住宅ローンが残る自宅を守りながら借金を整理するには、住宅ローンを維持し、その他の債務をどう圧縮するかを分けて考える必要があります。
所有権を守るのか、住み続けることを優先するのかで、検討すべき手続は変わります。
住宅ローンが残っている自宅を維持しながら、カードローン、消費者金融、クレジットカード、事業保証債務などを整理する中心的な方法は、個人再生手続で住宅資金特別条項、いわゆる住宅ローン特則を利用する方法です。裁判所も、住宅購入やリフォームなどの住宅ローン債権に抵当権がある場合、返済期間の延長などを内容とする特別条項を再生計画に定められることがあると説明しています。
次の重要ポイントは、このページ全体で最初に押さえるべき結論をまとめたものです。住宅ローン特則の役割と限界を同時に読むことで、家を残す制度なのか、住宅ローンを減額する制度なのかを取り違えないことが重要です。
住宅ローンは原則として支払い続け、住宅ローン以外の一般債務を個人再生で圧縮することで、自宅を維持できる可能性を探ります。住宅ローン単体でも返済不能な場合は、別の方法を含めて検討が必要です。
家を残すという言葉には、所有権を維持する意味と、所有権を失っても住み続ける意味があります。次の判断の流れは、最初に何を優先しているのかを切り分けるためのものです。上から順番に確認し、所有権、居住、借金整理のどこに課題があるかを読み取ります。
所有権を守る場合は、住宅ローンを継続できる家計かを確認します。
カードローン、クレジット、保証債務などを住宅ローンと分けて整理します。
住宅ローンを維持し、一般債務の圧縮を検討します。
元本を大きく減らさずに家計が戻るかを確認します。
このページは一般的な法律情報です。滞納、代位弁済、競売開始、給与差押え、保証人への請求、税金滞納、自宅の共有、ペアローン、事業用借入れの担保設定がある場合は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家に相談する必要があります。
住宅ローンがあっても家を残して借金を整理する方法を検討する際、最初に整理すべき問いは、家を所有したまま守りたいのか、所有権を失っても住み続けたいのか、住宅ローン以外の借金だけを軽くすれば足りるのかです。
次の比較表は、主な手続について、所有権を維持できる可能性、住宅ローン以外の借金への効果、裁判所の関与を並べたものです。自分の状況に近い列を確認することで、最初に詳しく調べるべき方法を絞り込めます。
| 方法 | 家を所有したまま残せる可能性 | 住宅ローン以外の借金への効果 | 裁判所の関与 | 主な向き・不向き |
|---|---|---|---|---|
| 金融機関との返済条件変更 | あり | 住宅ローン以外の借金は減りません | なし | 住宅ローン返済だけが一時的に苦しい場合に向きます。 |
| 任意整理 | あり | 将来利息の調整や長期分割が中心です | なし | 借金総額が比較的小さく、元本を大きく減らさなくても返済可能な場合に検討します。 |
| 特定調停 | あり | 合意できれば返済条件を調整します | あり | 裁判所で話合いを進めたいが、強制的な大幅減額までは不要な場合に検討します。 |
| 個人再生と住宅ローン特則 | あり | 元本を含む大幅圧縮の可能性があります | あり | 家を所有したまま守り、住宅ローン以外の債務を大きく整理したい場合の中心です。 |
| 自己破産 | 原則困難 | 免責により大幅な負担解放の可能性があります | あり | 返済継続が困難で、住宅維持より生活再建を優先する場合に検討します。 |
| 任意売却・リースバック | 所有権は失います | 売却後の残債を整理します | 状況によります | 所有にこだわらず、競売回避や居住継続の可能性を探る場合に検討します。 |
専門用語を理解しないまま手続を選ぶと、家を守るつもりで競売リスクを高めることがあります。次の用語一覧では、住宅ローンがある家を残す場面で特に重要な言葉を、手続選択に関わる意味に絞って整理しています。
| 用語 | 意味 | 家を残す場面での注意点 |
