2σ Guide

小規模個人再生と
給与所得者等再生の違い

債権者決議の有無、2年分の可処分所得基準、返済総額への影響を中心に、個人再生の2類型を一般情報として整理します。

5000万円 住宅ローン等を除く債務総額の目安
3年 原則的な分割返済期間
2年分 給与所得者等再生の可処分所得基準
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小規模個人再生と 給与所得者等再生の違い

債権者決議の有無、2年分の可処分所得基準、返済総額への影響を中心に、個人再生の2類型を一般情報として整理します。

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小規模個人再生と 給与所得者等再生の違い
債権者決議の有無、2年分の可処分所得基準、返済総額への影響を中心に、個人再生の2類型を一般情報として整理します。
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  • 小規模個人再生と 給与所得者等再生の違い
  • 債権者決議の有無、2年分の可処分所得基準、返済総額への影響を中心に、個人再生の2類型を一般情報として整理します。

POINT 1

  • 小規模個人再生と給与所得者等再生の違いの全体像
  • 最初に押さえるべき結論は、債権者決議と可処分所得基準です。
  • 会社員でも自動的に給与所得者等再生とは限りません
  • 給与所得者等再生は安定した給与等の収入がある人に限られる一方で、債権者の決議を要しません。
  • 次の比較は、制度選択に直結する主要項目を一覧にしたものです。

POINT 2

  • 個人再生と2つの手続の基本
  • 小規模個人再生は対象が広い
  • 給与所得者等再生は安定収入者向け
  • 小規模個人再生と給与所得者等再生を比べる前提として、個人再生の仕組みと用語を整理します。

POINT 3

  • 小規模個人再生と給与所得者等再生の違いを比較
  • 制度上の位置づけ、利用要件、返済額、債権者関与を横断的に確認します。
  • 共通する基本要件
  • 小規模個人再生で検討し得る人
  • 給与所得者等再生で追加される要件

POINT 4

  • 小規模個人再生と給与所得者等再生の返済額の違い
  • 返済額の低さ
  • 家計に無理のない返済額であることが重要です。
  • 債権者不同意リスク
  • 小規模個人再生では債権者構成が計画の成否に影響します。

POINT 5

  • 債権者決議と意見聴取の違い
  • 1. 再生計画案を提出:債権者へ同意・不同意の確認が行われます。
  • 2. 不同意回答があるか:電話や口頭ではなく、期限までの書面回答が問題になります。
  • 3. 計画が通らない可能性:頭数または金額の基準を満たすと否決リスクが高まります。
  • 4. 可決とみなされる方向:他の認可要件も満たすかを確認します。

POINT 6

  • 手続と提出資料で見る小規模個人再生と給与所得者等再生の違い
  • 1. 債権・収入・財産資料を整理:債権者一覧、収入資料、財産資料、家計表、住宅ローン資料などを集めます。
  • 2. 裁判所と個人再生委員の確認:東京地方裁判所では全件個人再生委員を選任する運用が説明されています。
  • 3. 返済総額と遂行可能性を示す:最低弁済額、清算価値、可処分所得、家計余力などを踏まえて計画を作成します。
  • 4. 決議または意見聴取:小規模個人再生では書面決議、給与所得者等再生では意見聴取が中心になります。
  • 5. 自分で返済を継続:認可決定確定後は手続が終結し、裁判所の監督なしに計画どおり弁済を続けます。

POINT 7

  • 小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらを選ぶか
  • 1. 個人再生の共通要件を確認:個人、債務総額、収入見込み、返済不能のおそれ、遂行可能性を見ます。
  • 2. 給与所得者等再生を使えるか:定期収入、収入変動幅、過去2年資料、7年制限、可処分所得を確認します。
  • 3. 小規模個人再生の不同意リスクを評価:債権者数、大口債権者、個人債権者、過去の交渉経緯を確認します。
  • 4. 給与所得者等再生も検討:返済額が大幅に増えないかを試算します。
  • 5. 小規模個人再生を中心に検討:返済額を抑えられる可能性を確認します。

POINT 8

  • モデルケースで見る小規模個人再生と給与所得者等再生の返済額の差
  • 単純化した例で、可処分所得と清算価値がどのように効くかを確認します。
  • 月額返済への影響
  • 以下の例は制度理解のための単純化したモデルです。
  • 清算価値や2年分可処分所得のどれが最も高いかを見ると、返済総額を押し上げる要因が読み取れます。

