2σ Guide

育児・介護休業を
企業法務と人事労務で整理する

2026年6月23日時点の制度を前提に、育児休業、産後パパ育休、介護休業、給付金、社会保険、不利益取扱い、就業規則対応までを実務目線で体系化します。

2025年 段階施行された主要改正
93日 介護休業の通算上限
300人超 育休取得状況の公表対象
本ページは株式会社Dプロフェッションズ(医師/医療機関/弁護士/弁護士法人ではありません)が運営しています。
一般的な情報提供を目的としており医療上の助言や法律相談等を行うものではありません。
広告(PR)を掲載しています。広告は編集内容や推奨を意味しません。
Video

育児・介護休業を 企業法務と人事労務で整理する

制度を福利厚生だけで捉えず、労働者の権利、事業主の義務、企業リスク管理の三層で整理します。

動画を読み込み中…
2σ GUIDE ・ VIDEO
育児・介護休業を 企業法務と人事労務で整理する
制度を福利厚生だけで捉えず、労働者の権利、事業主の義務、企業リスク管理の三層で整理します。
動画の文字起こし(全文テキスト)

2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 育児・介護休業を 企業法務と人事労務で整理する
  • 制度を福利厚生だけで捉えず、労働者の権利、事業主の義務、企業リスク管理の三層で整理します。

POINT 1

  • 育児・介護休業の全体像と企業実務の結論
  • 制度を福利厚生だけで捉えず、労働者の権利、事業主の義務、企業リスク管理の三層で整理します。
  • 制度は「休ませる手続」ではなく、雇用継続を支える内部統制です
  • 労働者の権利
  • 事業主の義務

POINT 2

  • 育児・介護休業の基本用語と制度目的
  • 休業、休暇、勤務制限、措置を分けると、就業規則や給与・勤怠処理の混乱を減らせます。
  • 労働者と有期雇用労働者
  • 労使協定と労働時間の用語
  • 育児・介護休業の目的は、労働者の私生活上の責任と職業生活を対立させるのではなく、両立可能な雇用環境を形成することにあります。

POINT 3

  • 育児・介護休業の2025年改正で変わった実務
  • 1. 育児休業の分割取得が広がりました
  • 2. 育児・介護の両方で周知と環境整備が強まりました
  • 3. 柔軟な働き方と個別の意向聴取が義務化されました

POINT 4

  • 育児・介護休業のうち育児に関する制度
  • 育児休業、産後パパ育休、子の看護等休暇、短時間勤務、勤務制限、柔軟な働き方の措置をまとめます。
  • 個別周知・意向確認と公表義務
  • 育児に関する制度は、子の年齢や家庭状況に応じて複数の選択肢が組み合わさります。
  • 会社は、休業期間だけでなく、短時間勤務、残業免除、深夜業制限、個別周知、意向聴取まで一体で把握する必要があります。

POINT 5

  • 育児・介護休業のうち介護に関する制度
  • 研修の実施
  • 介護休業・介護両立支援制度等について、管理職と従業員が基本を理解できる研修を行います。
  • 相談体制の整備
  • 相談窓口を設け、介護情報が必要以上に部署内へ広がらないようにプライバシー保護を徹底します。

POINT 6

  • 育児・介護休業の給付金・社会保険・税務
  • 給付率、社会保険料免除、非課税の扱いは、従業員説明と給与・社会保険手続に直結します。
  • 育児・介護休業では、雇用保険の給付金、健康保険・厚生年金保険の保険料免除、税務上の取扱いが関わります。
  • 人事労務、給与担当、社会保険担当、税務担当が同じ前提で説明しないと、従業員説明や申請期限の管理にずれが生じます。
  • 給付金や社会保険料免除は、従業員本人だけでなく会社負担にも影響します。

POINT 7

  • 育児・介護休業の不利益取扱いとハラスメント
  • 時間的・因果的近接
  • 処遇変更が申出や取得の直後に行われていないかを確認します。
  • 同一基準の適用
  • 同じ状況の非利用者にも同じ基準を適用しているかを確認します。

POINT 8

  • 育児・介護休業の就業規則・実務体制整備
  • 1. 申出・相談を受ける:管理職は否定せず、人事労務へつなぎます。
  • 2. 制度説明と要件確認:対象者、対象児・対象家族、期間、回数、申出期限を確認します。
  • 3. 業務調整と通知:部署と代替体制を調整し、会社から書面等で開始予定日・終了予定日等を通知します。
  • 4. 給与・社会保険・雇用保険を連携:賃金台帳、勤怠、届出期限、給付金、保険料免除を確認します。
  • 5. 理由と代替案を記録:困難な理由、検討した代替案、本人説明を残します。
  • 6. 復職前後を支援:復職前面談、配置、勤務制度、評価目標を確認します。

まとめ

  • 育児・介護休業を 企業法務と人事労務で整理する
  • 育児・介護休業の全体像と企業実務の結論:制度を福利厚生だけで捉えず、労働者の権利、事業主の義務、企業リスク管理の三層で整理します。
  • 育児・介護休業の基本用語と制度目的:休業、休暇、勤務制限、措置を分けると、就業規則や給与・勤怠処理の混乱を減らせます。
  • 育児・介護休業の2025年改正で変わった実務:2025年4月1日と10月1日の改正は、制度を周知し、意向を確認し、利用しやすくする方向へ企業実務を動かしました。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

育児・介護休業の全体像と企業実務の結論

制度を福利厚生だけで捉えず、労働者の権利、事業主の義務、企業リスク管理の三層で整理します。

育児・介護休業は、労働者が子の養育や家族の介護を担いながら雇用を継続できるように、法律上の権利と事業主の義務を定める制度です。中心となる法律は、一般に育児・介護休業法と呼ばれる法律です。