|---|---|---|
| 債務整理 | 返済が困難になった借金について、返済条件の変更、減免、裁判所手続などにより生活や事業の再建を図る方法の総称です。 | 任意整理、特定調停、個人再生、自己破産などを区別して考えます。 |
| 住宅ローン | 住宅の購入、建築、増改築などのための長期分割返済型の債務です。 | 多くは自宅と敷地に抵当権が設定され、滞納が続くと一括請求や競売につながる可能性があります。 |
| 抵当権 | 返済できない場合に、不動産を売却して優先的に回収できる担保権です。 | 住宅ローン以外の抵当権があると住宅ローン特則の利用が難しくなることがあります。 |
| 個人再生 | 裁判所を通じて再生計画を立て、原則3年間で分割返済し、計画どおり返済した場合に残りの債務の免除を受ける手続です。 | 継続収入、債務額、清算価値、返済可能性が重要です。 |
| 住宅ローン特則 | 住宅ローンを他の再生債権と異なる扱いにし、支払いを続けながら個人再生を進める仕組みです。 | 住宅ローンの元本を減らす制度ではありません。 |
| 任意整理 | 裁判所を使わず、債権者と返済条件を交渉する方法です。 | 住宅ローンを対象から外し、他の借金だけを整理する構成が考えられます。 |
| 特定調停 | 裁判所の調停委員を介して債権者と話し合う手続です。 | 合意できなければ解決せず、調停調書後の不履行は強制執行リスクにつながります。 |
| 自己破産 | 財産を換価し、免責により残債務の支払義務を免れることを目指す清算型手続です。 | 住宅を所有したまま守る方法としては原則適しません。 |
| 任意売却 | 競売ではなく通常の不動産取引として住宅を売却し、代金を住宅ローン残額に充てる方法です。 | 所有権を残す方法ではありません。リースバックでも賃料や退去リスクの確認が必要です。 |
家を守るには、住宅ローンとその他の借金を同じものとして扱わないことが出発点です。
住宅ローンがある家を守るには、二つの債務群を分けて考えます。一つ目は抵当権で担保されている住宅ローンです。滞納が続けば競売リスクがあるため、支払いを止めたまま家だけを残すことは基本的にできません。
二つ目は、カードローン、消費者金融、クレジットカード、銀行カードローン、教育ローン、自動車ローン、事業上の買掛金、保証債務など、住宅ローン以外の債務です。次の判断の流れは、家計再建でどの債務を維持し、どの債務を整理するのかを示しています。順番を確認すると、住宅ローンを減らす発想ではなく、他の返済負担を調整して住宅ローンを継続する発想であることが分かります。
抵当権で担保され、滞納が続くと一括請求や競売につながる可能性があります。
契約どおり、または特則で調整された条件に従って返済継続を目指します。
任意整理や個人再生で負担を下げ、家計全体の返済可能性を回復します。
税金、管理費、修繕積立金、生活費まで含めて継続できるかを確認します。
この構造を法制度として最も明確に組み込んでいるのが、個人再生の住宅資金特別条項です。住宅ローンを一般債務と同じように圧縮するのではなく、特別に扱って返済継続を目指す点が特徴です。
住宅ローン特則は強力ですが、利用条件と返済可能性の確認が欠かせません。
個人再生は、将来において継続的に収入を得る見込みがあり、無担保債務の総額が5000万円以下の人が申し立てられる手続として説明されています。住宅ローン特則を使う場合、この5000万円の枠は通常、住宅資金貸付債権を除いて判断しますが、保証債務、事業債務、税金、損害賠償債務などがあると慎重な確認が必要です。
次の一覧は、住宅ローン特則の利用可否を左右しやすい条件をまとめたものです。各項目は、制度上の要件と実務上の難所を示しているため、当てはまらない項目や不安な項目がある場合は、資料を集めて個別に確認する必要があります。
対象は、個人である再生債務者が所有し、自己の居住の用に供する建物です。投資用マンション、賃貸物件、別荘、事業用不動産は原則として対象になりません。
住宅の建設、購入、改良などに必要な資金の貸付けであることが重要です。事業資金や生活費借入れを担保にしただけの債権は対象外となることがあります。
