2σ Guide

保管した遺言書を
閲覧・撤回する
手続き

法務局の自筆証書遺言書保管制度で、保管中の遺言書を確認する場面、保管申請を撤回する場面、相続開始後に証明書や通知が関係する場面を分けて整理します。

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保管した遺言書を 閲覧・撤回する 手続き

法務局での保管手続と、民法上の遺言の効力は同じではありません。

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保管した遺言書を 閲覧・撤回する 手続き
法務局での保管手続と、民法上の遺言の効力は同じではありません。
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  • 保管した遺言書を 閲覧・撤回する 手続き
  • 法務局での保管手続と、民法上の遺言の効力は同じではありません。

POINT 1

  • 保管した遺言書の閲覧・撤回で最初に分けるべきこと
  • 法務局での保管手続と、民法上の遺言の効力は同じではありません。
  • 自筆証書遺言は、原則として本文、日付、氏名を遺言者本人が自書し、押印して作成する遺言です。
  • 財産目録は自書以外の方法も認められますが、目録の各葉に署名押印が必要です。
  • この制度を使うと、紛失、改ざん、発見漏れのリスクを下げやすくなり、相続開始後には相続人等が一定の手続で内容を確認できます。

POINT 2

  • 保管した遺言書を扱う制度の基本構造と重要用語
  • 法務局は保管者であり、遺言内容の法律上の安全性まで判断する立場ではありません。
  • 民法上の遺言の有効性
  • 法務局での保管手続
  • 相続開始後の開示・証明・通知

POINT 3

  • 保管した遺言書を生前に閲覧する手続き
  • 1. 閲覧方法と場所を決める:原本閲覧かモニター閲覧かを選びます。
  • 2. 事前予約と請求書の準備:法務局に予約し、遺言書の閲覧の請求書を作成します。
  • 3. 本人確認書類と手数料を用意する
  • 4. 予約日時に本人が出頭する:遺言書保管所で本人確認を受け、保管中の遺言書を閲覧します。

POINT 4

  • 相続開始後に保管した遺言書を閲覧・証明する手続き
  • 1. 遺言者の死亡を確認する:死亡の記載がある戸籍等を取得します。
  • 2. 請求人の立場を確認する:相続人、受遺者、遺言執行者等に当たるかを資料で示します。
  • 3. 目的を分ける:内容確認だけか、相続登記や預金解約等で証明書が必要かを整理します。
  • 4. 遺言書情報証明書を検討:金融機関や登記手続で提出を求められることがあります。
  • 5. 閲覧で足りる場合を検討:相続人間の確認だけなら閲覧が中心になることがあります。

POINT 5

  • 保管した遺言書の保管申請を撤回する手続き
  • 1. 撤回する遺言書を特定する:どの遺言書を返還してもらうのか、保管先の遺言書保管所はどこかを確認します。
  • 2. 事前予約と撤回書の準備:法務局に予約し、撤回書を作成します。
  • 3. 本人確認書類を準備する:顔写真付き本人確認書類を準備します。
  • 4. 本人が保管先へ出頭する:遺言者本人が原本保管先の遺言書保管所へ行き、本人確認を受けて撤回書を提出し、原本の返還を受けます。

POINT 6

  • 保管申請の撤回と遺言そのものの撤回の違い
  • 返還後に自宅へ残した場合
  • 保管申請は撤回されても、紙の自筆証書遺言が残ります。
  • 新しい遺言に撤回文言がない場合
  • 内容が矛盾する部分は後の遺言が問題になりますが、矛盾しない部分は古い遺言が残る可能性があります。

POINT 7

  • 保管した遺言書の内容変更と作り直しの考え方
  • 保管中の原本には直接加筆できず、変更届出と内容変更は別の手続です。
  • 作り直しでは、最終意思を特定できる状態にする
  • 法務局で保管されている遺言書は、原本として保管されています。
  • 保管後に法務局の窓口でその場で内容を加筆したり、余白に修正を書き込んだりすることはできません。

POINT 8

  • 保管した遺言書の閲覧・撤回・証明書請求の費用と場所
  • 手続ごとに、できる人、時期、場所、手数料が異なります。
  • 閲覧、証明書交付、保管事実証明、保管申請の撤回、変更の届出は似て見えても、できる人や場所が異なります。
  • 原本保管先でしかできない手続と、全国の遺言書保管所でできる手続の違いを読み取ることが重要です。
  • 法務局手続は、原則として事前予約が必要です。