まとめ

  • 小規模個人再生と 給与所得者等再生の違い
  • 小規模個人再生と給与所得者等再生の違いの全体像:最初に押さえるべき結論は、債権者決議と可処分所得基準です。
  • 小規模個人再生と給与所得者等再生の違いを比較:制度上の位置づけ、利用要件、返済額、債権者関与を横断的に確認します。
  • 小規模個人再生と給与所得者等再生の返済額の違い:返済総額の下限は、最低弁済額、清算価値、可処分所得のどれが最も高いかで決まります。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

小規模個人再生と給与所得者等再生の違いの全体像

最初に押さえるべき結論は、債権者決議と可処分所得基準です。

小規模個人再生と給与所得者等再生の違いを一言で整理すると、小規模個人再生は利用できる人の幅が広い一方で、再生計画案について債権者の不同意リスクがあります。給与所得者等再生は安定した給与等の収入がある人に限られる一方で、債権者の決議を要しません。

もう一つの大きな違いは返済総額です。給与所得者等再生では、法定最低弁済額や清算価値に加えて、2年分の可処分所得を下回らないことが求められるため、家計状況によっては小規模個人再生より返済額が高くなることがあります。

次の比較は、制度選択に直結する主要項目を一覧にしたものです。どの列が自分に近いかを見ることで、相談時に確認すべき論点を把握しやすくなります。

判断軸小規模個人再生給与所得者等再生
利用できる人継続的または反復的な収入見込みがある個人小規模個人再生の対象者のうち、給与またはこれに類する定期収入があり、変動幅が小さい人
典型例個人事業主、会社員、公務員、パート、家賃収入者など会社員、公務員など安定した給与収入者
債権者の関与書面決議があり、不同意が一定基準を超えると計画が通らない可能性があります意見聴取はありますが、不同意だけで否決される構造ではありません
返済額の基準法定最低弁済額と清算価値の高い方法定最低弁済額、清算価値、2年分可処分所得の高い方
主なリスク債権者不同意による否決収入要件、可処分所得基準、過去の免責・再生歴による制限

重要な違いを短く確認するため、次の強調部分では「なぜ会社員でも小規模個人再生を選ぶことがあるのか」を示しています。返済額と債権者反対リスクを同時に見ることが、このテーマの核心です。

会社員でも自動的に給与所得者等再生とは限りません

給与所得者等再生は債権者決議を避けやすい制度ですが、2年分の可処分所得基準で返済総額が増えることがあります。債権者不同意リスクが低いなら、小規模個人再生が家計に合うこともあります。

Section 01

個人再生と2つの手続の基本

小規模個人再生と給与所得者等再生を比べる前提として、個人再生の仕組みと用語を整理します。

個人再生は、民事再生法に基づく個人債務者の再建型手続です。破産が原則として財産を清算して免責を得る制度であるのに対し、個人再生は将来の収入から一定額を分割返済し、再生計画どおりに返済することで残りの債務の免除を受ける仕組みです。

裁判所資料では、個人再生は通常再生手続を簡素化した手続と説明されています。基本的な流れは、申立て、開始決定、債権届出・債権調査、再生計画案の提出、再生計画案の決議または意見聴取、認可、計画に基づく弁済です。

次の一覧は、両制度を読むときに頻出する用語をまとめたものです。各用語の意味を先に押さえると、返済額や債権者関与の違いを誤解しにくくなります。

用語意味比較で重要な理由
再生債務者個人再生を申し立てる個人法人ではなく個人のみが対象です
再生債権者再生手続開始前の原因に基づく金銭債権などを持つ者小規模個人再生では書面決議に関わります
再生債権個人再生の対象となる債権税金、社会保険料、養育費、罰金などは別途扱いの確認が必要です
基準債権総額最低弁済額を算定する基礎となる債権総額住宅ローン等を除く債務額の把握が出発点になります
清算価値破産した場合に債権者へ配当されると見込まれる財産価値両制度とも返済総額は清算価値を下回れません
可処分所得収入から税金、社会保険料、政令上の生活費などを控除して算出する額給与所得者等再生では2年分が返済総額の下限になり得ます
書面決議再生計画案への同意・不同意を債権者に確認する手続小規模個人再生の最大の特徴です
意見聴取債権者から意見を聴く手続給与所得者等再生では決議ではなく意見聴取になります
個人再生委員裁判所により選任され、財産・収入状況を調査し意見を述べる中立的機関東京地方裁判所では全件選任の運用が説明されています

