速算表は遺産総額へ直接掛ける表ではありません。課税価格、基礎控除、法定相続分、相続税の総額、実際の取得割合という順序で、税率を使う場所を整理します。
速算表は遺産総額へ直接掛ける表ではありません。
10%から55%までの8段階を、どの金額に使うのかから確認します。
相続税の税率は、国税庁の速算表では10%から55%までの8段階です。もっとも、税率表そのものより重要なのは、税率を掛ける対象です。相続税は、各相続人が実際に取得した財産へいきなり税率を掛ける税ではありません。
まず各人の課税価格を集計し、基礎控除を差し引いて課税遺産総額を出します。その課税遺産総額を法定相続分どおりに取得したものと仮定し、各法定相続人ごとの「法定相続分に応ずる取得金額」に速算表を使います。各人分の仮の税額を合計したものが、相続税の総額です。
次の比較表は、速算表の8段階をまとめたものです。各行は「法定相続分に応ずる取得金額」の区分を表し、税率と控除額の組合せで仮の税額を計算するため、どの区分に入るかと控除額を同時に読むことが重要です。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | なし |
| 1,000万円超から3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超から5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超から1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超から2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超から3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超から6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
次の判断の流れは、速算表を使う前後の順序を表しています。税率表だけを先に見ると税額を大きく誤りやすいため、左から右ではなく上から下へ、課税価格の集計から最終税額の調整まで段階を分けて読むことが大切です。
財産、非課税財産、債務、葬式費用、贈与加算を整理します。
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数を使います。
ここで「法定相続分に応ずる取得金額」を出します。
各法定相続人分の仮の税額を合計します。
遺産分割や遺言による取得額を反映します。
配偶者軽減や各種控除を経て各人の税額を確認します。
法定相続人、課税価格、基礎控除、法定相続分を分けて理解します。
「遺産が2億円なら40%」「6億円を超えると55%を取られる」という理解は正確ではありません。相続税額の算出では、各人が実際に取得した財産へ直接税率を乗じるのではなく、正味の遺産額から基礎控除を差し引き、民法上の相続分であん分した額に税率を用います。
次の重要ポイントは、速算表に入る前に確認する用語の関係を表しています。各用語の違いを押さえることは、基礎控除を超えるか、どの金額に税率を掛けるか、申告要否をどう見るかを読み誤らないために重要です。
死亡により相続の対象となる財産を残した人です。一般には亡くなった方を指します。
民法の規定により相続権を有する人です。配偶者は常に相続人となり、子、直系尊属、兄弟姉妹の順で関係します。
相続税の基礎控除や法定相続分計算で使う人数・構成です。相続放棄や養子の人数制限が影響する場面があります。
相続や遺贈で取得した財産、みなし相続財産、非課税財産、債務、葬式費用、贈与加算などを税法上整理した金額です。
課税対象財産から非課税財産、債務、葬式費用などを控除し、必要な生前贈与等を加えた後の金額です。
各人の課税価格の合計額から、基礎控除額を差し引いた金額です。速算表に進む前の基礎になります。
次の比較表は、代表的な相続人の組合せと法定相続分を表しています。相続人構成であん分後の金額が変わるため、同じ遺産規模でも税率区分や相続税の総額が変わり得ることを読み取るのが重要です。
| 相続人の組合せ | 法定相続分 |
|---|---|
| 配偶者と子 | 配偶者1/2、子全体で1/2 |
| 配偶者と直系尊属 | 配偶者2/3、直系尊属全体で1/3 |
| 配偶者と兄弟姉妹 | 配偶者3/4、兄弟姉妹全体で1/4 |
| 配偶者のみ | 配偶者が全部 |
| 子のみ | 子が全部を人数で均等に分ける |
| 直系尊属のみ | 直系尊属が全部を原則として人数で均等に分ける |
| 兄弟姉妹のみ | 兄弟姉妹が全部を原則として人数で均等に分ける |
