生活保護受給中、生活保護に準ずる経済状況、ひとり親特例に分けて、免除の考え方、25%ルール、収入・資産基準、必要書類、不認可時の対応を整理します。
免除は自動適用ではなく、事件終了後の申請、資力、受領金、相当性を組み合わせて審査されます。
免除は自動適用ではなく、事件終了後の申請、資力、受領金、相当性を組み合わせて審査されます。
法テラスの民事法律扶助では、弁護士・司法書士に支払う着手金、実費、報酬金などを法テラスがいったん立て替え、利用者が原則として分割で返済します。この返済を「償還」といいます。
法テラスの立替金が免除される条件とは、援助事件の終了後に申請し、生活保護受給中であるか、生活保護に準ずるほど生計が困難で将来の資力回復も見込みにくいことなどが認められ、事件で得た利益から必要な償還を済ませ、免除を相当とする事情があることです。一定のひとり親については、将来の資力回復が困難であることを要求しない特例があります。
ただし、生活保護を受けている、収入が基準以下である、失業しているという一事情だけで当然に免除される制度ではありません。法テラスの規程は、要件を満たす場合でも「免除を決定することができる」という構造を採っており、相当性の判断も残ります。
次の重要ポイントは、免除制度を読むときの出発点を示しています。なぜ重要かというと、立替制度を最初から無料の制度と誤解すると、受領金の申告や必要な償還、申請時期を見落としやすいからです。ここでは、免除の対象が未払い残高であること、受領金がある場合の精算、書類審査の重みを読み取ってください。
法テラスの立替制度は、弁護士費用などをいったん立て替える仕組みです。免除は、事件終了後に申請し、未払いの立替金について審査を受ける別の手続です。既に支払った償還金が返金される制度ではありません。
次の比較表は、免除の主要な三類型について、中核条件と注意点を横並びで示しています。読者にとって重要なのは、自分の状況がどの類型に近いかで、必要な資料や審査の焦点が変わる点です。左から類型、中心となる条件、特に見落としやすい点を確認してください。
| 類型 | 中核となる条件 | 特に注意する点 |
|---|---|---|
| 生活保護受給者の免除 | 申請時に生活保護法による保護を受けていること | 生活保護受給だけでは足りず、事件で得た利益の25%相当額の償還または特別事情、免除の相当性が問題になります。 |
| 生活保護に準ずる方の免除 | 収入・資産要件を満たし、将来にわたり資力を回復する見込みに乏しいこと | 低収入や失業だけでは通常足りず、高齢、一定の障害、長期療養などの事情と資料が必要です。 |
| ひとり親特例 | 養育費を請求した一定のひとり親で、収入・資産要件を満たすこと | 資力回復困難要件は不要ですが、対象事件、子の年齢・同居扶養、6か月の経過確認などの要件があります。 |
立替金、償還、償還免除、準生活保護、資力回復困難を分けて理解します。
次の用語一覧は、免除申請で使われる基本語を整理したものです。なぜ重要かというと、同じ「支払えない」という状況でも、返済方法の変更、償還猶予、償還免除では必要な手続と判断基準が異なるからです。各項目では、言葉の意味と審査で見られるポイントを読み取ってください。
民事法律扶助の代理援助・書類作成援助などで、法テラスが弁護士・司法書士費用等として立て替えた金銭です。利用者は原則として法テラスに返済します。
援助終結後の分割償還は、原則として3年以内に完済できる月額を基準に決められます。生活状況が厳しい場合には、免除とは別に、方法変更や猶予を申請できる場合があります。
法テラスが立替金の償還未済額について返済義務を免除する決定です。過去に支払った償還金を払い戻す仕組みではありません。
単に家計が苦しいという意味ではなく、本人と配偶者の手取り月収が所定額以下で、資産を償還に充てられない合理的事情があることを要します。
現在の収入が低いかどうかだけでなく、今後1~2年程度に家計が改善する可能性まで審査されます。年齢、障害、長期療養などの資料が重要です。
業務方法書と民事法律扶助業務運営細則を前提に、事件終了、申請、受領金、相当性を確認します。
法テラスは、総合法律支援法に基づく日本司法支援センターです。立替金の償還免除については、業務方法書と、その運用を定める民事法律扶助業務運営細則が中心的な根拠になります。
