別に確認します。
相続税の申告は、通常、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行います。遺産分割が難航していても、未分割であることにより申告期限が延びるわけではありません。
次の時系列は、特定居住用宅地等と配偶者の税額軽減をめぐる期限を示しています。順番と期間を確認することで、未分割申告、分割見込書、更正の請求の期限を混同しないようにするために重要です。
宅地等の有無、配偶者の取得予定、居住用部分、貸付部分、登記名義、遺言の有無を整理します。
分割済みで必要書類が整う場合は特例適用を申告します。未分割の場合は、原則として小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を適用できない申告になります。
分割見込書を提出しているなど一定の前提がある場合、分割成立後に修正申告または更正の請求を検討します。
分割が成立した後は、税額を減らす手続の期限を逃さないように管理します。
次の比較表は、相続税申告で混同しやすい小規模宅地等の特例と配偶者の税額軽減を分けて示しています。計算段階と効果の違いを読むことで、どちらか一方だけ見ればよいわけではないことが分かります。
| 制度 | 何を軽減するか | 主な数字 | 未分割時の注意 |
|---|---|---|---|
| 小規模宅地等の特例 | 土地等の課税価格 | 特定居住用宅地等は330平方メートルまで80%減額 | 未分割では原則として適用できない申告になります。 |
| 配偶者の税額軽減 | 配偶者本人の相続税額 | 1億6,000万円または法定相続分相当額の多い金額まで | 申告期限までに分割されていない財産は対象になりません。 |
| 基礎控除 | 相続税がかかるかの入口 | 3,000万円+600万円×法定相続人の数 | 特例適用前の価額で申告要否を確認します。 |
特例を使うことで納付税額がなくなる見込みでも、小規模宅地等の特例等を適用しない場合の課税価格が基礎控除を超えると、申告が必要になる可能性があります。納税がないことと申告が不要なことは同じではありません。
特例は誰が自宅を取得するかを自動で決める制度ではありません。
小規模宅地等の特例は税法上の制度です。誰が自宅を取得するか、代償金を払うか、遺言が有効か、遺留分侵害額請求があるか、使い込みの疑いがあるかは、遺産分割や民事法務の問題です。
次の一覧は、自宅敷地を配偶者に集める場面で同時に動く手続を整理しています。どの専門領域で何を確認するかを読み取ることで、税務だけで判断しないための見取り図になります。
相続財産の大半が自宅不動産で預貯金が少ない場合、子に対する代償金や分割方法が争点になります。
遺言で自宅を相続させる旨があっても、地番、家屋番号、借地権、敷地権、共有持分の記載を確認します。
次の表は、税務申告と相続登記で必要になる資料の重なりを示しています。両者は別手続ですが、遺産分割協議書、登記事項証明書、固定資産評価証明書などの整合性を確認することが重要です。
| 資料 | 税務申告での意味 | 相続登記での意味 |
|---|---|---|
| 遺言書・遺産分割協議書 | 配偶者が宅地等を取得した根拠になります。 | 登記原因を示す中心資料になります。 |
| 登記事項証明書 | 土地、建物、持分、借地関係を確認します。 | 名義変更対象の不動産を特定します。 |
| 固定資産評価証明書 | 評価資料や不動産の把握に使います。 | 登録免許税などの計算にも関係します。 |
| 戸籍・住民票 | 相続人や配偶者関係の確認に使います。 | 相続関係と住所を証明します。 |
自宅敷地を配偶者と子で共有取得する場合、配偶者持分には取得者ごとの要件がなくても、子の持分については子自身の要件を満たす必要があります。配偶者がいるから土地全体に当然80%減額できるわけではなく、取得持分ごとに要件を確認します。
330平方メートルまで80%減額という数字は、土地全体を一律に下げる意味ではありません。