企業実務では、制度を置くだけでは足りません。申出受付、要件確認、個別周知、意向確認、給与計算、社会保険、復職支援、評価制度、ハラスメント防止まで、運用としてつながっていることが重要です。

次の重要ポイントは、育児・介護休業を企業法務・人事労務で扱う際の基本構造を示します。三つの観点を分けて読むことで、権利の有無だけでなく、会社がどの業務を整備すべきかを把握できます。

制度は「休ませる手続」ではなく、雇用継続を支える内部統制です

育児・介護休業は、就業規則、人事評価、賃金、社会保険、管理職教育、相談窓口が連動して初めて機能します。制度が存在しても使いにくい状態は、労務紛争や人的資本経営上のリスクにつながります。

次の比較一覧は、制度を三層に分けて、企業が何を確認すべきかを示します。読者にとって重要なのは、労働者の権利だけでなく、会社側の通知・記録・体制整備まで同時に発生する点です。

Layer 01

労働者の権利

要件を満たす労働者は、育児休業、産後パパ育休、介護休業、休暇、勤務制限、短時間勤務等を利用できます。就業規則に規定がなくても、法定要件を満たす限り法律に基づく権利が生じます。

Layer 02

事業主の義務

会社は制度を設け、申出を受け付け、必要な通知を行い、個別周知・意向確認、就業規則、申請様式、給与・社会保険、復職支援、相談体制を整える必要があります。

Layer 03

企業リスク管理

申出や利用を理由とする解雇、雇止め、降格、減給、配置転換、退職勧奨、ハラスメントは、行政対応、損害賠償、採用力低下、人的資本評価の低下につながります。

育児・介護休業は、労務管理の一部であると同時に、企業法務、コンプライアンス、内部統制、人的資本経営、ダイバーシティ経営に関わるテーマです。現場の一言や曖昧な評価運用が紛争の入口になるため、制度と運用記録を一体で整備する必要があります。

Section 01

育児・介護休業の基本用語と制度目的

休業、休暇、勤務制限、措置を分けると、就業規則や給与・勤怠処理の混乱を減らせます。

育児・介護休業の目的は、労働者の私生活上の責任と職業生活を対立させるのではなく、両立可能な雇用環境を形成することにあります。少子高齢化、共働き世帯の増加、単身介護、遠距離介護、ダブルケア、人手不足、男性育休促進、女性のキャリア継続、介護離職防止と密接に関係します。

次の表は、育児休業と介護休業、休暇、勤務制限、措置の違いを整理したものです。制度名が似ていても、期間、申出期限、給与・勤怠処理、不利益取扱いの検討軸が異なるため、最初に区分を読み分けることが重要です。

区分典型例意味実務で見る点
休業育児休業、産後パパ育休、介護休業一定期間、労務提供義務を消滅または停止させる制度です。対象者、回数、期間、申出期限、復職予定日、給付金を確認します。
休暇子の看護等休暇、介護休暇1日または時間単位でスポット的に休む制度です。年次有給休暇と別制度として、日数、時間単位、給与取扱いを管理します。
勤務制限所定外労働、時間外労働、深夜業の制限労働時間や勤務時間帯を法定範囲で制限する制度です。所定労働時間と法定労働時間の違い、請求期間、例外事由を確認します。
措置短時間勤務、フレックスタイム、時差出勤、テレワーク等事業主が制度として整備すべき働き方の選択肢です。対象者、利用単位、承認基準、勤怠、情報セキュリティ、評価への接続を整えます。

労働者と有期雇用労働者

制度は、原則として雇用されて働く労働者を対象にします。正社員だけでなく、パート、アルバイト、契約社員、嘱託社員も、要件を満たす限り対象になり得ます。他方、日々雇用される者は、多くの制度で対象外とされています。

有期雇用労働者では、申出時点で一定期間内に契約が満了し、更新されないことが明らかでないこと等が問題になります。契約更新上限、更新実績、更新期待、雇止め予定の明示、同種労働者の更新状況を形式だけでなく実態から確認します。

労使協定と労働時間の用語

労使協定は、対象外労働者の設定や産後パパ育休中の就業などで重要になります。過半数組合または過半数代表者との書面による協定であり、代表者選出の適正性も確認対象です。

次の表は、所定労働時間、法定労働時間、深夜業、要介護状態、対象家族の意味をまとめたものです。用語の取り違えは、残業免除と時間外上限、介護休業の対象判断、家族範囲の誤認につながるため、規程や申請様式の前提として重要です。

用語説明注意点
所定労働時間会社の就業規則や労働契約で定めた勤務時間です。所定外労働の制限では、会社が定めた時間を超える残業を免除します。
法定労働時間労働基準法上の原則である1日8時間・1週40時間です。時間外労働の制限では、1か月24時間、1年150時間を超えない管理が問題になります。
深夜業午後10時から午前5時までの時間帯に働くことです。育児・介護の対象労働者が要件を満たして請求した場合、会社は制限を検討します。
要介護状態負傷、疾病、身体上または精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態です。介護保険法上の要介護認定と完全に同じ概念ではありません。
対象家族配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母です。配偶者には事実婚を含みます。介護関係の子は法律上の親子関係がある子を指し、養子を含みます。
Section 02