業務方法書第65条は、生活保護法による保護を受けている場合、または生活保護受給者に準ずる程度に生計が困難で将来にわたり資力を回復する見込みに乏しい場合に、通常の免除を決定できると定めています。同条は、相手方等から金銭等を得た、または得る見込みがある場合、原則としてその価額の25%相当額を免除できないという構造も置いています。
業務方法書第65条の2は、養育費請求等特定事件に関するひとり親特例を定めています。通常の免除と異なり、一定のひとり親については、将来にわたり資力を回復する見込みに乏しいことを要求せず、生活保護受給または準生活保護の資力要件を中心に判断します。
次の判断の流れは、免除申請で順番に確認される代表的な観点を示しています。なぜ重要かというと、どこか一つの条件だけで結論が決まるのではなく、事件終了、申請書類、受領金、資力、相当性が連続して見られるからです。上から順に確認し、途中の分岐で追加の資料や別制度の検討が必要になる点を読み取ってください。
通常はすべての援助事件、ひとり親特例では対象事件の終了が出発点です。
所定の申請書と、免除理由を証する資料を提出します。
受領金や受領予定がある場合は、25%相当額または終結決定上の償還充当額を確認します。
収入、資産、将来の資力回復見込み、子の年齢や対象事件を資料で示します。
書類不備、資産超過、必要な償還未了などを確認します。
要件該当性だけでなく、免除を相当とする事情が確認されます。
通常の免除では、相手方等から得た、または得る見込みの金銭等の25%相当額について、原則として先に償還する必要があります。たとえば、事件で40万円を得て立替金残高が20万円ある場合、特別事情がなければ、少なくとも10万円を償還したうえで残額の免除可否が検討される構造です。
次の比較表は、受領金がある場面で何を確認するかを整理しています。読者にとって重要なのは、「使ってしまった」という事情だけでは原則を覆しにくい点と、ひとり親特例でも終結決定で定められた償還充当額は別に確認される点です。通常免除とひとり親特例の違いを読み取ってください。
| 場面 | 確認する金額 | 注意点 |
|---|---|---|
| 通常免除で受領金がある | 受領額または受領見込み額の25%相当額 | 扶養料、医療費その他のやむを得ない支出など、特別事情がある場合は例外が検討されます。 |
| 40万円を受領した例 | 25%に当たる10万円 | 立替金残高が20万円なら、原則として10万円の償還後に残額の免除可否が問題になります。 |
| ひとり親特例 | 終結決定等で償還に充てると決められた金額 | 一律の25%要件は適用されませんが、決められた償還充当額を無視できる制度ではありません。 |
申請時の受給状況、受給証明書、25%ルール、オンライン申請の対象を確認します。
生活保護受給者についても、「生活保護だから弁護士費用は必ず無料になる」という理解は正確ではありません。少なくとも、生活保護法による保護を受けていること、事件の結果得た利益の25%を償還していることまたは特別事情があること、免除を認める相当性があることが問題になります。
次の一覧は、生活保護受給中の方が免除申請を検討するときの確認点をまとめたものです。なぜ重要かというと、援助開始時ではなく申請時の受給状況が問題になり、書面とオンラインで対象範囲も異なるからです。各項目から、申請前にそろえる資料と誤解しやすい点を読み取ってください。
援助開始時に生活保護を受けていても、免除申請時までに保護が廃止されている場合は、受給者向け免除ではなく準生活保護要件などを検討します。
申請時点書面申請では、通常、償還免除申請書と、申請日から3か月以内に発行された本人名義の生活保護受給証明書を提出します。
3か月以内慰謝料や解決金などを受け取った場合、原則として25%相当額の償還が問題になります。生活費に使ったという事情だけで不要になるとは限りません。
25%確認2026年4月1日から、生活保護受給中の方を対象にインターネットによる償還免除申請サービスが全国で開始されています。準生活保護免除やひとり親免除は対象外です。