次の3つの観点は、個人再生の2類型を見分ける土台です。対象者、債権者関与、返済額の算定基準を分けて見ると、制度の位置づけが整理しやすくなります。

対象者

小規模個人再生は対象が広い

継続的または反復的な収入見込みがあれば、会社員だけでなく個人事業主、フリーランス、パート、家賃収入者なども候補になります。

収入安定性

給与所得者等再生は安定収入者向け

給与またはこれに類する定期的収入があり、収入額の変動幅が小さい人を対象にする特則的な手続です。

制度の交換関係

決議なしと可処分所得基準が対応する

給与所得者等再生は債権者決議を不要にする一方、2年分の可処分所得を返済総額に反映させます。

Section 02

小規模個人再生と給与所得者等再生の違いを比較

制度上の位置づけ、利用要件、返済額、債権者関与を横断的に確認します。

小規模個人再生は個人再生の基本型、給与所得者等再生はその対象者のうち安定した給与等の収入がある人向けの類型です。給与所得者等再生を利用できる人は、通常、小規模個人再生も検討対象になります。

次の比較表は、利用場面ごとの違いをまとめたものです。左から順に、制度の入口、返済額への影響、実務上の注意点を読み取ると、どちらを優先して検討するかの見通しを立てやすくなります。

項目小規模個人再生給与所得者等再生
制度上の位置づけ個人再生の基本類型小規模個人再生の対象者のうち、安定した給与等の収入がある人向けの類型
収入要件将来において継続的または反復して収入を得る見込み給与またはこれに類する定期収入があり、収入変動幅が小さい見込み
債務総額要件住宅ローン等を除き原則5000万円以下同じく住宅ローン等を除き原則5000万円以下
債権者決議ありなし
債権者の関与不同意が一定基準を超えると計画が通らない可能性があります意見聴取はありますが、不同意意見だけで否決されるわけではありません
返済額の基本法定最低弁済額と清算価値の高い方法定最低弁済額、清算価値、2年分可処分所得の高い方
返済額が高くなる要因高額資産、退職金見込額、保険解約返戻金など左記に加え、高い可処分所得
提出資料収入資料、財産資料、清算価値資料など左記に加え、2年分資料と可処分所得額算出資料の重要性が高い
典型的な選択理由返済額を抑えやすく、利用対象が広い債権者の反対リスクを回避しやすい
典型的な注意点債権者不同意リスク返済額上昇、収入変動要件、7年制限など

共通する基本要件

両制度に共通する基本要件として、個人であること、将来の継続的または反復的な収入見込みがあること、住宅ローン等を除く債務総額が原則5000万円以下であること、返済不能または返済不能のおそれがあること、再生計画を遂行できる見込みがあることが挙げられます。

小規模個人再生で検討し得る人

会社員、公務員、契約社員、パート、アルバイト、個人事業主、フリーランス、家賃収入者、年金収入者などは、小規模個人再生を検討し得ます。ただし、無職で収入見込みがない場合や、家計上返済原資を確保できない場合は、計画遂行可能性が問題になります。

給与所得者等再生で追加される要件

給与所得者等再生では、給与またはこれに類する定期的な収入を得る見込みがあり、その収入額の変動幅が小さいと見込まれる必要があります。裁判所資料では、過去2年分の収入資料を参考に、年単位の変動幅がおおむね年間収入の5分の1以下かが問題になるとの説明があります。

注意収入変動幅が20%以内かどうかだけで機械的に決まるものではありません。転職の有無、収入構造、今後の雇用見込み、裁判所の運用などを含めて確認する必要があります。
Section 03

小規模個人再生と給与所得者等再生の返済額の違い

返済総額の下限は、最低弁済額、清算価値、可処分所得のどれが最も高いかで決まります。

返済総額の違いは、制度選択で最も大きな関心事です。小規模個人再生では、法定最低弁済額と清算価値を比べ、高い方以上の返済計画が必要になります。給与所得者等再生では、さらに2年分の可処分所得が比較対象に加わります。

次の表は、住宅ローン等を除く借金総額ごとの最低弁済額の目安です。債務総額の区分によって下限額が変わるため、まず自分の基準債権総額がどの区分に入るかを確認することが重要です。