まとめ

  • 保管した遺言書を 閲覧・撤回する 手続き
  • 保管した遺言書の閲覧・撤回で最初に分けるべきこと:法務局での保管手続と、民法上の遺言の効力は同じではありません。
  • 保管した遺言書を扱う制度の基本構造と重要用語:法務局は保管者であり、遺言内容の法律上の安全性まで判断する立場ではありません。
  • 保管した遺言書を生前に閲覧する手続き:生前の閲覧は、原則として遺言者本人の内容確認と見直しのための手続です。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

保管した遺言書の閲覧・撤回で最初に分けるべきこと

法務局での保管手続と、民法上の遺言の効力は同じではありません。

ここでいう保管した遺言書とは、主に法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用し、遺言書保管所である法務局に預けられた自筆証書遺言を指します。自筆証書遺言は、原則として本文、日付、氏名を遺言者本人が自書し、押印して作成する遺言です。財産目録は自書以外の方法も認められますが、目録の各葉に署名押印が必要です。

この制度を使うと、紛失、改ざん、発見漏れのリスクを下げやすくなり、相続開始後には相続人等が一定の手続で内容を確認できます。また、法務局で保管された自筆証書遺言は、通常の自宅保管の自筆証書遺言と異なり、家庭裁判所の検認が不要とされています。

重要法務局は遺言の内容の適否や相続紛争のリスクまで保証する機関ではありません。方式面、外形面、本人確認などの手続確認と、遺留分、相続税、不動産承継、事業承継、再婚家庭、遺言能力をめぐる問題は分けて考える必要があります。

次の比較表は、閲覧、保管申請の撤回、民法上の遺言の撤回の違いを表しています。同じ「撤回」という言葉でも効果が異なるため、手続を選ぶ前に、誰が何を終わらせたいのかを読み取ることが重要です。

区別意味注意点
遺言書の閲覧法務局で保管されている遺言書の原本または画像情報を見る手続生前は原則として遺言者本人、死亡後は関係相続人等が対象です。
保管申請の撤回法務局での保管をやめ、遺言書原本を返してもらう手続遺言そのものを当然に無効化する手続ではありません。
民法上の遺言の撤回遺言の効力を全部または一部取り消す法律行為遺言の方式に従う撤回、後の遺言との抵触、故意の破棄などが問題になります。

保管申請を撤回して法務局から返してもらっただけでは、紙の遺言書が残ることがあります。方式を満たす限り、その遺言が後日問題になる可能性があるため、保管関係を終わらせる手続と、遺言内容を撤回する手続を切り分けることが出発点です。

Section 01

保管した遺言書を扱う制度の基本構造と重要用語

法務局は保管者であり、遺言内容の法律上の安全性まで判断する立場ではありません。

自筆証書遺言書保管制度は、遺言者の私的な最終意思を、国の機関である法務局が保管・管理する制度です。根拠法は「法務局における遺言書の保管等に関する法律」であり、民法上の自筆証書遺言を前提としています。

制度を理解するには、次の三層を分ける必要があります。この整理は、閲覧や撤回の窓口でできることと、相続紛争を防ぐために別途検討すべきことを読み分けるために重要です。

Layer 01

民法上の遺言の有効性

遺言能力、方式、内容の実現可能性、遺留分侵害、文言解釈などの問題です。法務局で保管されたことだけで、この層の問題が消えるわけではありません。

Layer 02

法務局での保管手続

本人出頭、必要書類、指定様式、手数料、本人確認などの問題です。閲覧や保管申請の撤回は主にこの層に関係します。

Layer 03

相続開始後の開示・証明・通知

死亡後に関係相続人等が内容を確認し、遺言書情報証明書を取得し、他の関係者へ通知される場面です。

次の用語一覧は、閲覧や証明書請求で誰がどの立場に当たるかを整理するものです。請求できる人や書類が変わるため、名称だけでなく役割の違いを読み取る必要があります。

用語意味手続上の位置づけ
遺言者遺言書を作成した本人生前閲覧の中心人物であり、保管申請を撤回できる唯一の人物です。
遺言書保管所自筆証書遺言書を保管する法務局本局や一部支局等が指定され、原本閲覧や撤回では保管先が重要になります。
遺言書保管官保管、閲覧、証明書交付、通知等を担当する法務局職員公証人とは異なり、内容面の助言や審査をする立場ではありません。
関係相続人等死亡後に閲覧や証明書請求ができる一定の関係者相続人、受遺者、遺言執行者等が典型で、法定代理人が関与する場面もあります。
遺言書情報証明書法務局が保管する遺言書の画像情報等を証明する書面相続登記、預貯金の名義変更・解約、証券口座などの手続で使われることがあります。
遺言書保管事実証明書特定の死亡者について、遺言書が保管されているかを確認する証明書内容確認の前段階として、遺言書の有無を調べる場面で利用されます。