生活保護限定準生活保護要件、金融資産66万円、持ち家・車、資力回復困難要件を確認します。
生活保護を受給していない方が通常の免除を受けるには、原則として、必要な償還、収入要件、資産要件、資力回復困難要件、免除の相当性をすべて確認します。低収入だけでは足りず、今後も償還能力が回復しにくい理由を資料で示すことが中心になります。
本人と配偶者(内縁関係を含む)の手取り月収の合計が、居住地域と家族人数に応じた基準額以下であることが必要です。給与所得者は賞与を12で割った額を含め、自営業者は直近の確定申告書の所得額を12で割り、年金受給者は直近支給額を月額換算します。
次の表は、生活保護法上の一級地以外における2026年1月版確認票の基準額を示しています。なぜ重要かというと、家族人数ごとの手取り月収と住居費加算の範囲を誤ると、申請可能性の見立てが変わるからです。列ごとに、基準となる月収と、実際に家賃・住宅ローンを負担する場合に加算できる上限を読み取ってください。
| 家族人数 | 手取り月収の基準 | 家賃・住宅ローンを負担する場合の加算上限 |
|---|---|---|
| 1人 | 127,400円以下 | 41,000円以下 |
| 2人 | 175,700円以下 | 53,000円以下 |
| 3人 | 190,400円以下 | 66,000円以下 |
| 4人 | 209,300円以下 | 71,000円以下 |
| 5人以上 | 1人増えるごとに21,000円を加算 | 原則71,000円が上限 |
次の表は、東京・大阪等の生活保護法上の一級地における2026年1月版確認票の基準額を示しています。読者にとって重要なのは、一級地では手取り月収基準が異なり、東京都特別区では住居費加算上限も別枠で示される点です。居住地の区分、家族人数、実際の住居費を対応させて読み取ってください。
| 家族人数 | 手取り月収の基準 | 家賃・住宅ローンの加算上限 | 東京都特別区の加算上限 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 140,140円以下 | 41,000円以下 | 53,000円以下 |
| 2人 | 193,270円以下 | 53,000円以下 | 68,000円以下 |
| 3人 | 209,440円以下 | 66,000円以下 | 85,000円以下 |
| 4人 | 230,230円以下 | 71,000円以下 | 92,000円以下 |
| 5人以上 | 1人増えるごとに23,100円を加算 | 最新確認票で確認 | 最新確認票で確認 |
家賃等の加算は、表の上限額が自動的に加算されるのではなく、実際に負担している額を上限の範囲で加算する扱いです。親族からの援助、養育費、婚姻費用、公的手当・公的給付、障害年金、企業年金・個人年金なども、原則として申告対象になります。
児童手当、児童扶養手当、特別児童扶養手当、毎月継続的に発生する税金、社会保険料、医療費、教育費などのうち資料で確認できるものは、収入から控除できる場合があります。ひとり親特例では、援助事件の結果得た養育費月額のうち上限5万円も控除対象になります。
次の注意要素の一覧は、資産要件で特に確認される三つの対象をまとめています。なぜ重要かというと、預貯金だけでなく保険、不動産、自動車も償還に充てられる資産として問題になり得るからです。金額や台数そのものだけでなく、処分できない合理的事情を資料で示せるかを読み取ってください。
現金、預貯金、保険、有価証券などの合計額が問題になります。生命保険、学資保険、個人年金などは、現在の払込額ではなく、解約返戻金相当額を確認します。
自宅以外の土地・建物を保有していないことが原則です。自宅だけでも評価額が高額な場合には、免除が認められないことがあります。
1台でも高額車であれば問題になる場合があります。2台以上でも、通勤、障害、介護、公共交通の状況などから処分できない合理的事情があれば例外が検討されます。
資力回復困難の代表例には、65歳以上の高齢者、一定の重度・中度の障害がある方、その障害がある方を扶養している方、病気により長期療養が必要で現在収入を得ておらず今後1年程度働ける見込みがない方、これらに準ずる事情により今後1~2年で生計改善が見込みにくい方が挙げられています。