住宅ローン以外の抵当権や担保権が自宅に付いていると、特則の利用が難しくなる可能性があります。
保証会社による代位弁済後でも一定期間内なら利用の余地がありますが、実務上は6か月以内の申立てが重要と説明されることが多いです。
住宅ローンと再生計画弁済を同時に支払える家計でなければ、認可や履行継続に問題が生じます。
再生計画の返済総額は、破産した場合に配当に回る財産価値を上回る必要があります。自宅の余剰価値が高い場合は返済額が増えることがあります。
住宅ローン特則で減るものと減らないものを分けて理解することも重要です。次の比較表では、一般債務、住宅ローン、清算価値、税金などを並べています。どの負担が圧縮対象になり、どの負担が残りやすいかを読み取ってください。
| 項目 | 住宅ローン特則付き個人再生での扱い | 注意点 |
|---|---|---|
| 住宅ローン以外の一般債務 | 個人再生の再生計画により大幅に圧縮される可能性があります。 | 最低弁済額、清算価値、可処分所得などの制約があります。 |
| 住宅ローン元本 | 原則として減額されません。 | 返済期間延長や一時的な元本猶予が検討される場合がありますが、免除ではありません。 |
| 滞納分 | 期限の利益回復型などで再生計画に組み込むことがあります。 | 滞納が深いほど時間制限と競売リスクが強まります。 |
| 税金・社会保険料 | 通常の借金のようには免除されません。 | 差押えや分納協議も含めた全体設計が必要です。 |
毎月いくら払えるかを、住宅ローンと再生計画弁済の合計で確認します。
住宅ローン特則には、実務上いくつかの返済類型があります。次の表は、滞納の有無、毎月返済額、金融機関の同意の要否を比較するものです。自分の住宅ローンがどの段階に近いかを見て、単純な継続返済で足りるのか、滞納分や期間延長の調整が必要なのかを読み取ります。
| 類型 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| そのまま型・約定弁済型 | 住宅ローンに大きな滞納がなく、元の契約どおり支払い続ける内容です。 | 個人再生申立後の支払いも、手続上の扱いを専門家や裁判所に確認します。 |
| 期限の利益回復型 | 滞納分を再生計画に沿って支払い、将来分は元の約定に従って支払う構成です。 | 一括請求できる状態を立て直す発想ですが、滞納分の支払い余力が必要です。 |
| 弁済期間延長型 | 返済期間を延長し、毎月返済額を下げる方法です。 | 一般に元の最終弁済期から10年以内、変更後の完済時年齢が70歳を超えないことが要件とされます。 |
| 元本猶予期間併用型 | 一定期間、住宅ローン元本の一部支払いを猶予し、その後に返済額を調整する方法です。 | 猶予された元本は後に支払う必要があり、将来負担が増える可能性があります。 |
| 同意型 | 金融機関の同意を得て、法定類型より柔軟な返済条件を定める方法です。 | 金融機関の同意が必要であり、当然に認められるものではありません。 |
個人再生では、住宅ローン以外の債務について、法律上の最低限の返済額を下回る再生計画は認められません。次の表は、住宅ローン以外の債務額ごとの最低弁済額の目安です。清算価値が高い場合は、この目安より返済額が増える点を読み取る必要があります。
| 住宅ローン以外の債務額 | 最低弁済額の目安 | 確認すべきこと |
|---|---|---|
| 100万円未満 | 全額 | 任意整理で足りるかも比較します。 |
| 100万円以上500万円以下 | 100万円 | 3年から5年で継続できる月額か確認します。 |
| 500万円超1500万円以下 | 債務額の5分の1 | 600万円なら120万円が一つの目安です。 |
| 1500万円超3000万円以下 | 300万円 | 清算価値が300万円を超えるかを確認します。 |
| 3000万円超5000万円以下 | 債務額の10分の1 | 給与所得者等再生では可処分所得2年分も問題になります。 |