閲覧・撤回は法務局で行うことができますが、紛争は「その遺言が有効か」「その内容で登記や預金解約が進むか」「遺留分侵害額請求を受けるか」といった民法上・相続実務上の問題で起きやすくなります。

Section 02

保管した遺言書を生前に閲覧する手続き

生前の閲覧は、原則として遺言者本人の内容確認と見直しのための手続です。

保管した遺言書の閲覧には、生前の閲覧と相続開始後の閲覧があります。両者は請求できる人、必要書類、通知の有無、実務上の目的が異なるため、まず場面ごとの違いを確認することが重要です。

次の比較表は、生前閲覧と死亡後閲覧の違いを表しています。閲覧できる人と目的を読み取ることで、本人が確認したいだけなのか、相続手続を進める段階なのかを区別できます。

場面閲覧できる人主な目的閲覧方法注意点
遺言者の生前遺言者本人内容確認、書き直し検討、保管状況確認原本閲覧またはモニター閲覧家族でも生前は原則として自由に閲覧できません。
遺言者の死亡後関係相続人等相続手続、遺言執行、内容確認原本閲覧またはモニター閲覧閲覧等をきっかけに他の関係相続人等へ通知されることがあります。

原本閲覧は、遺言書そのものを直接確認する方法で、原本が保管されている遺言書保管所でしか行えません。モニター閲覧は、法務局の端末で画像情報等を確認する方法で、原本の保管場所にかかわらず全国の遺言書保管所で手続できるとされています。遠方へ転居した場合や、遺言者の住所地から離れて暮らす相続人には、モニター閲覧の利便性が高くなります。

遺言者本人が生前に閲覧する目的には、以前作成した内容の確認、財産構成や家族関係の変化を踏まえた見直し、どの遺言書を保管しているかの確認、保管申請の撤回や再保管前の確認、原本が確実に保管されているかの確認などがあります。

次の時系列は、生前に保管した遺言書を閲覧するときの一般的な順番を表しています。事前予約、請求書、本人確認、収入印紙が途中で欠けると再訪問になりやすいため、順番に準備状況を確認することが重要です。

Step 01

閲覧方法と場所を決める

原本閲覧かモニター閲覧かを選びます。原本閲覧は保管先の遺言書保管所、モニター閲覧は利用しやすい遺言書保管所を検討します。

Step 02

事前予約と請求書の準備

法務局に予約し、遺言書の閲覧の請求書を作成します。予約番号や予約日時の控えも当日の確認に役立ちます。

Step 03

本人確認書類と手数料を用意する

マイナンバーカード、運転免許証等の顔写真付き官公署発行書類と、モニター閲覧1,400円または原本閲覧1,700円分の収入印紙を準備します。

Step 04

予約日時に本人が出頭する

遺言書保管所で本人確認を受け、保管中の遺言書を閲覧します。内容面の相談は法務局窓口の役割ではありません。

次の一覧は、生前閲覧で必要になりやすいものを表しています。顔写真付き書類の要否や収入印紙の扱いは当日の支障になりやすいため、予約時に使える書類と購入場所を読み取っておくことが大切です。

必要なもの内容
遺言書の閲覧の請求書遺言者用の様式を利用します。
本人確認書類マイナンバーカード、運転免許証等の顔写真付き官公署発行書類が基本です。
手数料モニター閲覧1,400円、原本閲覧1,700円です。
予約情報予約番号や予約日時の控えを用意します。

閲覧の結果、内容変更が必要だと分かった場合でも、法務局で「この内容で相続登記できるか」「遺留分は問題ないか」といった法律相談はできません。訂正・加除は方式違反になりやすいため、新しい遺言の作成、公正証書遺言への切替え、専門家確認などを検討する場面があります。

Section 03

相続開始後に保管した遺言書を閲覧・証明する手続き

死亡後は関係相続人等が閲覧し、証明書や通知制度が相続実務に関わります。

遺言者が死亡した後は、相続人、受遺者、遺言執行者等の関係相続人等が、保管された遺言書の内容を確認するために閲覧を請求できます。生前は本人の秘密保持が優先されますが、死亡後は遺言の実現と相続手続のため、一定の関係者に情報開示されます。

次の判断の流れは、死亡後に閲覧や証明書請求を検討するときの順番を表しています。請求人の立場と死亡確認資料が整っているかで手続の可否が左右されるため、上から順に確認することが重要です。