育児・介護休業の2025年改正で変わった実務

2025年4月1日と10月1日の改正は、制度を周知し、意向を確認し、利用しやすくする方向へ企業実務を動かしました。

2025年4月1日および10月1日に、育児・介護休業法の重要改正が段階的に施行されました。2026年6月23日時点では、企業は規程改定だけでなく、個別周知、意向確認、40歳等での情報提供、柔軟な働き方の措置、取得状況の公表まで運用できる状態にしておく必要があります。

次の時系列は、主要改正がいつ実務に影響するかを整理したものです。日付ごとの義務を分けて読むと、規程改定、人事システム、研修、個別対応記録のどこを更新すべきかが見えます。

2022年10月1日

育児休業の分割取得が広がりました

男女とも子1人につき原則2回まで育児休業を分割取得できるようになり、産後パパ育休も通常の育児休業とは別に利用できる制度として運用されています。

2025年4月1日

育児・介護の両方で周知と環境整備が強まりました

子の看護等休暇の対象拡大、所定外労働の制限対象拡大、介護休暇の除外範囲見直し、介護の個別周知・意向確認、40歳等での情報提供、公表義務拡大などが重要です。

2025年10月1日

柔軟な働き方と個別の意向聴取が義務化されました

3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に対する柔軟な働き方の措置と、仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮が実務の中心論点になりました。

次の表は、2025年改正後に企業が優先して整備すべき実務対応を分野別に並べたものです。育児と介護で義務の内容が異なるため、自社の規程、申請様式、従業員通知、管理職研修にどの項目を反映するかを確認できます。

分野主な改正・実務対応企業が整えるもの
育児子の看護等休暇の対象と取得事由が拡大されました。対象児、取得事由、時間単位、勤怠コード、証明資料の範囲を更新します。
育児所定外労働の制限対象が小学校就学前まで拡大されました。残業免除の申請様式、対象者判定、現場調整手順を整えます。
育児3歳未満の子に関するテレワーク等の導入が努力義務になりました。職務適合性、情報セキュリティ、労働時間把握、費用負担を検討します。
育児3歳から小学校就学前の子に関する柔軟な働き方の措置が義務化されました。5つの選択肢から2つ以上を整備し、過半数組合等から意見聴取の機会を設けます。
育児個別の意向聴取・配慮が義務化されました。聴取時期、面談項目、記録様式、対応困難時の説明手順を用意します。
育児育児休業等取得状況の公表義務が従業員数300人超の企業に拡大されました。男性育休取得率等の算定定義、対象期間、根拠資料保存、公表ページを統一します。
介護介護休暇で継続雇用6か月未満の労働者を労使協定で除外する仕組みが廃止されました。労使協定、規程、申請様式の対象外規定を見直します。
介護介護休業・介護両立支援制度等を利用しやすい雇用環境整備が義務化されました。研修、相談窓口、利用事例提供、方針周知のうち必要な措置を整えます。
介護介護に直面した労働者への個別周知・意向確認が義務化されました。申出先、介護休業制度、両立支援制度、介護休業給付金を説明する運用を作ります。
介護40歳等での早期情報提供が義務化されました。対象者リスト、年度配信、eラーニング、相談窓口、プライバシー保護を整えます。

改正後のポイントは、会社が制度を待ち受けるだけでは足りないことです。制度設計、周知、意向確認、記録、管理職教育、復職支援、評価制度との接続までを一体で整備することが求められます。

Section 03

育児・介護休業のうち育児に関する制度

育児休業、産後パパ育休、子の看護等休暇、短時間勤務、勤務制限、柔軟な働き方の措置をまとめます。

育児に関する制度は、子の年齢や家庭状況に応じて複数の選択肢が組み合わさります。会社は、休業期間だけでなく、短時間勤務、残業免除、深夜業制限、個別周知、意向聴取まで一体で把握する必要があります。

次の比較表は、育児に関する主要制度の対象、期間、実務上の確認点を横並びにしたものです。読者にとって重要なのは、同じ育児支援でも、申出期限、回数、日数、会社の例外対応がそれぞれ異なる点です。

制度主な内容期間・日数企業実務の注意点
育児休業原則として1歳未満の子を養育するために一定期間会社を休める制度です。原則1歳までです。一定事情がある場合は最大2歳まで延長される場合があります。子1人につき原則2回まで分割できます。申出日、開始予定日、終了予定日、対象児、有期雇用の契約状況、過去の取得回数を確認します。
産後パパ育休正式には出生時育児休業です。産後休業をしていない労働者が利用します。子の出生後8週間以内に通算4週間、つまり28日を限度として2回まで取得できます。原則2週間前までに申出ます。労使協定がある場合、一定条件で休業中就業が認められる場合があります。
パパ・ママ育休プラス両親とも育児休業をする場合の特例です。対象となる子の年齢が原則1歳2か月未満まで延長される場合があります。配偶者の取得状況など、必要最小限の範囲で要件確認を行い、個人情報の扱いに注意します。
子の看護等休暇子の病気・けが、予防接種、健康診断、感染症に伴う学級閉鎖等、入園式・卒園式・入学式への参列などで利用できます。小学3年生修了までの子について、1年度に5日までです。対象となる子が2人以上の場合は10日までです。時間単位取得も可能です。年次有給休暇とは別制度です。先に年次有給休暇を使うよう強制する運用は避ける必要があります。
短時間勤務等3歳未満の子を養育する労働者に、1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含む制度です。3歳未満の子を養育する期間が中心です。短時間勤務が困難な業務では、代替措置としてフレックスタイム、時差出勤、保育施設、テレワーク等を検討します。
所定外労働の制限会社が定めた所定労働時間を超える残業を免除する制度です。小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求できます。1回につき1か月以上1年以内で、回数制限はありません。事業の正常な運営を妨げる場合の例外は、単なる繁忙や人員不足だけで安易に使わない運用が必要です。
時間外労働の制限法定労働時間を超える労働時間に上限を設ける制度です。1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせない制度です。所定外労働の制限とは別制度として、勤怠システムで管理します。
深夜業の制限午後10時から午前5時までの深夜業を制限する制度です。小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者が請求できます。同居家族の有無だけで形式的に判断せず、保育困難な事情を慎重に確認します。