住宅ローン等を除く借金総額最低弁済額の目安読み取り方
100万円未満総額全部圧縮の余地は限定的です
100万円以上500万円程度まで100万円500万円の5分の1は100万円です
500万円を超え1500万円程度まで総額の5分の1700万円なら140万円が目安です
1500万円以上3000万円程度まで300万円1500万円の5分の1は300万円です
3000万円を超え5000万円以下総額の10分の1債務額が大きい場合の下限です

清算価値保障も返済総額に影響します

小規模個人再生でも給与所得者等再生でも、返済総額は清算価値を下回れません。預貯金、自動車、保険解約返戻金、退職金見込額、不動産持分などを考慮した清算価値が法定最低弁済額より高ければ、清算価値が返済総額を押し上げます。

借金が700万円で法定最低弁済額が140万円でも、清算価値が220万円なら、返済総額は少なくとも220万円以上になる可能性があります。

可処分所得は単なる手取り額ではありません

給与所得者等再生で重要な可処分所得は、単純な手取り額ではありません。概略としては、年間収入から税金、社会保険料、政令で定められた最低生活費などを控除して算出されます。

概略式可処分所得 ≒ 年間収入 − 税金 − 社会保険料 − 政令で定められた最低生活費

次の一覧は、返済総額の算定で何を比較するかを示しています。小規模個人再生には2年分可処分所得が加わらない点、給与所得者等再生では3項目のうち最も高い額が問題になる点を読み取ってください。

小規模個人再生

2項目を比較

法定最低弁済額と清算価値を比べ、高い方以上の金額で計画を組む必要があります。

給与所得者等再生

3項目を比較

法定最低弁済額、清算価値、2年分の可処分所得を比べ、最も高い金額が下限になります。

家計への影響

月額返済へ直結

120万円を3年で返すなら月約3万3333円、240万円なら月約6万6666円です。

返済額だけで選ぶと、債権者不同意リスクを見落とすことがあります。次の要素を掛け合わせて、返済額の低さと手続の通りやすさを同時に検討する必要があります。

返済額の低さ

家計に無理のない返済額であることが重要です。

債権者不同意リスク

小規模個人再生では債権者構成が計画の成否に影響します。

収入の安定性

給与所得者等再生では定期収入と変動幅が特に重視されます。

清算価値

財産価値が高いと、どちらの手続でも返済額が上がります。

過去の手続歴

給与所得者等再生では7年以内の一定の免責・再生歴が問題になり得ます。

保証人・住宅ローン

本人の返済計画だけでなく、保証人や住宅ローン特則への影響も確認が必要です。

Section 04

債権者決議と意見聴取の違い

小規模個人再生では債権者の不同意、給与所得者等再生では不認可事由の有無が中心になります。

小規模個人再生では、再生計画案について債権者の書面決議があります。不同意回答をした議決権者が総数の半数に満たず、かつ不同意の議決権額が総額の2分の1を超えないときは、可決したものとみなされます。反対に、この基準を超えると計画案が通らない可能性があります。

次の判断の流れは、小規模個人再生で不同意が問題になる場面を表しています。人数と金額のどちらか一方だけでなく、両方を確認する必要がある点を読み取ってください。

小規模個人再生の不同意リスク

再生計画案を提出

債権者へ同意・不同意の確認が行われます。

不同意回答があるか

電話や口頭ではなく、期限までの書面回答が問題になります。

基準超え
計画が通らない可能性

頭数または金額の基準を満たすと否決リスクが高まります。

基準内
可決とみなされる方向

他の認可要件も満たすかを確認します。

頭数要件と金額要件

頭数要件では、たとえば債権者が4社で2社が不同意回答をした場合、不同意が半数に満たないとはいえないため問題になります。金額要件では、債権者が5社で反対が1社だけでも、その1社が債権総額の60%を持っていれば問題になる可能性があります。

次の一覧は、債権者不同意リスクが高くなりやすい典型場面を整理したものです。どの項目に当てはまるかを見ることで、給与所得者等再生を検討する実益があるかを考えやすくなります。

大口債権者が1社

1社で債権総額の過半を占めると、金額要件が大きな問題になります。

債権者数が少ない

1社または2社の反対で頭数要件に触れる可能性があります。

個人債権者との対立

感情的な対立が強い場合、不同意回答が予想されることがあります。

過去の交渉経緯

交渉が激しく対立していた場合、再生計画案への反対を想定して検討します。

給与所得者等再生では、債権者の決議はありません。債権者から意見を聴く手続はありますが、不同意の意見だけで再生計画案が否決されるわけではありません。ただし、収入要件、可処分所得基準、清算価値、計画遂行可能性、7年以内の一定の手続歴、債権者の一般の利益などに問題があれば認可されないことがあります。

