2σ Guide

相続手続き費用の内訳と
総額の目安

証明書取得費、裁判所費用、登録免許税、相続税、専門家報酬、不動産処理費まで、相続手続き全体でかかる費用を分解して見積もるための実務的な整理です。

0.4%相続登記の登録免許税
10か月相続税申告の原則期限
800円相続放棄などの基本印紙代
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相続手続き費用の内訳と 総額の目安

まず、手続費用・税金・専門家報酬を分けて総額をつかみます。

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相続手続き費用の内訳と 総額の目安
まず、手続費用・税金・専門家報酬を分けて総額をつかみます。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 相続手続き費用の内訳と 総額の目安
  • まず、手続費用・税金・専門家報酬を分けて総額をつかみます。

POINT 1

  • 相続手続き費用の全体像と総額目安
  • まず、手続費用・税金・専門家報酬を分けて総額をつかみます。
  • 相続手続き費用は「税金」と「手続費用」を分けて見る
  • 相続手続き費用を6層に分ける
  • 相続手続き費用の概算早見表

POINT 2

  • 相続手続き費用は期限と時系列で変わる
  • 基本用語と期限を押さえ、どの段階で費用が増えるかを確認します。
  • 被相続人
  • 正味の遺産額
  • 専門家報酬

POINT 3

  • 相続手続き費用のうち公的実費と法定費用
  • 戸籍、証明書、家庭裁判所、公証、法務局で発生する費用を整理します。
  • 戸籍・法定相続情報・不動産資料
  • 家庭裁判所・公証・法務局の法定費用
  • 特に戸籍の複雑さ、相続放棄の人数、遺言の種類、不在者や未成年者の有無から、必要な実費を読み取ることが重要です。

POINT 4

  • 相続手続き費用で大きい相続登記と登録免許税
  • 複数不動産・複数管轄
  • 土地建物が多い、法務局の管轄が分かれる場合は、調査と申請の手間が増えます。
  • 数次相続・相続人多数
  • 前の相続が未了のまま次の相続が起きると、戸籍調査と協議関係が複雑になります。

POINT 5

  • 相続手続き費用に相続税と税理士報酬を組み込む
  • 基礎控除、税率、死亡保険金、特例、申告報酬を確認します。
  • 相続税の基礎控除と申告期限
  • 相続税の基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
  • 相続税率と死亡保険金

POINT 6

  • 相続手続き費用を左右する専門家報酬
  • 弁護士、行政書士、公証人、遺言執行者、信託銀行等の費用を整理します。
  • 弁護士費用が中心になる場面
  • 争いのない書類整理と遺言関係
  • 専門家報酬は、争いの有無、業務範囲、責任の重さで大きく変わります。

POINT 7

  • 不動産がある相続手続き費用と土地処分費用
  • 空き家
  • 解体、残置物撤去、倒壊リスク、管理費、固定資産税、売却前修繕が問題になります。
  • 農地
  • 農地法や農業委員会への届出、買主の制限、転用可否が費用と期間に影響します。

POINT 8

  • 特殊財産がある相続手続き費用
  • 非上場株式、知的財産、年金、金融機関、保険会社の費用を確認します。
  • 会社・特殊財産で関与する専門家
  • 医師・自治体・金融機関・保険会社の周辺費用
  • 会社、知的財産、海外資産、年金、保険などが絡む相続では、通常の戸籍・登記・税務だけでは足りません。

まとめ

  • 相続手続き費用の内訳と 総額の目安
  • 相続手続き費用の全体像と総額目安:まず、手続費用・税金・専門家報酬を分けて総額をつかみます。
  • 相続手続き費用は期限と時系列で変わる:基本用語と期限を押さえ、どの段階で費用が増えるかを確認します。
  • 相続手続き費用のうち公的実費と法定費用:戸籍、証明書、家庭裁判所、公証、法務局で発生する費用を整理します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

相続手続き費用の全体像と総額目安

まず、手続費用・税金・専門家報酬を分けて総額をつかみます。

相続手続き費用は、専門家へ支払う報酬だけでは把握できません。戸籍や証明書、家庭裁判所や法務局に納める費用、登録免許税、相続税、専門家報酬、不動産の換価・管理費用が重なって発生します。

この重要ポイントは、相続手続き費用の全体像と総額の考え方を示すものです。最初に支出の中心をつかむことが重要で、争い・不動産・税務申告の有無によって総額がどの方向へ動くかを読み取れます。

相続手続き費用は「税金」と「手続費用」を分けて見る

争いがなく、不動産も相続税申告もない相続では本人対応で数千円から数万円、書類整理を専門家へ依頼しても数万円から二十数万円程度が目安です。不動産、相続税申告、紛争、特殊財産が加わると、数十万円から数百万円以上へ広がることがあります。

相続手続き費用を6層に分ける

次の比較表は、相続手続き費用を6つの層に分け、各層で何が発生し、何によって金額が変わるかを整理しています。費用項目を混同すると見積りがずれるため、まずどの層が自分の相続に関係するかを読み取ることが重要です。

費用の種類典型例金額を左右する主な要素
第1層公的証明書・郵送費戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍、住民票除票、戸籍の附票、印鑑証明書、固定資産評価証明書、郵送費相続人の数、転籍・再婚・養子縁組、本籍地の移動回数
第2層裁判所・公証・法務局などの法定費用遺言書検認、相続放棄、遺産分割調停、特別代理人選任、公正証書遺言、自筆証書遺言書保管制度遺言の種類、相続放棄の人数、調停や審判、未成年者や不在者の有無
第3層登記・登録免許税相続登記、不動産名義変更、配偶者居住権設定登記固定資産税評価額、不動産の筆数・個数、持分、免税措置の適用可否
第4層税金相続税、準確定申告、不動産売却時の譲渡所得税、登録免許税正味の遺産額、基礎控除、特例、遺産分割内容、売却益
第5層専門家報酬弁護士、司法書士、税理士、行政書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士、社会保険労務士、弁理士など争いの有無、申告の難易度、不動産数、裁判対応、非上場株式や知的財産の有無
第6層換価・管理・清算費用不動産仲介手数料、測量費、解体費、残置物撤去費、空き家管理費、相続土地国庫帰属制度の負担金不動産の状態、境界確定、売却可否、管理困難性、共有者数