一定の障害には、障害基礎年金・障害厚生年金の受給、労災障害補償給付の障害等級1級~7級、身体障害者手帳1級~4級、精神障害者保健福祉手帳1級~2級などが挙げられています。一方、不景気で収入が減った、現在失業している、収入が低い、離婚後に親の家で子を養育している、妊娠中であるという事情だけでは、通常この要件を満たすとは判断されにくいとされています。
養育費請求、義務教育対象年齢までの子との同居扶養、6か月の確認期間、対象事件を押さえます。
2024年4月から、一定のひとり親について、養育費請求等特定事件の立替金を免除する要件が緩和されました。この特例の最大の特徴は、生活保護を受給していない場合でも、通常の免除で必要となる資力回復困難要件を要求しないことです。
次の時系列は、ひとり親特例で確認される主な段階を示しています。なぜ重要かというと、申請時に条件を満たしていても、原則として6か月が経過するまで免除決定がされず、その間の収入・資産の変化も確認されるからです。上から順に、対象事件、申請時の家族状況、確認期間、最終判断の関係を読み取ってください。
免除を申請する援助事件で養育費の支払を請求していることが必要です。
免除申請時に法律上の婚姻関係を有しないことが確認されます。
「15歳以下」ではなく「義務教育対象年齢まで」が基準です。15歳でも高校1年生は含まれないと案内されています。
申請後の就職、婚姻、資産取得などで要件を満たさなくなった場合は免除できません。必要がある場合、1年を超えない範囲で確認期間が延長されます。
生活保護を受けていないひとり親は、通常の準生活保護免除と同じく、収入要件と資産要件を満たす必要があります。ただし、援助事件の結果得た養育費は、月額5万円を上限として収入から控除できます。
ひとり親特例では、通常免除の「相手方等から得た金銭等の25%相当額を償還する」という要件は適用されません。ただし、終結決定等で償還充当額が決められている場合、その額を返済しなければ免除できません。未払養育費、財産分与、慰謝料など、受領金の性質と終結決定の内容を区別して確認します。
次の表は、ひとり親特例の対象となる事件類型を、2026年5月改正後の運営細則に沿って整理したものです。読者にとって重要なのは、養育費請求そのものだけでなく、同一相手方との関連事件や付随する強制執行・保全事件も対象になり得る点です。自分の援助事件名がどの分類に近いかを読み取ってください。
| 区分 | 対象となる事件 |
|---|---|
| 1 | 養育費請求事件 |
| 2 | 養育費増額請求事件・養育費減額請求事件 |
| 3 | 離婚等(離婚、親権、財産分与、年金分割、慰謝料)請求事件 |
| 4 | 親権者変更申立事件 |
| 5 | 親権者指定申立事件 |
| 6 | 婚姻費用分担請求事件 |
| 7 | 婚姻費用増額請求事件・婚姻費用減額請求事件 |
| 8 | 監護者指定・子の引渡し請求事件 |
| 9 | 監護の分掌申立事件 |
| 10 | 親権行使者の指定申立事件 |
| 11 | 親子交流請求事件 |
| 12 | 父母以外の親族と子との交流に関する申立事件 |
| 13 | 配偶者暴力等保護命令事件 |
| 14 | 認知請求事件 |
| 15 | 離縁請求事件 |
| 16 | 上記事件に付随する強制執行事件 |
| 17 | 上記事件に付随する保全事件 |
援助番号、終結決定、残高、受領金、収入・資産資料を整理してから申請経路を選びます。
申請準備の前に、援助番号、各援助事件の終結決定書、現在の立替金残高、相手方等から得たまたは今後得る予定の金銭等、終結決定で定められた償還充当額、現在の生活保護・収入・資産・家族・住居・病気・障害の状況をそろえます。相手方からの入金を申告しないまま免除申請をすると、後に終結決定が変更される可能性があります。
次の一覧は、申請経路と提出書類の全体像を整理したものです。なぜ重要かというと、生活保護受給中の方だけオンライン申請の対象になり、準生活保護免除やひとり親免除では書面と添付資料の確認が中心になるからです。自分の類型に応じて、どの資料を先に集めるべきかを読み取ってください。
書面またはオンラインで申請します。オンライン申請は2026年6月時点で生活保護受給中の方のみが対象です。