特定居住用宅地等の限度面積は330平方メートル、減額割合は80%です。地積が限度内で全体が居住用なら計算は比較的単純ですが、限度面積を超える土地や、居住用部分と貸付用部分が混在する土地では按分が必要です。
次の計算例は、同じ特定居住用宅地等でも、地積と評価額によって減額額が変わることを表しています。式の中の330平方メートルが限度面積を意味し、限度を超える土地では全体の80%が減るわけではない点を読み取ってください。
| 前提 | 概算式 | 減額額 | 特例適用後 |
|---|---|---|---|
| 評価額5,000万円、250平方メートル | 5,000万円×80% | 4,000万円 | 1,000万円 |
| 評価額5,000万円、500平方メートル | 5,000万円×330/500×80% | 2,640万円 | 2,360万円 |
| 評価額6,000万円、300平方メートル | 6,000万円×80% | 4,800万円 | 1,200万円 |
| 評価額1億円、500平方メートル | 1億円×330/500×80% | 5,280万円 | 4,720万円 |
次の注意点一覧は、土地全体を一律に特定居住用宅地等として扱えない可能性がある場面を示しています。どの部分が居住用で、どの部分が事業用・貸付用・遊休部分かを読み分けるために重要です。
1階が店舗、2階が住居などの場合、居住用部分と事業用部分の区分を検討します。
自宅建物の横に賃貸アパートがある場合、貸付部分を分けて考える必要があります。
広い敷地の一部を貸付に使っている場合、居住用宅地等の範囲に影響します。
境界確認、地積更正、分筆、利用区分の整理が特例の面積計算に関係します。
分譲マンションは建物部分と敷地権部分に分け、土地に対応する権利を検討します。
借地権を相続する場合は対象になり得ますが、相続財産としての宅地等がない場合は建物だけでは対象になりません。
不動産の実務では、固定資産税評価証明書、登記事項証明書、公図、地積測量図、建物図面、賃貸借契約書、使用貸借関係、住民票、介護認定資料、施設入所契約書などを組み合わせて判断します。
相続開始直前に住んでいない場合でも、入所前の居住実態が考慮される場面があります。
特定居住用宅地等は、相続開始直前に居住の用に供されていた宅地等であることが基本です。しかし、高齢者の相続では、被相続人が死亡時に病院、介護施設、老人ホーム等にいることがあります。
次の判断の流れは、老人ホーム入所後の自宅敷地を確認する順序を示しています。入所前の居住実態が考慮される可能性と、入所後に第三者へ貸した場合などの除外要素を読み取ることが重要です。
居住の用に供されなくなる直前の利用状況を確認します。
要介護認定・要支援認定、施設種類、入所契約書、入所日を確認します。
事業用や新たに被相続人等以外の人の居住用に供された場合は慎重な判断が必要です。
配偶者が生計一親族として住み続けていた場合、その居住の用に供されていた宅地等としても検討します。
次の資料一覧は、施設入所後の自宅について、入所前後の居住実態を確認するためのものです。資料の種類ごとに何を証明しやすいかを読み取ることで、後から説明できる状態を作りやすくなります。
| 資料 | 確認する内容 |
|---|---|
| 要介護認定・要支援認定資料 | 施設入所の事情や時期を確認します。 |
| 施設入所契約書 | 施設の種類、入所日、利用契約の内容を確認します。 |
| 住民票・戸籍の附票 | 住所移転の時期や居住履歴を確認します。 |
| 水道光熱費・郵便物・家財 | 空き家として維持されていたか、生活拠点が残っていたかを確認します。 |
| 賃貸借契約書 | 第三者への賃貸や事業転用があったかを確認します。 |
被相続人が施設に入所し、配偶者が自宅に住み続けていたケースでは、被相続人本人の居住用宅地等としての検討に加え、被相続人と生計を一にしていた配偶者の居住用宅地等としての検討もあり得ます。ただし、生計一の判断、生活費負担、介護費用、家計管理などを総合的に確認します。
居住安定の制度と、土地等の評価減の制度は自動的には連動しません。