相続手続き費用の概算早見表

次の比較表は、典型的な相続類型ごとに、本人対応中心の場合と専門家を利用する場合の総額目安を並べたものです。相続税そのものは分割内容や特例で大きく変わるため、表では手続費用と税額を分けて読むことが重要です。

ケース典型的な状況本人対応中心の目安専門家利用時の目安注意点
A不動産なし、相続税申告なし、争いなし5,000円〜5万円程度5万〜25万円程度戸籍数、金融機関数、相続人の人数で変動します。
B不動産あり、相続税申告なし、争いなし登録免許税+1万〜5万円程度登録免許税+5万〜25万円程度登録免許税は原則として不動産価額の0.4%です。
C不動産あり、相続税申告あり、争いなし登録免許税+証明書費+相続税登録免許税+税理士報酬30万〜150万円程度+司法書士等報酬土地、非上場株式、名義預金、生前贈与、特例適用で増減します。
D相続人間でもめている裁判所手数料自体は数千円から弁護士費用・鑑定費等を含め50万〜数百万円以上交渉・調停・審判・訴訟の段階で費用が増えます。
E相続放棄をする収入印紙800円+郵便切手等1人あたり数万円〜十数万円程度原則3か月以内に家庭裁判所へ申述します。
F相続土地国庫帰属制度を検討審査手数料1筆14,000円+負担金司法書士・行政書士・土地家屋調査士等の報酬、測量費、撤去費が加算建物、担保権、境界争いなどで対象外になり得ます。
G不動産を売却して分ける仲介手数料、登記関係費、測量費、譲渡所得税等同左+専門家報酬低額不動産、空き家、共有不動産、境界未確定地で追加費用が出やすいです。
H非上場会社・事業承継あり評価・申告・登記・議事録等税理士、公認会計士、弁護士、中小企業診断士等で数十万〜数百万円以上株価評価、経営権、借入保証、遺留分、納税資金が主要論点です。
注意点相続税は国に納める税金であり、専門家報酬ではありません。ただし、資金繰りという観点では相続に伴う大きな支出なので、手続費用とは別枠で早めに見積もる必要があります。
Section 01

相続手続き費用は期限と時系列で変わる

基本用語と期限を押さえ、どの段階で費用が増えるかを確認します。

相続手続き費用を見積もるには、誰が相続人か、どの財産があるか、いつまでに何をするかを順番に確認します。基本用語と時系列を押さえると、どの段階で証明書費用、裁判所費用、税務費用、登記費用が発生するかを読み取りやすくなります。

次の一覧は、費用見積りで繰り返し出てくる用語を整理したものです。用語の意味を取り違えると、税金・実費・専門家報酬の区別が曖昧になるため、それぞれの役割を読み取ることが重要です。

PERSON

被相続人

亡くなった人をいいます。出生から死亡までの戸籍、最後の住所、財産、債務、遺言の有無を確認します。

HEIR

相続人

民法上、遺産を受け継ぐ資格を持つ人です。配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹などを戸籍で確定します。

ESTATE

遺産

預貯金、不動産、株式、投資信託、借入金、未払金、知的財産権、非上場株式などの権利義務を含みます。

NET VALUE

正味の遺産額

財産価額から債務や葬式費用などを控除し、一定の生前贈与財産を加算した金額です。相続税の要否判断に関係します。

COST

実費

証明書発行手数料、収入印紙、郵便切手、登記事項証明書、固定資産評価証明書など、外部へ支払う費用です。

FEE

専門家報酬

弁護士、司法書士、税理士、行政書士、不動産鑑定士、土地家屋調査士などへ支払う業務対価です。

DEPOSIT

予納金

裁判所手続などで、将来の管理費用や管理人報酬に充てるため、申立人があらかじめ納める金銭です。

相続手続き費用が発生する時系列

次の時系列は、死亡直後から10か月以降までに発生しやすい手続と費用を並べたものです。期限がある手続を遅らせると追加費用や税務リスクにつながるため、いつ何が発生するかを読み取ることが重要です。

時期主な手続発生しやすい費用
死亡直後死亡診断書・死体検案書、死亡届、火葬許可、葬儀医師・検案医関係費、戸籍届出関係費、葬儀費用
1か月以内年金、健康保険、公共料金、金融機関への連絡住民票、戸籍、郵送費、交通費
1〜3か月相続人調査、財産調査、相続放棄・限定承認の検討戸籍、除籍、改製原戸籍、残高証明、不動産調査、専門家相談料
3〜6か月遺産分割協議、遺言確認、検認、法定相続情報一覧図作成検認申立費、書類作成費、行政書士・司法書士報酬、弁護士相談料
6〜10か月相続税申告、納税資金準備税理士報酬、相続税、評価資料取得費、不動産鑑定費
10か月以降相続登記、預貯金解約、不動産売却、共有解消登録免許税、司法書士報酬、仲介手数料、測量費、譲渡所得税
争いがある場合交渉、調停、審判、訴訟弁護士費用、裁判所費用、鑑定費、調査費、日当
期限相続放棄・限定承認は原則として自己のために相続開始があったことを知った時から3か月以内、相続税申告は死亡を知った日の翌日から10か月以内、相続登記は不動産取得を知った日から3年以内が重要な目安です。
Section 02

相続手続き費用のうち公的実費と法定費用

戸籍、証明書、家庭裁判所、公証、法務局で発生する費用を整理します。

公的証明書や裁判所・法務局の費用は、1件ごとは少額でも、通数や人数が増えると総額に効きます。特に戸籍の複雑さ、相続放棄の人数、遺言の種類、不在者や未成年者の有無から、必要な実費を読み取ることが重要です。

戸籍・法定相続情報・不動産資料

次の比較表は、証明書取得と不動産資料で発生しやすい実費を整理しています。手続先ごとに同じ書類を何度も出すと時間と郵送費が増えるため、必要通数と代替制度を読み取ることが重要です。