Section 05

手続と提出資料で見る小規模個人再生と給与所得者等再生の違い

基本的な進行は共通しますが、収入資料と可処分所得資料で差が出ます。

両制度の基本的な進行は大きく同じです。申立てから開始決定、債権届出・債権調査、再生計画案の提出、決議または意見聴取、認可、弁済へ進みます。違いは、収入資料の厚み、可処分所得額算出資料、そして計画案提出後の債権者関与に現れます。

次の時系列は、個人再生の一般的な進行を整理したものです。どの段階で資料準備、債権者関与、家計の継続性確認が問題になるかを読み取ると、手続全体の見通しを持ちやすくなります。

申立て前

債権・収入・財産資料を整理

債権者一覧、収入資料、財産資料、家計表、住宅ローン資料などを集めます。

開始前後

裁判所と個人再生委員の確認

東京地方裁判所では全件個人再生委員を選任する運用が説明されています。

計画案提出

返済総額と遂行可能性を示す

最低弁済額、清算価値、可処分所得、家計余力などを踏まえて計画を作成します。

債権者関与

決議または意見聴取

小規模個人再生では書面決議、給与所得者等再生では意見聴取が中心になります。

認可後

自分で返済を継続

認可決定確定後は手続が終結し、裁判所の監督なしに計画どおり弁済を続けます。

提出資料では、給与所得者等再生の方が過去2年分資料と可処分所得額算出シートの重要性が高くなります。次の表では、資料の差が何を確認するためのものかを合わせて見てください。

資料項目小規模個人再生給与所得者等再生確認される点
源泉徴収票・確定申告書直近1年分が中心直近2年分が中心収入見込みと変動幅
課税証明書・所得証明書直近1年分が中心直近2年分が中心公的資料による所得確認
給与明細直近2か月分直近2か月分現在の収入状況
可処分所得額算出シート通常は中心資料ではありません重要資料になります2年分可処分所得基準
清算価値資料必要必要財産価値が返済総額を押し上げないか

裁判所ごとの運用差も重要です。日弁連の参考書式は東京地裁モデルであり、地域によって専用書式や運用が異なる場合があります。申立予定の地方裁判所の最新書式、必要資料、予納金、郵便切手、個人再生委員の選任運用、分割予納金などを確認する必要があります。

履行テスト東京地方裁判所のFAQでは、分割弁済の履行テストとして、計画弁済予定額を個人再生委員の指定口座へ毎月振り込む運用が説明されています。返済額が高くなる給与所得者等再生では、家計の持続可能性がより明確に問われます。
Section 06

住宅ローン特則と小規模個人再生・給与所得者等再生の関係

住宅を残したい場合でも、2つの制度の違いは返済余力に影響します。

住宅ローン特則は、正式には住宅資金貸付債権に関する特則と呼ばれ、住宅ローンを支払い続けながら、その他の債務について個人再生を行うための制度です。要件を満たせば、小規模個人再生でも給与所得者等再生でも利用可能です。

次の一覧は、住宅ローン特則を検討するときに確認すべきポイントです。住宅ローンを残す制度であっても、住宅ローン元本を大幅に減らす制度ではない点、再生計画の返済と二重に家計へ影響する点を読み取ってください。

確認項目意味制度選択への影響
利用可能性一定の要件を満たせば両制度で利用できます特則の可否だけで制度を決めるわけではありません
住宅ローン元本原則として大幅に減額する制度ではありません住宅ローン返済は別途続く前提で家計を見ます
滞納分滞納がある場合はその解消方法が問題になります再生計画弁済に加えて負担が増えることがあります
可処分所得基準給与所得者等再生では返済額が増えることがあります住宅ローン返済と一般債権返済の合計額を確認します

住宅ローン特則を併用する場合は、住宅ローンの通常返済、再生計画による一般債権への返済、住宅ローン滞納分がある場合の弁済を合算して確認します。給与所得者等再生を選ぶと、可処分所得基準によって一般債権への返済額が高くなることがあるため、慎重な家計検証が必要です。

重要住宅を残せるかだけでなく、認可後に返済を完了できるかが重要です。住宅ローン返済と個人再生返済の合計が家計余力を超える場合、計画遂行可能性が問題になります。
Section 07