基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」で計算します。課税価格の合計額が基礎控除額以下であれば、通常は相続税の申告も納税も不要です。ただし、特例適用のために申告が必要な場合や、財産評価・生前贈与加算の見落としで後から問題になる場合があります。
控除額は基礎控除ではなく、段階別計算を一行で行うための補正値です。
相続税の速算表には税率と控除額があります。ここでいう控除額は、基礎控除や配偶者の税額軽減とは別の概念です。速算表上の控除額は、超過累進税率を簡便に計算するための速算控除額です。
次の比較表は、法定相続分に応ずる取得金額が4,000万円の場合に、段階別に税額が積み上がる様子を表しています。速算控除額が「お得な控除」ではなく、高い税率を全体に掛けたときの過大分を調整する仕組みだと読み取ることが重要です。
| 金額区分 | 税率 | 税額 |
|---|---|---|
| 1,000万円まで | 10% | 100万円 |
| 1,000万円超から3,000万円までの2,000万円 | 15% | 300万円 |
| 3,000万円超から4,000万円までの1,000万円 | 20% | 200万円 |
| 合計 | 600万円 |
速算表なら「4,000万円 × 20% − 200万円 = 600万円」となり、段階別計算と一致します。4,000万円全体に20%を掛けた800万円から、速算控除額200万円を差し引くことで同じ税額になります。
次の比較表は、法定相続分に応ずる取得金額が7,000万円の場合に、30%区分まで段階的に課税される様子を表しています。最高区分へ近づいても全額が同じ高税率になるわけではなく、各階層ごとに税率が適用されることを読み取るために重要です。
| 階層 | 対象額 | 税率 | 税額 |
|---|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 1,000万円 | 10% | 100万円 |
| 1,000万円超から3,000万円以下 | 2,000万円 | 15% | 300万円 |
| 3,000万円超から5,000万円以下 | 2,000万円 | 20% | 400万円 |
| 5,000万円超から7,000万円まで | 2,000万円 | 30% | 600万円 |
| 合計 | 7,000万円 | 1,400万円 |
7,000万円の場合、速算表では「7,000万円 × 30% − 700万円 = 1,400万円」です。6億円超の区分でも「対象額 × 55% − 7,200万円」という式で計算されるため、対象額全体の実効税率がそのまま55%になるわけではありません。
次の強調表示は、55%区分に関する誤解を避けるための結論を表しています。高い税率区分は相続税額に大きく影響しますが、速算控除額と法定相続分の仮計算をセットで読む必要があります。
最高税率は、法定相続分に応ずる取得金額が6億円を超える高額帯で使う税率です。7,200万円の速算控除額があるため、対象額全体の55%がそのまま税額になるわけではありません。
財産の洗い出しから税額控除まで、速算表の前後を一続きで見ます。
相続税の計算は、速算表だけでは完結しません。財産の範囲、非課税財産、債務、葬式費用、生前贈与加算、基礎控除、法定相続分、実際の取得割合、税額控除を順に確認します。
次の時系列は、相続税計算の9段階を表しています。順番を入れ替えると、速算表を使う金額や最終税額がずれるため、どの段階で金額が増減するのかを読み取ることが重要です。
墓地、墓石、仏壇、仏具のほか、死亡保険金・死亡退職金はそれぞれ500万円×法定相続人の数までの非課税限度額を確認します。
借入金、未払金、一定の税金、葬式費用などを整理します。
暦年課税の加算期間、相続時精算課税、令和6年以後の取扱いを確認します。
各人ごとの課税価格を合計し、課税価格の合計額を出します。
基礎控除額は3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数です。3人なら4,800万円です。
課税遺産総額を法定相続分であん分し、速算表に入れる金額を作ります。
相続税の総額を、遺産分割や遺言で実際に取得した割合に応じて配分します。
兄弟姉妹等の2割加算、配偶者の税額軽減、未成年者控除などを確認します。
次の比較表は、課税価格1億2,000万円、法定相続人が配偶者と子2人の場合に、第7段階と第8段階で金額の意味が変わることを表しています。速算表上の仮計算と、実際の取得割合によるあん分を分けて読むことが重要です。
| 段階 | 対象者・取得者 | 金額または割合 | 税額 |
|---|---|---|---|