配偶者居住権は、配偶者が居住建物を無償で使用・収益できる権利です。税務上は、配偶者居住権そのもの、敷地利用権、敷地所有権などを分けて評価・検討します。
次の比較表は、配偶者居住権を設定した場合に分けて確認する権利関係を示しています。誰がどの権利を取得するかで、特定居住用宅地等の対象部分や面積計算が変わるため、この分解が重要です。
| 権利・財産 | 主な意味 | 特例判断での注意 |
|---|---|---|
| 配偶者居住権 | 配偶者が居住建物を無償で使用・収益する権利 | 取得しただけで小規模宅地等の特例が自動適用されるわけではありません。 |
| 敷地利用権 | 配偶者居住権に基づき敷地を使用する権利 | 一定の面積計算を行う場面があります。 |
| 敷地所有権 | 土地そのものの所有権 | 子が取得する場合、子自身の同居・保有継続・家なき子要件が問題になり得ます。 |
| 遺産分割協議書・登記 | 権利関係を外部に示す書類・手続 | 申告書、分割内容、登記内容の整合性が重要です。 |
配偶者が配偶者居住権を取得し、子が敷地所有権を取得する場合、配偶者の敷地利用権と子の敷地所有権のそれぞれについて、要件該当性と面積計算を検討します。配偶者側には取得者ごとの要件がない一方、子側には別の要件が残ることがあります。
典型例だけでなく、建物だけ取得、共有、施設入所、内縁、未分割も分けて確認します。
具体例では、同じ「配偶者が自宅に関係する財産を取得する」場面でも、宅地等の取得、面積、共有持分、施設入所後の利用、遺産分割の有無で結論が変わることを確認できます。各行で、どの条件が効いているかを読み取ることが重要です。
| 事例 | 判断の方向 | 計算・注意点 |
|---|---|---|
| 夫婦同居の自宅敷地300平方メートル、評価額6,000万円を妻が単独取得 | 特定居住用宅地等として適用できる可能性が高い | 6,000万円×80%=4,800万円減額。適用後は1,200万円。 |
| 同じ前提で土地500平方メートル、評価額1億円 | 限度面積330平方メートルまで | 1億円×330/500×80%=5,280万円減額。適用後は4,720万円。 |
| 妻が建物だけ取得し、土地は長男が取得 | 妻について対象となる宅地等がない可能性 | 長男の土地持分は、長男自身の同居親族・別居親族要件を検討します。 |
| 妻と別居長男が土地を2分の1ずつ取得し、長男は持ち家居住 | 妻持分と長男持分を分けて判断 | 妻持分3,000万円は2,400万円減額、長男持分3,000万円は要件不充足なら減額なしの可能性があります。 |
| 夫が要介護認定後に老人ホームへ入所し、妻が自宅に住み続けた | 入所前の居住用宅地等や生計一親族の居住用として検討 | 施設資料、要介護認定、入所後の利用状況を確認します。 |
| 夫が入所後に自宅を第三者へ賃貸 | 特定居住用宅地等は慎重な検討が必要 | 居住用でなくなった後に第三者居住や事業用に供された場合は除外要素になります。 |
| 内縁の妻が遺言で自宅土地を取得 | 法律上の配偶者とは扱いが異なる | 配偶者として取得者ごとの要件なしとは扱えず、親族性や遺贈、2割加算など別論点を検討します。 |
| 妻は自宅取得を希望し、長男は売却分割を主張して未分割 | 申告期限内の通常適用が難しくなる | 未分割申告、分割見込書、調停、更正の請求期限、納税資金を同時に管理します。 |
次の重要ポイントは、具体例全体から読み取れる共通の注意点です。結論だけでなく、どの事実が結論を左右するかを押さえることで、相談前に資料を整理しやすくなります。
宅地等を取得しているか、居住用だったか、面積限度内か、持分ごとに要件を満たすか、分割・申告・同意が整うかで結果が変わります。
一次相続で税負担が下がっても、次の相続で条件が変わることがあります。
配偶者が自宅敷地を取得する一次相続では、取得者ごとの要件がないため特定居住用宅地等を使いやすく、配偶者の税額軽減もあります。しかし、配偶者がその後亡くなる二次相続では、配偶者の税額軽減は使えません。子が自宅敷地を取得する場合、同居親族の要件や別居親族の厳格な要件が問題になります。