小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらを選ぶか

要件、債権者リスク、返済額、家計の持続可能性を順に確認します。

制度選択では、いきなり返済額だけを比べるのではなく、個人再生を利用できるか、給与所得者等再生の要件を満たすか、小規模個人再生の不同意リスクがどの程度か、返済総額がどれだけ違うか、家計が持続するかを段階的に見ます。

次の判断の流れは、制度選択で確認する順番を示しています。前半は入口要件、後半は返済額と債権者関与の比較であり、最後に認可後の返済継続可能性を確認する点が重要です。

制度選択の判断順序

個人再生の共通要件を確認

個人、債務総額、収入見込み、返済不能のおそれ、遂行可能性を見ます。

給与所得者等再生を使えるか

定期収入、収入変動幅、過去2年資料、7年制限、可処分所得を確認します。

小規模個人再生の不同意リスクを評価

債権者数、大口債権者、個人債権者、過去の交渉経緯を確認します。

反対リスクが高い
給与所得者等再生も検討

返済額が大幅に増えないかを試算します。

反対リスクが低い
小規模個人再生を中心に検討

返済額を抑えられる可能性を確認します。

返済総額の比較では、次の式を使って、どちらの下限が高くなるかを見ます。給与所得者等再生の返済額が小規模個人再生とほぼ同じで、債権者不同意リスクが高い場合、給与所得者等再生を選ぶ合理性が高まります。

計算小規模個人再生は max(法定最低弁済額, 清算価値)。給与所得者等再生は max(法定最低弁済額, 清算価値, 2年分可処分所得)。

最後に家計の持続可能性を検証します。認可決定が確定すると個人再生手続は終結し、再生債務者自身が再生計画どおりに分割弁済していくことになります。教育費、医療費、車検、税金、家賃更新、賞与減少なども織り込む必要があります。

注意認可を得ること自体が目的ではありません。返済途中で履行不能になると、再生計画取消しや再度の債務整理が問題になる可能性があります。
Section 08

モデルケースで見る小規模個人再生と給与所得者等再生の返済額の差

単純化した例で、可処分所得と清算価値がどのように効くかを確認します。

以下の例は制度理解のための単純化したモデルです。実際には、清算価値、可処分所得、税金、非減免債権、住宅ローン、退職金見込額、保険解約返戻金、不動産評価などを個別に計算する必要があります。

次の表は、4つのモデルケースを並べたものです。清算価値や2年分可処分所得のどれが最も高いかを見ると、返済総額を押し上げる要因が読み取れます。

ケース前提小規模個人再生給与所得者等再生読み取り方
1借金700万円、最低弁済額140万円、清算価値80万円、2年分可処分所得260万円、反対リスク低140万円260万円給与所得者等再生で120万円増えます
2借金900万円、最低弁済額180万円、清算価値120万円、2年分可処分所得190万円、反対リスク高180万円190万円返済額差が10万円なら、反対リスク回避の実益があります
3借金1000万円、最低弁済額200万円、清算価値450万円、2年分可処分所得300万円、反対リスク中450万円450万円清算価値が最も高く、返済総額は同じです
4借金500万円、最低弁済額100万円、清算価値60万円、2年分可処分所得300万円、住宅ローン月12万円、家計余力月4万円100万円300万円給与所得者等再生は月額返済が家計余力を超える可能性があります

次の比較では、高さが各モデルの返済総額の大きさを示します。ケース1とケース4では給与所得者等再生の負担増が目立ち、ケース3では清算価値が支配的なため両制度が同額になる点を確認してください。

140万
ケース1 小規模
260万
ケース1 給与
450万
ケース3 共通
300万
ケース4 給与

月額返済への影響

ケース4では、3年返済なら小規模個人再生は100万円 ÷ 36か月 = 約2万7778円です。給与所得者等再生は300万円 ÷ 36か月 = 約8万3333円です。住宅ローン月額12万円に加え、再生計画弁済が月8万3333円となると、家計余力月4万円程度を超える可能性があります。

試算返済額の差は、認可後の生活継続に直結します。給与所得者等再生を検討する場合は、2年分可処分所得だけでなく、36か月または最長5年以内の月額返済まで落とし込んで確認します。
Section 09