返済可能性は、最低弁済額だけでは判断できません。次の比較は、住宅ローン以外の借金が600万円、住宅ローンが月9万円、家計の返済余力が月13万円程度という例を使い、清算価値によって月額がどれだけ変わるかを示しています。住宅ローンと再生計画弁済を合計して読んでください。
| 前提 | 再生計画の返済総額 | 36回での月額 | 住宅ローン月9万円との合計 | 読み取り方 |
|---|---|---|---|---|
| 借金600万円、清算価値が低い | 120万円 | 約3万3333円 | 約12万3333円 | 家計余力が月13万円なら検討対象になり得ます。 |
| 借金600万円、清算価値300万円 | 少なくとも300万円 | 約8万3333円 | 約17万3333円 | 同じ借金額でも、自宅の余剰価値などにより履行可能性が大きく変わります。 |
自宅の時価が3000万円、住宅ローン残高が2200万円であれば、単純計算では800万円の余剰価値があることになります。反対に、自宅の時価が2500万円、住宅ローン残高が3000万円なら、いわゆるオーバーローンであり、自宅から清算価値が大きく発生しない可能性があります。不動産評価は査定方法、地域相場、共有持分、担保設定、固定資産税評価などにより変動します。
個人再生以外の方法も、状況によっては重要な選択肢になります。
住宅ローン特則付き個人再生だけが唯一の選択肢ではありません。次の一覧は、個人再生以外の主な方法について、どのような状況で検討されるかを整理したものです。住宅ローンの滞納状況と、住宅ローン以外の借金の大きさを照らし合わせて読みます。
住宅ローンを対象から外し、カードローンやクレジットカードなどだけを債権者と交渉します。住宅ローンは通常どおり払い続ける構成が考えられます。
裁判所なし合意が必要住宅ローンそのものの返済が一時的に苦しい場合、金融機関へ返済期間延長、一定期間の返済額軽減、ボーナス返済の見直しなどを相談します。
住宅ローン調整審査あり裁判所の調停委員を介して債権者と話し合います。合意が成立すれば返済条件を調整できますが、元本の大幅圧縮には限界があります。
裁判所関与不成立あり返済不能から生活再建を図る重要な制度ですが、家を所有したまま維持する制度ではありません。住宅維持より債務からの解放を優先する場面で検討します。
清算型住宅維持は原則困難競売ではなく通常の不動産取引として自宅を売却し、売却代金を住宅ローン残額に充てます。所有権は残りませんが、残債や退去時期を調整しやすい場合があります。
競売回避所有権喪失自宅を売却して買主から借りる仕組みです。住み続けられる可能性はありますが、賃料、更新、買戻し価格、将来退去リスクの確認が不可欠です。
居住継続の可能性契約条件に注意任意整理が向いているのは、住宅ローンを滞納しておらず、住宅ローン以外の借金が3年から5年程度の分割で返済可能な範囲にあり、元本の大幅減額がなくても家計が成立する場合です。銀行カードローンを任意整理する場合、給与振込口座、住宅ローン口座、公共料金口座が同一銀行にあると、口座凍結や相殺のリスクを含めて事前確認が必要です。
返済条件変更は、病気、休職、転職、産休育休、ボーナス減少、教育費の一時増加など、収入減や支出増が一時的で、将来的な回復見込みがある場合に検討します。ただし、住宅ローン以外の借金を減らす制度ではないため、カードローン返済が重すぎる場合は根本的な改善にならないことがあります。
滞納、代位弁済、競売、共有名義、税金滞納などは、選択肢を大きく変えます。
同じ住宅ローン付きの借金整理でも、住宅ローンの滞納状況、自宅の担保関係、家族や事業の関与によって判断は大きく変わります。次の一覧は、よく問題になる場面ごとに、何を急いで確認するかをまとめたものです。該当する行ほど早めの専門的検討が必要です。
| ケース | 中心となる検討 | 注意点 |
|---|---|---|
| 住宅ローンは払えているがカード返済が苦しい | 任意整理または個人再生 | 利息を止めて3年から5年で返せるなら任意整理、元本圧縮が必要なら個人再生を検討します。 |