書面・オンライン書面で申請します。収入、支出、資産、資力回復困難を示す資料を幅広くそろえる必要があります。
書面書面で申請します。養育費請求、婚姻関係、義務教育対象年齢までの子との同居扶養、対象事件を示す資料が重要です。
対象事件確認次の表は、2026年1月版提出書類一覧に挙げられている主な資料を、確認テーマごとに整理したものです。読者にとって重要なのは、課税証明、住民票、通帳、保険、固定資産、医療・介護資料など、家計全体を示す資料が求められる点です。どの資料が、収入・支出・資産・将来の資力回復見込みのどれを裏付けるかを読み取ってください。
| 区分 | 主な資料 | 確認される内容 |
|---|---|---|
| 全員共通 | 償還免除申請書の原本、免除に関する確認票、最新年度の課税・所得証明書または非課税・所得証明書、発行後3か月以内の世帯全員・続柄記載の住民票 | 申請意思、世帯、所得、家族構成 |
| 収入 | 直近2か月分の給与明細、賞与明細、直近1年分の確定申告書、年金通知、雇用保険・傷病手当・育児休業給付・障害者手当などの支給額が分かる書類 | 本人・配偶者の手取り月収と給付状況 |
| 支出 | 賃貸借契約書または住宅ローン契約書、家賃・ローンの支払資料、医療費・介護費・教育費などの領収書・明細 | 住居費加算や継続的な控除対象支出 |
| 資産 | 全預金口座の通帳、口座情報と直近3か月分の取引履歴、保険証券と解約返戻金証明書、株式・投資信託・債権の時価資料、固定資産評価証明書または無資産証明書 | 金融資産、不動産、保険、投資資産 |
| 資力回復困難 | 障害年金・各種障害者手帳の資料、就労可否や就労可能な程度が記載された診断書、介護保険被保険者証、療育手帳など | 今後1~2年で生計改善が見込みにくい事情 |
Web通帳については、画面画像では情報不足が生じやすいため、金融機関からPDFやCSV等で取引明細を出力するよう案内されています。書面申請では、償還免除申請書は原本が必要です。添付資料は判読できるコピーでよいとされていますが、原本を提出しても返却されません。
2026年1月版案内の書面提出先は、日本司法支援センター本部(免除係)、〒164-8721 東京都中野区本町1-32-2 ハーモニータワー8階です。変更の可能性があるため、発送前には最新書式を確認する必要があります。
法テラスは、申請書の記載不備や添付書類の不足があっても、原則として不備を個別に案内しないと説明しています。不備を理由に免除が認められなかった場合、書類を整えて再申請できることがあります。
免除申請中の引落し、不認可理由、30日以内の不服申立て、別制度を確認します。
申請しただけで、すべての類型について当然に引落しが止まるとは限りません。通常の免除申請では、法テラス理事長が必要と認める場合、決定まで償還を猶予できます。ひとり親特例では、申請を受けた場合、決定まで償還を猶予するものと規定されています。申請後も、利用した法テラス地方事務所に猶予決定の有無と次回引落しを確認します。
次の比較表は、免除に届かない場合や返済が苦しい場合に検討する制度を整理したものです。なぜ重要かというと、将来も資力回復が見込みにくい場合と、一時的に返済が難しい場合では、選ぶべき制度が異なるからです。左列の家計見通しに対して、右列の制度がどの場面に合うかを読み取ってください。
| 状況 | 検討する制度 |
|---|---|
| 将来も資力回復が見込みにくい | 償還免除 |
| 一時的な失業・休業で数か月後に改善見込み | 償還猶予 |
| 返済はできるが現在の月額が高い | 償還月額の変更 |
| 生活保護を受給中で事件進行中 | 事件終結までの償還猶予を相談 |
業務方法書第64条は、終結決定後の償還方法の変更と償還猶予を定めています。月額が高く生活を圧迫する場合、収支資料を提出し、月額の変更を申請できることがあります。即時償還または分割償還が著しく困難と認められる場合、3年を超えない期間で償還を猶予でき、特別の事情があれば延長も可能です。
不認可の理由が、要件を満たさないことなのか、書類不備なのか、25%相当額や償還充当額を返済していないことなのかで対応が変わります。書類不備であれば不足資料を整えて再申請を検討し、収入・資産超過であれば月額変更・猶予を検討します。事実認定や規程適用に異議がある場合には、不服申立てが問題になります。