| 法定相続分で仮分割 | 配偶者 | 3,600万円 | 520万円 |
| 法定相続分で仮分割 | 子A | 1,800万円 | 220万円 |
| 法定相続分で仮分割 | 子B | 1,800万円 | 220万円 |
| 相続税の総額 | 合計 | 7,200万円を仮分割 | 960万円 |
| 実際の取得割合であん分 | 配偶者 | 6,000万円、1/2 | 480万円 |
| 実際の取得割合であん分 | 子A | 3,000万円、1/4 | 240万円 |
| 実際の取得割合であん分 | 子B | 3,000万円、1/4 | 240万円 |
配偶者の税額軽減は、配偶者が実際に取得した正味の遺産額が、1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額までであれば、配偶者の税額が軽減される制度です。ただし、原則として申告が必要です。
基礎控除以下、配偶者あり、子1人、兄弟姉妹、高額帯の違いを見ます。
速算表は、同じ遺産規模でも相続人構成や取得割合によって結果が変わります。次の一覧は、6つの前提ごとにどこで税額が生じ、どこで配偶者軽減や2割加算が関係するかを表しています。
課税価格4,800万円、配偶者と子2人なら基礎控除も4,800万円です。課税遺産総額は0円となり、速算表に進みません。
課税価格1億2,000万円、基礎控除4,800万円、課税遺産総額7,200万円です。速算表上の相続税の総額は960万円です。
相続税の総額は例2と同じ960万円です。実際の取得割合では配偶者に100%あん分され、配偶者軽減の申告要件が問題になります。
課税価格1億円、基礎控除3,600万円、課税遺産総額6,400万円です。6,400万円×30%−700万円で1,220万円です。
課税価格8,000万円、兄弟姉妹2人なら相続税の総額は470万円です。各235万円に2割加算を行うと各282万円になります。
課税価格7億3,600万円、子1人なら課税遺産総額は7億円です。7億円×55%−7,200万円で3億1,300万円です。
次の比較表は、配偶者と子2人、課税価格1億2,000万円のケースを段階ごとに表しています。基礎控除、法定相続分による仮計算、実際の取得割合による配分が別々の工程であることを読み取るために重要です。
| 手順 | 計算内容 | 結果 |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 3,000万円 + 600万円 × 3人 | 4,800万円 |
| 課税遺産総額 | 1億2,000万円 − 4,800万円 | 7,200万円 |
| 配偶者の仮税額 | 3,600万円×20%−200万円 | 520万円 |
| 子Aの仮税額 | 1,800万円×15%−50万円 | 220万円 |
| 子Bの仮税額 | 1,800万円×15%−50万円 | 220万円 |
| 相続税の総額 | 520万円 + 220万円 + 220万円 | 960万円 |
| 配偶者のあん分税額 | 実際の取得割合1/2 | 480万円 |
| 各子のあん分税額 | 実際の取得割合1/4ずつ | 各240万円 |
次の比較表は、兄弟姉妹2人が相続するケースで2割加算がどこに入るかを表しています。税率に20ポイントを足すのではなく、あん分後の税額に20%を加える点を読み取ることが重要です。
| 手順 | 計算内容 | 結果 |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 3,000万円 + 600万円 × 2人 | 4,200万円 |
| 課税遺産総額 | 8,000万円 − 4,200万円 | 3,800万円 |
| 各人の仮計算 | 1,900万円×15%−50万円 | 235万円 |
| 相続税の総額 | 235万円 + 235万円 | 470万円 |
| 2割加算 | 235万円×20% = 47万円 | 各282万円 |
| 合計 | 282万円 + 282万円 | 564万円 |
配偶者が全財産を取得するケースでは、相続税の総額は実際の分割ではなく法定相続分で仮計算されるため、例2と同じ960万円です。その後、実際に全財産を取得した配偶者に100%あん分され、配偶者の税額軽減の要件を満たすかを確認します。
法定相続人の数、配偶者の有無、二次相続まで含めて確認します。
相続税では、法定相続人の数が多いほど基礎控除額が増えます。また、課税遺産総額を法定相続分であん分した各人の金額が小さくなりやすいため、累進税率の効果で相続税の総額が低くなる傾向があります。
次の比較表は、課税価格の合計額が1億円の場合に、相続人構成で基礎控除と税額がどう変わるかを表しています。遺産総額だけで税額を判断せず、人数と法定相続分の違いを読み取ることが重要です。