柔軟な働き方を実現するための措置は、2025年10月1日以降の育児実務で特に設計難度が高い項目です。次の一覧は、会社が5つの選択肢から2つ以上を整備し、労働者がその中から1つを選んで利用する構造を示します。どの選択肢も、対象者、利用単位、申請期限、評価、勤怠管理を明確にする必要があります。

01

始業時刻等の変更

時差出勤などにより、保育園送迎や家庭事情に合わせやすくする措置です。

時間調整
02

テレワーク等

月10日以上を目安に、在宅勤務などを選択できるようにする措置です。情報セキュリティと労働時間把握が重要です。

在宅勤務管理基準
03

保育施設の設置運営等

事業所内保育や外部サービス利用支援など、就業しながら子を養育しやすくする措置です。

保育支援
04

養育両立支援休暇

就業しつつ子を養育することを容易にするため、年10日以上を目安に休暇を付与する措置です。

休暇制度
05

短時間勤務制度

3歳以降も勤務時間を調整し、育児と業務の両立を図る措置です。業務量と評価基準の再設計が必要です。

勤務時間評価接続

個別周知・意向確認と公表義務

妊娠・出産等の申出時には、事業主が育児休業制度等を個別に周知し、育児休業・産後パパ育休の取得意向を確認する措置を講じます。2025年10月1日からは、本人または配偶者の妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前の時期に、勤務時間帯、勤務地、制度利用期間、業務量や労働条件の見直し等について意向を聴取し、配慮することが求められます。

従業員数300人超の企業では、男性の育児休業等取得割合、または育児休業等と育児目的休暇の取得割合のいずれかを公表する義務があります。法務、人事、広報、IRは、算定定義、対象期間、対象者、公表ページ、根拠資料の保存を統一する必要があります。

Section 04

育児・介護休業のうち介護に関する制度

介護休業は、労働者本人が介護を抱え込むためではなく、仕事と介護を両立できる体制を整える準備期間として理解します。

介護制度では、対象家族1人につき通算93日の介護休業、1年度5日または10日の介護休暇、短時間勤務等の措置、所定外・時間外・深夜業の制限、雇用環境整備、40歳等での情報提供が中心になります。

次の表は、介護に関する主要制度を、利用場面と企業の確認項目で整理したものです。介護は突発的に発生しやすく、労働者自身も制度を知らないことが多いため、会社からの早期情報提供と相談窓口が重要になります。

制度主な内容期間・回数企業実務の注意点
介護休業要介護状態にある対象家族を介護するための休業です。対象家族1人につき、3回まで、通算93日まで取得できます。長期介護を本人だけで担う制度ではなく、介護サービスや家族分担を整える準備期間として説明します。
介護休暇通院の付添い、介護サービス手続、ケアマネジャーとの短時間の打合せなどで利用できます。対象家族1人なら1年に5日まで、2人以上なら10日までです。1日または時間単位で取得できます。年次有給休暇とは別に取得させる必要があります。有給・無給は会社規程で明確にします。
短時間勤務等の措置短時間勤務、フレックスタイム、時差出勤、介護サービス費用助成等のいずれか1つ以上を設けます。対象家族1人につき、利用開始の日から連続する3年以上の期間で2回以上が基本です。勤務制度、給与、評価、シフト、申請期限を一体で整えます。
所定外労働の制限要介護状態の対象家族を介護する労働者が請求した場合、所定外労働を免除する制度です。1回につき1か月以上1年以内で、回数制限はありません。事業の正常な運営を妨げる場合の例外は、具体的事情を記録して慎重に扱います。
時間外労働の制限法定労働時間を超える労働を一定時間以内に制限する制度です。1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働をさせない制度です。残業ゼロを意味する制度とは異なるため、勤怠管理上の設定を分けます。
深夜業の制限午後10時から午前5時までの深夜業を制限する制度です。1回につき1か月以上6か月以内で、回数制限はありません。夜勤職場やシフト制では、代替要員と勤務割の調整手順を用意します。

次の一覧は、2025年改正後の介護離職防止に向けて会社が整える雇用環境を示します。制度の存在だけでは利用に結びつかないため、研修、相談、事例、方針周知のどれをどの部署が担うかを明確にすることが大切です。

研修の実施

介護休業・介護両立支援制度等について、管理職と従業員が基本を理解できる研修を行います。

相談体制の整備

相談窓口を設け、介護情報が必要以上に部署内へ広がらないようにプライバシー保護を徹底します。

利用事例の提供

自社の利用事例を収集・提供し、休業や短時間勤務を選んでも雇用継続できるイメージを持てるようにします。

方針の周知

制度利用を促進する方針を周知し、取得を控えさせる説明や評価への悪影響を示唆する言動を防ぎます。

労働者が介護に直面した旨を申し出た場合、会社は介護休業制度、介護両立支援制度等、申出先、介護休業給付金を個別に周知し、意向確認を行います。また、40歳に達する日の属する年度または40歳到達日の翌日から1年間に、介護休業制度等への理解と関心を深めるための情報提供を行う必要があります。