死亡後の閲覧・証明書請求で確認する順番

遺言者の死亡を確認する

死亡の記載がある戸籍等を取得します。

請求人の立場を確認する

相続人、受遺者、遺言執行者等に当たるかを資料で示します。

目的を分ける

内容確認だけか、相続登記や預金解約等で証明書が必要かを整理します。

実行手続あり
遺言書情報証明書を検討

金融機関や登記手続で提出を求められることがあります。

内容確認中心
閲覧で足りる場合を検討

相続人間の確認だけなら閲覧が中心になることがあります。

相続開始後の閲覧では、戸籍や住民票の準備に時間を要することがあります。特に、遺言者の出生から死亡までの戸籍、相続人全員の確認、住所確認が必要となるケースでは、数週間単位の準備期間を見込むことがあります。

次の一覧は、請求人の立場を示すために必要になり得る書類を表しています。相続人、受遺者、遺言執行者のどの立場で請求するかにより資料が変わるため、何を証明する書類なのかを読み取る必要があります。

書類目的
遺言書の閲覧の請求書法務局に閲覧を求めるための様式です。
請求人の住民票請求人の住所確認に使います。
請求人の顔写真付き本人確認書類なりすまし防止と本人確認のために使います。
遺言者の死亡の記載がある戸籍等相続開始を確認するための資料です。
遺言者と相続人の関係を示す戸籍等請求人が相続人であることを確認するための資料です。
法定相続情報一覧図の写し戸籍一式の代替や審査迅速化に役立つ場合があります。
受遺者・遺言執行者であることを示す資料相続人以外の関係者が請求する場合に関係性を示します。

閲覧は内容を見る手続であり、遺言書情報証明書の交付請求は内容を証明する書類を取得する手続です。金融機関や登記手続では、閲覧だけでは足りず、遺言書情報証明書の提出を求められることがあります。

通知制度遺言者死亡後、関係相続人等の一人が閲覧したり遺言書情報証明書の交付を受けたりすると、法務局から他の関係相続人等に遺言書が保管されている旨の通知が行われる仕組みがあります。通知は具体的内容を詳細に知らせるものではなく、保管の存在を知らせる機能を持ちます。

通知制度は相続紛争の予防に役立つ一方、家族関係が悪化している場合には、通知をきっかけに遺留分、遺言能力、遺言執行者の権限、使途不明金などの争点が表面化することがあります。

Section 04

保管した遺言書の保管申請を撤回する手続き

法務局での撤回は、保管をやめて原本を返してもらう手続です。

法務局の自筆証書遺言書保管制度でいう撤回は、正確には遺言書の保管の申請の撤回です。法務局に対して、この遺言書の保管をやめ、原本を返してほしいと求める手続であり、遺言者本人だけが行えます。家族、推定相続人、受遺者、任意代理人が本人の代わりに自由に撤回することはできません。

混同注意保管申請を撤回しても、それだけで遺言内容が当然に撤回・無効になるわけではありません。返還された遺言書は、方式を満たしている限り、通常の自筆証書遺言として効力を持ち得ます。

次の一覧は、保管申請の撤回が検討されやすい場面を表しています。撤回が必要な理由を読み取ることで、原本返還だけで足りるのか、新しい遺言の作成や民法上の撤回まで必要なのかを分けられます。

1

全面的に作り直したい

財産構成、相続人関係、承継方針が大きく変わった場合は、古い内容を残さない設計が問題になります。

作り直し
2

方式や内容に不安がある

訂正方法、財産表示、受遺者の特定、遺言能力などに不安がある場合は、再作成の前提として撤回が検討されます。

確認必要
3

公正証書遺言に切り替えたい

複雑な相続や対立が予想される場面では、公正証書遺言へ移行し、過去の遺言との関係を整理することがあります。

切替え
4

複数の遺言書を整理したい

古い遺言と新しい遺言が併存すると、矛盾しない部分が残る可能性があり、解釈争いが起きやすくなります。

併存注意

次の時系列は、保管申請を撤回するときの基本的な順番を表しています。モニター閲覧と異なり、撤回手続は原本が保管されている遺言書保管所で行う必要がある点を読み取ることが重要です。

Step 01

撤回する遺言書を特定する

どの遺言書を返還してもらうのか、保管先の遺言書保管所はどこかを確認します。

Step 02

事前予約と撤回書の準備

法務局に予約し、撤回書を作成します。住所や氏名の変更がある場合は、その証明書類も検討します。

Step 03

本人確認書類を準備する

顔写真付き本人確認書類を準備します。撤回手続自体には通常、手数料はかかりません。

Step 04

本人が保管先へ出頭する

遺言者本人が原本保管先の遺言書保管所へ行き、本人確認を受けて撤回書を提出し、原本の返還を受けます。

次の比較表は、撤回手続で準備するものと、閲覧や証明書交付との違いを整理しています。撤回は無料でも、閲覧や再保管は別手続として費用が発生し得ることを読み取る必要があります。