項目費用目安・制度読み取りたいポイント
戸籍謄本1通450円とされる自治体が多い被相続人の出生から死亡まで、相続人の現在戸籍などを集めます。
除籍謄本・改製原戸籍1通750円とされる自治体が多い転籍、婚姻、離婚、養子縁組、兄弟姉妹相続では通数が増えやすいです。
住民票・戸籍の附票・印鑑証明書自治体により異なり、1通300円前後から数百円程度が一般的住所確認や金融機関手続、登記で必要になることがあります。
法定相続情報一覧図一覧図の写しの交付自体は無料戸籍を集める費用と一覧図作成の手間、専門家報酬は別に発生します。
登記事項証明書令和7年4月1日以降、書面請求600円、オンライン請求・送付520円、オンライン請求・窓口交付490円不動産の名義・権利関係を確認する基礎資料です。
固定資産評価証明書・名寄帳など自治体ごとの手数料登録免許税や不動産評価を見積もる前提資料です。

次の比較表は、戸籍関係の取得通数がどの程度増え得るかを示しています。戸籍の複雑さは実費だけでなく調査時間にも影響するため、相続人の関係と本籍地の移動回数を読み取ることが重要です。

状況取得通数の目安実費の目安
被相続人が本籍をほとんど移していない5〜8通3,000円〜7,000円程度
転籍、婚姻、離婚、養子縁組がある10〜20通8,000円〜2万円程度
代襲相続、兄弟姉妹相続、数次相続がある20通以上2万〜5万円以上もあり得る

家庭裁判所・公証・法務局の法定費用

次の比較表は、家庭裁判所、公証役場、法務局で発生する代表的な法定費用をまとめたものです。収入印紙だけは低額でも、郵便切手、官報公告料、予納金、専門家報酬が加わる手続を読み分けることが重要です。

手続主な法定費用注意点
遺言書検認遺言書1通につき収入印紙800円+連絡用郵便切手検認は遺言の状態確認であり、有効・無効を最終判断する手続ではありません。
相続放棄申述人1人につき収入印紙800円+郵便切手等期限後申述、債権者対応、財産処分の疑いがある場合は専門家相談が重要です。
限定承認収入印紙800円が基本相続人全員で行い、公告、債権者対応、換価、清算、みなし譲渡課税の検討が問題になります。
遺産分割調停・審判被相続人1人につき収入印紙1,200円+郵便切手実際の総額は弁護士費用、不動産鑑定費、資料収集費、日当が左右します。
特別代理人・臨時保佐人・臨時補助人子1人につき収入印紙800円が基本未成年者や後見利用者の利益相反では、家庭裁判所が資料を求めることがあります。
不在者財産管理人収入印紙800円+郵便切手財産内容により管理費用や管理人報酬に充てる予納金が必要になることがあります。
相続財産清算人収入印紙800円+郵便切手+官報公告料5,582円管理費用や清算人報酬が不足すると見込まれる場合、予納金を求められることがあります。
公正証書遺言目的財産の価額に応じた公証人手数料100万円超200万円以下7,000円、500万円超1,000万円以下2万円、5,000万円超1億円以下4万9,000円などの区分があります。
自筆証書遺言書保管制度保管申請は遺言書1通につき3,900円制度を利用した遺言書は家庭裁判所の検認が不要になります。
Section 03

相続手続き費用で大きい相続登記と登録免許税

不動産がある場合の義務、計算式、司法書士報酬、総額例を確認します。

不動産がある相続では、相続税がかからなくても相続登記と登録免許税が問題になります。登録免許税は評価額に連動するため、専門家報酬だけでなく固定資産税評価額から税額を読み取ることが重要です。

義務化令和6年4月1日から相続登記は義務化されています。相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があり、正当な理由なく履行しない場合は10万円以下の過料の対象となることがあります。

登録免許税の計算方法

次の重要ポイントは、相続登記の登録免許税を固定資産税評価額から計算する考え方を示しています。不動産の市場価格ではなく評価額を基準にする点が重要で、評価額が上がるほど税額が増えることを読み取れます。

相続登記の登録免許税 = 固定資産税評価額 × 0.004

土地と建物が別々に評価されている場合は合算し、共有持分だけを相続する場合は持分に応じた価額を基礎に考えます。

次の比較表は、固定資産税評価額ごとの登録免許税の目安を示しています。評価額に0.4%を掛けるだけで概算できるため、不動産がある相続の最低支出を読み取ることが重要です。

固定資産税評価額登録免許税の目安
500万円2万円
1,000万円4万円
2,000万円8万円
5,000万円20万円
1億円40万円

相続登記で司法書士報酬が増える場面

次の一覧は、相続登記の司法書士報酬が増えやすい要素を整理しています。基本報酬だけで判断せず、物件数、相続人の数、戸籍収集や協議書作成の有無を読み取ることが重要です。

複数不動産・複数管轄

土地建物が多い、法務局の管轄が分かれる場合は、調査と申請の手間が増えます。

数次相続・相続人多数

前の相続が未了のまま次の相続が起きると、戸籍調査と協議関係が複雑になります。

海外在住者・住所変更

署名証明、翻訳、住所氏名変更登記など、通常とは異なる書類が必要になることがあります。

抵当権・未登記建物

古い担保権や未登記建物があると、相続登記以外の整理費用が発生しやすくなります。

相続登記の総額例

次の比較表は、不動産評価額と相続人構成が異なる2つの相続登記例を並べたものです。登録免許税と司法書士報酬のどちらが大きくなるかを読み取り、見積りでは両方を分けて確認することが重要です。

登録免許税証明書等司法書士報酬合計目安
固定資産税評価額2,000万円の自宅8万円1万〜3万円程度5万〜15万円程度14万〜26万円程度
評価額5,000万円の土地建物、相続人4人、遺産分割協議あり20万円2万〜5万円程度10万〜25万円程度32万〜50万円程度

一定の土地については、登録免許税が免税となる措置があります。たとえば、相続により土地を取得した人が登記前に死亡した場合の一代目の相続登記や、課税標準額が100万円以下の土地に係る一定の相続登記が問題になります。ただし、適用期限や要件は変わることがあるため、登記時点で法務局や司法書士へ確認する必要があります。

Section 04

相続手続き費用に相続税と税理士報酬を組み込む

基礎控除、税率、死亡保険金、特例、申告報酬を確認します。

相続税が発生する相続では、手続費用とは別に納税資金と税理士報酬を見積もる必要があります。基礎控除、税率、死亡保険金、小規模宅地等の特例を確認し、申告が必要かどうかを早めに読み取ることが重要です。