介護のためのテレワーク等は努力義務ですが、合理的な検討をせずに一律不可とする運用は、採用競争、従業員定着、ハラスメント、人的資本経営の観点から望ましくありません。職務適合性、情報セキュリティ、労働時間管理、費用負担を整理したうえで、導入可能性を検討します。

Section 05

育児・介護休業の給付金・社会保険・税務

給付率、社会保険料免除、非課税の扱いは、従業員説明と給与・社会保険手続に直結します。

育児・介護休業では、雇用保険の給付金、健康保険・厚生年金保険の保険料免除、税務上の取扱いが関わります。人事労務、給与担当、社会保険担当、税務担当が同じ前提で説明しないと、従業員説明や申請期限の管理にずれが生じます。

次の表は、主な給付金と社会保険・税務の扱いをまとめたものです。給付率や日数は従業員の生活設計に影響するため、制度説明では「必ず手取り100%」のような断定を避け、上限額や調整があることも伝える必要があります。

項目制度の要点実務上の確認点
育児休業給付金一定要件を満たす雇用保険の被保険者に、休業開始時賃金日額の67%相当額が支給されます。支給日数181日目以降は50%です。休業開始時賃金月額証明書、賃金台帳、出勤簿、休業期間、就労日数を正確に管理します。
出生時育児休業給付金産後パパ育休に対応する給付です。出生後8週間以内、通算4週間、休業中就業の有無、同月内取得などを確認します。
出生後休業支援給付金2025年4月から創設されました。一定要件を満たすと、最大28日間、休業開始時賃金日額の13%相当額が支給されます。配偶者要件、例外、賃金支払状況、就労状況、上限額を確認します。
育児時短就業給付金2歳未満の子を養育する雇用保険の被保険者で一定要件を満たす場合、短時間勤務中の賃金の10%相当額が支給されます。給付額と賃金の合計が短時間勤務開始前の賃金を超えないよう調整されます。
介護休業給付金介護休業期間中に、休業開始時賃金日額×支給日数×67%を基礎に給付額が算出されます。原則として事業主経由で申請しますが、本人が希望する場合は本人申請も可能です。
社会保険料免除育児休業等を開始した日の属する月から、終了日の翌日が属する月の前月までの毎月の報酬にかかる保険料が免除されます。同月内取得で14日以上となる場合、賞与月末を含む連続1か月超の取得など、要件を正確に確認します。
税務上の取扱い育児休業給付金は、合計所得金額に含まれないものとして扱われます。会社独自の手当、休業中給与補填、祝い金は性質により課税関係が異なるため、雇用保険給付と分けて確認します。

給付金や社会保険料免除は、従業員本人だけでなく会社負担にも影響します。賞与支給月、短期育休のスケジュール、届出期限、人件費見込を含めて、事前に給与・社会保険担当へ連携することが重要です。

注意出生後休業支援給付金について、厚生労働省は社会保険料免除や非課税の効果を踏まえると手取りで10割相当となる場合があると説明しています。ただし、実際の支給額には上限や調整があるため、社内説明では断定しない運用が安全です。
Section 06

育児・介護休業の不利益取扱いとハラスメント

制度利用を理由に不利に扱うことや、取得を控えさせる言動は、労働紛争と企業リスクにつながります。

男女雇用機会均等法および育児・介護休業法では、妊娠・出産、育児休業等の申出や取得等を理由とする不利益取扱いが禁止されています。育児や介護のための制度利用を理由とする解雇、減給、降格なども問題になります。

次の表は、不利益取扱いとして問題になりやすい類型と例を整理したものです。どの処遇変更も、制度利用と時間的に近い場合や、同じ状況の非利用者と異なる基準を使っている場合には、説明と記録が特に重要になります。

類型確認すべき視点
雇用終了解雇、雇止め、退職強要、退職勧奨制度利用を契機にした退職圧力と見られないかを確認します。
地位・職務降格、職位剥奪、担当業務の一方的縮小業務上必要性、本人同意、期間、復帰条件を記録します。
賃金減給、賞与・昇給・手当の不利益算定制度利用そのものを不利益評価していないかを確認します。
配置不利益な配置転換、通勤困難な異動本人の事情、代替案、業務上必要性、説明過程を整理します。
雇用形態正社員から契約社員・パートへの変更強要自由な意思に基づく同意があるかを慎重に確認します。
評価休業取得を理由とする低評価、昇進候補からの除外実労働期間の成果と制度利用の事実を分けて評価します。
制度利用妨害申出拒否、申請撤回の圧力、取得日数短縮の強要管理職の発言やメールが取得抑制に見えないか確認します。

次の一覧は、正当な人事管理と不利益取扱いの境界を検討するときの観点を示します。処遇変更が必要な場合でも、制度利用そのものを理由にせず、業務上必要性、同一基準、本人説明、記録をそろえることが重要です。

時間的・因果的近接

処遇変更が申出や取得の直後に行われていないかを確認します。近接しているほど説明資料が重要です。

同一基準の適用

同じ状況の非利用者にも同じ基準を適用しているかを確認します。

業務上必要性

配置や職務変更の必要性を、抽象的な繁忙ではなく具体的に説明できるようにします。

自由な意思と記録

同意を求める場合は、代替案、期間、復帰条件、賃金影響を明示し、説明過程を残します。

ハラスメント防止と管理職教育

上司・同僚の言動により労働者の就業環境が害される場合、ハラスメントが問題になります。たとえば、育休取得を理由に昇進を否定する発言、男性育休を迷惑扱いする発言、介護を家庭の問題として突き放す発言、時短勤務者を重要案件から一律に外す発言などが典型です。