| 相続人構成 | 基礎控除 | 課税遺産総額 | 相続税の総額 |
|---|---|---|---|
| 子1人のみ | 3,600万円 | 6,400万円 | 1,220万円 |
| 子2人のみ | 4,200万円 | 5,800万円 | 770万円 |
| 配偶者と子2人 | 4,800万円 | 5,200万円 | 630万円 |
配偶者の税額軽減は、残された配偶者の生活保障という政策目的を持つ大きな制度です。配偶者が実際に取得した正味の遺産額が、1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額までであれば、配偶者の相続税が軽減されます。
次の注意点の一覧は、配偶者の税額軽減を使う場面で同時に検討すべき二次相続の視点を表しています。一次相続だけの税額を小さくするだけでは、家族全体の負担が最小になるとは限らないことを読み取るために重要です。
配偶者自身の財産が多い場合、二次相続で子の税負担が大きくなることがあります。
年齢、医療介護費、住居確保を無視して税額だけで分割割合を決めると生活面の不安が残ります。
二次相続では配偶者がいないため、基礎控除と税額軽減の両方で不利になることがあります。
自宅土地の特例、将来の売却、共有解消の見込みが税額と分割方針に影響します。
配偶者の税額軽減を使って納付税額が0円になる可能性がある場合でも、原則として申告が必要です。遺産分割協議書、戸籍、配偶者の取得財産がわかる書類などを期限内に整える必要があります。
速算表に入れる前の課税価格が変わる論点を整理します。
小規模宅地等の特例、不動産評価、生前贈与加算、名義預金は、速算表に入れる前の課税価格を左右します。速算表だけを見て概算しても、前提となる課税価格が変われば税額も変わります。
次の判断の流れは、小規模宅地等の特例と速算表の関係を表しています。特例は税額を後から差し引く制度ではなく、課税価格に入れる宅地等の価額を減額する制度であるため、速算表より前に読むことが重要です。
自宅、事業用地、貸付地などの利用区分を確認します。
取得者、居住・事業の継続、面積限度、申告要件、未分割の制約を確認します。
課税価格の合計額を作ります。
課税遺産総額を法定相続分であん分してから税率を使います。
次の注意点の一覧は、不動産評価・生前贈与・名義預金で課税価格が変わる代表的な要素を表しています。速算表の税率区分が上がる可能性があるため、どの要素が金額に影響するかを読み取ることが重要です。
路線価方式では路線価、補正率、地積を使います。倍率方式では固定資産税評価額に倍率を乗じます。
不整形地、奥行長大地、間口狭小地、がけ地、私道、セットバック、都市計画道路予定地などが影響します。
借地権や賃貸状況が評価に影響し、課税価格の前提が変わります。
区分所有マンションの評価ルールに該当するかを確認します。
令和6年1月1日以後の贈与は、段階的に相続開始前7年以内まで加算対象期間が延長されます。
形式上は家族名義でも、実質的に被相続人が管理していた場合は相続財産に含まれる可能性があります。
名義預金では、贈与契約書、通帳・印鑑・キャッシュカードの管理、贈与税申告、受贈者が自由に使えたか、毎年同一時期・同一金額で形式的に移転していないか、原資や入出金の流れを説明できるかが問題になります。
最終税額と期限管理は、速算表の後に必ず確認します。
2割加算は、相続税の総額を各人へあん分した後、その人の税額に20%を加算する制度です。兄弟姉妹、甥、姪、友人、内縁の配偶者、一定の孫養子などで問題になりやすく、税率表の税率に20ポイントを足す仕組みではありません。
次の比較表は、2割加算・申告期限・相続登記について、速算表との位置関係を表しています。税率計算とは別の制度ですが、納付税額や手続期限に直結するため、どの段階で確認するかを読み取ることが重要です。
| 論点 | 確認する内容 | 速算表との関係 |
|---|---|---|
| 2割加算 | 配偶者、父母、子ではない取得者などに該当するか | 相続税の総額をあん分した後に加算 |
| 申告と納付 | 死亡を知った日の翌日から10か月以内が原則 | 税額算出後に期限内申告・納付へ進む |
| 未分割 | 期限までに分割がまとまらない場合の申告方法 | 小規模宅地等の特例や配偶者軽減に制約が生じることがある |
| 相続登記 | 不動産を相続したことを知った日から3年以内の登記義務 | 税務署への申告とは別制度だが、不動産評価・分割資料と連動 |
次の時系列は、10か月の申告期限に向けて必要になりやすい作業を表しています。期限は長いようで短いため、どの資料収集と判断が前半に集中するかを読み取ることが重要です。