| 住宅ローンも数か月遅れている | 返済条件変更、期限の利益回復型の特則 | 滞納が深いと代位弁済や競売申立てが近づきます。 |
| 代位弁済通知が来た | 住宅ローン特則の利用可能性を急いで確認 | 代位弁済日、残債額、保証会社名、競売予定を整理します。 |
| 競売開始決定が届いた | 個人再生、競売手続の中止・取消し、任意売却など | 入札、売却許可、引渡しへ進むため、時間が限られます。 |
| 自宅に事業資金の抵当権がある | 住宅ローン特則の可否、事業再生、保証関係 | 第二抵当権があると特則の大きな障害になり得ます。 |
| ペアローン・連帯債務・共有名義 | 双方の収入、保証関係、共有持分の清算価値 | 一方だけの個人再生で足りるとは限りません。 |
| 税金・社会保険料の滞納がある | 分納協議、差押え対応、家計全体の再設計 | 税金や社会保険料は通常の借金のように免除されません。 |
特に代位弁済や競売開始の通知がある場合は、書類の日付が重要です。通知書、残高、保証会社名、競売関係書類をまとめ、相談時にすぐ確認できる状態にしておくことが、選択肢を残すために役立ちます。
資料整理から認可後の履行管理まで、家計の継続可能性を確認しながら進めます。
家を残す債務整理では、手続を選ぶ前の資料整理がとても重要です。次の時系列は、初期診断から認可後の履行管理までの順番を示しています。どの段階で住宅ローン、不動産評価、家計収支を確認するのかを読み取ってください。
債権者名、残高、月返済額、滞納の有無、担保、保証人、裁判・差押えの有無を一覧化します。住宅ローンは金融機関名、保証会社名、残高、毎月返済額、ボーナス返済、金利、残期間、滞納月数、通知書類を整理します。
手取り収入、配偶者収入、年金、事業収入、生活費、教育費、医療費、保険料、通信費、自動車費、税金、管理費・修繕積立金を確認します。
固定資産評価証明書、登記事項証明書、不動産査定書、住宅ローン残高証明書、返済予定表を用意し、余剰価値やオーバーローン、共有持分、担保権を確認します。
任意整理で足りるのか、個人再生が必要か、返済条件変更を先に行うべきか、自己破産を検討すべきかを選びます。
住所地を管轄する地方裁判所に申し立てます。裁判所費用として収入印紙1万円分、連絡用郵便料、予納金などが必要で、郵便料等は裁判所ごとに異なります。
住宅ローン特則を使う場合、再生計画案に住宅ローンの扱いを定めます。滞納分、返済期間延長、元本猶予、保証会社との関係を反映します。
住宅ローンと再生計画返済を遅れなく続けます。固定資産税、管理費、修繕積立金の積立、ボーナス依存の見直しも重要です。
個人再生は認可されて終わりではありません。認可後の3年から5年、さらに住宅ローン完済までの家計管理が続きます。帳尻合わせではなく、生活実態に合う返済余力を前提に計画を作る必要があります。
家を守ろうとして行った対応が、かえって不利になることがあります。
住宅ローン付きの債務整理では、早く動くことと、自己判断で財産や返済を動かさないことが重要です。次の一覧は、家を残すつもりで選択肢を狭めてしまう典型例です。どの行も、将来の個人再生や破産手続で問題になりやすい点として読み取ってください。
督促状や保証会社からの通知、競売書類を見ないままにすると、代位弁済後の期間制限や競売進行により選択肢が減ります。
カードローンで住宅ローンを支払う、リボ払いで生活費を回す、高コスト資金に頼る行動は、債務総額を増やし返済可能性を崩します。
債務整理前に自宅を配偶者や親族へ移すと、詐害行為、否認、財産隠し、免責不許可、再生計画不認可などの重大な問題につながります。
本人の債務が圧縮されても保証人の責任が当然に減るわけではありません。家族や親族への請求可能性を確認します。
税金、社会保険料、国民健康保険料、固定資産税、住民税を後回しにすると、給与・預金・不動産の差押えが生じることがあります。
個人再生は手続が複雑で、裁判所費用や専門家費用、必要資料の準備に時間がかかります。失敗時の切替えも確認します。
資料が揃うほど、家を残せるか、残すべきか、返済できるかの判断精度が上がります。