事業主が講ずべき措置には、方針の明確化と周知・啓発、相談体制、迅速な事後対応、原因や背景要因の解消、プライバシー保護、相談・協力等を理由とする不利益取扱い禁止の周知があります。管理職教育では、申出を否定せず人事労務へつなぐこと、制度利用を不利益評価しないこと、周囲の負担を制度利用者へ向けないことを徹底します。

Section 07

育児・介護休業の就業規則・実務体制整備

規程、労使協定、申請様式、個人情報、評価、代替要員まで、現場で使える仕組みにします。

常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の作成・届出義務があります。育児・介護休業制度は就業規則本体に定める方法もありますが、実務上は育児・介護休業等に関する規程として別規程化することが一般的です。

次の表は、規程で定めるべき主な項目を整理したものです。制度ごとに対象者、期間、給与、申請、復職、評価の接続を明確にすることで、現場の裁量に依存する運用を減らせます。

項目規程に入れる内容
育児休業対象者、申出期限、回数、期間、延長、終了、復職を定めます。
産後パパ育休対象者、期間、分割、申出期限、休業中就業の有無を定めます。
子の看護等休暇対象児、取得事由、日数、時間単位、給与取扱いを定めます。
介護休業対象家族、要介護状態、通算93日、3回分割、申出手続を定めます。
介護休暇対象家族、日数、時間単位、給与取扱いを定めます。
短時間勤務等育児・介護それぞれの制度内容、対象者、期間、利用単位を定めます。
勤務制限所定外労働、時間外労働、深夜業の請求期限、期間、対象外、例外を定めます。
柔軟な働き方3歳から就学前までの措置内容、申請方法、承認基準を定めます。
周知・意向確認実施時期、方法、記録様式、対応困難時の説明方法を定めます。
給与・賞与・評価有給・無給、控除、賞与算定、手当、評価期間、昇格機会を定めます。
社会保険・雇用保険会社手続、本人提出資料、申請期限、連携部署を定めます。

次の判断の流れは、労働者から申出や相談を受けた後、会社が確認・通知・調整・復職支援へ進む順番を示します。順番を決めておくと、管理職が独断で可否を判断することを防ぎ、必要な記録も残しやすくなります。

申出から復職後確認までの判断の流れ

申出・相談を受ける

管理職は否定せず、人事労務へつなぎます。

制度説明と要件確認

対象者、対象児・対象家族、期間、回数、申出期限を確認します。

業務調整と通知

部署と代替体制を調整し、会社から書面等で開始予定日・終了予定日等を通知します。

給与・社会保険・雇用保険を連携

賃金台帳、勤怠、届出期限、給付金、保険料免除を確認します。

調整が難しい
理由と代替案を記録

困難な理由、検討した代替案、本人説明を残します。

運用可能
復職前後を支援

復職前面談、配置、勤務制度、評価目標を確認します。

労使協定、個人情報、評価、代替体制

労使協定では、対象外労働者、産後パパ育休中の就業、時間単位取得が困難な業務、短時間勤務困難業務などが問題になります。雛形の転用だけでなく、対象外にする理由、業務範囲、過半数代表者の選出手続、周知方法、有効期間を確認します。

育児・介護休業では、妊娠、出産、子の健康、障害、家族の疾病、介護状況、家族構成、配偶者の勤務状況など、センシティブな情報を扱うことがあります。収集目的を明確にし、必要最小限の情報に限定し、管理職へ共有する情報を絞り、アクセス権限と保存期間を決めます。

評価・賃金制度では、制度利用そのものを不利益に扱わず、実際に就労した期間・職務・成果を合理的に評価することが基本です。短時間勤務者にフルタイムと同一量の業務目標を課し、達成できないことを低評価に直結させる運用は制度趣旨に反する可能性があります。

代替要員と業務代替の設計も重要です。業務棚卸し、優先順位付け、業務廃止、外注、派遣、チーム制、業務マニュアル化、ナレッジ管理を進め、制度利用者に心理的負担を背負わせない運用を整えます。

Section 08

育児・介護休業で起きやすい紛争と対応

典型類型を先に把握すると、申出対応、評価、退職勧奨、時短運用、休暇処理のリスクを下げやすくなります。

育児・介護休業の紛争は、制度がない場合だけでなく、制度はあるのに現場で使えない場合にも発生します。会社は、拒否ではなく、要件確認、業務引継ぎ、代替要員、給付金手続、評価基準の整理で対応します。

次の比較一覧は、典型的な紛争類型と企業が取るべき対応の方向性をまとめたものです。個別事情により結論は変わりますが、どの類型でも、制度利用の抑制に見える言動を避け、説明と記録を残すことが重要です。

01

人手不足を理由に育児休業を拒否する

一般的には、法定要件を満たす申出について、単なる人手不足だけで拒む運用は認められにくいとされています。会社は業務引継ぎ、代替要員、開始日確認、給付金手続を調整します。