相続税の基礎控除と申告期限

次の重要ポイントは、相続税がかかるかどうかを判断する基礎控除の式を示しています。法定相続人の数で控除額が変わるため、まず相続人を正確に確定することが重要で、正味の遺産額が基礎控除額を超えるかを読み取ります。

相続税の基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

法定相続人が3人なら基礎控除額は4,800万円です。申告と納税は、原則として死亡を知った日の翌日から10か月以内に行います。

次の比較表は、法定相続人の人数ごとの基礎控除額を示しています。相続税の有無をざっくり判定する入口として重要で、正味の遺産額と比較して読む必要があります。

法定相続人の数基礎控除額
1人3,600万円
2人4,200万円
3人4,800万円
4人5,400万円
5人6,000万円

相続税率と死亡保険金

次の比較表は、法定相続分に応ずる取得金額ごとの相続税率と控除額を整理しています。実際には相続税の総額を計算してから各人へ配分するため、単純に取得額へ税率を掛けるだけではない点を読み取ることが重要です。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%0円
1,000万円超3,000万円以下15%50万円
3,000万円超5,000万円以下20%200万円
5,000万円超1億円以下30%700万円
1億円超2億円以下40%1,700万円
2億円超3億円以下45%2,700万円
3億円超6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

次の重要ポイントは、死亡保険金の非課税限度額を示しています。生命保険は納税資金の準備にも関係するため、受取人、保険料負担者、契約者、被保険者の組み合わせを確認し、相続税・所得税・贈与税のどれが問題になるかを読み取ることが重要です。

死亡保険金の非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

死亡保険金は、民法上の遺産分割財産とは別に扱われることが多い一方、相続税法上はみなし相続財産として課税対象になる場合があります。

税理士報酬が増えやすい要素

次の比較表は、相続税申告の税理士報酬が増えやすい要素を示しています。遺産総額だけでなく、土地評価、非上場株式、名義預金、期限の短さが申告難易度を上げる点を読み取ることが重要です。

要素増える理由
土地が複数ある路線価、倍率、地形、接道、貸宅地、私道などの評価が必要になるため
非上場株式がある会社規模、類似業種比準、純資産価額、役員退職金、事業承継税制などを検討するため
名義預金が疑われる家族名義口座の実質所有者、入出金履歴、贈与の成立を確認するため
生前贈与が多い加算対象、相続時精算課税、贈与契約書、資金移動を確認するため
遺産分割が未了未分割申告、特例適用、修正申告・更正の請求の可能性があるため
申告期限が迫っている短期間で資料収集・評価・申告を行うため
税務調査対応を含む申告後の照会、税務署対応、修正申告の可能性があるため

次の比較表は、相続税申告が必要な場合の総額例です。相続税そのものを除いた手続費用だけでも数十万円から百万円超になり得るため、税理士報酬と納税資金を分けて読み取ることが重要です。

項目金額目安
戸籍・証明書・郵送費1万〜5万円程度
相続登記の登録免許税固定資産税評価額×0.4%
司法書士報酬5万〜20万円程度
税理士報酬40万〜100万円程度
相続税分割内容・特例・控除により大きく変動
合計税額を除き50万〜130万円程度が一つの目安

小規模宅地等の特例は、自宅や事業用土地の評価額を大きく減額できる制度です。たとえば特定居住用宅地等では一定面積まで80%減額が問題になります。ただし、要件判断が難しく、特例の適用を受けるために申告が必要になる場合もあるため、自己判断で申告不要と決めないことが重要です。

Section 05

相続手続き費用を左右する専門家報酬

弁護士、行政書士、公証人、遺言執行者、信託銀行等の費用を整理します。

専門家報酬は、争いの有無、業務範囲、責任の重さで大きく変わります。誰に何を依頼できるかを誤ると、費用の重複や範囲外業務の問題が起きるため、専門職ごとの役割と報酬構造を読み取ることが重要です。

弁護士費用が中心になる場面

次の比較表は、相続で弁護士が必要になりやすい場面と主な論点を整理しています。裁判所へ納める費用が低額でも、交渉・調停・審判・訴訟対応や証拠整理の費用が総額を左右する点を読み取ることが重要です。

場面主な論点
遺産分割協議がまとまらない誰が何を取得するか、評価額、代償金、共有の可否
遺留分侵害額請求遺言や生前贈与で最低限の取り分が侵害されたか
使い込み疑い預金引出し、介護者による管理、使途不明金
特別受益生前贈与、住宅資金、学費、事業資金を相続分に反映するか
寄与分介護、事業貢献、財産維持への貢献を評価するか
遺言の有効性遺言能力、方式違反、偽造、脅迫、錯誤
相続放棄の期限経過3か月経過後の申述可否、単純承認該当性
不動産評価の対立鑑定、査定、収益還元、共有減価、借地権・底地

次の比較表は、弁護士費用が増えやすい要因を示しています。相談料だけでなく、着手金、報酬金、日当、実費、追加費用の条件を委任契約書で確認する必要がある点を読み取ることが重要です。

要因費用への影響
相続人の人数が多い連絡、主張整理、期日調整が増える
預金使い込み疑いがある取引履歴分析、証拠収集、返還請求が必要になる
不動産評価で対立査定、鑑定、専門家意見書が必要になる
遺言無効を争う医療記録、介護記録、筆跡、証人尋問が必要になる
会社・事業がある株式評価、経営権、保証債務、役員貸付が絡む
調停から審判・訴訟へ移行追加着手金、期日対応、書面作成が増える
費用幅単純な法律相談は30分5,000円から1万円程度が多い一方、交渉代理、調停代理、審判対応、訴訟対応では、着手金だけで20万〜60万円以上、報酬金を含めると50万〜数百万円以上になることがあります。

争いのない書類整理と遺言関係

次の一覧は、争いのない相続で関与しやすい専門家や機関をまとめたものです。行政書士、司法書士、税理士、弁護士の独占業務は異なるため、依頼先と業務範囲を読み取ることが重要です。