相談時に資料が揃っているほど、住宅ローン特則の可否、清算価値、返済可能性を具体的に検討できます。次の表は、最低限準備したい資料を目的別にまとめたものです。手元にない資料があっても相談を遅らせず、後から補充する前提で確認してください。
| 資料の種類 | 具体例 | 確認できること |
|---|---|---|
| 住宅ローン資料 | 契約書、返済予定表、残高証明書、滞納通知、期限の利益喪失通知、代位弁済通知、競売関係書類 | 残高、滞納状況、保証会社、競売の進行、特則の時間的余裕 |
| 不動産資料 | 登記事項証明書、固定資産評価証明書、固定資産税納税通知書、不動産査定書 | 所有者、共有持分、担保権、余剰価値、清算価値 |
| 住宅ローン以外の債務資料 | 債権者一覧、請求書、カード明細、保証人が分かる資料 | 一般債務額、保証人への影響、任意整理で足りるか |
| 収入・家計資料 | 給与明細、源泉徴収票、課税証明書、通帳、家計収支表、退職金見込額資料 | 再生計画の履行可能性、可処分所得、清算価値 |
| 事業・税金資料 | 確定申告書、試算表、売掛金・買掛金一覧、税金・社会保険料の滞納資料 | 事業債務、担保関係、公租公課の分納や差押えリスク |
依頼先を選ぶ際は、単に借金相談無料という表示だけで判断しないことが大切です。次の一覧は、住宅ローン特則付き個人再生で特に確認したい観点をまとめたものです。各項目を相談時の質問に落とし込むと、手続の見通しを確認しやすくなります。
代位弁済、競売、ペアローン、共有不動産、事業資金担保、税金滞納を扱った経験を確認します。
個人再生委員、予納金、書式、清算価値評価、不動産査定の扱いなど、地域実務への理解が重要です。
清算価値、住宅ローン残高、返済可能額を具体的に試算し、残せるかどうかを数字で確認できるかを見ます。
滞納分、返済期間延長、元本猶予、保証会社対応、競売対応について進め方を確認します。
着手金、報酬、実費、裁判所費用、個人再生委員費用、途中で破産へ切り替える場合の扱いを確認します。
制度の一般的な考え方を整理します。個別事情によって結論は変わります。
一般的には、住宅ローンを支払い続けながら、住宅ローン以外の借金を個人再生で整理し、住宅資金特別条項を使う方法が代表例とされています。ただし、借金額、収入、住宅ローンの滞納、担保権、清算価値によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、住宅ローン特則は住宅ローン元本を減らす制度ではないとされています。返済期間の延長や一時的な元本猶予が検討されることはありますが、住宅ローンは原則として支払い続けます。ただし、契約内容や滞納状況、金融機関の対応によって扱いが変わる可能性があります。
一般的には、滞納分を再生計画で支払う期限の利益回復型、返済期間延長型、元本猶予型などが検討されることがあります。ただし、滞納が深く、代位弁済や競売が進むと時間制限が厳しくなる可能性があります。通知書類を整理し、早期に専門家へ確認する必要があります。
一般的には、住宅ローン以外の抵当権がある場合、住宅ローン特則の利用が難しくなる可能性があります。事業資金、不動産担保ローン、親族債務の担保などがある場合は、担保権抹消、弁済、同意型の調整などが論点になります。具体的な見通しは資料をもとに確認する必要があります。
一般的には、同じ銀行に住宅ローン、預金口座、カードローンがある場合、債務整理の通知により口座凍結、相殺、保証会社請求などが生じる可能性があります。給与振込口座や生活口座への影響も含め、個別事情によって判断が変わります。具体的な対応は専門家へ相談する必要があります。
一般的には、ペアローンや共有名義でも利用可能性が検討されることがあります。ただし、夫婦それぞれの債務、共有持分、連帯保証、双方の収入、金融機関の意向が問題になります。一方だけの手続で足りるかは事案ごとに変わるため、資料を整理した確認が必要です。
一般的には、自己破産は財産を換価して債権者に配当する清算型手続であるため、家を所有したまま維持することは難しいとされています。ただし、任意売却後の賃借、親族による適正価格での買受け、リースバックなど、居住継続を検討する余地がある場合もあります。具体的には専門家への相談が必要です。