必要なもの内容
撤回書法務省・法務局の様式を利用します。
顔写真付き本人確認書類マイナンバーカード、運転免許証等が想定されます。
変更を証明する書類保管申請後に氏名・住所等が変わっている場合に必要となることがあります。
予約情報予約日時や受付内容の控えを確認します。
手数料保管申請の撤回自体は通常無料です。

返還後の処理を曖昧にすることが最も危険です。遺言そのものを撤回したいのか、内容を修正して再度保管したいのか、公正証書遺言に切り替えたいのか、自宅保管にするのかを明確にする必要があります。

Section 05

保管申請の撤回と遺言そのものの撤回の違い

原本返還だけでは、民法上の遺言効力が残る可能性があります。

保管申請の撤回は、法務局との保管関係を終了させる手続です。法務局で保管してもらうことをやめ、原本を返してもらうだけなので、相続開始後に法務局から遺言書情報証明書を取得することはできなくなり、法務局保管制度に基づく通知制度も働かなくなります。

一方、民法上の遺言撤回は、遺言の効力を消す行為です。遺言者は、いつでも遺言の方式に従って遺言の全部または一部を撤回できます。新しい遺言で前の遺言を撤回すると明記する、前の遺言と矛盾する後の遺言を作る、遺言内容と抵触する生前処分をする、撤回意思をもって遺言書を故意に破棄する、といった方法が問題になります。

次の比較表は、法務局の撤回と民法上の撤回の効果を分けて表しています。手続先、対象、残るリスクを読み取ることで、原本返還だけで足りるのか、別の遺言作成まで必要かを判断しやすくなります。

区分対象主な効果残る注意点
保管申請の撤回法務局との保管関係原本返還、法務局での保管終了紙の遺言書が残れば効力が問題になる可能性があります。
民法上の遺言撤回遺言の効力全部または一部の効力を消す方式、日付、撤回意思、他の遺言との整合性が問題になります。
新しい遺言の作成最終意思の再設計後の遺言で古い内容を上書きできる場合がある矛盾しない部分が残ることがあるため、撤回文言の明確性が重要です。

次の具体例は、誤解が紛争につながりやすい場面を表しています。どの場面でも「最終的に残る遺言書は何か」「撤回文言は明確か」を読み取ることが重要です。

返還後に自宅へ残した場合

保管申請は撤回されても、紙の自筆証書遺言が残ります。方式を満たせば、相続開始後に家庭裁判所の検認を経て効力が問題になる可能性があります。

新しい遺言に撤回文言がない場合

内容が矛盾する部分は後の遺言が問題になりますが、矛盾しない部分は古い遺言が残る可能性があります。

公正証書遺言への切替えが曖昧な場合

新しい公正証書遺言で古い遺言を明確に撤回していないと、保管遺言との関係が争点になることがあります。

破棄による撤回は、遺言者本人の故意と撤回意思の立証が問題になることがあります。将来の紛争予防を重視する場合には、年月日で特定した過去の遺言を全部撤回する旨を新しい遺言に明記する方法が分かりやすい整理になります。

Section 06

保管した遺言書の内容変更と作り直しの考え方

保管中の原本には直接加筆できず、変更届出と内容変更は別の手続です。

法務局で保管されている遺言書は、原本として保管されています。保管後に法務局の窓口でその場で内容を加筆したり、余白に修正を書き込んだりすることはできません。内容を変更したい場合は、新しい遺言を作成する方向で考えるのが基本です。

次の一覧は、内容を変更したいときの選択肢を表しています。保管申請を撤回するかどうか、複数の遺言が併存するかどうかで将来の解釈リスクが変わるため、各方法の違いを読み取る必要があります。

方法概要注意点
返還後に新しい自筆証書遺言を作る保管申請を撤回し、原本返還後に方式どおり作り直して再度保管します。古い遺言の扱いと新しい遺言の撤回文言を明確にします。
保管申請を撤回せず別の遺言を作る保管中の遺言を残したまま、新しい遺言を別途作成します。矛盾しない部分が残る可能性があるため、併存リスクを検討します。
公正証書遺言に切り替える公証役場で新しい遺言を作り、過去の遺言の撤回文言を入れることを検討します。既存の保管遺言の存在を公証人や専門家に伝えることが重要です。

住所、氏名、本籍、筆頭者等に変更があった場合や、遺言書に記載された受遺者・遺言執行者等の住所・氏名等に変更があった場合は、保管申請の撤回ではなく変更の届出が必要となることがあります。これは法務局が管理する情報を最新化する手続であり、遺言内容を修正する手続ではありません。