次の比較表は、一次相続だけでなく二次相続まで見たときの検討軸を示しています。左列は税務上の効果、右列は生活資金や不動産管理の影響を表し、どちらも分割方針に関係することを読み取ってください。
| 検討軸 | 一次相続で見る点 | 二次相続・将来で見る点 |
|---|---|---|
| 税額 | 特定居住用宅地等と配偶者の税額軽減で負担が下がる可能性 | 配偶者の税額軽減が使えず、子の要件が問題になります。 |
| 居住 | 配偶者が住み続ける安定性を重視 | 老人ホーム入所、空き家化、売却の可能性を見ます。 |
| 資金 | 納税資金、代償金、生活費を確保 | 固定資産税、修繕費、介護費、管理費が続きます。 |
| 分割方法 | 配偶者単独取得、共有、配偶者居住権などを比較 | 子の居住状況や持ち家の有無により、次の特例可否が変わります。 |
一次相続だけを見れば配偶者取得が有利でも、二次相続まで含めると、同居子との共有、配偶者居住権、代償分割、生前対策、生命保険などを比較する必要があります。配偶者の生活資金、自宅売却の可能性、子の居住状況、老人ホーム入所の可能性、修繕費、固定資産税、代償金支払能力、将来の空き家リスクも検討します。
次の専門職一覧は、配偶者の自宅相続でどの領域の専門家が何を確認するかを示しています。税務・法務・登記・不動産・資金を分けて読むことで、相談先を誤らないために重要です。
適用可否、土地評価、面積按分、申告書、計算明細書、未分割申告、更正の請求、税務調査対応を確認します。
相続登記、戸籍収集、法定相続情報一覧図、登記原因証明情報、登記に適した協議書を確認します。
紛争性がなく、税務代理や登記申請代理に当たらない範囲で、協議書や相続関係説明図などを支援します。
不動産の時価、境界確認、地積更正、分筆、建物表題登記など、評価や面積に関わる部分を確認します。
売却、納税資金、代償金、修繕費、固定資産税、介護費用、生活費の確保を検討します。
資料収集と判定手順を分けると、申告前の見落としを減らせます。
配偶者の自宅相続では、まず資料を集め、次に宅地等の該当性、取得者、面積、分割、申告、登記を順に確認します。特例は要件と手続がそろって初めて効果を持つため、資料の不足はそのまま判断の不安定さにつながります。
次の資料一覧は、特定居住用宅地等の確認に使う主な資料を、相続関係、土地建物、居住実態、申告関係に分けて示しています。どの資料がどの事実を支えるかを読み取ることで、専門家へ相談する前の準備が進みます。
| 分類 | 主な資料 | 確認すること |
|---|---|---|
| 相続関係 | 被相続人の戸籍一式、相続人の戸籍・住民票、婚姻関係を示す戸籍 | 法律上の配偶者か、相続人が誰かを確認します。 |
| 分割関係 | 遺言書、遺産分割協議書案、印鑑証明書 | 配偶者が宅地等を相続または遺贈で取得するかを確認します。 |
| 土地建物 | 登記事項証明書、固定資産税評価証明書、名寄帳、公図、地積測量図、建物図面 | 土地・借地権・敷地権の有無、面積、持分、利用区分を確認します。 |
| 居住実態 | 住民票除票、戸籍の附票、介護認定資料、施設入所契約書、電気・水道・ガス・郵便物 | 相続開始直前または施設入所前後の居住状況を確認します。 |
| 貸付・使用関係 | 賃貸借契約書、使用貸借関係資料 | 第三者への貸付、事業利用、親族利用の実態を確認します。 |
| 申告関係 | 財産・債務資料、相続税申告書、計算明細書 | 課税価格、基礎控除、特例適用、添付書類を確認します。 |
次の判断の流れは、配偶者の自宅相続で特定居住用宅地等を確認する順番をまとめたものです。上から順に、財産、取得者、居住用、面積、同意、申告、登記、二次相続まで確認することが重要です。
土地・借地権・敷地権が相続財産にあり、配偶者が相続または遺贈で取得するかを確認します。
婚姻関係、相続開始直前の居住用、老人ホーム入所等の例外、生計一親族の居住を確認します。
居住用以外の部分、主たる居住用宅地等、330平方メートル超過、他の特例との併用制限を確認します。