行政書士

紛争性のない範囲で、遺産分割協議書、相続人関係説明図、財産目録作成支援などを扱います。争い、税務申告、登記申請代理は範囲外です。

書類整理範囲確認

公証人

公正証書遺言の作成に関与します。手数料は法定され、財産額、受ける人の数、出張の有無で変わります。

遺言

遺言執行者

遺言内容を実現する人です。報酬は遺言の定め、家庭裁判所判断、専門職や信託銀行の報酬体系で変わります。

遺言執行

信託銀行等

遺言書作成相談、保管、遺言執行を一体的に扱うことがあります。最低報酬、執行報酬、外部専門家費用を確認します。

遺言信託最低報酬

行政書士に依頼する場合、争いがなく、不動産登記や相続税申告の必要性が低い相続では、数万円から二十数万円程度の見積りになることが多いです。戸籍収集代行、相続人関係説明図、財産目録、遺産分割協議書、金融機関手続同行、郵送費、証明書実費、消費税が含まれるかを確認してください。

Section 06

不動産がある相続手続き費用と土地処分費用

評価、測量、売却、空き家、農地、山林、国庫帰属を確認します。

不動産がある相続では、登記だけでなく、評価、測量、売却、管理、解体、国庫帰属の費用が発生することがあります。市場価値が低い土地ほど処理費用が重くなる場合があるため、財産価値と処分費用を分けて読み取ることが重要です。

不動産評価・測量・売却で増える費用

次の比較表は、不動産がある相続で登記以外に関与しやすい専門家と費用項目を整理しています。相続人間の評価対立、境界不明、売却予定の有無によって追加費用が発生する点を読み取ることが重要です。

関係者・費用費用の特徴増えやすい場面
不動産鑑定士戸建住宅や土地1件でも20万〜60万円程度以上を見込むことがあります。裁判所提出、収益物件、借地権、底地、山林、農地、複数不動産で高くなりやすいです。
土地家屋調査士境界確定測量は数十万円から百万円超になることがあります。隣接地が多い、官民境界確認が必要、境界標がない、山林や広大地の場合です。
不動産仲介業者売買の媒介報酬には法令上の上限があります。売買価格1,000万円の媒介報酬上限は税込39.6万円という例があります。売却、低廉な空家等、共有不動産、境界未確定地、修繕や解体が必要な物件です。
売却前費用測量費、解体費、残置物撤去費、リフォーム費、登記費、譲渡所得税、契約印紙代、固定資産税精算など空き家、低額不動産、遠方物件、管理費滞納、残置物が多い場合です。

空き家・農地・山林・共有地の注意点

次の注意点一覧は、価値が低く見える不動産ほど処理費用が増える理由を整理しています。売れる価格だけではなく、管理、境界、法規制、共有者調整に費用がかかる点を読み取ることが重要です。

空き家

解体、残置物撤去、倒壊リスク、管理費、固定資産税、売却前修繕が問題になります。

農地

農地法や農業委員会への届出、買主の制限、転用可否が費用と期間に影響します。

山林

境界不明、草刈り、管理困難、売却困難、森林法上の手続が問題になることがあります。

共有地

売却、賃貸、修繕、建替えで合意形成が必要になり、次の相続で共有者が増えるおそれがあります。

相続土地国庫帰属制度の費用

次の比較表は、相続土地国庫帰属制度で必要になり得る費用と、対象外になりやすい土地を整理しています。審査手数料だけで判断せず、負担金や測量・撤去費まで含めて読み取ることが重要です。

項目内容
審査手数料土地1筆あたり14,000円
承認後の負担金基本的には10年分の管理費用に相当する負担金。一定の土地では20万円を基本とし、宅地、農地、森林などでは面積や区域に応じた計算が必要です。
追加費用境界確認、測量、建物解体、残置物撤去、隣地調整、申請書類作成、専門家報酬
対象外になり得る土地建物がある土地、担保権や使用収益権がある土地、他人使用が予定される土地、境界不明の土地、所有権の存否・範囲で争いがある土地、管理や処分に過大な費用・労力がかかる土地
Section 07

特殊財産がある相続手続き費用

非上場株式、知的財産、年金、金融機関、保険会社の費用を確認します。

会社、知的財産、海外資産、年金、保険などが絡む相続では、通常の戸籍・登記・税務だけでは足りません。専門領域ごとに必要な評価や手続が異なるため、どの財産が特殊費用を発生させるかを読み取ることが重要です。

会社・特殊財産で関与する専門家

次の一覧は、特殊財産がある相続で関与しやすい専門家と役割を整理しています。相続税申告、経営権、知的財産、家計設計、年金手続は専門領域が異なるため、費用を別枠で読むことが重要です。

非上場株式と会社承継

市場価格がないため、会社規模、類似業種比準価額、純資産価額、配当、利益、土地含み益、役員退職金、借入金などを確認します。

税理士公認会計士弁護士

中小企業診断士

後継者育成、事業承継計画、経営改善、資金繰り、補助金活用など、会社を誰がどう維持するかで関与します。

経営承継

弁理士

特許権、商標権、意匠権、ライセンス契約が相続財産に含まれる場合、名義変更や権利維持年金を確認します。

知的財産

ファイナンシャル・プランナー

相続後の家計、保険、資産運用、老後資金、不動産保有、納税資金、二次相続対策を整理します。

資金計画独占業務外

社会保険労務士

遺族年金、未支給年金、健康保険、労災、雇用保険、会社役員・従業員死亡時の社会保険手続で関与します。

周辺手続

医師・自治体・金融機関・保険会社の周辺費用

次の比較表は、死亡後手続で関係する機関と費用の見方を整理しています。相続本体の費用ではなくても、必要書類や文書料、残高証明、保険請求が手続の出発点になる点を読み取ることが重要です。

関係者費用・手続の見方
医師・検案医死亡診断書または死体検案書が死亡後手続の出発点です。文書料や検案料は医療機関や状況で異なります。
市区町村の戸籍担当死亡届、戸籍、住民票、印鑑登録、国民健康保険、介護保険、年金関係の入口になります。必要通数を考えて取得すると費用削減につながります。
銀行・信託銀行死亡を知ると口座を凍結し、相続人確認、遺言や遺産分割協議書の確認、払戻し手続を行います。複数口座があると手続負担が増えます。
生命保険会社死亡保険金請求、契約照会、受取人確認を行います。民法上の遺産分割財産と相続税法上のみなし相続財産の違いを確認します。
Section 08