申出対応
02

男性育休を理由に評価を下げる

育児休業取得それ自体を低評価理由にすることは、不利益取扱いのリスクがあります。実労働期間の成果、休業前後の職務内容、目標設定の合理性を分けて検討します。

評価運用
03

介護休業の申出後に退職勧奨する

本人のために見える発言でも、退職圧力と評価される危険があります。会社は介護休業、介護休暇、勤務制限、テレワーク等を説明し、本人の自由意思を確保します。

退職圧力
04

時短勤務者を重要業務から一律に外す

業務量や勤務時間に応じた調整は必要ですが、能力や希望を無視した一律排除はキャリア形成を阻害する不利益取扱いと評価される可能性があります。

配置調整
05

子の看護等休暇を通常欠勤と同じ扱いにする

法定休暇として勤怠コードを分け、懲戒・低評価・皆勤手当不支給へ直結させない仕組みを整える必要があります。

勤怠処理
06

行政上の紛争解決援助・調停へ進む

都道府県労働局雇用環境・均等部(室)では、育児・介護休業に関する民事上のトラブルについて援助や調停が扱われています。

行政対応

対象には、育児休業、産後パパ育休、子の看護等休暇、所定外労働の制限、深夜業の制限、介護休業、介護休暇、時間外労働の制限、短時間勤務等、妊娠・出産等の申出があった場合の措置、介護に直面した場合の措置、40歳等での情報提供、不利益取扱い、ハラスメント防止措置、柔軟な働き方の措置などが含まれます。

Section 09

育児・介護休業を支える専門家と社内部門の役割

法務、人事、社労士、税務、管理職、内部監査、情報システムが分担して制度を動かします。

育児・介護休業は、法務と労務の接点にある制度です。紛争対応、規程整備、給付金、社会保険、税務、人的資本開示、情報セキュリティが重なるため、役割分担を明確にする必要があります。

次の一覧は、職種別・専門家別の主な役割を示します。どの担当者が何を見落としやすいかを把握することで、相談のたらい回しや判断の遅れを防げます。

Legal

弁護士

紛争、就業規則の法的審査、不利益取扱い・ハラスメント調査、労働審判・訴訟、行政対応、労働組合対応、内部通報対応を扱います。

In-house

企業内弁護士・法務担当

法令改正、規程レビュー、契約社員や出向者の整理、グループ会社ルール、ハラスメント通報、経営会議へのリスク報告を担います。

Labor

社会保険労務士

育児介護休業規程、労使協定、雇用保険給付、社会保険手続、助成金、労働局対応、管理職研修を実務に落とし込みます。

Tax

税理士・公認会計士

給付金の非課税、会社独自給付の課税、年末調整、扶養判定、給与計算、人的資本開示、内部統制、監査対応に関わります。

HR

人事労務担当

申請受付、制度説明、書面通知、給与・勤怠処理、管理職連携、復職支援、相談窓口、統計作成、研修を担います。

Manager

管理職

制度利用の可否を独断で判断せず、申出を受け止め、人事へつなぎ、業務調整を行い、制度利用者を不利益に扱わない役割を担います。

Audit

コンプライアンス・内部監査

ハラスメント防止、相談窓口、内部通報、再発防止、申請拒否や不利益取扱いの有無、記録保存を確認します。

Security

情報システム・セキュリティ

テレワーク、休業中の情報アクセス、貸与端末、アカウント停止・再開、個人情報管理、復職時の最低限の連絡体制を整えます。

Section 10

育児・介護休業のFAQ

よくある疑問を一般的な制度説明として整理します。個別事情により結論は変わるため、具体的な対応は専門家に確認する必要があります。

Q1. 会社の就業規則に育児休業の規定がありません。それでも育児休業を取れますか。

一般的には、法定要件を満たす場合、就業規則に規定がなくても育児休業を取得できるとされています。ただし、申出時期、対象児、有期雇用の場合の契約状況などによって確認事項が変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. パートやアルバイトでも育児・介護休業を使えますか。

一般的には、パートやアルバイトであっても、労働者であり、日々雇用ではなく、有期雇用の場合の要件を満たせば対象になり得ます。ただし、契約期間、更新見込み、週所定労働日数、労使協定の内容によって判断が変わります。具体的には弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q3. 有期雇用契約で更新上限があります。育児休業は無理ですか。

一般的には、申出時点で一定期間内に契約が満了し更新されないことが明らかな場合、対象外となることがあります。ただし、更新上限の明示、過去の更新実態、会社の言動、同種労働者の状況で評価が変わる可能性があります。具体的な見通しは専門家へ相談する必要があります。

Q4. 育児休業中の給与は会社が払う必要がありますか。

一般的には、法律上、育児休業期間を有給にする義務はないとされています。多くの会社では無給または一部有給とし、雇用保険の育児休業給付金が問題になります。ただし、会社独自の制度、労働契約、就業規則により扱いが変わるため、個別には規程と賃金台帳を確認する必要があります。

Q5. 子の看護等休暇や介護休暇は有給ですか。

一般的には、法定最低基準として有給か無給かは会社の規程によるとされています。ただし、年次有給休暇とは別制度であり、制度利用を理由とする不利益取扱いは問題になります。給与・評価・勤怠コードの扱いは規程と実態を確認する必要があります。

Q6. 会社は人手不足を理由に育児休業を拒否できますか。

一般的には、法定要件を満たす育児休業の申出について、単なる人手不足だけで拒む運用は認められにくいとされています。ただし、申出内容、対象者性、労使協定、契約状況によって確認事項は変わります。具体的な対応は、申出書や雇用契約を整理して専門家へ相談する必要があります。

Q7. 所定外労働の制限と時間外労働の制限は何が違いますか。

一般的には、所定外労働の制限は会社が定めた所定労働時間を超える残業を免除する制度で、時間外労働の制限は法定労働時間を超える労働を1か月24時間、1年150時間以内に抑える制度です。勤怠管理や請求期間が異なるため、就業規則と申請様式を分けて確認する必要があります。

Q8. 介護休業は、実際に自分で介護をするためだけの制度ですか。

一般的には、介護休業は仕事と介護を両立できる体制を整えるための準備期間として活用することが想定されています。介護サービスの手配、ケアマネジャーとの相談、家族分担の調整などが含まれます。ただし、個別の介護状況により必要な対応は変わります。