小規模個人再生と給与所得者等再生を相談する前の確認事項

制度選択を具体化するには、債権者構成、財産、収入、家計、住宅ローンを資料で確認します。

個人再生は、一般の方が自分だけで正確に判断するのが難しい手続です。債権者一覧表や再生計画案を作成できないと手続が進まず、最終的に手続が廃止される可能性もあるため、専門家に相談して見通しを確認することが重要です。

次の一覧は、相談時に確認したい主要論点です。資料をそろえて質問すると、返済額、債権者不同意リスク、住宅ローン特則、手続費用の見通しを具体化しやすくなります。

1

どちらの手続が適切か

債権者構成、収入、財産状況から、返済額と不同意リスクの両面で説明を受けます。

制度選択
2

法定最低弁済額と清算価値

住宅ローン等を除く基準債権総額、預貯金、保険、自動車、退職金、不動産などを確認します。

返済額
3

2年分の可処分所得

給与所得者等再生を検討する場合、過去2年分の収入資料をもとに差額を試算します。

給与所得者等再生
4

債権者不同意リスク

頭数要件と金額要件の両方から、小規模個人再生の否決リスクを確認します。

小規模個人再生
5

住宅ローン特則と保証人

住宅、抵当権、滞納、代位弁済、保証人への請求リスクを確認します。

住宅・保証
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費用と認可後の返済継続

裁判所費用、個人再生委員費用、弁護士費用、分割予納金、生活費変動を含めて検討します。

家計

次の表は、相談時に用意すると検討が進みやすい資料です。給与所得者等再生では過去2年分の収入資料が特に重要で、清算価値を確認するためには財産資料も必要になります。

資料確認する内容特に重要になる場面
債権者一覧・借入残高資料債務総額、債権者数、大口債権者不同意リスクと最低弁済額
給与明細・源泉徴収票・課税証明書収入額、変動幅、可処分所得給与所得者等再生
預金通帳・保険・車・退職金資料清算価値返済総額の算定
不動産資料・住宅ローン返済予定表住宅ローン特則、担保、家計負担自宅を残したい場合
家計表・税金滞納資料・保証契約書返済可能性、非減免債権、保証人への影響認可後の継続可能性

よくある心配と注意点

勤務先へ当然に通知されるわけではありませんが、勤務先から借入れがある場合は勤務先が債権者として関与する可能性があります。同居家族に全く知られずに進めることは、家計や資料の関係で難しい場合があります。個人再生では開始決定や認可決定等が官報公告されます。

保証人がいる債務では、個人再生による減免の効果が保証人に及ばず、保証人へ請求されることがあります。税金や社会保険料は一般のカード債務と同じようには減額されず、別途納付計画が必要になることがあります。車、退職金見込額、高額な保険解約返戻金は清算価値を押し上げる要因になり得ます。

過去に破産や個人再生をした人は、時期、手続の種類、免責・認可の内容を正確に確認する必要があります。給与所得者等再生では、過去の給与所得者等再生、ハードシップ免責、破産免責などから7年以内の場合に問題となることがあります。

Section 10

制度思想から見る小規模個人再生と給与所得者等再生の違い

両制度は、債務者の再建と債権者保護のバランスの取り方が異なります。

小規模個人再生は、個人債務者の経済的再生を支援しつつ、債権者の集団的意思を一定程度反映させる制度です。最低弁済額や清算価値を満たす計画でも、債権者の多数が反対すれば計画が通らない可能性があります。

次の整理は、両制度の中核となる考え方を並べたものです。債権者決議がある代わりに返済基準が相対的に低くなり得る制度と、決議を省く代わりに可処分所得を強く反映する制度という対応関係を読み取ってください。

小規模個人再生

再建可能性と債権者関与

幅広い収入類型を対象にし、最低弁済額と清算価値を基準にしながら、債権者の不同意による拒否機能を残しています。

給与所得者等再生

安定収入と客観的返済能力

収入が安定し将来収入を把握しやすい債務者について、債権者決議を不要にする代わりに可処分所得基準を加えています。

実務上の意味

会社員でも選択は分かれる

小規模個人再生の決議を通過できる見込みが高く、可処分所得基準による負担増を避けたい場合、小規模個人再生が合理的な選択肢になります。

日弁連の2023年破産事件及び個人再生事件記録調査では、有効データとして個人再生773件が集計され、小規模個人再生604件、給与所得者等再生169件と報告されています。終結内容では、認可決定が全体で90.30%、小規模で91.06%、給与者で87.57%でした。この調査は全件統計ではありませんが、実務で小規模個人再生の利用が多い状況を理解する参考になります。