関係者の選択同意、申告期限までの分割、計算明細書、遺産分割協議書の写し、分割見込書の要否を確認します。
配偶者の税額軽減、二次相続、納税資金、相続登記の3年期限、生活資金を確認します。
回答は一般的な制度説明です。個別の結論は資料と事情により変わります。
一般的には、配偶者については取得者ごとの同居要件・居住継続要件は置かれていないとされています。ただし、その宅地等が相続開始直前に被相続人等の居住用であったこと、配偶者が宅地等を相続または遺贈で取得すること、申告手続を満たすことは別に必要です。具体的な適用可否は、居住実態や取得内容を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、国税庁の要件表上、配偶者については同居親族のような申告期限までの居住継続・保有継続要件は掲げられていないとされています。ただし、売却前に遺産分割が成立しているか、申告書に必要書類を添付できるか、譲渡所得税・住替え・納税資金に問題がないかで結論や対応は変わる可能性があります。具体的な時期や手続は、税理士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、小規模宅地等の特例は宅地等の特例であり、建物そのものの評価額を80%下げる制度ではないとされています。配偶者が土地または土地上の権利を取得しない場合、配偶者について対象となる宅地等がない可能性があります。土地を取得した子については、子自身の要件を資料に基づいて確認する必要があります。
一般的には、妻が相続または遺贈で取得した夫の持分部分が検討対象になります。妻がもともと持っていた持分は、今回の相続または遺贈で取得した財産ではないため、今回の小規模宅地等の特例の対象にはならないと考えられます。具体的な持分割合や評価は、登記と申告資料を確認して判断する必要があります。
一般的には、小規模宅地等の特例を使わなくても正味の遺産額が基礎控除以下であれば、相続税申告が不要となる方向です。一方、小規模宅地等の特例を使うことで初めて基礎控除以下になる場合は、申告が必要になる可能性があります。申告要否は特例適用前の課税価格も関係するため、税理士等の専門家へ確認する必要があります。
一般的には、未分割の場合、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は適用できない申告になるとされています。ただし、申告期限後3年以内の分割見込書や、分割成立後の更正の請求などを検討できる場合があります。調停・審判の見通しや期限管理を含め、税理士や弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、配偶者の税額軽減は配偶者本人の相続税額を軽減する制度であり、小規模宅地等の特例は土地等の課税価格を減額する制度とされています。相続税総額、他の相続人の税負担、二次相続、分割内容に影響するため、不要とは限りません。具体的な有利不利は財産構成と分割案により変わります。
一般的には、法律上の配偶者とは扱いが異なり、内縁関係の人は法定相続人に含まれないとされています。遺言による遺贈など別の取得方法はあり得ますが、法律上の配偶者として取得者ごとの要件なしとする処理とは別です。親族性、遺贈の内容、相続税の2割加算などを専門家に確認する必要があります。
一般的には、一定の要介護認定・要支援認定や施設の種類などの条件を満たし、入所後に事業用や被相続人等以外の人の新たな居住用に供されていない場合、入所直前の居住の用が考慮される可能性があります。ただし、施設資料と利用実態により結論は変わります。具体的には、入所契約書や居住実態資料を整理して税理士等へ相談する必要があります。
一般的には、相続税申告と相続登記は別手続とされています。ただし、配偶者が宅地等を取得したことを示す遺産分割協議書や遺言書と、登記内容、申告内容の整合性は重要です。また、不動産を相続した場合の相続登記は義務化されているため、登記期限も別途管理する必要があります。