次の重要ポイントは、作り直し時に確認したい項目を表しています。遺言の実務的価値は「誰に何を承継させるのか」が明確かどうかで左右されるため、財産の特定、相続人・受遺者の特定、過去の遺言との整合性を読み取ることが大切です。

作り直しでは、最終意思を特定できる状態にする

新しい遺言の日付、過去の遺言を全部撤回するのか一部だけ変更するのか、受遺者・相続人の特定、不動産や預貯金の正確な表示、遺言執行者の指定、遺留分や税務の影響を一体で確認することが重要です。

不動産は登記事項証明書に基づいて正確に表示し、預貯金は金融機関名、支店名、口座種別、口座番号等を整理します。既存の保管遺言、公正証書遺言、エンディングノート等との整合性も確認が必要です。形式が整っていても、内容が曖昧であれば相続手続が止まることがあります。

Section 07

保管した遺言書の閲覧・撤回・証明書請求の費用と場所

手続ごとに、できる人、時期、場所、手数料が異なります。

閲覧、証明書交付、保管事実証明、保管申請の撤回、変更の届出は似て見えても、できる人や場所が異なります。次の比較表は手続別の要点をまとめたものです。原本保管先でしかできない手続と、全国の遺言書保管所でできる手続の違いを読み取ることが重要です。

手続できる人時期場所手数料主な効果
遺言者本人の閲覧遺言者本人生前原本閲覧は保管先、モニター閲覧は全国の遺言書保管所原本1,700円、モニター1,400円内容確認
関係相続人等の閲覧相続人、受遺者、遺言執行者等遺言者死亡後原本閲覧は保管先、モニター閲覧は全国の遺言書保管所原本1,700円、モニター1,400円相続開始後の内容確認
遺言書情報証明書の交付請求関係相続人等遺言者死亡後全国の遺言書保管所1通1,400円相続手続で使う証明書取得
遺言書保管事実証明書の交付請求関係相続人等遺言者死亡後全国の遺言書保管所1通800円遺言書保管の有無確認
保管申請の撤回遺言者本人生前原本を保管している遺言書保管所無料法務局での保管終了、原本返還
変更の届出遺言者本人等生前全国の遺言書保管所で可能な場合があります無料管理情報の変更

法務局手続は、原則として事前予約が必要です。予約方法には、法務局手続案内予約サービス、電話、窓口予約などがあります。窓口で不備が見つかると再予約や再訪問が必要になりやすいため、予約時に確認すべき事項を整理しておくことが重要です。

次の一覧は、予約時に確認したい事項を表しています。手続の種類、閲覧方法、原本保管先、本人確認書類、戸籍や住民票の範囲を読み取ることで、当日の不備を減らしやすくなります。

A

手続の種類

閲覧、保管申請の撤回、証明書請求、変更届出のどれかを確認します。

種類
B

閲覧方法と保管先

原本閲覧かモニター閲覧か、原本保管先の法務局はどこかを確認します。

場所
C

本人確認と収入印紙

使える本人確認書類、収入印紙の購入場所、当日持参すべきものを確認します。

持参物
D

相続開始後の追加資料

戸籍、住民票、法定相続情報一覧図、代理人や法定代理人の追加書類、郵送請求の可否を確認します。

死後手続

特に相続開始後の手続では、戸籍の不足、住民票の住所不一致、旧姓、転籍、代襲相続の確認漏れなどで時間がかかりがちです。複数の相続手続が見込まれる場合には、法定相続情報一覧図の活用も検討対象になります。

Section 08

保管した遺言書の閲覧・撤回で起きやすい失敗と相談の目安

制度手続の誤解は、遺言効力や相続紛争の問題として表面化しやすくなります。

保管制度は便利ですが、法務局に預けたことや返してもらったことだけで、遺言の内容面まで安全になるわけではありません。次の一覧は、典型的な失敗を表しています。どの誤解がどのリスクにつながるかを読み取ることで、事前に準備すべき論点が見えます。

撤回したから無効だと誤解する

保管申請の撤回後も、返還された遺言書が残れば民法上の遺言として問題になり得ます。

古い遺言と新しい遺言を併存させる

日付の新しい遺言が常に古い遺言を全面的に消すとは限らず、矛盾しない部分が残る可能性があります。

閲覧だけで相続手続が進むと思い込む

閲覧は内容確認の手続であり、登記や金融機関手続では遺言書情報証明書が必要になることがあります。

法務局が内容を保証すると考える

保管されたことは、遺留分問題がないこと、相続登記が必ずできること、遺言能力の争いが起きないことを意味しません。

相続人への通知を想定していない

死亡後の閲覧や証明書交付をきっかけに、他の関係相続人等へ保管の通知が行われることがあります。

顔写真付き本人確認書類がない

高齢の遺言者が運転免許証を返納している場合などは、マイナンバーカード等の準備が必要になることがあります。

次の一覧は、手続前に弁護士等へ相談する価値が高い場面を表しています。法務局で解決できる手続の問題と、遺言効力・相続紛争予防として設計すべき問題を分けて読み取ることが重要です。