次の時系列は、不認可決定を受けた後に期限を管理するための順番を示しています。なぜ重要かというと、不服申立ての30日は決定日ではなく通知が到達した日から数えるため、封筒や配達記録の保管が実務上大切だからです。各段階で、確認する書類と残された選択肢を読み取ってください。
30日の起算点は決定日ではなく通知が到達した日です。
理由によって、再申請、月額変更、猶予、不服申立てのどれを検討するかが変わります。
通常免除またはひとり親特例の不認可決定に不服がある場合、対象決定と不服理由を記載した書面を提出します。
不服申立てをしても原決定の効力は自動的には止まりません。必要があると認められる場合、決定まで償還を猶予できます。
典型例、判断が分かれやすい例、相談前にまとめる事項を確認します。
次の比較表は、免除申請で問題になりやすい具体例を整理したものです。なぜ重要かというと、同じ生活困窮でも、受領金の有無、年齢、就労見込み、資産の使途、ひとり親特例の対象性によって結論の見立てが変わるからです。各例から、申請可能性を高める事情と、別制度を検討すべき事情を読み取ってください。
| 具体例 | 判断のポイント |
|---|---|
| 生活保護受給中で、事件から金銭を得ていない | すべての援助事件が終了し、申請時にも生活保護受給中で、申請書類も整っていれば、免除を検討しやすい典型例です。ただし、最終的には相当性を含めて判断されます。 |
| 生活保護受給中だが、慰謝料40万円を受領した | 通常は受領額の25%に当たる10万円を償還したか、医療費・扶養料など25%の償還を不要とする特別事情があるかが問題になります。 |
| 70歳、年金のみ、預貯金20万円、自宅以外の資産なし | 65歳以上は資力回復困難要件の代表例です。収入・資産要件と必要な償還を満たせば、生活保護を受けていなくても通常免除を申請する余地があります。 |
| 40歳、退職して現在無収入、健康で再就職活動中 | 失業だけでは資力回復困難要件を満たすとは限りません。再就職による収入回復が見込まれる場合、償還猶予や月額変更が適する可能性があります。 |
| 養育費請求をしたひとり親で、中学生の子と同居 | 法律上の婚姻関係がなく、対象事件で養育費を請求し、義務教育対象年齢までの子と同居・扶養している場合、ひとり親特例を検討できます。 |
| 預貯金80万円だが、翌月に手術費30万円の支払が確定 | 金融資産は66万円を超えますが、手術日、請求額、自己負担額が医療機関の資料で具体的に確認できれば、合理的事情として考慮される余地があります。 |
次の一覧は、法テラスや法律専門家に状況を伝える前に整理しておく事項をまとめています。読者にとって重要なのは、免除の決定主体は法テラスであり、元の事件を担当した弁護士が免除決定をするわけではない一方、事件資料の確認には担当者側の資料が役立つ場合がある点です。相談時には、事件、残高、受領金、資力、家族状況を一つずつ確認してください。
援助番号、事件名、すべての事件が終了しているか、終結決定日、立替金残高を整理します。
相手方から受領した金銭、今後受領予定の金銭、終結決定で定められた償還充当額を確認します。
生活保護受給状況、本人・配偶者の手取り月収と賞与、預貯金、保険解約返戻金、有価証券、不動産、自動車を整理します。
病気、障害、介護、就労見込み、ひとり親の場合の養育費請求の有無、子の学年、同居・扶養状況をまとめます。
通知を受け取った日、決定書、封筒、配達記録、不服理由として問題にしたい点を確認します。
個別の結論ではなく、制度上の一般的な考え方として整理します。
一般的には、生活保護受給に加え、事件で得た利益の25%相当額の償還または特別事情、免除の相当性などが審査されるとされています。ただし、事件の内容、受領金、提出資料、これまでの償還状況によって判断が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで法テラスまたは弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、通常の償還免除はすべての援助事件が終了し、終結決定がされた後に申請するものとされています。ただし、事件中に返済が困難な場合は、償還猶予の扱いが問題になる可能性があります。具体的な手続は、援助番号と現在の償還状況を確認したうえで法テラスへ相談する必要があります。