相続手続き費用のケース別シミュレーション

代表的な5つのケースで、総額がどこで増えるかを確認します。

ケース別に見ると、同じ相続手続き費用でも、費用の中心がどこにあるかがはっきりします。次の比較表は、不動産、相続税、紛争、管理困難地の有無で総額がどう変わるかを示しており、自分の状況に近い型を読み取ることが重要です。

ケース前提主な費用目安読み取りたいポイント
A 不動産なし・相続税なし・争いなし父が死亡。相続人は母と子2人。預貯金1,500万円、生命保険金500万円。不動産・借金・遺言・争いなし。本人対応1万〜5万円程度。専門家利用5万〜20万円程度。相続税申告も登記もないため低額になりやすいですが、金融機関数や戸籍の複雑さで増えます。
B 自宅不動産あり・相続税なし・争いなし夫が死亡。相続人は妻と子1人。自宅土地建物と預貯金1,000万円。固定資産税評価額2,500万円。妻が自宅を取得。登録免許税10万円、証明書1万〜3万円、司法書士5万〜15万円、合計16万〜28万円程度。相続税がかからなくても、相続登記費用は発生します。
C 相続税申告あり・不動産あり・争いなし父が死亡。子3人。自宅、賃貸不動産、預貯金、有価証券。遺産総額1億2,000万円。固定資産税評価額4,000万円。登録免許税16万円、証明書3万〜10万円、司法書士10万〜25万円、税理士60万〜150万円、税額を除き90万〜200万円程度。税理士報酬が大きな割合を占め、土地評価や名義預金で増えます。
D 兄弟間の遺産分割紛争母が死亡。長男、長女、二男。自宅、預貯金、有価証券。使い込み疑い、自宅評価、介護寄与が争点。戸籍・財産資料2万〜10万円、調停印紙1,200円+郵便切手、弁護士着手金20万〜80万円以上、合計50万〜数百万円以上。裁判所費用より、弁護士費用、取引履歴分析、不動産鑑定が総額を左右します。
E 管理困難な土地を相続したくない父が死亡。子2人。地方の山林、老朽空き家、少額預貯金。土地を手放したい。相続放棄は収入印紙800円+郵便切手等。国庫帰属は1筆14,000円+負担金。売却・清算では測量、解体、予納金など。不動産の価値より処理費用が大きくなることがあります。

次の判断の流れは、費用が低めに収まりやすい相続と、早めに専門家費用を見込むべき相続を分けるためのものです。順番に確認することで、登記、税務、紛争、不動産処分のどこで費用が増えるかを読み取れます。

相続手続き費用の増加ポイントを見分ける流れ

相続人と財産を確認

戸籍、預貯金、不動産、株式、借入金、保険、遺言の有無を整理します。

不動産があるか

ある場合は登録免許税、司法書士報酬、評価資料費を見込みます。

基礎控除を超える可能性があるか

ある場合は相続税と税理士報酬を別枠で見積もります。

争いあり
弁護士・鑑定費を見込む

交渉、調停、審判、訴訟で費用幅が大きくなります。

争いなし
書類・登記・税務を切り分ける

行政書士、司法書士、税理士の範囲を確認します。

Section 09

相続手続き費用は誰が負担するのか

費用の性質ごとに、立替え・精算・個別負担の考え方を確認します。

相続手続き費用は、すべてが自動的に遺産から差し引かれるわけではありません。費用の性質ごとに負担者が異なるため、後からもめないよう、誰が立て替え、誰が最終負担するかを読み取ることが重要です。

次の比較表は、代表的な費用ごとの負担者の考え方を整理しています。共同費用、取得者負担、個別依頼費用を混同すると精算でもめるため、遺産分割協議書に明記すべき費用を読み取ることが重要です。

費用負担者の考え方
戸籍・証明書費用手続を進める相続人が立て替え、相続人間で精算することが多いです。
相続登記の登録免許税不動産を取得する相続人が負担することが多いですが、協議で別の負担も可能です。
相続税各相続人が取得財産に応じて納付します。連帯納付義務にも注意が必要です。
税理士報酬共同依頼なら相続人全員で負担することが多いですが、合意が重要です。
弁護士費用原則として依頼した相続人が負担します。相手に当然請求できるわけではありません。
不動産鑑定費誰のための鑑定か、調停・審判での鑑定かにより異なります。
売却費用売却代金から控除し、取得割合に応じて負担することが多いです。
遺言執行者報酬遺産から支払われることが多く、遺言の定めや家庭裁判所判断を確認します。
相続財産清算人関係費用申立人予納、相続財産からの支払い、裁判所判断が関係します。
精算費用負担で後からもめないためには、遺産分割協議書に「相続手続に要した共通費用をどのように負担するか」を明記することが有効です。税理士費用、不動産売却費用、測量費、残置物撤去費、固定資産税、管理費、弁護士費用は事前確認が必要です。
Section 10

相続手続き費用を抑える実務ポイント

重複取得、期限直前対応、共有、見積り条件、紛争長期化を避けます。

相続手続き費用を抑えるには、安い見積りを探すだけでは不十分です。戸籍の重複取得を減らし、相続税の要否を早めに判定し、共有や紛争の長期化を避け、見積り条件をそろえて比較することが重要です。

次の一覧は、費用削減につながる実務的な方策を整理しています。短期の支出だけでなく、期限遅れ、税務リスク、将来の共有トラブルを減らす観点で読み取ることが重要です。

DOCUMENTS

同じ戸籍を何度も取らない

法定相続情報一覧図を利用すると、提出先ごとの戸籍束の返却待ちを減らし、手続を効率化できます。

TAX

相続税の要否を早めに判定する

自宅、賃貸不動産、有価証券、生命保険、過去贈与がある場合は、期限直前の緊急対応費用を避けるため早めに確認します。

REAL ESTATE

不動産を共有にしすぎない

共有は短期的に分けやすく見えても、売却、修繕、賃貸、建替え、次の相続で合意形成費用を増やすことがあります。

QUOTE

相見積りは範囲をそろえる

戸籍収集、協議書、登記申請、法定相続情報一覧図、実費、消費税、追加料金の有無をそろえて比較します。

CONFLICT

争いの芽を早めに整理する

取引履歴、不動産査定、生前贈与資料、介護記録、遺言の有無を早めに確認すると、長期化費用を抑えやすくなります。

見積り前に整理する項目

次の一覧は、専門家へ相談する前に整理しておくと見積り精度が上がる項目です。資料が揃っているほど業務範囲と追加費用を判断しやすいため、どの情報が不足しているかを読み取ることが重要です。