一般的には、同居家族がいる場合、完全に知られずに進めることは現実的に難しいとされています。個人再生では家計収支、同居家族の収入、住宅ローン、共有名義、保証人関係の資料が必要になることがあります。家計の実行可能性も含めて、具体的な対応は専門家へ相談する必要があります。
一般的には、債務整理をすると信用情報機関に事故情報として登録され、一定期間、新規借入れ、クレジットカード作成、ローン審査に影響する可能性があります。登録期間や影響は信用情報機関、契約内容、時期によって異なるため、必要に応じて信用情報を確認します。
一般的には、住宅ローンを滞納する前、遅くとも滞納1か月から2か月、期限の利益喪失通知、代位弁済通知、競売開始決定が届いた段階では早期相談が重要とされています。代位弁済後は時間制限が問題になるため、通知書類を保管し、速やかに確認する必要があります。
家を残せるか、残すべきか、残してよいかを分けて確認します。
次の項目に一つでも該当する場合は、個人再生や住宅ローン特則の専門的検討が必要です。チェックが多いほど、任意整理だけで足りるか、返済条件変更だけで足りるかを慎重に見直す必要があります。
| 確認項目 | 該当する場合の意味 |
|---|---|
| 住宅ローン以外の借金が300万円を超えている | 個人再生による元本圧縮の検討対象になりやすいです。 |
| 毎月の借金返済額が手取り収入の3割を超えている | 家計全体の返済可能性を確認する必要があります。 |
| 住宅ローンを1回でも滞納した、ボーナス返済が払えない | 金融機関との返済条件変更や特則の時間的余裕を確認します。 |
| リボ払い残高が増え続けている、借金返済のために借金している | 任意整理では足りない可能性があります。 |
| 税金や社会保険料を滞納している | 通常の借金と異なる扱いのため、分納や差押え対策も必要です。 |
| 保証会社から通知が来た、競売開始決定が届いた | 時間制限が強く、早急な検討が必要です。 |
| 自宅に住宅ローン以外の抵当権がある | 住宅ローン特則の利用に大きな障害となる可能性があります。 |
| 夫婦ペアローン、連帯債務、共有名義である | 一方だけの手続で足りるか、共有持分の清算価値を確認します。 |
| 事業資金や会社保証がある、家族が保証人になっている | 個人の債務整理だけでなく、保証・事業再生の視点が必要です。 |
| 自宅の価値が住宅ローン残高を上回る可能性がある | 清算価値が高くなり、返済総額が増える可能性があります。 |
家を残す判断は、感情だけでも、法的要件だけでも不十分です。次の3つの視点は、最終判断を整理するためのものです。法的に残せるか、経済的に残すべきか、将来リスクを踏まえて残してよいかを分けて読みます。
住宅ローン特則の要件、個人再生の要件、清算価値を上回る返済、再生計画の認可見込みを確認します。
住宅ローン残高、金利、残期間、修繕費、固定資産税、管理費、教育費・介護費を考慮し、賃貸へ移る選択とも比較します。
再生計画の3年から5年だけでなく、完済まで、退職、病気、教育費、修繕、金利変動、配偶者収入の変化に耐えられるかを確認します。
住宅ローンがあっても家を残して借金を整理する方法の中心は、個人再生手続で住宅資金特別条項を利用する方法です。しかし、住宅ローン自体の元本は原則減らず、居住用住宅であること、住宅ローン以外の抵当権がないこと、代位弁済後の期限に間に合うこと、住宅ローンと再生計画返済を同時に支払えること、清算価値を満たすことなど、多数の要件があります。
任意整理、特定調停、返済条件変更、自己破産、任意売却、リースバックは、それぞれ機能が異なります。所有権を守るのか、居住を守るのか、債務からの解放を優先するのかによって選択は変わります。滞納前、または滞納が浅いうちに住宅ローン、不動産評価、債務総額、家計収支を整理することが、現実的な第一歩です。
公的機関、法令、金融機関関係団体の情報を中心に確認しています。