一般的には、償還免除の対象は未払いの立替金残高であり、既に支払った償還金を払い戻す制度ではないとされています。ただし、残高や償還状況の確認方法は事件ごとに異なる可能性があります。具体的には、終結決定書や償還状況を整理したうえで法テラスに確認する必要があります。
一般的には、失業だけでは資力回復困難要件を満たすとは限らないとされています。ただし、年齢、病気、障害、介護負担、今後1~2年の就労見込みによって判断が変わる可能性があります。一時的な失業では、償還猶予や月額変更が現実的な選択肢になる場合もあるため、具体的には資料を整理して法テラスまたは弁護士等へ相談する必要があります。
一般的には、金融資産が66万円を超える場合でも、具体的な医療費など資産を償還に充てられない合理的事情を資料で示せるかが問題になるとされています。ただし、支出時期、金額、必要性によって判断が変わる可能性があります。抽象的な将来不安だけでは足りないと案内されているため、具体的な資料を整理する必要があります。
一般的には、自動車の保有は世帯1台が原則とされています。ただし、通勤、介護、障害、地域交通などから2台とも処分できない合理的事情がある場合は、例外が検討される可能性があります。具体的には、車検証、査定、通勤経路、公共交通の状況などを整理し、法テラスへ確認する必要があります。
一般的には、配偶者には内縁関係が含まれると案内されています。ただし、別居し扶養を受けられない場合には合算しない扱いが問題になる可能性があります。生活実態、扶養の有無、別居の状況を資料で説明する必要があります。
一般的には、2026年6月時点で、生活保護受給中の方のみオンライン申請の対象とされています。準生活保護免除とひとり親免除は書面申請とされています。ただし、対象範囲や書式は変わる可能性があるため、申請時点の最新案内を確認する必要があります。
一般的には、書類不備であれば資料を整えて再申請できる場合があり、決定内容に不服がある場合は通知到達日から30日以内の不服申立て制度があるとされています。ただし、不認可理由、期限、償還状況によって対応が変わる可能性があります。返済自体が難しい場合は、猶予・月額変更も含めて確認する必要があります。
一般的には、破産法その他の法令に基づき立替金について責任を免れた場合の整理と、業務方法書第65条・第65条の2の償還免除は別の仕組みとされています。ただし、個別の破産手続における立替金の扱いは、債務の内容や手続状況によって判断が変わる可能性があります。具体的には、申立代理人や法テラスへ確認する必要があります。
単一の年収基準だけでなく、事件終了、受給状況、資力、受領金、資料、期限を順に確認します。
次の判断の流れは、申請可能性を整理するための最終確認項目を順番に並べたものです。なぜ重要かというと、免除要件は単一の年収基準だけで決まらず、複数の事情を積み重ねて判断する制度だからです。上から順に確認し、どこで追加資料や別制度の検討が必要になるかを読み取ってください。
通常はすべての援助事件、ひとり親特例は対象事件の終了を確認します。
受給中なら、受給証明書と25%ルール・相当性を確認します。
本人・配偶者の月収、金融資産66万円、不動産、自動車を確認します。
65歳以上、一定の障害、長期療養などを資料で示します。ひとり親特例ではこの要件が不要です。
25%相当額または終結決定で定められた償還充当額を確認します。
不認可の場合の不服申立ては通知到達日から30日以内です。
次の重要ポイントは、このページ全体の結論をまとめたものです。読者にとって重要なのは、免除要件に届かない場合でも、償還猶予や月額変更という選択肢があり、返済を放置しないことです。終結決定書と家計資料をそろえ、どの制度に該当し得るかを読み取ってください。
受給状況、家族構成、収入、資産、将来の就労可能性、事件で得た利益、対象事件、提出資料、相当性を組み合わせて判断されます。免除要件に届かない場合でも、償還猶予や月額変更を検討できる場合があります。