分類整理する内容
被相続人・相続人氏名、死亡日、最後の住所、本籍地、相続人の人数、続柄、住所、連絡状況
遺言・財産遺言の有無、公正証書遺言か自筆証書遺言か、不動産、固定資産税評価額、共有持分、預貯金、証券、保険、退職金、貸付金、借入金
税務・贈与生前贈与の有無、贈与契約書、通帳履歴、相続税申告の可能性
紛争・特別事情相続人間の争い、相続放棄を検討する人、未成年者、認知症の相続人、行方不明者、海外居住者
不動産処分売却予定の不動産、境界不明地、農地、山林、空き家の有無

次の比較表は、専門家見積りで確認すべき質問と、その理由を整理しています。総額だけを見ると範囲外費用を見落とすため、税込・税別、実費、追加料金、途中解約時の扱いを読み取ることが重要です。

質問確認理由
報酬は税込ですか、税別ですか総額が変わるため
実費は含まれていますか戸籍、郵送、登記事項証明書、交通費が別途になることが多いため
業務範囲はどこまでですか戸籍収集、協議書、登記、金融機関手続、税務申告の範囲を明確にするため
追加料金が発生する条件は何ですか相続人追加、不動産追加、期限短縮、紛争化で増えるため
裁判所手続へ移行した場合の費用は交渉と調停・審判・訴訟で費用体系が変わるため
報酬金はどのように計算しますか経済的利益の定義で大きく変わるため
誰が費用を負担する前提ですか共同依頼か個別依頼かで異なるため
税務調査対応は含まれますか申告報酬とは別料金の場合があるため
不動産鑑定、測量、売却費は含まれますか外部専門家費用が別途発生するため
途中解約時の扱いは返金、精算、成果物の扱いを確認するため
Section 11

相続手続き費用を専門職別に見る

専門職・関係者の役割と、費用でよくある誤解を確認します。

相続では、多くの専門職や関係機関が関与します。誰が何を担当するかを把握すると、見積りの重複や依頼漏れを避けられるため、役割と費用の見方を読み取ることが重要です。

次の比較表は、専門職・関係者ごとの主な役割と費用の見方を一覧化したものです。相続登記、税務申告、紛争代理、評価、測量、年金、金融機関手続を混同しないことが重要です。

専門職・関係者主な役割費用の見方
弁護士遺産分割、遺留分、使い込み、交渉、調停、審判、訴訟相談料、着手金、報酬金、日当、実費。争いがあるほど増えます。
司法書士相続登記、戸籍収集、法定相続情報、登記書類、裁判所提出書類作成登録免許税と報酬を分けて確認。不動産数、相続人多数で増えます。
税理士相続税申告、財産評価、税務代理、税務調査対応遺産総額、土地数、非上場株式、名義預金で増えます。
行政書士争いのない書類作成、遺産分割協議書、相続人関係説明図紛争、税務、登記申請代理は範囲外。書類整理に向きます。
公証人公正証書遺言の作成法定手数料。財産額、受遺者数、出張で変動します。
遺言執行者遺言内容の実現遺言の定め、専門職報酬、家庭裁判所判断を確認します。
信託銀行等遺言信託、保管、執行、相続手続支援最低報酬、執行報酬、外部専門家費用を確認します。
不動産鑑定士不動産の適正価格評価鑑定目的、物件種別、裁判提出の有無で変動します。
土地家屋調査士測量、境界確認、分筆、表示登記隣地数、官民境界、地積、境界争いで増えます。
宅地建物取引士・仲介業者相続不動産の売却・賃貸仲介手数料上限、売却前費用、低廉空家特例を確認します。
家庭裁判所関係者調停、審判、書記、調査、専門知見申立費用は少額でも、予納金・鑑定費・専門家報酬に注意します。
公認会計士非上場株式、会社財務、事業承継会社価値評価や承継計画で高額化しやすいです。
中小企業診断士経営承継、後継者育成、経営改善法務・税務と分けて役割を明確化します。
弁理士特許・商標など知的財産の承継特許庁手続、権利維持費、ライセンス確認が必要です。
FP家計、保険、資産設計、二次相続対策独占業務外。専門家連携の調整役として有用です。
社会保険労務士遺族年金、未支給年金、社会保険手続相続本体ではなく死亡後周辺手続の費用です。
遺言書保管官自筆証書遺言書保管制度法務局の保管手数料、証明書手数料を確認します。
市区町村戸籍担当死亡届、戸籍、住民票、保険・年金入口証明書通数と郵送費が中心です。
医師・検案医死亡診断書、死体検案書文書料、検案料は状況により異なります。
銀行・保険会社預金払戻し、保険金請求、契約照会原則手数料より書類負担が中心。残高証明等は費用発生があります。

相続手続き費用でよくある誤解

次の注意点一覧は、相続費用で見落とされやすい誤解を整理しています。相続税の有無だけでは費用を判断できないこと、不動産の価値と処理費用は別であることを読み取ることが重要です。

相続税がなければ費用はほぼゼロ

相続税がなくても、戸籍、協議書、預金解約、相続登記、登録免許税、司法書士報酬、不動産売却費用は発生します。

不動産評価額が低いなら安心

市場価値が低い土地ほど、売却困難、境界不明、管理費、解体費、国庫帰属の要件不充足で費用が増えることがあります。

弁護士を入れると必ず高くなる

費用は発生しますが、長期紛争、不利な合意、期限遅れを防ぐことで総費用を抑えられることがあります。

安いパック料金なら安心

戸籍収集、相続人多数、不動産追加、金融機関数追加、協議書、法定相続情報、相続税申告が別料金の場合があります。

共有にすれば公平

将来の売却、賃貸、修繕、建替え、次の相続で全員の合意が必要になり、費用と対立が増えることがあります。

Section 12

相続手続き費用を3段階で見積もる

法定費用、専門家範囲、税金込みの総支出を分けて整理します。

相続手続き費用を精度よく見積もるには、最低限の法定費用、専門家に依頼する範囲、税金を含める総支出を段階的に分けます。総額だけを見ると、何が高いのかが見えないため、費用項目を分解して読み取ることが重要です。