相談が問題になりやすい場面確認したい論点
相続人の一部に財産を渡さない内容遺留分侵害額請求、説明資料、遺言執行の進め方
推定相続人同士の関係が悪い通知後の対応、遺言能力や使途不明金の争点化
判断能力への不安がある遺言能力の資料、作成時の記録、公正証書遺言の選択
再婚、前婚の子、認知した子、養子縁組がある相続人範囲、遺留分、戸籍確認、分配設計
不動産、借地権、自社株、事業用資産がある財産特定、登記、税務、承継後の管理負担
別の遺言やエンディングノートがある最終意思の特定、撤回文言、複数文書の整合性

遺言内容を変更・撤回する局面では、どの遺言が最終意思なのかを明確にすることが重要です。法務局の手続だけで解決する問題と、民法上の遺言撤回・相続紛争予防として設計すべき問題を分けて考える必要があります。

Section 09

保管した遺言書を閲覧・撤回する前のチェックリスト

生前閲覧、死亡後閲覧、保管申請の撤回で確認事項を分けます。

次の確認一覧は、手続前に不足しやすい事項を場面別に整理したものです。誰が手続するのか、どの書類が必要か、閲覧後や返還後に何をするのかを読み取ることで、法務局での再訪問や相続手続の停滞を防ぎやすくなります。

生前閲覧

遺言者本人が閲覧する前

  • 原本閲覧かモニター閲覧かを決める
  • 原本閲覧の場合、保管先の遺言書保管所を確認する
  • 法務局に事前予約する
  • 閲覧請求書を準備する
  • 顔写真付き本人確認書類を準備する
  • 手数料分の収入印紙を準備する予定を確認する
  • 閲覧後に内容変更する場合の相談先を決める
死後閲覧

相続人等が閲覧する前

  • 遺言者の死亡を確認できる戸籍等を取得する
  • 請求人が関係相続人等であることを示す資料を準備する
  • 請求人の住民票を準備する
  • 顔写真付き本人確認書類を準備する
  • 法定相続情報一覧図を利用できるか確認する
  • 閲覧後、遺言書情報証明書が必要か確認する
  • 他の関係相続人等への通知を想定した対応方針を決める
保管申請の撤回

原本返還を受ける前

  • 撤回する遺言書を特定する
  • 原本保管先の遺言書保管所を確認する
  • 法務局に事前予約する
  • 撤回書を準備する
  • 顔写真付き本人確認書類を準備する
  • 住所・氏名等が変わっている場合、証明書類を準備する
  • 返還後に遺言書をどう扱うか決める
  • 遺言そのものを撤回する場合、民法上の撤回方法を確認する
  • 新しい遺言を作る場合、過去の遺言の撤回文言を検討する
Section 10

保管した遺言書の閲覧・撤回に関するFAQ

よくある疑問を、制度上の一般的な考え方として整理します。

Q1. 法務局に保管した遺言書を家族が生前に見られますか。

一般的には、遺言者の生前に家族や推定相続人が自由に閲覧することはできないとされています。生前の閲覧は遺言者本人の意思と秘密を保護するため、本人中心の手続です。ただし、遺言者本人が内容を共有する方法は別途考えられ、家族関係や遺言内容によって適切な説明方法は変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 法務局から遺言書を返してもらえば、遺言は無効になりますか。

一般的には、保管申請の撤回は法務局での保管をやめる手続であり、遺言そのものを当然に無効にする手続ではないとされています。返還された遺言書が残れば、通常の自筆証書遺言として効力が問題になる可能性があります。具体的な効力や撤回方法は、遺言書の内容、保管状況、作成時期によって変わるため、弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q3. 返還された遺言書を破れば、遺言を撤回したことになりますか。

一般的には、遺言者本人が撤回意思をもって故意に破棄した場合、破棄された部分について撤回とみなされることがあるとされています。ただし、将来、誰が破棄したのか、撤回意思があったのかが争われる可能性があります。明確性を重視する場合の対応は、遺言内容や家族関係によって変わるため、弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q4. 内容を少しだけ変えたい場合、法務局で訂正できますか。

一般的には、保管中の原本に法務局の窓口で加筆・訂正することはできないとされています。内容変更が必要な場合は、新しい遺言を方式どおり作成することが基本になります。ただし、住所や氏名など管理情報の変更は変更の届出で扱う場面があり、内容変更とは別です。具体的な対応は、変更したい内容を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