Q9. 介護休業は何日取れますか。

一般的には、対象家族1人につき、通算93日まで、3回まで分割して取得できるとされています。ただし、対象家族、要介護状態、有期雇用の要件、労使協定による対象外の有無により確認事項が変わります。具体的には資料を整理して専門家へ相談する必要があります。

Q10. 育児・介護休業を取得したら賞与や昇給で不利になりますか。

一般的には、制度利用そのものを理由に不利益に扱うことは禁止されています。一方で、実際に労務提供がない期間について、合理的な範囲で賃金や賞与算定に反映されることはあり得ます。基準の明確性、公平性、過度な不利益の有無により評価が変わります。

Q11. 3歳から小学校就学前の子がいる労働者には、会社は何を用意すべきですか。

一般的には、会社は始業時刻等の変更、テレワーク等、保育施設の設置運営等、養育両立支援休暇、短時間勤務制度の5つから2つ以上を選択して措置を講じる必要があります。ただし、職務内容や事業場の事情によって制度設計は変わるため、規程と運用手順を確認する必要があります。

Q12. 介護について40歳で情報提供する義務とは何ですか。

一般的には、労働者が介護に直面する前の早い段階で、介護休業制度、介護両立支援制度等、申出先、介護休業給付金について情報提供する義務です。情報提供時期は、40歳に達する日の属する年度または40歳到達日の翌日から1年間とされています。

Q13. 育児・介護休業に関するトラブルはどこに相談できますか。

一般的には、社内の人事労務、コンプライアンス窓口、外部相談窓口、弁護士、社会保険労務士などに相談する方法があります。行政上は、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)が紛争解決援助や調停制度を扱っています。個別の方針は、資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

Section 11

育児・介護休業の企業向けチェックリスト

制度を「あるだけ」にせず、最新改正、周知、給与・社会保険、個人情報、監査まで点検します。

企業向けチェックリストでは、規程・協定、周知・意向確認、管理職教育、給与・社会保険、個人情報、監査を分けて点検します。どれか一つだけ整っていても、現場運用が弱いと制度利用の妨害や不利益評価につながります。

次の表は、企業が定期的に確認すべき項目をまとめたものです。列ごとに担当部門を決め、未整備の項目は期限を区切って改善すると、改正対応と紛争予防を同時に進められます。

領域確認項目
規程・協定育児・介護休業等に関する規程を最新改正に合わせ、産後パパ育休、子の看護等休暇、介護休暇、柔軟な働き方の措置を反映しています。労使協定の対象外範囲、過半数代表者の選出、有給・無給、賞与算定、評価方法も確認します。
周知・意向確認妊娠・出産等の申出時、子が3歳になる前、介護に直面した時、40歳等での情報提供について、個別周知・意向確認の手順と記録様式を整えています。
管理職教育申出を受けた管理職の対応、不利益取扱い・ハラスメント禁止、制度利用者の評価・配置・業務配分、周囲の負担を制度利用者へ向けないマネジメントを教育しています。
給与・社会保険・雇用保険育児休業給付金、出生時育児休業給付金、出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金、介護休業給付金、社会保険料免除、賞与保険料免除、税務上の区分を案内できます。
個人情報・情報セキュリティ妊娠・出産・介護・家族情報の取扱範囲を限定し、管理職に共有する情報を必要最小限にしています。休業中のアカウント、貸与端末、メール、社内システム、テレワークのセキュリティを定めています。
監査・モニタリング申出拒否、撤回圧力、不利益評価、男性育休取得率等の根拠資料、休暇取得状況、ハラスメント相談の傾向を定期的に確認しています。

最後に、育児・介護休業の運用で最も重視すべき視点をまとめます。企業にとって重要なのは、休業を認めるかどうかだけではなく、従業員に雇用継続の選択肢を提供し、制度が実際に使える状態を保つことです。

制度は「辞めなくてもよい」選択肢を支える仕組みです

2025年改正後の実務では、育児について子の年齢に応じた休業・休暇・短時間勤務・勤務制限・柔軟な働き方を整え、介護については早期情報提供、個別周知・意向確認、雇用環境整備、テレワーク等の検討を進めることが重要です。

Guide

育児・介護休業で次に確認したいこと

目的に近い詳しい解説へ進めるよう、関連するテーマを整理しました。

知りたい内容を選ぶと、手続、費用、地域、具体的な論点などの詳しい解説に進めます。

このテーマから次に確認されやすい詳しい解説を8件表示しています。

Reference

育児・介護休業の主要参考資料

公的機関の資料名を中心に、制度確認に使う資料を整理します。

法令・行政資料

  • e-Gov法令検索「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」
  • 厚生労働省「育児・介護休業法について」
  • 厚生労働省「育児休業制度特設サイト」
  • 厚生労働省「介護休業制度特設サイト」
  • 厚生労働省「法改正のポイント 育児休業制度特設サイト」
  • 厚生労働省「法改正のポイント 介護休業制度特設サイト」

給付金・社会保険・税務

  • 厚生労働省「育児休業等給付について」
  • 厚生労働省「Q&A 介護休業給付について」
  • 日本年金機構「育児休業等を取得し保険料の免除を受けようとするとき」
  • 国税庁「配偶者控除 育児休業給付金の支給を受けている配偶者」

不利益取扱い・紛争解決

  • 厚生労働省「妊娠・出産等、育児・介護休業等を理由とする不利益取扱いの禁止とハラスメントの防止」
  • 厚生労働省「職場でのトラブル解決の援助を求める方へ」