次の重要ポイントは、相続手続き費用を構成する主要変数を式で整理したものです。過小評価しやすい登録免許税、税理士報酬、紛争費用、不動産処理費、特殊事情費用を別々に読み取ることが重要です。

総費用 = 公的証明費 + 法定費用 + 登録免許税 + 税金 + 専門家報酬 + 不動産処理費 + 特殊財産対応費 + 紛争長期化コスト

相続放棄800円、遺産分割調停1,200円など、裁判所に納める収入印紙だけは低額でも、その背後にある資料収集、専門家報酬、予納金、鑑定費が総額を左右します。

次の判断の流れは、相続費用を3段階で見積もる手順を示しています。最低現金支出、専門家の必要範囲、税金を含めた総支出を分けることで、どの費用が増えているかを読み取れます。

相続手続き費用を3段階で見積もる流れ

第1段階 ― 最低限の法定費用

戸籍、証明書、登記事項証明書、家庭裁判所の印紙代、登録免許税、相続税の要否を計算します。

第2段階 ― 専門家の必要範囲

争いは弁護士、不動産登記は司法書士、相続税は税理士、書類整理は行政書士や司法書士などに切り分けます。

第3段階 ― 税抜きと税込みの総額

手続費用総額と、相続税・譲渡所得税等を含めた相続関連総支出を分けます。

次の比較表は、専門家の優先順位を状況別に整理しています。最初に相談すべき相手を誤ると費用と時間が増えるため、争い、不動産、税務、評価、境界、会社、年金などの論点から読み取ることが重要です。

状況相談先の優先順位
争いがある弁護士を最優先
不動産登記がある司法書士
相続税がかかりそう税理士
争いがなく書類整理中心行政書士、司法書士
不動産評価で対立不動産鑑定士、弁護士
境界・分筆が必要土地家屋調査士
不動産売却不動産仲介業者、宅地建物取引士、司法書士
会社・非上場株式税理士、公認会計士、弁護士、中小企業診断士
知的財産弁理士
遺族年金社会保険労務士
まとめ相続費用は、証明書費用、法定手数料、登録免許税、相続税、専門家報酬、不動産処理費、紛争費用に分けて考えます。相続開始後できるだけ早く、戸籍調査、財産調査、相続税要否判定、不動産調査、争点整理を行うことが、費用を抑え、期限を守り、紛争を防ぐ基本になります。
Section 13

相続手続き費用でよくある質問

一般情報として、費用負担・専門家利用・相続放棄・不動産費用を確認します。

相続手続き費用の疑問は、個別事情によって結論が変わります。次の回答は一般的な制度説明として、費用見積りで確認すべき観点を示すものです。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士、税理士、司法書士等の専門家へ相談する必要があります。

相続手続き費用は遺産から支払えますか

一般的には、戸籍取得費や税理士報酬などの共通費用は、相続人間の合意により遺産から精算することがあります。ただし、弁護士費用のように個別依頼の性質が強い費用や、不動産取得者が負担する登記費用などは、負担者の考え方が異なります。具体的な精算方法は、遺産分割協議書の記載内容や相続人間の合意によって変わるため、専門家へ確認する必要があります。

相続税がかからなければ専門家費用も不要ですか

一般的には、相続税がかからない相続でも、不動産があれば相続登記、登録免許税、司法書士報酬が発生する可能性があります。また、戸籍が複雑な場合や相続人が遠方にいる場合、金融機関が多い場合は書類整理の負担が大きくなります。専門家が必要かどうかは、財産内容、相続人の人数、期限、争いの有無によって変わるため、資料を整理して確認する必要があります。

相続放棄の費用は800円だけで済みますか

一般的には、家庭裁判所へ納める収入印紙は申述人1人につき800円が基本です。ただし、連絡用郵便切手、戸籍取得費、郵送費、専門家へ依頼する場合の報酬が別に発生します。期限後の申述、債権者対応、財産処分の疑いがある場合などは判断が複雑になるため、具体的な対応は専門家へ相談する必要があります。

不動産の評価額が低ければ費用も低くなりますか

一般的には、登録免許税は固定資産税評価額に連動するため、評価額が低いほど税額は低くなりやすいです。ただし、売れない土地、境界不明地、空き家、農地、山林、共有地では、測量、解体、管理、国庫帰属、清算手続などの費用が増える可能性があります。不動産の価値と処理費用は別に見積もる必要があります。

Reference

参考資料・出典

制度内容と費用項目の確認に用いた公的機関・専門職団体等の資料名です。

法務・登記・遺言関係

  • 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
  • 法務省「登記手数料について」
  • 法務省「相続土地国庫帰属制度の負担金」
  • 法務省「相続土地国庫帰属制度の審査手数料」
  • 法務省「自筆証書遺言書保管制度」
  • 法務局「法定相続情報証明制度」

税務関係

  • 国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」
  • 国税庁「No.4155 相続税の税率」
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
  • 国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」
  • 国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例」
  • 国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」

家庭裁判所手続

  • 裁判所「遺言書の検認」
  • 裁判所「相続の放棄の申述」
  • 裁判所「相続の限定承認の申述」
  • 裁判所「遺産分割調停」
  • 裁判所「特別代理人選任」
  • 裁判所「不在者財産管理人選任」
  • 裁判所「相続財産清算人選任」

専門職団体・不動産取引関係

  • 日本公証人連合会「公正証書遺言の作成手数料」
  • 日本弁護士連合会「弁護士費用(報酬)とは」
  • 日本司法書士会連合会「司法書士の報酬」
  • 日本行政書士会連合会「報酬額統計」
  • 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」

自治体手数料の例

  • 東京都新宿区「戸籍関係証明書の手数料」
  • 東京都北区「証明書手数料一覧」