Q5. 原本閲覧とモニター閲覧はどちらを選ぶべきですか。

一般的には、通常の内容確認であればモニター閲覧で足りる場面が多いとされています。一方、紙の状態、筆跡、押印、加除訂正の状況などを直接確認したい場合には原本閲覧が有用になることがあります。ただし、原本閲覧は原本を保管している遺言書保管所でしかできないため、目的や場所によって判断が変わります。

Q6. 相続手続では閲覧だけで足りますか。

一般的には、閲覧は内容確認の手続であり、相続登記や金融機関での手続では遺言書情報証明書が必要になる可能性があります。ただし、求められる書類は手続先や財産の種類によって変わります。具体的には、関係機関の案内を確認し、必要に応じて弁護士、司法書士等の専門家へ相談する必要があります。

Q7. 遺言書の閲覧をすると、他の相続人に内容まで通知されますか。

一般的には、通知制度は遺言書が保管されていることを他の関係相続人等に知らせるためのものであり、遺言の具体的内容を詳細に通知するものではないとされています。ただし、通知を受けた関係者が自ら閲覧や証明書交付請求を行う可能性があります。対立が予想される場合の対応は個別事情で変わるため、専門家への相談が必要です。

Q8. 撤回後に新しい遺言を保管する場合、手数料は再度かかりますか。

一般的には、新しい遺言書を改めて保管申請する場合は、新たな保管申請として手数料がかかるとされています。保管申請の手数料は1件につき3,900円です。撤回手続自体は通常無料ですが、再保管は別手続です。最新の手数料や運用は変更される可能性があるため、公的案内の確認が必要です。

Q9. 遺言者が高齢で法務局へ行けない場合、家族が代わりに撤回できますか。

一般的には、保管申請の撤回は遺言者本人が行う手続であり、本人出頭が必要とされています。家族が任意に代行することはできない扱いが基本です。ただし、本人が出頭できない事情がある場合の制度上の扱いや代替手段は、状況によって変わる可能性があります。具体的には法務局に確認し、必要に応じて専門家へ相談する必要があります。

Q10. 法務局保管の自筆証書遺言と公正証書遺言はどちらが安全ですか。

一般的には、法務局保管制度は自筆証書遺言の保管、発見、検認省略の面で利点があるとされています。一方、公正証書遺言は公証人が関与するため、内容や遺言能力確認の面で相対的に安定しやすいといわれます。ただし、財産規模、相続人間対立、遺言能力、分配内容の複雑さによって適切な方式は変わるため、具体的には専門家へ相談する必要があります。

Section 11

保管した遺言書の閲覧・撤回は「誰が、いつ、何を撤回するか」を整理する

法務局手続と民法上の効力を分けることが、紛争予防の出発点です。

保管した遺言書を閲覧・撤回する場合、単に法務局の窓口に行けばよいという理解では不十分です。閲覧については、生前は遺言者本人、死亡後は関係相続人等という主体の違いがあります。閲覧方法も、原本閲覧とモニター閲覧で場所と手数料が異なります。相続手続を進める場合には、閲覧だけでなく遺言書情報証明書が必要になる可能性があります。

撤回については、さらに慎重な整理が必要です。法務局での撤回は、正確には保管申請の撤回です。これは保管をやめ、遺言書原本を返してもらう手続であって、遺言そのものを当然に無効化するものではありません。遺言内容を撤回・変更したい場合は、民法上の遺言撤回のルールに従って、新しい遺言の作成、撤回文言、破棄、保管申請の再実施などを組み合わせて設計する必要があります。

遺言は、遺言者の最終意思を実現するための制度です。その最終意思は、方式、保管、開示、証明、撤回、相続実務が整って初めて、現実の相続手続で機能します。閲覧する段階、撤回する段階、作り直す段階のいずれでも、法務局手続と民法上の効力を分けて理解することが重要です。

Reference

参考資料・根拠法令

制度内容、手数料、様式、予約方法は変更される可能性があるため、実際の手続では最新の公的案内を確認する必要があります。

公的資料

  • 法務省「自筆証書遺言書保管制度」
  • 法務省「遺言者の手続」
  • 法務省「相続人等の手続」
  • 法務省「管轄/遺言書保管所一覧」
  • 法務省「予約をお取りください!」
  • 法務省「手数料」
  • 法務省「通知」
  • 法務省「自筆証書遺言書保管制度 Q&A」
  • 法務局手続案内予約サービス

法令

  • e-Gov法令検索「法務局における遺言書の保管等に関する法律」
  • e-Gov法令検索「民法」