相続人調査、自筆証書遺言の検認または法務局保管制度の確認を進めます。
預貯金、有価証券、不動産、保険、退職金、債務、生前贈与、名義預金を確認します。
小規模宅地等の特例、配偶者軽減、未分割申告、延納・物納の可能性を確認します。
相続登記、後日分割、新たな財産発見、税額過大などに応じた手続が問題になることがあります。
申告書の提出先は、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署です。相続人の住所地を所轄する税務署ではありません。未分割でも申告期限は原則として延びないため、期限管理が重要です。
入力値は遺産総額ではなく、法定相続分に応ずる取得金額です。
読者向けの概算ツールやスプレッドシートで速算表を扱う場合、入力値Aは「法定相続分に応ずる取得金額」です。遺産総額、基礎控除前の金額、実際に取得した金額をそのまま入れると、税額がずれます。
次の比較表は、入力値Aの金額区分ごとに使う計算式を表しています。行は上から順に判定し、該当した最初の式を使うため、区分の境界と控除額を同時に読むことが重要です。
| 入力値Aの区分 | 計算式 |
|---|---|
| A <= 10,000,000 | A × 10% |
| A <= 30,000,000 | A × 15% − 500,000 |
| A <= 50,000,000 | A × 20% − 2,000,000 |
| A <= 100,000,000 | A × 30% − 7,000,000 |
| A <= 200,000,000 | A × 40% − 17,000,000 |
| A <= 300,000,000 | A × 45% − 27,000,000 |
| A <= 600,000,000 | A × 50% − 42,000,000 |
| A > 600,000,000 | A × 55% − 72,000,000 |
概算画面では、遺産総額をそのまま入力しないこと、基礎控除前の金額を入れないこと、実際の取得額と法定相続分に応ずる取得金額を混同しないことを明示する必要があります。配偶者軽減や小規模宅地等の特例を反映する場合は、適用要件を別途確認し、概算結果が申告税額を保証するものではないことも示す必要があります。
次の比較表は、検算用の税額例を表しています。いずれも「法定相続分に応ずる取得金額」に対する速算表上の税額であり、各人の最終納付税額ではない点を読み取ることが重要です。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 計算式 | 税額 |
|---|---|---|
| 800万円 | 800万円×10% | 80万円 |
| 1,500万円 | 1,500万円×15%−50万円 | 175万円 |
| 3,000万円 | 3,000万円×15%−50万円 | 400万円 |
| 4,000万円 | 4,000万円×20%−200万円 | 600万円 |
| 7,000万円 | 7,000万円×30%−700万円 | 1,400万円 |
| 1億5,000万円 | 1億5,000万円×40%−1,700万円 | 4,300万円 |
| 2億5,000万円 | 2億5,000万円×45%−2,700万円 | 8,550万円 |
| 4億円 | 4億円×50%−4,200万円 | 1億5,800万円 |
| 7億円 | 7億円×55%−7,200万円 | 3億1,300万円 |
一般的な制度理解として、誤りやすいポイントを整理します。
相続税の速算表は見た目が単純なため、税率、申告要否、法定相続人の数、不動産評価を混同しやすいところがあります。次の一覧は、よくある誤解と正しい見方を対応させたものです。個別の財産構成や証拠資料によって結論が変わる可能性があるため、どの前提を確認すべきかを読み取ることが重要です。
一般的には、最高税率55%は6億円超の区分を含む高額帯で使う税率です。速算控除額7,200万円があるため、対象額全体の55%がそのまま税額になるわけではありません。
一般的には、配偶者の税額軽減で納付税額が0円になる場合でも、適用を受けるには申告が必要とされています。遺産分割や必要書類の状況で対応は変わります。
一般的には、課税価格が本当に基礎控除以下かどうかを、財産評価、生命保険金、生前贈与、名義預金、債務、葬式費用から確認する必要があります。
一般的には、相続税の総額を出す段階では法定相続分を使います。実際の取得割合は、相続税の総額を各人にあん分する段階で使います。
一般的には、相続税計算上の法定相続人の数は、相続放棄がなかったものとして数える場面があります。具体的な人数確認は資料に基づいて行う必要があります。