FAQ

小規模個人再生と給与所得者等再生の違いに関するFAQ

制度の一般的な考え方を整理します。個別の見通しは資料により変わります。

Q1. 会社員なら給与所得者等再生を選ぶものですか。

一般的には、会社員でも小規模個人再生を選べる場合があります。給与所得者等再生では債権者決議が不要になる一方、2年分の可処分所得基準により返済額が高くなる可能性があります。債権者構成、収入、清算価値、家計状況で結論は変わるため、具体的には弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 小規模個人再生は個人事業主専用ですか。

一般的には、個人事業主だけでなく、会社員、公務員、パート、家賃収入者なども利用できる可能性があるとされています。ただし、継続的または反復的な収入見込みや計画遂行可能性が必要です。具体的な適否は収入資料や家計状況を整理して確認する必要があります。

Q3. 給与所得者等再生なら債権者が反対しても認可されますか。

一般的には、給与所得者等再生では債権者の不同意だけで計画が否決される構造ではありません。ただし、収入要件、可処分所得基準、清算価値、計画遂行可能性、不認可事由などを満たす必要があります。個別の認可見通しは資料と裁判所の判断によって変わります。

Q4. 小規模個人再生で債権者が回答しないとどう扱われますか。

一般的には、期限までに不同意回答をしなければ、不同意としては扱われない方向で考えられます。ただし、債権者の数、債権額、回答状況、議決権の扱いで結論は変わる可能性があります。具体的には頭数要件と金額要件を資料で確認する必要があります。

Q5. 給与所得者等再生の可処分所得は実際の家計支出で計算されますか。

一般的には、実際の家計支出がそのまま控除されるわけではなく、政令で定められた生活費等を用いて計算されます。そのため、実際には生活が苦しいと感じても、制度上の可処分所得が高く出る可能性があります。具体的な試算は収入資料と家族構成をもとに確認する必要があります。

Q6. 返済期間は3年に限られますか。

一般的には、個人再生の返済期間は原則3年とされていますが、事情により5年以内の計画が認められることがあります。ただし、期間を延ばせるかは家計、債務額、計画遂行可能性などで変わります。具体的には専門家へ相談して返済計画を確認する必要があります。

Q7. 住宅ローン特則を使うならどちらの手続がよいですか。

一般的には、住宅ローン特則は要件を満たせば小規模個人再生でも給与所得者等再生でも利用可能です。選択では、住宅ローン返済と再生計画返済の合計額、債権者不同意リスク、可処分所得基準による返済額増加を確認します。具体的な適否は住宅ローン資料と家計資料により変わります。

Q8. 弁護士に依頼せず本人申立てをすることは想定されていますか。

一般的には、本人申立てが制度上すべて否定されているわけではありません。しかし、個人再生は債権者一覧表、財産資料、清算価値、可処分所得、再生計画案、期限管理などが複雑です。手続を進められるかは事案によって変わるため、資料を整理して専門家へ相談する必要があります。

Q9. 相談時には何を持参するとよいですか。

一般的には、債権者一覧、借入残高資料、給与明細、源泉徴収票、課税証明書、預金通帳、保険資料、自動車資料、退職金見込額資料、不動産資料、住宅ローン返済予定表、家計表、滞納税金資料、保証人の有無が分かる契約書などが役立ちます。給与所得者等再生では過去2年分の収入資料が特に重要です。

Q10. 小規模個人再生の方が多く利用されていますか。

一般的な参考資料として、日弁連の2023年破産事件及び個人再生事件記録調査では、個人再生773件のうち小規模個人再生604件、給与所得者等再生169件と報告されています。ただし、この調査は全件統計ではありません。個別には債権者構成や可処分所得で適した手続が変わります。

Reference

この記事の参考資料

公的機関・中立的団体・法令資料を中心に整理しています。

公的資料・法令

  • 裁判所「個人再生」
  • 東京地方裁判所「よくある質問 個人再生手続について」
  • 鹿児島地方裁判所「個人再生手続説明書」
  • 東京地方裁判所「個人再生手続の申立てに当たって」
  • e-Gov法令検索「民事再生法」
  • 裁判所「民事再生規則」

専門機関資料

  • 日本弁護士連合会「個人再生手続参考書式」
  • 日本弁護士連合会「2023年破産事件及び個人再生事件記録調査」