一般的には、土地は路線価方式や倍率方式などの相続税評価の仕組みで計算されます。市場価格と相続税評価額は一致しないことがあります。
これらは一般的な制度説明です。具体的な申告要否、税額、特例適用、相続人間の紛争対応は、財産評価・相続人関係・資料の有無・期限によって変わる可能性があります。個別の対応は、税理士、弁護士、司法書士等の専門家へ相談する必要があります。
税務、法律、登記、不動産、金融の役割を分けて見ます。
相続税の速算表自体はシンプルでも、実際の相続では税務、法律、登記、不動産、金融、裁判所手続が絡みます。概算で足りる場面と、専門家の確認が必要な場面を分けることが重要です。
次の比較表は、専門職ごとの典型的な関与領域を表しています。誰に何を確認するかを誤ると、税務相談、登記申請代理、紛争代理の範囲を取り違えるため、担当領域の違いを読み取ることが重要です。
| 専門職等 | 主な関与領域 |
|---|---|
| 税理士 | 相続税申告、税務相談、税務代理、税務調査対応、課税価格、財産評価、特例適用、生前贈与加算、税額控除、申告書作成 |
| 弁護士 | 相続人間の紛争、遺留分、使い込み疑い、遺産分割交渉、調停、審判、訴訟 |
| 司法書士 | 相続登記、不動産名義変更、戸籍収集、登記原因証明情報、法定相続情報一覧図、裁判所提出書類作成 |
| 行政書士 | 紛争性のない範囲での遺産分割協議書、相続人関係説明図、各種手続書類の作成支援 |
| 公証人・遺言執行者 | 公正証書遺言、遺言内容の実現、遺留分侵害額請求の可能性、遺言執行の進行状況 |
| 不動産鑑定士等 | 遺産分割上の時価評価、境界、分筆、表示登記、相続不動産の売却や換価分割 |
| 公認会計士等 | 非上場株式、事業承継、知的財産、会計・事業承継の専門的確認 |
| FP・社労士・金融機関 | 家計、保険、老後資金、納税資金、遺族年金、預金払戻し、保険金請求、遺言信託等 |
読者が速算表で概算しやすいのは、相続人関係が単純で、財産が預貯金中心で、過去贈与や不動産がほとんどなく、基礎控除から明らかに余裕がある場合です。一方、基礎控除を超えそうな場合、不動産、小規模宅地等の特例、配偶者軽減、生前贈与、名義預金、海外資産、非上場株式、争い、期限切迫、納税資金不足がある場合は、専門家確認の必要性が高くなります。
計算結果は、根拠資料があって初めて説明できます。
相続税申告では、計算結果だけでなく根拠資料の保存が重要です。資料が乏しい場合、税務署からの照会や税務調査で説明に苦慮することがあります。
次の一覧は、申告書作成や後日の説明で必要になりやすい資料を分類したものです。どの資料が財産評価、債務控除、特例適用、贈与加算の根拠になるかを読み取ることが重要です。
預貯金の残高証明書、過去の通帳履歴、有価証券の残高証明書、評価資料、保険金・退職金の支払通知書。
財産把握登記事項証明書、固定資産税評価証明書、路線価図、地積測量図、賃貸借関係資料。
評価資料借入金残高証明書、未払金、医療費、税金関係資料、葬儀費用の領収書、生前贈与契約書、贈与税申告書、振込記録。
確認注意小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減に必要な添付資料、家族名義口座の資金移動記録。
期限管理次の判断の流れは、速算表を見る前に確認するべき順番を表しています。税率表は後半で使う道具であり、相続人関係や財産評価が曖昧なまま計算すると結論を誤りやすいため、順番を読み取ることが重要です。
まず生活と公的手続を整えます。
戸籍と遺言を確認し、関係者を確定します。
預貯金、不動産、保険、債務、贈与を確認します。
ここで相続税申告の必要性を検討します。
不動産、争い、納税資金、登記、申告書作成へつなげます。
使う対象を誤らず、税額以外の手続も同時に確認します。
相続税の税率は、10%から55%までの8段階です。速算表は便利ですが、使う対象を誤ると意味がありません。最重要ポイントは、速算表を遺産総額へ直接使わないことです。
速算表は、課税価格の合計額から基礎控除を差し引いた課税遺産総額を、法定相続分であん分した「法定相続分に応ずる取得金額」に使います。速算表で出すのは、まず相続税の総額です。その後、実際の取得割合で各人にあん分します。
最終税額は、2割加算、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例、生前贈与加算、相続時精算課税、その他の税額控除によって変わります。相続税の申告期限は原則10か月であり、不動産がある場合は相続登記義務化にも注意が必要です。
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